国内外の諸問題に執拗に取り組んだ右翼

1時局問題や領土問題をとらえた執拗な抗議活動

 右翼は、領土、歴史認識等の諸問題をとらえて、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を行いました。
 特に、ミサイル発射や核実験等をとらえた北朝鮮批判や、政権交代後の政府の政策等をとらえた批判が執拗に行われました。
 このほか、民族主義・排外主義的主張に基づき、「外国人参政権反対」などと訴える市民運動も各地で展開され、一部に反対勢力とのトラブルも見られました。
 右翼は、今後も国内外の諸問題に敏感に反応して、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を執拗に展開するものとみられ、その過程で、政党要人、政府機関、外国公館、報道機関等に対し、テロ等重大事件を引き起こすおそれがあります。

2市民生活の平穏を害する街頭宣伝活動

 一部の右翼は、企業等に対して「糾弾活動」と称し、街頭宣伝車を用いて大音量で執拗な街頭宣伝活動を行い、騒音被害や交通渋滞を引き起こすなど、市民生活の平穏を害しています。
 平成21年中、「糾弾街宣」の対象となった企業は、約120社に上りました。これに対し「糾弾」を受けた企業側では、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分を裁判所に申し立てるなどの対処を行っています。
 右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化させるものとみられます。
街頭で抗議活動を行う右翼団体(6月、東京) 街頭宣伝活動を行う右翼団体(6月、福岡)
街頭で抗議活動を行う右翼団体(6月、東京) 街頭宣伝活動を行う右翼団体(6月、福岡)

3違法行為の徹底検挙

 右翼は、時局問題等をとらえて執拗に活動しており、その過程において「テロ、ゲリラ」事件を敢行しているほか、資金獲得活動や街頭宣伝活動に伴う事件を多数引き起こしています。

1 テロ等重大事件の未然防圧

 21年中は、「テロ、ゲリラ」事件の発生は見られませんでしたが、「ロシア大使館前における公務執行妨害事件」(7月)、「国会議事堂正門前における銃刀法違反事件」(8月)と抗議活動に伴う事件が発生し、それぞれ右翼構成員が逮捕されました。
 こうした中、警察は、右翼によるテロ等重大事件を未然防圧するため、各種情報収集活動を推進し、けん銃等の銃器摘発に努めた結果、21年中は、右翼及びその周辺者からけん銃等11丁を押収しました。

2 右翼による違法行為の取締り

 21年中の右翼による違法行為(右翼関係事件)の検挙件数・人員は、1,675件1,867人でしたが、これらの検挙事件のうち右翼運動に伴って発生した事件(右翼事件)の検挙は、152件274人で、全検挙件数の約9.1%に過ぎず、一方、資金獲得を目的とした恐喝事件等の悪質な犯罪の検挙は、312件411人に上り、道路交通法違反を除く全検挙件数(742件)の約42%を占めるなど、悪質な資金源犯罪が依然として後を絶ちません。
 また、市民の平穏な生活に支障を来すような悪質な街頭宣伝活動に対しては、静穏保持法違反を始め、その内容や形態をとらえ、恐喝罪、名誉毀損罪、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等を適用して、57件109人を検挙しました。
 警察では、このような右翼による違法行為に対して、引き続き徹底した取締りを図っていくこととしています。
悪質な街頭宣伝活動に対する取締状況(8月、東京) 悪質な街頭宣伝活動に対する取締状況(4月、兵庫)
悪質な街頭宣伝活動に対する取締状況(8月、東京) 悪質な街頭宣伝活動に対する取締状況(4月、兵庫)