日時: | 平成18年12月14日(木)13時01分~15時07分 | |
場所: | 合同庁舎4号館共用第2特別会議室 | |
出席者: | ||
議長 | 山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 |
井上 正仁 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 | |
大久保 恵美子 | (社)被害者支援都民センター理事兼事務局長 | |
岡村 勲 | 全国犯罪被害者の会代表幹事 | |
久保 潔 | 元読売新聞東京本社論説副委員長 | |
小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 | |
瀬川 晃 | 同志社大学法学部教授 | |
中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長 | |
山田 勝利 | 弁護士 | |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 | |
片桐 裕 | 警察庁長官官房総括審議官 | |
三浦 守 | 法務省大臣官房審議官 | |
代理 | 生嶋 文昭 | 総務省自治行政局自治政策課長 |
代理 | 門田 公秀 | 文部科学省大臣官房総務課企画官・副長 |
代理 | 中野 雅之 | 厚生労働省大臣官房政策評価審議官 |
代理 | 依田 晶男 | 国土交通省住宅局住宅政策課長 |
[経済的支援に関する検討会 座長] | ||
國松 孝次 | 財団法人犯罪被害救援基金常務理事 | |
[支援のための連携に関する検討会 座長] | ||
長井 進 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 | |
[民間団体への援助に関する検討会 座長] | ||
冨田 信穂 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
資料3 山田委員資料 [1][PDF形式:327KB] [2][PDF形式:351KB]
(議事内容)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長
ただいまから第2回の犯罪被害者等基本計画推進専門委員等会議を開催させていただきます。
本日、高市早苗犯罪被害者等施策担当大臣が出席し、ごあいさつ申し上げる予定でありましたけれども、国会の審議の関係で、やむなく欠席となっております。
それでは、本日の司会進行を、山上議長にお願い申し上げます。
○山上議長 それでは、司会を努めさせていただきます。
本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お手元の資料の一番上のページでありますけれども、議事次第をごらんいただきたいと存じます。
本日は、犯罪被害者等基本計画に盛り込まれました施策の推進状況、進捗状況につきまして、関係省庁から報告するとともに、3つの検討会の検討状況につきまして、各検討会の座長よりご報告をいただくこととしております。その後、報告につきましてそれぞれ質疑を行っていただきまして、その後、自由討議の時間を設けてございます。
以上でございます。
○山上議長 それでは、これより議事に入ります。
基本計画に盛り込まれた施策の進捗状況について、資料1に基づいて、関係省庁構成員より、順次説明をお願いします。
まず、内閣府よりお願いします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私の方から、まず、基本計画ができて1年近くになるわけでありますけれども、この間、政府のとってまいりました施策の推進状況の概要につきましてご報告をさせていただきまして、その後、各省庁から、詳細についてご報告をいただきたいというふうに考えます。
資料1-1、「犯罪被害者等基本計画」の進捗状況についての扉がついておりますけれども、その次のIページというところに(概要)というのがございますので、それに基づきましてご説明を申し上げます。
まず、大きな1つ目は、犯罪被害者等基本計画に定められました5つの重点課題の進捗状況ということであります。
1つ目の重点課題といたしまして、損害回復・経済的支援等への取組というのがあるわけですけれども、今年4月、警察庁におきまして、犯罪被害給付制度を大きく拡充いたしました。内容といたしましては、重傷病給付につきまして、これまで入院期間2週間以上でないと出なかったのですけれども、これが3日以上の入院でも給付ができるようになりました。それから、重傷病給付金ということで、いわゆる保険診療を受けるわけですけれども、その自己負担分を国で支給するわけですが、その支給対象期間がこれまで3カ月であったものが、1年に延長がなされたところであります。それからもう一つは、後ほどまた詳しく説明があろうかと思いますけれども、これまで親族間犯罪では、原則として犯罪給付金が出なかったわけでありますけれども、これを例えばDV等の場合で裁判所から接近禁止命令等が出ているような一定の場合につきましては、支給ができるような変更がなされております。
それから、2つ目ですけれども、警察庁の方で、特に性犯罪被害者につきまして、緊急避妊の費用でありますとか初診料・診断書料について、新規の予算措置を講じているところであります。
さらに、これはもう昨年中になると思いますけれども、国土交通省の方で、犯罪被害者等の方の公営住宅への優先入居を可能とするガイドラインを策定し、各都道府県等に通知がなされているところであります。
それから、法務省の方で、いわゆるヤミ金の被害者につきまして、被害財産の没収・追徴を可能とし、これにより得られた財産を被害回復給付金ということで被害者に支給する制度が創設されたところであります。
また、日本司法支援センター、通称法テラスが、10月2日から業務開始となりまして、この中には「なくことないよ」という語呂合わせで、被害者専用の相談ダイヤルが設けられているところであります。
それから、5つの重点課題の2つ目の課題であります精神的・身体的被害の回復・防止への取組でありますけれども、まず、被害者と加害者が公判等で待っているときに、加害者と顔を合わせて被害者の方が苦痛をこうむるということがないように、検察庁、それから裁判所において、順次、被害者専用の待合室が整備されつつあるところであります。
それから、今年度の診療報酬の改定におきまして、PTSDの診断のためのCAPSという検査があるようですけれども、その検査につきまして、新たに保険が適用されるようになったということであります。
さらに、総務省の方で、被害者が勝手に自分の住民票を見られて、加害者がまた再犯に及ぶということを防止するために、住民基本台帳法が改正されまして、個人情報保護に留意した制度として再構築されたということでございます。
大きな重点課題の3つ目は、刑事手続への関与拡充への取組であります。別途、法制審議会への諮問等につきましてはまた申し上げますけれども、ついこの間、12月になりまして警察庁の方で、まず被害者の方に配付します「被害者の手引」の内容を、先ほど申し上げました公営住宅への優先入居でありますとか、あるいは法テラスが運用開始になりましたので、これらを盛り込んで内容を充実させたということであります。
それから、こういった手引をきちんと被害者の方に配布を徹底すること、あるいは、被害者の方が捜査の状況を知りたいということで、被害者連絡を実施することになっているわけでありますけれども、この「被害者の手引」の配布を確実にするために規定を改正しますとともに、この被害者連絡につきまして、連絡対象となる罪種を8罪種ほど追加して拡大しております。さらに、これまでは定期的な連絡ということについて規定がなかったんですけれども、これを例えば被害者が死亡したような事件につきましては、2カ月、6カ月、1年、その後も1年に1回は被害者に連絡を行うということを定めた規定をつくったということであります。
それから、重点課題の4点目は、支援等のための体制整備への取組であります。地方公共団体、特に都道府県、政令指定都市の犯罪被害者被害者等施策主管課室長会議というものを開催いたしまして、被害者の方のための総合窓口を設置するように今年3月に要望いたしまして、夏ごろまでには全国の都道府県、政令指定都市に、犯罪被害者等施策の担当窓口は設置となったところであります。
ただし、これはまだ施策の担当だということでありまして、総合的な相談に応じられるような窓口を持っている都道府県は、まだまだ少数であるということであります。
それから、民間の被害者支援団体に対する財政的支援の拡大ということで、警察庁におきまして、民間団体の研修費用を増額しましたり、あるいは活動費の支援、あるいは広報啓発業務の委託ということで、新規の予算措置が今年度予算でなされているところであります。
それから、重点課題の5つ目は、国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組ということでありまして、基本計画が成立したということについて、その紹介するパンフレット等を作成いたしまして、関係者に配布いたしております。
それから、お手元に市販版の白書があると思いますけれども、いわゆる政府が講じた被害者等のための施策についての国会報告ということで、史上初めての1回目の「犯罪被害者白書」を、11月21日に閣議決定し、国会に提出いたしたところであります。
それから、これも初めてになりますけれども、11月25日から12月1日まで、「犯罪被害者週間」ということで、特に中核的な事業といたしまして、東京都で法務大臣等参加のもとで中央大会を開催し、また、秋田、神奈川、大阪におきまして、それぞれ地方イベントを開催いたしたところであります。大阪大会には、高市大臣も出席され、また神奈川県には、平沢副大臣も出席等をいただいているところであります。
以上が、5つの重点課題についてのものすごく主な部分についての進捗の状況でございます。
大きな2つ目といたしまして、今年9月6日、法制審議会への諮問がなされております。詳細につきましては、また後ほど法務省の方からあると思いますけれども、ここにございますように、いわゆる附帯私訴類似の制度ということで、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度、あるいは公判記録の閲覧・謄写を被害者の方ができる場合をもっと拡大できないか。それから、性犯罪者の被害者のような場合に、起訴状の朗読の場合に住所とか名前を読まなくていいように法律でできないかと。あるいは、被害者が刑事裁判に直接関与することのできる制度はどうかと。さらには、民事訴訟において、刑事訴訟では既にビデオリンクやスクリーン、つい立ての設置が認められているわけですけれども、これを損害賠償等の民事訴訟においても、ビデオリンク等の措置の導入をしてはどうかということで法制審議会に諮問がなされまして、鋭意、審議がなされているというところであります。
それから3つ目が、内閣府において開催しております3つの検討会ということで、今年4月に立ち上げをいたしまして、後ほど各座長よりご説明申し上げますけれども、経済支援を手厚くするための制度のあるべき姿、それから2つ目が、どの機関・団体を起点としても、必要な情報提供や支援を途切れることなく受けることができる体制づくり、それから3点目が、民間団体等に対する支援の在り方ということで、鋭意、検討を行っているところであります。いずれの検討会につきましても、できれば来年5月か6月ごろまでには中間報告を取りまとめまして、これをパブリックコメント等に付しまして国民の意見を伺いながら、来年末までには最終提言をまとめられたらというふうに考えております。
私の方からは以上でございます。
○山上議長 次に、警察庁よりお願いします。
○警察庁長官官房総括審議官 では、警察関係の基本計画の進捗状況についてご説明申し上げます。
