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第4回基本計画推進専門委員等会議 議事録

(開催要領)

日時: 平成19年10月29日(月)13時00分~14時40分
場所: 中央合同庁舎4号館 共用第2特別会議室
招集者: 岸田 文雄 内閣府特命担当大臣
出席者:  
議長 山上 皓 国際医療福祉大学特任教授
大久保 恵美子 (社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
岡村 勲 全国犯罪被害者の会代表幹事
小西 聖子 武蔵野大学人間関係学部教授
瀬川 晃 同志社大学法学部教授
中島 聡美 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
山田 勝利 弁護士
荒木 二郎 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
巽 高英 警察庁長官官房総括審議官
岡崎 浩巳 総務省大臣官房総括審議官
三浦 守 法務省大臣官房審議官
合田 隆史 文部科学省大臣官房総括審議官
和泉 洋人 国土交通省住宅局長
代理 杉浦 信平 厚生労働省政策評価審議官
 
[経済的支援に関する検討会 座長]
  國松 孝次 財団法人犯罪被害救援基金常務理事
[支援のための連携に関する検討会 座長]
  長井 進 常磐大学大学院被害者学研究科教授
[民間団体への援助に関する検討会 座長]
  冨田 信穂 常磐大学大学院被害者学研究科教授

(議事次第)

  1. 開会
  2. 岸田大臣あいさつ
  3. 3つの「検討会」の最終取りまとめ(案)について
  4. 犯罪被害者等施策の進捗状況について
  5. 自由討議
  6. 閉会

(配布資料)

資料1 検討会最終取りまとめ(案)
資料2 犯罪被害者等施策の進捗状況関係資料

(議事内容)

○ 荒木犯罪被害者等施策推進室長 皆さん、こんにちは。お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。構成員の方で遅れる旨の御連絡をいただいている方もいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまから「犯罪被害者等基本計画推進専門委員等会議」を開催いたします。
 以後の司会を山上議長にお願いをいたします。

○ 山上議長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 初めに、岸田犯罪被害者等施策担当大臣からごあいさつをいただきます。よろしくお願いします。

○ 岸田担当大臣 犯罪被害者等施策を担当しております内閣府特命担当大臣の岸田文雄でございます。
 本日お集まりの委員、そして専門委員の皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただいておりますこと、まずもって心から厚く御礼を申し上げます。
 昨年4月から1年半にわたりまして、犯罪被害者等基本計画に基づきまして、3つの「検討会」におきまして大変精力的な御議論をいただいてまいりました。経済的支援のあるべき姿、途切れることのない支援等のための体制づくり及び民間の団体に対する財政的援助の在り方、この3つの「検討会」において、大変精力的な調査と御議論が行われまして、今般、それぞれの「検討会」において最終取りまとめの案が出そろったところであります。
 最終取りまとめの案におきましては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額に近づける等の抜本的な拡充ですとか、関係機関、団体の連携ネットワークの充実強化、民間団体における支援者の研修資格認定のための方策、民間団体への財政的援助の拡充等が打ち出されております。
 本日は、この3つの「検討会」においてまとめていただきました最終取りまとめ(案)と、更には「犯罪被害者等基本計画」に盛り込まれた施策の進捗状況につきまして、委員の皆様方に御意見を頂戴することとしております。
 犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会の実現のためには、「検討会」でまとめていただきましたさまざまな施策を政府を挙げて一体となって、強力かつ効果的に推進していかなければいけない、このように考えております。
 担当大臣としましては、犯罪被害者等の視点に立った施策の一層の推進のために、関係省庁と一体となりまして引き続き努力をしていきたいと考えております。
 委員の皆様方におかれましては、熱心な御議論を是非お願い申し上げますと同時に、今後とも御指導、御鞭撻をいただきますよう心からお願いを申し上げまして、一言ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○ 山上議長 岸田大臣、どうもありがとうございました。

○ 岸田担当大臣 それでは、済みません、ごあいさつまでで失礼いたしますが、どうぞひとつよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(岸田担当大臣退室)

(報道関係者退室)

○ 山上議長 それでは、本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お手元に配付してございます議事次第をごらんいただきたいと存じます。
 本日は、先ほど大臣の方からございましたように、3つの「検討会」の最終取りまとめ(案)につきまして、各「検討会」の座長より御報告をいただき、また御審議をいただくことになっております。また、基本計画に盛り込まれました施策のこの1年間の進捗につきまして、関係省庁より報告をし、御審議賜りたいと考えております。その後で、この「検討会」、あるいは施策以外にも自由に御討議いただければというふうに考えております。
 以上でございます。

○ 山上議長 では、これより議事に入ります。
 3つの「検討会」の最終取りまとめ(案)につきまして、各「検討会」の座長より順次御報告をお願いします。
 まず、「経済的支援に関する検討会」の國松座長よりお願いいたします。

○ 國松座長 それでは、「経済的支援に関する検討会」の最終取りまとめ(案)につきまして御報告いたします。
 私どもの「検討会」では、平成18年4月から17回にわたりまして会議を開きまして、経済的支援制度のあるべき姿というものにつきまして検討いたしました結果、お手元の資料1-2にございますような「経済的支援に関する検討会最終取りまとめ(案)」というものを取りまとめたところであります。その概要について御報告いたしますが、それは資料1-1に付いておりますA4横書きの概要の2枚紙の資料に従いまして御説明をいたします。
 5項目あるわけでございますが、1つは、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充の在り方というものについて検討いたしました。その結果、横に書いてございますように、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額に近づける努力をする。最低額についても引上げを図る方向で検討するように提言をまとめたところであります。
 現在の犯罪被害給付制度の最高額につきましては、そこに書いておりますように、自賠責に比べましておおむね2分の1の支給レベルにとどまっておりますので、これを自賠責並みに引き上げるということであります。
 その場合、障害給付金につきましては、特に平均年収が低い若年層の重度後遺障害者に重点的に配慮するということ。それから、遺族給付金につきましては、扶養家族が多いであるとか、そういうことで負担の多い遺族に対して重点的な配慮をするようにということも併せて提言をしているところであります。
 加えまして、重傷病給付金対象者に対する休業給付の検討を促しているところでございます。
 財源につきましては、そこにございますような罰金の特定財源化であるとか、有罪判決を受けた者からの徴収制度を創設してはいかがというような点も検討いたしたわけでありますが、当面それは困難であるという結論でありまして、財源は今までどおり一般財源によるということにしたところでございます。
 ただ、一般財源からということになりますと、当該行政官庁の与えられた財源の中でやりくりすることになり、なかなか難しいこともあるであろうということで、その点につきましては、この提言の中になお書きを設けまして、当該行政官庁の他の業務に関する財源に影響が出ることのないようにしながら給付額を確保できるよう、最大限の配慮がなされるべきであり、政府全体として必要な財源措置を講ずる必要があるという旨を付記しておるところでございます。
 次は、民間浄財の基金による支援ということでございます。これは、今、申し上げましたような形で、公的給付の拡充というものが図られるわけであります。現存の社会保障福祉制度も順次拡充されているわけでありますが、公的な支援制度にはおのずから限界もあるわけでありまして、どうしても法の網の目から抜け落ちてしまうような被害者も出てくる可能性はある。そういうものにつきまして、公的支援がないからもう何もないんだということになりますと、結局、基本法の精神というものが損なわれてしまうような場合も考えられますので、そういった特別の犯罪被害の状況があるものにつきましては、民間浄財から成る基金を創設をしておきまして、そこから支援を検討するという仕組みを考えたらどうかということを提言をいたしておるところであります。
 3番目に、深刻な精神的被害を受けた被害者等に対するカウンセリングについての配慮でありますが、PTSD等の精神被害に有効とされる療法というのは現在いろいろあるわけでありますが、例えば長時間曝露法というものがあるそうであります。そういうものにつきましての診療報酬はゼロではないわけでありますけれども、その診療報酬の水準が現状では給付内容にマッチしていないのではないかという指摘がございます。
 したがいまして、そういうものにつきまして、次回、診療報酬を検討なさる場合に、必要な診療報酬の引上げを図ることを検討すべきであるということを提言しておりますほか、民間被害者支援団体等、これは各地方の民間支援団体がやっておるカウンセリングであるとか、相談などがあるわけでありますが、こういうものも充実するように、都道府県におきまして必要な財源措置が取られるよう、政府としても啓発であるとか、情報の開示であるとか、そういう努力をしていくべきだということを提言いたしておるところであります。
 4番目は、テロ被害についての政府による迅速な対応ということであります。この点につきましても検討いたしましたが、あらかじめ包括的な救済を図る法の制定をしておくことはなかなか難しいであろうということではありますけれども、ただ、一旦、国家・社会に対するテロ行為により、無差別、大量の死傷者が生じたような場合には、政府においては直ちに特別措置法の制定であるとか必要な基金、このような基金の創設というのは諸外国にも例があるところでありますので、そういった措置を直ちに取ることによって、政府において適切な救済措置を図るべきだという点を提言しておるところでございます。
 最後に、私どもの「検討会」に併せて検討すべきことということで、公費による弁護士選任等につきまして検討を求められておりました。その過程でいろいろと検討したわけでありますが、その中で、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度というものが今度導入されるわけでありますので、その場合の公費による弁護人選任につきましては、できるだけ早い時期に、早期の制度導入に向けた検討を行っていくべきであるということにつきまして提言を行っているところであります。
 以上、5項目につきまして、この提言内容がまとまっておるところでございます。簡単でありますが、御報告をいたします。

