日時: | 平成21年12月17日(木) 10:00~11:55 | |
場所: | 中央合同庁舎4号館4階 共用第2特別会議室 | |
出席者: | ||
議長 | 山上 皓 | 特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワーク理事長 |
大久保 恵美子 | 社団法人被害者支援都民センター理事 | |
久保 潔 | 元読売新聞東京本社論説副委員長 | |
小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 | |
瀬川 晃 | 同志社大学法学部教授 | |
中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長 | |
松村 恒夫 | 全国犯罪被害者の会(あすの会)副代表幹事 | |
山田 勝利 | 弁護士 | |
殿川 一郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 | |
坂口 正芳 | 警察庁長官官房総括審議官 | |
田中 栄一 | 総務省大臣官房総括審議官 | |
甲斐 行夫 | 法務省大臣官房参事官 | |
代理 | 磯谷 桂介 | 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 |
代理 | 伊奈川 秀和 | 厚生労働省社会保障担当参事官 |
代理 | 中井川 誠 | 国土交通省住宅政策課長 |
オブザーバー | 浅香 竜太 | 最高裁判所家庭局第二課長 |
(議事内容)
○殿川室長 それでは、ただいまから「第7回基本計画推進専門委員等会議」 を開催いたします。
以降、司会進行につきましては、議長の山上委員によろしくお願い申し上げます。
○山上議長 それでは、司会を務めさせていただきます。
本日は、大島副大臣に御出席をいただいておりますので、ごあいさつをいただきます。大島副大臣、よろしくお願いいたします。
○大島副大臣 おはようございます。内閣府副大臣の大島です。
委員の皆様におかれましては、12月のお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
今月は、犯罪被害者等基本法が成立をいたしましてちょうど5年目に当たります。この間、ここにお集まりの皆様を初め、民間団体、関係省庁の皆様のお力によりまして犯罪被害者等施策は着実に進展していると考えております。しかしながら、この犯罪被害者等施策は歴史も浅く、また、近年、さまざまな凶悪犯罪が後を断たないことから、引き続き犯罪被害者の視点に立った、より一層きめ細やかな支援を進めていかなければなりません。
本日の会議では、犯罪被害者等施策の進捗状況の検証に加え、犯罪被害者団 体・支援団体からの意見聴取会における要望についての報告を予定しております。犯罪被害者等の権利利益の保護が図られ、だれもが尊厳を持って生き生きと暮らせる社会の実現のため、次期犯罪被害者等基本計画を犯罪被害者等の思いに十分応える、中身の濃いものにする必要があります。
本日の会議において次期基本計画の策定に向けた意義深い議論がなされることを期待しまして、私のあいさつとさせていただきます。
○山上議長 どうもありがとうございます。
大島副大臣は、この後、公務のために退室をされるということでございます。
○大島副大臣 すみません。年末で予算編成、税制とか、いろいろと重なっておりまして、誠に申し訳ないのですけれども、本来であれば最後まで皆さんの御議論を伺いたいところなのですけれども、それは後日、今日の議事を一読させていただくことでお許しをいただいて、この場で退室をさせていただきます。皆さんの御協議、よろしくお願いを申し上げます。議長、ありがとうございます。それでは、失礼いたします。
(大島副大臣退室)
○山上議長 それでは、議事に入ります。本日も前2回と同様に、犯罪被害者等基本計画の進捗状況についての検証を行いますが、今回は犯罪被害者等基本計画の見直しを意識して、より踏み込んだ検証を行いたいと思います。まず、事前に有識者委員からいただいた御質問について、各省庁から説明をいただきます。関係省庁の説明が一通り終わりました後、質疑応答を行います。その後、内閣府から犯罪被害者団体・被害者支援団体からの要望聴取会を行った結果について御報告いただきます。本日は、今後の基本計画の見直しを念頭に置き、犯罪被害者の方などからどのような要望がなされているかを本会議として承知しておくという趣旨です。その報告が終了後、自由討議を行う予定です。
それでは、まず、有識者委員から事前に提出された質問に対する関係省庁からの説明に入ります。質疑の時間も確保する必要がございますので、回答は簡潔にお願いいたします。では、内閣府からお願いします。
○殿川室長 それでは、内閣府関係の質問・意見に対しまして回答を申し上げたいと思います。資料1という横長の資料に質問の内容等がまとめられておりますので、これに沿いながら御説明を申し上げたいと思います。簡潔に申し上げたいと思いますので、もし不十分な点、不足があれば、再度御指摘をいただきたいと思います。
まず、1番目でございます。中島専門委員から、国民のつどいの日の設定の在り方、土日などの方が参加しやすいのではないかということ。それから、こういった犯罪被害者週間のメディアの取り上げ方が少ないのではないかという御指摘をいただいております。
つどいの日の設定については、確かに土日の方が、一般の人を広く集めるという意味では好ましいという感じもいたします。他方で、土日の場合、同じ時期に他の民間団体が主催する会合があったりということもある。それから、会場アクセスの問題とか、事前広報等々、総合的に勘案して、その行事の趣旨にとって一番効果的な取組みができる日ということで、土日ということも1つの要素だろうと思いますので、それを踏まえて今後検討しまいりたいと思います。
それから、メディアの取り上げられ方ということなのですけれども、これにつきましては、犯罪被害者週間に当たっては、毎回担当大臣から閣議後の記者会見で積極的に御発言いただくことを初めとしまして、関係のクラブに幅広く資料配付などをしております。また、政府広報等もこの段階で活用させていただいておりますし、地方の公共団体でも、地方大会について積極的なプレスリリース等もしていただいているのですけれども、まだまだといいますか、なかなかメディアの取り上げ方が、そのときどきのいろんな状況で、必ずしも十分でないという感じも私どももしておりますので、いろいろまた工夫しながらやっていきたいと思います。
2番目の久保専門委員からの地方公共団体の取組みに関する御指摘でございますが、窓口の設置は、市町村で43.6%でございます。この数字自体は、少しずつではありますけれども、増加してきておりまして、なお、設置されていない理由等々については、必要性は認識しているけれども、人材等がなかなかいないのでできないというところと、もう一つ、必要性があると必ずしも考えていないというのが2割もあります。それから、わからないという回答もあって、もう一つはっきりしないところがありますけれども、我々としましては、自治体の取組みの必要性、役割については、常々いろいろな形で全国会議、あるいは地方自治体研修等の機会に御説明をしております。それぞれの地域の実情はあろうかと思いますけれども、引き続きいろいろな取組みをしているよその自治体の先進的な事例とか、そこでどういう活動をしているかということも積極的に紹介を、これまでもしておりますけれども、そういうことをしながら、各自治体での取組みを促すようにしていきたいと思っております。
それから、私どもでハンドブックのモデル案を作成しておりますが、このモデル案を参考にしながら、あるいは独自でもいいわけですけれども、都道府県と政令市のレベルでは、25%がそういったものをつくっていただいております。それから、私どもの調査では、45%が作成予定だということでございます。今年からこういった事業も我々はやっておりますけれども、比較的順調に広がっていっているのかなと理解しております。
次に、3番目の松村専門委員からのお話でございますが、経済的支援の在り方、制度についてのかなり根本的な、大きな御議論といいますか、御提言と存じます。これにつきましては、したがって、今、ここの段階でコメントをはっきりした方向性を持って申し上げることはなかなかできないと存じますが、過去の議論の経緯ということで、御意見の中にも既に触れていただいておるわけですけれども、そもそも今の基本計画を立案し、また、その中で経済的支援、議論をする中で、支援のための検討会を設けて、相当幅広い議論をして、その際には、必ずしも現行の中心的な制度である犯罪被害等給付金の対応ということに最初から議論を限定したわけではなくて、そもそもどういう財源を考えるべきなのかというところ、あるいはどういった基本理念でそういった支援をするのかということも議論した上で、その時点で現実的に対応できる在り方として一定の結論を出して、その結論に基づいていろんな取組みをされてきている。
そして、現時点でそういった新たな制度、これは給付金制度だけではなくて、司法の分野での損害賠償命令制度だとか、各省庁のいろいろな施策の分野で経済的に資するもの、いろいろな政策手段を総合的に活用してと、そういったこともあったと思いますけれども、そういうこともして現在に至っているという、経過としてはそういったこともございますので、そういう経過も踏まえながら、またいろんな問題点等も必要があれば再度議論されると、こういうことになるのかなと思います。いずれにしても、これから基本計画の見直しという中で、また各先生方の議論の中で、こういったことも取り上げられていくということは勿論あり得ることだと認識をいたしております。
