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犯罪被害者等施策
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第3回基本計画推進専門委員等会議 議事要旨

(開催要領)
日時:平成19年6月12日(火)11時00分~12時03分
場所:合同庁舎4号館11階 共用第1特別会議室
招集者:高市 早苗内閣府特命担当大臣
出席者:
議長山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
久保 潔元読売新聞東京本社論説副委員長
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
山田 勝利弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
巽 高英警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
金森 越哉文部科学省大臣官房総括審議官
榊 正剛国土交通省住宅局長
代理生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
代理中野 雅之厚生労働省大臣官房政策評価審議官
[経済的支援に関する検討会 座長]

國松 孝次財団法人犯罪被害救援基金常務理事
[支援のための連携に関する検討会 座長]

長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
[民間団体への援助に関する検討会 座長]

冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
(議事次第)
1.開会
2.犯罪被害者等施策の進捗状況について
3.3つの「検討会」の検討状況について
4.自由討議
5.その他
6.閉会

(附属資料)
資料1 検討会中間取りまとめ関係資料
(本資料中、中間取りまとめ(案)の「概要」は、会議への報告のため、事務局において作成したものである。)
1-1 経済的支援に関する検討会中間取りまとめ(案)  [PDF形式:76KB]
1-2 支援のための連携に関する検討会中間取りまとめ(案)  [PDF形式:343KB]
1-3 民間団体への援助に関する検討会中間取りまとめ(案)  [PDF形式:93KB]

資料2 検討会中間取りまとめに対する国民からの意見募集について(案)  [PDF形式:26KB]

岡村構成員資料  [PDF形式:101KB]

※なお、専門委員等会議構成員、各検討会座長のいずれの発言についても、便宜上「構成員」と表記した。


(議事内容)

○ 高市内閣特命大臣から挨拶があった。
 「昨年4月に犯罪被害者等基本計画に基づき、経済的支援のあるべき姿、途切れることのない支援等のための体制づくり及び民間の団体に対する財政的援助の在り方について検討を行うために、3つの検討会がこの専門委員等会議とともに設置された。これまでの約1年間、ヒアリングや調査を実施していただき、それを基に大変精力的な議論をされ、今般それぞれの検討会において中間とりまとめが行われたところである。
 中間取りまとめにおいては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並の金額に近づけるなどの抜本的な拡充や、連携ネットワークの充実・強化、民間団体における支援者の研修資格認定のための方策、そして、民間団体への財政的援助の充実などが打ち出されている。
 本日は、これらの3つの検討会の中間とりまとめについて、座長より報告を受け、委員の皆様方の意見をいただくことにしている。
 犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会の実現のためには、検討会において取りまとめられる施策を、政府をあげて着実に推進していくことが重要である。自分も担当大臣として、犯罪被害者の方々の視点に立った施策がより一層強力に推進されるよう関係省庁と一体となって尽力していく。
 本日、委員の先生方の熱心な議論を期待申し上げるとともに、今後も引き続きご支援とご指導をいただきますようよろしくお願いしたい。」

