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犯罪被害者等施策
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第5回基本計画推進専門委員等会議 議事録

(開催要領)
日時:平成20年12月15日(月)15時00分~17時10分
場所:中央合同庁舎4号館 共用第3特別会議室
出席者:
議長山上 皓国際医療福祉大学特任教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
瀬川 晃同志社大学法学部教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
山田 勝利弁護士
殿川 一郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
かねたか まさひと警察庁長官官房総括審議官
代理鈴木 茂樹総務省大臣官房企画課長
三浦 守法務省大臣官房審議官
合田 隆史文部科学省大臣官房総括審議官
間杉 純厚生労働省政策統括官(社会保障担当)
代理中島 誠国土交通省住宅局住宅政策課長
秦 義昭外務省領事局海外法人安全課邦人援護官

(議事次第)
1.開会
2.犯罪被害者等施策の進捗状況について
・関係府省による説明
・質疑応答・自由討議
3.その他
6.閉会

(配布資料)

資料1 犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた主な施策の進捗状況
資料2 犯罪被害者等基本計画の進捗状況
資料3 犯罪被害者等施策の進捗状況全般に関する所感
資料4 有識者構成員からの質問・意見等
資料5 平成20年10月22日参議院本会議 会議録(抄)
資料6 「経済的支援に関する検討会」最終とりまとめ(抄)
資料7 諸外国における犯罪被害者等に対する給付について(未定稿)
資料8 平成21年度犯罪被害者等施策関係予算概算要求関係資料

○ 冊子「犯罪被害者等基本計画が策定されました」
○ 地方公共団体における犯罪被害者等施策に関する調査


(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進参事官 定刻になりましたので、第5回「基本計画推進専門委員等会議」を開催させていただきたいと思います。
 最初に、内閣府犯罪被害者等施策推進室長の殿川からごあいさつ申し上げます。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ただいまから、第5回「基本計画推進専門委員等会議」を開催させていただきます。
 本来であれば、初めに、野田聖子犯罪被害者等施策担当大臣が出席しましてごあいさつを申し上げるところでございますけれども、本日、国会対応のため、やむなく欠席となっております。申し訳ございませんが、御了承をお願いいたします。
 私は、内閣府の犯罪被害者等施策推進室長の殿川と申します。有識者の専門委員の先生方には、平素から大変私どもの施策の推進につきまして、御指導、御協力をいただいております。厚く御礼を申し上げます。また、この会議の開催に当たりまして、事前からいろいろと資料等で御意見等を伺わせていただきました。また、本日お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、以後の進行につきましては、議長であります山上先生の方でよろしくお願いいたします。

○山上議長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日は、犯罪被害者等基本計画の会議決定から概ね3年を経過したことを踏まえて、基本計画に盛り込まれた犯罪被害者等施策の進捗状況を検討し、今後取組みを強化すべき施策は何かについて本会議としての共通認識を形成したいと考えております。
 まずは、内閣府から計画全体を通しての進捗状況についての大まかな説明をしていただき、その上で事前に有識者構成員からいただいた説明、要望及び取組みが不十分ではないかとの御指摘を踏まえ、各省庁から説明をいただきます。関係省庁の説明が一通り終わりました後、質疑応答及び自由討議を進めてまいります。
 まず内閣府より、犯罪被害者等施策全体を通しての御説明、引き続いて内閣府関係につきまして、有識者構成員からいただいた説明、要望のありました事項などについて、御説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、初めに内閣府から説明をさせていただきます。
 まず、全体の施策の推進状況等につきまして簡単に御報告をさせていただきまして、その後、先生方から御指摘等があった事項で、内閣府で申し上げるべき点について御報告させていただきます。
 初めに、資料の全体の説明をさせていただきます。
 まず資料1として、A4横長で2枚ほどの図表がございます。これは、基本計画に盛り込まれた施策全体の説明、アウトラインを示したような表でございます。
 資料2は、概要版が4ページほど、十数ページの詳細版で、それぞれ基本計画の進展状況をまとめたものでございます。
 資料3は、先生方からの施策全般状況について、予めいただいた所感をまとめさせていただいたものでございます。
 資料4は、先生方からいただいた施策の推進状況に関する質問、御意見等をまとめたものでございます。資料4につきましては、回答の説明の便宜上、内閣府から以下、担当省庁別に分けたものと、質問、テーマに応じて内容ごとに分けた基本計画を参考として対照している表と両方を付けておりますので、見やすい方でご覧いただければと存じます。
 それでは、まず私の方からは、資料1と2で、全体の状況を補足的に少しだけ述べさせていただきます。
 まず、大きな一覧表の資料1についてです。ご覧のとおり、これはもちろん主な施策だけを拾い上げておりますが、いろいろな施策を「直ちに」やるもの、「1年以内」「2年以内」と分けておりましたが、現在平成20年のもう12月ということで、17年12月から見るとちょうど丸3年が経過したところでございます。したがって、主な施策がほとんど何らかの形で実行に移されているわけですけれども、一覧表の右側の方に二重の四角で囲ったのが、3つの検討会。御案内のとおり基本計画の中で幾つかの重要な課題について検討会を設けて、その検討会の結果を踏まえて施策を推進するということになっておりました。去年の11月にその検討会の最終とりまとめが行われ、それに基づく施策が今進んでいるということでございます。
 それから、1枚目の最後「3年以内」となっていた厚労省さんのPTSD等の治療の関係施策等につきましても、今般、ここに書いてありますように研究成果を踏まえた対応がされているということでございます。
 2ページ目に、法律所定の時期にやるということになっておりました、「刑事手続への関与拡充」の最後のところに出ております法務省所管の少年法への対応でございますが、少年保護事件に関する犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、一定の対応がとられて、この12月にスタートいたしました。というように、予定された中で、進展具合はそれぞれによって違うわけですけれども、概ね順調に進んでいるものと思っております。
資料2、文章で書いてある概要版あるいは詳細版については細かい説明は省略しますが、1点だけ「詳細版」の3ページ真ん中辺りに「(4)基本計画には盛り込まれていないが、基本法・基本計画を踏まえ新たに実施しているもの」ということで「オウム真理教犯罪被害者等の救済【警察庁】」と書いてございますけれども、内容はここにありますとおり、議員立法でオウム真理教犯罪被害者に対する特別の救済措置がとられまして、これが今年6月11日に成立しております。この内容は、オウム真理教による一定の犯罪被害の被害者及びその遺族に対し、被害類型に応じた見舞金的な性格の給付金を支給するというものでございます。テロについての対応ということで検討会でも議論がございましたけれども、この点は議員立法でこういった措置がとられておりまして、この実施につきましては警察庁で担当することになっております。あとは、時間の都合で説明等は省略させていただきます。
 次に、私ども内閣府で担当いたします先生方からの御指摘等については資料4になります。適宜、資料2の詳細版を参照いただければありがたいと思います。
 まず、資料4の最初に出ております、番号1の問題でございます。「経済的支援に関する検討会で検討された基金の創設状況について」ということで、大久保先生からいただいております。この関係につきましては、資料2の詳細版の2ページに当たります。直接「基金」ということは書いてございませんが、「経済的支援に関する検討会」でいろいろな議論がされたわけでございます。そういう中で、犯給制度などを充実したりするにしても、やはりどうしても公的な救済の対象とならない被害者というのが出てくるであろうと考えられます。そういう方の中で、個別の事情に照らして何らかの救済の手を差し伸べないとこの犯罪被害基本法の趣旨を全うできないと思われるような特別の理由があるものに対しては、民間の浄財による基金において一定の給付を行うような仕組みを構築すべきだという指摘をされております。
 したがって、私どもは、これについては早急に何らかの形をつくる必要があると認識しております。ただ、主体はあくまでも民間の浄財による基金ということですので、なかなか私どもの方で直接どうこうとは言えないのですけれども、この点については、警察庁に御協力をいただいて、鋭意そういった民間の皆さんとお話し合いをしていただいて、現在、そういった仕組みをつくる方向で具体的な準備を検討していただいているという状況でございます。これについては、近く具体的な形ができてくるのではないかという見通しを立てております。
 2番目の問題は、山田先生からいただいております「長期療養を必要とする犯罪被害者のための施策の検討状況について」、これは厚労省と共通の質問になろうかと思います。これにつきましても、「経済的支援に関する検討会」におきまして、いわゆる重度の障害を負われたような方への給付金の引き上げという提言を踏まえ、警察庁で所管している障害給付金の最高額を自賠責並みの4,000万円に引き上げるといった対応がされております。
 問3は、「地方公共団体における総合的対応窓口の設置状況について」ということでございます。山田先生、大久保先生からいただいております。これにつきましては、詳細版8ページの一番下にあります、「地方公共団体に対応窓口の設置等を要請する」という部分になります。このテーマにつきましては、今日お手元にお配りさせていただいております「地方公共団体における犯罪被害者等施策に関する調査」という冊子の中に出ております。都道府県のレベルにおきましては、29ページの表がわかりやすいと思いますけれども、47都道府県のうち31が、この時点でそういう対応窓口を置いております。その後、今夏に調べたところでは、県レベルでは5つ増えて36、政令指定都市につきましては、17政令指定都市のうち6都市となっているということでございます。28ページの方に、何%ぐらい設置されているか、あるいは設置予定がありますけれども、これよりは少し数字がよくなっているということでございます。
 市町村のレベルにつきましては、左のグラフでは、設置しているところが全体の17.7%、設置予定が1.4%で、合わせて19.1%にとどまっています。これは1年近く前になってしまいまして、最新の数字はございませんが、そういう状況になっております。御指摘のようにこの点については理由がいろいろあろうかと思いますけれども、やはり不十分であると私どもも認識しておりまして、これまでもいろいろな機会に要請をしてまいりました。今後、特に来年1~2月にかけて全国6ブロックで、地方公共団体職員を対象とした研修も実施することになっておりますので、そういう機会などを通じてこの点についてはしっかり指導していきたいと考えております。
 4番目は「コーディネーター育成のあり方についての検討結果について」、山田先生からいただいております。現在、私どもの方で、全国被害者支援ネットワークなどを初めとします民間団体の研修に資することができるように、支援員の皆さんのレベルアップを図る意味で、研修カリキュラムのモデル案を作成することになっております。このモデル案を鋭意作成検討中でございまして、最終的には、人材制度といいますか、検定制度といいますか、そういう一定のものが民間の皆さんでできればという趣旨で取り組んでいるわけですけれども、コーディネーターについてもその一つとして検討させていただいております。
 ただ、コーディネーターというのはどの程度の方のことを指すかにもよるのですが、かなり高度な知識・経験、幅広い能力も要るということで、こういうカリキュラムをつくってコーディネーター制度というのになじむかどうかということも議論としてはありまして、そういったことも含めて、関係の皆さん等の意見を聞きながら、研修のあり方や人材育成ということについて、今、取り組んでいるところでございます。
 5番目の「犯罪被害者の状況把握のための継続的調査」に関しまして内閣府では、継続調査としてパネル調査を実施しております。具体的に特定の人にお願いして継続的な調査をすることにしておりますが、不用意な調査は二次被害にもなりますので、支援団体等の皆様から被害者の御協力いただける方を御紹介いただいて、そういう人に特にお願いして継続して調査をさせていただいております。
 もう一つ、幅広い観点で被害の状況を把握したということでWeb調査をしておりますが、このWeb調査については、御指摘のように特定の人に対し継続的に行うというのがなかなか難しゅうございます。Web調査は業者に委託して実施しておりまして、契約上の問題もありますが、何らかの形でそういう継続的な調査の趣旨というか、実態を継続的に把握することができるように、可能な限りの工夫をしながら今後も取り組んでいきたいと思っております。
 6番は、大久保先生等からいただいておりますが、「民間の犯罪被害支援団体等への民間団体への援助・支援のあり方が不十分ではないか」という御指摘でございます。これにつきましては、今、民間団体でいろいろな活動を積極的に展開していただいているわけでございますが、そういう中で、特に財政的基盤等について非常に厳しい状況にあるというのは、私どもも承知しております。そういう中で何とか少しでも援助ができるということで努力はしておるところです。
 具体的には、内閣府としては、地方公共団体から民間団体へ援助ができないかということで、地方公共団体の地方財政措置の中で一定の犯罪者支援について位置づけをしていただきまして、都道府県レベルのものは地方交付税措置を今年度とらせていただいています。それから、警察の関係で、これはまた別に警察庁の方から話もあろうかと思いますけれども、警察費の補助金を活用したいろいろな援助等もしていただいて、そういったものも可能な限り拡充するということで努力しておるというところでございます。
 それからもう一つ、私どもとして意識してやっておりますのが、こういった援助が、公的なものと同時に、民間の皆さんが理解を深めていただいて支援いただける、民間の浄財といいますか、そういうものが集まるといいわけですけれども、そういったものに資するために「モデル事業」を地方でそれぞれやるようにしております。そういった意識を広く国民の皆さんに持っていただく、あるいは地方自治体の皆さんに持っていただくために、いろいろな形でのモデル事業を実施しております。広い意味で啓蒙・啓発をして、理解を得て、民間の皆さんの資金的な面での援助についても機運が高まるようにということでやっているわけです。
 それともう一つ、先ほど研修カリキュラム事業のことを申し上げましたけれども、民間の皆さんがさまざまな事業を展開する上で、全国的に統一的に、こういうものがあったらやりやすいというものについては、私どもの方でできるものはやるという意味で、研修カリキュラム事業や関係機関の連携を強化するためのハンドブックの作成事業もやっております。こういったものを使っていただけるようにするということも、一種の民間団体の皆さんへの援助の1つという意味合いもあるのかなと思っております。
 しかし、いずれにしましても、公的な部門の財政事情が厳しいというのは日々いろいろ報道等されているとおりでありますが、民間におかれましても、こういったいろいろな社会公益上のものへの協力というのもなかなか厳しいものがあるというように聞いておりまして、この点については、今後とも私どもとしてもいろいろな工夫をしながら努力をしなければいけないと認識しているところでございます。
 内閣府の方からは、以上でございます。

