第3節 検討課題とされた施策の実現


3 損害賠償命令制度の創設

多くの被害者にとって、現行の制度の下で損害賠償請求を行う場合、高い費用と多くの労力・時間を要すること、独力では証拠が十分に得られないことなどの様々な困難があるなどの指摘があったことなどから、基本計画に基づいて、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度等について、法制審議会での審議を経て、国会に法案を提出し、審議の結果、平成19年6月に犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律等が改正されて、損害賠償命令制度が導入されることとなり、20年12月から、一定の犯罪の被害者は、刑事裁判所に対して、刑事事件で起訴されている犯罪事実を原因とした不法行為による損害賠償を被告人に命ずる旨の申立てをすることができ、申立てを受けた裁判所は、刑事事件について有罪判決をした場合、その後に当該賠償請求についての審理・決定をすることが可能となって、被害者の立証の負担が軽減されるとともに手数料も低額とされた(「損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度を新たに導入する方向での検討及び施策の実施」コラム3「法テラスの犯罪被害者支援」参照)。


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