第4節 支援等のための体制整備への取組


(28) 日本司法支援センターによる支援(情報提供など)

法テラスにおいて、平成18年10月から犯罪被害者支援業務を行っている。

業務の具体的な内容は、犯罪被害者等が、そのとき最も必要な支援が受けられるよう

・刑事手続に適切に関与したり、損害・苦痛の回復・軽減を図るための法制度に関する情報の提供

・犯罪被害者支援を行っている機関・団体の案内

・犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介

である。

利用の窓口としては、全国どこからでも3分8.5円(税別)の通話料で利用できるコールセンターのほか、全国各都道府県に地方事務所を設けており、電話や面談による問い合わせを受け付けている。コールセンターでは、相談内容を問わず、様々な法的トラブルに関する問い合わせを受け付ける一般ダイヤル(0570-078374「おなやみなし」)のほか、犯罪被害者支援ダイヤル(0570-079714「なくことないよ」)という専用の電話番号を設け、犯罪被害者支援の知識・経験を持った専門の担当者が、被害者に二次的被害を与えないよう心情に配慮しながら情報提供を行っている(利用時間:平日9:00~21:00、土曜日9:00~17:00)。犯罪被害者支援ダイヤルにおける平成19年度の受電件数は6,296件であり、内訳をみると、犯罪被害・刑事手続などに関する問い合わせのうち、生命・身体犯被害が39.9%、性被害が3.3%、配偶者等からの暴力(DV)が10.7%、ストーカーが2%などとなっている。

全国の地方事務所では、犯罪被害者等に対し、電話による情報提供のほか、担当者と直接面談しての情報提供、また、個々の状況に応じて、弁護士を紹介している。紹介する弁護士は、弁護士会からの推薦を受けている犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士で、平成20年3月現在、1,261名を紹介用名簿に登載している。19年度の紹介件数は590件であった。

また、法テラスでは、弁護士を通じた援助制度として、経済的余裕がない者に民事訴訟などにおける弁護士費用などを立て替える民事法律扶助業務(「日本司法支援センターによる支援(民事法律扶助制度の活用)」参照)を行っており、平成19年10月には、日本弁護士連合会から委託を受けて法律援助に関する業務を開始した。この業務は、民事法律扶助制度などではカバーされない者を対象に、人権救済の観点から弁護士費用の援助を行うもので、生命、身体、自由又は性的自由に対する犯罪、配偶者等からの暴力(DV)、ストーカー行為による被害を受けた者などに係る刑事・行政手続など代理活動を援助する「犯罪被害者法律援助」や、虐待やいじめなどを受けた子どもに係る行政手続や訴訟の代理活動を援助する「子どもに対する法律援助」などがある。

これらの取組を通じて、法テラスは、犯罪被害者等が必要とする支援にたどり着けるよう、犯罪被害者等の相談内容に応じた最適の専門機関・団体を紹介するコーディネーターとしての役割を果たしている(法テラスホームページ「法テラスの業務(犯罪被害者支援業務)」:http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/hanzaihigaishashien/)。

法テラスの犯罪被害者支援業務においては、警察庁や日本弁護士連合会などの関係機関・団体に対する法テラスの周知とともに、これら関係機関・団体と十分な連携を図っていくことが求められる。平成20年2月から同年3月にかけ、地方事務所から関係機関・団体などに対して「法テラスが行う犯罪被害者支援業務に関するアンケート」を実施したところ、弁護士会をはじめ、地方検察庁、都道府県警察、都道府県福祉主管課、女性センター、児童相談所、精神保健福祉センター、民間犯罪被害者支援団体など、1,376の団体などから回答を得た。同調査の結果、前回の調査よりも法テラスの犯罪被害者支援業務に関する認知度の向上が見られた。

現在、各都道府県警察などが事務局となっている被害者支援連絡協議会には、ほぼすべての地方事務所が加盟しているほか、警察、日本弁護士連合会、地方公共団体、民間被害者支援団体などの関係機関・団体を招いて、地方協議会を開催し、連携・協力関係構築に関する理解を求めるなどの取組を行っている。

今後は、各地の関係機関・団体とより緊密な連携・協力関係を構築するため、関係機関・団体が実施する連絡会議などでの業務説明や協力要請、実務担当者による情報交換の実施など、引き続き、積極的な働きかけ、取組を行っていく。

また、国民への制度周知・広報の取組としては、Q&Aリーフレット(「犯罪被害者支援Q&A」、「ドメスティックバイオレンス(DV)」)などの各種広報物を発行し(法テラスホームページ「刊行物」:http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/kankoubutsu/)、地方公共団体などの窓口への備え置きを依頼したり、各団体の機関紙における法テラスの紹介記事を掲載してもらうなど、関係機関・団体を通じた地道な広報活動を進めているほか、全国各地で新聞、ラジオ、交通広告などのマスメディアを利用した広報を展開した。

さらに、平成20年1月にはホームページをリニューアルし、「犯罪被害」などのカテゴリーごとに問い合わせの多い事例や具体的な法制度情報に関する様々なコンテンツを掲載するなどして、ホームページへのアクセス数増加を図った。

今後、法テラスの存在の周知とともに、法テラスにおける犯罪被害者等に対する援助制度についての周知・広報に努めていく。

Q&Aリーフレット(「犯罪被害者支援Q&A」、「ドメスティックバイオレンス(DV)」)の写真

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