〔平成18年度から19年度前半までの主な新規・拡充施策を記述〕
第1節 損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)
○ 日本司法支援センター(愛称:法テラス、以下「法テラス」という。)において、犯罪被害者支援ダイヤル(0570-079714(なくことないよ))を設置。資力の乏しい犯罪被害者等に対し、無料法律相談や裁判費用などの立替えを行う民事法律扶助制度の利用について案内。

○ 平成18年5月、受刑者本人から損害賠償への充当などの申し出があった場合、認められた額の作業報奨金を釈放前に犯罪被害者等に支給可能とする「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」(平成17年法律第50号)*1を施行。

(*1)平成19年6月、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」に題名変更。以下同じ。

○ 平成18年12月、財産犯などの犯罪行為による犯罪被害財産を没収・追徴し、被害回復給付金として犯罪被害者等に支給するための「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律」(平成18年法律第86号)及び「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」(平成18年法律第87号)を施行。

○ 平成19年6月、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(平成19年法律第95号)が成立。刑事事件について有罪の言い渡しをした後、当該刑事事件の裁判所において、損害賠償請求についての審理・決定をすることができる「損害賠償命令制度」を導入(公布の日から起算し1年6月以内に施行)。

2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)
○ 平成18年4月、犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給要件の緩和や支給対象期間の延長などを行うとともに、親族間の犯罪における支給制限を緩和。平成18年度の裁定金額は、1,272百万円(前年比139百万円増)。

▼犯罪被害者等給付金の申請・裁定・決定状況

区分 16年度 17年度 18年度 前年比
申請に係る被害者数(人) 458 465 491 +26
裁定に係る被害者数(人) 465 412 458 +46
  支給裁定に係る被害者数 448 394 435 +41
不支給裁定に係る被害者数 17 18 23 +5
仮給付決定に係る被害者数(人) 36 30 20 -10
裁定金額(百万円) 1,247 1,133 1,272 +139

提供:警察庁

○ 「経済的支援に関する検討会」において、社会保障・福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源などについて検討。平成19年6月、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充やカウンセリングについての配慮などを内容とする中間取りまとめを推進会議に報告。国民からの意見募集の結果を踏まえ、最終取りまとめに向け検討中。

○ 平成18年度から、性犯罪被害者に対し、緊急避妊などに要する経費(初診料、診断書料、検査費用、中絶費用などを含む。)を援助。

○ 平成18年7月、地方社会保険事務局に対し、<1>犯罪被害者等が医療機関の窓口において保険診療の実施を拒まれることがあるかどうか現状把握に努めること、<2>そのような事例があった場合には厚生労働省へ報告するとともに当該医療機関に対して適切な指導を行うことを指示。

▼犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲等の拡大
犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲等の拡大
提供:警察庁

3 居住の安定(基本法第16条関係)
○ 公営住宅について、犯罪被害者等の優先入居や目的外使用、DV被害者の単身入居などを、事業主体と警察当局などが連携し、実施中。

4 雇用の安定(基本法第17条関係)
○ 平成18年度、犯罪被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入についてアンケートを実施。現在、周知のためのリーフレットを作成中。


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