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6 特殊部隊等の充実強化

 警察では、ハイジャック、重要施設占拠事案等の重大テロ事件、組織的な犯行や強力な武器が使用される事件等を鎮圧するための特殊部隊(SAT)を8都道府県警察(北海道、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄)に設置しています(沖縄県警察は17年9月に新設)。SATは、ライフル銃、自動小銃、特殊閃光(せんこう)弾、作戦用ヘリコプター等を配備し、実戦的な訓練を重ね、部隊活動能力の充実強化に努めています。
 また、全国の機動隊には銃器対策部隊が設置されており、重要施設の警戒警備を行っているほか、銃器等を使用した事案が発生した場合にはその対処に当たることとしています。銃器対策部隊には、サブマシンガン、ライフル銃、防弾衣、防弾盾(たて)、耐爆・耐弾仕様の特型警備車等が配備されています。

7 スカイ・マーシャルの実施

 警察では、16年12月の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」の決定等を踏まえ、ハイジャック対策を強化するため、スカイ・マーシャルの運用を開始しました。国土交通省等の関係省庁や航空業界と緊密に連携して、その的確な運用を図っています。

8 国民保護法に基づく措置

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)に基づき、17年10月、「国家公安委員会・警察庁国民保護計画」を作成しました。同計画により、警察は、武力攻撃事態等や緊急対処事態において、関係機関と連携しつつ、都道府県の区域を越える避難誘導、NBC攻撃災害への対処、テロの予防・鎮圧のための措置等を行うこととされています。
  警察は、内閣官房等が主催する国民保護訓練(10月の4県における図上訓練及び11月の福井県における実動訓練)に積極的に参加し、関係機関との連携強化を図るなど、事態発生時に迅速・的確に対処するための態勢の整備に努めています。

9 サイバーテロ対策

 情報システムや情報通信ネットワークが国民生活や社会経済活動に深く浸透している状況の下、16年8月や17年2月から4月にかけて、中央省庁等のウェブサーバに対して大規模なサイバー攻撃が敢行されるなどの事案が発生しました。これらのサイバー攻撃が重要インフラ事業者等の基幹システムに対して行われれば、その被害は甚大なものとなり、国民生活や社会経済活動に多大な影響を与えます。
 このため、警察庁に「サイバーテロ対策推進室」や「サイバーフォース」(注)を、各都道府県警察に「サイバーテロ対策プロジェクト」を設置するなどして、サイバーテロの未然防止に努めるとともに、事案が発生した場合には、被害拡大防止及び事件検挙に当たることとしています。

(注)サイバーフォースは、特に高度な技術を備えた職員で構成されており、24時間体制で、サイバーテロの予兆の把握や事案の早期認知に努めています。

10 国際協力の推進に向けた取組み

 国際テロ対策は、国際社会が直面する重要かつ喫緊の課題であり、主要国首脳会議を始め、様々な枠組みの中で活発な議論がなされています。
 警察庁も、こうした国際会議に職員を積極的に参加させ、各国が協力して取り組むべき対策について検討を行っています。17年6月に開催された「G8司法・内務閣僚級会合」には、警察庁次長が出席するなど、テロ対策や国際組織犯罪対策についての日本の取組状況を報告するとともに、共同声明や行動計画の起草に参画しています。
 また、警察庁は、テロ事件の捜査技術を提供するため、7年度以降、国際協力事業団(現・国際協力機構(JICA))との共催で、開発途上国のテロ対策実務担当者を招致し、「国際テロ事件捜査セミナー」を開催しています。さらに、テロ対策に関する地域協力を推進するため、8年度以降、外務省との共催で、東南アジア諸国等のテロ対策担当者を招致し、「地域テロ対策協議」を開催しています。
 このほか、我が国は、テロ資金の根絶のため、国連安保理決議で求められているテロリスト等の資産凍結措置を実施しています。警察庁は、機動的な資産凍結等を実施するために設置された「テロリスト等に対する資産凍結等に係る関係省庁連絡会議」に参加するなどして、テロ資金対策に積極的に参画しています。

特殊部隊(SAT)
特殊部隊(SAT)

国民保護実動訓練(福井)
国民保護実動訓練(福井)
サイバーフォース
サイバーフォース

 


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