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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第9回)議事録


(開催要領)

日時:平成17年10月25日(火)14時01分~18時29分
場所:合同庁舎4号館4階共用第4特別会議室
出席者:
  座長代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
  構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
  同大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
  同岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
  同久保 潔元読売新聞東京本社論説副委員長
  同小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
  同中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
  同山田 勝利弁護士
  同加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  同片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
  同荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
  同三浦 守法務省大臣官房審議官
  同塩田 幸雄厚生労働省政策統括官(社会保障担当)
  代理出席瀧口 敬二国土交通省総合政策局政策課長
  協力者板東 久美子文部科学省大臣官房審議官

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。

(議事次第)

 1. 開会

 2. 村田大臣あいさつ

 3.基本計画案(1:推進体制及び損害回復・経済的支援等への取組)について

 4.基本計画案の検討について(2)
  ・精神的・身体的被害の回復・防止への取組
  ・刑事手続への関与拡充への取組

 5.その他

 6.閉会

<附属資料> ※資料のリストが別ウィンドウで開きます。





○事務局(加地内閣府犯罪被害者等施策推進室長) それでは、ただいまから第9回犯罪被害者等基本計画検討会を開催いたします。始めに、村田大臣からごあいさつをいただきます。

○村田大臣 これから9回目の検討会が開催されるわけでございますけれども、本日の議題は、推進体制についての前回の議論を皮切りに、その後は経済的な被害の回復や精神的な問題について、これは重要な事項でございますので、皆さん方のご検討をよろしくお願いをいたしたいと思います。また、新聞協会からご提言いただきました内容についても、本日、ご協議願いたいと思います。実は、私、国会の委員会で質問が当たっておりますものですから、途中で退席させてもらいますが、後の皆さん方のご審議をひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。今日も本当にありがとうございました。

○事務局 本日も宮澤座長は体調を崩しておられますので、山上座長代理に司会をお願いいたしたいと思います。

○山上座長代理 宮澤座長にかわりまして、本日の司会を務めさせていただきます。それでは、これより議事に入ります。本日の検討課題について事務局から説明をお願いします。

○事務局 第9回検討会での議題でございますけれども、大きく2つございます。1つは、第8回検討会の検討結果を取りまとめました基本計画案(1)について確認をいただきたいということでございます。2つ目は、基本計画案(2)の検討をいただくということでございます。具体的には、基本計画案の各論部分、すなわち重点課題に係る具体的施策につきまして、1つは、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」でございます。もう一つが、「刑事手続への関与拡充への取組」に関する部分でございます。また、これらの総論部分に該当する重点課題につきましてもご意見をいただきたいと思います。
 これまでと同様、円滑な議事進行のために事前に書面として提出していただいているものにつきましては、口頭での説明を省略するようご協力をお願いしたいと思います。

○山上座長代理 それでは最初に、第8回検討会の検討結果を取りまとめた基本計画案(1)についてご議論いただきます。事務局から説明をお願いします。

○事務局 第8回検討会の検討結果でございますけれども、基本計画案(1)、この資料に取りまとめてございます。第8回検討会におきまして、再度検討すべきとされたところにつきましては、事務局案を赤字で記述しております。ただし、前回ご議論いただいた事項のうち、総論部分に当たります目的、基本方針、重点課題(1)につきましては、第11回の検討会で提示をする予定でございまして、本日は提示しておりません。なお、構成員からいただきました資料につきましては、基本計画案(1)関係資料に綴ってございます。

○山上座長代理 基本計画案(1)については、厚生労働省、金融庁から事前に意見が提出されております。また、山田構成員から、最高裁に対して質問が寄せられております。補足することがあれば、順次、ご発言ください。厚生労働省の方からございますでしょうか。いいですか。 塩田構成員(厚生労働省) 結構です。

○山上座長代理 最高裁判所はいかがですか。

○最高裁判所(傍聴者) 山田構成員からのご質問に対してお答えいたします。 前回の検討会におきまして、訴状における住所については、お礼参り等の防止のため、被害者の方の実際の住所を書くことを求めないということをこちらから申し上げましたが、では、その後の訴訟手続、執行手続における当事者の表示はどうするのかという趣旨のご質問であったと思います。例えば、委任状や判決書、また、民事執行の申立書等についても住所記載が求められていることになっているのですが、これらの記載についても訴状と同様、厳格に実際の住所を書くことを求めないというように考えております。
 また、では強制執行の場合にどのようにして債務名義の当事者と執行手続の当事者との同一性を確認するのかということでありますが、裁判体の判断にもよりますが代理人がいらっしゃるときには代理人から適宜事情聴取いたしますし、また、いらっしゃらない場合にも、例えば訴訟記録に編綴されました被害者等の方々の委任状の署名押印と事件記録とに委任状等の署名押印を照らし合わせることによって、その方であるかどうか確認できるということでありますので、いずれにせよ相手方である加害者側に被害者の方の実際の住所がわからない方法で民事上のすべての手続を処理することが可能と考えております。

○山上座長代理 ありがとうございました。それでは、ご意見のある構成員、どうぞ。

○山田構成員 ただいまのお答え大変ありがとうございました。

○山上座長代理 ほかにご意見ございましたら。特にご意見がございませんようですので、ここまでの議論を踏まえて内閣府の構成員からご意見ございますか。

○事務局 特にご意見もないようでございますので、基本計画案(1)のとおりとさせていただきたいと思います。

○山上座長代理 それでは、内閣府の構成員からの提案のとおりとさせていただいてよろしいですか。

○岡村構成員 Vの「重点課題に係る具体的施策」4ページのところですけれども、前回、「むしろ通例であって」ということが随分問題になりましたが、そこのところが「相当多い」と書いてありますけれども、「相当」を取って「多い」とだけにしていただけないでしょうか。相当多いとか相当少ないというのは比較を表す言葉ですが、「ことが多い」としていただけないかと。「通例であって」は、これは取っていただいて結構です。

○山上座長代理 「目的を果たせないことが多い」ということですね。

○事務局 この部分の表現でございますけれども、前回の議論でいろいろご意見がありましたが、絶対量においてかなりの程度多いとは言えるという意見の一致はあったと思います。今、ご指摘のように「多い」とするか「相当多い」あるいは「極めて多い」というご意見があったのですが、「多い」ということでは、絶対量においてかなりの程度多いというニュアンスが十分に伝わらないのではないかとういうことで「相当」という案で事務局としてまとめさせていただきました。もちろん、またご議論をいただいても結構でございます。

○岡村構成員 私は「相当」がない方が多いイメージがある。国語の先生がいらっしゃらないからわからないですけれども。

○事務局 一応調べましたら、「多い」というのは、数や量が豊かであるということで、「相当」というのはかなりの程度であるさまということで、「多い」よりは「相当多い」としました。ただ、「極めて」というと、これは例外がないぐらいということで、これは通例と同じようになってしまいますので、こういう案にさせていただきました。

○山上座長代理 どうぞ。

○井上構成員 この点については、前回、大分議論しました。「多い」というのを申し上げたのは私でして、それにかなり抵抗があったものですから、もっと程度の高いものをというご提案だったと思うのですが、岡村構成員の方で「多い」の方が抵抗が少ないということなら、それはそれで結構なのではないでしょうか。

○大久保構成員 私は読んだときに、やはりこれは、普通よりも多いのだということがわかるには、「相当」が入っていた方がいいと思います。

○岡村構成員 普通では困る、もっと多くないと困るんですよね。だからそのためには副詞を取ってしまった方が、「多い」一本の方がいいのではないかと思います。このことであまり時間かけたくないのですけれども、どうでしょうか。井上構成員がそういうご提案を前回してくださったということで。

○大久保構成員 国語的には「相当」が入った方がより多いというふうに表現できるということを、今、説明を受けましたので、私はあった方がいいと思うのですが。

○山上座長代理 これはどちらでも意味は十分通じているとは思うのですけれども、どちらかということを決めていただくには、ここで意見が一致していただけるといいのですが。

○岡村構成員 大学の先生のご意見に従いましょう、一番学があるでしょうから。

○山上座長代理 井上構成員。

○井上構成員 むしろ、文筆を業とされている久保構成員のご感触を伺えれば。

○岡村構成員 久保構成員。

○久保構成員 前回欠席していたので、あまり資格がないのですが、私は、自然に読むと「相当」がある方が多いということが強調されるのではないかなという、これはニュアンスの問題で、どちらでもよろしいかと思いますが。

○山上座長代理 それでは、「相当」を入れるということでよろしいですか。

○岡村構成員 そうしましょうか、はい。

○山上座長代理 それでは、そういうことで。
 では次に、基本計画案(2)についてご議論いただきたいと思います。進め方について事務局からご提案をお願いします。

○事務局 本日は、基本計画案の各論部分、すなわち「重点課題に係る具体的施策」につきまして、「精神的・身体的被害の回復防止への取組」、これは第14条、第15条、第19条の関係でございます。それから、「刑事手続への関与拡充への取組」、これは第18条の関係でございます。これらの部分につきましてご議論をいただきまして、あわせてこれらの総論部分に該当する重点課題につきましても、構成員の皆様からご意見をいただきたいと思っております。
 なお、総論部分につきましては、第11回の検討会において再度ご議論をいただくことといたしておりますことから、まず本日は、基本計画案の各論部分、すなわち重点課題に係る具体的施策からご議論いただきまして、その後でこれらの総論部分に該当する重点課題について構成員の皆様からご意見をいただきたいと思います。

