国内外の諸問題に執拗に取り組んだ右翼

1時局問題や領土問題をとらえた執拗な抗議活動

 右翼は、政治、外交、領土、歴史等の諸問題をとらえて、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を行いました。
 特に、中国チベット自治区で発生した暴動や中国製冷凍餃子薬物混入事案等をとらえた中国批判や、領土問題をとらえた韓国、ロシア批判、日本人拉致容疑事案等をとらえた北朝鮮批判が執拗に行われました。
 右翼は、今後も国内外の諸問題に敏感に反応して、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を執拗に展開するものとみられ、その過程で、政党要人、政府機関、外国公館、報道機関等に対し、テロ等重大事件を引き起こすおそれがあります。

2市民生活の平穏を害する街頭宣伝活動

 一部の右翼は、企業等に対して「糾弾活動」と称し、街頭宣伝車を用いて大音量で執拗な街頭宣伝活動を行い、騒音被害や交通渋滞を引き起こすなど、市民生活の平穏を害しています。
 平成20年中、「糾弾街宣」の対象となった企業は、約170社に上りました。これに対し「糾弾」を受けた企業側では、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分を裁判所に申し立てるなどの対処を行っています。
 右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化するものとみられます。
街頭宣伝活動に取り組む右翼団体(8月、京都) 韓国総領事館前で抗議文を読み上げる右翼(12月、福岡)
街頭宣伝活動に取り組む右翼団体(8月、京都)   韓国総領事館前で抗議文を読み上げる右翼(12月、福岡)

3違法行為の徹底検挙

 右翼は、時局問題等をとらえて執拗に活動しており、その過程において「テロ、ゲリラ」事件を敢行しているほか、資金獲得活動や街頭宣伝活動に伴う事件を多数引き起こしています。

1テロ等重大事件の未然防圧

 20年中は、「自民党本部に対する器物損壊事件」(2月)、「外務省に対する火炎びん処罰法違反等事件」(2月)の2件の「テロ、ゲリラ」事件が発生し、右翼構成員2人を逮捕しました。 
 こうした中、右翼によるテロ等重大事件を未然防圧するため、各種情報収集活動を推進し、けん銃等の銃器摘発に努めた結果、20年中は、右翼及びその周辺者からけん銃等7丁を押収しました。

2右翼による違法行為の取締り

 20年中の右翼による違法行為の検挙件数・人員は、1,689件1,853人でしたが、これらの検挙事件のうち、右翼運動に伴って発生した事件の検挙は、130件212人で、全検挙件数の約7.7%に過ぎず、一方、資金獲得を目的とした恐喝事件等の悪質な犯罪の検挙は、339件444人に上り、道路交通法違反を除く全検挙件数(756件)の約44.8%を占めるなど、悪質な資金源犯罪が依然として後を絶ちません。
 また、市民の平穏な生活に支障を来すような悪質な街頭宣伝活動に対しては、暴騒音規制条例違反や静穏保持法違反で検挙したほか、その内容や形態をとらえ、恐喝、名誉毀損、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等を適用して、37件62人を検挙しました。
 警察では、このような右翼による違法行為に対して、引き続き徹底した取締りを図っていくこととしています。   
押収したけん銃(2月、群馬) 押収したけん銃(2月、群馬)
押収したけん銃(2月、群馬)
 
街頭宣伝車に対する捜索状況(12月、福岡) 街頭宣伝活動に対する取締状況(8月、東京)
街頭宣伝車に対する捜索状況(12月、福岡)   街頭宣伝活動に対する取締状況(8月、東京)