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厳しい情勢の中での警衛・警護警備
1 警 衛

 平成一八年中、天皇皇后両陛下は、第五七回全国植樹祭(五月、岐阜)、第六一回国民体育大会(九月、兵庫)、第二六回全国豊かな海づくり大会(一〇月、佐賀)、第一六回国際顕微鏡学会議記念式典(九月、北海道)等への御臨席のため行幸啓になりました。
 皇太子殿下は、第六一回国民体育大会冬季大会(一月、北海道)、第四二回献血運動推進全国大会(七月、群馬)、第一八回全国農業青年交換大会(九月、山形)等への行事・式典への御臨席のため、行啓になりました。
 海外へは、天皇皇后両陛下が、国際親善等のため、シンガポール、タイ及びマレーシア(六月)を御訪問になったほか、皇太子殿下が第四回世界水フォーラム開会式御臨席のためシンガポール及びカナダ(三月)を訪問するなど、各皇族方が計八回御訪問になりました。
 また、九月には、秋篠宮同妃両殿下の第一男子として悠仁ひさひと親王殿下が御誕生になりました。
 これに対し、過激派等は、皇族方が御臨席になる行事式典に反対し、集会、デモやビラ配付に取り組みました。
 このような情勢の中で、警察は、皇室と国民との間の親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図りました。

天皇皇后両陛下の第16回国際顕微鏡学会議記念式典御臨席に伴う警衛警備(9月、北海道)
2 警 護

一 外国要人

 故橋本龍太郎元首相の内閣・自由民主党合同葬儀が一八年八月八日、都内において挙行され、国内外の要人等が多数参列しました。
 これに伴い、警視庁等関係警察では、所要の警護警備諸対策を推進して外国要人の身辺の安全と葬儀の円滑な進行を確保しました。
 また、一八年は、国賓としてユドヨノ・インドネシア大統領(一一月)が来日したのを始め、公賓としてシン・インド首相(一二月)、公式実務訪問賓客として、ビヤ・カメルーン大統領夫妻(四月)、ズン・ベトナム首相夫妻(一〇月)、サカ・エルサルバドル大統領夫妻(一〇月)等がそれぞれ来日し、首脳会談等所要の日程を滞りなく終え、それぞれ離日しました。
 これに伴い、警視庁等関係警察では、所要の警護警備を実施して、外国要人の安全を確保しました。

二 国内要人

(一)自由民主党総裁選挙に伴う警護警備
  自由民主党総裁選挙(一八年九月八日告示、同月二〇日投開票)は、安倍官房長官、麻生外務大臣及び谷垣財務大臣の三人が立候補する中、全国一〇ヶ所でブロック大会を開催し討論会を行うとともに、四都道府県において街頭演説を行いました。
 関係都道府県警察では、右翼によるテロ等違法事案の発生が懸念される厳しい警護情勢下、雑踏事故防止にも配意した的確な警護警備諸対策を推進し、国内要人の身辺の安全を確保しました。
(二)首相警護
小泉首相は、イスラム過激派による国際テロの脅威が依然として高く、厳しい警護情勢の中、一八年六月に首脳会談出席に伴うカナダ及び米国訪問、「サンクトペテルブルク・サミット」出席等に伴うイスラエル、パレスチナ、ヨルダン及びロシア訪問(七月)、「アジア欧州会合第六回首脳会合」出席等に伴うフィンランド訪問(九月)等を行いました。
 また、安倍首相は、首脳会談出席に伴う中国及び韓国訪問(一〇月)、APEC首脳会議出席に伴うベトナム訪問(一一月)等を行いました。
 警察では、関係国の警護当局との緊密な連携の下、的確な警護警備を実施し、身辺の安全を確保しました。

自由民主党総裁選挙に伴う安倍官房長官の街頭演説(8月、神奈川)(共同)
日中首脳会談歓迎式典に臨む両首脳(10月、中国)(共同)
3 平成二〇年サミットへの対応
  二〇年には、我が国でサミットが開催される予定であり、現在、開催地としていくつかの地方公共団体が名乗りを上げて誘致活動を行っています。一七年七月には、グレンイーグルズ・サミットの開催中にロンドン中心部の地下鉄とバスで同時多発テロ事件が発生しており、国際テロ情勢は依然として厳しい状況です。また、一三年に開催されたジェノバ・サミット以来、サミット開催時には、反グローバリズム運動による大規模なデモが行われる傾向にあり、ときには大量の逮捕者を伴う暴動に発展しています。このように、サミット警備をめぐる情勢は非常に厳しい状況にあります。
 こうした厳しい情勢の中、警察では、国内外の要人等の安全と、関係行事の円滑な進行等を確保するため、関係機関との緊密な連携、機動隊を始めとした警備実施に当たる部隊の練度の向上、部隊の広域運用等全国都道府県警察の連携強化等の警備諸対策の推進を早い段階から図り、万全の警戒警備を期することとしています。