第3 刑事手続への関与拡充への取組|平成24年版犯罪被害者白書 - 警察庁
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第3 刑事手続への関与拡充への取組

〔犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望〕

犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からは

① 刑事裁判への被害者参加や傍聴のための旅費の支給、休業損害の補償

② 仮釈放・仮退院についての意見を述べるための、刑務官、少年院教官への質疑を可能とすること

③ 被害者参加人のための国選弁護制度の資力要件の緩和

④ 医療機関における性犯罪被害者からの証拠の採取等

等に関する要望が寄せられている。

〔今後講じていく施策〕

1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)

(1) 医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の促進

警察庁において、厚生労働省の協力を得て、医療機関において性犯罪被害者からの証拠採取及び採取した証拠の保管が促進されるよう、資機材の整備、医療機関への働きかけを推進する。【警察庁】

(2) 冒頭陳述等の内容を記載した書面交付の周知徹底及び適正な運用

法務省において、冒頭陳述等の内容を記載した書面を犯罪被害者等に交付することについての周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。【法務省】

(3) 被害者参加人への旅費等の支給に関する検討

法務省において、犯罪被害者等が被害者参加制度を利用して裁判所に出廷する際の旅費等の負担を軽減するための制度の導入について検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【法務省】

(4) 被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件に関する検討

法務省において、被害者参加人のための国選弁護制度における被害者参加人の資力要件の緩和について、被害者参加人の旅費等と併せて検討を行う。【法務省】

(5) 公判記録の閲覧・謄写制度の周知及び閲覧請求への適切な対応

法務省において、犯罪被害者等から刑事事件の訴訟記録の閲覧・謄写の申出があり、相当と認められるときは、刑事事件の係属中であっても、閲覧・謄写が可能である旨をパンフレット等により周知を図る。

また、刑事確定記録の閲覧に際して、犯罪被害者等に対し、被告人や証人等の住所を開示するかどうかについては、裁判の公正担保の必要性と一般公開によって生じるおそれのある弊害等を比較考慮して、その許否を判断すべきものであるところ、被害者保護の要請に配慮しつつ、適切な対応に努める。【法務省】

(6) 犯罪被害者等と検察官の意思疎通の充実

ア 法務省において、犯罪被害者等の意見等をより適切に把握し刑事裁判に適正に反映させるため、犯罪被害者等と検察官の意思疎通をより一層充実させ、被害状況等の供述調書等による証拠化並びに被害者等の証人尋問及び意見陳述の活用等により、被害状況の的確な立証に努める。【法務省】

イ 法務省において、犯罪被害者等基本法第3条の「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」との規定等を踏まえ、刑事裁判の公判前整理手続の期日や公判期日の決定についても、検察官が犯罪被害者等と十分な意思疎通を図り、必要に応じ、犯罪被害者等の希望を裁判長に伝えるよう努める。【法務省】

(7) 国民に分かりやすい訴訟活動

法務省において、検察官による視覚的な工夫を取り入れた国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努める。【法務省】

(8) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

法務省において、加害者の保釈申請がなされた場合には、事案に応じ、改めて犯罪被害者等に連絡して事情聴取するなどして、裁判所に提出する検察官意見に犯罪被害者等の意見を適切に反映させるとともに、保釈申請に対する結果について犯罪被害者等に連絡するなど、犯罪被害者等の安全確保により一層配慮するように努める。【法務省】(再掲:第2,2.(7)

(9) 上訴に関する犯罪被害者等からの意見聴取等

法務省において、検察官が、被害者のある犯罪について、判決に対する上訴の可否を検討する際に、事案等を勘案しつつ、犯罪被害者等から意見聴取等を実施するなど、適切な対応に努める。【法務省】

(10) 少年保護事件に関する意見の聴取等各種制度の周知徹底

法務省において、少年保護事件に関する意見の聴取、記録の閲覧・謄写及び審判結果等の通知の各制度について、周知に努める。【法務省】

(11) 少年審判の傍聴制度の周知徹底

法務省において、「少年法の一部を改正する法律」(平成20年法律第71号)により導入された、一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度等について、パンフレット等により周知に努める。【法務省】