資料は、1-3という資料でございます。カラー刷りの資料を準備しております。
まず、計画の全体像でございますけれども、警察の施策としては、実質61の施策が盛り込まれておりまして、うち、直ちに取り組むべき施策が47、1年以内に実施すべきものが3、2年以内に実施すべきものが11となっております。この2年以内のものにつきましては、いずれも内閣府で今ご紹介のあった3つの検討会で検討中ということでございます。
したがって、今日は直ちに取り組むべき施策と1年以内に実施すべき施策、これについてご説明を申し上げます。
まず、直ちに取り組むこととされている施策でございますが、右側にございますけれども、基本計画が昨年12月に決定されまして、直ちに基本計画の内容と推進上の留意事項について、各都道府県警察に通達をいたしております。あわせて、毎年度、私どもは被害者対策推進計画というものをつくっておりますけれども、今年度のものを3月28日に策定し、各都道府県警察にこの計画的な推進を図るよう通達しているところでございます。この中に、47施策すべてを盛り込んでいるところでございます。
次に、1枚めくっていただきまして、1年以内に実施することとされている施策、3つでございますけれども、これについてご説明申し上げます。
まず第1は、今もご紹介のあった犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲等の拡大でございまして、これは既に本年4月1日に政令、規則を改正して、施行しているところでございます。内容は、まず重傷病給付金の支給の要件でございますけれども、従来は療養期間1カ月以上であり、かつ、14日以上の入院を要するということになっておりましたけれども、このうちの入院要件を緩和いたしまして、3日以上の入院があれば支給いたしますということにしております。なおかつ、精神疾患を負われた方については、入院されるケースが比較的少ないというお話もございましたので、こういった方々については入院されなくても、3日以上労務に服することができない程度という事情があれば、支給対象とするということにいたしております。
それから、支給対象期間の拡大でございますが、従来は3カ月間分の自己負担分ということになっておりましたけれども、これを1年間分ということに拡大したということでございます。
次に、支給の範囲の問題でございまして、これは規則関係になりますけれども、これも4月1日に既に施行いたしております。不支給事由の範囲でございますけれども、従来、親族間の犯罪においては、左側にありますように、夫婦、直系血族、三親等内の親族、同居の親族、これは原則として不支給となっておりましたが、このうちの三親等内の親族と同居の親族の部分を見直しまして、原則不支給とするのは兄弟姉妹間の犯罪だけということにいたしまして、それ以外は3分の2減額支給対象ということにいたしております。
それから加えて、夫婦の間であっても、下の水色の箱の部分に書いてございますけれども、DV法に基づく保護命令が発出されているなど、犯罪に係る事情を勘案して特に必要と認められる場合であれば、3分の2までは支給するという形にいたしております。
次に、右側でございますが、第2のテーマ、第2の施策でございますけれども、性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費の負担軽減ということでございまして、性犯罪被害に遭った被害者の方に対して、今般、新規に平成18年度予算で措置いたしました。初診料・診断書料、検査費用、緊急避妊費用、人工中絶費用、こういったものを都道府県が負担するということにいたしまして、補助金を交付したということでございます。
次に、3つ目の施策でございますけれども、捜査に関する適切な情報提供ということで、「被害者の手引」、そしてまた被害者連絡制度の改善を行いました。12月7日に既に通達いたしておりますけれども、2枚めくっていただきまして、資料1というのがございます。それが今般の改正の内容でございますが、まず被害者連絡制度につきましては、対象事件を拡大して、そこに記載のあるように、8罪種を今回付加したこと、交通事故につきましても、全治3カ月以上の重傷事故と危険運転致死傷罪に該当する事件につきましては、これを追加したということでございます。
それから、連絡の時期でございますけれども、従来、身体犯についてはおおむね2カ月を経過した時点で行い、以後、状況に応じてとなっておりましたけれども、これを見直しまして、被害者が亡くなったケースにつきましては、届出受理後2カ月のほかに、6カ月、また1年を経過した時点でご連絡をする。また、以後、少なくとも年に1回は連絡するという形にしたところでございます。
交通事故・事件につきましても、そこに書いてございますように、ひき逃げ事件について、従来、2週間を経過した時点で行い、以後、状況に応じてとなっておりましたけれども、死亡ひき逃げ事件については、これを2週間経過後のほかに、2カ月後、6カ月後、1年後、以後、少なくとも1年に一度、またさらにご連絡を申し上げるということにしたところでございます。
それから、重傷事故と危険運転致死傷罪に該当する事件につきましては、おおむね1カ月を経過した時点でご連絡を申し上げ、そしてまた、以後、状況に応じてご連絡するということにしたところでございます。
次に、「被害者の手引」でございますが、資料2、3でございます。
これにつきましては、赤字部分が新たに今回つけ加えた部分でございますけれども、この点につきましては各省庁にご照会しまして、各省庁から「こういうものを盛り込んでほしい」というふうなご要望を受けて、それを今般、盛り込んだというものでございます。赤字の部分が、今般、充実した部分でございます。資料の2が身体犯に係るもので、資料の3が交通事故事件に係るものでございます。後ほどごらんいただければと思います。
戻っていただきまして、説明資料の3ページ目でございますが、これ以外の施策の推進状況について若干ご説明申し上げますと、まず1つ目は、民間被害者支援団体等に対する財政的支援でございまして、そこに記載のとおり、新規の予算措置、また増額措置というものをとってございます。2つ目には、関係機関・団体等との連携ということで、関係機関の案内書、申込書等の常備、提供ということで、国土交通省の犯罪被害者等の公営住宅への入居に関する案内書等、また法務省所管の日本司法支援センター、また最高裁判所所掌の犯罪被害者保護に関するリーフレット、こういったものを各警察本部、警察署において常備し、提供するということにいたしたところでございます。
3つ目には、関係機関・団体による被害者支援策の紹介ということでございますが、これも先ほどご紹介した「被害者の手引」の中に、これを盛り込んだということでございます。
その他、性犯罪被害者以外の身体犯被害者の刑事手続における負担軽減ということで、そこに書いてございますような初診料、診断書料、死体検案書料を各都道府県警察で負担するように、補助金で措置したということでございます。
以上でございます。
○山上議長 どうもありがとうございます。
次に、総務省よりお願いします。
○総務省自治行政局自治政策課長 総務省でございます。お手元にございます総務省の資料1-4をごらんいただきたいと思います。
総務省では、住民基本台帳の閲覧制度等の在り方につきまして、犯罪被害者の保護の観点を含めた見直しを行うということで、具体的には本年3月の通常国会に、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を提出いたしまして、これが6月に可決成立し、11月1日付で既に施行させていただいております。
その内容でございますけれども、改正法の概要というところをごらんいただきたいと思いますが、「何人でも閲覧を請求できる」というものが従前の閲覧制度の建前でございましたが、これを廃止いたしまして、個人情報保護に十分留意した制度として再構築いたしました。具体的には、(1)1にございますように、国・地方公共団体が法令の定める事務の遂行のために閲覧する場合。2としまして、公益性の高い調査、研究、あるいは公共的団体が行います地域住民福祉の向上に寄与する活動で公益性が高いもの、こうした場合に限るということになっております。
また、(2)にありますように、閲覧の手続につきましても整備をいたしまして、目的外利用の禁止、第三者提供の禁止など具体的な整備を行いますとともに、これを違反しました場合の制裁措置の強化というものも行っております。
次のページをごらんいただきたいと思いますが、これに至ります過程では、堀部中央大学教授に座長をお願いした検討会を行いまして、これに基づき改正法の内容につきまして決定してまいったものでございまして、その経緯はそこに記載されているとおりでございます。
総務省からのご説明は以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
次に、法務省よりお願いします。
○法務省大臣官房審議官 法務省の関係は、資料1-5でございます。
その1枚目にございますように、「犯罪被害者等基本計画」におきます法務省の施策は、全体で104項目ございます。その中で、直ちに取り組む施策が80、1年以内に実施又は結論を得る施策が1、それから2年以内に実施又は結論を得る施策が21などとなっているところでございます。
次をめくっていただきまして、まず、直ちに取り組むこととされている施策の状況でございますが、1つは日本司法支援センターによる支援の関係でございます。関連施策は、そこの黄色い枠のところにありますように、民事法律扶助制度の活用、それから犯罪被害者等支援に精通した弁護士の紹介を含む被害者等の援助に関するさまざまな情報の提供等々となっておりますが、先ほどもご紹介がありましたとおり、この司法支援センター、法テラスにつきましては、本年4月10日に設立された上で、10月2日から業務を開始しているところでございまして、その設立の準備段階から、各地方におきまして関係機関との協議を通じて準備活動を行い、さらに今回の業務開始に伴って、具体的なそういった関連の業務を実施しているというところでございます。
それから、次のページに移りまして、さらに直ちに取り組むこととされている施策でございますが、法務省の場合、検察、矯正、保護を中心といたしまして、さまざまな分野あるいは局面で被害者の方々と接する機会が多く、その関連で、直ちに取り組む施策も非常にバラエティーに富むわけでございますが、例えば検察におきましては、制度の適切な運用について、最高検察庁から各地の検察庁あてに、今回の基本計画に盛り込まれたそれぞれの施策について適切な運用を行うように、まず通達を出すことを初めといたしまして、それぞれ情報提供の充実でありますとか待合室の設置を進めるほか、関係部署において、法教育の普及・啓発、あるいは研修の充実などを行っているところでございます。そのほか、矯正施設におきましても、被害者の視点を取り入れた教育の内容の充実、さらには受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用を進めており、また、「子どもの人権110番」の活用・充実といったような施策も、既に着手しているところであります。
次のページに移りまして、1年以内に実施又は結論を出すこととされている施策でございますが、これは刑事裁判で検察官が行う冒頭陳述等の内容を記載した書面の交付につきまして、これまでは被害者等からの希望に応じて、公訴事実の要旨であるとか冒頭陳述の内容を説明するということにとどまっていたわけでありますけれども、本年3月31日から、冒頭陳述の内容を記載した書面の交付ということを実施することといたしまして、これを全国で行っているところでございます。
それから、次のページに移りますが、2年以内に実施又は結論を出すこととされている施策でございますが、これは基本的に立法を伴う事項についての施策でございまして、このうち、左上にありますように、犯罪被害財産、財産犯でありますとか、あるいは出資法の高金利の罪などによりまして被害者が失って犯人たちが取得した収益、犯罪被害財産の没収・追徴を可能といたしまして、それを被害者の方々に被害回復給付金として支給する、そういう仕組みについて法整備が通常国会で成立いたしまして、去る12月1日から施行されているところでございます。