○ 山上議長 ありがとうございます。
 続きまして、「支援のための連携に関する検討会」の長井座長よりお願いいたします。

○ 長井座長 それでは、本検討会の最終まとめ(案)の概要を御説明申し上げます。
 先ほどの「検討会」の資料と同様、資料1-1の次のところでございますけれども、5枚目に当たりますが、横長A4、1枚、「『支援のための連携に関する検討会』最終取りまとめ(案)(概要)」をごらんいただければ幸いに存じます。
 中間取りまとめに対する国民からの意見募集を経て、資料1-4にございます、本年8月の本検討会最終取りまとめ(案)に反映させました。
 本検討会におきまして取り組むべき大きな課題は2つございまして、1つは、「関連機関・団体の連携ネットワークの充実・強化」ということでございまして、これは途切れない支援を行うための基盤整備でございます。
 2つ目に、「民間の団体で支援活動を行う者の養成・研修」とございますが、それに加えて、支援の内容、質の標準化を図るということを含めたものでございます。
 それから、既存の関係機関・団体の主な連携ネットワークといたしましては、この資料1-1の「取りまとめ(案)(概要)」のところにもございますように、都道府県レベルと基礎的自治体レベルの2つの連絡協議会及び地域ネットワークがございまして、その構成メンバーはこういうところの部局、機関、団体等でございます。
 まず、1つ目の大きな取り組むべき課題の途切れない支援を行うための「関係機関・団体の連携ネットワークの充実・強化」についてでございますが、先ほどの2つの連絡協議会及び地域ネットワークを中核に、途切れない支援を行うために、横長の「取りまとめ(案)(概要)」の右側の枠の中にございますように、1つ目に「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)の作成及び備付け」、2つ目に「国によるハンドブック・モデル案の作成」、3番目に「犯罪被害者等の負担を少しでも軽減し、スムーズな支援に資するため、被害状況等を記載できる『犯罪等被害申告票(仮称)』」の作成でございます。
 1つ目の「ハンドブックの作成、備付け」ですけれども、これは関係機関・団体相互の役割分担及び連携方法等についての認識、また、支援・連携のために必要な知識を共有するために、基礎的自治体レベル及び都道府県レベルのネットワークにおけるハンドブックを作成し、備え付けるというものでございます。
 2つ目に「ハンドブック・モデル案」の作成ですけれども、これは内閣府を中心にいたしまして、関係省庁の協力を得て、このハンドブック・モデル案を作成するなど、2つのレベル、基礎的自治体レベル及び都道府県レベルにおけるハンドブック作成に必要な援助を行うものでございます。
 モデル案の内容につきましては、そこに書かれているような項目、留意事項等が入ることになっております。いずれも各立場の方が全体を見据えながら、自分の置かれた位置がよくわかるようにということが十分考慮された内容になる予定でございます。
 3番目に、いわゆる「犯罪等被害申告票」の作成ですが、これは「検討会」の議論の中にもございましたが、関係機関・団体が求める犯罪被害者等の説明に代替するものではございませんけれども、そういう関係機関・団体に対して、犯罪被害者等が支援を求める際に、自らの犯罪等被害の概要や支援に対する要望等を簡潔に記載し提示できる、そういう申告票の書式案をハンドブック・モデル案の中で示す予定のものでございます。
 それから、この「概要」の下半分の「民間の団体で支援に携わる者の養成・研修」についてでございますけれども、その右側の方に○が4つ並んでございますが、支援の内容や質の標準化を図るために、この4つの大きなテーマに取り組むことにしております。
 1つ目は「全国被害者支援ネットワークによる研修カリキュラムの作成・認定制度の実施」でございますが、これは、どの地域で支援をするにしても一定水準以上の均質な支援を行うべく、研修内容を統一することが意図されているものでございまして、また、初級からコーディネーターまでの各レベル別のカリキュラムの作成と研修を実施し、また、同時に研修修了者への証明書発行などを含む認定制度の導入と、その適切な運用を意図したものでございます。
 2つ目の「国による研修カリキュラム・モデル案の作成」でございますけれども、先ほどのモデル案作成と同様の手続を取りますけれども、全国被害者支援ネットワークを初め、民間団体の研修に役立てるべく、国において同ネットワーク等と協力し、モデルを作成するというものでございます。
 また、3つ目の「『コーディネーター』の育成」でございますけれども、支援全般を適切に円滑にマネージするコーディネーターの育成が必要とされておりますけれども、このコーディネーターの研修・育成につきましては、経済的支援を含め、多様な支援に関する助言のできるコーディネーターを着実に育てることが必要だと本検討会では考えております。
 4番目の「民間団体において支援活動を行う者の留意事項等を記載したいわゆる『倫理綱領』の作成、遵守」でございますが、これも既に全国被害者支援ネットワークが制定しております犯罪被害者への支援活動を行う者の倫理綱領等を参考に、支援に携わる者が満たすべき倫理綱領を作成し、その遵守を徹底することが各民間の支援団体において望ましいと考えるものでございます。
 以上、簡単ではございますが、御報告申し上げました。

○ 山上議長 ありがとうございます。
 最後に、「民間団体への援助に関する検討会」の冨田座長よりお願いいたします。

○ 冨田座長 それでは、「民間団体への援助に関する検討会」から、最終取りまとめ(案)を御報告させていただきます。
 既に中間取りまとめを御報告いたしましたので、本日はその後の改正と申しますか、修正された部分を中心に御報告いたしたいと思います。恐縮ですが、お手元の資料1-6の「中間」を消して「最終」となっております見え消しの資料をごらんいただきたいと思います。併せて、今、他の「検討会」の報告で参照しましたポンチ絵の方の最後のページ、「『民間団体の援助に関する検討会』最終取りまとめ(案)(概要)」もごらんいただけるとありがたいと思います。
 主として見え消しの資料で御報告いたしますが、まず、1ページでございます。そこの部分に書いてありますように、中間報告の後のパブリックコメントと、その後の議論に基づいて修正いたした次第でございます。提言の第1のところの基本的な考え方は変わっておりません。
 3ページから4ページにわたる「国による民間団体への財政的援助の在り方」でございますが、4ページの上の部分でございます。かつては「事業費を中心に」となっていたところを、「事業費の援助等、事業を適切に推進できるような援助」ということで、これもパブリックコメントを受けて拡大しているところでございます。
 それから、その下の部分でございますけれども、援助をするかどうかということを決めるときに、活動実績であるとか、会計、財政運営の透明性というところは順序を入れ替えて下の方に書きましたが、特に犯罪被害者等の「援助の対象となる事業について、犯罪被害者等の視点に立った適切な評価が行われることも重要と考えられる」ということで、その支援活動が被害者の方々から見て適切なものかどうかということも強化項目に入れるというふうにしております。
 あとは、恐縮ですが、6ページをごらんいただきたいと思いますが、早期援助団体以外の民間援助団体、「上記以外の民間支援団体」というところでございますが、DVだけではなくて、「犯罪被害者等を対象に中長期的かつ継続的な診療活動を行っている民間団体も存在する」というのを加えました。これはパブリックコメントを受けて、そのような活動をしている団体があるということでしたので、それを加えた次第でございます。
 あとは、7ページの「自助グループ」についてでございますけれども、ここも修正が加えられておりますが、基本的には文章の入替えが中心でございまして、自助グループも体制が整備されていれば財政的な援助を受けられるということをまず原則的に持っていったということでございます。
 あとは、大きなところはございません。今、その後の修正部分を中心に御報告いたしましたけれども、まとめますと横長の図表になるということで、「1.民間団体への公的な財政的援助を検討する際の基本的考え方」については、今、御説明したとおりでございます。
 それから、「2.援助拡充に向けた検討の方向性」でございますけれども、そこに書いてありますように、犯罪被害者等早期援助団体及びその指定を目指す団体への援助を拡充するということ。具体的な方法については、右側に書いてあるとおりでございます。それから、全国被害者支援ネットワークに対する援助。それから、その他の援助の経路の可能性につきましては、地方公共団体の取組みを促進するということ。それから、民間資金も活用するということでございます。
 以上が「民間団体への援助に関する検討会」の最終取りまとめ(案)でございます。