○山上座長代理 それでは、そのように進めることとして、議論に入る前に、本日の資料について事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料の説明をさせていただきます。まず、犯罪被害者等基本計画第9回検討会配布資料でございますが、今回も国民の皆様からのご意見のうちで第9回検討会における検討課題に該当するものにつきまして、資料1、内閣府資料として取りまとめをいたしました。これを関係省庁に配布したところでございます。関係省庁からは、これに対する考え方を提出していただきまして、その回答をもとに資料1-2、内閣府資料を作成いたしました。この資料を各構成員に配布をいたしましてご意見をいただいたところでございます。関係省庁からの回答及び構成員の皆様からのご意見につきましては、犯罪被害者等基本計画第9回検討会配布資料にそれぞれの構成員資料として綴ってございます。なお、本日、追加あるいは差替えという形で文部科学省、それから法務省からご意見をいただいておりますので、これは別置きで配布をさせていただいております。
 次に、これも別置きにさせていただいております事務局案その2というものがございます。この事務局案その2についてでございますけれども、これは構成員の皆様からのご意見を踏まえまして、別置きにしている事務局案その2-1、その2-2、その2-3を作成いたしました。本日は、この資料に基づいてご議論いただきたいと考えております。なお、事務局案その2-1は、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」に関する具体的施策を取りまとめたものでございます。事務局案その2-2、これは「刑事手続への関与拡充への取組」に関する具体的施策を取りまとめたものでございます。それから、事務局案その2-3でございますが、これは「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」と「刑事手続への関与拡充への取組」に関する重点課題、すなわち総論部分を取りまとめたものでございます。

○山上座長代理 それでは、その2-1の部分ですが、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」、第14条、15条、19条関係の重点課題に係る具体的施策について議論いただきたいと思います。初めに、事務局案の説明と国民からの意見に対する内閣府の回答についてお願いします。

○事務局 それでは、事務局案についてご説明をいたします。最初の議題でございます「精神的・身体的被害の回復防止への取組」の具体的施策でございますが、事務局案その2-1に記載しております。その2-1をご覧いただきたいと思います。 骨子からの変更につきましては、赤字で記載をいたしております。これまでの検討会でのご議論を踏まえまして現状認識を見直しておりますほか、前回同様に修辞上の修正と、それから新規施策の追加をいたしております。
  次に、精神的・身体的被害の回復・防止への取組に対する国民からの意見のうち、内閣府に関係するものにつきましての内閣府回答は、内閣府資料1-3の1ページに記載のとおりでございます。特に補足事項はございません。

○山上座長代理 「精神的・身体的被害の回復防止」への取組に関しては、他の関係省庁からも国民からの意見に対する回答として事前に資料が提出されております。また、最高裁判所からも資料が提出されておりますので、補足することがあればご発言ください。警察庁、ございますか。

○片桐構成員(警察庁) 特にございません。

○山上座長代理 総務省、いかがでしょうか。

○荒木構成員(総務省) 特にございません。

○山上座長代理 法務省、いかがですか。

○三浦構成員(法務省) ございません。

○山上座長代理 文部科学省、いかがでしょうか。よろしいですか。

○文部科学省(板東大臣官房審議官) 差替えで配らせていただいております資料につきまして、簡単にご説明させていただきたいと思います。事前にお配りしております資料につきまして、ややご説明が不足していたり言葉足らずの点がございましたので、差替えということで資料を配らせていただいております。
 まず1ページ目でございますけれども、これは少年被害者の方に関する学校及び児童相談所等の連携の充実のところで、犯罪被害者であることを知られたくない者もいる場合があるということに十分留意すべきであるというご指摘がございまして、このあたり、各種通知・会議等を通じて指導しているということを書かせていただいておりますけれども、少し補足いたしまして、通知などにおいても個人情報保護等への配慮、秘密保持の徹底といったようなあたりについて特に通知の中に盛り込んでいるということを説明として追加をさせていただいております。
  それから、2ページ目でございますけれども、少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実についてのご指摘がございました。この赤で書いておりますところを追加させていただいておりますけれども、これをご覧いただければと思いますが、連絡協議会を設けておりまして、これは教員や児童相談所など関係機関との連携の在り方とか、それから個別事例研究などの研修を行っているということでございます。ご指摘の内容につきましては、こういった連絡協議会の場を活用いたしましてご協議いただくようにさらにお願いしてまいりたいということで、そのあたりの説明を追加させていただいております。
  それから、大久保構成員からご意見をいただいておりまして、このスクールカウンセラーの関係などについては、心のケアということだけにいろいろとどまっているのではないかというお話がございまして、このあたりにつきましても、先ほどの連絡協議会などを通じまして様々な機関の連携を行っているということで追加をさせていただいておりますし、それから学校全体といたしまして、いろいろな角度から全体としての取組体制を充実させ、例えばご指摘のように、地域のいろいろな資源というのを十分に活用、生かした形での解決を図っていく、将来に向けての解決を図っていく必要があるのではないかというご指摘がございますので、学校全体としてスクールカウンセラーだけではなく取り組んでいくという体制のさらなる充実、あるいは外の機関との連携も一層進めていきたいということを書かせていただいているということでございます。

○山上座長代理 それでは、厚生労働省、意見はございませんか。 塩田構成員(厚生労働省) はい。

○山上座長代理 国土交通省は。

○瀧口構成員代理(国土交通省) ございません。

○山上座長代理 最高裁判所、ございますか。よろしいですか。

○最高裁判所(傍聴者) はい。

○山上座長代理 事務局から何か補足することがございましたら。

○事務局 それでは、補足説明をさせていただきたいと思います。基本法第14条の関係で、厚生労働省からのご意見がいろいろあるのですが、その中で、資料7厚生労働省資料の17ページをご覧いただきたいと思います。犯罪被害者団体等からのご意見でございますけれども、「脳死臓器移植の是非とは別に、犯罪によって脳死にされたもの、その家族の心情を把握してほしい」というご要望がありまして、その回答の中で、前段の部分ですが、これは内閣府が犯罪被害者等の方々の置かれた状況の継続調査、追跡調査をするという施策が21条関係で立っておりますけれども、この中で行われることが適切というご回答でございます。内閣府といたしましては、追跡調査につきましては、犯罪被害者等の置かれた状況について基礎的な事項を継続的に調査していこうというものでございまして、内閣府としては、その中で、このご要望にもかかわる事項について聴取できるのかどうか検討したいとは考えております。ただ、このご要望の「把握してほしい」という中には、脳死臓器移植における家族の方々の心情をより専門的な見地から把握をして、それを担当する職員等に反映させるという意味を含んでいるのではないかと考えます。したがいまして、当該専門分野を所掌する厚生労働省として、このご要望に対して前向きな施策が可能なのかどうかをご提示いただきたいと思いますし、また、ご議論を構成員の皆様の中でしていただければと思います。
 それから次に、関係省庁に補足的にご説明いただきたい点を申し上げたいと思います。基本法第15条の関係でございますけれども、「事務局案その2-1」の17ページの(2)、犯罪被害者等に関する情報の保護で、ウ、住民基本台帳の閲覧制度のあり方に関する検討会についての項でございますが、この中で、住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会の報告書を踏まえて住民基本台帳の閲覧制度等の抜本的見直しを行うとされておりますが、その進捗状況がどうなっているのかについてご説明いただければと思います。
 それから2つ目に、同じページのエでございます。犯罪被害者等に関する情報の保護の関係で、警察による被害者の実名発表、匿名発表についてという項でございますが、これについて削除すべきというご意見を久保構成員、山田構成員からいただいております。それから修正のご意見、これは岡村構成員からいただいております。これらについてどのようにお考えなのか警察庁からご説明いただければと思います。
 3つ目は、同じ資料の23ページになります。これの(8)でございますが、児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等につきまして、児童虐待を行う親に対する治療が必要だというご意見がございます。これについてどうお考えなのかということを厚生労働省からご説明いただきたいと思います。それから同じく児童虐待の関係で、通告義務に関しまして罰則の必要性を検討すべきというご要望がございますが、これについて法務省としてどのようにお考えなのかということをご説明いただければと思います。
 最後になりますが、日本新聞協会から骨子に対して意見書が寄せられましたので、ご報告したいと思います。これまで構成員の皆様には、国民から寄せられた意見そのものを配布させていただいております。それと同様に日本新聞協会からの意見書そのものを事前に配布させていただきました。意見書は、警察による被害者の実名発表、匿名発表についての項目を削除してほしいとの内容でございました。この後のご議論では、その点も踏まえてご議論いただきたいと思います。

