●各界各層における組織拡大工作

 革マル派は、中核派、革労協狭間派がテロ、ゲリラ等の直接行動を重視するのに対し、組織建設、理論学習に重点を置き、組織の維持、拡大に向けた様々な活動を行っています。
 特に、同派は、党派性を隠して基幹産業の労働組合やマスコミ等に潜入工作を推し進めていると言われ、各界各層での影響力拡大を図っているものと思われます。直接行動を否定するかのように装い、党派性を隠した活動は、組織拡大のための革命戦術と言えます。
 このため同派は、革マル派の実態について評論や批判を行おうとする個人、団体に対しては組織を挙げた反論キャンペーンを張るなど言論の封じ込めを図る活動を展開しています。
 平成8年には、JR内の革マル派の動向を取り上げた著書「JRの妖怪」の著者小林峻一氏宅から取材メモやフロッピー等が盗まれるという事件が発生しました。その後、同氏の取材に応じた関係者に対する嫌がらせとも思われる不可解な事案(「天国と地獄社」名の「『JRの妖怪』を十倍楽しく読む法」と題する本を紹介するビラが関係者宅に送付された事案)も発生しましたが、警察では、「JRの妖怪」著者宅における窃盗事件の容疑で同派非公然アジト「大和アジト」(神奈川)を捜索しました。
 また、革マル派は、7年12月に東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)と対立関係にあった労組幹部宅に対する電話盗聴事件、8年8月に国労本部書記長(当時の企画部長)宅に対する侵入事件等を引き起こしています。
 国労本部書記長宅侵入事件は、当時革マル派が、機関紙「解放」において「JR採用差別問題」等をめぐって国労を批判する記事を掲載していた最中に発生しました。
 警察では、労組幹部宅電話盗聴事件で同派活動家1人を検挙したほか、国労本部書記長宅侵入事件では、10年10月、同派活動家1人を指名手配しました。

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<新聞記事>
左から
平成8年11月26日付 産経新聞、読売新聞、毎日新聞
平成10年10月13日付 産経新聞、朝日新聞

    




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