4点目、山上議長からの御質問でございますが、施策の推進体制の抜本的な強化というような御趣旨でございます。具体的に言いますと、今、私ども内閣府の事務の処理の体制は「室」でございます。例えば、それを「局」クラスにする、あるいは、必要があれば被害者保護法人ですとか、支援基金というものをつくるというようなことでございます。
こういった御意見の趣旨として、政府として総合的な取組みをしっかりやるということが現状ではまだまだ不十分ではないかという御評価もあっての御提言だと思って、我々としても、そういった御趣旨はしっかり踏まえながら、現在は「室」という形でございますので、「室」として更に尽力していかなければならないということを改めて認識しております。
ただ、行政組織として、今、局を新たにつくるということ、あるいは法人なり基金を新たにつくるということについては、やはりそれぞれの業務の必要性の議論も必要であろうかと思いますし、行財政、いろんな意味で厳しい状況もございますので、別の意味でのハードルもありますので、前回も類似の御質問に同じような答えをさせていただいたのですけれども、そういう現状等々見ますと、今の段階でこういった新たな組織をつくるということについてはなかなか困難で、いろんな課題、問題があるのではないかと認識をいたしております。
それから、内閣府の関係では最後になります5点目でございますが、犯罪被 害者の視点からの施策の検討の必要性ということでございます。この御趣旨につきましては、全くそのとおりでございまして、特に裁判の関係の例を取られておりますけれども、それぞれの役所の縦割りから見ると、それぞれでやれることはやっているように見えるけれども、被害者から見ると、一方のところはできても、こちらの方の配慮が全然ないということで、被害者の立場から見ると、不整合があり、不十分であるということでございます。
したがって、私どもとしては、これまで毎年被害者団体の皆さん、関係の皆さんからの意見聴取会をやっておりまして、そういう場で関係省庁の皆さんにも御出席をいただいて、いろいろ対応をするとなっておりますが、より具体的に被害者の視点に立った取組みがその後、促進されるような形で運営するなど、その辺は更に努力をいろいろな形でしていきたいと考えております。
私の方からは、とりあえず以上、答えさせていただきます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、警察庁から御説明をお願いします。
○坂口審議官 それでは、警察庁から、いただきました御質問について御報告申し上げます。
まず、犯罪被害給付制度の関係ですが、小西委員から、拡充の実績の変化についての御質問をいただいております。
警察庁の資料1を見ていただければと思います。平成20年7月1日から、改正後、平成21年の9月30日、つまり、平成21年度の上半期も含めた実態でございます。資料1の表の「H20.7以降発生」と記載のある欄、これが改正法の適用になる部分でございます。
1被害者当たりの平均支給裁定額の最低額を見ていただきますと、遺族給付金につきましては、約400万円から約735万円と、1.9倍になっております。最高額につきましても、新制度が適用になりまして、1,784万円が最高の支給額という状況になっておりまして、改正の結果、このような増加が見られます。
障害給付金につきましては、ここにありますように、平均支給額が下がっているのですが、実はまだ裁定が行われたものが2件しかございません。特に障害給付につきましては、発生して、症状固定に至るまである程度時間がかかりますので。むしろこれから制度改正が適用される事案の申請が増加してくるものだと思っておりますので、今の段階の数字は制度改正前のものと比較するには不十分ではないかと思っております。
また、中島専門委員の方から、平均裁定期間に関する御質問をいただいております。これまで平均裁定期間は7か月台から9か月台を推移しておりまして、基本計画策定前後を比べましても顕著な変化は見受けられません。しかしながら、できるだけ早く裁定することにより被害者の救済に努めるということは当然でございまして、犯罪被害の早期の軽減という制度趣旨を踏まえまして、裁定ができるだけ早期になされますように、引き続き都道府県警察を指導してまいりたいと思っております。
次に、小西委員から、財団法人犯罪被害救援基金の「犯罪被害者等に対する支援金支給事業」につきまして御質問をいただいております。これは資料2を見ていただきたいと思います。既に御案内のように、同事業の説明でございます。これまでのところ、実際の適用事案はありませんが、現在、基金におきましては、5名の方々から支援金の申請受理をしておりまして、現在審査中であ る旨の報告を受けております。
次に、中島専門委員から、カウンセリングの重要性に関する御指摘、また、カウンセリングの実施状況などに関する御質問をいただいております。先生御指摘のように、犯罪被害者や御遺族の精神的被害の回復を図るためには、臨床心理士等、心理専門職によりますカウンセリングが重要だと考えております。
警察では、平成21年4月現在、36の都道府県警察においてカウンセリングに関する専門的知識・技能を有する職員を前年より42名増の267人配置しております。うち33の都道府県には、臨床心理士の資格を持つ職員を85名配置しております。これらの職員によります平成20年中のカウンセリング実施件数につきましては、延べ約3,400件になります。また、部外の精神科医、臨床心理士等に対しましてもカウンセリング業務の委嘱を行っておりまして、その実施件数は約440件になります。これらのカウンセリングは、犯罪被害者の方々に経済的な御負担をかけることがないように無料で実施しております。
なお、警察庁としましては、平成20年に全国被害者支援ネットワークが加盟団体に実施しましたアンケートで、同年中、36団体において約930件のカウンセリングが実施された旨の結果がでたことなどは承知しておりますが、これについての詳細は把握しておりません。
次に、小西委員から、性犯罪被害に対する公費負担制度に関する御質問をいただいております。平成20年中の性犯罪被害者に対する初診料の支払件数は、全国の都道府県警察で1,739件となっております。
なお、同年中の性犯罪、これは強姦及び強制わいせつですが、この認知件数が8,693件となっておりますので、これに占める割合といいますと、まだ約2割ということになります。
また、公費の負担制度を利用した被害者の年齢層につきましては、こちらの方では把握しておりません。
次に、小西委員から、加害者に関する情報提供の拡充につきまして御質問いただいております。このうち、警察庁が所管しております73番の施策について、御説明申し上げます。
警察では、法務省から13歳未満の子どもを対象とする暴力的性犯罪の前歴者の出所情報の提供を受けまして、出所後の居住状況等、出所者の動向の把握に努めまして、子どもに対する声かけ、つきまといなどが発生した場合には、この情報を警察活動の参考として活用しております。平成17年6月の運用開始から、平成21年8月末までに、この制度の対象となる者が628人出所しまして、そのうち481人につきましては、担当する都道府県警察においてその所在が確認されており、63人につきましては、所在不明者として全国警察に所在確認を指示しております。
次に、松村専門委員から「被害者の手引」についての御質問をいただいております。警察におきましては、被害者への情報提供の充実等を図るため、原則として、犯罪認知の際に被害者から事情聴取を行った捜査員が「被害者の手引」を配付することになっております。先生御指摘のように、被害直後の被害者の中には、気が動転しているために、警察から提供する情報が頭に入らない方もいらっしゃると思います。また、口頭のみでは正確な情報が伝わらないことなども踏まえまして、警察では、被害者が被害後、気持ちが落ち着いた際に正確な情報を把握できるよう「被害者の手引」を作成・配布しまして対応しているものでございます。
なお、警察では、身体犯、または重大な交通事故事件の被害者に対しまして、被害者連絡実施要領に基づきまして、被害直後のほか、一定期間経過ごとに被害者に連絡を取り、捜査状況のほか、被害者のための制度の情報提供等も行っているところでございます。
次に、久保専門委員から、いわゆる実名・匿名報道のトラブルの有無等々についての御質問をいただいております。本年中の各都道府県警察における被害者の実名・匿名発表におきまして、大きなトラブルが発生したということにつきましては承知しておりません。
警察庁としましては、都道府県警察に対しまして、犯罪被害者等基本計画に盛り込まれているとおり、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシー保護、発表することの公益性との事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的に適切な発表内容となるよう努めるとともに、実名発表、匿名発表に関する被害者等、関係者の意向につきましても、可能な限り尊重するよう努める。他方で、匿名で発表する場合には、報道機関に対して十分に理由を説明するとともに、必要な意見交換を行うなど、相互理解に努めるように指導して おります。今後とも引き続き適切な対応がとられるように指導してまいりたいと思っております。
次に、松村専門委員から、経済的支援を手厚くするための検討につきまして御意見をいただいております。先ほども内閣府から御説明がありましたが、犯罪被害給付制度につきましては、約2年間にわたり検討を重ねてきた経済的支援に関する検討会の結論に従いまして、昨年の7月にその拡充を図りました。また、拡充された制度の遡及適用につきましては、この検討会の中で困難とされたところでありますが、個別の事情に照らしまして特別な救済が必要と認める方々につきましては、先ほど御説明しました犯罪被害救援基金において、「犯罪被害者等に対する支援金の支給事業」が設けられたということでございます。