○荒木構成員(総務省) それでは、総務省でございますが、住民基本台帳の閲覧等につきましてご説明を申し上げます。10月20日に開催されました第9回の「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」におきまして報告書が取りまとめられまして、総務大臣に提出されました。その概要、骨子を申し上げますと、住民基本台帳の閲覧制度につきまして、何人でも閲覧できる現行の制度を廃止した上で、国、地方公共団体や公益性の高い場合にのみ閲覧できる制度に再構築をすることにいたします。また、本人確認等につきましても厳格化を図ることにいたします。さらに、選挙人名簿抄本の閲覧制度につきましても、閲覧できる場合を法令上明確化しまして、住民基本台帳に準じた手続を整備することといたしております。
  今後は、この報告書を踏まえまして、住民基本台帳や選挙人名簿の閲覧制度等につきまして抜本的な見直しを行うことといたしたいと考えております。このため、次期通常国会に住民基本台帳法及び公職選挙法の改正法案を提出したいと考えております。

○山上座長代理 次に、警察庁の方、いかがでしょうか。

○片桐構成員(警察庁) 警察による被害者の実名発表に関する問題ですが、この問題はもう既にご議論があり、私の方からもご意見を申し上げているところでございますので、繰り返しになりますが、この項目は被害者団体等からのご要望を踏まえながら、また、他方でマスコミによるところの実名発表のご要望があるということも考慮して、両者の事情を総合的に勘案した適切な発表となることが適当であると考えられたことから、この項目が置かれていると承知しております。また、パブリックコメントを拝見いたしましたけれども、全般的には実名発表に対する批判というものが強いと、私どもは受け取っておりまして、したがって、この項目を削除することは、こういった被害者、またパブリックコメントのご要望を考慮しないということになることから、適当でないと考えております。
 これはまた繰り返しになりますが、私どもは発表するか否かにつきましては、個人のプライバシーであるとか、また、捜査への支障の問題であるとか、また、他方で発表することによる公益性といったものを総合的に判断して実名発表にすべきか否かを判断しているところでございますので、したがって、実名発表の原則、また、他方ですべてについて同意に基づけということにつきましては、いずれの立場もとることができないと考えております。
 ちなみにちょっと補足してお話をさせていただきたいと思うのですが、まずこの骨子の考え方でございますけれども、私どもとしましては、この骨子に盛られた内容というものは、従来、私どもが運用している中身それ自体であると考えておりまして、したがって、従来の私どもの考え方を何ら変更するものではございません。各都道府県警察では、従来からこの考え方に沿って判断をしてまいったと承知しておりまして、今後ともこの辺については変わるところはないと思っております。ただ、仮に個別の事案について都道府県警察の対応に問題があると考えられる場合には、警察庁としても是正を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 それから、新聞協会のご意見の中にありました実名発表するか否かを警察の判断に委ねるべきではないというご意見でございますけれども、一般に行政機関は、それぞれの目的を遂行するために必要な情報を集め、そしてまた保有をしているわけでございまして、そしてまた加えてその公表のあり方についても、一方で今申し上げました個人のプライバシーの問題、そしてまた行政目的への支障の問題、また他方で、発表することによって得られる公益性等様々な要因を勘案しまして決定をしているというのが行政機関全般の考え方であると承知しております。これらは、この情報を収集、保有するそれぞれの機関が、その名と責任において決定すべきものでありまして、警察においても被害者に係る情報を含めて同様の取り扱いをしているということでございます。この趣旨は、情報公開法を見ても法的に明らかであると考えています。
 したがいまして、警察が報道機関等に発表した中身につきましては、被害者の実名を含めて発表に係る責任は警察が負うということにならざるを得ないわけでございます。報道機関は、実名とすべきか否かは警察が判断すべきではなく、報道機関において適切に判断すべきだとするわけでございますけれども、これまでずっと報道機関の皆様方とお話を続けておりますけれども、報道機関の方々のおっしゃりようは、発表した以上はやっぱり警察も責任を負うべきだということははっきりおっしゃられているわけでございまして、一方で警察の責任を認めながら、また、他方で発表に係る権限を認めずにすべてマスコミに委ねろというのは論理として一貫しないと考えております。

○山上座長代理 次に、厚生労働省、お願いいたします。

○矢田構成員代理(厚生労働省) 臓器移植の関係で、内閣府の方からご意見がございました。先ほどご説明があったとおり、17ページの関係でございますが、今回、私どもが提出いたしました回答は、脳死臓器移植の是非とは別にということでございましたので、そうした臓器移植と無関係な部分についての心情把握というものについては、内閣府において行われることが適切ということで意見を提出させていただいたところでございます。その後、なお書きで書いてございますように、また、今、内閣府の方からご指摘もありましたけれども、脳死臓器移植に絡むドナーと家族の心情把握というものにつきましては、このなお書きに書いてございますとおり、ドナー家族の心情把握等作業班において引き続き行っていくということでございます。これは既に骨子に記載されているとおりでございます。

○山上座長代理 次に、法務省の方、お願いします。

○三浦構成員(法務省) 児童虐待の関係でございますが、この点につきましては、厚生労働省さんの出されております資料7の資料でございますが、それの25ページだと思いますけれども、児童虐待通告義務に関して罰則の必要性ということについて、厚生労働省の方のお考えが記載されているところでございます。要するに児童虐待の通告というのは、できるだけ広く通告を得て、そういう虐待されている児童の救済を早期に幅広く行うという趣旨があるのだと思われますので、罰則を科すということでその要件などを厳密に絞っていくとすると、必ずしも本来の目的を達成することにならないのではないかと思われますが、私どもとしても、このような理由から、罰則を設けるということについては必ずしも賛成できないという考えでございます。

○山上座長代理 どうぞ。

○内山構成員代理(厚生労働省) 厚生労働省でございますけれども、児童虐待を行った親への治療ということでご意見がございましたけれども、現在、児童虐待を受けた子どもは、児童福祉施設などに入所してございますけれども、そうした児童福祉施設では、子どものケアだけではなくて、虐待を行った親に対するいわゆる家族療法と言われるものの取組を始めてございます。こうしたものについてさらに充実はできないか検討させていただきたいと思っております。

○山上座長代理 それでは、ご意見のある構成員はどうぞ。

○久保構成員 15条でもよろしゅうございますか。

○山上座長代理 はい。

○久保構成員 今、警察庁のおっしゃいました17ページのエ、実名、匿名の発表の仕方ですが、検討事項がたくさんある中で繰り返し時間をいただいて大変恐縮なのでございますけれども、私どもが削除を今回お願いした点については、私が先日提出しました意見と、それから今回、新聞協会が出した意見書、これに尽きると思うので、重複は避けまして、3点だけちょっと強調させていただきたいと思います。
  実名、匿名という問題は、やはりこれは広く国民生活にかかわる情報ということで、それが一行政機関の恣意的な判断に委ねられるということについては抵抗を感じるわけです。今、警察庁もおっしゃいましたように、一般的に行政機関というのは、行政目的に沿っていろいろな情報を集めて、それを発表する場合には、その行政機関の名前と責任において行うのだと、これはまさにそのとおりだと思うのですが、一方で、その一連の行政権限の行使について、第三者的に私どもが権限行使の是非というか、それについて客観的に検証するということも必要なわけでありまして、匿名ということが広がりますと、検証が困難になるということを1点強調させていただきたいと思います。
 それから第2点で、これは大分岡村構成員にも厳しいご指摘をいただいたのですけれども、犯罪被害者とマスコミの報道、これを対立的に捉えるというのはどうも抵抗があります。報道が、被害者救済とか、犯罪の抑止に対して一定の役割を果たしてきたということをお認めいただきまして、やはり双方の調和を今後とも模索していきたいということを考えております。
 それから3点目ですけれども、匿名社会の無秩序な広がりというのも我々は危惧しておるわけですけれども、この匿名社会というのはかえって犯罪の温床になる側面が否定できない。犯罪抑止とか、捜査に対しても支障を来すおそれがあるということにも着目していただかなければと思います。

○岡村構成員 私の方も文書で提出しておりますので、時間の関係で省略しますけれども、実名発表されますと、もう雲霞の如くマスコミ人が押しかけるんですよ。これは葬式もできない、お通夜もできない、外にも出られない、近所の人たちまで雨戸を閉めなければおれないというぐらいの攻撃を受けるのです。それについて久保構成員の意見は触れられておられないんですね、その取材の恐ろしさ、これは現実に今でも続いているのです。だから匿名で発表してもらうか、あるいは被害者が同意したときのみ実名で発表するか、そうしなければ救いようがない。そしてまた、久保構成員は知る権利だとか再犯防止のためとか、社会全体で怒りを共通するとかおっしゃいますけれども、それ以前の問題があるのです。そして健全な民主主義社会をつくるためには、マスコミの役割が必要、それは私どもも同感ですけれども、しかし、そのために被害者が泣かなきゃいけないのかと。被害者が泣かなければできないような立派な社会なら、そんな社会でなくて結構ですと、こう被害者は思うんですよ。そこのところが新聞協会の意見にはほとんど触れられていない。やはり私は、匿名で発表すべきであるし、実名で発表する場合は被害者の同意を得ると、こういう原則を立てていただかなければ被害者は救われないと思います。
 また、マスコミの方でいろいろ自主規制をやるべきだとおっしゃいますけれども、人権擁護法案が廃案になってから4年たちますけれども、自主規制というのは現在も行われておりません。またもう一つは、立派な会社は自主規制ができて、守られるとしましても、マスコミの中にそれを守らない人たちが必ず出てくるのです。そういうことがありますので、ぜひとも私は、被害者の同意があったときだけ警察が実名で発表すると、こういう原則を打ち立ててもらいたいと思います。

