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第1章 特集「途切れることのない必要な支援」

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第3節 性犯罪被害者支援のための連携

3 性犯罪被害者支援のための連携に関する取組

(1) 性犯罪被害者対応拠点モデル事業「ハートフルステーション・あいち」

警察庁及び愛知県警察では,性犯罪被害者に必要である初期的な被害相談,医療,各種支援を1か所で受けられるようにすることにより,性犯罪被害者の心身の負担をできる限り軽減し,及び警察への被害申告を促進して性犯罪の潜在化防止に寄与することを目的に,平成22年度モデル事業として性犯罪被害者対応拠点「ハートフルステーション・あいち」を愛知県一宮市にある医療法人大雄会第一病院内に設置し,同事業の結果の検証を実施した(「性犯罪被害者対応拠点のモデル事業等の検証報告」(http://www.npa.go.jp/higaisya/higaisya8/houkokusyo.pdf)。

同モデル事業では,愛知県警察が設置・運営主体となり,支援のコーディネート・相談等を社団法人(現公益社団法人)被害者サポートセンターあいちに,産婦人科医療を医療法人大雄会にそれぞれ委託して性犯罪被害者への支援を行った(相談受付は,月曜日から土曜日(祝日及び年末年始を除く。)の9時から20時まで)。主な支援内容は,支援活動員による電話相談・面接相談,事情聴取や診察における付添い,関係機関の支援施策に関する情報提供,精神科医・カウンセラーや弁護士等法律専門家への引継ぎ,大雄会第一病院産婦人科医師による産婦人科医療・証拠採取等である。なお,「ハートフルステーション・あいち」は,現在も愛知県警察により運営されている。

ハートフルステーション・あいち
ハートフルステーション・あいち

(2) 「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」の作成配布等

内閣府においては,ワンストップ支援センターを運営している民間団体,厚生労働省,警察庁,法務省及び文部科学省等の協力を得て,「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」(以下「手引」という。)を作成し,平成24年5月に公表し,犯罪被害者支援団体,医療機関,地方公共団体,警察等に配布した。

手引は,ワンストップ支援センターの設置・運営主体となり得る地方公共団体や民間団体等に複数のモデルを示し,開設・運営に役立つ情報やノウハウ等を提供すること,協力の主体となり得る関係機関・団体等(地方公共団体,病院,民間団体,警察,弁護士,カウンセリング機関等)の間で,ワンストップ支援センターに係る共通の理解と認識を持ち,相互の連携協力の密度を上げることにより,活用できる資源や地域の実情に応じたワンストップ支援センター設置を促進することなどを目的としている(【施策番号50】参照)。

また,厚生労働省においては,平成24年7月,医療関係団体を通じて,手引を医療機関に周知することにより,ワンストップ支援センターの啓発を行った。また,犯罪被害者支援団体,地方公共団体,医師等医療関係者等からワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には,協力が可能な医療機関の情報を収集し,当該犯罪被害者支援団体等に提供することとしている(【施策番号52】参照)。

さらに,同省では,平成24年9月,医療情報機能提供制度の内容に,ワンストップ支援センターが施設内に設置されているかどうかに関する項目を追加するよう,都道府県に対し周知を図った(医療機能情報提供制度については【施策番号36】参照)。

病院拠点型
病院拠点型
相談センター拠点型
相談センター拠点型
相談センターを中心とした連携型
相談センターを中心とした連携型

(3) 性犯罪被害者支援に関する調査研究

内閣府においては,地方公共団体等による関係機関・団体の効果的な連携による性犯罪被害者支援の取組事例等について調査研究を実施し,平成26年6月に報告書を公表した(「性犯罪被害者支援に関する調査研究」報告書http://www.gender.go.jp/public/report/2014/2014061601.html)。

同調査では,地方公共団体による性犯罪・性暴力被害者支援における男女共同参画の視点と地域連携の在り方について,地方公共団体の取組の現状を踏まえて検討を行った。

(4) 性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究

内閣府においては,平成26年度から,地方公共団体における性犯罪被害者等への支援に関する取組を促進するため,地方公共団体の様々な取組を実証的に調査研究する事業を実施し,26年度は9団体の取組を対象とした。


※ ワンストップ支援センター
法律上の定義はないが,手引の中では,性犯罪・性暴力被害者に対して,被害直後からの総合的な支援(産婦人科医療,相談・カウンセリング等の心理的支援,捜査関連の支援,法律的支援等)を可能な限り1か所で提供(当該支援を行う関係機関・団体に確実につなぐことを含む。)することにより,被害者の心身の負担軽減とその健康の回復を図るとともに,警察への届出の促進・被害の潜在化防止を目的とする支援施設のこととしている。手引では,ワンストップ支援センターの形態として,病院拠点型,相談センター拠点型,相談センターを中心とした連携型を紹介している。

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