平成22年、中国では、上海国際博覧会(5月)やアジア競技大会(11月)等の国家的行事が行われた一方で、国民の権利意識の高まりに起因すると見られる労働争議が全国に拡大したほか、地方政府の債務急増を含む経済問題、中国共産党に対する脅威とみなされる少数民族問題等、党や政府にとって深刻な問題が顕在化しました。

 9月、尖閣諸島周辺領海内で中国漁船衝突事件が発生し、中国は、本件をめぐり、我が国に対し一貫して強硬な姿勢を示しました。また、10月中旬には、中国内陸部で2週間にわたり、大規模な反日デモが発生しました。

 このほか、10月、中国で服役中の民主活動家に対し、22年のノーベル平和賞を授与することが発表されたことに関しても、中国は、関係国に強く反発しました。

 こうした中で開催された第17期中国共産党中央委員会第5回全体会議(10月)では、習近平国家副主席が中国共産党中央軍事委員会副主席に選出され、「ポスト胡錦濤」としての地位を確立したとみられます。

 このような情勢の下、中国は、我が国において、先端科学技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に研究者、技術者、留学生等を派遣するなどして、長期間にわたり、巧妙かつ多様な手段で様々な情報収集活動を行っているとみられます。警察では、我が国の国益が損なわれないよう、違法行為に対して厳正に対処していくこととしています。


中国江蘇省の工場で発生した賃上げスト(時事)


 
尖閣諸島をめぐる日本への抗議デモ(中国・重慶)(AP/アフロ)