○山田構成員 久保構成員のお話には、大変同感できるところがあると思います。ただ、もっと基本的に、要は取材の自由といいますか報道の自由といいますか、民主主義の根幹であるというところをやはり十分に捉えるべきであろうかと思います。そもそも警察にかからしめるということが制度として民主的であると言えるのかというところなのですね。岡村構成員のお話もよくわかるのですが、被害者の意思を尊重しなくてはならないと思うのですが、まさに警察であれ、マスコミであれ、被害者の意思を尊重ということをするわけだと思うのですが、被害者の意思にかからしめるというのはあまり被害者の一辺倒ということになり過ぎまして、やはり全体的なバランスというもの、被害者の保護とのバランスというものを考えなくてはならないと思うのですね。その場合に、被害者の意思を尊重するのは重要ですけれども、より民主主義の根幹である制度そのものの重要性というものに着眼すべきであろうかと思います。ですから、被害者の意思にかからしめるというところだけではとても賛成できませんし、警察の方によるというのではなくて、やはりマスコミによると。ただ、これはくれぐれもマスコミによる著しい被害ということは誰もが感じているところでございますので、そこは十分に反省をしていただかなくてはならないところであろうかと思うのです。意見はそうなのですが、久保構成員にお尋ねしたいのですが、これは外国などのマスコミではどうなっているかご存じですか。

○久保構成員 ちょっと詳しくは。

○山田構成員 失礼しました。

○岡村構成員 今の意見ですけれども、民主主義の建前から言ってということですけれども、民主主義というのは、みんなが幸せになるために人間がつくった制度ですね。その制度を前提に振り回されてはたまりません。その制度が破綻しているならば、それは変えなければいけない、取材の自由とか言論の自由とか、報道の自由というものが国民生活を苦しめるものであるならば、それを変えていくのが進歩というものであって、今までの既成概念にとらわれるべきではないと思います。
 それから、被害者の意思にかからしめるという言葉がいけなければ、被害者の同意があったときに限りとか、そういう表現でもいいと思います。いずれにしても実名ですべてを発表しなければいけないというご主張には私は反対です。

○大久保構成員 私も実名報道には反対という立場です。以前、出させていただきました資料にもありますように、実名報道された後の被害者の長きにわたる二次的な被害ですね、報道されたことによって周囲からも孤立してしまう、そこに住むことさえもできなくなってしまう、そういう現実を重く受けとめていただきたいと思います。ですから、やはり被害者の同意があったときには実名報道でも構わないというような形にしていただきたいと思います。
 実はこのことに関しましても、私は、基本法が始まりまして、メディアの方から取材を受ける機会が何回かあります。そのときは、ぜひ基本法全体を取り上げて広く社会にも知らしめて新たな一歩を踏み出せるようなものにメディアの皆さんもぜひ後押しをしてくださいとお願いをしますが、それが形となって報道されたときには、それでもまだ問題がある。それは被害者の実名報道か匿名報道かというような形で、結局メディアの方に偏った形でそれがまとめられるというようなことを体験しております。先日も、あるメディアの方から、理解を深めたいので、メディアの皆さんに対して被害者が置かれている実情などの話をしてほしいという依頼がありました。私はそのときお願いしたんですね、まだまだ日本では被害者支援の必要性が十分理解されていませんので、被害者支援の必要性もぜひ番組にしてくださるのであれば、私はそこへ行ってお話をしますということで行って参りました。その後、その方から連絡があったのは、実名報道か匿名報道かで特別番組をつくりますので協力をしてください、また、そのように言われてしまいました。もう少し被害者がどれだけ実名報道することによって長く苦しみ、社会生活ができなくなっているのかというあたりにも視点を当ててメディアの皆さんには物を考えていただきたいと、心からそのように思います。

○山上座長代理 どうぞ。

○山田構成員 岡村構成員の結びの方のご発言も、ただいまのご発言も、実名報道の弊害、それから匿名報道のプラスという点についてお話をされておりますが、今、最前からここで議題となっている論点は、実名報道か匿名報道かということではなくて、その判断を警察がするのかマスコミがするのかという点であったかと思うんですね。実名報道、匿名報道、これについては、大方匿名報道の重要性というもの、それからまた実名報道の持つ意味合いというものもそれぞれの方々が理解しておられると思います。問題は、マスコミに委ねるのか、あるいは警察に任せるのか、本当に警察に任せていいのかという点にあろうかと思います。

○大久保構成員 1つ追加をさせていただきます。実は被害直後の被害者は、周りからいろいろ聞かれてもどのように答えればいいのかさえもわからない混乱状態にあります。そういうときに警察の方の十分説明を受けて、話し合いをして、そして決めていくというのであれば、それは被害者に害を与えるものではないと思っております。それとあと、先ほど外国ではどうなのかというご質問がありましたが、アメリカなどでは、実は被害に遭いましたら、被害直後から被害者支援センターがメディアに対する要望事項、あなたはメディアに対して取材を断る義務もあるのですよ等、20数項目書かれた用紙をきちんとお配りするというような体制も整っているわけですね。

○山上座長代理 取材を断る権利ですね。

○大久保構成員 そうですね。取材を断る権利があるというようなことが20数項目書かれたものが配られる体制になっているわけです。日本では、被害直後の支援の確立もまだできておりませんので、そういうあたりでは、やはり警察にお願いをするしか現状ではないわけなのです。その点もご理解いただいて、被害者の意向が伝わるような形で実施していっていただきたいと思っております。

○山上座長代理 どうぞ。

○井上構成員 山田構成員の問題の捉え方も不正確で、実名報道すべきかどうかを警察にコントロールさせるかどうかという問題ではありません。報道機関に報道の自由ないしは取材の自由があるかどうかという点では、そのような場合にもそれはあるのであって、それに対して直接何か規制を加えるというものではないわけです。むしろ、警察がその報道のためにどこまでの情報を提供すべきなのかという話だと思います。その点については、さっき警察庁の方もおっしゃったと思いますが、基本的には、当の情報を集めた行政機関の責任と権限において判断すべき事柄であり、それについてどのようなことをどの程度配慮してくれというのか、というのが、ここでの論点であるはずです。ただ、新聞協会とか久保構成員、あるいは山田構成員が懸念されているのは、要するに、今の事件取材・報道の実態として、ほとんどすべて警察発表に依存しているということがあり、それを当然のことのように前提にした話だと思うのですね。そのような実態それ自体、本当にそれでいいのかは疑問の余地のあるところですが、そういう実態を前提にして警察から情報が出てくるのがせき止められると、報道が事実上規制されるのではないか、そういうご意見だと思います。しかし、その点は他方で、これも構成員自身がお認めのように、被害者の方のプライバシーあるいは生活の平穏を守るという必要があることも否定できないのであって、その両方を個々の事案に応じて考え、どこまでの情報を提供すべきかを警察が判断してもらっていいのかどうかと、こういうことだと思います。警察が判断してはいけないとなると、ではどこが判断するのかということになるわけで、どこが判断できるのか、また判断させるのが適切だといえるのか。今までも、警察としては、すべての事実を明らかにしなければならないという義務を負っているわけではなく、具体の事案に応じて、自らの責任で、どこまでの情報を開示するかということを適宜判断してやってきたと思います。その開示の範囲をさらに広げろという議論なのかどうなのか。その判断の仕方について、こういう意見とこういう意見があり、その両面を踏まえなさいとなっており、報道の自由に資するという面も十分考慮してくれと、そういうことも入っているわけで、私はこの原案の書き方、両者を対立させているように見えるところは久保構成員が言われるように気になるかもしれませんが、この原案は、そういう点を十分踏まえた書き方になっているように思います。そういう意味で、原案を支持したいと思います。

