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厳しい情勢の中での警衛・警護警備


1 小泉首相の北朝鮮訪問に伴う警護警備


  小泉首相は、平成16年5月22日、14年9月以来、1年8か月振りに日朝首脳会談のため北朝鮮を訪問しました。現地での支援体制も不明確であったことから、警察庁では、長官官房審議官を長とする先遣警護隊を派遣して北朝鮮側警護当局との調整を行うなど、警護体制を強化して、警護警備の万全を期しました。

日朝首脳会談のため平壌の順安空港に到着した小泉首相(5月)(読売)
日朝首脳会談のため平壌の順安空港に
到着した小泉首相(5月)(読売)

2 第20回参議院議員通常選挙に伴う警護警備


 第20回参議院議員通常選挙は、16年6月24日公示、7月11日投開票の日程で施行され、多数の国内要人が全国的に遊説活動を行いました。
 特に、小泉首相は、選挙運動期間中、延べ35都道府県で応援演説を行い、演説会場には連日多数の聴衆が集まりました。
 警察は、右翼のテロ等違法事案が懸念される厳しい警護情勢の下、雑踏警備対策にも配意した的確な警護警備諸対策を推進し、要人の身辺の安全を確保しました。

3 盧武鉉大韓民国大統領来日に伴う警護警備


 盧武鉉大韓民国大統領は、夫人及び随員を伴い16年12月17日来日し、鹿児島県指宿市における日韓首脳会談等の日程を滞りなく終え、同月18日離日しました。
 同大統領の来日に際して、過激派等は、鹿児島市内で「日韓首脳会談粉砕」等を訴え、ビラ配布等の街頭宣伝活動に取り組みました。一方、右翼は、来日期間中、延べ約60団体、約220人、街頭宣伝車約80台が、指宿市内及び鹿児島市内において街頭宣伝活動等に取り組みました。
 本警備に伴い、警察庁では、警察庁緊急テロ対策本部の下に警備対策室を設置し、鹿児島県警察においては特別派遣部隊約3,300人を含む最大時約4,700人体制で警護警備を実施しました。

日韓首脳会談後の共同記者会見に臨む両首脳(12月、鹿児島)(共同)
日韓首脳会談後の共同記者会見に臨む両首脳(12月、鹿児島)(共同)

4 情勢に応じた的確な警衛・警護の実施


1 警衛

  天皇皇后両陛下は、第55回全国植樹祭(4月、宮崎県)、第24回全国豊かな海づくり大会(10月、香川県)、第59回国民体育大会秋季大会(10月、埼玉県)への御臨席を始め、国立劇場おきなわ開場記念公演御臨席(1月、沖縄県)、地方事情御視察(7月、岐阜県)、第16回国際解剖学会議開会式御臨席(8月、京都府)、新潟県中越地震被災地お見舞い(11月、新潟県)、デンマーク国女王陛下及び同王配殿下御案内(11月、群馬県)等のため、行幸啓になりました。
 皇太子殿下は、第59回国民体育大会冬季大会(1月、青森県)を始め、各種の行事・式典への御臨席のため行啓になりました。
 海外へは、皇太子殿下がデンマーク国皇太子殿下の結婚式御出席等のため、デンマーク国、スペイン国及びポルトガル国を御訪問(5月)になったのを始め、各皇族方が計10回御訪問になりました。
 また、高松宮妃殿下の薨去(12月)に伴い、天皇皇后両陛下が御弔問になったのを始め、各皇族方が御参列の中、諸儀式が執り行われました。
 これに対し、過激派等は、御臨席される行事・式典に反対する集会、デモやビラ配布に取り組みました。
 このような情勢の中で、警察は、皇室と国民との間の親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図りました。

天皇皇后両陛下のデンマーク国女王陛下及び同王配殿下御案内に伴う警衛警備(11月・群馬)
天皇皇后両陛下のデンマーク国女王陛下及び同王配殿下御案内に伴う警衛警備(11月・群馬)

2 警護

 小泉首相は、依然として厳しい警護情勢の中、米国(6月)、韓国(7月)、ブラジル・メキシコ(9月)を相次いで訪問し、首脳会談を行ったほか、米国での国連総会(9月)、ベトナムでのASEM首脳会合(10月)、APEC首脳会議出席に伴うチリ訪問(11月)、ASEAN+3首脳会議出席に伴うラオス訪問(11月)等を行いました。
 また、年間を通じ、警護警備を要する外国要人多数が来日しました。
 警察は、こうした厳しい情勢の中、爆発物、銃器等を使用したテロに加えて生物化学テロに対する対応を念頭に置いた警護警備諸対策を徹底し、国内外要人の身辺の安全を確保しました。


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