なお、警察庁におきましては、昨年7月の犯罪被害者支援法の改正以降、今年の10月には、規則改正でありますが、経済的な困窮や、離婚を望んでも配偶者が応じようとしない実情などに直面しているDV被害者の救済のために、親族間犯罪のうち、DV事案につきましては、特に必要と認められる場合には、犯罪被害者等給付金を全額支給できるように、特例規定の見直しを行うなどしております。引き続き、その時々の被害者の実情に対する社会的理解の深まり、その救済の必要性などに適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、特に御質問はいただいておりませんが、昨年12月18日にオウム真理教犯罪被害者救済法が施行されて、本日で1年となります。新聞等でも幾つか報道されておりますので、その施行状況につきまして簡単に御報告させていただきます。資料3を見ていただきたいと思います。
この法律に基づきまして、被害者につきましては、約6,600人を把握しております。この1年間に約96%の方に対しまして制度を案内するパンフレットを個別に送付しまして、制度を教示済みでございます。また、把握されています被害者の約80%の方から申請を受け付け、そのうち約88%の方に対しまして、総額約21億9,500万円の給付金を既に支給しております。
なお、死亡した被害者の遺族につきましては、すべて支給を終えているところでございます。
警察庁からの説明は以上でございますが、引き続き各種制度の適切な運用に努めてまいりたいと思います。以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、法務省から御説明をお願いします。
○甲斐審議官 法務省でございます。表に沿って御説明をさせていただきます。
まず、1番の中島専門委員から御質問がありました国選の被害者弁護制度の利用状況という点でございます。これは平成20年12月1日から制度が開始されまして、私どもで現在把握しているのは、本年の10月末までの件数でございますが、被害者参加人が日本司法支援センターに対して国選被害者参加弁護士の選定を請求した件数は128件となっております。時期によって順次件数が増えておりまして、今年の犯罪白書で記載されているのは今年の3月末までの数字でございす。3月末までの数字で82人が被害者参加の許可をされていて、そのうち9人が国選弁護士への委託を行っているという数字でございます。
その後、法テラスで統計を取った内容では、今年の5月末までの6か月間の統計でございますが、被害者参加の申出件数自体は224件で、国選の申出があったのが45件となっております。その数字が先ほど申しました今年の10月末までということになりまして、128件ということで、数字的にはかなり増えてきているという状況でございます。
2番目に、被害者向けのDVDの利用状況について、中島専門委員から御質問がございました。被害者用のDVDにつきましては、いろんな使い方がされていることと思いますが、例えば、検察庁では、被害者待合室を専用に設けているところもございまして、そういうところで常時流して、待っている間に見ていただけるようにするということもやっておりますし、また、被害者支援室で必要に応じて見ていただくというようなこともしております。冊子と違って、DVDは見るのにある程度の時間を要するものでございますので、使い方として、講習会というか、講演会みたいなところで、こういうことをやっていますよという上映をするというやり方もしているように聞いております。各都道府県の被害者支援センターに配付すること、それから、法務省のホームページで視聴できるようにするということは、現在、手続を進めているところでございまして、まず、ホームページでの視聴は、今年の末ころには何とかできるんではないかと聞いております。センターの配付については、数の問題がございますので、今、調整をしていると聞いております。
3番の性犯罪の被害者氏名の取扱いでありますとか、証拠開示の際の配慮の要請の件数等についてのお尋ねが小西委員からございました。現時点で法務省でとりまとめができているわけではございませんので、細かくは申し上げられないわけでございますが、裁判所において被害者特定事項を公開法廷で明らかにしないという決定をされたという数字を出しておられまして、今年の10月末までの数字で約5,600件。
○小西構成員 初めからですか。
○甲斐審議官 初めからです。今年の10月末までで約5,600件と聞いております。割合については、なかなか難しい数字の問題がありますので、御参考までということになりますが、この約5,600件のうち、平成20年の数字は2,490件と聞いています。こっちは年度なんですけれども、平成20年1~12月までの母数がどのぐらいあるかという話になるわけですが、強制わいせつ、勿論、致傷も入りますが、それから、強姦致死傷、強盗強姦、この3つの累計を合わせると、平成20年の単年で2,349件を起訴していると聞いております。勿論、対象となる事件はこれ以外にもありますので、母数が全体としてどれだけかというのを出すのは難しいんですが、少なくともコアになる事件が2,300件余りで、若干時期はずれますけれども、同じ1年で匿名化されたのが2,490件となっていると聞いております。
それから、4番の小西委員からの御質問で、加害者に対する教育プログラムの効果についてという御質問がございました。現時点において、定量的なデータをお示しする状況にはまだ至っておりません。現在においては、こういったプログラム、あるいは矯正教育は、すべての刑事施設、少年院で行っております。刑事施設において、平成20年度に被害者の視点を取り入れた教育を受講した受刑者は1,188人という数字でございます。これに対して、受刑者の感想文を見ますと、犯罪被害者やその家族の皆さんの現状や心情を認識したとか、再び罪を犯さない決意を固めたというような記載が見受けられるという状況でございますので、それなりの効果は上がっているんではないかと推測はされるところでございます。
他方で、そういった効果検証を行う必要があるということは法務省としても認識をしておりまして、現在、その実施を進めるための準備をやっているところでございます。ただ、これは考えると結構難しい話で、だれにそういう教育をやったのかというタグをつけて、その人がまた何か罪をやっているかどうかということを追跡調査しなければいけないものですから、どうやってそれを把握するのかというのは、考えるより、実施は結構頭を使う必要があるのかなと思っております。いずれにしろ、そこは何とかやっていきたいということで、今、検討を進めているところでございます。
それから、5番の松村専門委員からの御質問もほぼ同じような御質問でございますので、今の回答に代えさせていただきます。
それから、6番の松村専門委員からの御質問でございますが、保護観察所で被害者担当保護司が何人の被害者を担当しているのかという御質問でございます。全国の保護観察所では、今年、平成21年4月1日現在で66名の被害者担当官が置かれております。それから、103名の被害者担当保護司が配置されているということでございます。被害者の方を1人当たり何人担当しているのかという視点で把握をしておりませんので、直接のお答えはなかなかしにくいわけでございますが、平成19年12月の施策の開始から今年の9月末までの数字といたしましては、相談・支援を行ったというのが1,796件でございます。それから、被害者通知制度において所要の事項の通知をしたというのが2,498件、それから、心情等伝達制度の伝達を行ったというのが130件でございますので、それが1つの参考の数字になろうかなと思っております。
保護観察官でございますとか、保護司の方は、これまでも御指摘のとおり、加害者を処遇する立場、あるいは矯正という観点から職務を行ってきたところでございますけれども、こういった被害者担当官・被害者担当保護司を務めるに当たって、そのための研修を実施しているとともに、その任に当たる間は加害者処遇は行わないことにしておりますので、現在までのところ、担当者が被害者の方への対応に支障を生じさせたという事例は承知はしておりません。
併せて、保護観察の関係でも、被害者等の意向を踏まえたしょく罪指導のためのプログラムをやっております。やり方としては、面接をする、その中で被害者の問題を取り上げて話をする、作文を書かせるというようなことでやっております。
7番の御質問にももう入っておりますけれども、このプログラムの効果につきましても、やはり先ほどと同じで、プログラムの実施をした後、本人に聞いてみると、それまでやはり自己本位だった、これからは被害者の遺族の気持ちを考えて行動していこうという思いが出てきた、というような話が聞こえてきております。
それから、8番の松村専門委員からの御質問でございますが、精通弁護士の資質、あるいは研修の必要性について御意見をちょうだいしております。誠に御指摘はごもっともでございまして、犯罪被害者の支援に当たる弁護士もその趣旨を十分理解していただいて、その職務に当たることが必要である、あるいはその重要性については全く御意見のとおりでございます。まず何よりも被害者の方の意見をよく聞いて対応していただきたいと私どもも思っております。
法テラスにおきましては、国選弁護制度の施行に伴いまして、被害者国選弁護関連業務の解説というものをつくって、国選被害者参加弁護士に関する仕組みでございますとか、そういったものをお配りしております。また、各地方事務所におきましては、被害者参加契約弁護士になろうとされる方に対しては、その業務内容について御説明を行っているところでございます。弁護士のまさにその職務内容の、どういう在り方が正しいのか、いいのかということについての研修につきましては、そういった御要望があるということも弁護士会の方にもよくお伝えをしたいと考えておりますし、その際に、法テラスとして、必要があれば協力はしていきたいと考えております。