○ 山上議長 ありがとうございました。國松座長、長井座長、冨田座長、どうもありがとうございました。
 ただいま御報告のありました3つの「検討会」の最終取りまとめ(案)につきまして、御質問などございましたら、お願いいたします。どんな御質問でも結構ですけれども、よろしいでしょうか。それでは、後で自由討議の時間もございますので、そのときでも結構でございます。
 それでは、次第の4の施策の進捗状況についてでございますが、基本計画に盛り込まれた施策の進捗状況について、資料に基づいて、関係省庁構成員より順次説明をお願いいたします。
 まず、内閣府よりお願いいたします。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、資料2-1をお開きいただきたいと存じます。これが政府全体のこの1年間の基本計画の進捗について、ごく大ざっぱなまとめを行ったものでございまして、1ページから3ページまでがそのまた概要になっておりますので、これに基づきまして、まず私の方から、政府全体の主な進捗、それから内閣府における進捗について御報告を申し上げたいと思います。
 基本計画の5つの柱に沿って御説明をしたいと思いますが、まず、基本計画の第1の柱「損害回復・経済的支援等への取組」ということで、1つ目は、ただいま御報告がございました「経済支援に関する検討会」の最終取りまとめを「検討会」として9月に行ったということでございます。
 2つ目でございますけれども、刑事訴訟法等の改正によりまして、いわゆる損害賠償命令制度が導入をされることになりまして、来年の秋から施行の運びとなっております。
 3点目でございますけれども、警察庁におきまして、被害直後の被害者等に対して、一時避難場所を借りるお金を予算措置を行ったということでございます。
 4点目でございますけれども、公営住宅に被害者の方が優先的に入居できるよう、国交省の方でガイドラインをつくって流したわけでありますけれども、去年の12月現在の実績が191戸ということでございまして、これは後ほどまた国交省の方から詳しい御報告があろうかと思います。
 5点目でございますけれども、「法テラス」が昨年の10月に運営開始となりまして、特に経済支援の関係では、資力の乏しい被害者等に対する民事法律扶助について案内がなされるようになっているところでございます。
 それから、大きな2つ目の柱でございます「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」でありますけれども、これにつきましては、まず第1に、これもさきの通常国会での審議によりまして、これまで刑事訴訟では、被害者の方が直接公判廷で被告人と顔を合わせずに証言できるビデオリンク等が導入されていたわけですけれども、これを民事訴訟においても導入をすることになりました。
 それから、特に性犯罪などの場合に、被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしなくてもいいと、こういう改正が行われたところでございます。
 2点目でございますけれども、DV法が改正になりまして、被害者保護のための保護命令制度が拡充になっているところでございます。
 3点目でございますけれども、児童虐待防止法も改正になりました。これにつきましても、安全確認のために、親が拒否した場合に、より立入調査が強くできるような、そういう被害者保護のための規定が設けられたところでございます。
 4点目でございますけれども、これは厚労省さんの方で、中島先生などが中心で、今年の1月に医療関係者、保健所の方なども集めまして、第1回目の「犯罪被害者メンタルケア研修」というものを実施いただいたところでございます。
 めくっていただきまして、5点目でございますけれども、いじめの問題が大きな問題になりまして、文部科学省の方でスクールカウンセラー等の体制を充実させたところでございます。
 6点目でございますけれども、被害者専用の待合室を順次整備をしているわけでございますけれども、法務省さんにおいて、19年度建替え完了見込みの1つの庁舎に待合室が設置をされるところであります。
 それから、大きな3つ目の柱でございますけれども、「刑事手続への関与拡充への取組」ということで、まず第1点目は、被害者の方が希望する場合には、公判廷に出席して証人尋問、被告人質問、意見の陳述ができるという被害者の刑事裁判参加の制度が先の通常国会で法律として成立をいたしました。これも1年半後の施行ということになっているようでございます。
 2点目でございますけれども、公判記録の閲覧・謄写、これまでは正当な理由がある場合に認められたわけですけれども、原則と例外をひっくり返しまして、原則見られる、どうしてもだめな場合もありますよというような改正となっております。
 それから、新しく「更生保護法」という従来の法律2本を合わせた法律ができまして、保護観察の対象者に対して被害者の心情等を伝達する制度、あるいは仮釈放等をするかしないかというときに、被害者の方の意見等を聴取する制度が導入をされたところであります。これにつきましては、6月以内に施行ということで、12月ごろに施行になる運びでございます。
 4点目でございますけれども、判決確定後の加害者情報の被害者に対する提供の拡充でありますとか、あるいは保護処分決定確定後の加害少年に係る情報の提供につきまして、先ほど申し上げました更生保護法の施行に合わせて実施できるように法務省の方で検討、準備中とお聞きをいたしております。
 大きな4点目の柱でございますけれども、「支援等のための体制整備への取組」ということで、先ほど御報告がございました「支援のための連携に関する検討会」としての最終取りまとめを行っているところでございます。
 また、「民間団体の援助に対する検討会」についても同様でございます。これら3つの「検討会」につきましては、本日、御審議をいただきまして、来週6日に官房長官ヘッドの推進会議に報告をいたしたいというふうに事務局としては考えております。
 3点目ですけれども、これは地方自治体の関係でございますが、すべての都道府県・政令指定都市に一応、犯罪被害者の担当窓口というものは設置されました。更に、今月の初め現在で、被害者の方が行ったときに相談をちゃんと受けられるとか、情報提供もきちんと受けられるとか、そういう総合的な対応が可能な窓口というのは、28の道府県・市に設置されておりまして、順次この拡大についてお願いをしてまいることといたしております。
 それから、「法テラス」におきまして、運用開始と同時に犯罪被害者の支援ダイヤルが設置されまして、精通弁護士、あるいは専門機関団体の紹介等を行っているところでございます。
 5点目でございますけれども、これまた更生保護法の施行に合わせまして、更生保護官署と保護司の協働態勢による裁判終了後の支援を実施できるよう検討をしているということでございます。また、全国の保護観察所に、被害者支援業務に従事する担当者を配置することになっております。
 6点目でございますけれども、昨年、警察庁が「被害者の手引」のモデル案を改訂をいたしましたので、このモデル案を踏まえまして、地域の実情に応じた、それぞれの県において「手引」の作成が推進されているところでございます。
 7点目でございますけれども、内閣府のホームページに犯罪被害者団体等の紹介サイトというものを今年の2月に開設をいたしまして、自助グループを含みます被害者団体、支援団体の内容等につきまして御紹介をしているところでございます。
 8点目でございますけれども、これもいじめ対策ということで、文科省さんの方におきまして、「24時間いじめ相談ダイヤル」を全国一律の電話番号で受けられるというものが設置されたところでございます。
 最後の5本目の柱でございますが、「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」ということで、お手元に白書が行っていますか。今、配られましたか。
 おかげさまで、昨年、初めての白書を出させていただきましたけれども、今年も先週の金曜日に閣議決定がなされまして、ただいま申し上げました基本計画の5本柱に沿って施策の進捗を記載いたしますとともに、とりわけ大きな問題でございます3つの「検討会」、被害者の裁判参加制度、「法テラス」の運用開始、地方自治体の状況等々につきまして御報告をさせていただいたところでございます。
 また、マスコミ等で取り上げておりますように、被害者の御遺族の声ということで、山口県の光市の本村さんに御寄稿いただきました。国民の普及・啓発に大変貢献されているんではないかというふうに思います。
 2点目でございますけれども、「犯罪被害者週間」も昨年、第1回目をやりました。今年は地方大会を1か所増やしまして、4か所で、それぞれそこに書いております期日において開催を予定をしているところでございます。
 3点目でございますけれども、省庁の方に被害者問題についての理解を深めていただくということで、関係の中央省庁、それから地方自治体の方を対象に、「保健・医療・福祉分野における被害者支援」ということで、これも中島委員にお願いをいたしまして、今年の7月に実施をしたところでございます。
 それから、「犯罪被害者等に関する国民意識調査」を今年の5月に実施、公表いたしました。中身につきましては、白書にも特集を組んでおりますけれども、現在、この調査結果を利用いたしまして、被害者の方の思いというのをわかるようにということで、主に中学生に対してDVDをつくろうということで、現在、作成をしておりまして、文部科学省さんと協力をいたしまして、全国の学校で利用していただこうということで考えております。
 私の方からは以上でございます。

