第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(5) 警察庁における犯罪被害の実態等についての継続的調査研究

 警察庁において、犯罪被害の実態等についての調査研究を継続的に実施し、警察の行う被害者支援の更なる充実に活かしていくこととされた。

 被害者支援施策に資するため、従来から、学識経験者や実務家とも連携して、殺人、性犯罪等の被害類型ごとに実態調査を行い、被害者への対応の在り方等その後の被害者支援の参考としている。

 重傷病を負った被害者の加療・入院期間等に関する実態調査を実施し、重傷病給付金の支給要件の緩和、支給対象期間の延長等を内容とする犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行令等の一部改正に反映している。

(6) 法務省における「犯罪被害実態調査」の調査方法に関する検討

 法務省において、これまで行った「犯罪被害実態調査」と同種の調査を継続的に実施する方向で検討するとともに、性的暴行被害等についてより一層精緻な数値を得られるよう調査方法の検討を早期に行い、その結果を同調査に反映することとされた。

 これまで、国連が中心となって行った「国際犯罪被害実態調査」に法務省が参加する形で、平成11、15年度に「犯罪被害実態調査」を実施しており、前回の調査結果を踏まえた上、より一層精緻な数値を得られるよう、法務省法務総合研究所担当研究官において、質問方法・質問項目等について検討している。

 平成19年度に、国連が中心となって行う「国際犯罪被害実態調査」に参加する形での国内調査を実施すべく検討・準備中である。

(7) 脳死及び臓器移植に関する犯罪被害者等への配慮

 厚生労働省において、臓器提供者(交通事故被害者を含む。)の家族(以下「ドナー家族」という。)に特有な心理的な問題等について、「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」の下に設置された「ドナー家族の心情把握等作業班」により、現状把握に努めることとされた。

 平成14年12月25日に第1回会議を開催してから、平成16年末までに計5回の作業班会議を開催している。

 その後、計3回の作業班会議を開催し、ドナー家族の一部からのヒアリング等を実施する等、ドナー家族の心情把握等の方法について検討した。

 これまでの検討内容を踏まえて、ドナー家族の心情把握等の方法について検討を進め、引き続きドナー家族の心情把握等に努めていく。

(8) 警察における被害者支援に携わる職員等への研修の充実

 警察において、《1》採用時及び上位の階級又は職に昇任した際に行われる犯罪被害者等支援に関する基礎的な研修、《2》被害者支援担当部署に配置された職員に対する犯罪被害者等支援の実践的技能を修得させるための臨床心理士によるロールプレイ方式による演習等を含む専門的な研修、《3》カウンセリング業務に従事する職員等に対する基礎的な教育及び実践的・専門的な教育等の充実を図っていくこととされた。

 各級警察学校及び職場において、警察職員に対し、被害者対策の教育を行っているところである。

 各級警察学校における被害者対策教育として、同学校においては、新たに採用された警察職員に対する採用時教育、専門分野に任用する警察官に対する部門別任用時教育、昇任した警察職員に対する昇任時教育、被害者対策に従事する警察職員に対する専科等の教育において、被害者対策の教育を行っている。

 職場における被害者対策教育として、警察署等の職場においては、集合時等の機会を利用した教育、警察本部主管課指導者による巡回指導、部外専門家による講演会等を実施し、被害者対策の教育を行っている。

(9) 犯罪等による被害を受けた児童の継続的な支援を行う警察職員の技能取得

 警察において、犯罪等による被害を受けた児童の継続的な支援を行う少年補導職員、少年相談専門職員について、講習・研修等により、カウンセリングの技法等必要な専門技術等を修得できるよう努めるとともに、専門的能力を備えた者の配置に努めていくこととされた。

 都道府県警察の少年サポートセンター等に勤務する被害児童の継続的な支援を行う少年補導職員、少年相談専門職員等に対し、大学教授やカウンセラー等の専門家を講師としたカウンセリングの技法に関する講習(カウンセリング技術専科等)を実施している。また、大学の研究者、精神科医、臨床心理士等部外の専門家を被害少年カウンセリングアドバイザーとして委嘱し、支援を担当する職員が専門的な助言を受けることができるようにしている。

(10) 法務省における犯罪被害者等支援に関する職員研修の充実等

 第2節3「保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)」(13)を参照。

(11) 日本司法支援センターが蓄積した情報やノウハウの提供

 平成18年4月10日に日本司法支援センターを設立し、同年10月2日から業務を開始しており、犯罪被害者等支援業務の実施を通じて日本司法支援センターが蓄積した情報やノウハウについて、研修や講習を通じて犯罪被害者等支援に携わる関係者に提供していくこととしている(日本司法支援センターホームページ:http://www.houterasu.or.jp/)。

(12) 学校における相談対応能力の向上等

 第4節1「相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)」(25)を参照。

(13) 臨床心理士による犯罪被害者等に対する支援活動についての調査研究の実施

 文部科学省において、犯罪等による被害への精神的支援の重要性を踏まえ、財団法人日本臨床心理士資格認定協会に委嘱している「臨床心理士の資質向上に関する調査研究」において、犯罪被害者等に対する支援活動について調査研究を実施することとされた。

 現在、財団法人日本臨床心理士資格認定協会と、事業の具体的内容について検討中である(財団法人日本臨床心理士資格認定協会:http://www4.ocn.ne.jp/~jcbcp/)。

(14) 虐待を受けた子どもの保護等に携わる者の研修の充実

 厚生労働省において、虐待を受けた子どもの保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるように、児童相談所及び児童福祉施設等関係機関の職員、市町村職員及び保健機関等の職員の資質の向上等を図るための研修の充実を図っていくこととされた。

 児童虐待問題や非行・暴力等の思春期問題に対応する第一線の専門的援助者の養成等を行う「日本虐待・思春期問題情報研修センター(子どもの虹情報研修センター)」(http://www.crc-japan.net/index.php)において、児童相談所、児童福祉施設、市町村職員、保健機関等の職員を対象とする各種の専門研修を行い、これら職員の資質の向上が図られている。

(15) 民間の団体の研修に対する支援

 警察、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省において犯罪被害者等の援助を行う民間の団体に対し、それらの団体が実施するボランティア等の養成・研修への講師の派遣等の支援に努めていくこととされた。

 警察においては、各都道府県警察において、民間被害者支援団体が実施するボランティア等の養成・研修への講師の派遣等の支援に努めている。

 法務省においては、犯罪被害者等の支援を行う民間の団体が実施する研修に検察官等を講師として派遣している。

 文部科学省においては、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体が実施するボランティア等の養成・研修に際し、それらの団体から要請があった場合、大学等から講師を派遣する等の協力に努めている。

 厚生労働省においては、犯罪被害者等の支援を行う民間団体への講師派遣等の協力について、都道府県等への周知に努めている。全国の児童相談所では虐待対策に取り組む民間団体が実施する養成・研修事業等について、積極的に対応し、また、都道府県婦人相談所では、配偶者からの暴力被害者等の支援を行う民間の団体が実施する支援者等の養成・研修に対し、職員の講師派遣を行う等の支援を実施している。

 国土交通省においては、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体より、ボランティア等の養成・研修への講師の派遣等の要請がある場合には支援に努めている。

《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む。)》

(16) 犯罪被害者等支援のコーディネーター等の育成の在り方についての検討

 第4節1「相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)」(45)を参照。



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