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犯罪被害者等基本法(以下「基本法」という。)は、「国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ、犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ、その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。」(基本法前文)として、平成16年12月に制定された。

基本法により、政府は、犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画を定めなければならないとされた(基本法第8条第1項)。

これに基づき、17年12月、犯罪被害者等基本計画(17年12月27日閣議決定。以下「第1次基本計画」という。)が策定された。第1次基本計画は、4つの基本方針(<1>尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること、<2>個々の事情に応じて適切に行われること、<3>途切れることなく行われること、<4>国民の総意を形成しながら展開されること)の下、5つの重点課題(<1>損害回復・経済的支援等への取組、<2>精神的・身体的被害の回復・防止への取組、<3>刑事手続への関与拡充への取組、<4>支援等のための体制整備への取組、<5>国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組)を掲げ、関係府省庁が実施すべき施策をこの5つの重点課題に振り分け、整理して示している。

第1次基本計画は、22年度末までを計画期間としており、その実施状況については、「おおむね着実な推進が図られ、一定の成果をあげている。特に、「刑事手続への関与拡充への取組」「損害回復・経済的支援等への取組」については、被害者参加制度の創設、損害賠償命令制度の創設、犯罪被害給付制度の拡充など、大幅な制度改正がなされており、大きな進展が図られた」と評価された(22年10月13日犯罪被害者等施策推進会議決定)。

23年3月には、犯罪被害者等の権利利益の保護が一層図られる社会を目指し、第2次犯罪被害者等基本計画(23年3月25日閣議決定。以下「第2次基本計画」という。)が策定された。

第2次基本計画は、27年度末までを計画期間としており、その実施状況については、「(第1次基本計画に引き続き)4つの基本方針及び5つの重点課題を掲げ、これらに基づき、関係省庁が横断的かつ総合的な施策を展開してきた。これらの施策にあっては、着実に推進が図られ、一定の成果をあげたものと評価できる。」とされた(27年11月18日犯罪被害者等施策推進会議決定)。

28年4月には、第1次基本計画及び第2次基本計画の成果を踏まえつつ、犯罪被害者等の権利利益の保護がより一層図られる社会を目指し、両計画から引き継いだ4つの基本方針及び5つの重点課題を掲げ、32年度末までを計画期間とする第3次犯罪被害者等基本計画(28年4月1日閣議決定。以下「第3次基本計画」という。)が策定された。

また、同日、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律が施行され、それまで内閣府が担っていた犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務は、国家公安委員会(警察庁)に移管された。

現在、国家公安委員会(警察庁)では、第3次基本計画に沿って、関係府省庁と緊密に連携しつつ、犯罪被害者等施策の適切な推進を図っている。

以下では、関係府省庁において、主に28年度中に講じた犯罪被害者等施策について、第3次基本計画における5つの重点課題ごとに記述する。

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