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「人の密輸」と闘うための原則と行動計画 (仮訳) |
(訳注:以下thesmugglingofandtraffickinginhumanbeings
をまとめて「」付きで「人の密輸」と訳出した。)
バーミンガム・サミット(1998年5月)のコミュニケにより、
・ あらゆる形態の人の密輸にと闘うため、G8間並びに送り出し国、経由国及び目的国を含む第三国と共に、将来の協力のための原則及び行動計画を含む多面的かつ包括的な戦略を策定すること
・ 将来の包括的な国連組織犯罪対策条約をこのための重要な手段と認識すること
が、G8各国に委ねられた。
原則と行動計画を策定するに際して、組織的な人の国際的不法移送(smugglingofhumanbeings)とは、経由国及び目的国の法令に違反し、又は濫用することにより、意図的に国境を越えて人を移動させ、又は運搬する行為にあたるものであると、リヨン・グループは認識する。人の密輸(traffickinginhumanbeings)は人の国際的不法移送(smuggling)の一形態であり、表見的には合法的入国であっても、被密輸者が目的国到着後、搾取を目的として密輸組織又は他の組織の支配下におかれる場合がこれに含まれる。
リヨン・グループは、「人の密輸」の防止及び取締のため、自国内、多国間及び国際間の原則、協定、戦略及び行動を開発、制定及び促進するため、取組を強化する。
本原則は、G8による将来に向けた努力及び共同アプローチの基礎を形成するものである。これは、「人の密輸」が人権の蹂躙を含む重大な犯罪にあたり、その防止、取締及び抑制は、送り出し国、経由国及び目的国を含むあらゆる国の利益に資するものであるとの認識に基づいている。
全ての国が取り入れるべき原則は以下のとおりである。
1.「人の密輸」を組織し、援助し、教唆し、利益を得、又は参加する者にとっての聖域は存在してはならない。
2.「人の密輸」組織による不法移民やこれに関連した行為を抑止する基本的な手段は、送り出し国において不法な移民や難民が生まれる根本的な要因を低減させることである。
3.あらゆる形態の「人の密輸」との闘いを行う際、各国は1951年の難民条約に従い難民の保護を継続し、人権を尊重し、国境を越える合法的な人の移動を維持しなければならない。
4.各国は「人の密輸」を犯罪化するための立法を行うべきである。また、可能な範囲内でsmugglersとtraffickersに対する刑罰に調和を持たせるべきである。これらの刑罰には、犯罪行為の重大性やこれを取り巻く状況を反映させるべきである。
5.各国は、「人の密輸」に関する行為を防止し、発見し、取り締まることを目的とした現行国内法その他の手段を改善し、最大限活用すべきである。また、可能な場合には、各国はこれらの法その他の手段について、共通の標準を採用すべきである。
6.密輸者の捜査及び訴追を行う際は、各国間及び国内での協力を調整しつつ行わなければならない。この目的のため、各国は「人の密輸」行為を壊滅し、鎮圧し、撲滅すること、及びこれらに従事する者を訴追するために伝達方法や、情報の共有及び協力関係の改善を行うべきである。
7.目的国に所在する者が「人の密輸」を通じて入国したと判明し、目的国が同人の送還に際し、同人の国籍を有する国に協力を求めた場合、国籍国は当該人物の送還に便宜をはかるべきである。
8.「人の密輸」行為は、被密輸者の生命や安全を危険にさらす可能性がある。各国は、適当な場合には、これらの者に対し適切な援助を確保し、安全に帰還させなければならない。
行動計画
以上の原則を支持して、我々は組織的な人の密輸と闘うため、G8諸国及びその他の諸国との協力を容易にするための法執行手段の確立と、その調和に着手するよう当局者に指示するものである。
1.国際的な法、手段、手続
G8各国は以下のことをすべきである。即ち、
a)国連国際組織犯罪対策条約及びその議定書の策定に寄与し、その採択に向けて努力する。
b)各国は、独自に又は国際場裡において、「人の密輸」に対する国内法その他の手段の強化に資する規範及び基準を策定し、「人の密輸」を取り締まる法及び手段について共通の基準を採用し、捜査、訴追及び対象とする密輸組織の標的設定に際して協力するための実際的な手段を強化するよう努力するべきである。
c)「人の密輸」が腐敗によって容易になるものであることを認識し、あらゆる形態の腐敗と闘い、抑圧するための法的手段の国際場裡での開発を支持する。
d)相互の法的な共助協定を協議する際、組織的な「人の密輸」を取り締まるための協力を含めるように努める。