○ 経済的支援に関する検討会中間取りまとめ(案)について座長から報告があった。
 関係資料として、若干ダイジェストした2枚紙及び「中間取りまとめ(案)」の2つがあるが、主として2枚紙に従って説明する。まず、経済的支援に関する検討会は基本的にどのような考えで進めてきたかということについて説明する。
 中間取りまとめ案の1ページ「第1 はじめに」をごらんいただきたい。この検討会の検討に当たっては、3つの点を特に考えながら検討を進めた。その第1は、新たな経済的支援制度を現状よりも手厚いものにするということ、これが我々に課せられた課題あり、これをどのように手厚いものにするかということを検討した。特に給付水準については、抜本的な引上げを図る。その抜本的な引上げというのは、どのようなものになるべきかということをまず第一に考えた。
 2番目に、新たな経済的支援制度というものは、結局現在の社会保障制度あるいは福祉制度の全体の中に、調和と均衡のとれた形で存在するような形にならなければならないという点を考慮に入れた。
 3番目に、財源をいかに確保するかということが一番肝要な問題であると考え、これについては、一般財源に基づいて行うこととするという前に、何とか犯罪被害者の給付を抜本的に改善するための特定の財源等、個別の財源というものを確保する方策はないものかということを種々検討することとした。責任保険制度を導入するとか、罰金の特定財源化とか、あるいは有罪判決を受けた者から課徴金を徴収するという新たな仕組みをつくるとか、まず、いろいろと検討する。それがどうしてもだめなら一般財源ということになるだろうとして、いろいろな財源の形をまず検討していこうではないかというのが我々の基本的な考えであった。3番目の問題については、結論としては、一般財源というところに落ち着いたが、それに至る過程については、かなり詰めた議論をしたつもりである。
 なお、もう一点、経済的支援の新しい制度の理念・目的をどのように考えるかということについては、新たな経済的支援制度の理念は「社会の連帯共助の精神に基づき、犯罪被害者等の尊厳ある自立を支援すること」とした。その目的は「犯罪被害者等が、その置かれている状況等に応じて、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援を受けられるようにするための施策の一環として、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るための必要な支援を行うこと」とした。
 そのような理念・目的に沿った形で、具体的な今回の提言内容について、2枚にまとめた資料に従って説明する。
 まず、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充についてであるが、これについては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額に限りなく近づけることとした。最低額についてもそれに伴い引き上げを図るということを提言の内容として打ち出したところである。自賠責においては御案内のとおり、ひき逃げであるとか、無保険車による事故について、政府保障事業がある。これが自賠責保険並の給付をしているということを参考にして、犯罪被害者等給付金についても、自賠責並みの金額に近づけるということを提言の内容にしたものである。
 犯罪被害者等給付金がどの程度上がるかということを書いてあるが、障害給付金についても、遺族給付金についても、最高額においておおむね倍の基準に達するということであり、最低額についてもそれに伴い引き上げていくということになるわけである。
 特に、支給の在り様であるが、現状においては、平均収入が低い若年層の給付額がやや低過ぎるのではないかという指摘もあるため、そのような方については重点的に引き上げを図る。また、遺族給付金の場合なども扶養家族が多いなど負担の大きさというものにも着目して給付の在り方も重点的に配慮していくということも特に書いたところである。
 また、重傷病給付金の対象者に対する休業給付は、現行の犯給法にはないわけであるが、このようなものについても新たに検討するということを書き示している。
 財源は、結論的には一般財源でやるということであるが、罰金を特定財源化するか等いろいろ検討した。ただ、罰金の特定財源化といっても、結局のところ罰金を実際に支払う方と、特に犯給法の給付の対象となる方との相互関係がややはっきりしないところもあるなど、また、特定財源枠はなるべく一般財源に振り分けていくという国の大方針がある中で、ややそれに逆行するような形になるということで、なかなか難しい。それから、有罪判決を受けた者からの課徴金というものについても、徴収コストの問題があるなどいろいろ問題があり、今当面の問題を解決していくというのは、なかなか難しいのではないかということとなった。結論的には一般財源からということに落ち着いたわけである。