○岡村構成員 被害者の意思に関係なく警察が発表するということになっても困るんですよね。被害者にとっては、事件直後に取材にわっと来られると何が何だかわからないわけです。一定の時期が来れば、被害者自身もむしろ聞いてもらいたい、社会に訴えたいという時期が来ると思います。そのときに取材しても遅くないのに、マスコミの方々は、事件直後が賞味期限と考えてわっと寄ってくるんですね。そうして、他社よりも一歩先に抜け出そうとしていろいろな攻勢をかけてくる。ここが大変なわけでして、やはり被害者の意思を尊重して警察が発表するかそうでないかを決めてもらえばいいと思います。こうしていただかないと、実際、被害者は生活できません。私の体験からいっても、私も1カ月間、ほとんど家から出られませんでしたから。買い物にも行けないので、コンビニから運んでもらって生活していました。近所の人たちも1軒1軒、何回も取材を受けて、マイクをぱっと玄関の中へ入れるものだから玄関を閉めることもできなくて1時間も取材をやられたと、そういうことがあるんですよ。だからもっと落ち着いてから取材するならすると、そうなさればいいと思うんですよね。そして実名を知るということは事件の核であると新聞協会は書いてありますけれども、私は被害者の名前が核じゃないと思うのです。尼崎事件の核はやっぱり脱線転覆であって、乗客の名前が事件の核ではないと思うのです。ここは被害者を保護するためにどうするかということを議論する場所ですから、ぜひマスコミの方々もそこを理解していただきたい。実名発表をマスコミが判断をするということになったら、これは必ず押しかけてきます。我々にとっては耐えられないことです。その後の報道も、匿名でされたとしても、その地域のかなり広い部分の方々にはわかるのです。結局、そこに住めなくなって引っ越すという人たちもいます。引っ越しの相談を受けたこともあります。

○山上座長代理 私のちょっと感じることを述べたいのですが、警察の権限に関して言えば、この報道に関する発表を制限するというのは、権限が特に事務局案によって強化されるという意味ではなくて、逆に警察が従来自分で集めた情報を、犯罪の被害者に関してはある程度、慎重にはしたのでしょうけれども、それ出されすぎるために被害者が随分二次被害を被っているという状況があるから、むしろその発表を制限してほしい、発表についての権限をもう少し慎重に行使してほしいということです。被害者の立場とかいろいろなものを配慮してほしいということであるから、むしろ警察に権限を任せるということではないのだろうと思います。
 それから、警察自体、犯罪被害者保護の問題を本来の職務として位置づけているわけですから、被害者に対する配慮というのは当然する能力があるわけですので、そういう配慮をもってするというのは、むしろ被害者のためになるだろうと思いますし、こういう基本法の理念に沿った対応につながっていると私は感じております。

○久保構成員 確かに取材の問題というのは、かなり犯罪被害者の皆さんに負担をおかけしているという部分は否定しませんし、それについては、前回の骨子案のときに出させていただいた資料で、取材の改善についてはかなり各メディアとも真剣に取り組んでいると。その部分については、我々の今後の努力を見ていただきたいというのが1つと、前回に書いたために、今回あえてその重複を避けるために書かなかったわけです。
 そしてもう一つは、今おっしゃったように、確かに警察が自分の責任においてというのは私も正面から否定するつもりは全くありませんで、先ほど申しましたように、それはそれとしてやる。ただし、それはお互いの阿吽の呼吸でやっているので、だからここにあえて書く必要があるのかどうなのかということに私は疑問を出させていただいたわけですけれども、発表というものは、やはり被害者があり、それから発表する主体があって、それを受けとめて、またその国民に知らせる、我々も一方の当事者であることは間違いないのでありまして、ですからそこのところの判断が、一方的な、恣意的な警察の判断で行われることについてかなりの危惧を持っていると、こういうことでございます。

○片桐構成員(警察庁) 先ほどから一行政機関警察が恣意的に判断しているのではないかということでございますが、別に我々は決して恣意的に判断しているつもりはございません。確かに昔はいろいろあったかもしれませんが、報道機関の果たすべき役割については、これはもう現場レベルまで十分承知をしているつもりであります。他方で、被害者に直接に接する者として被害者の立場とか権利利益についての理解が進んでいることも、これは間違いのない事実でありまして、現場の捜査員は、この両者の狭間でもって非常に苦労しているというのが実態でございます。ぜひその点はご理解いただきたいし、我々は決して情報を隠そうとか操作しようとか、そういうふうな恣意的な判断でもってやっているわけではないと。いずれこれは公判になれば全部わかるわけでございますから、そんなことはするはずがないわけでございまして、それはないということはぜひご理解をいただきたいと思います。それから、我々がもし実名を公表できない場合、これはその理由を報道機関に対してきちんと説明をいたしますので、それがもし間違っていればぜひご批判をいただきたいと思います。
  また、この新聞協会の中にもあるんですけれども、警察が被害者の声を仲介する場合は警察と真摯に協議するとありますけれども、我々も報道機関と被害者の間に立って必要な橋渡しはするつもりでおりますので、決して報道機関の取材を妨害しようとか、恣意的に抑えようとか、そういうつもりは全くございませんから、ぜひその点はご理解いただきたいなというふうに思っています。
  あともし個別に問題があれば、それは現場レベルできちんとお話をいただきたいということでございます。

○岡村構成員 その場合に、やはり被害者の意見は聞いて、警察は被害者の立場を考えてやられるんでしょうね。被害者抜きでマスコミ対警察の間だけで処理されては困るわけですから。

○片桐構成員(警察庁) これも昔はいろいろあったかもしれませんが、すべて被害者のご意向を伺っているかどうかといえばそうではないと思いますが、ただ、被害者のご意向を伺うケースが相当増えているということは現場から聞いております。被害者の方から匿名にしてほしいというご要望があれば、中身にもよるのですが、要するに取材も受けたくないという方と、取材を受けてもいいけれども匿名で報道してほしいとか、両方あると思うのですが、その後者の場合には報道機関に名前をお知らせして取材はしていただくというふうなことをやっていると思いますけれども、前者の場合は、最もこれは悩ましい問題でございまして、どうしても取材にも応じたくないという方については、我々現場レベルでは相当被害者のお考えも尊重しながら運用していると考えています。

○山上座長代理 この問題は意見が分かれているので、それぞれで確認いただければ。

○小西構成員 実際に被害者の方にいろいろお話を伺っていると、マスコミが全部決めてあげるから大丈夫だというのはやはりとても無理。今おっしゃったように、マスコミの中に、メディアの中にそういうことを真摯に考えていらっしゃる方がいて、報道も改善されてきていることはわかりますが、現実としてそうでないメディアというのは、どうやってもこれからもそうだろうということもある。一方で、警察も非常に努力されてきて変わってきていることは知っていますけれども、幾つかのケースですね、非常に不適切、被害者の支援という立場から見たときに不適切なことがあったのは間違いないことだと思います。そうすると、要するにどちらが決めるかというレベルで言われると、多分被害者の立場から言えばそれはどちらにも任せたくないし、そのことについて決定したいと、自分も関与したいというのが被害者の方の言われることではないかと、私は自分の経験から思いますので、私の結論としては、原案の中に「被害者の意思を尊重して」というようなことをちゃんと盛り込んでいただくということを条件に原案のとおりでよろしいのではないかと思います。

○久保構成員 この書き方だと、前段では、被害者の匿名を望む声とマスコミの知る権利を理由とする実名報道と、こうあるので、それで今おっしゃったように、「被害者の意思を尊重し」みたいなことを入れるならば、やはり我々の意思も尊重してもらいたいというふうなところで、前段で2つ並べてある以上はやはり、「意思を尊重し」というふうなことを入れるのであれば、「双方の」とか、そういう部分を入れていただきたいと思うわけです。

○山上座長代理 今の「被害者の意思を尊重して」というのは、具体的にはどういうような形でどこに入れるのがよろしいでしょうか。

○小西構成員 17ページにもとの原案がございますが、入れるとしたら、「総合的に勘案しつつ」のところに「被害者の意思を尊重し」というのを入れればいいのではないかと思います。あるいは「被害者の意思に配慮し」と。すべてのケースが被害者のおっしゃったとおりにならないのではないかと、実際にそういう件があるだろうということは私は予想しますので、被害者の決定のとおりにとはここは書けないところだと思います。ですので、「配慮」あるいは「尊重」だというふうに考えております。

○井上構成員 その点は、久保構成員のご意見も前段のところに既に入っているのではないかと思います。それを、さらにどちらかだけ付け加えると、バランスが欠けることになり、後ろの方の要請もまた再度書かないといけないということになります。匿名発表を望む意見ということで被害者の方のご意見を十分踏まえることになっているのではないかと思います。

○山上座長代理 プライバシー保護というのもありますしね。中島構成員、何かありますか。

○中島構成員 私も被害者の方に接して、実名が報道された場合に非常に苦労されるということは十分理解できますので、慎重な発表が行われるということについては、ぜひそのように考えていただきたいところですが、同時に例えば非常に犯罪等が公益にかかわる問題である場合に実名で報道されなければならないという事情もあるだろうとも思います。このところは、警察が既に今までにも行っている被害者の要望とその公益性を勘案してやっていることをさらに慎重に行うべしと書いてある部分であると思いますし、被害者等の意見、マスコミの自由、また、その段にもプライバシーの保護、公益性の事情と両方書かれておりますので、私はこの文面でよろしいのではないかと思います。