そのほか、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度、それから公判記録の閲覧・謄写の範囲の拡大、犯罪被害者等に関する情報の保護、犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度ということにつきましては、9月6日の法制審議会に法務大臣から諮問いたしまして、現在、部会におきまして、このそれぞれの項目について議論を行っているところでございます。学者、それから実務家のほかに、犯罪被害者の代表の方、あるいは支援の業務に携わっておられる方にも参加いただいて、今、審議をまさに行っているところでございます。
そのほか、民事訴訟におけるビデオリンク等の措置の導入についても、現在、法制審議会に諮問して審議中ということで、できる限り早期に結論を得て、法整備を図っていきたいと考えているところでございます。
それから、最後のページでございますが、これは法律所定の検討時期によるものということで、少年法の関係でございますが、平成12年の少年法改正の施行5年後の見直しに伴いまして、犯罪被害者等の傍聴の可否等も含めまして新たな施策を導入するということについて、現在、検討中ということでございます。
以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
では次に、文部科学省よりお願いします。
○文部科学省大臣官房総務課企画官・副長 文部科学省でございます。
それでは、お手元の資料1-6に従いましてご説明いたしたいと思います。
まず、1枚めくっていただきまして、文部科学省におきましては、基本計画の関連で、直ちに取り組む施策ということで、ここに32項目が記載されているわけでございますが、2枚目、3枚目に基づきまして、その中で主なものを6点ほどご説明させていただきたいと思います。1枚めくっていただければと思います。
まず最初が、児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等ということでございますけれども、これにつきましては各学校、教育委員会などにおける児童虐待防止に向けた取組の充実を図るために、本年9月でございますけれども、学校などにおける児童虐待防止に関する現状と国内・海外の先進的取組の収集・分析を取りまとめた報告書を作成いたしまして、全国の学校に配布したところでございます。
次に、2点目でございますが、犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合における継続的支援の促進ということでございますけれども、これにつきましては、各地域における問題を抱えた児童生徒への支援の充実を図るために、いじめなどの諸課題ごとに、それらの未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組について調査研究を行っておりまして、その成果を踏まえて、来年度から本格的に問題を抱える子ども等の自立支援事業ということを立ち上げるべく、今、予算要求をしているところでございます。
3番目でございますが、重症PTSD症例に関するデータ蓄積及び治療法等の研究ということでございますが、これは競争的資金の一つでございます科学技術振興調整費というものがあるわけでございますけれども、そのプログラムの中の「犯罪・テロ防止に資する先端科学技術」という中で、「犯罪、行動異常、犯罪被害者の現象、原因と治療、予防の研究」というものを、実は17年度から開始しているものでございますけれども、引き続き継続して研究を進めまして、多くの症例を蓄積しながら、治療法の有効性を明らかにしていくための研究を継続しているところでございます。
もう1枚めくっていただきまして、最後のページでございますが、次に4番目の学校や家庭において子どもたちに生命のかけがえのなさ等に関する教育を推進するということでございますけれども、これも実践研究を行うための「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」というものを平成14年度から実施しているところでございますけれども、引き続き、その充実を図っていくということとしております。それから、これについてはもう一つございまして、一人一人の親御さんたちが家庭を見つめ直し、それぞれ自信を子育てに取り組んでいく契機としていただくために、「家庭教育手帳」というものを作成して、お子さんをお持ちの全国の親御さんに配布しているというようなことをやっております。
5点目でございますが、体験活動を通じた命の大切さの学習の実施ということでございますけれども、これにつきましても「豊かな体験活動推進事業」というものをやっているところでございますけれども、そこにおいて命の大切さを学ばせることに有効な体験活動について調査研究を進めておりまして、いろいろな事例集を作成して、教育委員会とか学校に配布しているというようなことを行ってございます。
それで、最後の6点目、学校における犯罪抑止教育の充実ということでございますけれども、これにつきましてもここに書いてありますような「非行防止教室等プログラム事例集」でありますとか、あるいは「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料」というものを作成して、各教育委員会、学校に配布して、犯罪防止教育の充実を図っているところでございます。
以上でございます。
○山上議長 どうもありがとうございました。
次に、厚生労働省よりお願いいたします。
○厚生労働省大臣官房政策評価審議官 厚生労働省でございます。
資料は、1-7でございます。
お開きいただきまして1ページ目、厚生労働省の施策は60項目ございますが、2年以内に実施又は結論を得る施策は、3検討会で検討がなされている項目でございますので、それ以外のところの主な状況につきましてご説明申し上げたいと思います。
次のページをお開きいただきまして、2ページでございます。
直ちに取り組むこととされている施策等の進捗状況のうち、まず少年被害・児童虐待関係の主な対応施策でございますが、児童虐待に対する夜間・休日における連絡や相談等、対応の充実ということで、児童相談所におきまして、24時間・365日体制強化事業というものを進めておりまして、平成17年度は43の道府県・指定都市で実施してございます。またこれは今後、拡大していきたいと考えております。
それから、その下でございますが、児童相談所は都道府県、政令市に設置が義務づけられておるわけでございますが、それ以外の中核市においても、義務づけはされておりませんが、設置したいというところは、本年度から指定して設置ができるような制度がスタートしたわけでございますが、そのトップバッターとして、横須賀市と金沢市に児童相談所が設置されているということでございます。
それから、右側の医療的機能強化事業でございます。下に※印をつけておりますが、これは児童相談所に常勤の医師が配置されている自治体は23自治体ございますが、配置されていないところでは、地域の医療機関と協力、連絡体制をとって当たっていただきたいということで、その強化事業を平成16年度からスタートしております。平成17年度は6道県でございますが、これも今年度以降、拡大していきたいというふうに考えているところでございます。
それから、下の2、少年被害者の保護に関して、児童相談所と学校、あるいは警察や市町村、医療機関等の連携を図るために、要保護児童対策地域協議会、あるいは児童虐待防止市町村ネットワーク、この設置の拡大に努めているところでございますが、その設置状況は、下にございますように、平成18年4月1日現在で、全国の市町村のうち69%という状況になっているということでございます。
次の3ページでございますが、少年被害者のための治療、相談等の専門家の養成、あるいは適正配置の推進ということでございますが、まず子どもの心の診療医の養成に関する検討会ということで、これは平成17年度からスタートしておりますが、そこにおきまして小児科や、あるいは精神科の先生方に、子どもの心身の健康に関する基本的な知識や技能を習得していただくための方策について、検討をそこで進めておるということでございます。
それから、児童相談所におきまして、児童福祉司や児童心理司、児童精神科医等、専門家の適正な配置に努めているところでございます。
それから、次の4ページをお開きいただきまして、DV関係でございますが、被害直後等の居住場所につきましては、婦人相談所における一時保護に加えまして、一定の基準を満たします婦人保護施設や民間シェルター、ここに委託する一時保護委託、これも実施しておりまして、被害者の方の個々の状況に応じまして、保護期間等を柔軟に延長するなどの対応に努めているところでございます。相談件数、委託契約施設、一時保護件数の状況は、ここにあるとおりでございます。
次に、5ページをお開きいただきまして、その後の中期的な居住場所の確保、それから自立等へ向けての機能強化ということで、婦人保護施設や母子生活支援施設におきまして生活支援、心理的ケア、自立支援、子育て支援を実施しているところでございます。
それから、3でございますが、再被害防止に向けての関係機関との連携ということで、婦人相談所と警察、児童相談所と連携を充実させているところでございます。
次に、6ページ目でございます。PTSDの診断治療に関しまして、先ほどもお話が冒頭ございましたが、18年度の診療報酬改定におきまして、PTSDの診断のための検査について、国際的にも定評があり、広く用いられておりますCAPSを新たに保険適用したわけでございます。また、あわせまして、20歳未満の者に対しまして、心身医学療法を行った場合の評価を引き上げたところでございます。
次に、7ページでございます。1年以内に実施又は結論を出すこととする施策の進捗状況でございますが、まず医療保険利用の利便性確保ということで、犯罪被害者の方が医療機関の窓口におきまして保険診療を拒まれる事例、こういう事例があった場合には、7月に開催されました会議におきまして、社会保険事務局長に対しまして、本省への報告を行うとともに、当該医療機関に対しまして適切な指導をするよう指示したところでございます。
それから、その下でございますが、一時保護の現状等については、児童相談所の一時保護所、また婦人相談所における一時保護の現状について、それぞれ調査を行いまして、いろいろ問題点、あるいは対応を充実する必要があるものについては、適宜、予算要求を行っている、こういう状況でございます。
それから、次の8ページでございます。被害回復のための休暇制度についてでありますが、これは調査を実施いたしましたところ、こういう犯罪被害者のための休暇制度を導入している、あるいは導入予定というのはほとんどございませんでした。そういう結果が出ましたので、この調査結果を踏まえまして、犯罪被害者のための休暇制度を導入すべく、事業主の方に周知啓発する、呼びかけるための費用を、現在、予算要求しているという状況でございます。
それから、次の救急医療に連動した精神的ケアのための体制整備でございますが、救命救急センターにおいて、精神科の医師が必要に応じて対応ができるよう規定を整備いたしまして、各都道府県に周知したところでございます。
それから、次の性暴力被害者のための医療体制の整備に関してでございますが、これは性暴力被害者を含めまして、患者の方々等が医療に関する情報が十分に得られるような医療体制の整備を図ることを内容とします医療提供体制改革案が、さきの通常国会で成立いたしまして、この法律に基づきまして、医療機関の管理者は、都道府県に医療に関する一定の情報を報告することが義務づけられました。都道府県はそれを受けて、その情報を集約いたしまして、インターネット等でわかりやすく情報を住民の方に提供し、あわせて住民の方々からの相談に助言ができるような仕組みが制度化されたわけでございます。これは、平成19年4月施行でございまして、それに向けて、現在、準備を進めているという状況でございます。