○山上議長 ありがとうございました。
 次に、関係省庁、まず警察庁から御説明をお願いいたします。

○警察庁長官官房総括審議官 警察庁の総括審議官のかねたかでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先生方からいただきました御質問等について、御説明させていただきます。
 まず「質問・御意見等」の2ページになりますけれども、岡村先生、中島先生からいただきました「性犯罪被害者の緊急避妊等に要する国庫補助金の支出状況」「現在この制度が利用できる都道府県はどのぐらいあるのか」という御質問についてでございます。警察庁では、基本計画に基づきまして、性犯罪の被害に遭われた方に対する精神的、経済的負担の軽減を図るということを目的として、緊急避妊等に要する経費について、平成18年度から補助金として予算措置をしております。
 施策の詳細のペーパーの2ページの一番上の丸になりますが、現在、緊急避妊に要する経費につきましては、すべての都道府県において公費で負担するという制度を実施しているところでございます。また、それ以外の経費につきましては、初診料、診断書料、検査費用については全都道府県で、人工妊娠中絶につきましては38都道府県で、全部または一部の公的負担が実現しているところでございます。
 また、支出手続につきましては、直接医療機関に支払う方法でありますとか、被害者に立替払いをお願いする方法など、各都道府県によって現在異なっている状況がございます。これらについては、被害者の利便性や各都道府県の現状を踏まえまして、改善できるものは改善を図るべく検討を行っているところでございます。平成20年度における緊急避妊等、今、申し上げました費用の予算措置状況については、これは補助金でございますけれども、警察庁の予算としては1億1,200万円措置をしておりまして、これに対して各都道府県における予算措置は合計して約5,900万円という状況になっています。私どもといたしましては、全都道府県で十分な予算措置が図られるように今後も指導をしてまいりたいと考えております。それから、支給の状況でございますが、平成19年中の統計になりますけれども、緊急避妊費用の支給が603件、診断書料につきましては1,050件、初診料につきましては1,751件、検査費用が885件、人工中絶の費用が8件、これらに支給しているというところでございます。
 続きまして、山田先生から「被害直後及び中長期的な居住場所の確保の問題について不十分ではないか」という御提言をいただいております。警察の部分について御説明を申し上げたいと思います。殺人とか傷害あるいは性犯罪などのいわゆる凶悪事件が発生して、その被害現場が自宅であったりということで、被害者あるいはその御家族、遺族の方々にとっては物理的に居住が困難な状況となったり、あるいは居住可能であったとしても、被害現場ということで恐怖感、あるいは不安感、あるいは精神的苦痛を受けることは少なくないものと考えております。このような状況を受けまして、基本計画においても、犯罪等によって従来の住まいに居住することが困難となった犯罪被害者等に対して、必要な措置を講ずることが求められておるわけであります。警察におきましては、被害者等の保護の観点、あるいは再被害の危険を回避するということもございますので、平成19年度から、自宅が犯罪行為の現場となって破壊された、あるいは汚損されたなど、居住が困難で自ら居住する場所が確保できない場合などに、一時的に避難するための安全な居住場所(ホテルかウィークリーマンション等)を確保するために必要な経費を公費負担し、経済的、精神的負担の軽減を図るということで、これも補助金になりますけれども、予算措置を講じているところでございます。平成20年度におきます予算措置については、補助金として約3,200万円措置をしておりまして、これに対しまして33の都府県において予算化が図られておりますけれども、その合計は約600万円ということになっております。私どもといたしましては、全都道府県で予算措置が講じられるように、これも引き続き指導してまいりたいと考えております。
 それから、警察庁に対する御質問等の3番目でありますけれども、先ほど内閣府の方から御説明がありましたが、「民間支援団体への支援」、特に「財政的援助」の問題でございます。これは警察では、やはり民間被害者支援団体の活動を支援・促進して被害者支援の一層の拡充を図ることを目的といたしまして、幾つか補助金措置を講じております。一つは、民間被害者支援団体に対する相談業務の委託ということで、平成20年度予算で1億2,700万円計上しております。
 民間被害者支援団体に対する直接支援業務の委託ということで、これも補助金で今年度4,500万円の措置。3つ目は、民間被害者支援団体に対する広報啓発活動業務の委託ということで、やはり補助金措置、これは6,000万円の予算になっております。4つ目が、これは国費でございますが、民間被害者支援団体等に対する活動支援ということで1,100万円の予算措置を講じているところでございます。
 これに対しまして、これは各補助金でございますが、都道府県における予算措置を見てみますと、まず、相談業務の委託につきましては41県で8,800万円、直接支援業務では25都道府県で600万円、広報啓発活動では35都道府県で1,800万円という状態でございまして、これは必ずしもまだ十分ではないと私どもも考えているところでございます。こういった状況を踏まえまして、これまでも各都道府県警察に対しては予算化、とにかく知事部局に予算を認めてもらうように各種会議等を通じて指示を行ってきているところでございます。
 更に今般、犯罪被害者支援法に基づいて、国家公安委員会において作成された犯罪被害者等の支援に対する指針におきましても、民間支援団体への財政的援助に努めることという項目が盛り込まれてございます。今後、この指針に基づきまして、先ほど申し上げました警察による財政的援助が更に充実するように、あるいは地方公共団体等からも必要に応じた財政的援助がなされるように働きかけを行う、そういう取組みを促進してまいりたいと考えております。
 警察庁からは、以上でございます。