法務省からは以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、文部科学省から御説明をお願いします。
○磯谷課長 文部科学省児童生徒課でございます。
お手元の資料、1~6番までございます。まず、中島専門委員から2問御質問がございました。
最初は、医学教育のモデル・コア・カリキュラムにつきまして、精神的被害 に関する知識・技能の習得の取組みについて、具体的にどのようなことをされているのかということでございます。御案内、御指摘のように、平成13年3月にこの医学教育モデル・コア・カリキュラムが策定されまして、各大学に対して提示を行っておりますし、19年12月に改定したものについても、同じく提示をしているところでございます。
具体的に文部科学省といたしましては、各種会議におきまして、各大学に対して、精神的被害に関する知識・技能を習得するための教育の充実に向けた積極的な取組みを要請してございます。例えば、国公私立大学の医学部長会議ですとか、あるいは全国の医学部長・病院長会議定例総会といった会議がございますので、そういったところを通じまして積極的な取組みを要請しています。
例えば、5月22日に行われました全国医学部長・病院長会議の定例総会におきましては、犯罪被害者基本計画の該当部分を抜粋いたしまして、精神的被害に関する知識・技能を習得させるための教育の充実に向けた積極的な取組みをお願いするということを具体的にしてございます。
それから、次の御質問でございますけれども、児童生徒に関するカウンセリング体制全般の充実の中で、特に犯罪被害を受けた児童(被虐待児童含む)、そうした児童に焦点を当てた取組みがあれば御教示くださいという具体的な御質問でございます。
御指摘のように、スクールカウンセラー等活用事業におきまして、全国の小中高等学校へのスクールカウンセラーの配置を今、推進しているところでございますが、必要な経費を国が補助するという制度の中で、御質問の児童虐待、あるいは犯罪被害を含みまして、事件や事故、あるいは自然災害によって心のケアが必要になった児童生徒がいる学校にスクールカウンセラーを緊急で派遣する場合の経費を別枠で補助対象としてございます。制度的にはそういった取組みをしているということでございます。
次に、小西委員から、同趣旨のスクールカウンセリングに関する御質問がございました。カウンセリング体制の充実に関して、学校において教育相談、心理相談が少年の犯罪被害者に特化した心のケアを的確に行っているということか、具体的な内容、頻度、解決の方法などについて示してほしいということでございました。
前半繰り返しになりますが、先ほどスクールカウンセラー事業について御説明しましたように、カウンセラー活用事業の中では、通常の学校配置のカウンセラー以外に、災害とか事件、事故によって心のケアが必要になった児童生徒の対応として、カウンセラーの緊急派遣というものも併せて補助の対象といたしているところでございます。
残念ながら、犯罪被害の関わりも含めて、全般として教育相談、スクールカウンセリングで扱われている問題の個別の内容とか、頻度とか、解決方法などについて、具体的な状況については現在、国の方では把握をしておりません。教育委員会に報告を求めていない状況でございます。これはデータの取り方の問題がございますし、非常にさまざまな内容があり、多数件数ございますので、現在ではそういうふうにしておりますけれども、スクールカウンセラーが大変多く所属しております日本臨床心理士会という会にお聞きしますと、全国の研修会では、事件、あるいは事故後の緊急派遣をテーマにした研修を行っておりますし、その中で犯罪被害に特化した心のケア、あるいはその種の研修を行っているとお聞きしているところでございます。
それから、4番目から、松村専門委員の御質問が3つほど続いてございます。4番目は、人権教育の関係でございます。学校における犯罪被害者の人権問題の教育の推進を図ってきたとあるけれども、そもそも被害者問題がクローズアップされたのは平成16年の犯罪被害者等基本法からであって、その基本法の精神が現場の人権教育でどのように反映され、具体的に実施されているのかという御質問でございます。
御指摘のように、文部科学省におきましては、学校教育における人権教育の指導方法の改善・充実に向けまして、調査研究会議を設置しております。これまで3回にわたりまして、第1次から第3次までのとりまとめを行っております。特に平成20年3月に行いました第3次とりまとめにおきましては、人権教育の指導の在り方に関する理論的指針を更に整理しまして、具体的な指導の在り方ということで、多くの先進的な実践事例を整理した実践編を構成しているところでございます。
その実践編におきましては、個別の人権課題、いろいろございますが、その1つとしまして、犯罪被害者等を扱っておりまして、この課題につきまして、人権におけるテーマとして扱う場合の基本的な考え方、観点、関係法令をまとめております。この実践編を含めました第3次とりまとめについては、昨年の3月にとりまとめまして、昨年のうちに全国の学校に配布をし、今、その取組みをまた各学校において推進されているという状況でございまして、繰り返しになりますが、人権教育が人権の一般的な普遍的な視点、それから、先ほど申し上げたような個別の人権課題に即した視点、両方の視点からの取組みが必要だということで、各学校においては、先ほど申し上げたとりまとめを参考としながら、人権教育の充実を図られるということを期待しているところでございます。
それから、5番目の御質問でございますけれども、犯罪被害者少年が不登校になった場合の連続支援ということで、その兄弟、姉妹に対する支援策も必要だと思うが、どのように展開されているかということでございます。御質問のような、犯罪被害者となり、不登校になっている児童生徒を含めまして、不登校児童生徒全般につきましては、先ほどのスクールカウンセラー、あるいは社会福祉の専門知識もお持ちのスクールソーシャルワーカー等の配置によりまして教育相談体制の充実を図るとともに、学校、家庭、地域の連携強化を行っております。加えて、教育支援センターの充実などによって、支援体制全般の充実に取り組んでいるところでございます。
特にスクールソーシャルワーカーにつきましては、不登校の児童生徒の問題行動の状況背景に着目しまして、家庭を含めた環境への働きかけをしていただく社会福祉の専門性を持ったソーシャルワーカーということで配置を進めておりまして、例えば、先ほど御指摘のあったような、被害者である児童生徒だけではなくて、その兄弟、姉妹に対する支援も含めて、関係機関との連携を進めるべく、機能しているという状況がございます。
それから、最後の6番目でございますが、最近の年少者に対する犯罪に関係しまして、「家庭教育手帳」で具体的に本当に命の大切さを教えているのか、親にもそれがわかるような仕組みになっているのか、甚だ疑問を感じざるを得ないという御質問でございます。文部科学省としましては、一人ひとりの親が家庭を見詰め直して、自信を持って子育てに取り組んでいく契機になるように、家庭教育に関するヒント集としての「家庭教育手帳」を作成しているのは御指摘のとおりでございます。
この「家庭教育手帳」と申しますのは、具体的に3種類ございまして、乳幼児編と、小学校の低学年から中学年を対象としたもの、それから、小学校の高学年から中学生ぐらいのものという3段階の手帳がございまして、そのいずれにおきましても、子どもに生命の尊さや大切さを実感させること、あるいは被害者や遺族の心情を想像させることの重要性について記述をしておりまして、例えば、乳幼児編におきましては、「思いやり」という項目の中で、みんなそれぞれ世界でたった1つの命なんだという事項がございます。その中で、子どもに生命の尊さや大切さを実感させましょう、あるいは亡くなった人の家族や、傷つけられた人の気持ちを想像させるなど、その悲しみがどんなに深いものかを理解させましょうといった記述がございまして、そういった内容になってございます。
ただ、この「家庭教育手帳」につきましては、20年度までは冊子を必要部数配布しておりましたけれども、21年度からは、全国の教育委員会にCD-ROMの原盤を提供して、家庭への情報提供、あるいは家庭教育に関する学習機会、これは地方自治体がいろいろ取り組んでおりますけれども、そうした機会での活用を促すという形で、地域の主体的な取組みを支援するという形になってございます。
以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、厚生労働省からお願いいたします。
○伊奈川参事官 私、社会保障担当参事官の方から説明をさせていただきます。
5つ御質問をいただいております。
まず、1番目、中島専門委員からでございますけれども、医療保険が利用できるわけでありますけれども、それについて十分伝わっていないのではないかといった御質問かと思います。御指摘のように、犯罪被害者、つまり、加害者がいる場合であっても保険診療は当然可能でございます。そういう点に関しまして、私どもにおきましては、こういった医療機関がある場合は、適切な指導を図るということで、これを具体的に指導する立場にございます社会保険事務局、現在、組織が変わりまして地方厚生局になっておりますけれども、そちらの方に指導をするように指示をしているところでございます。
2番目でございます。事業者等の理解の増進ということで、同じく中島専門委員からいただいているものでございます。具体的にどのように伝えられているのかという御質問でございますけれども、私どもの方では、犯罪被害者の方の雇用管理、つまり、二次被害が起きないように、雇用の側面からきちんとお願いをしていくということで、雇用管理講習会というものを全国で46回実施してきております。
例えば、一例を挙げますと、平成20年12月、雇用能力開発機構の兵庫センターにおいてセミナーを開いておりまして、そこで犯罪被害者の雇用の安定に資するようにということで、関連のテーマを盛り込んで事業主に理解を図るといった取組みをしているところでございます。