○ 山上議長 次に、警察庁よりお願いいたします。

○ 警察庁長官官房総括審議官 それでは、警察庁から御報告いたします。資料は2-3という横長の資料をごらんになっていただきたいと思います。
 まず、基本計画における警察の施策として書かれておりますのは61ございます。その中で「直ちに取り組む施策」は47施策ございます。これについては既に各都道府県警察に対しまして、ここに書いてありますような通達等を出して実施に努めているところでございます。
 それから、その下の「1年以内に実施」するものとして3施策掲げてございます。ここに書いてあるア、イ、ウでございますけれども、これにつきましても既に関連の政令・規則や規定を改正するなどして実施をしているところでございます。
 それから、「2年以内に実施」するものとして11施策ございますが、これにつきましては、この3つの「検討会」で検討が進められているということでございます。
 1枚めくっていただきますと、「平成19年度から新たに取り組んでいる施策」ということで御説明させていただきたいと思います。
 1つ目は「被害直後における犯罪被害者等への一時避難所確保に係る公費負担の実施」ということで、先ほども内閣府から御紹介ございましたけれども、警察庁におきまして、被害直後における被害者の方への一時避難場所の確保に要する経費ということで、平成19年度に予算要求して、それが措置されているというような状況でございます。
 2つ目は「保護対策の推進」でございますけれども、これは、全国の都道府県警察におきまして、けん銃等使用の報復を受ける恐れのある保護対象者の自宅等における監視活動を強化するということで、緊急通報装置、録画装置、カメラ、こういったものが一体となったような装置を保護対象者、取り分け暴力団犯罪の被害者等で、また暴力団から危害を被る恐れのある方の自宅に設置をするために、このような装置について予算を取って、各都道府県において措置をしている状況でございます。
 3つ目は「『匿名通報モデル事業』の実施」とございますが、これは、少年の福祉を害する犯罪とか、あるいは人身取引事犯の被害者となる子どもとか女性の早期保護を図るということで、警察庁の委託を受けた民間団体が、市民の方々から匿名で事件情報の通報を受け、これを警察に提供してもらって捜査に役立てる、そして実際に検挙に結び付くということであれば、情報料という形でお金をお支払いするという制度をつくりまして、これは10月1日から実施しているところでございます。これにつきましての詳細は、もう1枚めくっていただいた横長の紙にございますので、また御参照いただければと思います。
 それから、4つ目といたしましては、「『カウンセリング職員に対する専門研修』について」であります。各都道府県警察に臨床心理士などの資格を有するカウンセリング職員が配置されているわけでございますけれども、そのカウンセリング技能の向上を図るために、実践的・専門的な研修を実施するということで、これに必要な経費を予算化したと、こういうことでございます。
 警察庁からは以上でございます。

○ 山上議長 それでは、総務省よりお願いいたします。

○ 総務省大臣官房政策課長 総務省でございます。本来ならば大臣官房総括審議官が参るところでございますけれども、所用で欠席しております。代わりに政策課長が御報告いたしたいと思います。
 総務省の取組み状況でございますが、資料2-4をごらんいただきたいと存じます。
 基本計画におきまして総務省の施策は1項目しかございませんけれども、本計画において総務省は、基本法の第15条に関連いたしまして、「犯罪被害者等に関する情報の保護」に向けた取組みといたしまして、「犯罪被害者等の保護の観点も含め、住民基本台帳の閲覧制度等の抜本的な見直し」を行うこととされたところでございます。
 なお、本施策は直ちに取り組むこととされている施策と整理されておりまして、結論から先に申し上げますと、現時点では法改正は既に済んでいると、措置済みのものとなっているところでございます。
 その内容は2ページ目でございますけれども、「施策の進捗状況」というところをごらんいただきたいと存じます。
 まず、2年前の平成17年の5月に「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」を設けまして、その後、9回の検討を経て、同年10月20日に最終報告が提出されました。更に17年度から18年度にかけまして、住民基本台帳法の一部を改正する法律案というものを国会に提出いたしまして、御審議をいただいておるところでございます。これによりまして、これまでは何人でも閲覧を請求できるという従前の閲覧制度を一旦廃止いたしまして、個人情報保護に十分留意した制度としてこれを再構築するとともに、偽り、その他の不正な手段によって閲覧等を行った場合、これに対する罰則を強化するということを内容としたものでございます。
 審議経過は下の方に書いてあるとおりでございますけれども、18年の3月に法律案が国会に提出されまして、同年6月に衆議院で可決、成立、同年6月15日に公布され、昨年の11月に施行されているという経過をたどっているところでございます。
 今後は、新しい閲覧制度の下、犯罪被害者等の保護にも適切に対処できるよう、新たな制度の周知徹底を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。

○ 山上議長 それでは、法務省よりお願いいたします。

○ 法務省大臣官房審議官 法務省の関係は、資料2-5でございます。1ページ目は基本計画の全体にわたり法務省の関連する項目をまとめたものでございます。
 2ページ以下が個別の施策の進捗状況でございますが、2ページをごらんいただくと、上の方が白い四角で、下が色刷りの四角になっておりますが、白い四角の部分はもう既に、実施済みのものとして、この会議でも御報告をさせていただいているものでございます。色刷りのものがその後新たに取り組んだものを含んでいる事項ということになるわけでございます。「刑事手続に関する情報提供の充実」ということで、被害者用のパンフレット等の拡充といったことをやっております。それから、「検察庁における犯罪被害者等のための待合室の設置」につきましては、順次、建替え等に合わせて実施を進めているところでございます。
 3ページ目は、保護観察所におけるしょく罪指導プログラムというものを19年3月から実施していることですとか、人権の関係の110番、ホットラインの活用、充実といったことを図っていることなどでございます。
 4ページ目は「法テラス」の関係で、「法テラス」が犯罪被害者支援連絡協議会へ参加している状況等を記載してございます。
 5ページは飛びまして6ページでございますが、これは先ほど御紹介ございましたが、先の通常国会で成立いたしました犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の法改正でございまして、犯罪被害者等に刑事裁判に参加していただくことができる、そういう制度の創設、更には損害賠償命令制度の創設、あるいは民事訴訟におけるビデオリンク等の措置の導入を内容とするものでございまして、順次施行し、あるいは施行の準備中の状況にございます。
 7ページ、これも先ほど御紹介ございましたが、「更生保護法」が成立いたしまして、仮釈放等審理において犯罪被害者等の方の御意見等を伺う制度、更には犯罪被害者等の方々の心情等を保護観察中の加害者に伝達する制度などが盛り込まれて、これは公布から6月以内ということですので、12月に施行する予定で準備を進めているものでございます。
 最後は8ページでございますが、これはまだ検討段階でございますが、少年法の関係で、平成12年の法改正、犯罪被害者の関係の施策を含んでおりますが、その5年後見直しに伴って、更にそういった被害者の方々の権利・利益の拡大という方向でどのようなことができるかということについては、現在検討中というものでございます。
 以上でございます。