○山上議長 ありがとうございました。
 次に、法務省から御説明をお願いします。

○法務省大臣官房審議官 法務省の審議官の三浦でございます。
 法務省の関係では「刑事裁判終了後の被害者支援施策の実施状況について」ということで、大久保委員から説明を求められているところでございます。
 この項目は、基本計画の記載を見ますと、更生保護観所が保護司との共同体制のもと犯罪被害者等に対しその被害に係る刑事裁判が終了した後の支援を行うことについて、犯罪被害者等の支援に適する保護司の配置も含め検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施するというものでございます。更生保護観所でありますが、具体的には全国50か所にございます保護観察所でございます。この関係の施策につきましては、平成19年12月から、被害者の方のための業務に当たるため、全国50か所の保護観察所におきまして、被害者担当官、被害者担当保護司というものをすべて配置いたしまして、被害者の方々からの相談に応じるという施策を行っているところでございます。
 いろいろな被害者の方々から相談をしていただけるように、専用の電話番号を設けまして、ホームページあるいはリーフレットにそれを掲載しているところでございます。昨年12月から今年の9月末までの10か月間で、全国の保護観察所が犯罪被害者の方々から受けた相談件数は、合計いたしますと611件ということでございます。相談の内容はもちろんさまざまでありますけれども、例えば仮釈放審理におけます意見聴取制度というものを行っておりますが、そういったもの。更には、更生保護の被害者施策の利用に関するお問い合わせなども少なくないところであります。また、その問い合わせをきっかけに、いろいろと辛い思いをされてきた気持ちをお話しされて、それに耳を傾けるということもしばしばでございます。例えば、そういった被害者の方々がその保護観察所に来所されまして、保護観察中の加害者の様子を知りたいという相談を受けることもございます。そういう場合には、先ほど申し上げたような被害者担当官、それから女性の、男性の場合ももちろんあるわけですが、被害者担当の保護司が直接お話をお聞きして、保護観察中の加害者の処遇状況についてお伝えするということも行いますし、その過程で、被害者御自身の不安であるとか、あるいは辛い気持ちを聞いて欲しいということで、そのお話をじっくり伺うというようなことも行っているところでございます。
 こうした相談支援につきましては、引き続き二次的被害のないように気をつけながら、被害者の方々のお気持ちを受けとめるとともに、いわゆる「たらい回し」といったようなことにならないように注意しながら、できる限り相談支援という業務を行っていきたいと考えているところでございます。それに向けて、担当する者の研修の実施も重要であると考えておりますし、被害者の方々により広く使っていただけるように、広報にも努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○山上議長 ありがとうございました。
 次に、文部科学省から御説明をお願いします。

○文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省の総括審議官の合田でございます。私から文部科学省関係を御説明させていただきます。
 最初に、中島委員、岡村委員の方から「大学の医学の分野あるいは法科大学院でどのように犯罪被害者等に関する教育が行われているか」その状況について御質問いただいております。
 まず、医学分野でございますけれども、精神医学でございますとか、あるいは医学心理学といった精神医学系統の授業科目で取り扱われているものと承知いたしております。大学によりまして内容はさまざまでございまして、私ども各大学の授業の状況について必ずしも十分把握しているわけではございませんけれども、東京医科歯科大学では、司法性心理学といったような形で取り扱っておられるというように承知をしております。
 また、地域・家庭・職場における精神保健衛生でございますとか、あるいは児童・青年期の精神障害でございますとか、あるいは不安障害、ストレス性障害といった文脈の中で扱っておられる例もあるという、いろいろな形で行われているというように承知をしてございます。
 一方、法科大学院におきましては、「被害者学」でございますとか「犯罪被害者と法」といった名称を冠した授業科目を解説しておられる例もございますけれども、そういった授業科目がない場合でも、「刑事法特論」でございますとか「刑事法総合」といった授業科目の中で、犯罪被害者の実態でございますとか法的地位、損害回復の方法でございますとか被害者支援といったことについて取り扱われているものと承知をいたしております。
 大学の教育内容のことでございますが、なかなか私ども直接的に関わっていくというのは難しい面がございますけれども、文部科学省におきましては、平成19年度、20年度の高度専門職業人養成教育推進プログラム、これは大学教育の中の特に専門職業人養成について、特に優れた特色あるプログラムをモデル授業的に取り出しまして重点的に支援する仕組みでございますけれども、その仕組みの中で、愛知大学の犯罪被害者支援による地域貢献プログラムといったものを採択させていただきまして、犯罪被害者支援のための新たな教育方法の開発でございますとか、地域への還元を図る取組み、そういった支援をしているところでございます。
 資料の3ページ目になりますけれども「被害少年に対するカウンセラー、学習支援について」、岡村委員から御質問いただいております。私どもの方では、教育委員会が小・中・高等学校にいわゆるスクールカウンセラーを配置するために必要な経費の一部を補助するという形で、その配置の促進を図っているわけでございますけれども、その中で、平成19年度からは、特に事件の被害者となった児童生徒の心のケアを行うために緊急にカウンセラーを派遣するための経費についても、補助対象として支援をするということを始めさせていただいております。御参考までに、スクールカウンセラーの配置校は、平成19年度で、中学校で8,839校、小学校で1,988校、高等学校で633校となってございます。更に、小学校につきましては、児童が気軽に相談できますように、退職された先生方などの地域の方々にお願いいたしまして、子供と親の相談員のような形で配置をするという事業も進めさせていただいております。その相談員の配置校は、平成19年度で1,049校となってございます。カウンセラー等の状況は以上でございます。
 4番目に「児童虐待の早期発見についての研究あるいは体制整備が不十分ではないか」という御指摘を山田委員からいただいてございます。この点につきまして、文部科学省におきましては、平成17年度から18年度にかけて、学校等における児童虐待防止に向けた取組みに関する調査研究を実施させていただきました。その中で、学校の先生方、各教職員は、被虐待児童生徒はどの学校、どのクラスにも存在し得るという危機感を持って対応することが必要であること、そして、学校等は、学童や児童・生徒に網羅的に目配りができ変化に気づきやすい立場にあることを自覚して対応することが必要であること、それから、児童虐待を抱え込むことなく早期に関係機関に通告することが必要であること、学校内体制を整備し、組織的に対応することが必要であること、そして、関係機関との連携を強化することが必要といったことが指摘されておりまして、併せて、いろいろな実態、取組みの事例、課題などについても整理をされているわけでございます。私どもの方では、この調査研究報告書を各教育委員会に送付いたしまして、取組みの推進をお願いしてきているわけでございますけれども、更に、この調査研究の成果を踏まえまして、虐待防止に関します研修資料を、今、作成しているところでございます。今後、各教育委員会等にこの研修資料を配付いたしまして、積極的に活用いただきますように促してまいりたいと考えております。
 このほか、毎年11月の「児童虐待防止月間」といったものを活用いたしまして、広報や啓発活動を実施いたしておりますし、生涯学習・社会教育主幹部課長会議、あるいは生徒指導担当の指導主事会議といった各種会議を通じまして、児童相談所への通告義務でありますとか法改正の趣旨といったことについて周知に努めております。それから、専門家の配置につきまして、各学校にソーシャルワーカーとか、先ほどのカウンセラー等もそうでございますけれども、そういった外部の専門家を配置するといったことを通じまして、学校の教育相談体制の充実を図ると同時に、児童虐待の早期発見のための取組みを支援しているところでございます。
 養護教諭につきましても「養護教諭のための児童虐待対応の手引き」というものを作成いたしまして、本年1月に全国の教育委員会、学校に配付いたしております。そういったことで、いろいろと工夫はしておりますけれども、児童虐待の早期発見、万全を期するためにはまだまだ課題が多いと考えております。厚生労働省などの関係府省庁とも連携を図りながら、今後とも児童虐待の防止に努めてまいりたいと考えております。
 5番目の「学校における犯罪被害者の人権教育あるいは犯罪抑止教育の実態」あるいは「具体的な教育プログラムの内容」「実施の頻度」等について、岡村委員、山田委員から御質問いただいております。この点について御説明させていただきます。
 まず、人権教育についてでございますけれども、私どもの方で大きく二つの事柄がございます。一つは、人権教育に関する実践的な研究を委嘱する事業、「人権教育開発事業」と言っておりますけれども、その人権教育総合推進地域の指定、これは平成20年度で45地域を指定してございます。
 人権教育研究指定校、これは学校の指定でございますが、これを平成20年度では102校指定させていただいて、それぞれ実践的な研究をしていただくといったことが一つございます。もう一つは、国レベルで指導方法等に関します調査研究を行って、その成果を普及するということを実施してございます。この国レベルの調査研究につきましては、平成16年度に第一次まとめ、第二次まとめは平成18年度に行われておりまして、人権教育の目標でございますとか、理論的な指針といったものを示させていただいているわけでございます。更に、本年3月には、第三次とりまとめといたしまして、こういった事項や考え方への理解を深める、そして実践につなげていけるように、実践事例などを収集掲載した新たなとりまとめを行っております。私どもといたしましては、この事例集等を各教育委員会に通知いたしますとともに、ホームページに掲載して、どなたでもご覧いただけるようにすると同時に、全国の国公私立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に冊子として配付をいたしております。それから、特別行政法人の教員研修センターという、全国レベルでそれぞれの地域の指導者の研修を行っているものがございますけれども、そのセンターの事業として、人権指導者養成研究というものを実施いたしておりまして、そこでも活用していただく。そういったことを通じまして、現場への定着を促しているといった状況でございます。
 学校における犯罪抑止教育の充実についてでございますけれども、各学校では、教育課程の内外を通じまして犯罪抑止に関連するさまざまな取組みをやっていただいておりますけれども、私どもが直接関わっているものといたしまして、警察庁と連携させていただいて、非行防止教室というものの充実に努めているところでございます。御案内かもしれませんが、非行防止教室は、子供の規範意識でございますとか社会性、危険回避能力を育成することなどを目的として、各学校がそれぞれの地域の実情に応じて関係機関と連携して実施するものです。私どもといたしましては、非行防止教室のプログラムの事例集でございますとか、あるいは実際に非行防止教室を担当していただく教師用の指導資料を作成して配付し、また各種会議等を通じまして、その取組みの充実をお願いしてございます。その事例集におきましては、若干御紹介をさせていただきますと、校則をテーマにしたディベートを行うとか、あるいは犯罪被害者遺族の方に講演会でお話をしていただいてその話を伺うとか、あるいは地域に「子供110番」というものがございますが、そういったものも活用して家庭と連携した犯罪防止の取組みを行うとか、あるいは変質者に襲われた際の護身に関する実技指導でございますとか講話をしていただく。あるいは、出会い系サイトによる被害防止のめの携帯電話に関する生徒同士のディスカッションをするといった犯罪抑止、あるいは子供への犯罪防止につながる取組みを事例集の中で紹介をしているということでございます。このような取組みは、ある程度幅広く行われておりまして、薬物乱用防止教室といったものもございますけれども、そういったものも含めますと、平成19年度で約2万4,000個延べ620万人の子供たちが参加して実施されていると承知をしてございます。
 一方、家庭における「いのちの教育」への推進についてでてございますけれども、私ども、家庭教育に関するヒント集ということで「家庭教育手帳」というものを作成・配付してございます。一人一人の親御さんが家庭を見つめ直してそれぞれ自信を持って子育てに取り組んでいただけるように、そういった契機にしていただけたらということで配付しているものでございますけれども、その中で、自然の中で体験活動に参加させる、あるいは動物や草花を大切に育てたりするといったさまざまな生き物とその死に触れる機会を意識的に用意して、子供に生命の尊さや大切さを実感する機会を持つといったことについて盛り込んでいるところでございます。この家庭教育手帳は、妊娠期の親御さん、それから公立小学校の1年生、5年生の子供を持つ保護者全員の方に配付いたしまして、子育てのヒント集として活用いただいているほか、PTAの研修会、あるいは子育て講座のテキストといった形で活用していただいてきているものでございます。平成21年配付版から配付方法を変更して、電子データによる配付を行っておりますけれども、全国の教育委員会等に対しまして、乳幼児、小学生等を持つ各家庭への配布、あるいはさまざまな学習機会等の活用についてお願いをしてまいりたいと考えております。家庭教育のことでございますので、なかなか私ども直接関わっていくということには難しい面もございますけれども、いろいろな形で情報提供するなど工夫をして取り組んでまいりたいと考えております。
 最後になりますけれども「大学の教職課程におきますカウンセリングあるいは心のケア関連の内容について」の御質問を、大久保委員からいただいております。大学の教職課程におきましては、現在、教育職員免許法の施行規則におきまして、教職課程の学生さん全員がカウンセリングに関する基礎的な知識を含めます教育相談の理論及び方法について必ず勉強していただくという仕組みになってございます。また、教員養成系の大学院レベルになりますけれども、臨床心理士といったカウンセリングあるいは心のケアに関連する専門の職業資格の取得に必要な授業科目が改正されているというのが一般的になってございまして、実務経験のある方を含めて、専門教員の配置も各大学でかなり進んできているというように承知をしてございます。
 具体的にどのように取り扱っているかということにつきましては、大学によってさまざまでございますけれども、学部段階の教職課程では「教育相談論」といった授業科目を必修科目として設けて、児童虐待あるいはPTSDといった児童の犯罪被害に関連する事項を含めまして、カウセリングあるいは心のケアに関する基礎的事項を扱っているというのが一般的ではないかと承知をしてございます。文科省におきましても、これらの内容に関します知識、理解は、教育現場で先生方にとって極めて重要な資質能力の一部だと考えておりまして、今後ともこれらの教育内容が充実されるように、いろいろな形でお願いしてまいりたいと考えております。
 大変概略で恐縮でございますが、私どもからの御説明に代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

