コラム1 心の悲鳴をしっかり受け止める
大阪府警察本部刑事部捜査第一課
ウーマンライン
私たちは日々、性犯罪被害に関する相談専用電話「ウーマンライン」で、性犯罪被害ゆえに誰にも打ち明けられずに一人で悩んでおられる方から、「犯人を捕まえてほしい。」、「誰にも話せない。辛くて潰れてしまいそう。とにかく助けてほしい。」という相談をお受けしています。
「娘は、まだ警察にお話できるような状態ではありません。」
それは、性犯罪被害者のお母さんからの相談電話でした。
この事件の被害者は、警察にもご家族にも被害を打ち明けることができず思い悩んでおり、精神的ショックで部屋に籠もったまま、食事さえろくにできない状態で、ご家族も大きな不安を感じておられました。
この1本の電話により、私たちは、被害者のご協力を得て犯人を逮捕するとともに、専門医や民間被害者支援団体等に働きかけて被害者への精神的、医療的、経済的な支援に繋げ、被害者は約1年後には日常生活を送れるまでに回復されました。
警察が加害者を捕まえることは当然の責務です。
そしてさらに被害者の心の悲鳴をしっかり受け止め、その手をしっかり握って、警察から関係機関への支援の手に繋げていく責任もあります。
そうした支援によって被害者の中に沸いてきた力が勇気となり、被疑者に立ち向かう強い気持ちに変わり、さらには、また顔を上げて前を向いて生きて行く自信に変わると信じ、今日も被害者に寄り添った対応を心掛け、がんばっています。