 ただ、一般財源としても、警察庁であるとか厚生労働省などの担当省庁の一般財源の枠の中で、そのまま今回の引き上げに基づく負担増を全部賄うということでは各省庁はやっていけないわけであり、これについては、政府全体として政治的な配慮によって新たな給付の引き上げに基づく負担というものは、特別に別枠で考えていくということも是非考えてもらわなければならないということを、我々の中間取りまとめの中に明確に示してあるところであるので、この席でも各委員の格別な御配慮をお願いしたいと思うところである。
 なお、申請期間については、現在知ったときから2年であるとか、発生してから7年という制限があるが、これをどうこうするということはなく、特例的な申請というものを認める枠というものも設けて柔軟な対応をしていくということを提言しているところである。
 支給裁定等につきましては、現行どおり公安委員会で行う方法をとっている。
 このように公的給付の対象となるものについて、一つの経済的支援の制度を設計する場合は、標準的な被害者をある程度対象にして考えていかないと制度設計ができないわけであるが、実際に犯罪被害者の声を聞くと、犯罪被害というのは実に多様あり、そうした標準的な、一般的な経済的支援の枠からはどうしても漏れてきてしまう方というのが現実にある。しかし、枠からはずれる被害者の方を全部拾い上げるような制度をつくり、その方々も全部公的支援の対象にしていくというのは、なかなか難しいところがある。そのような場合には、公的支援制度としては自賠責並みに引き上げていくという方向をたどるが、その枠からどうしても外れてしまうような方々に対しては、全く支援が行われないということではなく、民間の浄財を募った基金のようなものを作っておき、そういう基金において、しかるべく支援を検討していくという一種のセービング・クローズ的な仕組みというものをつくっておくべきではないかということを提言の内容としている。
 もう一つは、精神的被害を受けた被害者等に対する各種のカウンセリングについての配慮をどうするかについても、一つの大きな眼目として検討した。結局のところ今一番の問題はPTSD等の精神的障害に非常に有効とされる長時間曝露法といったような療法があっても、そういうものに対する診療報酬の額がやや低過ぎるということから、なかなかこの仕組みが動きにくいということがあるのが最大の問題であるとの指摘もあった。そうした有効な療法に対する診療報酬の額を引き上げていくというような方向を是非検討していくべきだとして、そのことを一つの眼目にしている。それとともに民間の被害者支援団体等が各都道府県の予算措置を受けてカウンセリング事業を行っているが、実際上かなり有効に作用しているということもあるので、これは都道府県がやることであるが、そのような都道府県におけるカウンセリングの充実等に関する予算措置についても充実していくような方向をとるべきだということを国として大いに啓発し、あるいはそれに必要な情報を提供していくことを内容とする提言をしているところである。
 次は、テロ被害についての政府による迅速な対応であるが、この検討会において具体的なテロ犯罪被害支援法というものをつくるということを提言するとなると、そもそもテロとは何ぞやというところから議論し始めなければならないことになり、これは大変な議論になるわけで、なかなか難しい。ただ、アメリカで起こった例の9.11の事件、あるいはロンドンにおける地下鉄爆破事件等の際の彼の国の政府の大変迅速な対応に比べ、我が国においてはオウム事件等過去における同種の大量殺傷を目的とするテロ事件に対する政府の対応には、差が余りにもあり過ぎるということを念頭において、当検討会としては、そうした国家あるいは社会に対するテロ行為によって無差別大量の死傷者が現実に生じた場合には、政府は直ちに特別措置法の制定や基金等を設置するなどによって、迅速に事案に即した救済措置をとっていくべきであるということを政府に提言することはどうしても必要であるという結論に達した。そこで事案を一般的に想定して現実の法律を制定するということでなく、事件が起こった場合には、政府はそれぞれの事案に応じて迅速な措置をとるべきだということを内容とする提言にしたわけである。
 併せて検討することとされている問題が幾つかあったわけであるが、公的弁護人制度の是非についても、いろいろと検討をした。これは現在、被害者参加に基づく裁判制度というものが国会で審議されているが、そういう場合の被害者のための弁護人選任の費用をどうするかという問題がある。これは現時点においては既に法律が衆議院を通過し、参議院で審議中のようである。ただ、我々の検討会が行われた段階ではまだそこまで行っておらず、その段階では国会の審議状況等を注視しながら、制度導入に向けて検討していこうという程度に話をとどめたところであるが、被害者参加制度に関する法制が固まった段階で、もう少し具体的な検討が行われることになるものと思っているところである。
 以上が我々の検討会における検討の内容である。