○ 山上議長 ありがとうございました。
 それでは、文部科学省よりお願いいたします。

○ 文部科学省大臣官房政策評価審議官 文部科学省でございます。本来、総括審議官が参るところでございますが、所用で欠席させていただきますので、官房の政策評価審議官から御報告させていただきます。
 資料2-6でございますが、文部科学省におきましては、基本計画における5本柱のうちの2番目の「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」、4番目の「支援等のための体制整備への取組」、5番目の「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」の3つの柱に沿って、32施策について実施しております。
 具体的な御説明は次のページです。2ページ目に沿いまして御説明します。
 まず、「児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等」でございますが、平成18年5月に学校等におきます児童虐待防止に関する現状や、国内外の先進的な取組み事例について分析・検討した学校等における児童虐待防止に向けた取組みについての報告書をまとめて公表しております。本報告書は全国の学校にも配布しております。更に現在、改正児童虐待防止法の施行に向けまして、調査研究の成果を踏まえて、虐待防止のための教職員向けの研修教材、DVDを作成中でございます。
 2番目の「犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合における継続的支援の促進」でございますが、平成19年度新規事業としまして、問題を抱える子ども等の自立支援事業をスタートしております。これまでも子ども等の問題行動に対する事後の対応、支援といった取組みは各地域において一定の効果が見られているところでございますが、この事業は、いじめ・児童虐待・不登校・暴力行為・高校中退といった課題ごとに、未然防止・早期発見・早期対応に着目した効果的な取組みについて、調査研究を都道府県、教育委員会へ委嘱しているものでございます。引き続き個々の状況に応じた支援の充実を図るため、平成20年度予算要求をしておるところでございます。
 3番目の「重症PTSD症例に関するデータ蓄積及び治療法等の研究」でございますが、平成17年度より3か年計画で科学技術振興調整費による重症PTSD症例に関する研究を実施中でございます。実施主体としては、東京医科歯科大の難治疾患研究所に実施していただいております。引き続きより多くの症例を蓄積しながら、治療法の有効性を明らかにしていくこととしております。
 次のページをお願いいたします。4番目でございますが、「学校や家庭において子どもたちに生命のかけがえのなさ等に関する教育を推進」という項目でございますが、学校における命の教育への支援としては、都道府県、教育委員会などと連携、協力の下で、地域の人材とか体験活動を生かして、命を大切にする心を育むなどの道徳教育を推進する実践研究を引き続き実施しております。
 一方、家庭における命の教育の支援としては、命の大切さを実感させる意義などを記述しておる「家庭教育手帳」というものを平成19年度におきましても配布をしております。本手帳は、一人一人の親が家庭を見直し、見つめ直して、それぞれ自信を持って子育てに取り組んでいく契機となるように作成しておるものでございまして、母子手帳交付時とか、小学校入学時の機会を通じて、乳幼児や小学生などを持つ親に配布をしております。
 5番目としまして、「体験活動を通じた命の大切さの学習の実施」でございます。平成17年度より動植物の育成や高齢者との交流、保育体験等の体験学習を通じまして命の大切さを学ばせる調査研究を実施しておりまして、平成19年度におきましても引き続き実施をしております。調査研究の成果につきましては、随時、教育委員会の担当者などを集めたブロック交流会を開催して、全国の教育委員会や学校へ普及を図っておるところでございます。
 最後、6番目でございますが、「学校における犯罪防止教育の充実」でございます。これにつきましては、平成18年5月に警察庁と連携し、「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料(非行防止教室を中心とした取組)」を作成して、各教育委員会・学校などに配布しております。また、各学校においても、例えば犯罪被害者から話を聞くことで犯罪被害者に対する意識を高め、非行防止教室を開催するなど、児童生徒の規範意識の向上のための施策に取り組んでいる例も多く見られます。引き続き犯罪抑止教育の充実を図っていきたいと思っております。
 以上でございます。

○ 山上議長 次に、厚生労働省よりお願いいたします。

○ 厚生労働省大臣官房政策評価審議官 厚生労働省でございますが、資料は2-7でございます。1枚目に全体のこれまで取り組んできている施策一覧を載せてございますが、各個別につきまして、2ページから簡単に御説明をいたします。
 2ページですが、まず「直ちに取り組むこととされている施策」につきましては、「少年被害・児童虐待関係の主な対応施策」としまして、「1 児童虐待に関する夜間・休日対応の充実等」ということで、関係の体制を強化して増設をする等の施策を講じております。
 「2 少年被害者の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実」につきましても、設置率を向上させているところでございます。
 3ページでございますが、「3 少年被害者のための治療等の専門家の養成等」ということで、こういった関係の専門のお医者さん等の養成方法を検討するための検討会を開催いたしまして、報告書をまとめました。それから、それぞれの専門家の配置の促進も図ってきておるところでございます。
 「4 虐待を受けた子どもと非行児童の混合処遇を改善すること等の個別対応できる一時保護所の環境改善」ということで、現在、27県の指定都市において実施をしておるところでございます。
 4ページでございますが、「DV関係の主な対応施策」としまして、「被害直後及び中期的な居住場所の確保」ということで、婦人相談所の一時保護所に加えまして、一時保護委託関係の施設につきましても、一時保護の実施を増加させてきておるところでございます。
 5ページでございますが、「1年以内に実施又は結論を出すこととされている施策」でございますが、「1 被害直後及び中期的な居住場所の確保」としまして、児童相談所、婦人相談所ともにデータ把握の調査を行いまして、必要と考えられる施策に反映をさせているところでございます。
 それから、「2 被害回復のための休暇制度の導入の検討」でございますが、18年度におきまして、犯罪などの被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入についてアンケートを実施しましたけれども、企業、労働者とも9割がこの制度を導入すべきという意見があることさえ知らないということでございましたので、本年度、企業や労働者に対しまして、その必要性に関するリーフレットを作成して、来月上旬に配布をする予定にしております。
 最後のページ、「(3)3年以内に実施又は結論を出すこととされている施策」でございますけれども、重度のPTSD等重度ストレス反応の治療のための高度な専門家の養成及び体制整備に資する施策の検討、犯罪被害者に係る司法関連の医学知識と技術について精通した医療関係者の在り方及びその養成のための施策の検討及び実施、職員等に対する研修の充実等でございます。
 これは、平成17年度から厚生労働科学研究におきまして、1から4にありますような項目の調査を3か年計画で実施をしておるところでございまして、その研究成果を踏まえて逐次、精神保健福祉センターですとか、それぞれ専門家の養成のカリキュラムの見直し等の措置を検討することにしております。
 それから、下の方にございますが、犯罪被害者等の治療、保護などを行う施設の職員などの研修としまして、医師、コメディカルなどを対象としましたアドバンストコースを設置するなどとして、研修を実施をしてきているところでございます。
 以上でございます。