(12) 日本司法支援センターによる支援

日本司法支援センターの機能及び犯罪被害者等支援に関する具体的情報を十分に周知させる。【法務省】(再掲:第4,1.(32)イ

(13) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

ア 警察庁及び法務省において連携し、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続並びに犯罪被害者等のための制度等を分かりやすく解説したパンフレット等の内容を充実させ、パンフレットの配布等の工夫も含め、犯罪被害者等への早期の提供に努める。【警察庁】【法務省】(再掲:第4,1.(28)ア

イ 警察において、都道府県における外国人犯罪被害者等の多寡等の実情を踏まえて作成・配付している外国語版の「被害者の手引」について、適切に作成・配付されるよう努める。【警察庁】(再掲:第4,1.(26)イ

ウ 法務省において、犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等の保護と支援のための制度の更なる情報の提供を行うため、外国語によるパンフレットやホームページの作成等による情報の提供を行う。【法務省】(再掲:第4,1.(28)イ

(14) 刑事の手続等に関する情報提供の充実及び司法解剖に関する遺族への適切な説明等

警察庁及び法務省において連携し、検視及び司法解剖に関し、パンフレットの配布等の工夫も含め、遺族に対する適切な説明及び配慮に努める。また、法務省において、警察庁、法医学関係機関等の協力を得て、司法解剖実施機関等で司法解剖後の臓器等が中・長期に保管される場合があることに関して、遺族の理解と協力が得られるよう、適切な説明等が行われるよう、対応に努める。【警察庁】【法務省】

(15) 捜査に関する適切な情報提供等

ア 警察において、捜査への支障等を勘案しつつ、「被害者連絡制度」等を周知徹底・活用し、犯罪被害者等の要望に応じ、適時適切に、捜査状況等の情報を提供するよう努める。また、必要に応じ犯罪被害者等早期援助団体を始めとする民間被害者支援団体等との連携を図る。【警察庁】

イ 法務省において、捜査への支障等を勘案しつつ、犯罪被害者等に対し、適時適切に、捜査状況等の情報を提供するよう努める。【法務省】

(16) 交通事故捜査の体制強化等

警察において、交通事故の被害者等の心情に配意しつつ、ち密で科学的な捜査を一層推進するため、重大・悪質な交通事故等については、捜査経験豊富な交通事故事件捜査統括官及び交通事故の科学的解析に関する研修を積んだ交通事故鑑識官が警察本部から事故現場に赴いて客観的証拠の収集等の捜査指揮を行うなど交通事故事件捜査体制を強化するほか、交通事故捜査員に対する各種研修の充実を図る。【警察庁】

(17) 交通事件に関する講義の充実

法務省において、副検事に対する研修の中で、交通事件の留意点等を熟知した専門家等による講義を行うとともに、被害者及び被害者遺族の立場等への理解を深めるための機会を設けるなど、交通事件をテーマとした科目の内容について一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2,3.(1)オ

(18) 不起訴事案等に関する適切な情報提供

ア 法務省において、不起訴記録の弾力的開示を周知徹底させる。また、不起訴記録の開示の対象拡大については被害者保護の要請に配慮しつつ、適切な対応に努める。【法務省】

イ 法務省において、不起訴処分について、犯罪被害者等の希望に応じ、検察官が、捜査への支障等を勘案しつつ、事前・事後に、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努める。【法務省】

(19) 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度の運用への協力

法務省において、平成16年の検察審査会法(昭和23年法律第147号)改正により導入された一定の場合に検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度について、公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るという趣旨の実現に向けた必要な協力をする。【法務省】

(20) 検察官に対する児童又は女性の犯罪被害者等への配慮に関する研修の充実

法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を実施し、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2,3.(1)エ及び第4,2.(9)ア

(21) 判決確定後の加害者情報の警察に対する提供の充実

法務省において、再被害防止のため、警察の要請に応じ、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が警察に対して行う釈放予定、帰住予定地及び仮釈放中の特異動向等の情報提供、再度の加害行為のおそれを覚知した検察官、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所による警察への当該情報の連絡について、関係者に周知徹底させ、一層円滑な連携を図る。【警察庁】【法務省】(再掲:第2,2.(1)ア