次に、最後の9ページでございます。3年以内に実施又は結論を出すとされている事項でございますが、項目は、重度のPTSD等の治療のための専門家の養成、体制整備、それから犯罪被害者に係る司法関連の医学的知識と技術について精通した医療関係者の在り方、その養成、それから犯罪被害者の方の治療、保護等を行う施設の職員等に対する研修の充実でございますが、これらにつきましては、厚生労働科学研究におきまして、犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究ということでお願いしておりまして、犯罪被害者の精神状態についての実態とニーズ調査、あるいは医療場面における犯罪被害者の実態とニーズの調査等を行っていただいているところでございます。この研究成果を踏まえまして、犯罪被害者に対応可能な専門家の養成に資するカリキュラムの内容でありますとか、あるいはPTSD対策専門研修会のカリキュラムの見直しでありますとか、そういうような必要な対応を検討するということにしておるところでございます。
以上でございます。
○山上議長 どうもありがとうございました。
それでは最後に、国土交通省よりお願いします。
○国土交通省住宅局住宅政策課長 それでは、国土交通省における犯罪被害者等基本計画の進捗状況について、資料1-8に基づいてご説明いたします。
1枚おめくりいただきたいと思います。
国土交通省関係で計画に盛り込まれた項目は、全部で6項目ございまして、いずれも直ちに取り組む施策という位置づけになっております。内容としましては、損害賠償の請求についての援助等と、それから居住の安定に関するものということになってございます。
1枚資料をおめくりいただきたいと思います。
具体的な内容につきまして、まず最初に保険金支払いの適正化等に関することについてご説明いたします。
自賠責保険の支払いにつきまして、いろいろと紛争が生じた場合について、この紛争に関する調停を実施していくということで、財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構によって、こうした調停に関する業務を行っていけるように補助をしているものでございます。この紛争の調停件数については年々上昇しておりまして、平成17年度では465件になっているところでございます。
それから、財団法人日弁連交通事故相談センターにおきまして、法律相談や示談斡旋などもやっていただいております。これに対する補助も、国から行っているところでございまして、法律相談、それから示談、示談の場合には、当事者両方からの申し立てに基づいて行うものでございますけれども、そうしたものについて、そこに掲げてあるような相談実績、あるいは示談斡旋実績となっているところでございます。
3番目に、自賠責等で、ひき逃げ等で原因者が特定できないような場合ですとか、そうした場合について、政府が本来の加害者にかわって直接損害のてん補を行うために、政府保障事業というものを実施しております。これにつきましては、平成17年度で3,154件の実績が行われているということでございます。
1枚おめくりいただきまして、居住の安定に関することについてでございます。この居住の安定に関するものにつきましては、公営住宅への優先入居等についての取組を掲げているところでございます。
まず最初に、公営住宅の同居親族要件の緩和等でございますけれども、公営住宅は、一般的には親族がおられることが前提で、単身で入るというのは例外的なものに限られるわけでございますけれども、その例外対象の中に、DV被害者については単身でも入居できるというような形での政令改正を行いまして、今年2月から施行いたしております。DV被害者以外の他の犯罪被害者につきましても、状況に応じて単身入居ができるように、目的外使用という仕組みを通じまして弾力的な対応ができるように、公営住宅のガイドラインを昨年12月に策定いたしたところでございます。
また、公営住宅の優先入居につきましては、入居者の選考に当たりまして、管理主体の判断により優先的に取り扱うことができるよう、これも昨年のガイドラインの中でもってその旨を明記させていただき、自治体等にお示ししているということでございます。
独立行政法人都市再生機構における機構住宅、公団住宅でございますけれども、そこでも入居優遇措置を検討することになっております。この点につきましては、現行の単身入居、あるいは先着順入居といったような形で、かなり弾力的に入居できる機会があるわけでございますけれども、さらに措置が必要かどうか、これは公営住宅における被害者等の受け入れ状況等を注視した上で検討していくということにいたしております。その意味でも、公営住宅における実施状況といったところを、現在、照会しているといったところでございます。
それから、3点目でございますけれども、公営住宅への入居に関する犯罪被害者等への情報提供ということでございまして、これはガイドラインの中でも、管理主体に対して募集パンフレットやホームページで犯罪被害者に係るいろいろな措置があることを周知するということを伝えておりますけれども、あわせて、警察庁から先ほどご紹介がありましたけれども、「被害者の手引」の中でも、そうした公営住宅に関する優先入居等の措置についてのご紹介をしていただいている、そういう状況でございます。
以上でございます。
○山上議長 それぞれ関係省庁構成員の皆様、説明をありがとうございました。
ただいま説明のありました基本計画に盛り込まれた施策の進捗状況につきまして、構成員各位よりご質問などございましたらお願いいたします。ございませんでしょうか。
どうぞ。
○大久保構成員 質問をお願いいたします。警察庁に対してですけれども、例えば性犯罪被害者等に新たな施策を予算措置してくださいまして、それは補助金としてという話でしたが、全都道府県の警察で、それがきちんと予算化されているのでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 お答えいたします。
結論から申し上げて、これは補助金でございまして、なおかつ、ひもつきの補助金ではございませんので、全県ではございませんが、例えば初診料で申し上げますと、44都道府県でございます。ただ、残った県も、来年度予算で要求すると聞いております。それから、診断書料は、全都道府県で措置済みということでございます。
また、検査費用でございますが、32の都道府県で措置済みで、残った県もほとんどが、来年度予算では要求すると聞いております。
緊急避妊の関係では、30都道府県で措置済み、残りが17でございますけれども、これも来年度予算では要求すると聞いております。
次に、人工妊娠中絶でございますが、こちらはちょっと実績が悪いんですけれども、措置済みなのは14都府県です。残りが33ございますけれども、これについては、来年度予算で要求するという県は必ずしも多くはございませんが、一部の県は要求するというふうに聞いております。
○大久保構成員 ありがとうございます。
○山上議長 そのほかに、どなたかご質問がありましたら。
○大久保構成員 では、もう一つ、国土交通省にお尋ねしたいんですけれども、居住の安定ということで、犯罪被害者の入居は優先的になされるという施策についてですけれども、国としてこのような施策をつくっていただきまして大変ありがたいと思いますが、実際に犯罪被害者の方で公営住宅に入りたいという方がいらっしゃいまして、そこの自治体に問い合わせしましたら、国はそういう制度をつくったけれども、まだこちらの自治体の方ではそういう条例改正等が行われていないので、それを使うことはできないということを言われてしまいました。「では、早くその制度を使ってもらえるようにするには、国土交通省さんから言ってもらえばいいんでしょうか」と、そこまでお尋ねしましたら、そのとき自治体の方が答えまで教えてくださいまして、「いや、そうはいっても国土交通省さんは、もうボールを投げたと。そのボールをどうするかは自治体に任せてあるのでという答えが返るでしょう」と言われてしまいましたけれども、そのあたりで、まだ施策ができ上がっていない都道府県がどれぐらいあるのかということと、そういうところに対しましてどのような指導を考えていてくださっているのかということを教えてください。
○国土交通省住宅局住宅政策課長 お答えいたします。
公営住宅の優先入居につきましては、これは犯罪被害者の方々に限らずに、優先入居の対象として、我々もガイドライン等でもって、こういう方々がおられるのではないかとお示ししているんですけれども、そういったものについて、どういう方々を実際に、どういうような優先の仕組みを講じるかといったようなことについては、これはここに書いてございますように、管理主体のまさに判断によって行われているというようなところがございまして、国がこういう人を必ず優先入居しろというのは、また公営住宅のあき状況とか、余裕があるかないかとか、いろいろな問題もありますので、これは基本的には管理主体にご判断いただかなくてはというように私も考えております。ただ、こういった方々に対しては、こういう要請から優先入居の取り扱いができるんだということをお示ししているというところで、今、我々としてはそういったメッセージを送らせていただいているところです。
それから、どういうところでそういった受け入れがどの程度できているかということについては、これは我々も優先入居の状況ですとか、そういうものについては実態を調べていきたいというように思っています。
○山上議長 では、施策の進捗状況について、そのほかにございませんか。
岡村先生、ございませんか。
○岡村構成員 特にございません。
○山上議長 では、次に3つの検討会の検討状況につきまして、各検討会の座長より、順次ご報告いただきたいと思います。
まず、経済的支援に関する検討会の國松座長より、ご報告をお願いいたします。
○國松座長 それでは、経済的支援に関する検討会の検討状況等につきまして、お手元の資料2-1に従いましてご報告いたします。
経済的支援に関する検討会は、これまで9回開催いたしました。そのうち、第2回、第3回、第5回と3回にわたりまして、犯罪被害者の支援に関する制度及びその周辺にあります社会保障・福祉制度等につきまして、それぞれご担当の省庁の方々からブリーフィングをいただきました。第2回におきましては、犯罪被害給付制度、自動車損害賠償保障制度、労働者災害補償保険制度、この3つについてのお話を承りました。また、第3回は、医療保険制度全般にわたり、あるいは公的年金制度、介護・障害者福祉制度につきましての説明を聞いたところであります。第5回におきましては、全般的な社会保障・福祉の状況につきまして、東京大学の岩村先生のお話を承った後、公害健康被害の補償、あるいは原子爆弾被爆者に対する援護、医療品副作用の被害者についての救済制度、それから警察官の職務に協力援助した者の災害給付の制度がございます。それにつきましても、ご説明を承ったところであります。
なお、その間、第4回の会議におきましては、これはほかの検討会との合同会議であったわけでありますが、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにおける被害者補償制度につきまして、それぞれのここに記載してありますような諸先生方からお話を承りました。
なお、今年の夏におきまして、当検討会からも調査員を、このイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにそれぞれ派遣いたしまして調査をお願いいたしまして、9月に行いました第7回の検討会の席上で、その報告を承ったところであります。