○ 支援のための連携に関する検討会中間取りまとめ(案)について座長から報告があった。
 「支援のための連携に関する検討会中間取りまとめ(案)(概要)」「途切れない支援体制のスキーム(イメージ)」を活用しながら説明していく。
 まず、現状認識及び取り組みの基本姿勢については、中間取りまとめ案の初めのところに記したとおりである。現状としては、犯罪被害者等においては、非常に過酷な現実が次々と迫ってくる、それに直面しなくてはならない。しかし、非常に重要な支援の継ぎ目がうまくいかないということで、そのためにシームレスな、継ぎ目のない連携ができるようにということを意図して、取り組もうとしているわけである。
 我々の検討会においては、取り組むべき大きな課題は2つあると思う。1つは、途切れない支援を行うための基盤整備。ほかの表現で言えば、関連機関・団体の連携密度の底上げ。2つ目には、支援のための人材の育成である。
 取りまとめ案の「II どの関係機関・団体等を起点にしても」というところがある。それがお手元の色刷りの(概要)で、関係機関・団体の連携ネットワークの充実・強化に当たるところである。とりまとめ案の7ページに民間団体で支援活動を行う者の養成・研修等というところがあるが、それが色刷りの(概要)の下の半分に当たるところである。
 まず、基盤整備の部分である。関係機関・団体の連携ネットワークの充実・強化をするために、1つは、犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)を作成して、全国の関係機関・団体等に備えつけるということがある。それは取りまとめ案の2ページに書いてあるとおりである。また、内閣府において有識者及び関係省庁等の協力を得ながら、ハンドブックモデル案を作成する。それは取りまとめ案の3ページから書かれているところであるが、色刷りの(概要)の上半分の枠の中の真ん中に書かれているような内容を盛り込むということである。
 また、犯罪被害者等によってはいろいろな関係機関・団体等の支援を受ける必要がある。その際の犯罪被害者等の負担を少しでも軽減し、また円滑な支援ができるようにするために、仮称、犯罪等被害者申告票なるものを作成してはどうかということが提案された。具体的なものしては、取りまとめ案の4ページ及び一番最後の資料5-2「犯罪被害者申告票(仮称)の書式(案)(イメージ)」にあるものである。
 実際の運用については、取りまとめ案にも書いているが、機関・団体の質等によって、微妙な問題、制約等があるため、犯罪被害者等のニーズと責任を持って当たろうとする関係機関・団体とのニーズが合致しにくいところがあるが、なるべく負担軽減のためにこのようなものを活用するということを考えている。
 それから、倫理綱領につきましては、中間取りまとめ案の5ページにも書いてある。関係機関・団体の連携にもかかわることであり、また、後半の人材育成、民間の団体で支援活動を行う者の養成・研修を行うというところにもかかわってくるもので、実情に合わせて倫理綱領を作成することが望ましいとしている。
 後半の人材育成の部分であるが、基本的にこれまでの支援活動の実績を踏まえ、全国被害者支援ネットワークという組織を中心に研修カリキュラムを作成し、また、レベルが幾つも考えられるが、認定制度を実施し、犯罪被害者等の方々に安心して支援を受けていただけるようなシステムづくりに資するということを考えている。色刷りの(概要)の下半分の枠に示された通りである。また、内閣府においては、有識者及び関係省庁等の協力を得ながら、研修カリキュラムモデル案を作成し、均質な研修が実施できるようにしたいと考えている。
 それから、呼称はほかにもいろいろあるが、必要な支援についての相談、情報提供、適切な機関・団体への橋渡し等支援全般をマネージメントするコーディネーター、この存在と役割が支援を途切れなく行うためには非常に重要な機能を果たすことになる。このコーディネーターの育成も考えなくてはいけない。非常に広範にわたって専門的な知識・技能、経験等が必要であり、したがって、全国的に即刻そういう方々を配置することは困難であるが、なるべくこういう全般に通じた方々を育成して犯罪被害者等の支援に資するということを考えている次第である。
 また、民間団体においては、支援活動を行う者の留意事項等を記載した倫理綱領なるものを作成し、二次被害を与えないように極力努力するということも必要かと考えている。
 前後するが、コーディネーターの育成に関しては、これまでも弁護士、医師等が専門チームを形成し、成功を収めた先駆的な事例が既にあるので、そのような取り組みの研究、紹介、周知に努めるということも非常に重要なことではないかと考えている次第である。
 締めくくりであるが、「途切れない支援体制のスキーム(イメージ)」を見ていただきたい。今までは左側のチャートが多く見られたが、なるべく右側のチャートの方向に持っていきたいということである。イメージは平面の図式だとわかりにくいかもしれないが、右側のネットワークの輪のうち、犯罪被害者等を過酷な自然環境に満ちた地球に暮らす人に見立て、また、周囲を囲む関係機関・団体を人工衛星に見立てて、三次元の図式化と考えてもらえれば、人工衛星の間でいろいろな情報交換、連携、橋渡し等が行われ、犯罪被害者等は地球全体の情報や適切な支援を得ながら、より安心して迷わずに現実に向き合えるというイメージができるのではないかと考えている。