○岡村構成員 何回も繰り返すようですけれども、被害を受けたために何で国民の知る権利の義務、つまり知られる義務をなぜ負わなければいけないのかということですよね。被害を受けることだって大変なことなのに国民に知られる義務まで背負わされるということは、被害者には耐えられないのですよ。小西構成員がおっしゃったように、「被害者の意思を尊重し」などの表現でもないと困ります。原案では両方調和をとってということになっておりますけれども、被害者にとっては、被害を受けた上にそれが報道されたり、取材をされたりすること自体が嫌なのですよね。それを我慢しなければいけない社会なら、正直言って、私はもうこんな社会に住みたくありません。なぜ被害を受けたために国民の公益に奉仕させられる義務を負うのかということなのですよ。その答えがないのですね。いろいろな方、マスコミの方に私は質問しました。「何で被害者は被害を受けた上に公のために協力する義務があるんですか」というと、どなたも答えてくれません。

○久保構成員 あまり論争はしたくないのですが、国民の知る権利に奉仕する、我々としての使命、仕事というのがあるのですけれども、それに被害者が協力する義務があるとは私も考えておりませんが、例えば今回、構成員のお書きになっておりますように、尼崎の事故につきましても、やはり核心は確かになぜぶつかったか、脱線したかということだろうと思うのですけれども、ただ、その背景をいろいろ探っている中では、やはり被害者というものが欠かせない情報としての一つの要素になると思うのですね。だからそれについて再発防止を考える上で協力をお願いするというふうなことは、例えば犯罪のデータとか調査研究の蓄積について犯罪被害者等の協力を求める行為というものとそれほどかわりはないのではなかろうかと思うわけです。

○小西構成員 法律の専門家ではないので、非常に素人くさい考えで言わせていただきますが、専門家の方がどう思われるかわかりませんけれども、多分一般の人はそう思っていると思うことなのですが、例えば少年事件の加害者について匿名にする。それは事件の核心であっても、当然みんな少年の権利を守るため、あるいは教育的配慮で報道しないというふうになっているわけですね。それから、とても大きな事件の加害者が出所するときにも、それは個人の権利だから報道しないということになっている、これは「なっている」からじゃないかというふうに素人には思えるのですね。では、どうして被害者はそういうときに「なってない」のか。恐らく法律的にはたくさんの議論があると思いますよ。でもそれは多分普通の人にとっては、どうもそういうふうに決まっているらしい、決まっていて非常にバランスを欠く、そういう気持ちになるのが普通だと思います。
 私は全然法律のことを最初知りませんでしたので、法律の専門家に聞きますと、あんたは専門ではないから、知らないからだ、法律の常識がないからだと、ずっとこの被害者のことをやっているときに言われてきました。そういう点では、なぜそうなのかというところから、そのバランスということについては本当は考えなくてはいけないことなのだと思います。
 ですから、あまり紋切り型で言われているような報道の自由とか、もちろん大事なことだと思いますけれども、そこだけで議論しているとこのお話は始まらないのではないかなと思っています。

○山上座長代理 この部分について、何か。

○岡村構成員 アメリカでは、たしか実名発表をしないというのが原則になっていると聞いたことがあります。

○大久保構成員 先ほど久保構成員がおっしゃった中に、被害者は欠かせない情報だとありましたが、岡村構成員もおっしゃいましたけれども、被害者でも直後は混乱をしていますし、報道されるということで迷惑を、たくさん二次的な被害を受けるものですから、それを嫌がる方がほとんどです。ただし、2年、3年経ったときに、この被害者が置かれている理不尽な状況は何なのだろうか、社会にぜひ訴えたいと、そういったときは実名で堂々とメディアの取材を受けたいという方が反対に増えるはずですので、そういうときにメディアの方はぜひ取り上げていただきたいと思いますし、今回のこの犯罪被害者の支援の必要性なども広く社会に広まってきたのも、メディアの方の大変大きな力があったということでありがたいと思っておりますので、特にこの発表するときの実名か匿名かにあまりこだわらなくても、メディアの方はメディア本来の立派な仕事ができるのではないかと、そのように思いますが。

○山田構成員 先ほどの井上構成員のお話であるにもかかわらず、やはりお聞きしていますと、要は実名報道をしない方がいいとか、あるいはすべきかすべきでないかというところにずっと話が続いているように聞こえます。それはもう被害者の立場を考えれば、実名報道をする必要もない、してはならないというか、する必要もないだろうと思うのですね。ただ、それをマスコミの方を主体的に考えて、報道の自由と民主主義の導入というものをやはり基盤に置くということは重要である、これは繰り返しになりますのでもう申し上げませんが、そのように思います。

○山上座長代理 繰り返しになりますけれども、ただ、マスコミにいったん公表してしまうと、そういう規制が自主的に常識的にできるところと、そうはできないところも一緒になってしまいますので、恐らくそういう責任をマスコミとして取り切れるのかどうかという問題も起きると思います。

○岡村構成員 私どももいろいろなことを提案いたしました。例えば代表取材とか、ある新聞社か、報道機関が代表して被害者のところへ来て、取材に応じてもらえますかとか、もし「応じますよ」と言えば、その1社だけがやるとか、数社来てもいいですかとか。「嫌です」と言えば、それではその気になったらご連絡くださいと言って帰るとか、いろいろなやり方がありませんかということを提案してきたのですが、真剣に考えてもらえませんでした。大変残念だと思います。4年間、私はそれを随分やってきました。

○久保構成員 真剣に考えられないというのは、どういう。

○岡村構成員 考えてくれなかった。

○久保構成員 報道の側が。

○岡村構成員 はい。

○久保構成員 だけどそれは、この問題は、やはり被害者を傷つけて済むという時代ではないということはほとんどのメディアは十分に認識しておりまして、それについてかなり真剣に各社とも組織を持って研究したり、議論したりしているのは間違いないと思います。

○井上構成員 ちょっと堂々めぐりになってきているので、そろそろこの辺ご意見をまとめていただいた方がいいと思うのですが、今の久保構成員のご意見は、や建前論にとどまっているように思います。実際、いろいろなメディアがあり、いろいろな人がいて、確かにおっしゃっていることは正論なのですが、実態としては必ずしもそのとおりになっていないというのが実情だと思います。被害者の方たちは、そういうことをご心配になっているのでしょう。
 伺っていてもよくわからないのですが、この文章を削除することによって、逆に、警察は今配慮していることもやめて、すべてマスコミに対しては明るみに出せというか発表しろと、そこまで言おうという趣旨なのでしょうか。さっきからのお話では、おそらく、そうではないのだろうと思います。そうすると、この文章を置くことによってどういうことが起こると懸念されているのかが、まだよくわからないのです。警察は現状よりますます情報を閉ざすだろうと、そういうことなのでしょうか。その点については、先ほど片桐構成員がおっしゃったように、必要もないのに閉ざすメリットはどこにあるのだろうかという感じがします。この文章の趣旨は、今でも十分配慮して運用されているのをもっと慎重にしてくれということに尽きると思うのですが、それを「恣意的」というのは、言葉がどうも躍っているような感じが私もします。

○久保構成員 今の最後の点につきまして、骨子案のときにお話ししたのですが、やはり現実に一線の警察での発表が、かなりの匿名発表というものが広がっているのは間違いないんですね。そして、それについて我々も各警察に、これはもちろんおっしゃるように警察庁が云々できる話ではなくて、各警察に交渉したりいろいろなことをやっておるという現実がございまして、今回、こういうことがありますと、これが物差しになって、事件ごとに警察が適切に判断して発表していくのだというふうなことが、また全国の警察の物差しになっていくと、そして匿名発表がさらに広がりを見せる、そういう点を我々は危惧しているということでございます。

○岡村構成員 私たちは、被害者の同意をとってから警察が発表してくださるようにと、こういうことを願っているわけなのです。一切発表するなというわけではなくて、被害者の同意をとってやってくださいということです。

○山上座長代理 現実に今も性犯罪の被害者とか子どもが被害者になっている場合、匿名にしている場合が当然あるだろうと思うのですけれども、そういうことを考えると、ここに書いてあるのは、今取り組んでいることを今後より慎重にということで確認していることで、改めて削除しなきゃならないことでもないと感じるのですが、どうでしょうか。現状がまずいということなのでしょうか。

○久保構成員 おっしゃいましたように、現実に今、警察がおやりになっていることを書いたということなのですが、それは我々とのいろいろな交渉の中で歴史的な経緯もございまして、阿吽の呼吸でやっているということを、今回ここに、逆に言うと、削除しなければいけないというのではなくて、あえてここになぜ出さなければいけないのかということもお伺いしたいと思います。

○山上座長代理 恐らく警察、マスコミの阿吽の呼吸じゃなくて、被害者をきちんと視点に入れて、その施策の中に入れるべきだという考えなのだと思います。

○久保構成員 それはもういろいろな要素を加味して、現実に阿吽の呼吸でやっているということですね。

○井上構成員 そこは岡村構成員はじめ大久保構成員もそうだと思いますし、あとお二方もそうだと思うのですが、もっと強い形で書け、つまり、被害者の意思を尊重するとか、それを前提要件にしろと、こういうご意見もあるところなのです。それをこのくらいに抑えて書いているということなのではないですか。だから、書かないということに対しては非常に強い反対意見になるだろうと思います。おっしゃるような阿吽の呼吸には任せておけないというのが反対の立場のご意見なので、これまで議論して、骨子の段階でこういう文章を入れたということではなかったでしょうか。