3番目、小西委員からでございますけれども、被害回復のための休暇制度導入の是非ということでございます。これがなかなか上昇していないといったことに関連する御質問かと思います。これに関しましては、導入しない理由から言いますと、既存の休暇制度で対応できるのではないかとか、あるいは個別に対応すればいいのではないかといった理由を挙げるところが半数近くございます。平成18年度に実施されました犯罪被害者のための休暇制度に関する意識調査によりまして、犯罪被害者休暇制度を導入すべきという意見についての認知度が、企業、労働者双方において非常に低いということが明らかになっているところでございますので、私どもでは、こういったことについて御理解をいただくということで、周知啓発といった観点からのリーフレットを平成19年度から作成し、配布をしているような状況でございます。
また、今の点に関係いたしますけれども、4番目の御質問の中で、松村専門委員から御質問いただいています休暇制度の大企業における導入状況でございます。これは全数調査ではございませんけれども、サンプル調査で見ますと、平成21年度、これは4月1日現在だと思いますけれども、調査結果によりますと、総社員数300人以上の企業94社では導入企業はないといった状況でございます。中小企業を含めますと3社ぐらいあるのですけれども、大きな企業、300人以上でありますとないという状況でございます。これらの企業が導入しない理 由でありますけれども、既存の休暇制度で対応できる、あるいは先ほど言いましたような個別対応でやれるといったような認識のようでございます。
最後でございます。小西委員からいただいております御質問で、特に性暴力被害者のための医療提供体制の整備に資する施策の検討及び実施ということでございます。御質問いただいておりますように、性暴力被害者について特有の対応ということで、そういう方に配慮したような医療体制があるようであれば、具体例も挙げてということでございます。特有の対応としましては、医療機 関におけるカウンセリングでございますとか、あるいは関連します婦人科、精神科、診療内科を有する医療機関における治療が考えられるんだろうと思います。
これに関連します話といたしましては、医療機関の広告について規制があるわけでございまして、これまで広告に関してはかなり制限的であったわけでありますけれども、制度改正が行われまして、現在はかなり広く認められるようになっておりまして、例えば、性暴力被害者のカウンセリングの実施などの広告も医療機関が行うことは可能になっております。これはインターネット等を通じて情報提供している医療機関もあると承知をしているところであります。
私からは以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、最高裁判所から御説明をお願いします。
○浅香課長 最高裁でございます。
松村専門委員から御質問いただきました少年審判の傍聴の件数について最新の数値でお答えいたします。平成20年12月15日から平成21年10月31日までの約10か月余りの速報値でございますが、69件について傍聴が実施され、122人の被害者の方々が傍聴されました。
以上でございます。
○山上議長 どうもありがとうございました。
御回答いただきましたし、また、課題によっては着実に進展していることが感じられて、御尽力に感謝したいと思います。
質疑応答に移ります。関係省庁からの説明で不明な点、あるいは御意見等がありましたら、御発言をお願いします。ただし、この後、被害者団体、あるいは支援団体関係の意見の集約についても御説明させていただくので、ここでは10分ぐらいの間で、ただいまの回答に関しての意見、あるいは質問ということにしていただければと思います。どうぞお願いします。
小西構成員、どうぞ。
○小西構成員 意見はたくさんあるんですが、時間がないので、幾つかに切り詰めてお話しします。
1つは、法務省がおっしゃった更生教育プログラムの可視化という問題なんですけれども、確かに難しいのはわかりますが、諸外国ではデータが出ていること、それから、これに関してかかっている予算というのは、犯罪被害者の施 策の中で相対的にかなり大きい、ほかのことに関してかかっているお金に比べれば大変大きいはずなんです。そういうものの施策の実施状況については、やはり定量化して見える形にしていくことが今後は強く求められると思いますので、是非お願いしたいと思います。
もう一つは、文科省、厚生労働省の回答に関して全般に思ったことでもありますし、今の御回答でも思うことなんですけれども、犯罪被害者のことが全体の中で無視されているからこそ、犯罪被害者等基本法をつくって特有の施策を進めなくてはいけないことになっていたはずなんです。そこのところが、例えば、スクールカウンセリングや子どものケアの状況の充実とか、医療体制の充実というところに一般化されてしまい、かつ御回答の、例えば、今の広告の話は、医者がそういうことをやってもいいですよというだけであって、何か省庁としての施策の対応という点では余りなされていないのが実情なんではないかと思うんです。確かに今の状況では予算も厳しいし、難しいことであるのはわかりますが、例えば、インターネットの動画の利用は大したお金がかかることではないわけです。そういう意味では、特有の対応とおっしゃったからには、そういうことを書いていただきたいし、どうしても進んでいないことには、むしろ率直にそういうことを言っていただいた方がいいと思います。
以上です。
○山上議長 法務省、厚労省、文科省に対する意見かと思いますが、何かこれに関して、よろしいですか。
では、ほかに御意見ございましたら、どうぞ。
大久保構成員。
○大久保構成員 小西委員の意見とダブるところがあるかと思いますけれども、私自身も、例えば、厚生労働省の回答を見てみますと、今までやってきたようなDVですとか、あと、児童虐待、そういう方たちに対して、このようにしていますよということを、今までやってきていることをなおさら強調してここに書いてあるような気がいたしました。私たちが基本計画を立てたとき望んだことは、生命、身体に及ぶ被害を受けた被害者及びその家族、あるいは大切な命を奪われた、その遺族の中で生活をしている子どもたちへの影響が大変大きいということが体験的にわかるものですから、その辺りの施策を進めていただきたいと思って、この基本計画の中に立ててありますので、今からでもその点をもう一度しっかりと調査研究をして実践に移していただければと思いました。
それと、法テラスですけれども、役割は大変大きくなっておりまして、被害者にとりまして、すぐに相談できる1つの方法ではあるかと思います。けれども、その相談体制を伺っておりますと、例えば、そこで相談を受けている方の中には、実際に被害に遭って、それを役立てたいということで訓練を受けて相談員となっている方もいらっしゃるわけなんです。予算的なものがあるのかもしれませんけれども、だんだん犯罪被害者の相談電話を受ける方たちが少なくなって、賄い切れなくなると、消費生活を受けている方がさっと来て電話を受けて、すぐにどこかへ紹介をしてしまうということが増えていると聞いております。犯罪被害者の電話相談の場合は、そこでただ振り分けるのではなく、紹介するのではなく、相談も受けるということが、この電話相談が始まったときの1つの大切な行い方だったと思いますので、その点も併せまして、法テラスで働いていらっしゃる職員への研修の充実とともに、犯罪被害者の相談電話の充実を行っていただきたいと思います。
それと同時に、松村委員からも御指摘がありましたように、被害者関係の研修を2回受ければ、それで精通弁護士というのは、どう考えても、まだまだ被害者に二次被害を与えることが多くなるかと思いますので、その点のところもよろしくお願いしたいと思います。
○山上議長 厚生労働省と司法支援センターにおける取組みについての意見でしたけれども、何か、よろしゅうございますか。
○甲斐審議官 よく検討していきたいと思います。
○山上議長 ほかに御意見ございますか。
どうぞ、中島構成員。
○中島構成員 2件ございます。
1件は、警察庁から、性犯罪者の緊急避妊に要する負担軽減のことで、この事業については、私どもで産婦人科の先生等に調査したところでも、非常に重要なことであるという意見をいただいております。ただ、先ほどの御回答で、8,600の認知件数に関して、初診料の利用は1,700ということで、かなり少ないので私は驚いてしまいました。利用が少ない理由等について、今後、御検討いただきまして、必要としている被害者の方ができるだけ多く、きちんと利用できるような方向で御検討いただければと思っております。
もう一点は、厚生労働省の私の質問に対しての御回答についてですが、勿論、社会保険事務所で把握されているということは大変重要なことだと思っております。ただ、医療機関の窓口がそれを知っていない、事実、この会議のときの御回答の方は、第三者行為だから保険の適用ではないのではないかとおっしゃっていたんです。そうしますと、被害者の方は社会保険事務所に直接問い合わせるわけではございませんので、そこでやりとりが生じてしまって、被害者の方に要らぬ負担をかけてしまうと思います。ですので、医師会とか病院協会等を通じて、直接医療機関の方にはこの情報を周知していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山上議長 よろしいですか。どうぞ。
○坂口審議官 警察庁でございます。
先ほどの2割という数字ですが、確かに少ない。ただ、一方で、性犯罪被害者の方は、被害直後に警察に来られる方もいる一方、被害後ある程度期間がたってから来られる方もいます。そういった意味で、割合のみを捉えて一概に低調である旨の判断はなかなか難しいものがありますが、いずれにしましても、こういった制度の利用がやはり低調ではないかということについては否めない部分もありますので、我々としましても、公費負担制度が適切に運用できるように、引き続き広報等も含め指導してまいりたいと思っております。