○ 山上議長 ありがとうございました。
 最後に、国土交通省よりお願いいたします。

○ 国土交通省住宅局担当審議官 国土交通省でございます。住宅局長が所用で出席できませんので、住宅局担当審議官の私の方から御説明を申し上げます。
 資料は2-8でございます。国土交通省関係の基本計画に挙げられました施策は、この2-8の1枚目にございますように、「直ちに取り組む施策」として6項目でございます。内容は、1つには、自賠責を中心といたします保険金支払いの適正化。もう一点は、居住の安定ということで、犯罪被害者等の公営住宅への優先入居等でございます。
 1枚おめくりをいただきたいと思います。2枚目が「損害賠償の請求についての援助等」ということで、保険金支払いの適正化に関することでございます。アにございますように、自賠責保険・共済紛争処理機構の事業に対する補助をするということが挙げられております。これは具体的には紛争の調停業務についての補助でございまして、記載のとおり18年度で559件の調停業務が行われております。国からの補助は18年度で1億4,000万ということでございます。
 次に、日弁連交通事故相談センターで自賠責保険の損害賠償支払いに関する法律相談等を行っておるわけでございます。ここにおきます法律相談は、18年度で3万4,800件強、示談のあっせんが2,400件強となっております。これらにつきましては、5億8,000万円の補助を行っているところでございまして、これらによりまして、このセンターにおきます法律相談、あるいは示談のあっせんが行われているところでございます。
 3つ目が、政府保障事業による保障金の支払いでございまして、これはひき逃げ等に遭った被害者に対しまして、加害者に代わって政府が損害のてん補を行うものでございます。18年度で3,709件、金額にいたしまして、保障金の支払額は約52億5,000万円でございます。
 次のページでございますが、3ページ目が居住の安定の関係でございます。(1)でございますが、公営住宅への優先入居等ということで、まず、公営住宅につきましては同居親族要件がございますが、これを緩和するということが挙げられておりまして、ここにございますように、平成17年の12月2日に政令を改正いたしまして、昨年の2月1日に施行しておりますが、DV被害者については同居親族要件を緩和して、単身入居を可能にしております。昨年の12月1日現在で12戸という入居実績がございます。
 次に、優先入居でございますが、公営住宅の入居選考に当たって、犯罪被害者等を優先的に取り扱うということで、先ほど内閣府の方からも御紹介がございましたが、17年の12月26日にガイドラインを策定して通知をいたしております。その結果としまして、18年12月1日現在で191戸の入居実績がございます。
 また、目的外使用ということで、犯罪被害者等について緊急時の対応をするために目的外使用入居というものを制度化しておりまして、これも先ほど申し上げましたガイドラインにおいて記述をいたしております。18年12月現在で32戸の入居実績がございます。
 イとしまして、独立行政法人都市再生機構における機構賃貸住宅の入居優遇措置の検討でございますが、これは、この基本計画におきましても、公営住宅における受入れ状況等を踏まえ検討という記載がございまして、先ほど触れました18年12月現在での数字、それから、まもなくまとまります19年の数字も見ながら、必要性について引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
 3点目が、公営住宅の入居に関する犯罪被害者等への情報提供の周知徹底でございます。入居情報につきまして、パンフレットやホームページへの記載、あるいは警察当局との連携による情報提供というものを要請いたしておりまして、これも先ほど触れましたガイドラインに記載をいたしておるところでございます。
 18年度12月現在では、パンフレット、ホームページへの記載は6事業主体、それから、警察の方でつくられます「犯罪被害者への手引」の記載が7事業主体でございますが、その後、かなり増えておるんではないかと思いますが、新しい調査でその数字については把握をしたいと思っております。
 以上でございます。

○ 山上議長 関係省庁より進捗状況についての御説明がございましたが、どうもありがとうございました。ただいまの御説明があった、基本計画に盛り込まれた施策の進捗状況ですけれども、御質問などがございましたら、どうぞお願いいたします。
 どうぞ。

○ 大久保構成員 では、2点お願いいたします。
 1つは、文部科学省の方に御質問させてください。資料2-6の2ページ目の3ですね、「重症PTSD症例に関するデータ蓄積及び治療法等の研究」ですが、これが19年度で終了してしまいますけれども、この後、この実績を踏まえて、どのような形で生かしていっていただけるのでしょうか。
 と言いますのは、実際に被害者の方を支援しておりますと、やはり重症のPTSDが疑われるということで、こちらの方の研究機関、医科歯科大学の方に紹介をしまして、とてもいい治療を受けて、症状が改善して、また社会復帰ができたという方たちがたくさんいらっしゃいます。それがこの19年度で終わってしまいまして、この後、どのようにそういうような症状に苦しんでいる方を治療に結び付けていくのかということを大変現場では悩むことがございますので、その後、どのようになるのかということを一つ教えてください。
 もう一つは、国土交通省の方にですけれども、公的住宅にはもう既に犯罪被害者の方がかなりの人数で入っていらっしゃるということをお聞きして、大変ありがたく思いました。
 ただ、私たちが実際にかかわっております被害者の方の中には、そういうような制度ができたとはいえ、実際にまだ役に立たないような形での条例しかないというところもあるんですね。この191戸の入居実績が、どこの都道府県がわりとこれをしっかりと推進してくださっているのかどうなのかという辺りと、あと、全然進まないというようなところもありますので、そういうところにはまたしっかりとこの制度を伝えていっていただきたいということを感じましたので、お願いいたします。

○ 山上議長 ただいまの御質問に関して、まず最初に文科省の方から言っていただけますか。

○ 文部科学省大臣官房政策評価審議官 文部科学省でございます。今の研究自体につきましては、19年度までの3年間、特に科学技術振興調整費という先駆け的なものをやるための制度でございますので、その終了を見まして、その後どういうことをやる必要があるかも含めて検討させていただきたいと思います。関係省庁、例えば厚労省さんとか、関係するようなところも十分議論させていただいて、先生の今の御指摘の点も踏まえて検討させていただきます。

○ 大久保構成員 是非このまま推進する形で、現場に生かせる形でお願いいたします。

○ 山上議長 どうぞ。

○ 国土交通省住宅局担当審議官 国土交通省でございます。確かにお話のように、公営住宅の運営は地方公共団体がそれぞれ行っておりますので、条例の改正、あるいは条例改正でなくても運用でやるような部分も含めまして、例えばDV被害者等も含めまして、18年12月、1年近く前になるわけですが、9事業主体、DV被害者についても、実施予定がないという回答をしてきているところもございます。これらにつきましては、やっているところの事例等もお示しをして、こういうやり方でやっていただきたいということについて指導しておるところでございまして、今年度についてはもう少し進んでいるんではないかと思いますが、なお、御指摘の点、もし具体的にこういうところでというお話があるようでございましたら、個別事業主体にも当たりたいと思っております。

○ 大久保構成員 では、また後ほど個別に御相談させてください。

○ 山上議長 そのほかに御質問、御意見ございましたら。
 最後に自由討議の時間が用意されておりますけれども、今後のことでも結構ですし、今日の案、あるいは進捗状況の説明に関連すること、どのようなことでも結構ですけれども、御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。
 小西構成員。

○ 小西構成員 すみません、質問のところで伺えばよかったと思いますが、内閣府から御説明がありまして、地方公共団体における総合的窓口設置が全数設置されたということを伺いました。
 これは全体の私の印象をまず申し上げた方がいいと思いますが、犯罪被害者等基本法の提案がなされてから、ここまで、非常に包括的にいろんなことが進んできたと思いますので、関係省庁の御努力も非常に大きかったし、事務局の御努力も大きかったと思います。
 例えば法務省や警察から今、出していただいたものの中には、非常に抜本的な問題に対する進展というのもあったと思うんですが、一方で、私はこの中央だけではなくて、本当に末端のところで被害者に会うこともしておりますが、そこでは、本当に窓口できたの、それから、何が動いたのというようなことを実際に感じるような場所もあるわけですね。
 ここを埋めていくということがこれから非常に大事なことではないかと思うんですけれども、例えば、この窓口ができたということに関して、具体的にどういうふうにできたかというような情報は内閣府にあるんでしょうか。これからのことをにらむと、そういうことが必要なのかなと思うんです。

