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1 比例代表で9議席を獲得

 日本共産党は、平成17年9月11日に施行された第44回衆議院議員総選挙において、小選挙区に275人、比例代表に39人(小選挙区との重複22人)を擁立し、比例代表で9議席を獲得して解散時の議席を維持しました。この結果、12年総選挙以降4回の国政選挙で続いていた議席減に歯止めが掛かりました。
 共産党は、10月10日の第4回中央委員会総会(以下「4中総」という。)で、総選挙結果を「善戦・健闘」とし、今後の「本格的な前進」には、「党の基礎的支持層」を広げることとなる党員・機関紙読者の拡大によって、「党の実力をつける」ことが必要であると総括しました。

2 全小選挙区への候補者擁立を義務付けない方針を採用

 共産党は、この総選挙において、「現在の党の力量」を理由に、「全小選挙区への候補者擁立を目指すが、すべての県に一律には義務付けない」と、全選挙区への候補者擁立というそれまでの基本方針を修正しました。候補者擁立を見送った25の小選挙区では、比例代表に集中した取組みを行うとしましたが、結果は、これらの小選挙区の多くで、得票数、得票率共に前回総選挙を下回りました。
 しかし、4中総では、「小選挙区候補を立てられなくても、戦いようによっては比例での前進が可能であることを示した」と積極的な意義付けをし、さらに11月14、15日の第5回中央委員会総会では、次期総選挙でもこの方針を採用するとしました。


開票速報を見守る志位委員長(9月、東京)(時事)



 共産党は、18年1月11日から14日までの4日間の日程で、第24回党大会を開催しました。同党大会では、12年11月から議長職に就いていた不破哲三氏が、「若い世代の幹部が力を発揮することを妨げる要因になる」などとして、議長を退任しました。しかし、不破氏は、「知力・体力のある限り、党の発展に尽くすことは共産主義者の義務、責任」として同党の指導機関である常任幹部会にはとどまったことから、今後も党運営に影響力を及ぼすものとみられます。不破氏の後任は選出せず、志位和夫委員長、市田忠義書記局長は留任しました。
 また、同党大会で採択された「大会決議」では、前記の4中総での総括を踏まえ、「党の実力をつける」ことを、二大政党対決の構図で行われた過去3回の国政選挙の「最大の教訓」として強調しました。具体的には、党員・機関紙読者の拡大のほか、後継者育成の観点から、青年支部、学生支部、日本民主青年同盟等への援助強化や、「若い機関幹部の計画的・系統的養成」のための「特別党学校」開設に取り組むとしています。
 共産党は、18年には全国規模の選挙の予定がないと見て、同年を「全党が本腰を入れ、力を集中してとりくむ条件のある年」としており、今後、党勢拡大の「本格的な前進」に党を挙げて取り組むものとみられます。


共産党第24回大会(18年1月、静岡)(共同)

 警視庁は、厚生労働省課長補佐が、日本共産党を支持する目的で同党機関紙「しんぶん赤旗」号外を配布するため、17年9月10日、東京都世田谷区所在の警視庁職員住宅敷地内に侵入し、同住宅の郵便受け32か所に前記機関紙を投かんした事案で、同人を住居侵入罪で現行犯逮捕しました。警視庁は、同人の国家公務員法違反(政治的行為の制限)の事実も立件し、東京地方検察庁は、9月29日、同人を国家公務員法違反で起訴しました。
 これに対して、共産党は、9月30日付けの「しんぶん赤旗」に、「集合ポストに政治的訴えのビラを投かんする行為は正当な目的をもった言論活動」、「国家公務員法が政治活動の自由を広範に禁止していることは、憲法に反する」とした同党法規対策部長の談話を掲載しました。

 日本共産党の指導、援助により結成された全労連(全国労働組合総連合)は、200万人を当面の目標に勢力拡大に取り組んでいますが、7月の第37回評議員会において、「この1年間で3万4,338人の組合員を獲得したが、職場の人員削減や定年退職者の増加等が影響し組織人員は、ほぼ現状維持にとどまった(注)」、「この1年間、組織拡大・強化を最大の重点課題に位置付ける」と報告しました。
 18年は、前記方針に基づき、非正規雇用者・未組織労働者の組織化等を中心に引き続き組織拡大に取り組むものとみられます。

 (注)全労連は、16年7月の第21回定期大会で組合員数について132万8,000人と報告。厚生労働省の調査結果(16年6月末現在)では、97万8,000人。

 


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