○山上議長 ありがとうございました。
 次に、厚生労働省から御説明をお願いします。

○厚生労働省政策統括官(社会保険担当) 厚生労働省の政策統括官の間杉と申します。よろしくお願い申し上げます。引き続きまして、御説明をさせていただきます。
 まず、1番目は、岡村専門委員から御指摘を賜りました「犯罪発生直後のシェルターの確保及び実施状況」でございますけれども、DV被害者及び人身取引被害者についての婦人相談所一時保護所は全国に現在47か所ございます。このほか、一時保護の委託契約施設が261か所ございます。一時保護の状況でございますが、こうした婦人相談所、委託契約施設を含めまして、平成19年度において6,478人を一時保護等してございます。うち7割の4,549人が、夫等の暴力を理由として保護されてございます。人身取引被害者の一時保護は36名、このような状況でございます。
 2番目は、山田委員御指摘の「被害直後及び中長期的な居住場所の確保」についてでございます。これにつきましては、「児童虐待」のケースと「DV被害者及び人身取引被害者」のケースに分けて御説明申し上げたいと存じます。
 まず、児童虐待のケースでございますけれども、一時保護所あるいは一時保護の委託先、これは児童福祉施設とか病院、警察で保護する対応がとられてございます。虐待を受けた児童など要保護児童につきましては、児童相談所長が必要と認めた場合には、児童養護施設に入所、あるいは里親に委託をするということとなっているわけでございます。実績でございますけれども、平成10年度におきまして、児童養護施設が564か所、乳児院が121か所、児童自立支援施設が58か所、それから情緒障害児短期治療施設が31か所でございます。里親は7,934名ございます。また、この11月に児童福祉法の一部改正法案が成立いたしまして、里親制度の見直しによりますさらなる里親委託の促進、それから私どもはファミリーホームと呼んでございますけれども、小規模住宅型の児童養育事業、養育者のお住まいにおいて5~6人の子供たちを養育するような事業の積極的な展開を図り、社会的な養護体制の拡充のための方策を積極的に進めたいと考えているところでございます。
DV被害者、人身取引被害者のケースでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、婦人相談所一時保護所が全国に47か所、それから一時保護委託先が261か所となってございます。この一時保護の間の平均在所日数は14.4日となってございまして、この間にDV被害者の心のケア、あるいは自立生活に向けての支援、サポートを行ってございます。一時保護後の状況でございますけれども、DV被害者の4,426人のうち、婦人保護施設へ374人、民間団体へ164人、母子生活支援施設へ477人、その他の社会福祉施設へ238人が居住地を移し保護されてございます。この数字を足しますと被害者数の大体3割でございまして、その他の7割のDV被害者につきましては、自立、帰宅、帰郷、帰国、あるいは病院へ移送となってございます。人身取引被害者につきましては、これまでのところ、日本で結婚いたしましたごく一部の例外を除きまして、すべて母国に帰っているということでございます。
 3番目は、大久保委員から御指摘のありました「職業安定所職員への研修状況」でございますが、3つに分けて行ってございまして、1つは一般職員、それから2つ目は安定所の管理職、3つ目は4~5年目の中堅どころの職員という、この3つのパターンで研修を行ってございます。この中におきまして、主に犯罪被害者が受ける二次的な被害、精神面、生活面の状況について取り上げるということで、犯罪被害者と直接かかわる可能性のある職員に対しまして、被害者の心情を理解させるような研修を実施している、こんな状況でございます。
4番目は、山田委員からお求めがございました「基本計画の中で第2の1の(3)~(10)、医療関係の実施検討状況、施策の実行性」について御説明申し上げます。
 まず(3)は、PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大ということでございますが、平成18年度の診療報酬改定におきまして、PTSDの診断のための心理テストにつきまして、新たに保険適用といたしました。また、20歳未満の者に対して、心身医学療法を行った場合、診療報酬上の評価を引き上げるという措置を併せて講じたところでございます。
 (4)は、地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の確保という点でございますが、私ども補助事業等を通じまして初期救急医療を担います休日の夜間救急センター、二次救急医療を担います共同利用型の病院、三次救急医療を担う救命救急センターの整備の促進を図っているところでございます。なお、御案内のとおり、近年、救急医療をめぐりまして「たらい回し」等の大きな社会問題も起きてきているところでございまして、20年度の予算、あるいは補正予算におきまして、私ども「管制塔機能」と呼んでございますけれども、患者さんの病態に応じてどこのベッドが空いているということについて采配ができるような、そういったコントロールができるような救急医療機関を支援する。地域全体で救急患者を受け入れる体制を整備するということ。2つ目に、夜間等の受入れ医療機関の円滑な選定を支援いたしますコーディネーターの設置を支援する。3点目に、地域の各医療機関の機能、専門性につきまして、地域住民に情報提供いたしまして、救急医療の適正化につきましても国民の理解を求める、こういった取組みを講じているところでございます。
(5)は、救急医療に連動した精神的ケアのための体制整備ということでございますけれども、救命救急センター等で犯罪被害者が搬送されました場合に、救急医療の実施と併せて、精神科の医師による診療等が速やかに行われるように、精神科との連携を深める必要がございます。これを全国の救命救急センターに周知したところでございます。更に、平成20年度の診療報酬改定におきまして、救命救急センターでの精神保健医指定による自殺未遂者等への診療報酬上の評価を行ったところでございます。
 (6)は、高次脳機能障害者への支援の充実でございますけれども、この点につきましては、平成13年度から17年度までモデル事業を行いまして、高次脳機能障害支援モデルということで、標準的な訓練プログラムを作成し、支援のネットワークづくりに着手をいたしたところでございます。18年度からは、こういったモデル事業を引き継ぎまして、高次脳機能障害支援普及事業ということで、都道府県にそれぞれ支援の拠点機関、これはリハビリセンターであったり病院であったりするわけでございますが、これを設置し、支援コーディネーターによる専門的な相談支援等を行っているところでございます。その拠点機関の設置状況でございますが、20年3月末日現在で32都道府県43施設でございまして、現在、全都道府県の設置を目指しているところでございます。
 (7)は、長期療養を必要とする犯罪被害者のための施策の検討及び実施ということでございますが、新しい改正医療法に基づきまして、平成20年度から各都道府県におきまして新たな医療計画が実施されることとなってございます。この医療計画の中で、医療保険の設定でございますとか、あるいは基準病床数に関する事項、地域医療支援病院の整備の目標等のほかに、長期療養を必要とされる患者さんなどを含めまして、地域の患者さんが継続的に適切な医療を受けられるようにするということで、医療連携体制に関する事項なども定めることにいたしているところでございます。
 (8)は、思春期精神保健の専門家の養成でございますが、精神保健福祉センターでございますとか保健所、医療機関などの医師、保健師さんなどに対しまして、思春期児童の心のケアに関する専門研修を医師コースとコメディカルコースと2つ分けまして、それぞれ年2回開催してございます。平成13年度から毎年継続的に開催してきておりまして、19年度までの受講者数は、医師が923名、コメディカルが約2,000名となってございます。
 (9)は、少年犯罪被害者のための治療等の専門家の養成・体制整備及び施設の増強に関する施策の実施ということでございますが、この点につきましては、岡村専門委員からの御質問にも併せて御回答申し上げたいと存じます。少年被害者のための治療等の専門家の養成、体制整備、施設の増強に関する施策として、さまざまな子供さんの心の問題とか、児童虐待とか、発達障害に対応するために、都道府県域における拠点病院を中核として、各医療機関、あるいは地域の保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るということといたしてございます。また、中央拠点病院、これは生育医療センターを予定してございますが、生育医療センターの整備を併せて行いまして、都道府県の拠点に対する技術的な支援等を実施しているところでございます。また、児童相談所の体制整備も促進しておりまして、20年4月1日現在で、児童相談所197か所に児童精神科医79名、児童福祉士1,358名、児童心理士1,013名ということで、前年度に比べまして増員をさせていただいたところでございます。こうした施策によりまして、児童虐待以外にも対応させていただいているところでございます。
 最後に(10)は、性暴力被害者のための医療体制の整備に関する施策の検討及び実施ということでございますが、性暴力被害者がどこの病院にかかってよいかわからないということがあってはいけませんものですから、医療機能情報提供制度という制度を設けまして、これによりまして婦人科、精神科、心療内科などを有する医療機関の情報を提供するという事業をやらせていただいてございます。
それから、医療法上、公告規制というものがあって、これまで性暴力被害者のカウンセリングは認められてなかったのですが、これもそういったカウンセリングを実施している旨を医療機関が公告ができることといたしたところでございます。
 話が長くなって恐縮でございますが、以上でございます。