○ 山上議長 お願いします。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お答えをいたします。白書の186ページをごらんいただきたいんですけれども、ここに各県、それから政令指定都市の、右側の○がついているところが、一応、総合対応窓口設置済ということで内閣府の方に報告があったところでございまして、それが先ほど申し上げましたように28です。
 施策担当窓口をごらんいただきますとわかるように、安全・安心の部局でありますとか、あるいは人権部局とか、いろいろばらばらでございますけれども、これは地方自治体それぞれやっておられます。体制につきましても、専従者がいるところもあれば、ほとんどが兼務体制のところもございます。いずれにしても、ここまでこの1年間で大きく進んだなと実は我々は考えております。
 と申しますのが、1年半ほど前に最初の都道府県の被害者施策担当課長会議を開いたわけですけれども、そのときには担当部局そのものがまだなかったという状況で、あるいは集まっても、今、警察が一生懸命やっているんだから、知事部局がすることはないんではないかとか、こういうお話が結構あったんです。それが、今年も半年ほど前にやったんですけれども、そのころはもう大分その辺の意識が変わってきて、ここにあるような形で総合対応窓口もこの1年で飛躍的に増えたというふうに考えております。
 御指摘のように現場が一番大事ですから、本当に被害者と接する地方公共団体の方、今、県と政令指定都市だけですけれども、本当は市町村にもその窓口が必要だと考えておりまして、まずは都道府県の人にきちんとやってもらおうということで、ちょっと長くなって恐縮ですが、資料3に来年度、平成20年度の概算要求の概要というものをお配りしておりますので、これをごらんいただきたいと思います。
 その中で、既に「検討会」の中間取りまとめ等を受けまして、民間団体、あるいは地方公共団体の人に何をやってほしいのか、どういうことをやったらいいのかということで予算要求をしておりまして、「2.主な新規・拡充施策」のうちの「3地方公共団体に対する支援」ということで、公共団体の職員の人を研修をして、被害者施策、こういうふうにしてやるといいんですよということをやっていきたい。
 それから、「4 地域における犯罪被害者等支援の普及促進(モデル事業)」ということで、国でお金を出して、地方自治体と民間被害者団体の人が一緒になって被害者の支援事業、あるいは広報啓発等を進めていこうではないかと、そういうモデル事業の予算要求も行っているところでございます。
 今年度、19年度の予算でも、まず知事部局の人に何をやったらいいかというのを御理解いただこうということで、実は手引みたいなものも今、作成中でございます。
 そんなことで、地方自治体は、御指摘のように犯罪被害者基本法において国と並ぶ被害者施策の推進主体でございますので、その辺のところをより一層、自治体の取組みが進むように、総務省さんにも来ていただいておりますけれども、現在、地方交付税の要求も、民間団体援助検討会の結論を受けまして鋭意折衝をしておりますので、そんなところで頑張ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○ 山上議長 よろしいですか。

○ 小西構成員 ありがとうございました。こういうものは1年では絶対いかないのは大変よくわかります。これからはこういうことがきちんと実施されるかどうかというところに非常に大きな課題があると思いますので、是非これからも鋭意取り組んでいただければというふうに思います。

○ 山上議長 そのほかに。どうぞ、岡村先生。

○ 岡村構成員 今、荒木室長から、教育、自治体の、どうしたらいいかという手引のようなものをつくるというお話でしたが、是非これはやっていただきたいですね。東京都の区などにおいても、何をしていいかわからない、窓口を置いて何をするんだというところがかなりあるんですね、いろんな自治体で。だから、是非手引をつくって配布していただきたいと思います。そうしないと、窓口はつくったけれども、どうしていいか、後が続かないということになると思いますので、よろしくお願いします。

○ 山上議長 どうぞ。

○ 中島構成員 ただいま地方公共団体に対する施策についての御意見がありましたが、私の方でも関連して意見を述べさせていただきたいと思います。
 私どもでは、先ほど厚生労働省から紹介がございました犯罪被害者の精神健康の状況と、その回復に関する研究の一環としまして、被害者遺族の方に対する面接調査を行っておりますが、その中で犯罪被害者施策についても御意見を少し伺っております。
 その中で、最近特に増えてきたと思われる御意見としまして、被害者支援の中に地域格差があることについてです。中央からいろいろな支援の情報が入ってくるけれども、自分の地元でそれを受けられるようになってほしいということを強く希望したいとおっしゃられる方がいらっしゃいます。
 そのためには、今、内閣府の方で御提示いただきました地方公共団体に関する施策ですが、どのように被害者を支援するのかということの助言、また、実際にどのように行った場合に有効にそれが機能するのかということを示すモデル事業には大変有益なものだと思っております。御遺族の中には、御自身が地方自治体に働きかけているけれども、まだ地方自治体の方で十分被害者支援についての認識がないために、なかなか話がかみ合わない部分もあるという方もいらっしゃいます。地方自体体での被害者支援活動の一層の推進をお願いしたいと思います。

○ 山上議長 ほかに御意見ございましたら。岡村先生、どうぞ。

○ 岡村構成員 先ほどの続きですけれども、遺体の搬送費も、まだ自治体によっては何もしていないところが大分あるんですね。それから、遺体の修復についても勿論そうです。せっかく国が半分、自治体が半分出して解剖後の遺体搬送の費用制度ができたんですけれども、実際に行われていない自治体があると聞きましたので、警察庁の方で何か把握されていることがあれば、ちょっとお伺いしたいんです。

○ 山上議長 警察庁、お願いします。

○ 警察庁長官官房総括審議官 警察庁でございますけれども、遺体搬送費につきましては、現在、県の方でも手当てしているところは44ございます。あと、解剖後の遺体修復については36というような形になっているところでございまして、できるだけ早く全県でこれが実施できるように、各都道府県警察に対して、予算を取るようにこれからも指導していきたいと思います。

○ 山上議長 では、山田先生。

○ 山田構成員 居住の安定ということで、先ほど公営住宅への優先入居等の御説明がございましたが、資料2-8の中で、入居実績が12戸であるとか、191戸であるとか、あるいは32戸であるとか、そういう実数が上がっているんですが、これは全体の要望、要求に比して大体何%ぐらいに現状ではなっているのか。おおむね被害者の要望を満たすというところに達するには、あとどのぐらいの努力が必要であるのか。同じようなことは、27県・指定都市において、一時保護所の改善状況が実施されている。改善状況であって、実施されているという極めて抽象的なことであって、実施しているということは、実施に努力はしているけれども、ほとんどまだレベルに達していないよということなのか、もう大分行っていますよということなのか、その辺はどうなんでございましょうか。

○ 山上議長 よろしいですか。どうぞ。

○ 国土交通省住宅局担当審議官 公営住宅の入居の関係でございますが、要望の方の戸数自体については把握をいたしておりません。現実に公営住宅制度の運用を行っている公共団体で御要望があったものについて、通常ですと順番待ち、あるいは抽選というような格好になっているのを優先入居させた数字でございますので、先ほど触れましたように、現実、優先入居をまだやっていないところもありますので、そういうところは多分、後ろ回しになっている。優先入居制度を持っているところは、空き家があればどんどん入っていただくという仕組みになっているというふうに考えております。

○ 山田構成員 今後それらを充実させていくためには、地方公共団体と国との連携ということが極めて重要になってまいります。

○ 国土交通省住宅局担当審議官 先ほど大久保先生の方からもお話ありましたように、運営自体は公共団体がやるという格好になっていますので、私ども、実際の運用を行っていないところについては、ちゃんとやっているところ、事例などを見ながら、そういう指導をちゃんとやっていきたいと思っています。

○ 山上議長 よろしいでしょうか。

○ 山田構成員 もう一点よろしゅうございますか。

○ 山上議長 どうぞ。

○ 山田構成員 「民間団体への援助に関する検討会」の最終取りまとめ(案)で、先ほど資料1-6ですか、御説明いただきましたけれども、そのうちの4ページですか、国による財政的援助の在り方の検討についてですけれども、事業費の援助に関係しまして、前の案は「事業費を中心に検討するということが適当であると考えて」というのを、パブリックコメント等を受けて、「事業費の援助等、事業を適切に推進できるような援助」というふうにしてありましたけれども、これは要は、事業費と相対立する運営費というようなことを念頭に置いて書かれていることなんでしょうか。
 そうすると、「事業費を中心に」といった方が、営業費も考えるけれども、事業費が中心ですよ、でも、営業費も考えますよというふうにも取れますし、逆に赤字で修正された「事業費の援助等」の「等」の中には営業費も入るんですよとなると、修正案の方が営業費も一応、視野に置いているというふうにも取られるんですけれども、この辺の議論はどうしてこうなったのか。つまりは、運営費についての考えというものはどういうものであったのかということについてお尋ねいたしたいと思います。

○ 山上議長 冨田座長、お願いいたします。

○ 冨田座長 運営費については、基本的には、民間の団体に対して、運営費を直接的に支援する仕組みというのはないと申しますか、それは基本的には考えておりませんというか、それは入っておりません。したがって、ただ事業費というと、かなり限定して考えられる場合もあるので、その事業費にはこのようなものも含まれるということで、そこを拡大したということでございます。ちょっと舌足らずであるかもしれませんが、もし内閣府の方から補足的に説明していただければ更にありがたいと思います。
 以上でございます。

