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各地で頻発した自然災害と災害警備活動



  平成16年中は、梅雨前線の停滞等に伴う豪雨、過去最多の上陸数を記録した台風、震度7を記録するとともに震度5弱以上の余震も続発した新潟県中越地震等、度重なる自然災害に見舞われ、年間で死者246人、行方不明者11人、負傷者7,539人、住家全半壊3万666戸、床上浸水4万2,897戸、床下浸水12万4,816戸等の被害が発生しました。

1 平成16年新潟県中越地震


  10月23日午後5時56分ころ、新潟県中越を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生し、同県川口町で震度7、小千谷市・小国町で震度6強を記録しました。その後も余震が続き、本震を含め12月末までに震度5弱以上の地震が19回発生しました。
 この地震により、新潟県を中心に死者40人、負傷者4,567人、住家全壊2,873戸、半壊1万1,544戸、一部損壊9万8,483戸等の被害が発生しました。
 警察庁では、発災直後に設置した災害警備本部を、24日に、政府が災害対策基本法に基づく非常災害対策本部を設置したことに伴い、非常災害警備本部に昇格させて、所要の体制を確立しました。また、新潟県警察では、特別派遣された33都府県警察の広域緊急援助隊等(延べ1万3,897人)を始め、避難住民支援要員(延べ3,550人)、パトロール支援要員(延べ3,682人)、災害救助犬要員(延べ39人、災害救助犬延べ26頭)、ヘリコプター(延べ135機)等を受け入れて、警察本部長以下約2,900人体制(特別派遣部隊を除く)の災害警備本部を設置し、各種災害警備活動を行いました。
 発災当初は、迅速・的確に被害情報の収集を行うとともに、被災者の救出救助、地域住民の避難誘導、行方不明者の捜索等を行い、被害の拡大の防止に努めました。また、長引く避難生活を過ごす被災者のために、

 新潟県警察及び特別派遣された女性警察官等により避難住民支援隊「ゆきつばき隊」を編成し、避難住民の苦情、相談、要望等の聴取や震災に乗じた犯罪に係る防犯指導と広報をすることとしました。
   
 「毘沙門隊」と命名されたパトロール隊を編成し、被災地域におけるパトカーによる警戒警ら活動を実施しました。

 なお、警察庁では、新潟県中越地震災害対応の教訓等を踏まえて、広域緊急援助隊の運用等の改善を図っています。

新潟県警ヘリコプターから降下したレンジャー隊員が行方不明者の車両を発見(10月、新潟)(新潟日報社)
新潟県警ヘリコプターから降下したレンジャー隊員が行方不明者の車両を発見
(10月、新潟)(新潟日報社)

2 風水害


1 7月新潟・福島豪雨

  7月12日夜から13日にかけて、日本海から東北南部に停滞する梅雨前線の活動が活発化し、13日朝から昼過ぎにかけて、新潟県の長岡地域、三条地域を中心に豪雨となり、新潟県で死者15人、負傷者3人、福島県で行方不明者1人、負傷者1人等の被害が発生しました。
 新潟県警察では、7月14日から16日までの間、特別派遣された群馬・埼玉・長野の各県警察広域緊急援助隊(延べ204人)を、さらに16日から20日までの間、特別派遣された茨城・栃木・神奈川・山梨の各県警察広域緊急援助隊(延べ525人)を受け入れて災害警備活動を行いました。

2 七月福井豪雨

 活発な梅雨前線が北陸地方からゆっくり南下したことに伴い、7月17日夜から18日にかけて、北陸地方と岐阜地方で豪雨となり、福井県で死者4人、行方不明者1人、負傷者4人等の被害が発生しました。
 福井県警察では、7月18日から20日までの間、特別派遣された富山・石川・岐阜・愛知の各県警察広域緊急援助隊(延べ525人)を受け入れて災害警備活動を行いました。

愛知県警察広域緊急援助隊の活動
愛知県警察広域緊急援助隊の活動

3 台風による被害

 16年中は、29個の台風が発生、うち10個が本邦に上陸(昭和26年に気象庁が統計を開始して以来の最多記録)し、全国で死者175人、行方不明者10人、負傷者2,690人等の被害が発生しました。
 関係都道府県警察では、それぞれの台風の上陸等に伴い、災害警備本部等を設置して、被災者の救出救助、行方不明者の捜索等の災害警備活動を実施しました。
 特に、全国で死者・行方不明者98人等の大きな被害に見舞われた台風第23号では、政府が非常災害対策本部を設置したことに伴い、警察庁においても既設の災害警備連絡室を非常災害警備本部に昇格させ、指導、調整体制を強化しました。


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