(22) 判決確定、保護処分決定後の加害者に関する情報提供拡充の検討及び施策の実施

法務省において、加害者の受刑中の処遇状況に関する事項、仮釈放又は刑の執行終了による釈放に関する事項及びこれに準ずる事項、仮釈放審理に関する事項並びに保護観察中の処遇状況等に関する事項について、また、保護観察処分及び少年院送致処分を受けた加害少年についても、少年院における処遇状況等に関する事項、仮退院審理に関する事項及び保護観察中の処遇状況等に関する事項について、適切に情報提供を行うとともに、被害者等通知制度の更なる充実について、通知制度の運用状況や加害者の改善更生、個人のプライバシーの問題などを総合的に考慮しつつ検討を行い、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【法務省】(再掲:第2,2.(2)

(23) 受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用

法務省において、受刑中の加害者との面会・信書の発受を希望する犯罪被害者等に関し、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年法律第50号)に基づき、受刑中の者と犯罪被害者等との面会・信書の発受が適切に運用されるように努める。【法務省】

(24) 犯罪被害者等の意見等を踏まえた適切な加害者処遇の推進等

ア 法務省において、犯罪被害者等の心情等を理解させるための「被害者の視点を取り入れた教育」について、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体の意見を踏まえながら、検討会を開催するなどして、矯正施設における受刑者等に対する改善指導・矯正教育等の充実に努める。また、家庭裁判所、検察庁等から矯正施設に送付される資料の中に犯罪被害者等の心情等が記載されている場合には、同資料を被収容者に対する指導に有効活用するよう努める。【法務省】(再掲:第2,2.(12)ア

イ 法務省において、保護処分の執行に資するため、少年の身体的・精神的状況、家庭環境、施設内の行動及び処遇の経過等に関する必要な記載がなされている少年簿について、関係機関と連携し、犯罪被害者等に関する事項について必要な情報を収集し、適切に記載するよう努める。【法務省】

ウ 法務省において、保護観察対象者に対する、問題性に応じた専門的処遇プログラムの内容等の充実を図るとともに、当該プログラムの受講を保護観察における特別遵守事項として設定するなどして、適切に実施する。また、保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪のための指導を適切に実施する。【法務省】

エ 保護観察所において、犯罪被害者等の申出に応じ、犯罪被害者等から被害に関する心情、犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度において、当該対象者に対して、被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を徹底する。【法務省】

(25) 犯罪被害者等の視点を取り入れた交通事犯被収容者に対する更生プログラムの整備等

法務省において、犯罪被害者等の視点を取り入れ、交通事犯被収容者に対し交通安全教育等を推進するため、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体等からゲストスピーカーとして直接話を伺う機会を設け、併せて教材や指導内容の充実に努めることなどにより、遵法精神、責任観念、人命尊重の精神等をかん養し、交通犯罪に対する道義的な反省を積極的に促すとともに、人命を尊重し、法令を守って生活する社会人として更生させることに努める。【法務省】

(26) 仮釈放における犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

法務省において、仮釈放に際し、地方更生保護委員会が、事案に応じた犯罪被害者等の安全確保に必要な遵守事項の適切な設定に努め、保護観察所が、当該遵守事項を遵守させるための加害者に対する指導監督を徹底する。【法務省】(再掲:第2,2.(12)イ

(27) 犯罪被害者等の意見を踏まえた仮釈放等審理の実施

地方更生保護委員会において、犯罪被害者等の申出に応じ、仮釈放等に関する意見等を聴取する制度の下で、聴取した意見等を仮釈放等を許すか否かの判断に当たって考慮し、必要に応じて保護観察中の特別遵守事項に反映させるなど、仮釈放等の審理において、一層適切に犯罪被害者等の意見等がしんしゃくされるように努める。【法務省】

(28) 仮釈放等審理における意見陳述に資する情報提供の拡大についての検討及び施策の実施

法務省において、仮釈放・仮退院について犯罪被害者等が意見を述べる際に資するよう、被害者等通知制度における通知内容を充実させることについて、通知制度の運用状況や加害者の改善更生、個人のプライバシーの問題を考慮しつつ検討し、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【法務省】

(29) 矯正施設職員及び更生保護官署職員に対する研修等の充実

法務省において、矯正施設職員及び更生保護官署職員に対する犯罪被害者等やその支援に携わる者による講義の実施等犯罪被害者等の置かれている現状や心情等への理解を深める研修の充実を図る。【法務省】

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