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 5月、ライス米国務長官は、米国が主導する「PSI(拡散に対する安全保障構想:Proliferation Security Initiative)」発足2周年記念式典で演説し、PSI参加国との連携により、過去9か月間で11件の大量破壊兵器関連物資の輸送を阻止したことを明らかにしました。これに関連し、米国務省は、このうち2件が北朝鮮関連物資であったと発表しました。
 また、8月、ムシャラフ・パキスタン大統領は、「核の闇市場」を構築したとされる同国の科学者カーン氏が、1990年(平成2年)代初めから北朝鮮に核兵器の製造に転用可能な遠心分離機本体や関連部品、設計図を送っていたことを明らかにしました。
 こうした中、不拡散に関する国際的取組みが強化されています。16年6月に米国で開催されたシーアイランド・サミットでは、「不拡散に関するG8行動計画」が採択され、国際的に進められている不拡散に関する各種の取組みを強化し、拡大していくことが合意されました。これを受け、17年7月に英国で開催されたグレンイーグルズ・サミットでは、「不拡散に関するグレンイーグルズ声明」が発出され、不拡散体制の普遍化及び強化が確認されたほか、北朝鮮及びイランによる拡散の問題への取組みを強化していくことなどが合意されました。
 警察は、大量破壊兵器の拡散が国際安全保障上の懸念となっている状況を踏まえ、大量破壊兵器関連物資等の不正輸出事案に対して所要の対策を講じています。14年4月にいわゆるキャッチオール規制が導入されて以降、同規制に係る違反を2件検挙しました(15年11月「直流安定化電源不正輸出事件」(警視庁)、16年1月「周波数変換器不正輸出事件」(神奈川))。引き続き、国内関係機関等との連携を強化するとともに、外国治安情報機関とのハイレベルかつ緊密な関係を構築し、これらの機関との活発な情報交換を通じて、大量破壊兵器関連物資等の不正輸出の取締りを一層強化していくこととしています。


英国・グレンイーグルズ・サミット(7月)(共同)

北朝鮮への核技術移転を報道する各紙(8月25日、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞)

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