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3 居住の安定(基本法第16条関係)

《基本計画において〔今後講じていく施策〕とされたもの》

(1) 公営住宅への優先入居等

国土交通省において、平成16年から17年にかけて、配偶者からの暴力被害者、犯罪被害者等を対象とした公営住宅への優先入居や目的外使用などについて地方公共団体に対して配慮を依頼する通知を発出した。また、合わせて、警察等の関係機関との連携を図り、犯罪被害者等の支援のために適切な対応を図ることとしている。

独立行政法人都市再生機構の機構賃貸住宅における犯罪被害者等の入居優遇措置の必要性については、公営住宅における犯罪被害者等の受け入れ状況などを注視したうえで、引き続き、検討している。なお、犯罪被害者等の住宅を確保するため、公営住宅の管理主体から、機構賃貸住宅の借り上げなどの要請があった場合は、柔軟に対応する。

(2) 被害直後及び中期的な居住場所の確保

厚生労働省において、児童相談所・婦人相談所の一時保護所や、婦人相談所が一時保護委託先として契約した婦人保護施設や民間シェルターなどにおいて一時保護を実施しており、犯罪被害者等の個々の状況に応じて保護期間を延長するなど柔軟に対応するとともに、適切な運用に努めている。

また、児童相談所の一時保護所において、「子ども・子育てビジョン」に基づき、虐待を受けた子どもと非行児童との混合処遇等を改善するべく、次世代育成支援対策施設整備交付金の活用を含め、児童相談所の一時保護所の環境改善を推進する(平成26年度までに全都道府県・政令指定都市・児童相談所設置市)。

児童相談所の一時保護所については、福祉行政報告例等において、一時保護所の職員数や一時保護日数などのデータを把握している。

婦人相談所による一時保護についても、福祉行政報告例や婦人保護事業実施状況報告*3などにおいてデータを把握しており、平成20年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合の委託費について増額を行った。

平成21年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合に、同伴児童のうち特に乳幼児に対するケアを充実するため、新たに乳幼児用の単価を設定した。引き続き、調査結果を踏まえながら、有効な施策を実施し、児童虐待や配偶者からの暴力の被害者に関する施策の充実を図っていく。

児童相談所において、必要があると認めるときは、子どもの一時保護(委託を含む。)を実施している。平成22年度の所内一時保護件数は20,302件、委託件数は9,126件となっている。(東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値)

また、従来から、保護を要する女性については婦人相談所において一時保護(委託を含む。)を実施しており、配偶者からの暴力や人身取引被害者等を含めた一時保護件数は、22年度で11,866件(要保護女性6,357件、同伴家族5,509件)となっている*4

警察庁において、平成19年度から、自宅が犯罪行為の現場となり、破壊されるなど居住が困難で、自ら居住する場所が確保できない場合などに、一時的に避難するための宿泊場所を公費により提供し、犯罪被害者等の経済的、精神的負担の軽減を図っている(犯罪被害者等に対する一時避難場所などの借上げに要する経費(国庫補助金):23年度16百万円、24年度16百万円)。

今後も、都道府県警察に対して、本制度の効果的運用について指導していく。

内閣府において、地方公共団体に対して、犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体職員を対象とする研修会の開催などを通じ、居住場所の確保や被害直後からの生活支援に対する取組がなされるよう要請するとともに、内閣府犯罪被害者等施策ホームページに掲載し情報提供を行っている。また、平成23年度国民のつどい中央大会のテーマとして、地域における犯罪被害者等支援を取り上げ、居住場所の確保や被害直後からの生活支援を含む地方公共団体の取組について、啓発を行った。


(*3) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課調べ。
(*4) 厚生労働省「婦人保護事業実施状況報告」より。
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