e)二国間及び多国間の経済援助を協議する際、適当な場合には、不法移民を生み出す根本原因に注意を向け、減少させる必要性があることを考慮する。
f)資産没収に関する協定を協議する際、「人の密輸」の有罪判決に基づく資産の没収を含めるよう努力する。
g)G8各国における中央当局又はコンタクト・ポイントを確立又は特定することにより、人の密輸者、密輸組織、その動向及び手口についての情報収集及び分析を含むG8間の情報交換を容易にする。
h)他の国際場裡において、送り出し国及び経由国を含むあらゆる国の間 で、情報の収集及び分析を含む「人の密輸」と闘うための協力を容易にする活動を奨励し、援助する。
i) 適当な場合には、送り出し国及び経由国を含むその他の国々と「人の密輸」と闘うための情報の交換、収集及び分析を容易にするための協定について協議する。
j)適当な場合には、「人の密輸」において運輸業者の利用を抑制し、減少させるための規範や基準、法的手段ないしその他の手段を採用する。
k)送り出し国及び経由国との間も含め、被密輸者の送還を容易にするための枠組みを確立する協力を強化する。
l)他国が「人の密輸」と闘うことを援助するため、技術及び訓練に係る支援プログラムの提供について検討する。
m)偽造が困難な文書の作成に係る科学的・技術的な開発について、G8間の情報交換のためのメカニズムを改善し、送り出し国及び経由国を含むその他の国々との右開発に関する協定交渉を促進する。
n)密輸者によって利用される偽造、紛失若しくは窃取された文書、又は悪用される真正の旅行文書若しくは身分証明書について、情報を収集し、交換する。
o)「人の密輸」に巻き込まれた際の危険性を潜在的移民に知らせるため、「人の密輸」のネガティブな結果につき認識を促す。
p)とりわけ、女性と子供に関する「人の密輸」を防止する目的で、密輸された人に対して必然的に伴う危険性、密輸者によって行われる偽もう手段及び合法的な移民の方法を知らしめることにより、「人の密輸」を防止しようとする送り出し国に対して、情報提供と国民への啓発キャンペーンの実施を奨励し、援助する。
2.国内的な法、手段、手続
各国は以下のことをすべきである。
a)「人の密輸」に関与し、援助し、又は教唆する行為を犯罪行為とする。また、密輸者、仲介者及び「人の密輸」並びに組織的な「人の密輸」により利益を得る者に対する刑罰を設定し、維持し、又は強化する。
b)密輸行為に関連する犯罪により有罪判決を受けた場合に科される刑罰の 程度は、犯罪の重大性、密輸した人数、密輸行為による利益、被密輸者の 生命、健康及び安全に対する危険性並びに被密輸者が密輸者又はその協力 者により虐待されたか否かを含む状況を反映すべきである。
c)「人の密輸」が引渡犯罪となることを確保する。
d)密輸行為により得られた財産及び利益、及び車両、船舶その他の財産を押収、処分、没収するための手段、また、人を密輸する際に用いられた旅行文書又は身分証明書(偽造又は真正を問わず)を押収するための手段を法制度化する。
e)行政法規や刑法に従い、適切な刑罰を課すことを検討する。右刑罰には「人の密輸」に関する犯罪行為の基盤を提供する施設の閉鎖ないし経済活動の停止を含める場合もありうる。
f)「人の密輸」を援助する汚職と闘うための措置をとる。
g)検察官、裁判官及びその他の司法職員に対し、「人の密輸」がもたらす重大な影響に関する情報を開示し、提供する。
h)訓練され適切な装備を持った十分な人員が「人の密輸」と闘うために配置されることを確保する。また、これらの当局者が、「人の密輸」がもたらす重大な結果や1951年の難民条約に基づく義務、人権やジェンダーの問題について適切な訓練及び教育を受けることを確保する。
i)他国から提供された情報の機密性及びプライバシーを保護するため、適切な法及び手続を確保する。
j)密輸者、密輸組織及びその手口について、適切な情報交換が確実になさ れるよう、省庁間の情報伝達手段を確立ないし改善する。
k)「人の密輸」を防止し、また闘うため、旅券及び査証の発給、入国手続について必要に応じて見直し又は改訂を行う。
l)偽造が困難な文書の作成に係わる科学的・技術的な開発について、訓練を改善し又は専門的能力を確立する。また、自国の旅行文書及び身分証明書の質及び安全性を可能な限り高度にすることを確保する。
m)「人の密輸」を阻止し、闘うため、適当な場合には入国管理局職員を外交団に任命して現地当局、国際機関の代表及び輸送機関の代表との協力に当たらせることを促進する。
n)捜査及び司法手続のために、密輸者に係る情報を提供した被密輸者に対して、適当な場合には、保護、援助及び支援が与えられることを確保する。これには同国に留まるとの規定も含まれうる。