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第1章 性犯罪被害者支援のための施策の展開

第1節 第2次犯罪被害者等基本計画における性犯罪被害者のための各種施策

1 性犯罪被害者の現状

(1) 性犯罪被害者の数

我が国における性犯罪の認知件数は、警察庁統計によれば、平成23年において、強姦1,185件、強制わいせつ6,870件となっている。

一方、法務総合研究所が平成20年に行った第3回犯罪被害実態(暗数)調査結果(http://www.moj.go.jp/content/000010429.pdf別ウインドウで開きます)によれば、性的事件(※1)による犯罪被害について、過去5年間にこれらの被害に遭った個人につき、直近の被害を捜査機関に届けた比率は、13.3パーセントとされており、性犯罪被害は、暗数が大きいことがうかがわれる。

(2) 被害による影響(犯罪被害類型別調査(平成21年度)の結果から)

内閣府が平成21年度に実施した犯罪被害類型別継続調査(http://www8.cao.go.jp/hanzai/report/h21-2/index.html)のWeb調査において調査対象となった被害者本人又はその家族若しくは遺族について、性犯罪の被害類型は、過去30日間に健康上の問題があったという回答の割合は49%(一般対象者については30.4%)、過去30日間に精神的な問題や悩みがあったという回答の割合は58.8%(一般対象者については31.9%)、過去30日間の精神健康状態について、重症精神障害相当とされる者の割合は25.5%(一般対象者については、4.1%)となっており(図1、図2、図3(※2))、性犯罪被害による健康上・精神上の悪影響がうかがわれる。

図1 過去30日間の健康上の問題の有無(類型別)
図1 過去30日間の健康上の問題の有無(類型別)
図2 過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)
図2 過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)
図3 過去30日間の精神健康状態について【K6(※3)】(類型別)
図3 過去30日間の精神健康状態について【K6(※3)】(類型別)

(※1) 同調査においては、「「性的事件」とは、強姦(未遂を含む)、強制わいせつ、不快な行為(痴漢、セクハラなど)を指し、日本の法律上必ずしも処罰の対象とはならない行為も一部含まれる。」とされている。
(※2) 図1から図3については、「平成21年度犯罪被害類型別継続調査結果報告書」P120~121、P127~128の図表4-12、図表4-13、図表4-14、図表4-22、図表4-23、図表4-24の数値をもとに、作成したもの。
(※3) うつ病、不安障害に対するスクリーニング尺手法のこと。6つの設問の合計値(合計24)が高いほど精神健康に問題がある可能性が高くなり、合計値13点以上では重症精神障害の診断に該当する可能性が高いとされている。
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