運転者管理等のシステムの業務・システムの見直し方針

2005年(平成17年)6月30日

警察庁

「電子政府構築計画」(2003年(平成15年)7月17日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定。2004年(平成16年)6月14日一部改定)に基づき、次のとおり、運転者管理等のシステムの業務・システムの見直し方針を定める。

警察庁は、本見直し方針に沿って、運転者管理等のシステムの業務・システムについて、必要な見直しを行い、最適化に取り組むこととする。

第1 対象範囲

本方針が対象とする運転者管理等のシステムの業務・システムは、運転免許証に関する情報等の各種情報の登録、照会等に係る業務及び交通事故統計等の各種統計作成に係る業務等の業務並びにこれらの業務を処理する運転者管理等のシステムとする。

第2 最適化の基本理念

運転者管理等のシステムは、都道府県警察が法令に基づき実施する警察行政事務のうち全国的に管理する必要がある情報及び全国的な捜査関連情報について、警察庁において一元的に収集・管理することにより、都道府県警察の事務の効率化を図るとともに、警察庁における施策の企画・立案に資することを目的としたものである。当該システム上では、都道府県警察の警察活動と密接な関係を持つ各種業務を実施していることから、高度な機密性、完全性及び可用性が求められる。

運転者管理等のシステムの業務・システムの最適化に当たっては、各種法令及び都道府県警察のニーズに的確に対応しつつ、(1)システムの安全性・信頼性の向上、(2)都道府県警察の情報システムとの整合性の確保、(3)システムの整備・運用に必要な各種資源の効率的・効果的な投資、(4)業務の合理化・効率化を基本理念とする。

第3 現状及び課題等

1 システムの現状及び課題等

(1) システムの現状

運転者管理等のシステムは、警察庁情報処理センターに設置された大型汎用電子計算機を中心として、全国47都道府県警察に設置された複合端末装置により構成されているとともに、都道府県警察が設置した電子計算機と相互接続することにより、都道府県警察の事務の効率化・合理化が図られている。また、国民に対して、迅速にサービスを提供する必要があることから、独自仕様のデータベース管理ソフトウェアを使用し、処理の高速化を図っている。

なお、運転者管理等のシステムは、平成17年1月にシステム更改を実施している。

 (2) システムの課題等

ア 旧式(レガシー)システム

運転者管理等のシステムは、いわゆる旧式(レガシー)システムであることから、当該システムについて刷新可能性調査を行ったところ、ハードウェアについては、オープンシステム化することにより経費を削減できる可能性があるとの結論を得ている。しかし、関係法令の改正や都道府県警察の要望等への迅速な対応、取り扱う情報の高度な機密性等の理由により、警察庁職員がソフトウェア開発及びシステム運用を行っていることから、オープンシステム化に当たっては、オープンシステムにおけるソフトウェア開発体制の確立、システム運用に携わる職員の教育訓練、システムの移行方法の検討等の課題を解決する必要がある。

イ バックアップシステム

運転者管理等のシステムでは、運転免許のように国民に密接に関連する情報や犯罪捜査に係る情報を取り扱っていることから、高度な完全性及び可用性が求められる。しかし、当該システムは、バックアップシステムを有しておらず、当該システムに被害等が発生した場合、国民生活及び警察活動に重大な影響を与えるおそれがあることから、バックアップシステムの整備が喫緊の課題となっている。

ウ 外字

氏名、住所等に用いられる漢字等のデータのうち外字については、都道府県警察が独自に作成、管理していることから、都道府県警察間で互換性がない状況になっている。

エ ネットワーク

警察庁と全国47都道府県警察とを接続するネットワークが需要に見合っていないことから、大量のデータや画像情報を扱う業務にあっては、十分な処理速度が確保されにくく、また、他の業務に対しても影響を与えかねない状況になっている。

2 業務の現状及び課題等

(1) 業務の現状

都道府県警察が法令に基づき実施する警察行政事務のうち全国的に管理する必要がある情報及び全国的な捜査関連情報について、警察庁において一元的に収集・管理することにより、都道府県警察の事務の効率化を図るとともに、警察庁における施策の企画・立案に資するため、各部門で目的に応じて多種多様な業務が実施されている。

なお、当該システムでは、給与計算業務も実施しているが、当該業務については、府省共通業務・システムとして構築される人事・給与関係業務情報システムに移行する予定である。

(2) 業務の課題等

ア 業務間の連携

関連する業務間の連携が図られていないものがあり、一度入力した情報と同じ情報が他の業務で入力されている場合や情報照会時に関連情報を入手したい場合、各業務個別に照会する必要があるなどの課題がある。

イ 用語・コード等

各業務で使用する用語、コード等の一部に統一化されていないものがあり、情報共有を阻害する一因となっている。

第4 見直し方針

1 システムの見直し方針

(1) オープンシステム化

現有資産等について整理、見直しを行い、当該システムのオープン化に向けた検討を行う。

なお、当該システムは、全国47都道府県警察が設置した電子計算機と相互接続することにより、都道府県警察の事務の効率化・合理化が図られていることから、継続的に都道府県警察との連携を確保するなど、システムの安全性や可用性を十分に確保する。

(2) 調達方法の見直し

システム構築に当たっては、できる限り競争入札を活用することにより、経費削減を図る。また、汎用パッケージソフトウェアの利用及びハードウェアとソフトウェアのアンバンドル化(分離調達)を検討する。

(3) バックアップシステムの検討

完全性及び可用性の高度化を図るため、バックアップシステムの整備について検討する。

なお、バックアップシステムの整備の検討に当たっては、経費について十分に留意するとともに、大規模災害等を考慮し、システムの地理的なリスクの分散を図ることを前提に検討を行う。

(4) 開発・保守運用体制の確保

オープンシステムにおけるソフトウェアの開発・保守運用に従事する技術者を育成し、開発標準の確立、保守運用体制等の確保を図る。

(5) ネットワークの広帯域化

業務処理の迅速化及び新たなサービスの導入を図るため、警察庁と全国47都道府県警察を接続するネットワークの広帯域化を検討する。

2 業務の見直し方針

(1) 業務処理の見直し

業務処理の妥当性を検証し、業務全体として無駄のない効率的な処理方法に見直す。

(2) 利便性の向上

関連する業務及びシステム間の連携を密にし、入力方式の改善、横断的な情報の検索・照会機能を追加するなどして、情報入力・照会の高度化を図り、業務処理時間の短縮を図る。

(3) 用語・コード等の統一化

関連する業務間で使用する用語、コード等を統一化し、情報の共有化を図る。

(4) 外字の統一化

経済産業省が整備を進めている文字情報データベースの導入を検討し、外字の統一化を図る。

3 情報セキュリティ対策

警察が保有する情報が漏えいし、あるいは破壊された場合には、捜査活動だけでなく社会に与える影響が大きいことから、不正アクセス等を未然に防止するため、「警察情報セキュリティに関する訓令」(平成15年3月31日付け警察庁訓令第3号)に基づき適切な対策を講じる。

4 その他

上記の外、「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」の別添3「業務・システムの最適化に係る共通見直し指針」を踏まえ、見直しを行う。

第5 最適化計画の策定

本見直し方針(及び他に警察庁で定めている方針等)を踏まえ、「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」に沿って、警察庁は、2006年(平成18年)3月までに運転者管理等のシステムの業務・システムの最適化計画を策定する。