そうした我が国における制度の状況、あるいは海外主要国における制度の状況等のご報告をいただいたことを踏まえまして、検討会の構成員から、今後、私どものこの検討会においてどのような項目について検討していくかということについて、その項目を提出いただきました。そのご提出いただいたものを取りまとめたものが、お手元に配付した4枚の資料にあります経済的支援に関する検討会における検討事項ということでございまして、9月の第6回の会議から現在まで4回にわたりまして、この検討項目につきまして、一わたりのご議論をいただいたところであります。
内容につきましては、ここに書いてあるとおりということでご理解いただきたいのでありますが、6項目に整理いたしておりまして、1つ目が経済的支援の理念・目的、それから財源などに関するものでございます。ここで「併行審議」として書いてございますのは、この理念・目的、財源というのは大変大きな検討項目であります。これだけを独立していつまでも議論いたしましても、なかなかはかどらない問題でありますので、経済的支援の内容等に関するものの具体的な議論に入ってまいりまして、その過程でまたその項目の検討の都度立ち返りまして、理念とか目的とか財源などについてのご議論が出るのであれば、そこで構成員からご意見を承る、そういうことで並行的に審議していったということでございます。
以下、経済的支援の内容につきましては、医療費の無料化ということをご発言なさる構成員もおりましたので、そういったようなこと。あるいは、特にカウンセリングにつきまして、保険外診療につきましての支援の在り方等についても議論いたしました。その他、若干細々とした話になるわけでございますが、いろいろな補装具費といったもの、それから環境整備、その他、逸失利益であるとか休業補償であるとか、葬儀費であるとか慰謝料、そういったようなものについての在り方等について議論したところであります。
その他、2枚目に行きまして、経済的支援の手続、給付方法、管理・運営、それから法形式に関するものにつきましても議論いたしました。
その次、3枚目に参りまして、経済的支援の対象に関するものといたしまして、海外で身体的被害を受けた日本国籍を有する被害者に対して、それを新たな支援の対象にすべきかどうかということ。逆に、日本に居住を有する外国人以外の外国人、これは要するに渡航者、一時的な来日外国人のことであります。そういうものも支援すべきであるかとか、あるいは過失犯、財産犯の問題につきましても議論したところでございます。
5番目といたしまして、テロ事件の被害者等に対しましては、これはもちろん犯罪の被害者でありますので、その支援というのは当然あるわけでありますが、特例的に何か措置すべきものがあるのではないかということにつきましても、議論をいたしたところでございます。
6の併せて検討することとされているものというのは、実はこれはまだ議論いたしておりませんで、とりあえずこの5つの問題につきまして、もう一度討論いたしまして、それが終わった後、この6の事項については議論を進めるという順序でやっていこうと思うわけであります。
これまでのところ、今申しましたような5つの項目につきましては、一わたりの構成員のご意見を承り、討議したところでございます。したがいまして、今後はこれを受けまして議論を進め、今後、私どもの検討会の答申といいますか提言と申しますか、そういうものの内容として盛り込むべきこと、あるいは盛り込むといたしまして、どういう形で盛り込むのかということにつきまして、もう少し詰めた議論をしていきたいと思っております。そのために、これまでのご議論を踏まえまして、座長といたしましての取りまとめをしたたたき台を作成いたしました。現在、当検討会の構成員に配付しつつあるところでございます。これを踏まえまして、今月22日に会議がございますので、それから何回かかりますか、ちょっとわかりませんけれども、来年春までには、私どもの検討会の答申として盛り込むべき事項につきましての何らかの中間的な報告、そういうものにまとめるべく、これから努力してまいりたいと考えているところでございます。
簡単でございますが、私どもの検討会の進捗状況は以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
続きまして、支援のための連携に関する検討会の長井座長より、ご報告をお願いします。
○長井座長 それでは、支援のための連携に関する検討会についてご報告申し上げます。
本検討会におきましては、一部、他の検討会と合同の会議を行い、また関連する議題につきましては、第3の検討会と一部合同会議を開きました。
開催状況につきましては、お手元の資料の1、2ページにお示ししたとおりでございます。基本計画にのっとり、まずは第2回目で論点整理を行い、今後のスケジュール案が事務局から提案され、了承されました。基本計画の検討の過程で、犯罪被害者等の方から寄せられたいろいろなご意見、ご要望をふさわしい形で実現すべく、検討される必要があると同時に、時間的な制約もあり、効率よく議論を進める必要がございました。大きな作業の1つとしましては、国内の実態調査として、ヒアリング及び調査票の取りまとめを行いました。また、もう1点といたしましては、識者の方々に国外の実態調査をしていただきました。
まず、論点整理及びスケジュールに基づき、第3回では海外の実情について有識者からのヒアリング等を行いました。7月24日の第4回では、行政からのヒアリングということで、お手元の配付資料1の団体、機関の方々等にご説明いただきました。また、先進的な取組をしていらっしゃる団体等の方々に、8月7日の第5回の検討会で、有識者からのヒアリングという形で、連携を強化する仕組みについて、いろいろな先進的な取組の内容を具体的にご説明いただきました。また、国内における連携の実態を調べるためのいわゆる連携調査の実施、および今後の検討の進め方等についても討議が行われました。それまでが、8月あたりまでに行われた内容でございます。
9月、10月にかけて、国外の調査及び国内における連携調査の実施等が行われました。11月2日の第6回会議は、民間団体への援助に関する検討会と合同会議の形で開催されました。調査の結果、民間団体の現状と問題点、連携の現状と問題点等が討議されました。
この6回につきまして少し詳しくご説明申し上げます。
国内における現状といたしましては、定例会議を開催し手引書、事例集を作成するなどして、構成機関・団体相互の連携の強化に努めているネットワークでは、相互の有機的な連携に基づく支援、いわゆる橋渡しがなされていました。また、構成機関・団体の間で意識や取組に差がある、構成機関・団体相互の役割や所掌について共通認識が図られていない、連携調整を担う人材の確保が困難であるなどの問題が指摘されました。また、被害者の情報が共有されていないため、縦割りの情報網によって被害者がたらい回しになるというような指摘もございました。
一方、海外調査の結果は各国各様で、まずアメリカにおきましては全米規模のシンポジウムの開催によって、情報交換やネットワーキングする機会を設けているという実態もございますし、支援プログラム単位でのガイドラインの設定、補助金の交付等で、相互の連携が促されているという実態が明らかになりました。また、被害者に関する情報につきましては、警察と州の犯罪被害者委員会で情報交換ができるシステムが存在しているということがわかりました。
英国におきましては、警察とヴィクティム・サポートが緊密に連携している実態が報告されました。ただし、ヴィクティム・サポートと地方行政サービス、具体的には住宅の問題等を含みます行政サービスとの連携は、組織化されていませんでした。また、被害者の同意に基づいて、ヴィクティム・サポートから関連機関・団体への必要な情報提供を行っているということが報告されました。英国におきましても、継ぎ目のない支援が実態としては存在せず、むしろ到達すべき課題となっているということが報告されました。
フランスにおきましては、INAVEMが中心となっております。日本司法支援センターに似たイメージを抱きましたが、全国各地からの電話を集中的に受け付けて、身近な加盟機関、加盟機関以外の関係機関を紹介しているという実態が報告されました。警察とINAVEMの間に情報提供のシステムは存在しないということでした。
ドイツにおきましては、「白い輪」が中心になって、いろいろ連絡をとっておりますが、警察と「白い輪」の間に情報交換がなされる仕組みは制度化されていないということが報告されました。
そのような海外の実態が報告されました。
国内における連携調査の結果ですが、連携調査には情報管理、他機関・団体から被害者等の紹介、提供される情報、今後提供を望む情報、他機関・団体への犯罪被害者等の紹介等々、いろいろな調査項目が含まれました。基本的には連携といいましても非常に緩やかな連携で、さらなる連携が必要であるという実態がわかりました。
そのような第6回の会合の討議に基づきまして、連携の現状、問題点について、さらなるネットワークの構築のためには、支援を行う際の留意点、関係機関・団体の役割、支援内容、連携先等の関係機関・団体への周知や、関係機関・団体へ伝達すべき情報に関する指針の提示といった実務者レベルでの連携を促すための方策を検討する必要があるとの合意を得ました。そのことを踏まえまして、第7回で提言案が事務局から提示されました。
お手元にございますように、提言の骨子といたしましては、1つは「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成、これは基礎的自治体レベルにおけるもの、また都道府県レベルにおけるもの等に分かれております。2つ目に、3ページにございますように、関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報のガイドラインの作成。3つ目ですが、4ページに行きまして、いわゆる犯罪被害者カードの作成。4つ目に、支援に携わる者の倫理綱領の作成等が提示されました。3日前に行われました第7回の検討会では、いろいろな議論が出ました。検討会では、事務局案に基づき、具体的で実現可能な方策を議論するということで自由討議が行われました。
いろいろ議論がございました。提言案の前文の部分についてのコメント、また犯罪被害者支援ハンドブックの作成の重要性、国が詳細なモデル案を示すべきこと等、いろいろな意見が出されました。また、検討事項の一つとして、被害者カードが含まれていましたが、これにつきましては積極論、慎重論が提示されまして、統一見解には至っておりません。また、次回の検討会におきまして、改訂された事務局案を再度ご提示し、構成員に自由討議をしていただきたいと考えております。
今後の予定ですが、そのこと等を含めまして、来年1月の第8回では支援者・コーディネーターの育成方策、また来年3月の第9回では、相談の一元的な受付・対応場所に関するいわゆるワンストップサービス化等が中心の議題になる予定でございます。また5月開催予定の第10回では、中間報告案をお示しするという予定になっております。
以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。
最後に、民間団体の援助に関する検討会の冨田座長より、ご報告をお願いします。
○冨田座長 それでは、お手元の資料2-3に基づきまして、民間団体への援助に関する検討会の検討状況につきましてご報告いたします。
まず、民間団体への援助に関する検討会の検討状況と今後の予定についてというタイトルがついた資料をごらんいただきたいと思います。
当検討会では、他の検討会との合同会議を含めまして、これまで7回にわたり会合を開催してまいりました。初回の会合では、顔合わせを行いました。第2回から第5回にかけましては、そこに示されているとおりでございますけれども、民間団体の活動、財政運営状況や、民間団体への援助の実態、海外の実情を把握するため、検討会構成員からの発表とともに、実際に支援活動に携わっている方や有識者、関係省庁の職員の方々へのヒアリングでありますとか、各種調査を行ってまいりました。
