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第2節 第2次犯罪被害者等基本計画の概要


2 主な施策

第2次基本計画においても、第1次基本計画と同様、個々の施策について、実施可能なものは速やかに実施することとする一方、検討を要するものについては、検討期限を明示し、できる限り早期の施策の実施を目指している。

なお、第1次基本計画にある施策については、実施済み・措置済みで、今後当該施策を展開していく余地のないものを除き、引き続き、その充実を図ることとして、第2次基本計画に盛り込まれている。

(1)犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討

犯罪被害者等施策推進会議の下に、有識者並びに内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省及び国土交通省からなる検討の会を設置し、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設について、平成20年度に拡充した犯罪被害給付制度の運用状況等を含め、必要な調査及び検討を行い、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。

(2)カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討

犯罪被害者等施策推進会議の下に、有識者並びに内閣府、警察庁、法務省、文部科学省及び厚生労働省からなる検討のための会を設置し、犯罪被害者等に対する臨床心理士等によるカウンセリング等心理療法の費用の公費負担について、必要な調査及び検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。

(3)地方公共団体による見舞金制度等の導入促進

内閣府において、地方公共団体に対し、犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入について要請するとともに、これらの制度を導入している地方公共団体を犯罪被害者白書に掲載する。

(4)生活保護制度における犯罪被害者等給付金の収入認定除外についての検討

厚生労働省において、犯罪被害者等給付金のうち、犯罪被害者等である生活保護受給者にとって収入として認定しない自立更生のための用途と考えられるものについて、地方公共団体の意見を踏まえ、必要な措置について検討し、1年以内を目途に結論を出す。

(5)性犯罪被害者対応における看護師・助産師等の活用

厚生労働省において、関係省庁の協力を得て、医療機関に対して、性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用について啓発を推進する。

(6)性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置促進

性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター(医師による心身の治療、医療従事者・民間支援員・弁護士・臨床心理士等による支援、警察官による事情聴取等の実施が可能なセンター。以下「ワンストップ支援センター」という。)の設置を促進するため、以下の施策を推進する。

・内閣府において、民間団体や関係省庁の協力を得て、「ワンストップ支援センターの開設・運営の手引(仮称)」を作成し、犯罪被害者支援団体、医療機関、地方公共団体、警察等に配布する。

・警察庁において、平成22年度に実施した性犯罪被害者対応拠点モデル事業の検証を行い、その結果を関係省庁及び犯罪被害者支援団体に提供する。

・厚生労働省において、医療機関に対してワンストップ支援センターについての啓発を行うほか、犯罪被害者支援団体等からワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関の情報を収集し、提供する。

・厚生労働省において、医療機能情報提供制度における登録内容にワンストップ支援センターの設置の有無を加える。

▼性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター(イメージ)
性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター(イメージ)
(7)医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の促進

警察庁において、厚生労働省の協力を得て、医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取及び採取した証拠の保管が促進されるよう、資機材の整備、医療機関への働きかけを推進する。

(8)被害者参加人の旅費等の負担軽減のための制度導入に関する検討

法務省において、犯罪被害者等が被害者参加制度を利用して裁判所に出廷する際の旅費等の負担を軽減するための制度の導入について検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。

(9)市町村における窓口部局の確定状況の定期的な確認等

内閣府において、市町村における犯罪被害者等施策の窓口となる部局の確定状況等について定期的に確認するとともに、市町村における犯罪被害者等に関する適切な情報提供を行う総合的な対応窓口の設置を促進するよう要請する。また、地方公共団体職員を対象とする研修会を開催し、犯罪被害者等施策への理解の促進や犯罪被害者等への対応のために必要となる基礎的な知識等の習得を支援するとともに、各地方公共団体の先進的・意欲的な取組事例等の情報をメールにより発信する「犯罪被害者等施策メールマガジン」により、地方公共団体間の情報の共有化を促進する。

(10)民間団体の財政的基盤充実への協力

内閣府において、犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体の財政的基盤の充実に資するよう、関係省庁の協力を得て、民間の団体による犯罪被害者支援募金(仮称)の創設、当該募金に寄せられた寄附金等を活用した基金の創設等についての検討に協力を行う。

(11)地方公共団体と民間の団体との連携の促進

内閣府において、地方公共団体に対し、把握している犯罪被害者支援団体に関する情報を提供するとともに、自らも犯罪被害者支援団体の実態を把握し連携の強化を図るよう要請する。また、犯罪被害者支援団体が地方公共団体に対して連携を申し出やすいよう、地方公共団体における犯罪被害者等施策担当窓口部局をホームページに掲載する。

(12)「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業の実施

内閣府において、関係省庁の協力を得て、「犯罪被害者週間(11月25日から12月1日まで)」を設定し、当該週間にあわせて、啓発事業を集中的に実施する。

我が国は、第1次基本計画により、犯罪被害者等のための取組の新たな一歩を大きく踏み出した。第2次基本計画の策定を契機として、国、地方公共団体、国民のそれぞれが、犯罪被害者等の権利利益の守られる社会づくりに向け、更なる歩みを進めていくことが期待されている。

▼第2次犯罪被害者等基本計画における主な施策
第2次犯罪被害者等基本計画における主な施策

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