○ 民間団体への援助に関する検討会中間取りまとめ(案)について座長から報告があった。
 資料として「民間団体への援助に関する検討会中間取りまとめ(案)(概要)」、「民間団体への援助に関する検討会中間取りまとめ(案)」というものあり、主として(概要)を活用したい。
 まず、民間団体への援助に関する前提である。この検討会の役割であるが、民間団体に対する国による財政的な援助を現状よりも手厚いものにする必要があるということを前提にして、どのような団体に対して、どのような事務について援助をすべきかということを検討するのが、我々の検討会に与えられた課題である。
 そこで、まず、民間団体は一体、犯罪被害者支援全体の中でどのような役割を果たしているかということであるが、中間取りまとめ(案)の2ページに書いてある。犯罪被害者が被害から回復するためには、さまざまな支援が必要となるわけだが、被害者に対する支援は単独の機関では行うことができない。多様な機関がかかわることができるわけだが、その一つとして民間機関があるということである。民間機関と公的機関との役割分担というのは、必ずしも固定的なものではないという認識に立っている。ただ、民間団体というのは公的機関とは違って、柔軟な対応ができるとか、あるいは公的機関との接点を持たない被害者にもサービスを提供できるとか、公的機関によるサービスが終了した後の被害者に対してもサービスを提供できるというようなメリットがあると考えている。
 そこで、そのような民間団体に対する財政的援助の在り方であるが、基本的な考えして、民間団体の行っている事業費を中心に検討するのが適当ではないかということである。その前提として、民間団体というのは基本的には独立した組織でもあり、また、行政改革の流れの中において国から公益法人に支出される補助金や委託費等の見直しが行われているという現状をかんがみると、そのようなことになるのではなかろうかと思う。
 もう一つの前提であるが、活動の公益性、政治的中立性のみならず、援助の実効性が確保されなければならないということで、団体としてきちんとした活動が行われているのかということのチェックが必要になってくるということである。
 それでは、どのような団体に対して財政的援助をするのかということであるが、その場合に、民間団体といっても多様な団体があるので、検討をするに当たっては5つに分けて考えた。1つは、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の23条に基づく犯罪被害者等早期援助団体。2つ目が、その早期援助団体の指定を目指している団体。3つ目が、早期援助団体等で構成される傘団体、アンブレラ・オーガナイゼーション、具体的には現在、全国被害者支援ネットワークがある。4つ目は、それ以外の団体。もう一つは、自助グループの5つに分けてそれぞれ援助の在り方を検討した。
 そこで、具体的な提言の内容であるが、早期援助団体を目指す団体については、既に一定の活動をしており、ここに対しては既に都道府県警察費補助金等が出ているので、それを更に活用するということである。
 それから、早期援助団体を目指す団体についても同様に、指定は受けていないが、早期援助団体とかなり類似した支援活動を行っているので、支援の財政的な援助の拡充を目指していくということである。
 それから、全国的な傘団体、具体的には先ほど述べたように、全国被害者支援ネットワークであるが、これに対しても主として研修について援助を考えるのが適当ではなかろうかということである。その研修等の内容については、先ほど出た支援のための連携に関する検討会の検討結果を踏まえて行うのが適当であるという考え方である。
 そのほかの団体については、個別に考えるということと、自助グループについては、民間の早期援助団体等を通じて支援、財政的な援助をするというのが適当であろうというのが基本的な考え方である。
 その他の援助経路の可能性、民間資金の活用というところであるが、民間団体というのは基本的には地方に根ざして活動を行っているところである。その地方における状況であるとか特質というものに応じて活動しているわけであるので、今後ますます地方公共団体との連携が必要となってくるものであり、地方公共団体からの財政的援助が期待されるところである。
 最後になるが、民間団体における活動費を確保するために、勿論自助努力も大切であるが、そのほかの民間助成団体への働き掛けも重要である。
 以上、民間団体への援助に関する検討会から中間取りまとめ案を報告する。