先月2日の第6回会合におきましては、このようなヒアリングや調査の結果をもとにいたしまして、民間団体の現状と問題点につきまして論点整理を行いました。さらに、先週の第7回会合におきましては、この論点整理に沿いまして、民間団体への支援の在り方、国による民間団体への援助の在り方について議論いたしました。今後は、そこにも示されていますように、論点を一通り検討した後、来年夏ごろの中間報告取りまとめに向けまして、さらに議論を深めていく予定でございます。
それでは、横書きの民間団体の現状と問題点等についてという資料をごらんいただきたいと思います。これは、先ほどご説明いたしましたように、第5回会合までのヒアリングでありますとか調査結果をもとにいたしまして、論点ごとに関連する現行制度や民間団体の現状、問題点、ヒアリング等の過程で出てまいりました各論点に対する意見等を整理したものでございます。これは、第6回会合におきまして配付されております。
主なものだけご説明いたしますけれども、まず冒頭の民間団体による犯罪被害者等支援の在り方というところでございますけれども、ここでは国や地方公共団体と民間団体との役割分担でありますとか、民間団体が行った方が効果的と考えられる活動などにつきまして、被害者支援全体の中において、民間団体の役割でありますとか位置づけについて検討しているところであります。基本的には、民間団体の援助活動につきまして、有効性については積極的な意見が中心でございます。
次に参りまして、1ページの下でございますけれども、国による民間団体への援助の在り方というところをごらんいただきたいと思いますが、ここでは被援助団体の範囲でありますとか、対象となる事務の範囲、それから財政的援助に代替し得る人的・物的援助策の内容でありますとか、援助の経路、それから財源の5つが主な論点になっております。ごく簡単にご紹介いたしますと、被援助団体の範囲につきましては、民間団体と申しましても、犯罪被害者等早期援助団体もございますし、早期援助団体以外の被害者支援団体もございます。それから、自助グループと呼ばれているものもございますので、その3つに分けて議論を進めているところでございます。
それから、次のページでございますが、対象となる事務の範囲です。これにつきましては、地方公共団体が財政的援助を行っている事業は、相談でありますとか面接、それから広報啓発、人材育成が中心となっていますが、一部の地方公共団体では、付き添いでありますとか情報提供、自助グループ支援、管理運営一般も支援の対象にしております。本検討会では、民間団体の現状を踏まえまして、今後、具体的にどの活動から重点的に援助すべきであるのかということを、財源との関係も考えながら、議論を進めているところでございます。
それから、財政的支援に代替し得る人的・物的援助策でございますけれども、これはヒアリングの結果などを踏まえまして、事務所等の提供、人材育成への協力、広報啓発への協力等に分けて議論を行う予定でございます。
4番目でございますが、4ページの下の方に書いてございます援助の経路でございます。現在、地方公共団体が民間団体に対して直接的に財政的な援助を行いまして、国が援助に要した費用の一部を補助金や交付税措置として負担する方式になっていますけれども、ヒアリングや昨年の基本計画検討会の場では、国も直接財政的援助を行うことがあり得るということを想定しまして、財政的援助を行うに当たって受け皿となる組織が必要なのではないかという議論などが出ております。こうした議論を踏まえて、これからも援助の経路について考えてまいりたいと思っています。
あわせて、民間団体の活動をどう評価するのか、あるいはその活動をチェックするにはどのような仕組み等をつくったらよいのかということも、あわせて検討する予定でございます。
財源につきましては、現在、民間団体への援助につきましては一般財源となっておりますが、これは他の検討会等でも出ておりますように、犯罪被害者等基金を設けて、そこからの民間団体への援助も考えていくことも必要なのではないかと、このような議論が出ております。
以上、甚だ簡単でございますが、民間団体への援助に関する検討会の状況についてご報告いたしました。
○山上議長 國松座長、長井座長、冨田座長、ご報告ありがとうございました。
ただいまご報告のありました3つの検討会の検討状況につきまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。
どうぞ、山田構成員。
○山田構成員 経済的支援に関する検討会につきましてお尋ねいたしますが、資料2-1の検討事項と記載された2ページの3.(2)です。丸が3つありますが、真ん中の丸で「仮給付」というふうなことがございます。これは、私どもとしても非常に重要ではないかなと思っているんですが、この検討状況はどのようなものであるのか、もうちょっと詳しくご説明いただけたらなと思います。
それから、同じページの下の方に、犯給法の改正で行うのか、新規立法で行うのかというふうなことがございまして、これも議論していただいたようでございますが、私どもとしましては、被害者の権利というものに立脚した、そこを見据えた補償法というものを立法すべきではないかということを主張してきたわけですけれども、これが今どうなっておりますでしょうか。まず、その点についてご質問いたします。
○山上議長 國松座長、お願いします。
○國松座長 まず、仮給付に関する討議状況でございますが、これは確かに現在の本給付といいますか、給付が行われるまでにかなり時間がかかりますので、その間を繕うために、仮の給付を行うようにしてはどうかという意見が構成員から出たわけでございます。
ただ、これにつきましては、仮の給付をした場合に、本給付との関係をどうするのかということについてのいろいろな議論もございますので、このことにつきましての当検討会としての結論はまだ出ておりませんし、方向というのもまだはっきりわかりません。少なくとも、本給付を早くするという解決策というのも1つはあるわけでありまして、それがどの程度できるのかという議論とも絡んでまいります。それから、仮給付というのはなかなか難しいのであれば、貸し付けという制度を設けてはいかがかという議論も出ております。
ただ、貸し付けというものを公的な機関が行うということになりますと、これはまたいろいろな面で問題も出てまいりますので、それとの関係で、先ほど冨田座長の検討会の方からちょっと出ましたけれども、被害者基金というようなものができれば、そういうところから貸し付けというようなことも可能になるのではないかというような議論も出ておるところでございますが、まだちょっとどういう方向で議論が煮詰まっていくのかということにつきましては、今の段階で申し上げる状況にはございません。
それから、犯給法の改正でいくのか、新規立法でいくのかということにつきましては、実はこれはまだほとんど議論いたしておりません。どういうことになるのか、犯給法の改正でいくのか、別の新規立法でいくのかということにつきましては、当検討会の討議の結果、どういう経済的支援の内容になっていくのかということについて、その内容がある程度固まりませんと、ちょっと出る結論ではないと。現在の犯給の延長で何とかおさまるという形に、その給付内容が検討会の結果として出てくるのであれば、それでよろしいでしょうし、しかし、その検討の結果がとても犯給法の範囲内に納まるものではないということになれば、それは新規立法にしなければならないだろうということでございまして、このことは、とにかくどっちにするかはともかくとして、給付の内容を詰めようではないかと。とにかく、我々の検討会に与えられました命題というものは、現状の経済的支援を一段と充実するということであります。そういうことで検討いたしておりますので、その結果がどうなるかによって、法形式はおのずと決まってくるのではないかということでございます。今のところ、これにつきましても確たる討論の結果といいますか、方向性もきちっと出ているわけではございません。
○山田構成員 関連して、よろしゅうございますか。
○山上議長 はい。もう一つ、関連でいただきたいと思います。
○山田構成員 ただいまの資料2-1の3ページでございますけれども、4.経済的支援の対象に関するものの(1)の黒ポツでございますが、3つ目に、過失犯の犯罪被害者等を対象に加えるべきかということとか、4つ目の財産犯の犯罪被害者等を新たに対象に加えるべきかという点がございますが、その過失犯におきましてもいろいろありますけれども、昨今報道されておりますような、交通事故等による大変大きな被害というのもございますし、財産犯につきましても、これをどこまで広げるかは問題ですが、少なくとも高齢の方が大きな財産を、振り込め詐欺等によって奪い取られるというようなこともございますが、そこら辺についての議論はどのようになされておりますでしょうか。お尋ねいたします。
○山上議長 お願いいたします。國松座長。
○國松座長 ただいまのご発言と同じ趣旨のご発言が、私どもの検討会の構成員から出たということはございます。それに対する検討会の内容といいますか、そういうものが、実はここでまだ申し上げるような状況ではないかもしれません。これはあくまで私が座長としてご議論を承っておる過程での一つの感想でありますが、過失犯、財産犯というものを、私どものこの検討の対象の中に入れてきて、犯罪被害者に対する経済的支援の枠内に持っていこうということにつきましては、どちらというと消極的なご意見があったと。ただ、消極的というのは、そういう人たちはどうでもいいんだとか、支援しなくてもいいんだということではありませんで、過失犯であれば、それは過失犯の中の一番の大ごとになってまいりますのは、交通事故被害者というものがあるわけでありますから、この私どもの経済的支援の検討の中ではなく、そちらの枠の方でご検討いただければ、もっといい結論が出るのではないだろうかと。特に、過失犯につきましては、例えば自転車で被害があったという場合は、今の自賠責ではどうにもならないから、何とかそれをこちらで拾えというようなご議論もあったわけでありますが、それはそちらのいろいろな交通事故被害といいますか、自動車にまつわる被害についての過失被害というものについて、そういう枠内でご議論いただければいいのではないかという意味でありまして、どういう切り口で、我々の制度を制度設計するのかという中には、ちょっと入りにくいのではないかという感じが強かったのではないかという印象を私は持っております。財産犯についても、全く同じでございます。
○山上議長 それでは、岡村構成員、ご質問がございましたらどうぞ。
○岡村構成員 1つは意見、1つは提言になるんですけれども、先ほどお話にありましたけれども、やはり今度、被害者支援のための法律は、私は犯給法のようなお見舞い的なものではなくて、やはり被害者が権利として主張する、権利として行使し払われるという立場でないと、非常に被害者はみじめな思いをするわけでありますので、ぜひこの新しい形の補償法というものをつくっていただきたいと、こういうふうに思っております。
それから次に、今後、戻って検討されるものということで3つ挙げられておりますけれども、資料2-1の3ページで、そこに附帯私訴の場合の印紙を議論していただきたいということであります。昔ありました附帯私訴というのは、印紙は張りませんでしたし、それからフランス等においても、附帯私訴には印紙は張られておりません。私どもが附帯私訴を主張した一つの理由としては、印紙なしで訴えを起こせるということが1つでありました。何しろ印紙というのは非常に高額であって、5,000万円で20万円ぐらいですか、1億の請求をすると40万円近かったでしょうか、はっきりしませんけれども、かなり多額のものを張らなければいけない。でも、附帯私訴なら要らないということで、附帯私訴ということも唱えてきた一つの理由でございます。
ところが、法務省の方に聞きますと、今、附帯私訴の議論をしているけれども、その印紙についてどうこうするかということは、これは法制審の議論するところではなくて、財政が絡む問題であるから、この経済的支援に関する検討会で議論してもらうべきだと、こういう話でございました。そこで、ぜひ附帯私訴の場合の印紙をどうするかという点について議論いただいて、ご提言いただきたいと、こう思っております。
