第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(15) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護

 警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮していくこととされた。

 犯罪被害者等基本計画における本記載は、警察が従来から行ってきた内容であるが、引き続き適切な発表がなされるよう、基本計画策定直後の平成17年12月28日、警察庁より都道府県警察に対し通達を発出したところであり、また、平成18年2月3日には、都道府県警察の広報担当及び捜査主管課課長等を招致した全国会議を開催し、都道府県警察に対して指導を行っている。加えて、被害者の実名発表、匿名発表をテーマとした各県の報道責任者からの申入れに対して、警察本部長等が警察の考え方を説明する懇談を実施している(平成18年6月末現在、26の県で実施)。

 引き続き、都道府県警察において適切な報道発表を行うこととしており、報道機関への説明や警察庁から各都道府県警察への指導も行っていく。

(16) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護に配慮した地域における犯罪発生状況等の情報提供の実施

 警察において、被害者が特定されないよう工夫した上で、ウェブサイト上等に性犯罪を含め身近な犯罪の発生状況を掲載する等により、都道府県警察が地域住民に対し、住民自らが積極的に防犯対策を講ずる契機となり得るような情報提供に努めることとされた。

 犯罪発生状況等の情報提供は、各都道府県警察において、ここ数年で急速に進められてきており、平成17年末時点で、内容はそれぞれ異なるが、すべての都道府県警察で、ホームページを開設して犯罪発生の情勢や不審者に係る情報等の防犯情報を掲載している。また、ホームページにおける防犯情報コーナーへのアクセスが容易となるよう、各都道府県警察ホームページのトップに明示的にリンクを掲げる等、直接アクセスできるような工夫も行われている。加えて、防犯対策に係る冊子やチラシをホームページに掲載し、様々な関係者がプリンターで印字して使用できるような取組や、防犯対策に係るビデオを国民が自宅で視聴できるようホームページに掲載するといった例も見られる。

 ウェブサイト以外での情報提供については、一部の都道府県において、携帯電話やパソコンのメール機能を利用した、あらかじめ登録した住民等に対する犯罪発生の状況や不審者(声かけ)情報等の身近な情報を発信する取組も始められている。また、テレビやラジオでの定期的な情報提供体制を構築したり、新聞の折り込みチラシ等を活用している都道府県もある。

 各都道府県警察においては、引き続き、こうした情報提供を行っていく。

(17) 交通事故の実態及びその悲惨さについての理解の増進に資するデータの公表

 警察において、国民に対し、交通事故の実態やその悲惨さについての理解の増進が十分に図れるよう、事故類型や年齢層別等交通事故に関する様々なデータを公表し、その実態等について周知を図ることとされた。これまでも各種データの公表等、周知を図っており今後とも、被害者等の要望や意見を踏まえ、引き続き、その周知を図っていく。

交通事故被害者と遺族の精神的苦痛の様子

出典:警察庁ホームページ



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