4 第3回日朝実務者協議後の日朝の動向 平成16年11月9日から14日にかけて、平壌(ピョンヤン)で第3回日朝実務者協議が開催され、この日本政府代表団に警察庁の職員が新たに参加しました。北朝鮮は、従前と同様、当時拉致被害者と認定していた15人から帰国済みの5人を除いた10人のうち、8人は死亡し、2人は入境の確認が取れないと説明しました。しかし、北朝鮮が説明する「死亡」に至るまでの経緯が不自然で、事実であるか疑わしい点や事実が不明である点が多くありました。 |
1 北朝鮮の対日諸工作 北朝鮮は、17年中も、「拉致は解決済み」、「日本は過去の清算をすべき」との従来の主張を繰り返しました。また、我が国において経済制裁の実施を求める声が出ていることに対しては、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」等を通じ、「朝日の敵対関係は度を越して限界点に至り、交戦直前の危険千万な事態へと肉薄している」、「我が軍隊と人民は、日本の反共和国制裁発動に自衛的報復措置をもって強硬に対応するであろう」との論評を掲載するなどして、こうした動きを強くけん制、警告しました。 2 朝鮮総聯(そうれん)を介した対日諸工作 北朝鮮は、朝鮮総聯を介した間接的な諸工作を展開しており、日本国内における北朝鮮に有利な世論の醸成、北朝鮮の主張に同調する日本人の結集(組織化)等を図っています。 3 万景峰(マンギョンボン)92号の入港をめぐる動向等 北朝鮮と日本を結ぶ北朝鮮船籍の貨客船万景峰92号は、在日朝鮮人が訪朝する際の足として利用される一方で、これまでに、不正送金や不正輸出、工作員の送り込み等、在日朝鮮人社会と北朝鮮を結ぶ裏の役割も担っているのではないかとの指摘がなされており、実際に、同船をめぐっては、過去幾つかの事件が摘発されています。 4 対日諸工作の今後の見通し 北朝鮮は、今後とも、ことあるごとに対日非難を継続するとともに、「過去の清算」を最優先させた国交正常化や朝鮮総聯の活動に対する理解者の獲得等を企図して、直接又は朝鮮総聯を介した諸工作を活発に展開するものとみられます。 |
![]() 朝鮮総聯が開催した「総聯結成50周年記念中央大会」(5月、東京)(共同) |
![]() 警視庁による薬事法違反事件に伴う捜索に対して抗議する 在日本朝鮮人科学技術協会の関係者(10月、東京)(時事) |
![]() 万景峰92号 |