○ 3つの検討会の中間取りまとめ(案)の報告に続き、事前意見を提出した構成員からの発言があり、その対応がされた。

(構成員)自分は、支援のための連携に関する検討会についてだけとりあえず事前に意見を出したが、ほかにも幾つかある。
 自分が書いた修正案は、支援のための連携に関する検討会中間取りまとめの7ページである。カリキュラムは内閣府がいろいろつくるということだが、そのカリキュラムに基づいて支援する人たちに教える指導者の育成という点が抜けているのではないかと思う。これが非常に大切であり、ボランティア講習というのは我々もやったが、いろいろカリキュラムをつくっても、心理学出身とか法律学を専門とする研究者、そういうところを出た人は必ずしも被害者全般の勉強をしているとは限らない。よって、そういう人たちについて、カリキュラムに基づいて欠けている部分を講習するということが必要ではないかということで、こういう提案をしている。内閣府がプログラムをつくるが、プログラムに基づいて実施する支援者を指導するところが必要ではないかと思った。

(構成員)我々の検討会においても今後努力したいと考えているが、提案については、あまりに大きな御提案であると理解しているので、自分の一存ではなく、むしろ検討会で十分議論すべきだと考えている。また、今回提出された意見、パブリックコメントの結果を踏まえ、後半の検討会で真摯に議論していたきいと考えている。

(構成員)推進会議がこの後予定されていると思うが、そこには間に合わないと思うので、パブコメの後、また検討されればよろしいかと思う。
 また、経済的支援に関する検討会から報告のあった理念であるが、「理念・目的」の2行目「社会の連帯共助の精神に基づき、犯罪被害者等の尊厳ある自立を支援する」というところであるが、これは寝たきりになって自立しろと言われてもできない被害者がいるわけで、そこへきて支援してやるから自立しろと言われるのは非常につらいことである。むしろ経済的な支援を行って尊厳を守ると改めてもらえばいいのではないかということは前々から述べてきたが、検討会ではそういうことを踏まえてこうなったとは聞いているものの、御再考願えないものかと思う。
 実際、立ち直るといっても立ち直れない高度機能障害の人たち、寝たきりの人たち、これらの人たちは自立、自立と、しりをたたかれたら困るというような気がしており、それなりに自立はできなくても支援する、尊厳を守るとしていただいたらありがたいと思っているわけである。

(構成員)指摘のあったところは、我々の検討会でもかなり時間を掛けて議論をしたところであり、指摘のように尊厳を守るという言葉で締めくくるような理念も実は具体的に提言をして、どうするかという議論をしたわけである。全部の構成員の意見を伺い、尊厳ある自立を支援するという言葉の方がよいのではないかというのが、我々の検討会の構成員の多くの意見だろうと考えられたので、そのようにした。
 ただ、これはそうでなければならないという問題ではない。指摘のような表現にしても、あるいは我々の検討会の原案になっているものにしても、基本的な考え方というのはそんなに違うわけではなくて、一つの表現の問題と言ってもいいことではないかと思う。したがって、今後パブリックコメントなどの過程で、また同じような議論が出て、やはりちょっと違うのではないかというような意見が出れば、その段階でこのところは変えるというか、理念の内容が変わるわけではなくて表現が変わるだけだと思われるので、そのように変えていくことは自分としては何らこだわるところではない。自分自身も全くこだわらずに構成員の意見を聞いたところ、とにかく100人が100人満足のいく表現というのはないので、この程度でいいのではないかというのが大体であり、そう理解いただければと思う。
 ただ、繰り返すが、被害者の尊厳を守る、そのための経済的支援であるという考え方は、我々との間で何ら違うところはないと思っている。

(構成員)考え方の違いがないことについては、そのとおりである。しかし、自立という言葉がぽんと出ると、やはり「ん?」という気にもなるため、いろいろ議論いただいた具体的な支援というのは全く異議ないが、「ん?」という気が少しするため、パブコメの後また検討していただきたいと思う。
 次に、基本的なことで恐縮だが、早期支援団体の早期というのはいつごろまでを考えているのか。事件の後から出てくる人もおり、それはどのようになるのか。途中からPTSDにかかるという一つの例があり、これは早期でなくても救えると思うが。私たちの会員はかなり経ってから入ってくる者もいる。

(構成員)具体的にいつからいつまでというよりも、むしろ被害直後から被害者の支援をするという意味として早期という用語を使っている。いろいろな事例があろうかと思う。例えばPTSDみたいな後で障害が出てくるという場合もあろうかと思う。基本的には被害直後という意味で使っているが、そこはある程度幅のある概念だと理解していただいてよろしいと思う。

(構成員)犯給法に基づく支給額のことについてだが、「自賠責並み」とかあるいは「従来の倍増」という言葉が先ほど来説明の中にあったわけであるが、自賠責並みというのは自賠責同等あるいはそれに極めて近いというような意味合いだと思うのだが、実質においても自賠責並みであるのかどうか。別の角度から質問すると、検討会においては現在犯給法で支給されている年間の総額は幾らかと、それが倍増となった場合は幾らになるのか、その倍増というものと自賠責並みというのは、ほぼ同額であるということを検討されたのかどうか。自分が思うには、恐らく自賠責並みとすると倍増等では済まない金額になるのではないかと考えている。つまり、自賠責並みというのは看板であって、中身も本当にそうであるのかということに対して説明を願いたい。もしそうであるならば、それに伴う予算措置というものの可能性について、どのような検討がなされたのかということについて尋ねたい。