○山上議長 どうぞ。
○伊奈川参事官 おっしゃられましたように、第三者行為求償というのはあるわけですけれども、これは釈迦に説法でございますけれども、当然、保険診療の上での話でございますから、医療機関からこちらに通報があるということは、この問題の構造上なかなかないものですから、そういう点で、社会保険事務局、現在の地方厚生局を通じてということで対応させていただきたいと申し上げた次第でございまして、それ以外のいろいろな手段で対応することもあろうかと思いますけれども、課題としていただいたということで、今日のところは御理解いただければと思います。
○山上議長 どうぞ、山田構成員。
○山田構成員 資料1の6ページの法務省の関連で、被害者参加制度についての弁護士の状況でございますけれども、精通弁護士の不勉強が顕著であるとか、弁護士によって逆に傷つけられた例があるようだということがございます。これらのことについて、弁護士の側に何とか伝える方法をお考えをいただきたい。勿論これは弁護士会の方でもそういうふうに努力をすべきかと思うんです。今の段階では、スタートして、まだ期間が短いので、とりあえずは被害者の側でこういったことを集めていらっしゃるんだと思うんですが、これを弁護士の側にいろいろ事例をまとめてお話をいただければ、弁護士全体に啓蒙を与えるという方策を考えていただいた方がよろしいかと思うんです。恐らく一人ひとりの弁護士は悪気などないわけでございますので、知らないがゆえのこういうことは避けたいと思います。とりあえずは被害者の方々のグループ、集まりでの勉強会ということはあるのかもしれませんが、ゆくゆくは刑事弁護をするような弁護士とも会合を持つことによって、より充実したことが開けるんではないかと思いますので、その点も日弁連の方では持ち帰りましてお話はいたしますけれども、どうぞ法務省その他の関連の方々もその点を御留意いただけたらと思います。
以上でございます。
○山上議長 どうぞ、瀬川構成員。
○瀬川構成員 関連した意見を述べます。前回は松村専門委員から、被害者参加について、けしからんケースがあるということをおしゃって、それっきりであったと思います。今日も、具体的におしゃって、そういう啓蒙をやりますということで終わりがちなのですけれども、これでは改善が進みにくいのではないかとおそれます。精通弁護士でけしからん人がたくさんいるということをここで一方的に非難したところで意味のないことだと思いますので、まず実態の把握に努めてはどうですか。例えば、弁護士さんから見て、この制度については、こういう不満があるんだとか、こういう点がうまく機能していないんだとかご意見もあると思います。こうした実態把握を踏まえて、さらに相互理解を深めるべきではないでしょうか。
○山田構成員 まず、御不満の具体的事例を集積していただいて、それを示していただくのが一番効果的だろうと思います。
○山上議長 今の実態把握については、司法支援センターを通っている場合が 多いでしょうから、そこでこれまでのケースを振り返って調査をしてみるということは可能でしょうか。そういう考えはございますでしょうか。
○甲斐審議官 御指摘の点はよく理解いたしました。国選被害者弁護士を請求された被害者の方がいらっしゃいますので、例えば、そういう人にアンケートをお願いして、そういうものをまとめるということも考えられるところではあろうかと思います。事が弁護士さんとのやりとりの話になりますので、弁護士会ともよく相談をさせていただきたいとは思っております。御懸念の点はよく理解できるところでございますので、きちんと対処していきたいと思います。
○山田構成員 是非お願いしたいと思います。
○山上議長 どうぞ、松村構成員。
○松村構成員 経済的支援を手厚くしてくださいという要求をさせていただいているんですけれども、ここで突然200円というのが出てきたんでびっくりされているかもしれません。日本の現在の犯罪被害者給付金などを見てみると、国民1人当たりの平均に直すと20円行っていないんです。そういうことを考えますと、非常に低い。フランスなどの場合は、1人当たりに直すと600円になっているし、欧米では200円以上が普通なんです。そういうことを踏まえて200円という数字を出していますので、是非御検討いただきたいと思います。お願いします。
○山上議長 最初に申しましたように、更にいろんな意見、議論があるかと思いますけれども、後で被害者団体、支援団体からの意見全体を見た上で、更に長い検討の時間を用意していたものですから、次に進めさせていただきたいんですが、よろしいですか。
それでは、内閣府から、犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望聴取会についての御報告をお願いします。
○殿川室長 それでは、資料は3と4でございます。A4サイズの資料でござ います。3が要約、概要版で、資料4が詳細の資料でございます。
実は、私ども内閣府で、今の基本計画の中で、平素から関係の被害者の団体、あるいは支援関係の団体等から意見を適宜把握に努めるという役割もございます。また、基本計画の見直しがいずれ来るということで、前回そもそも基本計画をつくったときの経緯等も踏まえながら、今回、この9月下旬から11月ぐらいにかけて、全国7か所で幅広くホームページで参加団体を募集いたしましてヒアリングをさせていただいたものでございます。団体数にしますと全部で32団体でございまして、今日出席の先生方の関係からも、別のお立場でまた御意見も聞かせていただいたところでございまして、ありがとうございます。
事務局といたしまして、この意見をすべて、一切取捨選択等をしないで、今の基本計画の重点の5つの柱で区分けがされていますので、そういう整理をしてとりまとめたのが資料4でございます。ただ、口頭で聞いたもの、ペーパーをいただいたもの、いろいろありますので、「要望事項」という項目立てをして記述をしておりますものは勿論、事務局の責任で書かせていただいております。したがって、各団体にこういう形でまとめたということについて、それぞれ了解を得ているわけではございませんので、未定稿とさせていただいているのはそういう意味でございます。若干私どもの事務的な受け止め方の違い等があって、正確に言うと違うんだよという御指摘がもし団体等からあれば、そういった時点でまた修正することはあり得るのかなと思っておりますので、未定稿とさせていただいております。そういう趣旨でとりあえず整理しております。
もう一つは、似たような御要望も、それぞれ別の団体であれば、まとめることなく書いてありますので、同じようなものが別の項目という形で出ております。全部で280になるんですけれども、中身としては同じようなものも混ざっていることはあり得るということでございます。
これにつきましていちいち説明することは不可能でございますので、いずれにしましても、計画の見直しに向けて、こういう関係者の皆様からの要望が1つの議論をしていく上での土台になるのかなと思っておりますので、今回はこれを御報告させていただいて、また事務局でも、どういう形で具体的に整理するのかというのを、これから考えるというところなんですけれども、今日のところはそのままを御報告させていただくということで、量的にも多いものですから、大変恐縮でございますけれども、是非時間のあるときにお目通しいただければと思っております。
とりあえず資料3の概要版だけ若干、これもかいつまんで申し上げたいと思います。これは事務局の独断で、こちらのものからあえて項目的に、それが重要という意味では決してないんですけれども、新しい項目とか、かなり御要望の多かった項目とかを1枚にまとまる範囲で抜き出したものでございます。
第1の「損害回復・経済的支援等への取組」から始まりまして、第5の「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」、そして「その他の要望事項」と分けてございます。ここも見ていただければそのとおりで、それ以上の説明ができるわけでもないけれども、最初に賠償金の国による立替払いというのがございますけれども、そもそも経済的支援の在り方の根本的なところにもかかわってくる御要望もございます。今日、松村専門委員の方からも1つの御提案があったわけでございますが、そういったことも関連があるのかなと思いますけれども、こういったことも団体の方からも意見が出てございます。
それから、第2の精神的・身体的なところを見ていただきますと、今日もお 話がありましたけれども、性暴力のワン・ストップ・センターの整備ですとか、性暴力の関係はほかの項目に絡んでいろいろ出てきております。前回の最初の基本計画のときには、被害者関係団体としてヒアリングがまだされていなかった団体の方も、新たにお申出があってヒアリングさせていただいたというところもあるのかなと思いますけれども、性暴力関係、性被害者への対応が出てきてございます。
それから、刑事的手続につきましても、またいろいろな形で要望等が、かなり個別具体的なものが出てきております。
それから、支援のための体制につきましては、今日も御議論になりました自治体の窓口の関係、それから、民間団体に対する支援ということで、これもいつもお話を承っておるわけですけれども、民間団体に対する財政的な支援も含めての御要望が出ております。
それから、その他というところで、過去、被害者の関係の団体の皆さんからお聞きもしておりまして、御案内かと存じますけれども、振り込め詐欺の被害救済を図るために議員立法で特別立法ができておりまして、その特別立法で、振り込め詐欺の被害があった人が速やかに被害を回復できるようにお返しをしていくわけですけれども、どうしても被害者がわからない、あるいは申出がないということで、相当の額が金融機関に残りまして、最終的には返すところがないというお金が預金保険機構の方に集まってくる。それを被害者支援の充実のために活用するというのが法律の条文上記載がございまして、それを具体的にどうするのかというのが1つ。今の部分は金融庁の所管でございまして、お話が出たときには金融庁の人にも来ていただいてお話ししておりますけれども、その活用について対応してほしいという御要望も出ております。
