第2節 精神的・身体的被害の回復・防止への取組


(2) 企業及び行政対象暴力対策の推進

警察において、企業及び行政対象暴力事犯に対して、検挙の徹底、「暴力団対策法」の効果的な運用に努めるとともに、都道府県暴力追放運動推進センターと連携して、不当要求防止責任者*6に対する講習を実施したり、パンフレットを作成したりするなどして、犯罪被害者等の保護、救済を図っている。都道府県警察において、平成19年度中に不当要求防止責任者講習を1,878回実施し、合計7万9,523人が受講した。

企業対象暴力対策については、都道府県警察本部に「企業対象暴力対策本部」を設置して、各種相談体制の充実、企業や業界全体に対する指導、広報啓発活動、情報に応じた保護対策などを積極的に行っている。平成20年3月、不当要求防止責任者講習などにおける活用を目的とした民事介入暴力対策啓発ビデオ「シャットアウト 企業対象暴力」を作成し、犯罪対策閣僚会議幹事会において策定された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の普及を図った。

行政対象暴力対策については、全国の地方公共団体に対して、暴力団などの不当要求に対する組織的な対応を規定する、いわゆるコンプライアンス条例・要綱などを制定するよう働きかけを行っている。平成20年6月末には、コンプライアンス条例・要綱などは全国の地方公共団体の99.7%(18年末比4.1ポイント上昇)で制定されており、行政機関などにおける不当要求防止責任者数は11万3,745人となった。

行政機関などにおける組織的対応の強化を推進するため、平成15年7月以降、「行政対象暴力関係省庁等連絡会議」を5回にわたって開催した。

以上の施策を推進した結果、平成19年中は、333件の企業及び行政対象暴力事犯を検挙した。

なお、平成20年5月に改正された暴力団対策法により、行政機関などを相手方とした、指定暴力団員による行政庁が行う許認可に関する不当要求や国などが行う公共工事の入札・契約に関する不当要求について、中止命令などを発出できることとされた。

▼不当要求被害防止広報啓発ポスター
不当要求被害防止広報啓発ポスターの写真
▼民事介入暴力対策啓発ビデオ
民事介入暴力対策啓発ビデオの写真
提供:警察庁

(*6) 各事業所に選任された、不当要求による事業者や使用者などの被害を防止するために必要な業務を行うこととされている者


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