第3節 刑事手続への関与拡充への取組


COLUMN 5

更生保護における犯罪被害者等施策


更生保護とは、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域社会の中で援助し、その再犯を防ぐための制度です。刑事司法の一環として、社会を保護し、個人と公共の福祉を増進することが制度の目的であり、犯罪被害者等の方々に配慮することは、制度の目的に含まれています。

更生保護における犯罪被害者等施策の写真

更生保護は、全国8箇所にある地方更生保護委員会と、全国50箇所にある保護観察所がその業務を担っています(「更生保護の組織」:http://www.moj.go.jp/HOGO/hogo03.html)。基本計画には、更生保護が取り組むべき様々なことが規定されたことから、更生保護の分野においても、平成19年12月1日に次の4つの犯罪被害者等施策が開始されました。


(1) 意見等聴取制度

(2) 心情等伝達制度

(3) 被害者等通知制度

(4) 相談・支援


このコラムでは、これらの更生保護における犯罪被害者等施策を紹介します。

保護観察所の写真
保護観察所

「主な犯罪被害者相談窓口」

犯罪被害者等の主な相談窓口として、都道府県・政令指定都市の施策担当/窓口部局等、警察の被害者相談窓口、全国被害者支援ネットワーク加盟の民間団体、日本司法支援センター(法テラス)などがあります(内閣府HPより)が、平成19年12月からは、これらに加え、保護観察所も、主な相談窓口の一翼を担うこととされました。


(1) 意見等聴取制度

意見等聴取制度の図

(2) 心情等伝達制度

心情等伝達制度の図

(3) 更生保護における被害者等通知制度

平成19年12月から、更生保護官署において、犯罪被害者等の方々の申出に基づき加害者の処遇状況などを通知することになりました。

更生保護における被害者等通知制度の図

―通知希望申出先・通知を受けることができる犯罪被害者等の範囲―

■加害者が刑事処分になった場合

申出先は、加害者に有罪の裁判を言い渡した裁判所に対応する検察庁です。通知を受けることができる犯罪被害者等は、<1>犯罪被害者、<2>犯罪被害者の親族又はこれに準ずる者、<3><1>又は<2>の弁護士である代理人です。

■加害者が保護処分になった場合

申出先は、加害者が少年院送致処分となった場合は少年鑑別所、保護観察処分となった場合は保護観察所です。通知を受けることができる犯罪被害者等は、<1>犯罪被害者、<2>犯罪被害者の法定代理人、<3>犯罪被害者が死亡した場合又はその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹、<4><1>~<3>から委託を受けた弁護士です。


(4) 相談・支援

◎ 犯罪被害に遭われた方やその親族が利用できます。

◎ 被害の回復等や刑事事件に関する手続への適切な関与のために、

○悩み、不安等を聴く

○関係機関等を紹介し、その利用を助ける

○更生保護における施策等に関する情報を提供する

などの支援が行われます。

犯罪被害者等施策の現場から

更生保護における犯罪被害者等施策を実施するに当たり、各保護観察所に、被害者担当官及び被害者担当保護司を配置しました。担当者は、その任期中は、加害者の保護観察などを行わないこととしています。


被害者担当官 63名

被害者担当保護司 108名

(平成20年4月現在)

保護観察所の面談室の写真
保護観察所の面談室
被害者担当官の写真

少しでも被害者の方々の役に立てればと思っていますので、更生保護官署の制度をご利用したいときは、お気軽にご相談ください。

保護観察所で、説明用のリーフレットを配布しています。概要等は、ホームページでもご覧いただけます。

http://www.moj.go.jp/HOGO/victim.html


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