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コラム12 支援の現場から<5>(民間における犯罪被害者等支援取組例の紹介)

1.公益社団法人いわて被害者支援センター

平成23年3月11日に発生した東日本大震災から早3年が経とうとしています。

本県は,海岸線近くまで山地が迫り,平地が狭いという地形のため浸水面積は被災3県で最も少なかったのですが,その狭い土地に市街地と漁港が広がっていたため,防潮(波)堤の規模は日本随一であったものの,想定をはるかに上回る規模の津波が押し寄せ,死者4,673人,行方不明1,143人という甚大な被害を受けました。

支援活動員に被害はありませんでしたが,長期にわたり高速道の通行制限やガソリンが入手困難となったため,事務局員や相談電話等に対応する活動員の交通手段の確保に大変,苦労しました。

また,数か月後,やや落ち着きを取り戻してからは,県の補助金のカットや沿岸部を中心とした賛助会員の脱会,寄付金の大幅減少など,もともと財政基盤がぜい弱な当支援センターは,大きなダメージを受けることになりました。

幸い,預保納付金からの助成事業により何とか支援業務を行ってきましたが,昨年度から抜本的な改革のための取組を行っております。一つは安定した財政基盤の確保で県補助金及び県警からの賛助会費の増額,募金付き自販機の設置など震災前以上の収入確保を目指しております。

二つ目は支援活動の一層の充実ですが,支援センターの財政再建の協力を求めるためには,何よりもこれまで以上に支援活動の充実を図る必要があることから,電話対応時間の延長や2か所の出張相談所の開設や性暴力ホットラインの設置,県警と連携しての早期援助を積極的に実施することとしております。

また,各企業・団体等に協力を得て推進しておりますCSR活動の定着化を図るほか,地域の理解と協力が不可欠なことから,年3回発行の全戸回覧の県防連機関紙「防犯いわて」並びに毎月若しくは隔月発行の約250か所の交番・駐在所のミニ広報紙へ年3回以上,支援センターの活動を掲載するなど,支援センターからの積極的な情報発信を行うこととしております。

2.東京光が丘ライオンズクラブ

東京光が丘ライオンズクラブは,平成18年から全国被害者支援ネットワークに継続的な寄付を行うとともに,街頭募金活動の支援,新春チャリティコンサートやチャリティゴルフ大会等各種チャリティ開催企画の提案等の犯罪被害者支援活動を行っておられます。

上記活動の推進役を担っておられるのは星野宏一さんです。

星野さんは光が丘ライオンズクラブの会長を務めていた当時,ある殺人事件が発生して加害者への怒りと犯罪被害者・ご遺族に心を痛めていた時期があったそうです。

その時に,同ネットワーク主催の全国フォーラムが開催されたというニュースを見たそうです。

その後,犯罪被害者等基本法が制定され,被害者週間が実施されるなど,被害者等への配慮は進んできたのですが,未だ道は遠いとの思いを強くしたそうです。

そのため,同ネットワークと加盟団体が組織を充実させて広く社会全体に認知され,全国隈なく支援活動が行き渡るようになってほしいとの思いから,各種の支援活動を始めるようになったと述懐しております。

その上で星野さんは,同ネットワークは座して与えられることを待つのではなく積極的に行動しようと呼びかけ,また,全国10万5千のライオンズクラブメンバーを活用すべきであるとアドバイスをしてくれます。

光が丘ライオンズクラブが犯罪被害者支援に大きく貢献している活動のひとつに,地元の少年野球チームに協力を依頼して街頭募金活動を行い,広く社会へ広報し,理解を得るために尽力していることが挙げられます。

同ネットワークは,加盟センターに協力を呼びかけ,11月25日から12月1日の「犯罪被害者週間」に全国一斉募金活動を行っております。

光が丘ライオンズクラブは,同週間の最終日に会員を動員し,さらに地元少年野球チームにも協力を呼びかけ,例年,東京駅・池袋駅前で募金活動を行っています。

毎年8チームくらいの少年野球チームが参加していますが,少年たちが元気に「犯罪被害者支援にご協力をお願いします。」と呼びかけると,多くの方々に共感を与え,犯罪被害者のこと,犯罪被害者支援活動のことを知っていただくことに大きく貢献していただいております。

東京光が丘ライオンズクラブ

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