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目次

各地で発生した自然災害と災害警備活動
 平成一八年中は、台風、大雨、地震等の自然災害により、死者・行方不明者五八人、負傷者六七六人等の被害が発生しました。
1 梅雨前線等大雨による被害

 一八年六月下旬から七月下旬にかけて、九州地方から関東地方において、梅雨前線の活発化により、多いところで一時間で八〇ミリを超える大雨を記録しました。この大雨により、死者・行方不明者三二人等の被害が発生しました。
 関係府県警察では、災害警備本部等を設置して、被害情報の収集を行うとともに、土砂崩れ現場等における被災者の救出救助、行方不明者の捜索等の災害警備活動を実施しました。
 また、警察庁では、警備課長を長とする災害警備連絡室を、関係管区警察局でも災害警備連絡室を設置するなどして、被害情報の集約等を実施しました。

梅雨前線による大雨に伴い、行方不明者の捜索に当たる警察官(7月、島根)
梅雨前線による大雨に伴い、行方不明者の捜索に当たる警察官(7月、福井)
2 台風による被害

 一八年中は、二三個の台風が発生し、うち二個が日本に上陸、一〇個が接近しました。これらの台風により、死者・行方不明者一〇人、負傷者四四二人等の被害が発生しました。
 関係道県警察では、台風の上陸等に伴い、災害警備本部等を設置して、被災者の救出救助、行方不明者の捜索等の災害警備活動を実施しました。
 また、警察庁では、警備課長を長とする災害警備連絡室を、関係管区警察局でも災害警備連絡室を設置するなどして、被害情報の集約等を実施しました。

3 北海道佐呂間町における竜巻による被害
  一八年一一月七日午後一時二○分ころから三○分ころにかけて、北海道常呂ところ郡佐呂間町の国道三三三号線沿いのトンネル工事現場付近で竜巻が発生し、プレハブ小屋等が被害を受け、死者九人、負傷者三一人等の被害が発生しました。
 北海道警察では、災害警備本部を設置するとともに、北海道警察広域緊急援助隊を含む警察部隊三四○人(最大時)を現地に派遣して、被災者の救出救助、行方不明者の捜索等の災害警備活動を実施しました。
 また、警察庁では、警備課長を長とする災害警備連絡室を設置して、被害情報の集約等を実施しました。
佐呂間町における竜巻に伴い、行方不明者の捜索に当たる警察官(11月、北海道)
4 広域緊急援助隊の強化
  警察庁では、一六年一〇月に発生した新潟県中越地震の教訓を踏まえ、一七年四月、一二都道府県警察(北海道、宮城、警視庁、埼玉、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、香川、福岡)の広域緊急援助隊に、極めて高度な救出救助能力を持つ特別救助班(P‐REX:Police Team of Rescue Experts)を設置しました。
 特別救助班は設置以降、JR西日本福知山線列車事故(一七年四月)やJR東日本羽越線(特急)列車事故(同年一二月)のほか、台風第一四号の上陸に伴う宮崎県下の土砂災害(同年九月)等に出動し、被災者の救出救助等に当たるとともに、日々実践的な訓練に取り組んでいます。
 また、一八年三月、各都道府県警察の広域緊急援助隊に刑事部隊を新たに設置して、迅速かつ的確な検視や遺族等への遺体の引渡し、安否情報の提供を実施できるよう体制を整備しました。
廃屋を活用して実践的訓練に当たる特別救助班等