第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(15) ビデオリンク等の措置の適切な運用

 法務省において、裁判所におけるビデオリンク装置の配備の進展等を踏まえ、ビデオリンク等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努めていくこととされた。

 そこで、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、制度の運用において適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っている。また、施策の実施状況の把握に努め、対外的にも刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明した被害者向けパンフレット(「犯罪被害者の方々へ」)を全国検察庁や警察署等において被害者に配布するほか、法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/)に掲載して、周知徹底を図っている。

 平成17年から平成18年5月までの間に、公判期日に心情その他の意見を陳述した被害者等のうち付添いの措置が採られた被害者等の延べ数は13件、遮へいの措置が採られた被害者等の延べ数は39件、ビデオリンク方式による意見陳述が行われた被害者等の延べ数は3件である。また、証人尋問の際に付添いの措置が採られた証人の延べ数は94件、証人尋問の際に遮へいの措置が採られた証人の延べ数は1,608件、ビデオリンク方式による証人尋問が行われた証人の延べ数は303件であった(最高裁判所事務総局の資料による)。

 本施策は、検察庁ホームページや裁判所ホームページ上で確認することができる(検察庁ホームページ:http://www.kensatsu.go.jp/、裁判所ホームページ:http://www.courts.go.jp/)。

(16) 警察における犯罪被害者等のための施設の改善

 警察において、これまで整備された被害者専用の事情聴取室の活用のほか、被害者対策用車両の整備を進める等、施設等の改善に努めることとされた。

 被害者の事情聴取に当たっては、警察では、その心情に配意し、応接セットを備えたり、照明や内装を改善した部屋を利用できるようにする等して、被害者が安心して事情聴取に応じられるようにするため、施設の改善に努めている。

 また、被害者は、警察署や交番等の警察施設に立ち入ること自体に抵抗を感じる場合があることから、機動的に被害者の指定する場所に赴くことができ、かつ被害者のプライバシー保護等に配意しながら必要な事情聴取や実況見分等を行えるよう、移動式被害者用事情聴取室ともいえる「被害者対策用車両」を導入して、被害者からの相談や届出の受理、事情聴取等に活用している。

 さらに、犯罪被害の届出等に際して交番等の警察施設に出入りすること自体に抵抗を覚える被害者等に対して、安心して相談や事情聴取を受けられるよう警察施設以外の相談スペース、県施設、ホテル、大学等を借り上げている(警察施設外の相談会場借上げ(国庫補助金):平成17年度 14百万円、平成18年度 14百万円)。

 被害者対策用車両について、平成17、18年度にそれぞれ58台を増強整備した(被害者対策用車両の整備(国費):平成17年度 123百万円、平成18年度 116百万円)。また、平成18年には、全都道府県全警察署に事情聴取室(応接)を整備した。

▼被害者相談室(警視庁)

被害者相談室(警視庁)

提供:警察庁


▼被害者対策用車両

被害者対策用車両

被害者対策用車両 室内

提供:警察庁

(17) 検察庁における犯罪被害者等のための待合室の設置

 法務省において、庁舎の建て替えを予定している検察庁については、被害者専用待合室を設置し、それ以外の検察庁については、スペースの有無、設置場所等を勘案しつつ、専用待合室の設置について検討していくこととされた。

 平成17年度に新営された検察庁1庁舎について、被害者専用待合室が設置されており、平成18年度中に建て替えが完了する見込みの検察庁4庁舎について、被害者専用待合室を設置することとしている。



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