第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(12) 交通事故捜査の体制強化等

 各都道府県警察本部において、交通事故捜査担当課に事故捜査指導官を配置して警察署等に対する指導を強化するとともに、交通鑑識係を設置し、交通事故現場における鑑識活動を強化している。

 また、個々の捜査員の能力向上を図るため、交通事故捜査員に対する交通事故鑑定専科を始めとする各種捜査研修を実施するとともに、迅速・的確な交通事故捜査を推進するため、交通事故自動記録装置(交通事故の衝突音、スリップ音を感知し、事故の直前、瞬間、直後の状況を録画する装置)を始めとする捜査支援機器の整備・活用を図り交通事故捜査の充実に努めている。

 警察庁においては、平成18年春の組織改編により、交通事故事件捜査指導室を設置するとともに要員も増強し、各都道府県警察本部の事故事件捜査を指導する体制を強化した。また、千葉県警察において交通捜査課を、岡山県警察において交通鑑識係をそれぞれ新設する等、各都道府県警察においても交通事故事件捜査の体制強化に努めている。

(13) 交通事件に関する講義の充実

 第2節3「保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)」(13)を参照。

(14) 不起訴事案に関する適切な情報提供

 法務省において、不起訴記録の弾力的開示等現行制度を周知徹底させるとともに、不起訴処分について、犯罪被害者等の希望に応じ、検察官が、捜査への支障等を勘案しつつ、事前・事後に、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努めていくこととされた。

 不起訴記録の弾力的開示等現行制度の周知徹底については、第1節1「損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)」(6)を参照。

 不起訴処分に関する説明の実施については、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、本施策の実施につき適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っている。

▼被害者連絡制度の概要

被害者連絡制度の概要

出典:警察庁ホームページ

(15) 検察官に対する児童又は女性の犯罪被害者等への配慮に関する研修の充実

 第2節3「保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)」(13)を参照。

(16) 判決確定後の加害者情報の警察に対する提供の充実

 第2節2「安全の確保(基本法第15条関係)」(8)を参照。

(17) 受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用

 法務省において、受刑中の加害者との面会・信書の発受を希望する犯罪被害者等に関し、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号)に基づき、受刑中の者と犯罪被害者等との面会・信書の発受が適切に運用されるように努めることとされた。

 これまでの旧監獄法(明治41年法律第28号)においては、受刑者の面会及び信書の発受の相手方は原則として親族に限定され、被害者等と受刑者の面会や信書の発受はほとんど認められなかった。刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号)の施行(平成18年5月24日)に伴い、平成18年5月23日に「受刑者の外部交通に関する訓令の運用について」を発出し、被害者等に面会を希望する真摯な事情がある場合には受刑者との面会を許すことができること、被害者等からの受刑者あて信書については原則として制限することなく許可すべきこと等、被害者等と受刑者の面会及び信書の発受の取扱いについて指針を示している。

(18) 犯罪被害者等の意見等を踏まえた適切な加害者処遇の推進

 矯正施設における「被害者の視点を取り入れた教育」の内容の充実及び保護観察処遇におけるしょく罪指導の徹底については、第2節2「安全の確保(基本法第15条関係)」(17)を参照。

 法務省において、保護処分の執行に資するため、関係機関と連携して犯罪被害者に関する事項の必要な情報の収集及び少年簿への適切な記載に努めることとされた。

 矯正施設においては、被害者や遺族の実情を直接調査することはできないが、これまでも家庭裁判所や保護観察所等の関係機関や保護者から得られた情報を、その都度少年簿に記載してきたところである。

 今後も家庭裁判所や保護観察所等の関係機関と連携し、一層必要な情報の収集及び記載ができるよう努めていく。

(19) 犯罪被害者等の視点を取り入れた交通事犯被収容者に対する更生プログラムの整備等

 法務省において、交通事犯被収容者に対する更生プログラムの整備等を図ることとされた。

 そこで、刑事施設、少年院双方において、平成16年度に開催した「被害者の視点を取り入れた教育」研究会における提言等を踏まえて策定した標準プログラムに基づき、被害者感情理解用オリジナルビデオ教材等を活用した指導を実施し、平成17年度末に「被害者の視点を取り入れた教育」研究会のフォローアップ報告会を開催し、これまでの取組について検証した。平成18年度においては、犯罪被害者等や支援団体の方々から直接話を伺うゲストスピーカー制度を拡大する等、同教育の充実に努め、刑事施設においては、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行(平成18年5月24日)に伴い、必要な者には被害者の視点を取り入れた教育を義務付け、被害者の視点を取り入れた交通安全指導プログラムを策定している。

(20) 仮釈放における犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

 第2節2「安全の確保(基本法第15条関係)」(17)を参照。

(21) 矯正施設職員及び更生保護官署職員に対する研修等の充実

 法務省において、矯正施設職員及び更生保護官署職員に対する犯罪被害者等やその支援に携わる者による講義の実施等、犯罪被害者等の置かれている現状や心情等への理解を深める研修の充実を図ることとされた。

 これまでも、矯正施設の上級幹部要員や更生保護官署職員を対象とする研修において、犯罪被害者団体等の関係者を講師として招へいし、講義を行っており、矯正施設の新規採用職員や初級幹部要員に対する研修においては、平成17年4月から、科目として「犯罪被害者の視点」を新設する等、犯罪被害者等の置かれている現状や心情等の理解を深めるため、犯罪被害者やその支援に携わる方等を講師として招く等、研修の充実を図っている。



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