○ 山上議長 では、補足ございますか。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今、座長からあったとおりなんですけれども、実は、言われた運営費については、これは人件費とか、そういうものまで見てくれというのは、パブリックコメントで資料にありますけれども、結構多かったんです。これは以前からそういう御要望は被害者の方からあるんですけれども、人件費まで国が見ると、これは国家公務員になるんで、これは民間団体のよさも損なわれるし、民間団体と言えなくなってしまうということで、そもそもそれは難しいだろう。
 ただし、事業費の中には、事業を遂行するための必要な非常勤の人の経費とか、そういうものは当然含まれているわけですから、そういうものをできるだけ読み込めるようにしたいと、こういうお話がございまして、一番最初の中間取りまとめのときの事業費を中心にということでは、純粋の事業費だけで、人件費みたいな、非常勤職員みたいなものが余り読めないねというお話がございました。
 大事なところは、事業を適切に遂行できるということで、そういう意味を含ませた。事業費そのものというよりも、事業を適切に遂行できるようなという言葉がいいということで「検討会」のまとめになったというふうに理解しております。

○ 山田構成員 最終案の方が多少は含みを持たせていると、こういうことでございますか。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 そういうことでございます。多少前向きの表現にさせていただきました。

○ 山田構成員 確かに難しい点はあるのかもしれませんが、事業費と運営費というのは車の両輪かと思いますので、将来的には拡充の方向に向けてお願いをしたいというのが犯罪被害者の皆さん方の御意見だと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○ 山上議長 小西構成員。

○ 小西構成員 厚労省と文科省にちょっと伺いたいと思いますが、厚労の方の6ページの「3年以内に実施又は結論を出すこととされている施策の進捗状況」のところですが、この厚生労働科学研究は実は私が受けているものですので、ちょっと言いにくいところもありますけれども、例えば重度ストレスに対する心理治療の研究というのは、経済的支援の方の「検討会」で出てきたことにもつながっていくわけで、そうだとしますと、日本ではほとんど今まで出たことのない心理治療の実証を出さなくてはいけないことになるわけで、そんなに簡単にいくものではないんですね。そちらの方向に鋭意努力しているんですけれども、そういうところをちゃんと継続的にやらないとできない。これはさっきの地方自治体とも一緒かもしれませんが、実際にやっていくにはある程度時間がかかります。それについて、ちゃんと継続的にそういうものを見ていただきたい。
 それから、この下の水色のところにありますが、PTSD対策専門研修会、これは一番最初は災害支援というところから始まったものだと思いますが、もう随分長く行われておりまして、毎年、恐らく200人以上ぐらいの方がずっと参加されていたと思います。これが医療の中でのPTSDの概念の普及ということに、時間がたって大変役に立ってきたと私は思うわけですけれども、今、必要とされている、この委員会の中で話されているようなレベルの専門家を育てるには、今度は100人単位、200人単位のものではできなくて、今日お話があった幾つかのアドバンスコースの研修やメンタルケアの研修はみんな20人、30人単位のものです。それでも3日4日かかるわけですね。そうしますと、1年間にある程度の研修ができる数は非常に少数であります。そういう点では、こういうことも時間がかかるんだけれども、一度にその成果を見るという形ではなくて、継続的にちゃんと効果を測っていっていただきたいし、続けていっていただきたいというのが私の希望です。
 同じような面で言いますと、例えば文科省の方で、「犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合における継続的支援の促進」というのがあったと思いますが、現在の段階では、問題を抱える子ども等の自立支援事業の中に含まれるような形で示されていますけれども、実際には犯罪被害を受けた子どもはそんなにたくさんではないかもしれませんけれども、非常に専門的なケアを必要とします。例えば文科の方でも、こういうことに関して、もう少し専門的な研修とか、そういうことを長期的にやっていただく必要があるのではないかというふうに思います。全部これからやっていかなくてはいけないことで、すぐにとは言いませんが、是非継続して、しかも評価をしてやっていってくださればというふうに思います。

○ 山上議長 ほかに御意見ございましたら。はい、どうぞ。

○ 山田構成員 先ほどちょっとお話の出ました公費による弁護人制度についてなんでございますけれども、これは内閣府にお尋ねするのか、それとも経済的支援の方でお尋ねするのかわかりませんけれども、弁護士会は御承知のとおり、急激な人員増加でございまして、新人等にとっては大変苦しいところがある。加えて、今まで弁護士会では、当番弁護士であるとか、過疎地対策であるとか、近時は「法テラス」のスタッフ弁護士であるとかになっておりまして、従来の国選弁護人制度に対して、被疑者国選というものが始まっておりまして、またこれが拡大される。
 そういったところに今度は犯罪被害者の国選弁護ということになった場合、勿論これらについては弁護士会がつとに要求してきていたところではございますので、それは責任を持ってやらなくてはならないんですが、実際のところ、大変な重荷になってくることは事実だと思うんですね。かなり苦しい思いでこれから御協力させていただくことになると思うんです。
 それにつけましても、こういった制度が十分に実効していくためにも、弁護費用というものにつきましても日弁連の方と十分に御協議いただきまして、相応の対応をしていただきたいと思っておりますので、ここで申し述べさせていただきます。

○ 山上議長 ただいまの意見に対して、もし法務省の方で何かございましたらどうぞ。

○ 法務省大臣官房審議官 犯罪被害者の方、特に刑事手続に参加をされる被害者の方に公的費用で弁護士の支援をしていただく制度につきましては、先ほどの「検討会」の取りまとめにもありましたように、非常に重要な課題であるというふうに考えております。参加制度自体は来年の12月までに施行する予定でございますが、その施行に合わせてその制度が導入できるように努力したいと考えております。現在はその制度の内容について検討している段階でありますけれども、ただいまの御指摘も踏まえまして、よりよいものができるように努力したいと考えております。

○ 山田構成員 よろしくお願いいたします。

○ 山上議長 ほかに御意見、御質問ございましたら。
 それでは、出尽くしたようでございますので、これで終了したいと思います。
 本日は活発な御意見をいただき、意見の交換もできまして、有意義な会となったことを感謝しております。
 本日の議題は以上でございますけれども、最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 長時間ありがとうございました。
 本日、御報告させていただきました3つの「検討会」の最終取りまとめにつきましては、先ほど申し上げましたように、11月6日に推進会議において御報告をしまして、推進会議において、この最終報告の取りまとめを政府を挙げて強力かつ効果的に推進していく旨の推進会議決定を行いまして、政府を挙げてしっかりと推進してまいりたいというふうに考えておりますので、御連絡を申し上げます。ありがとうございました。

○ 山上議長 それでは、本年度最後の会になりますが、会を終えるに当たって一言ごあいさつさせていただきます。
 本日は、それぞれの「検討会」が大きな成果を持って最終取りまとめ(案)に至ったことを大変感謝しております。取り分け3検討会の座長である國松先生、冨田先生、長井先生には大変な御苦労をされたと伺っております。ここまで来られたことを改めてお礼申し上げたいと思います。
 また、この間に基本計画が各省庁の指導の下で非常に大きく進捗しておりまして、ここまで充実した体制ができたことに感謝申し上げたいと思います。今日、話題となったことの中でも、私たち被害者支援に古くから取り組んでいる者にとっては、例えば自賠責並みの被害者への給付といったこと、あるいは法務省での刑事訴訟法の改正にかかわる問題などは、当初から夢見ながら、到底そんなことはかなえられると思わないようなことでありましたけれども、ここまで達成できたことを大変うれしいと思いますと同時に、御尽力くださった皆様に改めて感謝申し上げたいと思います。
 また、被害者支援に関する施策が短期間で非常に大きく進展していることについては、関係各位の御尽力もございますけれども、犯罪被害者等基本法の構成、あるいはその基本理念がしっかりと立てられて、それに沿ってこういう「検討会」がされ、そこに犯罪被害者、あるいは支援にかかわる者が多数加わって、その意見がしっかりと反映されるような仕組みができたことが大きいというふうに私は思います。そのような仕組みをつくってくださった方々、また、それに沿って、こういう画期的な施策を推進してくださっている皆様に改めて感謝を申し上げて、ごあいさつとしたいと思います。
 また、最後になりましたけれども、内閣府の皆様には、こういう、それぞれかなり自由に意見を出されるようなところで、その調整の役は大変な思いをされたことと思いますけれども、ここまで完成したものができたことを感謝いたしたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

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