平成19年版 犯罪被害者白書
3.犯罪被害者等基本計画 (平成17年12月27日閣議決定)

2.給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)

[現状認識]

 多くの犯罪被害者等は、思いがけない犯罪等により、生命を奪われ、身体を損なわれ、かけがえのない財産を奪われ、多大の損害を被る。しかし、犯罪被害者等が、自ら、加害者に損害賠償の請求を行っても、十分な回復を期待できないことが多いといわれている。また、犯罪被害者等は、犯罪等に遭ったその時点で受ける損害だけでなく、働き手を失ったことによる収入の途絶や長期の療養のための費用負担などにより、遠い将来にわたって、経済的困窮に苦しむことになる者が少なくない。こうした過酷な経済的負担・困窮は、犯罪被害者等の精神的・身体的被害にも悪影響を与え、その回復を困難にするばかりか悪化させることにもなる。加害者による実効的で十分な損害の賠償が期待できない場合などには、国等による積極的な救済制度が必要である。現在、国が行っている主な制度としては、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律(昭和55年法律第36号)及び自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)に定められたものがある。また、地方公共団体において、類似の趣旨の制度を設けている例もみられる。しかし、過酷な経済的負担・困窮に苦しむ犯罪被害者等にとっては、現在の犯罪被害給付制度等では不十分であるとの指摘がある。

[基本法が求める基本的施策]

 基本法第13条は、国及び地方公共団体に対し、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るための施策として、

・犯罪被害者等に対する給付金の支給に係る制度の充実

・その他の必要な施策

を講ずることとしている。

[犯罪被害者等の要望に係る施策]

 犯罪被害者団体等からは、

《1》 犯罪被害給付制度における給付金額の増加、給付対象の拡大、年金方式による支給等制度の充実

《2》 罰金を財源とした犯罪被害者等補償制度の創設

《3》 医療費、介護費、遺体搬送費、葬儀費用及び通院のための交通費等の補償制度の創設

《4》 医療費の無料化

《5》 医療保険利用の利便性確保

に関する種々の要望が寄せられている。

[今後講じていく施策]

(1) 現行の犯罪被害給付制度の運用改善

 現行の犯罪被害給付制度の周知徹底、迅速な裁定等運用面の改善を図る。【警察庁】

(2) 犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲等の拡大

 警察庁において、犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲及び親族間犯罪の被害に係る支給について、現状よりも拡大する必要があることを前提に、必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する。【警察庁】

(3) 経済的支援を手厚くするための制度のあるべき姿及び財源に関する検討並びに施策の実施

 犯罪被 害者等に対する経済的支援制度を現状よりも手厚いものとする必要があることを前提に、犯罪被害者等が行う損害賠償請求に対する国の補償等の在り方に関する検討を含め、社会保障・福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源を検討するため、推進会議の下に、有識者並びに内閣府、警察庁、法務省及び厚生労働省から成る検討のための会を設置し、必要な調査を行い、2年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する。【内閣府・警察庁・法務省・厚生労働省】

(4) 性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費の負担軽減

 警察庁において、性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費について、その経済的負担を軽減する必要があることを前提に、支給方法の検討を含め、必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する。【警察庁】

(5) 司法解剖後の遺体搬送費等に対する措置

 犯罪被害給付制度とは別に、各都道府県警察において、司法解剖後の遺体搬送費及び遺体修復費を措置する制度を積極的に推進する。【警察庁】

(6) 医療保険利用の利便性確保

 厚生労働省において、警察庁の協力を得て、犯罪被害者等における医療保険利用の利便性確保につき、現状に関する必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【厚生労働省】


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