第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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第5節 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

コラム10 犯罪被害者週間の実施

基本法第20条において、「国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする」とされています。これを受け、第1次基本計画時から、内閣府においては、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、犯罪被害者週間(11月25日から12月1日まで)における集中的な広報啓発事業を実施してきました。

10回目となる平成27年度は、中央イベントとして、12月1日に東京で、また、地方行事として、京都府(11月14日)、広島県(同月28日)でそれぞれ地方公共団体と共催でイベントを開催しました。

○ 中央イベント

中央イベントでは、「犯罪被害者等の安全と安心の確保」を大きなテーマとして基調講演及びパネルディスカッション等を行いました。

基調講演では、性障害専門医療センター代表理事の福井裕輝氏から「男女間における繰り返される被害の現状と対策~ストーカー行為等の特徴と被害者支援~」をテーマに、ストーカー行為等の特徴や医療と司法の連携について御講演いただきました。

また、パネルディスカッションでは、「ストーカー行為等における被害者保護の課題と支援について」をテーマに、京都産業大学法学部教授の田村正博氏をコーディネーターに、パネリストには、特定非営利活動法人全国女性シェルターネット理事の近藤恵子氏、学習院大学法学部教授の櫻井敬子氏、逗子ストーカー事件被害者御遺族の芝多修一氏、基調講演者の福井裕輝氏を迎え、被害者等の安全と安心を確保するための課題と今後の取組について御議論いただきました。

中央イベントの様子
中央イベントの様子

○ 京都大会

京都大会では、基調講演、京都府における被害者支援に係る活動紹介及びパネルディスカッションを実施するとともに、犯罪被害者関係団体等のパネル展示等を行いました。

基調講演では「途切れない支援の重要性」をテーマに、神戸連続児童殺傷事件御遺族の土師守氏から御遺族の思いや今後の被害者支援に望むこと、そして、事件後の時間経過により変化する被害者や遺族の状況に応じた支援を継続的に行うことが被害者の回復に大きな役割を果たすことをお話しいただきました。

パネルディスカッションでは、「少年犯罪の被害者及び家族等への途切れることのない支援について」をテーマに、京都府立洛南病院院長の山下俊幸氏をコーディネーターに、パネリストには、弁護士の安保千秋氏、関西学院大学人間福祉学部教授の池埜聡氏、京都府警察本部の西田勝志氏、基調講演者の土師守氏を迎え、それぞれの立場から意見を述べていただきました。まとめとして、被害者のニーズに沿ってきめ細かな支援を続けていくことの重要性、そして課題として、被害に遭った子供の兄弟姉妹への支援が不足しているのではないかとの御指摘をいただき、今後の支援に生かしていくことを確認しました。

最後に、クロマティックハーモニカ奏者と京都府警察音楽隊の演奏を行いました。

京都府における被害者支援に係る活動紹介
京都府における被害者支援に係る活動紹介
ミニコンサート
ミニコンサート

○ 広島大会

広島大会では、基調講演、パネルディスカッションを実施するとともに、生命(いのち)のメッセージ展、犯罪被害者関係団体等のパネル展示等を行いました。

基調講演では「天使が空に帰った日」をテーマに、犯罪被害者御遺族の清水誠一郎氏から御遺族の心情、今後、社会に求めること等をお話しいただきました。

パネルディスカッションでは、「犯罪被害者と地域社会の在り方」をテーマに、広島被害者支援センター理事長の山本一隆氏をコーディネーターに、パネリストには、比治山大学現代文化学部教授の兒玉憲一氏、広島県警察本部の原田修治氏、広島県環境県民局県民活動課長の倉迫昭宏氏、基調講演者の清水誠一郎氏を迎え、それぞれの立場から意見を述べていただきました。パネルディスカッションを通して、一つは、犯罪被害に遭われた方々のために何ができるかという点について、そしてもう一つは、途切れることのない支援のために地域の様々な組織や団体との連携をいかに密にするかという点について、参加者の皆さんと共有することができました。

最後に、広島山陽学園山陽高等学校和太鼓部の皆さんによる和太鼓の演奏を行いました。

パネルディスカッション
パネルディスカッション
生命(いのち)のメッセージ展
生命(いのち)のメッセージ展

また、内閣府では19年度から、犯罪被害者週間に合わせて、犯罪被害者等に関する標語を募集してきました。27年度は、応募作品5,123点の中から、大阪府の池永一広さんの「思いやり あなたと 地域と 社会から」が最優秀作品として選ばれ、中央イベントで表彰されました。この最優秀作品を用いた犯罪被害者週間のポスター等を全国の地方公共団体に送付して、広報啓発事業に利用していただくとともに、駅構内や関係諸機関、図書館で掲示していただきました。

そのほか、犯罪被害者週間を中心に全都道府県において講演会又はパネル展示等様々な広報啓発活動が展開され、各地方公共団体が独自に実施した広報啓発事業についての情報を内閣府犯罪被害者等施策ウェブサイトやフェイスブックで広報しました。

犯罪被害者週間ポスター
犯罪被害者週間ポスター

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