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国内外の諸問題に活発に取り組んだ右翼
1 時局問題や領土問題をとらえた活発な抗議活動

 右翼は、政治、外交、領土、歴史等の諸問題をとらえて、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を活発に行いました。
 特に、平成一八年は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射や地下核実験実施の発表に対する反発を強めたほか、靖国神社をめぐる議論や、皇室典範改正に関する議論の盛り上がりを背景として、これらの問題等をとらえた活動を活発に行いました。
 このほか、東シナ海の天然ガス田開発問題等をとらえた中国批判や、領土問題をとらえた韓国、ロシア批判も継続して行いました。
 右翼は、今後も国内外の諸問題に敏感に反応して、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を活発に展開するものとみられ、その過程で、政党要人、政府機関、外国公館、報道機関等に対し、テロ等重大事件を引き起こすおそれがあります。

街頭宣伝活動に取り組む右翼団体(10月、福岡)
2 市民生活の平穏を害する街頭宣伝活動

 一部の右翼は、企業等の糾弾活動と称して、街頭宣伝車を利用し大音量で執ような街頭宣伝活動を行い、騒音被害や交通渋滞を引き起こすなど、市民生活の平穏を害しています。
 一八年中、糾弾活動の対象となった企業は、約二二〇社に上りました。糾弾を受けた企業側では、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分命令を裁判所に申し立てるなどしています。
 一部の右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化するものとみられます。

2 違法行為の徹底検挙
 右翼は、時局問題等をとらえて活発に活動しており、その過程において「テロ、ゲリラ」事件を敢行するほか、資金獲得活動や街頭宣伝活動に伴う事件を多数引き起こしています。

一 テロ等重大事件の未然防圧

 一八年中は、「外務省に対する器物損壊等事件」(七月、警視庁)、「加藤紘一衆議院議員実母方における現住建造物等放火事件」(八月、山形)、「外為法違反企業に対する建造物侵入等事件」(一〇月、神奈川)、「外為法違反企業に対する街宣車突入事件」(一〇月、神奈川)、「大手企業ビルに対する街宣車突入事件」(一一月、大阪)の五件の「テロ、ゲリラ」事件が発生し、右翼構成員一一人を逮捕しました。
 このほか、右翼によるテロ等重大事件を未然防圧するため、各種情報収集活動を推進し、けん銃等の銃器摘発に努め、一八年中は、右翼及びその周辺者からけん銃一一丁を押収しました。

二 右翼による違法行為の取締り

 一八年中の右翼による違法行為の検挙件数や人員は一、六八六件二、〇二一人で、一七年中の一、六四七件二、〇九五人と比較してほぼ横ばい状態で推移しています。
 これらの検挙事件のうち、右翼運動に伴って発生した事件の検挙は、一五九件三〇五人で、全検挙件数の約九・四%に過ぎず、一方、右翼による恐喝事件の検挙は、一四一件二六九人で、全検挙罪種(道路交通法違反を除く。)の第一位となるなど、悪質な資金獲得活動が依然として後を絶ちません。
 また、市民の平穏な生活に支障を与えるような悪質な街頭宣伝活動に対しては、暴騒音規制条例違反で一件一人を逮捕するとともに、その内容や形態をとらえ、恐喝、名誉毀損、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等で、五八件九〇人(一七年中は八〇件一三四人)を検挙しました。

大手企業ビルに突入した街頭宣伝車(11月、大阪)
右翼関係事件の検挙状況