○事務局 「その2-1」の資料の21ページ、内閣府意見という形で記載しておりますが、どういうことでこの施策が入ったかというのは、今、井上構成員からもお話があったものと同じことでございますが、要は被害者等の方々から匿名発表をしてほしいというご要望がヒアリング等であって、それはほかの被害者の皆さんのご要望と同じように一つ一つについてご議論をいただきました。その結果、匿名発表を望む犯罪被害者等のご意見と、それから報道の自由とを理由とする実名発表を望むマスコミのご要望等を踏まえて、プライバシーの保護と発表することの公益性等、総合的に勘案して個別具体的な案件ごとに適切に行われる、あるいは配慮していくという、まさにこういうことで入ったわけでございます。
 それで今までずっとご議論をいただいておりますけれども、まさにこういう経緯で入ったものでございますが、新聞協会等からのご意見、それから今までのご議論を伺っていまして、大変強いご懸念の中に、安易に匿名に流れてしまうのではないかというご懸念が示されているわけですが、例えばそういったご懸念を踏まえた上でこの部分を修正すると。例えば報道についての公益的な使命ですとか、あるいは匿名発表が安易に拡大することによる懸念だとか、そういったものを書き込むことによって、ご意見の一致を見られればいいなと思うわけでございます。
 それで、もしよろしければ、今までのご議論を踏まえた上で、この会議中にまた再びこの点についてのご議論をいただく前提となる「たたき台」を事務局の方で今から準備をさせていただいて、それをお示しした上で再度ご検討いただければどうかと思います。本日、まだほかにもご議論いただかなければならない案件もございますので、そういう形でよろしければ今から準備をいたしますので、その間にほかのものもご議論いただいて、そして最後にまたこのご議論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○岡村構成員 ただ、新聞の公益性だけを考えて一つの案をつくられるということでは困るんですね。

○事務局 あくまでもここでご議論いただくための「たたき台」でございますので、またそれを踏まえていろいろご議論をいただければと思います。

○岡村構成員 これよりも後退したような格好になるのですか、私たちの意見が。マスコミの方が強くなるようなたたき台になるのですか。

○事務局 ご議論のために何か具体的なものがあった方がいいのではないかというご提案ですので、そのご議論のためのたたき台をまたご覧いただいた上で必要なご議論がいただければと思います。もしよろしければ、そういう準備をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大久保構成員 1つ質問なのですが、この内閣府の原案に対しましては、ほとんどの構成員はこれで構わないという意見なのですけれども、それでもお一人でもお二人でもやはり納得できないという方がいらっしゃれば、とことん全員が納得するまでずっと進めるということでしょうか。

○事務局 今までの施策についてのご議論もそうだったと思うのですが、犯罪被害者等の方々からのご意見について、このご議論の場で一つ一つ検討していただきました。そして、例えばかえって被害者等の方々のためにならないとか、あるいは公共の福祉に反するだとか、あるいはほかにもっといい案があるというものでない限りはできるだけ盛り込む、そしてそれはご意見の一致を見たものということでございますので、事務局としても、できれば皆さんのご意見が一致するまでご議論いただきたいと考えてございます。これは構成員の先生方の間で、ご意見が対立しているご議論ですので、そのようにさせていただけたらと考えております。

○大久保構成員 わかりました、どうもありがとうございました。

○山上座長代理 事務局でそういう準備を進めていただいて、次の課題に移りますけれども、どうぞ。

○小西構成員 「基本計画案試案その2-1」にかかわる別のことということでよろしいですか。

○山上座長代理 結構です。

○小西構成員 すみません。意見を述べておりますので、それについて言わせていただきます。2ページのところですが、この意見のとおりなのですけれども、幾つかちょっとさらに変えた方がいいと思うところがございます。
 1つは、「罹患している者」というところをもう少し明示した方がいいと、これは意見どおりですが、「もの」という言葉に換えて「精神的な後遺症」というふうに入れた方がいいということと、それからもう一つ、最初に「重度のPTSD等重篤で難治性のもの」と、言葉が重ねてあるんですけれども、まずはPTSDの訳語なのですが、今、DSM-ⅣあるいはICD-10と、普通に日本で使われている診断体系の中では「外傷後ストレス傷害」と訳されているようですので、それは「心的」を取った方がいいと思います。
 それからその下の方に、私は、「重度のPTSD等犯罪被害に対する重篤で持続的な精神的後遺症」というふうにすることを提案しておりますけれども、中島構成員の意見も伺いまして、この重篤が2回重なっていますので、「重度のPTSD等犯罪被害に対する持続的な精神的後遺症」とするのでいいのではないかと思います。
 なぜこんなことをごちゃごちゃ言っているかということがわからないと思うので少し説明しますが、事件の後、起こってくる精神的後遺症というのは、必ずしもPTSDだけではありません。その他のこともたくさんありますし、それから、むしろなかなか精神障害として認定できないようなこともあるわけで、やはり総合的に考えていくということが必要だということで言っています。それから、重度のPTSDといった場合には、既に重篤だし持続的だということはわかっているはずなので、重ねる必要はないのではないかということがあります。というところで、変更をお願いしたいと考えております。

○山上座長代理 これについてどなたかご意見ございますか。中島構成員、何かございますか。

○中島構成員 私も同意見を述べておりますので、PTSDの翻訳につきましては、やはり既に精神医学的な概念として成立している言葉を、つけた方がよいだろうと思われますことと、同様に「もの」という言葉ですとちょっとやはり不明確かと思われますので、それなりにそれが精神的な長期な影響を残しているということが理解できるような言葉の方がよいかと思います。

○事務局 確認をさせていただきますが、そうしますと、この部分は「重度のPTSD(外傷後ストレス傷害)等重篤で持続的な精神的後遺症」ということでよろしいのでしょうか。

○小西構成員 「重篤な」は要らないと思いますが。

○事務局 それともう1点は、同じ「その2-1」の資料で5ページになるのですが、(2)の表現ですね、「重度のPTSDと重度ストレス反応の治療等のための高度な専門家の養成云々」という、ここの表現は。

○小西構成員 ほぼ同じようなものを指しているのに別の言い方がされているので非常に気になることはなるのですが、もし後遺症というふうに訳していただくと、こちらは治療について述べているところなので、医学的な概念としてだったら「重度ストレス反応」でもいいかなというふうにも思うのですが、重度のPTSDと重度ストレス反応というのも何だか変な感じだなとは思います。重度のPTSDと持続的な精神的後遺症─治療という言葉につなげるために、全く同じにするということでもできると思うのですが、ここはこのままで結構です。医学的な言葉の使い方からして、ちょっと引っかかるところがあることは事実なのですが、このままで構いません。それが私の意見です。

○中島構成員 もともとそこは私の方で意見を出させていただいた部分で、5ページの方の(2)につきまして、これは治療に関連するので、より医学的な言葉を用いた方がよいだろうということで、前段と少し言葉を変えることを以前提案した記憶がございます。重度ストレス反応としましたのは、PTSD以外の様々な精神疾患すべてというのを書くのはなかなか難しいのですが、ICD-10の概念でPTSDの含まれる症状が重度ストレス反応という概念でとられておりますので、それに倣いまして、より医学的なニュアンスを含めたということで、そのように提案させていただいたという次第です。

○山上座長代理 今の問題について、厚生労働省、何かご意見ございますか。

○新村構成員代理(厚生労働省) 特に意見はございません。ちょっと確認をさせていただきたいのですが、「心的」を取るということと、「重度のPTSDと犯罪被害に対する持続的な精神的後遺症」というのが最初の議論で、後の5ページの(2)は原文のままという理解でよろしいですか。

○小西構成員 結構です。

○大久保構成員 お二人の専門家の先生のご意見ですので、それを尊重する形でこちらの中に入れていただければと思います。

○山田構成員 「その2-1」の12ページをお願いします。一番上段で、「警察において少年被害者が受ける精神的打撃の軽減を図るため云々」というところでございますけれども、これは意見を出させていただいてはおるのですが、半分ぐらいはお尋ねでもございます。警察へのお尋ねでもございますし、ほかの方々へのご質問でもあるのですけれども、警察が持続的に、継続的に支援を推進するというふうな括りで読めるのかなと思うのですが、失礼ながら警察は第一線にあって、よく被害者、加害者のことを知っていらっしゃるわけでしょうから、適切なアドバイスというものの一番直近にいらっしゃると思うのですが、カウンセリング、特に少年などの場合、非常に難しいこともありますので、継続的に警察にお任せするということでよろしいのかどうか、いささか疑問がありますので、お尋ねしたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) では、実態をご説明させていただきたいと思うのですけれども、警察では全国に少年サポートセンターというものを設置しております。ここには、少年相談、継続補導、被害少年に対する支援等に関する専門的知識・技能を有する職員を配置いたしまして、相談等に対応しております。こういった職員に対しましては、警察大学校等でカウンセリングに関する専門的技術の教育を施しておりまして、また、これと同時に、臨床心理士の資格を持っている方も相当数この中には含まれております。
 また、仮にこれらの職員では対応できない場合には、被害少年カウンセリングアドバイザーという形で委嘱をあらかじめしてあるのですが、臨床心理士の方とか、精神科医等の外部の専門家の助言を受けながら対応しているところでございまして、したがって、現在、ここに書かれておりますような継続的な相談に応じたり、また補導をするということは可能な体制になっているということでございます。

