厳しい情勢の中での警衛・警護警備

1警衛

 平成19年中、天皇皇后両陛下は、第58回全国植樹祭(6月、北海道)、第62回国民体育大会(9月、秋田)、第27回全国豊かな海づくり大会(11月、滋賀)への御臨席を始め、スウェーデン国王陛下及び王妃陛下御案内(3月、埼玉)、新潟県中越沖地震に伴う被災地お見舞い(8月、新潟)、第11回IAAF世界陸上競技選手権大阪大会御臨席(8月、大阪)、福岡県西方沖地震被災者御訪問及び災害復興状況御視察(10月、福岡)等のため行幸啓になりました。
 皇太子殿下は、第62回国民体育大会冬季大会(1月、群馬)、平成19年度全国高等学校総合体育大会(7月、佐賀)、第31回全国育樹祭(11月、熊本)等の行事・式典への御臨席のため、行啓になりました。
 海外へは、天皇皇后両陛下がリンネ生誕300年関連行事御臨席等のためスウェーデン及び英国を、また、国際親善のためエストニア、ラトビア及びリトアニア(5月)をそれぞれ御訪問になりました。このほか、皇太子殿下が、国際親善のためモンゴル(7月)を御訪問になるなど、皇族方が計7回御訪問になりました。
 これに対し、過激派等は、皇族方が御臨席になる行事式典に反対し、集会、デモやビラ配布に取り組みました。
 このような情勢の中で、警察は、皇室と国民との間の親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図りました。

天皇皇后両陛下の第62回国民体育大会御臨場等に伴う警衛警備(9月、秋田)
天皇皇后両陛下の第62回国民体育大会御臨場等に伴う警衛警備(9月、秋田)

2警護

1外国要人

  19年8月、故宮澤喜一元首相の内閣・自由民主党合同葬儀が都内において挙行され、国内外の要人等が多数参列しました。警視庁等関係警察では、警護警備を実施し、外国要人の身辺の安全等を確保しました。
 また、19年中は、国賓としてカール16世グスタフ・スウェーデン国王陛下及び王妃陛下(3月)、チエット・ベトナム国家主席(11月)が来日したのを始め、公賓として温家宝中国国務院総理(4月)、フン・セン・カンボジア首相(6月)、公式実務訪問賓客としてチェイニー・米国副大統領(2月)、メルケル・ドイツ首相(8月)等がそれぞれ来日しました。
 警視庁等関係警察では、所要の警護警備を実施し、外国要人の安全を確保しました。
来日したチエット・ベトナム国家首席と握手を交わす福田首相(11月)(共同)
来日したチエット・ベトナム国家首席と握手を交わす福田首相(11月)(共同)

2国内要人

(1)第21回参議院議員通常選挙に伴う警護警備
 第21回参議院議員通常選挙(19年7月)では、多数の国内要人が全国で遊説活動を行い、特に、安倍自由民主党総裁(当時)は、延べ35都府県において街頭演説を行いました。
 関係警察では、右翼によるテロ等違法事案の発生が懸念される厳しい情勢の下、雑踏事故防止にも配意した警護警備諸対策を実施し、国内要人の身辺の安全を確保しました。

(2)自由民主党総裁選挙に伴う警護警備
 安倍首相(当時)の辞任に伴う自由民主党総裁選挙(19年9月)では、麻生元外務大臣、福田元官房長官の2人が立候補し、全国4ヶ所で所見発表街頭演説会を行うとともに、都内等各所において街頭演説を行いました。
 関係警察では、右翼によるテロ等が懸念される厳しい情勢の下、雑踏事故防止にも配意した警護警備を実施し、国内要人の身辺の安全を確保しました。

(3)首相警護
 安倍首相(当時)は、19年中、イスラム過激派による国際テロの脅威が依然として高い中、首脳会談及び東アジア首脳会議出席等に伴う英国、ドイツ、ベルギー、フランス及びフィリピン訪問(1月)、首脳会談出席等に伴う米国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール及びエジプト訪問(4月、5月)、ハイリゲンダム・サミット出席等に伴うドイツ訪問(6月)、APEC首脳会議出席等に伴うオーストラリア訪問(9月)等を行いました。
 また、福田首相は、首脳会談出席等に伴う米国訪問(11月)、東アジア首脳会議出席等に伴うシンガポール訪問(11月)、首脳会談出席等に伴う中国訪問(12月)を行いました。
 警察では、関係国の警護当局と緊密に連携して警護を実施し、その身辺の安全を確保しました。
首脳会談を終え共同記者会見する福田首相とブッシュ大統領(11月、米国)(共同)
首脳会談を終え共同記者会見する福田首相とブッシュ大統領(11月、米国)(共同)