あと、時効の関係、性暴力禁止法の制定とか、そういうのも御要望として出ておりまして、最後に犯罪被害者庁の設置という、これも大きな話ではあるんですけれども、そういった御要望も出ているということでございます。
事務局的に申し上げますと、犯罪被害者等の基本計画という舞台の中で議論すべき話かどうかという意味で言いますと、ここに出ているだけではないんですけれども、ややそれになじみにくいかなと、勿論、被害者の皆様の意見ということであることはそうなんですけれども、そういう意味で関係のところにお伝えはするわけですけれども、この基本計画の議論の中で、あるいは基本計画に議論の末、取り入れるという、そもそも話なのかという、若干そういうものも中にはあるような感じもいたしておりまして、その辺は事務局で場合によっては整理をしなければいけないのかなと思っております。勿論、御意見を伺ってということになります。だから、そういったものもこの280の中にはありますので、お話のあった御要望をそのまま取捨選択せずに載せておりますので、場合によってはそもそも議論になじみがないのかなと思われるものも入っていることを付言をさせていただきたいと存じます。
私の説明は以上でございます。
○山上議長 それでは、自由討議を行います。今、殿川室長の話にもありましたように、この会議は犯罪被害者等施策の実施状況、基本計画に基づく施策の進捗状況の検証、評価及び監視を補佐するという任務のものでありますので、現行の犯罪被害者等計画に基づく各種の施策の進捗状況について、御発言のある方がいらっしゃいましたら、どうぞお願いいたします。これから30分程度時間がございますので、自由に。
どうぞ。
○中島構成員 犯罪被害者等基本施策の見直しが来ている段階でこのような意見聴取が行われたことは大変重要と思っております。先ほど内閣府の方から、性暴力被害者についてのコメントが多かったのは、1つには、そういう団体が今回は参加したからではないかという御意見もありましたけれども、私自身も近年、性暴力被害者関連の支援をされている方のお話等伺ってみますと、犯罪被害者基本計画の中で性暴力被害者は対象となっているにもかかわらず、施策として具体的なものが見えてこないし、状態の改善を実感として感じられないという意見をかなり伺ってまいりました。
勿論、警察に届け出た方については警察庁の施策の推進によって対応されている部分がありますが、御存じのように、性暴力被害というのは、かなりの数が警察に届けていない方であります。
したがって、ここにこれだけの意見が出てきたということは、逆に言うと、やはり基本計画の中で性暴力被害者をかなり特別に扱って、もう少し焦点化していかないと、性暴力被害者の方のメンタルヘルスであれ、経済的状況であれ、そういった支援が進まないことを意味しているのではないかと思います。
例えば、団体が希望されている性暴力禁止法というのもありますけれども、その成立までにはやはり時間がかかると思いますし、成立するかどうかもわかりません。基本計画の中の施策の多くは性暴力被害者に適用可能なものがありますので、その部分について重点的に今後推し進めていくことが求められているのではないかと思います。
1つの提言ですけれども、今までの中では検討会といったものを設けて重点的にその課題を扱ってまいりました。例えば、性暴力被害者に関して、厚労省だけとか、警察庁だけとか、そういう形では進まないと思いますので、そういった検討会といったものを重点的な課題についてはつくり、より焦点を当てた議論推進ということを行っていったらよいのではないかと思いましたので、提言させていただきました。
○山上議長 室長、こういう検討会をつくるというのは、どういうところで検討できる可能性があるんでしょうか。
○殿川室長 検討会を、全体の総合的な場ではなくて、テーマを仮に性犯罪に限って議論を深めていくということであれば、前回、3つの検討会がありましたけれども、ああいう形でやることができるのかなと思います。ただ、全体の議論をする一方で、それも同時にというと、事務的にはなかなか。前回は、基本計画全体をつくって、更に3つ、重要な課題を別途つくっているんです。ですから、タイムスケジュール的なイメージでいくと、そういうのも1つのやり方だと思いますし、議論する中で分科会的なものも、やり方としてはあり得ると思います。
それと、もう一つ、それに関連して申し上げますと、ここにも性暴力禁止法と書いてあるんですが、中身を精査しているわけではありませんけれども、性暴力対策といいますか、そういう広い意味でのということになると、いかにも役人的な言い方になって恐縮なんですけれども、犯罪被害者等施策からはちょっと超えてしまう部分がありますので、性暴力を根絶していこうとか、そういうための取組みはまさに犯罪対策にもなってしまうので、どうしても私どもの方は被害者対策支援ということになると思います。
ただ、一方で、同じ内閣府で事務局をやっております男女局の方で、男女の暴力の関係のいろいろな取組みをされているというのも聞いていますので、場合によっては、そちらとも連携してやるというのもあり得るかなという感じは持っております。今後、進め方についてはまた検討させていただきたいと思います。
○山上議長 今の中島委員の意見は、縦割りの報告ですと、間に落ちる部分があって、協力すればもっといろいろ補い合えるところがあるので、重要なテーマについて協力し合えるというものがあると、縦割りの弊害が随分是正できるんではないかと私たちは思うものですから、こういう意見が多くなるんだろうと思いますけれども、それについては難しいという考えですか。
どうぞ。
○小西構成員 私は男女共同参画の方の暴力専門部会の委員もしておりますので、あちらでも確かに性暴力被害の話が出ていることはそうなんですけれども、両方やっていまして、両方の間に落ちていってしまう可能性を非常に危惧しております。今までの経過からして、男女共同参画の方は、主にDV防止法を推進してきたと思うんです。それで一定の成果が上がっている。一方でこちらは犯罪被害者に関する施策ということでやっていて、全体として性暴力被害が、こういう領域のかなりコアな対象であるにもかかわらず、落ちてしまっているという状況はあると思うんです。どうして日本でそういう状況が起きてきたかというと、法制化の経過の中で、自然にそうなってきた、必然的な部分もありますので、今までは仕方がなかったし、それぞれ推進されて変わった部分はあるので評価しますけれども、今の状況では、そこが大きく落ちていることは間違いない。
それから、性暴力被害のグループの発言が多かったというお話に関しては、犯罪被害者等基本法を最初につくるときにも聴取がなされていたと思いますが、その段階では、今のようにグループが可視化されていなかったです。その点では、この数年で、被害者の動きも非常に変わってきたし、まとまってきている。被害者だけではないですね。被害者支援グループの動きも、この分野でも変わってきていると思うんです。そういう両方の社会の状況も、施策の状況も、何かするべきだということを指し示していると思いますので、そのことについては十分御配慮願いたい。確かに、これはうちの権限ではありませんという言い方をしてしまうと落ちてしまうんだけれども、そうではないところを拾っていくのが内閣府の施策であると思いますので、是非御考慮いただければと思います。
○山上議長 討論の時間がまだございますので、性暴力被害に関して幾つか出ましたけれども、この施策、要望の中で、性暴力に対するワン・ストップ・センターの整備とか、警察の取組む課題への要望などもありますが、これはある程度検討されていると聞いていますけれども、警察庁の方から何かお話しいただけることがございますでしょうか。
○坂口審議官 ワン・ストップ・サービス支援センターにつきましては、平成22年度予算で予算要求をしております。私どもとしましては、予算確保できるように、財政当局に御理解を得るように努力をしております。予算の話でもあり、まだ結果が出ていないものですから、詳細は申し上げられませんが、私どもとしましては一生懸命努力をしているところでございます。
○山上議長 ほかにどなたか御意見ございますか。
どうぞ、瀬川構成員。
○瀬川構成員 「性暴力」という言葉自体、あいまいな感じがするのですけれども、これはかなり定着した警察庁内部でも熟した言葉になっているのでしょうか。
○坂口審議官 必ずしも法律的にきちっと決まっている用語ではないと承知しておりますが、犯罪状況としては、一般的に使われているのではないかと思われます。しかし、どの程度まで厳密に定義されているかは承知しておりません。
○瀬川構成員 法的な立場から言うと、性暴力というのはどういう意味なのか、若干疑問があります。推測することについて疑問があるわけではありません。きちっとした定義というとやや堅苦しい意見になるかもしれませんけど、まず全体的な議論をする前に、定義を少し厳密にする必要があるのではないか、いずれ議論があれば教えていただきたいと思います。
○山上議長 どうぞ、大久保構成員。
○大久保構成員 先ほど室長から御説明のありました基金のことについてですけれども、内閣府では検討を依頼した、警察庁では、犯罪被害救援基金の中につくったということですけれども、それだけでは基本計画を立てたときの犯罪被害者に対する経済的支援をしっかりと行うことという辺りでは少し足りないと思いますが、内閣府といたしましては、今後、基金のめどをどのように考えていらっしゃるのか、何か具体的に対策を考えて、何らかの実践を行っていらっしゃるのかということについて教えていただければと思います。
