3.犯罪被害者等基本計画 (平成17年12月27日閣議決定)

IV 推進体制

政府においては、基本方針及び重点課題を基礎としながら、犯罪被害者等からの要望等を踏まえ諸施策を展開していくことが重要であることは言うまでもないが、犯罪被害者等のための施策が全体として効果的・効率的に行われるためには、「施策の推進」という視点が重要である。基本法第8条においても、基本計画には、同条第2項第1号が掲げる政府が総合的かつ長期的に講ずべき施策の大綱等のほか、同項第2号に基づき、施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めることとされている。また、犯罪被害者等のための施策は、相互に密接に関連しており、その効果的・効率的な実施を図るためには、犯罪被害者等の意見に随時耳を傾けつつ、犯罪被害者等のための施策全体の中における位置付けを認識し、府省庁間の連携を十分にとり、施策相互の実施状況を照らし合わせながら企画立案を行ったり、複数の施策を調和的に実行していくことが必要である。特に、犯罪被害者等からの要望を踏まえた新たな施策を検討し実施することが重要となるが、限られた期間内に集中的に施策を企画立案し実施できるよう必要な体制を整備し、着実に取組を進めていく必要がある。

連携協力については、総論として、基本法第7条に定められており、施策の策定・実施に関する犯罪被害者等の意見の反映等については、基本法第23条に規定されているところ、これらについて、具体的な措置を、より明確にしていく必要がある。また、施策の実施の推進及び実施状況の検証・評価・監視は、犯罪被害者等施策推進会議の所掌事務であり、これについても、基本法の要請や犯罪被害者等の要望を踏まえ、適切に行っていく必要がある。

[基本法から導き出される事項]

基本法第7条からは、国として施策の推進に必要な事項として、

《1》 国の行政機関相互の連携・協力

《2》 地方公共団体との連携・協力

《3》 その他様々な関係機関・関係者との連携・協力

が掲げられ、また、基本法第23条からは、国として施策の策定及び実施において踏まえるべき事項として、

《4》 犯罪被害者等の意見の施策への適切な反映

《5》 施策策定過程の透明性の確保

が求められている。

さらには、犯罪被害者等施策推進会議の所掌事務に関連して、

《6》 施策の実施状況の検証・評価・監視

《7》 フォローアップの実施

《8》 基本計画の必要な見直し

が求められる。

[今後講じていく施策]

(1) 国の行政機関相互の連携・協力

ア 犯罪被害者等施策推進会議を活用し、関係府省庁間で重要事項の審議、施策の実施等を行っていく。

イ 犯罪被害者等施策関係省庁連絡会議(平成17年4月1日関係府省庁等申合せ)を活用し、関係府省庁等の間での随時の連絡調整等を行っていく。

ウ 犯罪被害者等施策推進会議及び内閣府において、他の政策に係る中長期的方針等に基づく各種施策と連携した犯罪被害者等のための施策の総合的な推進を図る。

(2) 地方公共団体との連携・協力

ア 内閣府において、地方公共団体のうち、知事部局における犯罪被害者等施策の窓口が未整理であるものに対しては、窓口となる部局及び体制を確認する。

イ 内閣府において、都道府県犯罪被害者等主管課室長会議(第4、1.(1)ア参照)等を活用し、地方公共団体との連携・協力を確保し、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえながら施策を推進できるよう、各地方公共団体における窓口部局との間の情報共有等を図る。

ウ 内閣府において、構造改革特別区域制度の活用を通じた地方公共団体における犯罪被害者等施策の可能性について周知を図る。

(3) その他様々な関係機関・関係者との連携・協力

ア 行政機関以外の国の機関、民間の犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体、事業者団体等と連携・協力関係を築きながら犯罪被害者等施策を講ずる。

イ 内閣府において、犯罪被害者団体等との間の情報交換に当たり、「犯罪被害者団体等専用ポータルサイト」(第4、1.(29)参照)も活用する。

(4) 犯罪被害者等の意見の施策への適切な反映

ア 内閣府において、関係省庁からの参加を得て、様々な犯罪被害者団体等から、意見を定期的に聴取する機会を設ける。

イ 内閣府において、犯罪被害者団体等の意見を、上記の機会のほか、様々な媒体により、随時受け付ける。

ウ 犯罪被害者団体等から聴取した意見について、適切に施策に反映させるよう努める。

(5) 施策策定過程の透明性の確保

ア 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の趣旨に照らし、情報公開を行っていく。

イ 犯罪被害者等施策推進会議の議事録等の施策情報について、迅速な公開に努める。

ウ 内閣府において、「犯罪被害者等施策」のホームページを、犯罪被害者等のための施策に関する情報提供窓口として適切に運用する。

(6) 施策の実施状況の検証・評価・監視

ア 犯罪被害者等施策推進会議において、施策の有効性についての検証を行い、効果的かつ適切な施策を実施させる。

イ 犯罪被害者等施策推進会議において、基本計画の作成・推進による効果についての評価を実施し、その結果を基本計画及び個別施策の改定・見直し等に反映させる。

ウ 犯罪被害者等施策推進会議において、施策の検討・決定・施行の状況について、適時適切に監視を行う。

(7) フォローアップの実施

内閣府において、定期的に施策の進捗状況を点検するとともに、点検結果に基づき、犯罪被害者等施策推進会議の行う施策の実施状況の監視と連携し、施策の実施の推進を図る。また、内閣府において、点検結果について、年次報告等を通じて公表する。

(8) 基本計画の必要な見直し

犯罪被害者等施策推進会議において、犯罪被害者等のニーズ、犯罪被害者等を取り巻く環境の変化や犯罪被害者等施策の実施の進捗状況等を踏まえて、必要に応じ、基本法第8条第5項の規定に基づき、犯罪被害者等基本計画を見直す。

※ 各府省庁が個別具体の犯罪被害者等のための施策を実施するに当たって留意すべきことを定めたものについては、関係府省庁すべてが留意すべき事項であるので府省庁名を付していない。

一方、基本計画の推進を図る内閣府並びに施策の実施の推進及び施策の実施状況の検証・評価・監視を行う犯罪被害者等施策推進会議については、当該所掌事務に基づき、担当機関名を付している。


<< 前頁   [目次]   次頁 >>