○山上議長 ありがとうございました。
 次に、国土交通省から御説明をお願いいたします。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 国土交通省の住宅政策課長でございます。
 御質問を2点いただいておりまして、大久保委員より「公営住宅への優先入居等における罪種別入居」、山田委員より「公営住宅への優先入居等がなかなか進んでいないのではないか」という御質問をいただいております。続けてお答え申し上げます。
 公営住宅におけます犯罪被害者等のための施策としては、1つ目は、公営住宅に優先的に入居していただくという施策。
 2つ目は、公営住宅を目的外使用という形で使用することでお入りいただくということ。
 3つ目は、DV被害者につきましては、公営住宅は原則同居親族がいることが要件でございますが、DV被害者の特性にかんがみまして、その同居親族要件をなくすというこの3つ施策、優先入居、目的外使用、同居親族要件緩和という形で進めさせていただいております。
 その具体的な状況でございますが、昨年の10月現在で都道府県と政令市に調査をさせていただきました。調査結果でございますが、まず、優先入居という形では、255戸が優先入居として御使用いただいているということでございます。内訳といたしましては、DV被害者が251戸、DV被害者以外の犯罪被害者が4戸という形でございます。それから、目的外使用として例外的に使用していただいているのが50戸でございまして、うちDV被害者49戸、犯罪被害者1戸という形になっております。また、DV被害者の方の単身入居につきましては、26戸という形で御入居いただいているということでございます。
 公営住宅等の優先入居がなかなか進んでいないということの御指摘でございますが、ちょうど昨年10月の1年前、18年12月にも同様の調査をしてございます。公営住宅への優先入居につきましては、18年は実は191戸ということでございました。先ほど御説明いたしましたように、19年には255戸という形になってございます。目的外使用につきましては、18年12月には32戸でありましたのが、19年には、先ほど御説明したように50戸という形になってございます。また、DV被害者の単身入居につきましても、12戸から26戸という形で、増加はしておるのかなということでございます。ただ、公営住宅につきましては、御承知のように全国平均で約10倍の倍率でございます。また、東京都だけを取り上げてみましても30倍弱という形で、かなりの厳しい状況という中でございますが、数の上では進んでいるというようには理解してございます。
 ただ、基本的には、公営住宅の扱いについては地方公共団体に御判断いただくということが原則でございます。そういう中で、こうした犯罪被害者等の方に対する優先入居等を講じるという措置につきまして、条例改正などを行ってそういうことに取組みたいという自治体が多いわけでございますが、未だそういう予定はないと御回答いただいておる自治体も9県ほど残っているということでございます。したがいまして、改めまして、こうした自治体につきましては、条例改正等を講じて犯罪被害者等の方々に対する措置をしっかり講じるようにという御理解を続けてまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○山上議長 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答及び自由討議に移ります。関係省庁からの説明内容で不明な点や、犯罪被害者等施策の進捗状況について、御意見がございましたら御発言をお願いいたします。

○大久保構成員 ただいま御説明を受けました国土交通省にお尋ねしたいと思います。
 18年度と比べますと、被害者の方の入居状況が増えているというお話でありました。その中で、私がこの質問をそもそもさせていただきましたのは、DVの場合は割と入りやすいということがありますけれども、実際の犯罪被害者の方は応募しても落とされてしまうということが現実に多いものですから、その辺りを知りたいと思いましてこのような説明を求めたわけです。18年度は、例えば全部で191件、あるいは目的外使用では32件ということで増えているということでしたけれども、18年度には犯罪被害者の方が入居できたという実績はおありなのでしょうか。

○山上議長 では、お願いします。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 18年の中でDV被害者以外の方がどれだけかということでございますが、今、18年の手元の資料というのは持っておりませんので、推測するに、恐らく圧倒的多くがDV被害者なのだろうと思っております。

○大久保構成員 それも踏まえまして、今、困っている犯罪被害者の方がなるべく優先的に入れるように、また御指導の方もお願いしたいと思います。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 基本的にいまだに措置を講じていただいていない自治体については、改めて趣旨を理解していただくようにするとともに、犯罪被害者という理由だけではなくて、ほかの所得要件その他、総合的にきちっと勘案して、優先的に入れるべき人というのは、その枠に入るように、引き続き自治体についてお願いしてまいりたいと思っております。

○山上議長 どうぞ。

○山田構成員 1つだけ例に挙げてお尋ねするわけですけれども、例えば被害直後及び中長期的な居住場所の確保について先ほどお尋ねしましたところ、警察庁と厚生労働省と国土交通省からそれぞれに御回答いただきました。大変ありがたいとは思うのですが、これらの3省庁の横の連携というのはそれぞれどうなっているのかなと思います。これは必ずしも住居場所の確保の点だけではなく、ほかの点についてもそれぞれの省庁間の連絡は密に行われているのかどうか。それから、地方公共団体と省庁との関係は、連絡協議会など、そしてまた指導というわけにはいかないのでございましょうけれども、その辺もどうなっているのかなということをお尋ねしたいと思います。どの省庁という質問でないのでお答えが難しいかもしれませんが、おわかりになりましたらひとつお願いいたします。

○山上議長 今の問題は、警察庁と厚生労働省及び国土交通省についてとお名前が挙がりましたけれども、いずれか。では、内閣府からお願いします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 全体の各省庁の犯罪被害者施策についてのとりまとめは内閣府ということになるのですけれども、今の居住の問題は別にしますと、平素は関係省庁の連絡会議というのを節目、節目で開催しており、今年は2回開催している。それから、犯罪被害者白書のとりまとめ等で、事務的にはいろいろなテーマについてそれぞれ調整し合うということもありますので、事務レベルではいろいろな連絡を必要に応じてとってはおります。あとは、個別の案件やテーマごとに、例えば内閣府で、犯罪被害給付制度に絡むような検討をするときには、警察庁が国内の既存の制度を持っていますので、警察庁と私どもで連絡をとり合うなどしております。あと、個別のテーマで各省ごとに、内閣府で全体をやるというのと同時に、必要があれば当然それはされているのだろうと思います。居住の問題については、警察の方では恐らく直後を担い、もう少し長中期的には別のところと承知している。補足で説明いただければお願いしたいと思います。

○山上議長 では、警察庁、お願いします。

○警察庁長官官房総括審議官 一時居住場所の関係につきましては、当然、中央レベルでいろいろな内閣府のとりまとめの会議等で、それぞれ連携しながら検討を進めてきているわけでありますけれども、実際は、例えば警察の立場で申し上げますと、先ほども申しましたような要件に当たるものについてはとりあえず何とかするというところから始まって、一時避難措置をいつまでやるかということにつきましては、関係者あるいは関係機関に引き継ぐというのが一つのメルクマールになっております。したがって、現場レベルでいろいろな協議会等を通じて連携がとれているということを前提に考えますと、その辺の連絡等はある程度できているものと考えているところでございます。

○山田構成員 いずれにしましても、今後ともそういう連絡を密にしていただいて、「隣は何をする人ぞ」ということのないようにお願いを申し上げたいと思います。

○山上議長 岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 先ほど文科省から、スクールカウンセラーについてはお話がありましたが、学習支援についてはお話がありませんでした。私の質問は、被害少年に対する学習支援についても質問しているわけですが、それはいかがでしょうか。

○山上議長 文部科学省、お願いします。

○文部科学省大臣官房総括審議官 学習支援につきましては、基本的には教員が担当することでございますので、スクールカウンセラーのような特別な別途の人員配置が行われているわけではございませんけれども、そういった問題が重要な問題としてあるということは折に触れて各種会議等で取り扱っておりまして、そういったことで、各学校あるいは各教育委員会でそれぞれ対応していただくように、お願いをしてきているというような状況でございます。

○岡村構成員 私、この間、東京都教育委員会主催で、幼稚園から高校まで、学校の先生600人の前でお話ししたのですが、こういう制度を知らないのですね。教育委員会も知りませんでした。基本計画があること自体、知りませんでした。だから、ここにあるような人権教育、犯罪、これを行っていますかというと、命を大切にしましょうとか言っているけれども、やはりやっていないですね。それで、私は、基本計画の該当箇所をコピーして送ってあげたのですよ。下の方には、それくらい徹底しておりません。基本法のあることも知らないし、基本計画があることも知らない。そういうのが教育の現場なのですよ。だから、文科省がいろいろ言うだけではなくて、実際に現場をご覧いただいて指導していただかないと、これは実現しないと思います。非常に辛口になって失礼ですけれども。

○文部科学省大臣官房総括審議官 とんでもございません。御指摘ありがとうございます。私どもとしては、いろいろな機会に申し上げているつもりになっていて、実際には、今お話のように現場にきちんと届いていないといった実情があるのではないかと思います。改めて、私ども持ち帰りまして、各現場に徹底する工夫について考えてみたいと思います。

