防犯性能の高い建物部品の開発・普及の今後の在り方(中間取りまとめ)
 
平 成 15 年 3月 26日
官民合同会議検討結果報告
 
1 趣旨
最近の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が7年連続して戦後最多を更新しており、特に、住宅等の建物に侵入して行われる犯罪が急増している。また、犯行の態様も組織的に短時間で敢行するものが多く見られるようになり、侵入強盗に伴う身体犯も多くなっている。
 このような情勢から、これまでにも増して、錠の改善等設備面での防犯対策の必要性が高まっている。とりわけ、最近、サムターン回しを始めとする錠以外の部分の弱点を衝いた侵入手口が増加しており、従来のように、警察と錠製造業者等が連携して錠の構造の在り方を検討することのみでは十分な対応ができない事態となっている。ピッキングによる侵入は、平成13年に減少を見たものの依然として多発しており、他の侵入手口による犯罪は増加の一途にある。バールを用いた戸・窓のこじ開け、ドライバーを用いた窓ガラスのこじ破りその他の手口の対策を総合的に検討していく必要が高まっている。
 本会議は、そのような情勢認識に基づき、関係省庁及び関係民間団体が建物部品に関し防犯上配慮すべき事項並びに当該事項を踏まえた防犯性能の高い建物部品の開発及び普及の方策を検討することを目的として、平成14年11月25日に設置され、以降継続して検討を進めている。この中間取りまとめは、4回の全体の会議と延べ18回の委員会における議論の結果を、平成14年度の成果として取りまとめて公表し、国民の要望、識者の意見等を見極めつつ、今後の検討に反映させようとするものである。
 
2 建物部品の防犯性能の在り方
 建物部品の防犯性能の定義は、今後の建物防犯対策を検討していく上でその基礎となるものである。建物部品の防犯性能とは、工具類等の侵入器具を用いた侵入行為に対して建物部品の物理的抵抗力によって、侵入の認知、警察への通報等といった事案対処に必要な時間を確保することや犯人に犯行をあきらめさせる現実の効果として観念されることが適当である。
 すなわち、建物への侵入行為の実態、とりわけ侵入手口に係るもの、侵入器具、侵入行為に際して発生する音の大きさなどを踏まえて防犯性能試験の方法を定め、それに対する抵抗時間を計測する手法によって、建物部品の防犯性能評価の方法の一元化を図り、もって、防犯性能の高い建物部品の開発・普及に資するものとすることが適当である。
 今回の検討においては、侵入手口の実態やこれまでに実施されてきた建物部品の破壊実験の状況等を踏まえて、試験員、試験工具、試験体及び試験行為の基準の在り方について議論を行った。
 
3 防犯性能の高い建物部品の開発・普及の在り方
 防犯性能の高い建物部品の開発は、建物部品の製造業者において鋭意推進されている。今後、建物部品の防犯性能試験が実施されることとなると、共通の尺度によって防犯性能の評価がなされることとなり、一層の開発促進効果が見込まれるところである。
 しかしながら、今回の検討においては、建物部品の製造業者における特定の侵入手口の不知等必ずしも侵入手口の実態が建物部品の開発担当者において了知されていないことが明らかとなった。今国会に提出された特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律案第6条第2項においては、このような実態を踏まえて、「国家公安委員会は、建物錠等の製造又は輸入を業とする者から、その製造し、又は輸入する建物錠等の防犯性能を向上させるため、援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、その者に対し、当該建物錠等に係る特定侵入行為の手口に関する情報の提供、助言、指導その他の必要な援助を行うものとする。」と規定しているが、本会議としても、この枠組みを活用して、侵入手口の実態を踏まえた建物部品が開発されていくことを強く望むものである。
 防犯性能の高い建物部品の開発・普及を促進するためには、建物防犯に関する社会認識の向上を図る必要がある。本会議としては、建物部品が備えるべき防犯上の特性について、建物部品の製造業者や国民の理解に資するため、「建物部品に関し防犯上配慮すべき事項」PDFファイルを取りまとめることとした。これによって、建物部品の製造者は侵入手口の実態を踏まえて建物部品の開発を行うことが可能となり、また、国民は現在用いている建物部品における防犯上の配慮の有無を確認したり、今後の建物部品の選択に当たって判断の材料とすることが可能になるものと見込まれる。
 また、建物部品の防犯性能として具体的にどの程度の抵抗時間を有していればよいのかという判断基準については、一概に定めることはできないが、防犯性能の高い建物部品の開発・普及を推進していく当面の目標の数値として、防犯性能試験において5分を超えることと定めることとした。
 なお、防犯性能の高い建物部品の普及を促進するためには、5分を超える防犯性能を有する建物部品の型式の目録を作成し公表することがより適切であると考えられることから、今後平成15年度中を目途に、防犯性能の高い建物部品の型式の目録を作成することとする。
 
4 官民合同会議における申合せPDFファイル
 以上を踏まえて、今後、官民で防犯性能の高い建物部品の開発・普及を推進するに当たっての確認事項として、別紙1PDFファイルのとおり申し合わせることとした。
 なお、3において述べたとおり、別紙1PDFファイルで定める申合せについては、当分の間の緊急的な対処措置として本会議が目標として定めたものであり、今後における侵入犯罪の実態や建物部品の開発の進展に伴い、見直すべき性格のものであることを申し添える。
 
5 今後の検討日程PDFファイル
 今後は、別紙2PDFファイルのとおり、防犯性能試験の実施に当たり、試験員、必要な試験体の設計図の試験員に対する事前送付、試験員の休憩時間等の試験手順に関する細目的事項の検討を行い、本年10月を目途に防犯性能試験の仮実施の準備を進めるとともに、防犯性能の高い建物部品目録の作成その他の防犯性能の高い建物部品の普及方策について、更に幅広く検討を行うこととする。