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第5節 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組


コラム7:犯罪被害者等の支援を促進する気運の醸成

現在の社会において、犯罪被害者等の実情に対する国民の理解や社会全体で犯罪被害者等を支える気運はいまだ十分ではありません。そのため、犯罪被害者等を直接対象とした支援だけではなく、社会全体で、犯罪被害者等の支援を促進する気運を醸成するための広報啓発活動の推進が求められています。そこで、警察では、関係機関・団体と連携して、犯罪被害者御本人や御家族による中高生を対象にした「命の大切さを学ぶ教室」の開催、大学生を対象にした被害者支援に関する講義、被害者支援フォーラム等における講演会、地域別の巡回講演の実施などの各種広報啓発活動を実施し、犯罪被害者等が置かれた過酷な境遇、命の大切さ等についての理解を深めることで、社会全体で犯罪被害者等を支え、被害者も加害者も出さない街づくりを進めています。

ここでは、平成21年度のモデル事業で実施した取組の一例を紹介します。

1 「命の大切さを学ぶ授業」(福島県警察)

福島県警察では、「被害者に優しい『ふくしまの風』運動」を展開して、中学校、高校等と連携して、生徒やその保護者などが犯罪被害者等の置かれた現状を理解し、犯罪被害者支援に対する意識を醸成するため、犯罪被害者遺族の講演による「命の大切さを学ぶ授業」を県内30の中学校、高校で開催しました。

講演を聴講した生徒からは、「事件や事故に遭って亡くなってしまった人の家族が、どれだけ悲しんだり、大変な思いをしているのかよく分かり、手助けしたいと思った。」などという感想が寄せられています。

授業風景の写真
授業風景

2 「大学生を対象とした講義と社会参加活動の促進」(愛知県警察)

愛知県警察では、大学などと連携して、犯罪被害者等の実態、生命の大切さ、被害者支援の必要性などについて理解を深め、学生のボランティア参加による被害者支援活動を通じて、犯罪被害者等への思いやりや、支え合いの気持ちを育むための取組みを推進しました。

県内の5つの大学で犯罪被害者遺族や警察職員による講義を開催し、感銘を受けた学生が被害者支援に関するイベントなどへの参加協力を希望し、犯罪被害者支援フォーラムや犯罪被害者遺族によるミニ講演会などにおいて、会場の設営、パネル展示、チラシの配布などのボランティア活動に参加しました。

講義風景の写真
講義風景
ボランティア活動の写真
ボランティア活動

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