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III 重点課題

第1次基本計画では、犯罪被害者等からの広範囲・多岐にわたる要望を総覧し整理する過程において、大局的な課題として浮かび上がってきたものとして5つの重点課題を指摘している。

第2次基本計画の策定に当たっても、犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望を5つの重点課題ごとに論点整理した上、検討を重ねたものであり、第2次基本計画においても、第1次基本計画と同様、以下の5つの重点課題を掲げることとする。個々の施策の実施に当たっては、各課題に対する当該施策の位置付けを明確に認識し、各課題ごとに府省庁の横断的かつ総合的な施策の推進・展開が図られるよう努める必要がある。

〔5つの重点課題〕

<1> 損害回復・経済的支援等への取組

犯罪被害者等は、犯罪等により、生命を奪われ、家族を失い、傷害を負わされ、財産を奪われるといった損害に加え、高額な医療費の負担や収入の途絶などにより、経済的に困窮することが少なくない。また、自宅が事件現場になったり、加害者から逃れるなどのため、住居を移す必要が生じたり、犯罪等による被害や刑事手続等による負担についての無理解等から、雇用関係の維持に困難を来すことも少なくない。このような犯罪被害者等が直面している経済的困難を打開するため、犯罪被害者等の損害を回復し、経済的に支援するための取組を行わなければならない。

<2> 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

多くの犯罪被害者等は、生命・身体に重大な被害を受ける。また、当該犯罪等が意図した直接的な精神的・身体的・財産的被害を受けるのみならず、自分自身や家族が犯罪等の対象にされたこと自体から精神的被害を受ける。さらに、再被害ないし再被害を受けることに対する恐怖・不安を抱いたり、捜査・公判、医療、福祉等の過程で配慮に欠けた対応をされることによっていわゆる二次的被害を受けることもある。このような犯罪被害者等の精神的・身体的被害に対し、これを回復・軽減し、又は防止するための取組を行わなければならない。

<3> 刑事手続への関与拡充への取組

犯罪被害者等にとって、事件の正当な解決は、その回復にとって不可欠であり、また、解決に至る過程に関与することは、その精神的被害の回復に資する面もある。もとより、刑事に関する手続や少年保護事件に関する手続は、国家及び社会の秩序維持、個人の人権の保障、少年の健全育成等の考量困難な種々の要請に応えるものでなければならないが、そのことを前提としつつ、「事件の当事者」である犯罪被害者等が、刑事に関する手続や少年保護事件に関する手続に適切に関与できるよう、その機会を拡充する取組を行わなければならない。

<4> 支援等のための体制整備への取組

被害直後から様々な困難に直面する犯罪被害者等が、再び平穏な生活を営むことができるようになるためには、犯罪被害者等の誰もが、望む場所で、必要なときにいつでも、情報の入手や相談ができ、専門的知識と技能に裏付けられた支援が受けられるような、継ぎ目のない支援体制を民間の支援団体とともに構築していく必要があり、支援等のための体制整備への取組を行わなければならない。

<5> 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

犯罪被害者等施策が措置されても、国民の理解と協力がなければ、その効果は十分に発揮されず、また、犯罪被害者等は、地域社会において、配慮され、尊重され、支えられてこそ、平穏な生活を回復できるもので、施策の実施と国民の理解・協力は車の両輪である。したがって、様々な分野・場面で、教育活動や広報啓発活動等による息の長い取組を行い、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等についての国民の理解を深め、犯罪被害者等への配慮と犯罪被害者等のための施策への協力を確保するための取組を行わなければならない。

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