(構成員)本日は数字を持ってきていないので、数字を述べるわけにはいかないが、自賠責並みにするということは、まさに現在の自賠責並みに上限も下限も上げるということにして、大体どのくらいの支給額になるのかという試算は行った上で、そうすべきだという議論をしている。ただ、具体的にこういうケースについては幾らになるのだというような議論を全部詰めたわけではない。そういう問題は我々の提言を受けて、まさに自賠責並みにする、今の額を倍増していくのだという具体的な一つの枠組みの中で犯給法を施行する当局において、具体的な支給基準というものを決めていくべきではないだろうかと考えている。そこまで踏み込んで、例えば、我々が支給のスキームのようなものまで具体的につくって、このとおりにやれというようなことまで提言する必要もないのではないかとしており、この辺はやや行政に任せるところが確かにある。ただ、検討の過程では、大体どのくらいの支給額になるかということは考えた上で議論しており、ただ漠然と自賠責並みといったような検討をしたわけではない。

○一旦、事務局から、国民からの意見募集を行うことについての説明がされ、その後さらに構成員からの発言と対応が続けられた。

(構成員)民間団体への援助に関する検討会の8ページで、「活動の公益性、政治的中立性が求められる」というところの「政治的中立性」であるが、例えば、被害者のための制度改革を求めて運動することについては、それが政治的中立を害することになるのかどうかが非常に気になる。どのような意味で使われているのか。新しい法制度を求めるとか被害対応制度を求めるということの純粋な被害者のための活動は、どんなにロビー活動をやっても政治活動に当たらないと考えてよいのか。

(構成員)一般的には、ある立法を求める、いわゆるアドボカシー活動というものは、いわゆる政治活動にはあたらないのではないかと考えている。ただ、その程度を越えるということになると、個別の検討が必要になると考えている。制度改革を求める活動というのは、程度もあるかと思うが、一般的には支援活動の一環というか、アドボカシーと分類されているものであると思っている。具体的なことは、今後詳細に検討がなされるかと思う。

(構成員) 短期間の間に中間報告を出していただき、心から感謝申し上げる。自分が犯罪被害者遺族になった16年前は、犯罪被害者の権利も何もなかったので、適切な対応を受けることもできなかった。ごく最近までも、犯罪被害者の基本法なんてできるわけがないということを法律家の方からも言われたこともあった。それにもかかわらず、ここまで進むことができたということは、議員の方を初め、省庁の皆さんの努力によるものと思い、本当にありがたく思っている。
 今回中間報告の中では、例えば、犯給法の抜本的な改正等もそうであるが、被害者支援のための充実ということで、多少のものは盛り込まれたものと思い大変期待をしている。ただ、自分は今、民間支援団体に身を置いているので、そこでの財政援助あるいは人材育成のためにどのような援助があって、それができるのかという辺りがまだ不十分なように感じている。被害者支援は何といっても人だと思う。人がいなければ十分な支援活動は行うことができないし、次世代を育てるということもできないので、これからも政治的なリーダーシップとともに、更なる財政の確保ということをお願いしたい。
 それと、被害者にとって一番相談しやすいところは、民間支援センターもそうであるが、自治体において相談ができるということが被害回復のためにも大きな役割があると思うので、民間団体と自治体が協力して、あるいはもう一言言わせてもらうと、国がお金を出すのは難しくても、自治体は割と民間支援センターに何らかの委託費等を出すということも多分可能ではないかと思うので、その辺りもまた内閣府としても是非制度を進めていってもらいたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

○最後に高市特命担当大臣から「3人の座長の先生方、そして、検討会の皆様に心から感謝を申し上げる。大変多くの宿題を政府としていただいたと思っている。特に財源措置、それから、今後法制度を作っていかなければいけない点での御指摘もあった。また、パブリックコメントの後、さまざまなご尽力をいただきますが、しっかりとしたものに仕上げていきたいと思うので、これからも引き続きよろしくお願いしたい。」旨の挨拶があり会議が終了した。


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