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第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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第2節 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

コラム4 児童買春・児童ポルノ事犯における被害児童の保護施策の実施状況に係る検証・評価

平成26年6月、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が一部改正され、法律名が児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「改正児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)に変更されるとともに、改正児童買春・児童ポルノ禁止法第16条の2第1項において、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、推進会議で検証・評価を行うことが定められた。

ここでは、28年3月に推進会議で決定された検証・評価(対象期間は、改正児童買春・児童ポルノ禁止法が施行された26年7月15日から27年末までの間)について、その概要を紹介する。

1 被害児童に対する保護活動

児童買春・児童ポルノ事犯は、被害を他人に知られたくないとの被害児童の意識等から、被害が潜在化するおそれがあることを踏まえ、インターネット等を通じて匿名でもその相談を受け付けるなど、被害児童が相談しやすい環境の整備のための取組が行われている。

一方で、被害児童に自らが被害者であるとの認識が乏しい場合もあることから、児童買春や児童ポルノは犯罪であるということを児童に啓発することで、被害の潜在化を防ぐことが必要である。

また、被害に遭ったことをどこに相談すればいいのか分からないという事態が生じないよう、平素から児童等に相談窓口を周知するなど、被害児童が早期に適切な保護施策につながるよう措置を講じることが重要である。

2 被害児童保護を行う者の資質の向上

児童相談所職員を始め、スクールカウンセラー、教職員等被害児童と直接接する機会を有する者が、被害児童に対して適切に対応できるよう、研修等を通じて、その資質向上を図っていく必要がある。

3 被害児童保護に関する関係機関の連携協力体制の強化

被害児童の負担軽減等のため、被害児童からの聴取に当たり、検察、警察、児童相談所等の各関係機関が連携協力の取組を進めていることは評価できる。

また、関係機関の間で、適切な役割分担の下、連携協力体制が構築されているが、特に、児童が1日のうち、多くの時間を過ごす学校と他の関係機関・団体との間の連携協力を今後より一層強化していく必要がある。

4 被害児童保護に関する調査研究の推進

効果的で適切な保護施策を推進できるよう、児童が被害に遭う背景や被害児童の心理特性に関する調査研究の実施について検討する必要がある。

5 総括

児童買春・児童ポルノ事犯における被害児童の保護施策が、多方面にわたり行われていることは評価できるが、児童買春・児童ポルノ事犯は、様々な要因により被害が潜在化しやすいことから、引き続き、保護活動の充実、被害児童の保護を行う者の資質向上、関係機関の連携強化等を図っていく必要がある。

なお、犯罪被害者等施策にとどまらない事項ではあるが、児童がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等のインターネット上の新たなコミュニケーションツールの利用をきっかけに被害に遭うケースが多いことから、今後、児童及び保護者のインターネット・リテラシーの向上等の予防啓発や教育・学習の充実を期待する。

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