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第1節 損害回復・経済的支援等への取組


4 雇用の安定(基本法第17条関係)

《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(1) 事業主等の理解の増進

厚生労働省において、母子家庭の母などが犯罪被害等により求職活動に困難を伴う場合に、当該者の早期就職の実現を目的としたトライアル雇用事業(「試行雇用奨励金」の支給)を実施している。平成21年度(1月まで)の支給実績(母子家庭の母等試行雇用奨励金全体)は、105人に対し約1,200万円であった。

公共職業安定所においては、様々な事情により、やむを得ず離職したり、新たに仕事を探す必要が生じた犯罪被害者等に対しては、求職者の置かれた状況に応じたきめ細かな就職支援を行っている。

犯罪被害者等の雇用管理に関する相談などについては、独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターが行う中小企業事業主などに対する雇用管理の改善に関する相談業務(http://www.ehdo.go.jp/gyomu/c-1.html)の中で実施することとしているが、平成22年2月現在、事業主からの犯罪被害者等の雇用管理に関する相談は、寄せられていない。同センターでは、雇用管理講習会(http://www.ehdo.go.jp/gyomu/c-1.html)において犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマを取り上げ、中小企業事業主などへ情報提供を行っている。

また、平成21年度に独立行政法人労働政策研究・研修機構労働大学校が実施した、労働行政職員基礎研修、公共職業安定所課長・統括職業指導官研修、職業安定行政職員上級研修で、犯罪被害者等への理解に資するテーマ(犯罪被害者等の置かれている状況など)を取り上げた。22年度においても同テーマを取り上げる。

(2) 個別労働紛争解決制度の活用等

厚生労働省において、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」(平成13年法律第112号)に基づき、個別労働紛争解決制度(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)について、ホームページやパンフレット等を活用し、周知を図るとともに、その適正な運用に努めている。

《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む)》

(3) 被害回復のための休暇制度導入の是非に関する検討

厚生労働省において、平成18年度、犯罪などの被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入につき、アンケートを実施したところ、企業、労働者とも約9割が、同制度を導入すべきという意見さえ知らないという状況が明らかになった。そこで、まずは企業や労働者に対し、同制度の必要性についての周知・啓発を図ることが重要であるとの結論に至り、19年度から幅広く周知・啓発を行っている。22年度においても、21年度に引き続きリーフレットやポスターを作成するとともに、セミナーの開催などにより、引き続き、企業や労働者に対する周知・啓発を行うこととしている。

▼被害回復の休暇制度に関するポスター
被害回復の休暇制度に関するポスターの写真
提供:厚生労働省

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