以上です。
○山上議長 國松座長、何かございますでしょうか。よろしいですか、今の件に関して。
○國松座長 国家補償の観点を入れるべきかどうか、全く同じ趣旨のご発言が、私どもの検討会の構成員から発言されておるところでございますので、そういう発言を踏まえて今後の議論が行われるものと思います。
○山上議長 あと、附帯私訴の印紙代のことというのは何か。どうぞ。
○法務省大臣官房審議官 損害賠償請求について、刑事の手続を利用した制度を新たに導入するということで、法制審議会で現在、議論していただいているところでございます。その制度を被害者の方が利用する場合の印紙あるいは手数料がどうなるかということについては、実際にその制度を法案としてまとめる場合には、どのぐらいの負担をしていただくのか、あるいはしていただかないのかということは決めた上で、法整備をしなければならないと考えておりますので、私どもとしては、法制審での議論を踏まえて、最終的には一定の結論を出した上で提案するということを考えているところでございます。
それについて、具体的にそれを負担していただくのか、あるいはしていただくとしたら幾らにするのかというところまで部会で議論していただくかどうかというのは別でございますが、いずれにしても、それについての何らかの考えをまとめた上で、法制度としてまとめたいというふうに考えております。
私どももまだ結論を得ているところではございませんが、今、部会で検討中の案のように、刑事裁判が終わった後で、引き続き民事の手続を行い、その結論を出すということになる場合、その刑事裁判の後ろに続く民事手続部分について、国の裁判所という手続を使っていただくということになりますので、その部分について何らの費用もかからないということが考えられるかどうかということについては、検討の必要があるのではないかと考えているところです。ただ、それについて、部会でもまだ具体的にはお話しいただいておりませんし、私どもの結論もまだ出ておりませんので、引き続き考えていきたいと考えているところでございます。
○岡村構成員 そうすると、経済的支援に関する検討会の手を煩わせるまでもなく、法務省の方でそれはお考えいただく、こういうことになるわけですか。
○法務省大臣官房審議官 ええ。私どもとしては、そのように考えております。
○岡村構成員 そうですか。わかりました。
従来は、これは旧法のときは無料でしたから、国の手は煩わせますが、ぜひひとつ、無料にしてください。
もう一つよろしいでしょうか。
○山上議長 どうぞ。
○岡村構成員 実は、基本計画をつくるときに、私も失敗したんですが、確定記録についての開示、これを問題にしなかったんですよね。不起訴とか、公判記録、これについては議論しましたけれども、確定記録についてはうっかりして落としてしまいました。
ところが、確定記録については非常にばらつきが多くて、丁寧に確定記録を見せてくれるところもあれば、ほとんど見せないところもある。判決を取り寄せてみると、被告人の住所も全部消してある。それから、禁固何年のところも消してある。それから、交通事故などですと、その雇用者を相手に訴えを起こそうと思っても、その証人の記録は見せないとか、それから勤務先も消してあるとかというふうなことがあるんです。逆に、そうでなくて、親切に教えてくれるところもある。それから、確定記録一式というと、起訴状と判決は別のところへつづってありますといって出てこない。また申請しなければいかぬとか、そういうばらつきがありますので、確定記録について法務省に検討してもらうことを落としたのは、ちょっと私も失敗だったと思っていますが、これは基本計画を書き直して新たに入れるか、入れるまでもなく、法務省が「喜んでやりますよ」と言っていただければということでございます。ぜひ、私は喜んでやっていただきたいと思っておりますけれども。
○山上議長 どうぞ。
○法務省大臣官房審議官 確定記録についての閲覧は、ご承知のとおり、刑事確定訴訟記録法がございまして、それを保管している検察官の方で、その法定の要件に従って閲覧していただくものです。基本的には原則公開のものですので、一定の支障がある場合に、その閲覧を制限するという仕組みになっているわけでありまして、もちろんそれについて不服があれば、準抗告という形で不服申立てもできる仕組みになっているわけです。本来的にはそれに従って適正に、ばらつきなく行われるべきものだろうというふうに思いますが、ご指摘の事案が必ずしもどういう事件についてどういう形で取扱いがされたのかわかりませんけれども、不起訴記録、公判記録の問題と同様に、もちろん被害者の方にとっても、記録を見ていただく制度としても存在しているわけですので、問題があるかどうか、あるとすればどういうふうに対応すべきかということについては、私どもの方で考えてみたいと思っております。
○岡村構成員 そうすると運用で、私ども、その例を持って今度参りますので、ひとつ検討していただきたいと思います。
○山上議長 ありがとうございます。
そのほかに。
どうぞ、井上構成員。
○井上構成員 國松座長にばかりご質問して申しわけないのですけれども、財源の問題というのは非常に大きい問題だと思うのですが、これについての検討状況はどのようになっているのか。また、これについて、どこまでこの検討会の方で詰めて提言されるおつもりなのか、あるいはできるのか、その辺の見通しも含めてお伺いしたいと思います。
○山上議長 どうぞ、お願いします。
○國松座長 その点は、本当に頭の痛いところでございまして、そこをどこまで書けるのかというのが、私どもの検討会の一つのこれからの一番大きな課題になってくるのだろうと思います。一段と充実した経済的支援を行おうということでのコンセンサスはあるわけでありますが、結局、お金の話になりますので、どこからお金が出るのかという議論はどうしても避けて通れない。もちろん、一般財源でやったらいいではないかというのが、一番話としてはあるのでありますが、そうも言っておられないでしょうという議論ももちろんございます。
「罰金を財源に」というような話がすぐ出るのでありますが、ただ、この罰金も、これを一つの特定財源としてこちらの財源にするというのは、まことに難しい問題だろうと思います。現在の国の大きな施策の方向が、特定財源というのはなるべく少なくしよう、道路特定財源だって一般財源化しましょうよという議論があるところでありますから、逆に罰金のある一定部分を特定財源としてこちらへ持っていくというような議論が、仮に例えば被害者に対して使うんだというような大義名分については理解できても、そういう特定財源化というような議論が通じるのかということになると、これは議論が我々の検討会では扱いかねるような大問題にもなると。そもそも、罰金の一部をこちらに持ってきて特定財源にする、あるいは特定財源的に運用するといいましても、罰金の額というのはそもそも決まってしまっているわけですから、それをこちらへ一部、被害者のために分けましょうよといった場合に、実は別のところは引っ込んでいるわけなんですね。ですから、全体として、当然、罰金の使途というのも、一般財源の中でいろいろな形で活用されているわけでありますから、その区別をちょっと変えたところで問題の本質的な解決にはならないと。
したがいまして、どうしても新しい財源というものがどこかにないだろうかというような議論もしなくてはならないと。では、どこなのかといったら、これはちょっと我々もまだわかりません。ですから、そういうことでいろいろと財源問題は話をしておるのでありますが、結論めいたものはまだ、残念ながらといいますか、出ておりません。
ただ、その関連で1つ出ておりますのは、支援基金といいますか、支援機構というようなものを1つつくって、そこで公的な給付ではちょっと出しにくいような給付が、犯罪被害者支援の場合はいろいろと出てくるわけですよね。そういうものはそちらでやったらどうだろうかというような形で、若干、苦し紛れの考えではあるのかもしれませんが、支援基金あるいは支援機構というようなものをつくって、そこである程度の支援を行っていったらいいのではないかという方向もございます。
ただ、問題は、逆にまたもとに戻りまして、基金をつくるのはいいけれども、その基金の財源はどうするのかということになってくるわけでありますが、ただ、そういう基金をつくれば、ある意味では民間のいろいろな形での寄附金といいますか、そういう出捐を期待もできますので、少しこの財源措置にゆとりができるといいますか、一般財源を使った公的な支援だけでない、ちょっと丸みのある支援も可能になってくるのではないかと。
ただ、これも急に寄附を求めるといったって、だれが出してくれるんですかとなったら、お先真っ暗ということにもなりますので、この辺はまたほかの検討会とも議論しながら、あるいは、結論的、結果的には、こういう問題はもう最後は政治決断の問題でもあろうと思いますので、政府、自民党、その他いろいろな方々との話し合いもしながら、何かこの財源問題については一つの進歩を見なければならないし、その過程で基金というようなものが何らかの形で具体化すれば、それはそれでいいのではないかなと思って、今、やっておるところであります。
むにゃむにゃ言いまして、要するに結論は何も出ていないということでありまして、この問題は、我々のこれからの一番の難しい課題でございますが、何とかしかるべき結論が出ないものかなということで、これから努力してまいりたいと思っているところでございます。
○山上議長 今の問題に、どなたかご意見がございましたら。
では、私が感じていることなのですが、ほかの特定財源の場合とは少し違った意味合いが、罰金とこの被害者の問題との間にはあるような気がします。やはり重大な事件を起こした犯罪者には、直接、被害者に賠償を払えるような人があまりおらず、刑務所の中で例えば作業の報償金とか、いろいろなお金が入ってくることもあるわけですから、少し間接的になりますけれども、犯罪者が払ったものが被害者の支援につながっていくというのは、犯罪者の矯正あるいは更生保護の視点から見ても、本来の在り方に近づくのではないだろうかと。そういう要素を大きく入れることは難しいかもしれませんけれども、一部でも入れていただいた方がいいのではないかと、私、個人的な印象を持っています。
では、そのほかにご意見、ご質問がございましたら。
○山田構成員 いらっしゃらないようでしたら、よろしいでしょうか。
○山上議長 はい。自由討議がございますけれども、今、入りますか。
○山田構成員 では後で。
○山上議長 よろしいですか。
それでは、最初の担当省庁の施策の問題、それから今の検討会での問題を含めた全体に関して、自由討議とさせていただきます。どうぞ、ご意見がございましたらお願いします。
○山田構成員 私が提出した資料となっております資料3をちょっと見ていただきたいのでございますけれども、これは日弁連の理事会でもって、経済的支援拡充に関する意見書という形で出されたものでございます。日弁連の理事会というのは、日弁連の執行部と、それから全国の会長で構成されておりまして、85名ぐらいから成る、日弁連としては非常に重要な委員会でございますけれども、その中で出されまして、この論点は、補償法を制定すべきであるということと、それからもう一つ、公費による弁護人制度を導入すべきであるというふうに主張しております。
それで、この意見書の5ページをちょっと見ていただきまして、下段の方に、犯罪に遭われた方が一体どういう状況に置かれるのかということを、5ページから6ページにかけて時系列的に記載してございまして、それでやはり当然のことですが、被害者の方々はかなり大変な状況に陥りまして、悲しみに加えて、何も知らないことが突然降って湧いてくるわけですから、非常に狼狽されるだろうと。そのときに、弁護士がついていて適切なアドバイスができるのであれば、相当の援助になるのではないかと思われるわけですが、残念ながら今の状況では、弁護士に対する費用を払わなくてはならない。結局そうすると、こういった事ができない状況に置かれてしまうということになります。