○殿川室長 非常に答えにくいんですけれども、特にこういう方向でこうという、基金をつくるということについては、率直に言って、今、持ち合わせてはいないわけです。警察庁の関係の団体で検討会の際に、とりあえず今の給付金制度から外れてしまう、しかし、それは放置できないということは、何とか民間の浄財でそういう仕組みがあるべきではないかという結論が出て、それについては対応が、先ほど説明があったように、できたわけですけれども、そういうものとは違う、そもそも抜本的な被害者支援、あるいは支援団体の充実のための基金というお話があったんですけれども、これはやはり、財源的な負担を公的にするのか、民間がするのか、なかなかそこは難しい、いろんな議論がある問題が背景にしてあります。そこがはっきり結論ができて、公費で全部やるということになっているわけでもないわけです。一方で、支援センターなど、今、そういった基金を目指して取り組まれている動きがあって、我々としては、そういったものを可能な範囲で側面的に支援できる限りのことはしていくということ。
それから、そもそも、これは国民の皆さん全般の理解を得て、そういうものがバックになって、そういった基金が必要であればでき上がっていくというところも、1つの方向性としては、そういう議論が結論としては出ておりましたので、それに沿って、大きく言えば、いろいろな理解の啓発等を含めた、いろんな取組みをしているというのが現状でございます。今のところ、我々としては、そういう努力を継続するというふうに考えております。
○山上議長 どうぞ、瀬川構成員。
○瀬川構成員 先ほどの給付制度の運用状況を見た漠然とした感想ですけれども、一定の成果は確かに挙げることができた。同時に、先ほど、公的な枠組みから外れたものを基金に持っていったとおっしゃいましたけれども、この運用状況であれば、財政的にはそれほど圧迫状況になっていないのではないかと推察されます。つまり、まだまだ改善の余地はあるのではないか。例えば、対象を広げたり、額を増やすこともできるような状況にあるのではないか。
当初、いろんな要望が出されて、あおの程度にとどまったという理由は財源という問題があったからだと思うのです。そういう点で、財源から無理ですという感じでああいうふうに絞られていったわけです。積み残された部分をもう一度、まだ施行されてそんなに時間がたっていませんので、すぐさまという意味ではないですけれども再検討の余地はあるのではないでしょうか。言葉だけのスローガンに終わらせないようにもっと膨らませる部分も検討していいのではないか。
○山上議長 警察庁ですか、どうぞ。
○坂口審議官 例えば、先ほども言いましたDV被害者に関する支給要件の緩和など、小さいながらも一歩一歩被害者のニーズを踏まえて、今後ともその充実に取り組んでいきたいと思っております。そのような意味で、現場の声などをお寄せいただければ、私どもも制度の中で落ちてしまっているものについては積極的に検討してまいりたいと思っております。
○山上議長 大久保構成員。
○大久保構成員 被害者の国選弁護人のことなんですけれども、結構資力要件が厳しいものですから、希望しても国選の対象とならなかったという方もいるように思います。その要望と、国選であったか、私選にせざるを得なかったのかという辺りの比率がわかれば教えていただければと思います。
○甲斐審議官 今、手元に資料がありませんので、全体の数字はわかりませんけれども、請求したけれども、資力要件が満たされないということで拒否されたという事例はないと聞いていますが、委員おっしゃっていたように、全体としてどうなのかというところは、私選に切り替えたとかいうところはどのぐらいなのかというのはまた別の問題としてはあり得ると思いますので、そこは調べたいと思います。
○山上議長 資力の要件があるために申請をしなかったという可能性はあるということですか。
○甲斐審議官 その可能性もあり得るとは思います。
○山上議長 そのほかにどなたか御意見ありますか。
どうぞ。
○小西構成員 質問で出し忘れたことがあるので、よろしいでしょうか。ここのところ、私、子どもの性被害などの事例を立て続けに受けておりまして、かなり苦労しております。恐らく、捜査の段階で司法面接的な技法、司法面接そのものの制度というよりも、その技法が取られるだけでも、証拠としての力もかなり上がるのにと思うようなことがありまして、司法面接自体の名前は取り沙汰されているんですが、実際にはどのくらいそういうことが可能なのか、まだ絵に描いたもちの段階なのか、それから、今後の予想といいますか、在り方とか、そういうことについて教えていただければと思います。
○坂口審議官 警察では今、少年課において研究を始めた段階でありまして、またいろいろと知見を教えていただければ、その結果をまた現場の方に戻していって、その精度を高めていくということは可能だと思いますので、いろいろと教えていただきたいと思います。
○小西構成員 これは恐らく犯罪の捜査という観点からも、それから、被害者支援という観点からも、できることから導入するだけでも随分違うと思うんです。現場の警察官などの話を聞くと、本当に熱意だけでやっていらして、技法が身につくだけでも違うと思うので、是非推進していただければと思います。
○山上議長 どうぞ、松村構成員。
○松村構成員 先ほどの話に戻りますけれども、法テラスに精通した弁護士さんが1,668名、現在登録されているということなんですけれども、実際に参加した被害者から弁護士の依頼があったのは、先ほど大久保さんがおっしゃったように、要件が厳しいせいなのかどうかわかりませんけれども、非常に少ないんです。そういうことであれば、1,668人でもって十分なのか、もっと増やす方法 があっていいのかどうか。あるいは、この1,668人についても、地域的にかなり格差があるんではないかと思うんですが、それについてどう考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
○山上議長 法務省で何かお答えできることがありましたらお願いします。
○甲斐審議官 精通弁護士につきましては、1,668名ということで、御指摘のとおりでございますが、やはり地域差というのか、もともと弁護士さん自体の地域の偏在が大きくて、東京とか大阪とか、大都市に多いということもあって、精通弁護士についても、名簿登載者については、東京は1,668人中の247、あるいは大阪が93という数字になっております。恐らく、こういった制度全体が比較的新しいということもあって、まだこういった登載が進んでいないんだろうと思いますし、逆にこれだけの経験で精通弁護士ということで、不十分ではないかという意見もあるぐらいですので、むしろ底上げを全体としては図っていかなければいけないのかなと思っておりますけれども、とりあえずの現状としてはそんな状況だと思います。
○山上議長 それでは、お時間になりましたので、自由討議は終了といたしま す。
内閣府から連絡事項があるということですので、お願いします。
○殿川室長 それでは、事務局の方から、今後の会議等の関係で、本来、簡単な資料でもあればいいんですけれども、まだコンクリートできないようなところもありますので、この場では口頭での説明で御了承いただきたいと思います。
基本計画の見直しスケジュールということになるわけですけれども、一応、私ども内閣府といたしまして、今、大雑把なスケジュール感といたしましては、年明けの1月か、場合によっては2月になってしまうかもしれないと思っておりますけれども、犯罪被害者等施策推進会議、この会議の親会議といいますか、官房長官が議長で、大臣と、あと、今日お越しの4名の皆さんとで構成されているわけですけれども、その会議を開催をいただきまして、現在の基本計画の検証、評価、フォローアップ、そして次の基本計画の策定についての検討をするという方針の決定をいただきまして、その検討を、現在は基本計画推進会議となっておりますけれども、基本計画の策定、併せて推進ということになろうかと思いますけれども、そういった会議という形で構成をして、その会議で検討するというような方針の決定を、その会議の場でいただきたいと考えております。
その決定が下りましたら、早速2月から、以降、大体月1回程度、この専門委員等会議を開催をして議論いたしまして、6月から7月ぐらいに1回、中間報告素案をとりまとめをさせていただいて、その後、いわゆるパブリックコメントですとか、場合によっては再度、いろんな関係の皆さんとの意見交換などもして、詰めの推進会議を10月、11月ごろにいたしまして、ちょうど1年後ぐらいに正式の決定ができればというようなスケジュール感を持っております。ですから、来年の12月か、再来年の1月ぐらいですね。よろしくお願いできればと思っております。
正式には、最初のスタートになります推進会議を、場合によっては持ち回りでということもあるかもしれないと思っておりますけれども、いずれにしても、その推進会議をどういう形で、どういうテーマでやるかというのは、推進会議のメンバーである先生には勿論、御相談を前もってすることになろうかと思いますので、よろしくお願いをいたします。また、そこで一定の進め方等が出ましたら、専門委員の先生におかれましては、是非御協力をお願いできればということを申し上げます。事務的にはいろいろ必要な御連絡等差し上げますので、よろしくお願いを申し上げます。
なお、今日の御議論でも出ましたように、私どももまだこの論点等を十分そしゃくできていないところもございますので、今後、内容的な進め方は、更に我々の方でまた御相談しながら検討していきたいと思いますので、よろしく御指導お願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○山上議長 今の御説明に質問か何かございますか。よろしいですか。
それでは、これをもちまして「第7回基本計画推進専門委員等会議」を終わります。本日は長時間にわたり精力的に御議論いただき、ありがとうございま した。