○岡村構成員 ついでですが、学習支援については学校の先生がやるということになっているというお話しでしたけれども、加害少年は少年院で国費でやってもらっているのですよ。ところが、被害少年は家で寝たきりになって学校へ行けない。怖くて学校へ行けない。その妹たちも行けない。そういう場合に、単に学校にだけ任せていいのかという点で基本計画の議論もされたはずなのですよ。だから、基本計画のときの議論からすれば、学校の責任、学校でやるのだ、学校でやるのだということは、結局、今まで文科省さんが何もやってないのではないかと思いました。だから、これは、責めるわけではありませんが、加害少年は教育をちゃんと国で受けているのだと。これから、家で寝ている被害少年、怖くて学校へ行けない少年をどうするかという立場で、是非お考えいただきたい。文科省だけで手に負えないのなら、もっとほかの機関と連携してやるように内閣府の方でもお願いしたいと思います。

○山上議長 では、文科省は是非持ち帰って検討していただくということで、お願いします。

○文部科学省大臣官房総括審議官 はい。

○山上議長 ほかにございますか。瀬川構成員、どうぞ。

○瀬川構成員 先ほど、経済的支援に関する検討会で出た基金のことですけれども、議論も議事録に残っているように、非常に不十分な点とか抜け落ちている部分というのは、この基金に集約されたようなところがあるので、我々は非常に期待と不安を持っている。そういう意味で、大きな期待もあるし、あるいは非常に先細りといいますか、そういう感じになってほしくないという場面なのですけれども、先ほど「準備を進めている」というような表現だったかと思うのですけれども、どの辺をめどに、あるいはどの程度の規模を考えておられるのかということを、大変な仕事だと理解しておりますけれども、その点、もしアナウンスできることがあればとお願いしたい。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 では、とりあえず私の方から申し上げます。
 先生御指摘の基金、最初、大久保先生からもあった基金について、実は経済的支援に関する検討会でいろいろ議論が出て、とりまとめに「基金」という言葉が非常にたくさん出てきます。実は、少なくとも2つ、種類の違う基金という言葉があって、1つは普通の基金なのですけれども、もう1つ、テロの被害があったときに特別立法をする、あるいは急遽、官民による基金のようなものをつくってテロ被害者に対する支援をする。これは海外のイギリスとかのテロがあったときの事例などを参考にして、そういうとりまとめがされたということです。また、基本計画等の議論があったときから、1つの被害者団体なり、被害者の皆さんへの支援の特に経済的なあり方として、官民による基金を作って、財政的な手当ができないかという議論もあった。
 実は、そういう基金のうち、最初のお答えで私が申し上げたのは、本来は警察庁が所管している犯罪被害給付制度で給付の対象になるような、ほぼそれに近いような方だけれども、例えば期間が経過してしまったとか、あるいはどうしても法律上は過失になってしまうのだけれど非常に故意に近い、そういう例外的な事例があって、しかもその方が非常に経済的にも苦しい立場におられるという場合に救えるような仕組みとしての基金については何とかめどが立ってきたということでございます。
 そういう次元とは別に、緊急のテロがあったとか、あるいはもっと広い意味で、先ほど財政的支援の話、援助が出ましたけれども、そういったものの支えになるような、財政規模も大きくしたような基金ということになりますと、それをすぐ作るというようなことは、恐らく難しいので、検討会のとりまとめでもそういう記載はなかったのだろうと思っております。率直に言って、その点は今何か話が進んでいるかというと、なかなかそういう状況にはありません。そちらの方の問題は、先ほどからの議論で言いますと、むしろ関係団体への経済的支援、財政的支援をどう充実していくかという中で、努力をしていく方の話になるのかなというように考えているところでございます。以上です。
 前者の話で、警察庁の方で私よりもう少し具体的に話せるのであれば、お願いします。

○警察庁長官官房総括審議官 今、内閣府から話のありました、既存の公的な救済制度の対象にはならないけれども、救済が行われないと基本法の趣旨を全うできないと思われるような特別な事情のある事案、迅速かつ円滑に救援を行う仕組みを早期に必要とされているものについて、内閣府から各省庁に既存の基金を活用した取組みが可能かどうかということについて検討を行うよう要請がございました。当庁に対しましては、既存の基金であります財団法人犯罪被害救援基金の活用ができないかということで、具体的なお話がございました。この財団法人犯罪被害救援基金につきましては、御案内かと思いますけれども、民間浄財を基本として、犯罪被害遺児等への奨学事業その他の犯罪被害者に対する救援事業を行っている団体でございます。これに対しまして検討をお願いしておりましたところ、非常に限定的ではありますけれども、公的救済の対象とならず、かつ当該救済制度そのものを拡充してしまうと制度本来の根本を揺るがすことになるような場合であって、被害者等が現に著しく困窮しているなど特別に救済を図るべき事情があるようなごく限られた被害者等への救援ということであれば、年間上限2,000万円程度の支援金を支給することは可能であるという御回答をいただいたところでございます。現在、そういった事業の実施に向けて、基金と連携を図りながら、必要な準備や手続を行っているという状況でございます。
 この犯罪被害救援基金が準備しております事業については、今申しましたように、どうしても限られた被害者等の救済という仕組みでございますので、最終とりまとめで提言された趣旨を全うするというところまでいくかどうかということについては、必ずしもそうでもない部分が出てくると思いますので、引き続き、他省庁所管課の基金等や新たな財政措置を講じた基金というものも、所用の検討が行われるべきであろうと考えているところでございます。

○山上議長 そのほかにいかがでしょう。岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 恐縮ですが、もう一度、文科省さんにお願いしたいのですが、これからは、犯罪被害者教育といいますか、犯罪被害者の人権を中心とした教育が大事ではないだろうかと思います。聞いて見ると、これも余り行われていないようです。むしろ犯罪被害に遭った人がどんなに苦しいものかということを教育することは、同時に犯罪を抑止する効果を持つわけです。ですから、新しい科目として、被害者の問題を是非文科省さんで積極的にやっていただきたいと思っております。それも基本計画に入っていることでありますけれども、現場の方にはまだ徹底していないようですので、是非よろしくお願いします。

○文部科学省大臣官房総括審議官 御趣旨は大変重要な点だと思いますので、担当課の方にもよく伝えまして、徹底する工夫とかいろいろな工夫を考えてみたいと思います。

○岡村構成員 お願いします。

○山上議長 私も、学校での問題で、加害者と被害者が両方生まれたようなときに、学校側が加害者をかばうような形で、被害者への対応が非常にまずくなるときがあるように感じられるので、そういう場合の対応ももう少し検討していただければと思うのですけれども、それも要望としてお伝えいたします。
 ほかにどなたかございますか。どうぞ、中島構成員。

○中島構成員 先ほど警察庁より、性暴力被害者に対する緊急避妊措置及び初診料、検査費用についてはすべての都道府県が利用可能、つまり予算措置がなされたということかと思いますので、それにつきましては大変心強いものと思っています。
 ただ、私どもの方で、産婦人科医師に性被害者に対する対応について調査をしておりまして、その中で、先ほど警察庁の方からお話のあった支払いの仕方というものについて、やはりばらつきがあるということ。特に被害者の立替えというのはなかなか難しい事情があるということで、是非こちらの方は、被害者の立替えなく直接請求できるような形に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○警察庁長官官房総括審議官 私どもも御指摘のとおりだと思っております。ただ、被害者が病院へ先に行ってしまう場合はどうするかとか、あるいは私どもと病院との連携の問題で幾つか解決するべきところがございます。今、改善の余地があるかどうか鋭意検討を行っているところでございます。

○山上議長 ほかに。山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 本日まだ語られていないところなのですけれども、刑事訴訟の手続参加というのが実現されまして、また損害賠償命令制度というのも生まれたわけでございますが、これらについては、今後、半年、1年、2年と集積されていって、いろいろと検討されることになるのだろうと思いますが、これはどのようにどういう報告を受けて集積していくのか。個々の弁護士から集めるというのも大変でしょうし、裁判所の方から「どういう状況ですか」というようにお尋ねになられるのか。今後の方法としてはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

○法務省大臣官房審議官 犯罪被害者の刑事手続への参加の制度等につきまして、その法改正を行った際に、国会の方で修正がされて3年後に見直しをするという規定が盛り込まれております。そういう関係で、ちょうど施行されたところですけれども、施行後3年間の実施状況については、法務省の方でも、検察庁の方からいろいろと報告を受けて、その実施状況がどうであるかという資料を収集した上で、3年後に何らか手当をする必要があるかどうかについて検討したいということで考えているところでございます。

○山上議長 どうもありがとうございました。ほかにどなたか。

○岡村構成員 先ほど、避妊の点については、全自治体に行き渡っているというお話でしたね。

○警察庁長官官房総括審議官  避妊そのものについては、全県で措置されています。

○岡村構成員 行き渡るというのは、自治体の予算を組んで実施しているわけですか。

○警察庁長官官房総括審議官 はい、そうです。全都道府県で予算措置が講じられております。

○岡村構成員 遺体修復とか遺体搬送についてはどうでしょうか。ちょっと今の質問から離れますけれども、自治体の補助金の使途ですね。

○警察庁長官官房総括審議官 遺体搬送については、全都道府県のうち45で予算措置が講じられております。遺体修復につきましては、現在39の都道府県で予算措置がなされております。