それで、國松座長には大変申しわけない。またお金のことでございますけれども、こういった重要性というものをぜひご一読いただきまして、今後、検討されるであろう場におきましては、何とぞご配慮いただきたいということをご要請申し上げるということでございます。
○山上議長 どうぞ。
○國松座長 山田委員のご提出になりました資料は、前回の11月の私どもの検討会のときに、当検討会の構成員からも提示がございました。したがいまして、まだ11月末に配られたばかりの話でございますので、検討した事実はございませんが、これから当然、当該構成員からいろいろなご発言があるものと思います。
それから、公費による弁護士選任の問題につきましては、確かに私どもの方で、あわせて検討しなさいということでのご指示を頂戴している問題でありますけれども、まだ実はちょっとそこまで話が行っておりませんで、これから議論していきたいと思っております。
○山上議長 ほかにどなたか、どのような問題に関してでも結構でございますけれども、ご意見、ご質問がございましたら。
それでは、今までご発言のなかった先生で、どなたか。
中島先生は、何かございませんでしょうか。
○中島構成員 質問するべきことだったのかなと思うんですが、民間被害者支援団体の援助に関する検討会に属しているんですけれども、こちらの方では、財源については検討する検討会ではないのですが、実際に支援をするとなると、やはり財源の問題が出てきまして、今の段階では経済的支援に関するところで、民間被害者団体など支援者側の財源については、まだ今のところどうするかという検討はなされていないようなんですが、今後、そういった部分についてもなされるということはありますでしょうか。
○山上議長 どうぞ、國松座長、お願いします。
○國松座長 先ほども、ちょっと説明したつもりだと思いますが、私どもの方で支援基金とか支援機構というようなものをつくったらどうかという意見も出ておりますので、そういうものをこれから具体的に、どういう性格にするのかというのはまだ全然決まっておらぬのでありますが、そういうことを議論する過程で、当然、民間援助の検討会とのすり合わせと申しますか、合同でいろいろお話をしながらやっていかなければならないことになるのだろうと思っております。
ただ、当方が、まだあまり具体のものができておりませんので、これから支援基金なり、あるいは支援機構といいますか、名前もまだ決まっておらぬわけでありますけれども、そういうもののコンセプトがもうちょっとはっきりしてきた段階で、他の検討会とのすり合わせもやってまいりたい、私どもとしてはそういうふうに考えております。
○山上議長 次に、瀬川構成員、お願いします。
○瀬川構成員 感想めいたことでありますが、3つの検討会が連関している、有機的に関連しているということが非常によくわかったように思われます。私は、第1の経済的支援に関する検討会に属しているんですけれども、ただ、この検討会に経済的な問題をに全面的に全部を任せると言われても非常に困るところがあって、むしろ第2検討会あるいは第3検討会の方からのご要望を踏まえて我々も議論すべきであるし、また、そうしなければできないと思います。切羽詰まった非常に具体的な問題、非常に原則的な問題も絡んでおりますので、ぜひいろいろな立場で、第1検討会に対していろいろなご要望をいただきたい。
以上です。
○山上議長 今のことに関連してですけれども、合同で検討する機会を増していく方が効率が上がりそうな時期に来ているかと思うのですが、どうでしょうか、その辺は。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 これは、特に財源等に関しては、まだちょっと早いんですけれども、タイミングを見ていずれ、3つ合同にするか、援助関係だけ2つ合同にするか、いろいろ考えてまいりたいというふうに考えております。
○山上議長 どうぞ、小西構成員、お願いします。
○小西構成員 私は、第2検討会に所属しておりますが、今の財源の問題と絡むと思いますけれども、第2検討会は支援の連携ですから、今後継続してある程度そういうことにお金を使っていかなくてはいけないんですね。
例えば、私はウェブの利用というようなことが、情報提供や、あるいは教育ということに今後は重点を置くべきだと思っていますが、こういうことに関しては、実は継続するためには非常に費用がかかる。それがなかなか新しい政策として重点を置くだけでは見えてこないところがありますので、長期継続していく場合の財源をどういうふうに考えていくかということについて、問題があるなというふうには、今、思っております。
○山上議長 では、次に久保構成員、お願いいたします。
○久保構成員 日本司法支援センターのことについて伺いたい。まだちょっと早いかもわかりませんけれども、何か当初危惧されていたようにたらい回しとか、それからその場で解決してくれると思ったらどこかへ回されたとか、これは誤解に基づくものなんですけれども、そういったようなものが多少出ているというふうに聞いていますけれども、被害者は特にそういう意識が強いと思うんですが、その辺のことをちょっと教えていただければと思います。
○山上議長 お願いします。
○法務省大臣官房審議官 私自身、その実情に関して必ずしも詳しく承知しておりませんので、またどういう状況があるのか確認した上で、ご説明できる機会にご説明したいと思います。
○山上議長 では、それぞれご発言いただきましたが、もし追加がございましたらどうぞ。
岡村先生、よろしいですか。
○岡村構成員 はい。
○山上議長 では、どうぞ、大久保構成員。
○大久保構成員 久保委員から、今、司法支援センターの話が出ましたので、あわせてお願いしたいと思いますが、犯罪被害者の相談電話がありますけれども、そこで受けている相談員の皆さんが、犯罪被害者に関する研修を受けているとは言えない方たちもかなり入っていらっしゃるようでして、被害者支援都民センターの方から推薦して電話相談に入っていただいた方たちからの苦情、「あれでは犯罪被害者がかわいそうだ」という声がたくさん入っておりますので、ぜひ司法支援センターにおきましても、犯罪被害者に関する研修を積み重ねていただきたい、そのように思っております。今まで都民センターの方では、司法支援センターにかわって3回ぐらい研修を行って、ではまた、それでどうぞ電話に出てくださいという形をとりましたけれども、そうではなくて、これはやはり司法支援センターの方が考えることなのではないか、そのように思っております。
もう一つ、今、各省庁の皆さんからの説明で、本当に犯罪被害者のための施策がきちんと進んで行っているということは伺うことができまして、大変ありがたいと思いました。
ただ、現場から見ますと、せっかくの制度が使えない。先ほど、国土交通省の方もおっしゃいましたように、「それは管理者の責任だ」と言われますと、今困っている被害者の方に、せっかくの基本計画ができても使えないんですね。被害者のためになる形で使えるように、また評価等も視点に入れながら、各省庁の皆さんは関係機関への指導体制等もきちんと行っていっていただきたいと感じました。
○山上議長 そろそろ時間ですが、井上構成員、何かございますか。よろしいですか。
○井上構成員 はい。
○山上議長 では、時間が参りましたので、このあたりで自由討議は終了といたします。
関係省庁におかれましては、本日ちょうだいした各構成員からのご意見も踏まえて、より一層の施策の推進をお願いいたします。
最後に、事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お疲れさまでした。
2回目の推進専門委員等会議ということで、お忙しい中、お集まりいただきました。また適宜、お集まりいただくことになりますけれども、少なくとも、何とかこの3つの検討会の中間報告がまとまるような時点で、またご足労願うようになるかもしれませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○山上議長 どうぞ。
○岡村構成員 第1回の犯罪被害者週間で、内閣府もあちこちお忙しかったと思うのですが、それについて、各地回られた様子をちょっと報告していただければ。
○山上議長 では、お願いします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、ごく簡単に、せっかくのリクエストですのでお話したいと思います。
一番最初は、秋田に参りまして、初日の11月25日でしたけれども、秋田県は、被害者の基本計画をつくっていただいておる先進県であります。行きましたら、連携に関する検討会のところで出ていましたけれども、関係機関の連絡先みたいなものを網羅したハンドブックみたいなものも、県レベルですけれども、つくっておられまして、250人ぐらいの会場だったのですけれども満員で、大変盛り上がったシンポジウムが行われておりました。
それから、おかげさまで、同じ日にあすの会、これは政府のイベントではございませんけれども、それから次の日が山上先生のネットワークということで、土日にやっていただきまして、月曜日が中央大会ということで、先ほど申し上げましたように、残念ながら大臣はちょっと出られなかったのですけれども、法務大臣とか国家公安委員に出ていただきまして、それから岡村先生に基調講演をいただきました。その中でも、ご紹介ですけれども、先ほど大久保委員からあったように、やはり被害者の方が病院に行ったら、病院のお医者さんからとんでもない心ない発言があったというようなご発言がございまして、やはりせっかく国としては一生懸命やっているつもりなんですけれども、なかなかそれが第一線の医療、福祉、あるいは警察の中にもまだまだの人がいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうところを今後どうやったら浸透していくのかというのが課題ではないかと思った次第であります。
その翌々日には、水曜日に神奈川県の方に参りまして、これには副大臣が出まして、弁護士の大澤先生にお出ましをいただきまして、基調講演などをいただきました。神奈川県もかなり一生懸命取り組んでいる県でございます。
それから最後に、大阪大会ということで、12月1日の基本法が成立した記念日に、最終日ということで、大臣も喜んで、もう「絶対行くんだ」と言って、トンボ返りで行って帰ってこられまして、例のあすの会の方でやっております人形劇とかの上演もありまして、これも非常にそういう意味で、犯罪被害者等基本法ができた、基本計画ができた、被害者の方はこういう立場にあるんだということが、やはり各国民一人一人までは、行政機関も含めて、あるいは地方自治体も含めて、まだまだこれからだという感じがしておりますので、そういう形でぜひ何とか被害者問題の重要性をもっともっと、国民の理解と協力を得るというのが重要施策の一つにもなっておりますので、頑張ってまいりたいというふうに考えております。
○岡村構成員 自治体が独自にやったというような情報はございませんか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それぞれ、例えば被害者相談所を設けたとか、これは警察レベルでありますけれども、そういった取組をされているところはあったように思います。
ただ、やはり窓口がまだできたばかりで、しかも、何をやったらいいのかまだよくわからないというところが結構多くて、杉並区の取組でありますとか、そういった先進的な取組のご紹介などを、一生懸命我々としてもしているのですけれども、この辺はもう少し、また総務省のお力もおかりしながら、何とかしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○岡村構成員 ありがとうございました。
○山上議長 それでは、これをもちまして、第2回基本計画推進専門委員等会議を終わります。 本日は、長時間にわたりご議論いただきありがとうございました。