第1節 損害回復・経済的支援等への取組


《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む)》

(10) 損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度を新たに導入する方向での検討及び施策の実施

法務省において、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律」(平成18年法律第86号)、「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」(平成18年法律第87号)を立案し、両法は平成18年6月、成立した(ともに同年12月施行)。これにより、一定の場合に、財産犯などの犯罪行為により犯人が得た財産である犯罪被害財産を没収・追徴した上で、検察官が、これを被害回復給付金として当該事案の被害者等に支給することが可能となった。

平成20年5月には、五菱会(ごりょうかい)ヤミ金融事件において、事件関係者によりスイス連邦の銀行に送金されて隠匿され、同国チューリッヒ州により没収されていた犯罪被害財産等の一部(約29億円)が日本に譲与された。東京地方検察庁では、同年7月25日、「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」に基づき、上記の外国譲与財産などを被害者の方々に被害回復給付金として支給するための手続である「外国譲与財産支給手続」を開始する決定をし、同決定の内容を官報に公告した。

損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度に関しては、平成19年3月13日、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を国会に提出した。同法律案は、同年6月20日、可決、成立した(同月27日公布。平成19年法律第95号)。

本法律により、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が一部改正され、刑事裁判所が、刑事事件について有罪の言渡しをした後、犯罪被害者等の被告人に対する損害賠償請求について、審理・決定をすることができる「損害賠償命令制度」が創設された(平成20年12月1日施行)。

現在、法律の施行に向けて、所要の準備を進めている。


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