○岡村構成員 修復は現実にはだれがやりますか。解剖したお医者さんですか。外国では専門家がいるという話を聞きましたけれどもね。

○警察庁長官官房総括審議官 担当のお医者さんがされる場合と、業者がする場合があると聞いております。

○岡村構成員 業者が外国では多いようなことを聞きましたけれども、修復は何県でございましたか。

○警察庁長官官房総括審議官 修復は39です。

○山上議長 そろそろ時間になりましたが、あと一つ。大久保構成員。

○大久保構成員 先ほど広報啓発活動につきましてさまざまな御意見が出されましたので、一つだけお願いしたいと思います。
 12月1日前1週間を「犯罪被害者週間」としてさまざまなところで広報活動を行っていっていただけますこと、あるいは政府広報番組としてのテレビ番組等もありまして、少しずつ一般市民の方たちには広がっていっているのだとは思いますけれども、現実には、被害者の方が受ける二次被害の一番多くは近隣の方たちからという結果がいまだに出ている状況にありますので、広報啓発活動を、被害者の方が被害を受けてもそこに住み続けられるような社会づくりのために、もうひと工夫していただければと思っています。全国の集会のときに、会場に行きますと、どうしても関係者の方が多くて、一般の方たちが少ないという現状がありますので、その点の更なる改善をよろしくお願いしたいと思います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今の御指摘は私どもも全く同じような問題意識を持っておりまして、先ほど岡村先生から教育現場のお話もございましたけれども、率直に言って、まだまだ国民の皆さんにこういう犯罪被害者施策を推進しているということ、あるいは被害者の皆さんの置かれた状況の厳しさとか、そういうものがまだまだ理解されていない向きがあると思っております。したがって、私ども内閣府としては、啓蒙啓発活動を担当しておりますので、それは今後とも更に力を入れてやっていかなければいけないと思っておりますし、また一方で、こういう施策は、前例があって、それを見習ってやってきているのですけれども、そういうことだけでもいけないのかなと。何か工夫、今お話がありましたように、もう少し犯罪被害者施策なりにその特性を踏まえた効果的な方策というものを、いい形のものができるかどうかわかりませんけれども、努力して、工夫して、更に進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○山上議長 よろしいでしょうか。あと一つ、もしあれば。では、山田構成員。

○山田構成員 先ほど仮釈放についてお話があったのですが、保釈の場面で犯罪被害者の方も意見を述べることができるという論点があったかと思うのですね。それが、現時点においては、あるいは近い将来において、どのようになっているのか。あるいは、なるのでしょうかということです。制度として、こういった罪名のときには被害者から保釈に関する意見を述べるようになっているのか、たまたまそれを知っている被害者だけが言えるにすぎないのか。あるいは、検察庁の方から被害者に連絡することになっているのか。現在既にそれが行われているのかいないのか。近い将来行われるのか。その辺についてちょっと教えていただきたいと思います。

○山上議長 法務省からお願いします。

○法務省大臣官房審議官 保釈の際に被害者の方の御意見を伺う、あるいは状況を伺うといったことにつきましては、被告人側から保釈請求がありますと、いわゆる求意見という形で検察官が意見を述べる機会がございますので、その際に検察官の方で必要に応じ被害者の方に御連絡をして御意見を伺う、あるいは状況を伺うということをすることにしております。それは検察の内部で、基本法・基本計画を踏まえてそういった運用について周知を図っているというところでございますので、個々の事案において検察官の方でそういった措置をとるというようにやっていると考えています。

○山田構成員 そうすると、もう動いているのですか。

○法務省大臣官房審議官 私どもとしては、現場の方で必要に応じそのような形でやっているというように理解しております。

○山田構成員 わかりました。

○山上議長 それでは、お時間が参りましたので、このあたりで本日の議事を終了といたします。関係省庁におかれましては、本日の議論を踏まえて、今後、犯罪被害者等施策について一層の推進をいただくようお願いいたします。
 内閣府から報告したい事項が1件あるとのことですので、お願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、貴重な時間で恐縮でございますけれども、一応、報告ということでお聞きいただければと思います。
 実は、資料5、6、7がその関係の資料になるのですけれども、新聞でも報道されておりましたので御存じの先生もいらっしゃるかと存じますが、現在、内閣府において、海外において犯罪被害に遭った場合についての経済的支援について検討しております。なぜ突然そんなことが出たかということになるのですが、この問題については御案内の先生が多いと思いますが、先ほど来、話に出ている三つの検討会のうちの1つ、経済的支援に関する検討会でも、海外における犯罪被害に遭った場合等のことについて1つの論点になっておりまして、一定の結論が出ていたのですが、そういうテーマについて、経緯があってもう一度検討しているということであります。検討会そのものは、昨年、最終とりまとめが出て解散しておりますので、検討会全体を束ねるという立場であったこの専門委員等会議の場で、一応、まだあくまでそういうことをやっているというだけのことですけれども、報告をさせていただきます。
 経緯は、資料5にあります。これは国会の議事録ですが、実は報道等でずっと報道されておりますが、テロ対策のための特措法、これはテロといっても自衛隊の関係の法律ですけれども、この審議の過程で、いわゆる海外におけるテロということで話題になりました。民主党の藤田幸久先生から「9・11事件」の際、邦人の方が大勢犠牲になられており、この際の被害者への対応のあり方というのが取り上げられまして、ここにありますような質問がされました。官房長官から、ここにあるような答えをしております。この時点では、「経済的支援に関する検討会」の最終とりまとめに沿った答弁をしているわけでございます。
 資料6に、それを抜き出しております。ちょっと読みにくくなっておりますけれども、海外につきましては、4の但し書きのところで記載があります。現在の犯罪被害給付金制度の対象は現行のものを維持するべきだという最初のくだりがありますが、この趣旨は、現行の犯罪給付制度の対象というのは、日本国内での故意による犯罪なのですけれども、そこがもう少し広げられないかという議論がいろいろあった中で、最終とりまとめとして、それは「維持すべきだ」という結論が出ているということです。ただし、例外はあるということで、先ほど議論になった基金の対応を考慮するというのが出てくるわけですね。ですから、海外の被害についても、例外的な、ケースによっては、その基金での対応というのはあり得るということが一つあるわけですが、公的な制度の対象そのものにはちょっと難しいだろうという結論があります。もう一つ、テロということについては、これも先ほどちょっと申し上げましたけれども、事前にテロの被害についての特別策を法律などで決めるのは困難であるけれども、仮にそういうものが万一起きれば一定の対応をすべきだということが、但し書きのところで記載されております。
 そういう意味で、海外のテロ被害者への対応というのは、関係省庁全体でコンセンサスを得た私ども政府としてのスタンスは、この最終とりまとめになるわけでございます。ただ、先日のインドの事案はこの議論の後に起きていますから直接のきっかけではなかったのですけれども、アフガニスタンでボランティアの人が被害に遭ったりということがあったり、諸外国でそういうテロが多く発生しております。アメリカにおいては以前からそういう制度があるというのは承知していたのですけれども、イギリスでも特別に作ったのではないかという話もあったりしまして、そういう意味で海外の制度の動きもあるというようなことで、もう一度海外における日本人がテロ被害に遭ったときの対応ということについて、特に経済的な給付制度のようなものが必要なのか必要でないのか、できるのかできないのということを含めて検討するように、官房長官から私どもに指示がされました。それで、今、私どもの方で検討を始めたという段階でございます。
 参考までに付けております海外における制度は、これは2年前のものですのでちょっと古いのですけれども、最新のものを調査しまして、改めて、海外の制度も参考にして、今後検討していくということにしております。
 ただ、御承知のとおり、この件については、もともと先生方からもいろいろな、むしろできないのかという積極的な御意見もいただいていた経緯もあるわけですけれども、私ども行政の実務の立場としては、やはり国内と海外を同じように見ることはできないのではないかという議論、あるいは海外の場合、犯罪の実際の捜査を、国外犯でそういう管轄権はあるといっても、現実に捜査が展開できるわけでは必ずしもないので、詳細な事実がわかないというときに、国内の制度のような運用は少なくともできないだろうというような問題点等、更に言えば、財政的な事情も厳しいということもあって、新たな枠を広げた形での給付制度というのはなかなか難しいのかなと思っております。しかし、そういう従来の検討会でいろいろな議論もあったところでございますので、この際、海外の制度も、もう一度最新のものを調査して検討しようということで、今、検討を始めたということでございます。したがって、これが積極的な形になる方向に行くのか、なかなか難しいということになるのか、今の段階で軽々に私どもとしても申し上げられない状況でございますけれども、一応そういう検討をしておりますということだけ御報告させていただいて、具体的な進展によっては、別の機会にまた御報告させていただくこともあろうかと思います。
 以上でございます。

○山上議長 御報告事項ということで、検討結果については追って報告をまた改めてされるということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○山上議長 有識者構成員は任期が2年とされておりますので、来年3月で任期満了ということになります。このメンバーでの会合はこれが最後になります。有識者構成員の方々には一言ずつごあいさつをいただきたいと思います。委員を務められた感想を、簡単なもので結構ですので、一言ずつお願いしたいと思います。
 では、大久保委員からお願いいたします。

○大久保構成員 私からは、お願いという形で少しお話しさせていただきたいと思います。
 関係機関の皆様の本当に多大な御尽力によりまして、被害者支援策もここまで進んできましたことを大変嬉しく思っています。
 ただ、さまざまな制度はできましたけれども、被害者の方が安心してその制度を使うことができるためには、やはり被害直後から被害者の立場に立って相談に乗る犯罪被害者等早期援助団体の支援もありませんと、なかなか被害者の方はうまく活用できないと思うのですね。なぜかと言いますと、被害者は事件のショックが大き過ぎて呆然自失状態の中では、自分に何が必要なのか、これから何をすればよいのかということの判断さえもできなくなっているからです。混乱状態にある被害者が安心して制度や施策を使えるようにするためには、被害者の方の心理状態ですとかを的確に判断して、その時期に応じた情報提供や具体的な支援が行われなければならないと思います。制度をよく理解できないがために、あるいは不安のために参加をしないということになってしまいますと、事件から月日が経ったときに、なぜあのとき使わなかったのかということで後悔をしてしまうということがよくありまして、自責の念を強めてしまうことにもなると思います。日本のどこに住んでいても、被害に遭えば早い時期から支援を受けることができる社会にするためには、都道府県の公安委員会の指定を受けました犯罪被害者等援助団体の活動を活発化させることが一番重要なのではないかと考えています。そしてまた、よい支援を提供するためには、優れた人材が必要です。身分保障もされずに、能力に見合った収入も得ることができないような現状の被害者支援センターもたくさんあるという中におきましては、優秀な人材も集まらないと思っています。
 そのためには、何としましても運営に必要な資金の確保が急務だと思っています。振込詐欺などに関しましても、国が差し押さえた金額を被害者の方に返還した後も国庫に残る見込みだということを聞いておりますので、是非これを財源として、何か特別法の制定等によりまして基金を作っていただいて、被害者への救済的支援と、あと被害者支援センターの適切な運営のために使えるようにしていただきたいと思っています。
 先ほど岡村委員もおっしゃいましたように、犯罪者の更生と社会復帰のためには、毎年莫大な税金が使われています。それと比べて被害者はどうでしょうか。被害者も社会復帰をするために、是非被告人と同額でも構いませんので、お金を使っていただきたい、そのように願っていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。被害者も、国とか社会に対する信頼感は全部なくしてしまうかもしれませんけれども、それでも国が精一杯被害者のために目を向けている、支援を行っているということが被害者に伝われば、苦しくても悲しくても、どんな状況であっても国を信じて精一杯残りの人生を生きていこう、そのように回復できると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 以上です。

○山上議長 岡村構成員、お願いします。

○岡村構成員 12月1日から被害者参加・損害賠償命令、今日から少年法の傍聴とかいうことで、検討会も、全く同じ名称だったかどうかわかりませんが、発展的議論が行われて、基本法の検討をしたところが実現したということで、大変感慨深いところがございます。
 文部科学省の方に申し上げましたが、国民にはまだ余り知られていないのですね。大会でお祭り騒ぎのように毎年やりますけれども、あれはやったきりになってしまって、実際にまだなかなか行き渡ってはいないというのがありますから、それぞれの現場で下の方をとにかく動かすように御努力いただきたいと思います。それには、子供、学校を使うのが非常にいいのではないかと思います。子供に話せば親にも話しますし、是非学校教育で小さいときからやっていただく方が早いかなと思いました。早いというよりも、将来を見据えた場合、効果的なかと思います。そいうことです。
 本当に長い間お世話になって、ありがとうございました。どうぞまた今後ともよろしくお願いいたします。

○山上議長 では、瀬川構成員、お願いします。

○瀬川構成員 法律家の観点から申しますと、被害者支援について、法的整備という点ではかなり進んだと思われますけれども、実態としては、運用の成果というのはこれからでありますので、十分観察する必要があるのではないかと思っています。犯給法が一部改正されて「犯罪被害者支援法」になったわけですけれども、その名に値するような実績を是非もたらしていただきたいと思います。
 特に、犯給法が改正されて「自賠責並み」ということが強調されましたけれども、決して個々のケースにおいてはバラ色ではありませんし、抜け落ちている部分は幾つもあるわけですから、今後、そういう点で不十分な点を是非検証していかなければならないと思っておりますし、先ほど基金のことを言われましたけれども、少し進んでいることは大変喜ばしいと思いますけれども、この点、非常に期待がかかっているものですので是非頑張っていただきたいと思っております。
 それから、テロのことを先ほどおっしゃいましたけれども、これは賛成の立場でありまして、テロの定義というのは非常に難しくて、これは国際的に難しいと思いますけれども、また、あるいはテロの実態を把握するというのは非常に難しい面があるのですけれども、犯罪被害者の面から見ますと、いわれなき被害という点では国内であれ国外であれ同じでありまして、この点も是非考慮していただいて前向きに検討していただきたいと思っております。
 それから、刑事裁判への参加、あるいは少年審判への傍聴ですけれども、これは学会等で非常にさまざまな異議が出されておりますので、法律上かなり慎重な規定が盛り込まれましたけれども、法曹三者にとっては非常に重要なといいますか、荷の重い仕事だと思いますけれども、スムーズな運用を切に願いたいと思っております。
 以上であります。

○山上議長 では、中島構成員さん、お願いします。

○中島構成員 この度、基本計画の推進会議に参加させていただきまして、基本計画の立案の方に関わらせていただいた立場としては、これだけの施策がこのように進んでいることは、関係省庁及び各団体、支援団体、当事者団体の方の大変な御努力があったものと思っております。
 私どもの方は調査研究ということで、実際には厚生労働科学の研究費として、被害者の、特に御遺族を中心とした調査をしてまいりましたが、その中で感じたことは、地域格差が非常に大きいということがありまして、大都市に比べると、中小都市におきまして、制度は知っているけれども利用できないという、また制度についての行政担当の方々の周知がやはりなかなかされていない部分があって、末端までまだ行き渡っていない部分があるということがあると思います。
 もう一つは、やはり中央におきまして非常に熱い議論がなされておりますけれども、実際の被害者の方々が支援を受けるのは末端、現場でございますので、これからはいかに現場で本当にそれが利用できる形になるのかということを推進していくことが非常に大きなことであると思っております。そのためには、内閣府の方でもされていますように、評価をして、それがどれぐらい行き渡っているかというのを絶えずフィードバックするということが大変重要かと思いますので、是非継続的な普及につきましての調査を実施していただき、よりきめの細かい制度として反映されることを願っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

○山上議長 では、山田構成員、お願いします。

○山田構成員 平成17年の春に日弁連の副会長を終えまして、やれやれ終わったかなと思っていましたら、こちらの内閣府の委員になるようにと言われまして、私は全く素人だったのですけれども、ここまで育てていただきましてどうもありがとうございました。
 それにつきましても、当時は刑事訴訟手続に参加の問題と、当時言われておりました附帯私訴の問題で、日弁連の中では真っ二つに分かれておりまして、非常に大きな対立がありました。それで、日弁連の中の委員会で両方をとりまとめる委員の人は、円形脱毛症になるほどひどい精神的な苦労を帯びていました。そこに私が入るのかなと思ってちょっと憂うつだったのですが、それでもお蔭さまで、私が就任してからは非常に円満に民主的に話ができまして大変よかったと思っております。刑事手続参加でも、損害賠償命令でも、まだこれからスタートするわけですので、どうぞ先ほどお話しいただきましたように、いろいろ情報を集めまして、長所、短所があるかと思いますので、それを発展できたらよろしいのではないかなと思っております。
 関連する制度としまして、国選の代理人の制度が生まれました。法テラスの方でもまたいろいろ仕事の範囲が広がって、これからまだまだ検討していかなくてはならないところだろうと思っております。
 今日、これまでの成果ということでいろいろお話を聞いておりまして、決定的に大事なのは、一番大事なのは何かなと。いろいろありますが、一番大事なのはやはり広報・周知の点ではないでしょうか。これは国民も知りませんし被害者も知りません。それから、国の方の方々も知らないところがいっぱいある。地方公共団体は、岡村先生のお話にもあった、知らないということでございますので、この広報・周知をどのようにするかということは非常に大きなテーマであろうかと思います。『犯罪被害者白書』の平成19年度以降の「政府広報実績一覧表」というのがございますけれども、これを見ましても、新聞も一度、二度ですか広報されております。テレビは何回かあるようですけれども、これがどの程度か、30秒だったのか1分だったのか、ここではちょっとわからないのですけれども、相当やって、お金はかかるかもしれませんけれども、これが早道ではなかろうか。この制度を育てるのに一番早いのではなかろうかと思います。学校教育も、岡村先生が言われたようによろしいかもしれませんが、そんなことを感じました。要は、仏様ができたわけで、これから魂を注入しなくてはならないところだと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

○山上議長 どうぞ。

○岡村構成員 3回の「被害者週間」を見まして、ほとんどの集会が支援中心に組み立てられているのですね。標語も支援だし、シンポジウムに行っても支援となっている。だけれども、本当は被害者の尊厳を守るということで被害者週間になったわけですので、支援の日ではなくて、尊厳を守るということ、被害者をもっと正面に押し出した被害者週間の運営、大会等をやっていただきたいなと思いました。それをお願いしたいと思います。

○山上議長 私も一言、言わせていただきます。 
 私は十数年前から被害者支援の活動に関わってきたのですけれども、今日の進捗状況に関する御報告や論議をお聞きしまして、本当に大きな変化、あるいは犯罪被害者への支援が幅広く、また非常に深く変わってきているので、大きな感銘を受けました。まだまだ遅れている領域もあって、今日私が挙げておりました民間団体の支援などは、私は犯罪被害者の方たちの支援とういのは民間団体が本来やるべきであると思っていたわけではなくて、本来国がすべきものをどこもしないから始めて、いろんな財団も応援してくれますけれども、これは国が動き出すまでお願いすると言ってきたものですから、ようやく国が動き出しても、まだ民間団体は国の直接のお金は無理と言われて非常に苦労して、抜けられたらつぶれかねないような状況があるということですので、ここのところは是非これからも応援していただきたいと思います。
 私の意見の中で書きましたけれども、被害者支援というのは、犯罪加害者の更生保護を進める上でも、ずいぶん被害者を放置していることが問題だということで、いろいろな国で、そういう視点から、きちっとした更生保護の事業並みの活動が始められたり、あるいは同じように法務省が両方の仕事をしたりというようなことがいろいろな国で起きているわけで、日本ではその差が、更生保護はもう100年の歴史があって、いろいろな財政的な基盤もしっかりし、また、スタッフも公務員並みの給料がもらえてというのは、今の民間団体とは相当な差があるものですから、その差を何とかこれから埋めるように、皆さんの関係省庁で協力して努力していただければと思います。
 いずれにしましても、支援の枠組みはずいぶんしっかりと幅広くできていましたけれども、これが本当に被害者のニーズに応えるものになっているのか、あるいは基本理念に沿うような形で実現されているのかということは、これから毎年、毎年、点検して、そして不足のところを補っていくということを5年、10年かけてされていかなければいけないのだろうと思います。
 これまでの御努力に感謝しますとともに、これからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。私からは、以上であります。
 それでは、事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ありがとうございました。今のところ、次回の予定につきましては、来年の6月下旬から7月上旬ごろの間での開催を予定しておりますが、詳細につきましては追って、余裕を持って、また御相談をさせていただくことにいたしたいと思います。その間でも、場合によってはいろいろなことについて、また御連絡させていただくこともあろうかと思いますけれども、引き続きよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

○山上議長 それでは、これをもちまして、第5回「基本計画推進専門委員等会議」を終わります。本日は長時間にわたり精力的に御議論をいただき、ありがとうございました。

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