○山田構成員 被害者の方々、今のご説明で納得されるようなところがあるのですか。それならそれで結構なのですけれども。

○小西構成員 当事者ではないんですが、警察がそういうカウンセリングの、今言われた教えに行ったり実際にしている者の立場からちょっと申し上げますと、むしろ警察がほぼ入っていただけるのは、特に被害者に関しては直後の時期が多いわけです。この時期には、なかなか被害を受けた方が、その他のところにアクセスすることが非常に難しい、例えば事件でも呆然として1時間後というようなときに入れるところが、やはり警察のかかわりがある人というのでないと、なかなか信用されないというような現実があるのですね。緊急の時期における警察が持っていらっしゃるカウンセリングの体制というのは、むしろ私はもっと拡充してもらいたいと思っているのです。ほかの者が入れない時間、入れない領域なのですね。やはり、確かにそれだけではうまくいってないケースもありますから、ここに書いてあるように、民間支援団体や、あるいはその他の警察とかかわりがない専門家が入る余地というのは確かに残っていた方がいい、そういうのも伏線としてあった方がいいと思います。
 それから、スーパービジョンなどが現在、やはり足りないのではないか。もう少し、むしろ技術を上げてほしいと思っていることはたくさんありますけれども、これを不向きであるというのはちょっと現実の被害者の支援の連続的な流れからいって、無理があるのではないかというふうに、私の立場からは考えております。

○中島構成員 私の方で意見を、ぎりぎりになって出してしまったので、厚生労働省の方ではご回答いただくお時間はなかったものと思いまして、ここで確認させていただきたいのです。1点が、7ページになりますが、これはあくまでもパブコメを踏まえた上で、この案そのものに対して修正を加えてほしいということではない意見でございまして、現状の例えば思春期青春保健対策の研修会で、より児童虐待等に関する研修を充実させるであるとか、そういったお考え、あるいはそのご検討が厚生労働省においてなされるものかどうかということについてご回答いただきたいという趣旨のものでございます。

○新村構成員代理(厚生労働省) 厚生労働省では、PTSDに関する研修会、あるいは思春期問題に関する研修会をやっておりますけれども、さらに犯罪被害者の方々の立場、実情などを踏まえて、どういった専門家を要請、研修していくべきかということは検討する必要があると考えておりまして、現在、厚生労働科学研究も活用して、専門家の先生方による研究を始めたところでございますので、その成果も踏まえて必要なあり方を検討して、実施していきたいと考えております。

○中島構成員 もう1点だけよろしいですか。10ページになります。これも、パブコメの方の意見を踏まえて、もし修正が可能であり、またそういった施策についてご検討いただけるものであれば、このように修正した方がよろしいのではないかという意見です。児童虐待、DV等につきまして、特に司法領域に提供される資料においては、的確な診断というのが求められている事情をかんがみしまして、もともとは精神医学に限定されておりましたが、これをより他の医療分野に広げた形での研修等につきまして、厚生労働省の方でご検討いただく余地があるかについてはお答えいただきたいと思います。

○内山構成員代理(厚生労働省) 児童虐待で外傷があった場合などに虐待かどうかというのを医療機関でなかなか見分けにくいという現実があるのも確かでございますので、そうしたところについて、医療機関の対応力の向上が、今後の課題だと思っております。あともう少しほかの分野で、例えばどういう分野で研修が必要だという具体的なイメージはあるのでしょうか。

○中島構成員 具体的には今の児童虐待の件が1件と、例えば救急医療等におきまして、外傷を受けた被害者が、それがDVの被害であるとか、あるいは虐待の被害であるということを見極めるということが必要であることと、また司法に関して紹介をするとか、これは司法的な関連を持つものであるとか、通告義務が与えられているものであるといった基本的な知識について、現場の医療の方々が十分な知識を踏めるような研修といったものを想定してお答えさせていただいております。

○内山構成員代理(厚生労働省) 虐待の場合は、当然、対象は子どもですから、それが虐待によるものかどうかということが自分では話せませんので、そういうところは医療機関においての見極めというのが重要だということは、それも認識してございます。DVの場合というのは、それは当然、被害者の方は大人だと思いますので、外傷の場合に当然DVかどうかというのは、外傷の状況にも、むしろご本人がお話しされるというのが通常だと思いますが、そこの見極めをするような知識というのが必要だということでしょうか。

○中島構成員 この点については、この文面のような形でご修正いただけるのかどうかについて、ご検討いただければいいと思います。DVに関しましては、DVの被害者の面接のことを知らないと、例えば加害者である夫と同席面接をしてしまったり、そのことによって被害者が十分な話をできないなどの問題がおこります。DVの理解が不十分だと、我慢しなさいとか、あなたが悪いというような二次被害が起こるということで、やはりそういった知識というものは必要ではないかと考えております。

○大久保構成員 それでは、ちょっと追加をする形で厚生労働省の方にお願いをしたいと思います。最近、犯罪被害に、特に性暴力被害に遭ったという子どもさんからの相談がありますが、そういうとき、児童相談所に行っても、そういう犯罪被害はうちではないからということで、都民センターに回されたり、他のところを回されたり、だけれども、そこでも対応してもらえなかったという事案が増えておりますので、ぜひその点は児童相談所にきちんと通知をして、周知をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。聞いていてくださいましたでしょうか。

○山上座長代理 それはそういう要望ということですね。

○事務局 確認ですけれども、先ほどの10ページの(12)の中島構成員からの修正意見、「精神医学」のところを「関連の医学知識と技術」と修正するということについては、厚生労働省はいかがなのでしょうか。

○塩田構成員(厚生労働省) 修文で結構です。

○山上座長代理 その他の点でございますか。

○三浦構成員(法務省) 「その2-1」の関係で、2点ございます。まず1点目は、4ページでございます。その前のページから来ているわけですが、事務局の方で意見を書いていただいて、そして最後にその修正案というところで6行の修正案が書かれているところでございます。表現の問題なのかもしれませんが、読んでみたところ、やや重複した言葉が多くて、もうちょっとすっきりならないのかなという程度の問題でございます。この「『重症』、『軽傷』という言葉ではなかなかとらえられない重篤な被害というものがある」ということをここで表現したいということでございますので、例えばでございますが、その4行目の「少なくなく、云々」というところをもう「少なくない。」で止めてしまって、あと消しても意味はあまり変わらず、重複もなくなるという感じがします。表現ぶりですので、ほかの方のご意見をいただければと思います。

○山上座長代理 この件についてご意見ございますか。

○小西構成員 医者が2人いるので、何か意見をと思うのですけれども、今のでよろしいのではないかと思います。というのは、「重傷」、「軽傷」といった言葉では理解しがたいという後半の部分は、少し抽象的でわかりにくいですね。しかも、理解しがたいという言葉があまりいい響きでないので、むしろ前半に書いてありますような、長期にわたる治療を余儀なくされたり、あるいは重篤な後遺障害があるという具体的な表現でよろしいのではないかと思います。

○山上座長代理 よろしいですか。そのほかのことでどうぞ。

○三浦構成員(法務省) もう1点は、ちょっと後ろに方になってしまいますが、26ページでございます。ここは25ページから来ておりまして、私どもの方で、「犯罪被害者等の希望にかかわらず」ということの意味が少しわかりにくかったものですから、ご質問をさせていただいたところ、内閣府の方でご回答いただいて、最後に修正案が出されております。ただ、ここを修正した結果、若干どうかなと思うところがございます。と申しますのは、修正案によりますと、「犯罪被害者等が、捜査や公判によって名誉やプライバシーが侵害され、精神的苦痛を受けることを恐れるなどして捜査や訴追を望まなくても、捜査機関からは」、その後は24ページの方を見ないとわからないのですが、「捜査機関等からは捜査や訴追のための協力を求められる。」というふうになることになるのですが、簡単に言いますと、犯罪被害者等は捜査・公判によるいろいろな負担を恐れて、捜査や訴追を望まなくても捜査機関から協力を求められるということが書いてあります。望まなくても協力を求められるということは、引っかかりは2点ございまして、1つは、もちろん被害者の方が捜査あるいは訴追を望まない場合には、内閣府の意見にもありますように、捜査機関の方ではあえて捜査を続けることをしない、あるいは訴追をしないということで配慮することは当然あるわけですので、常に捜査や訴追への協力が求められるという形で書き切るのはいかがかなというのが1点でございます。もう1つは、望まなくても協力を求められると書かれると、これは私どもの感覚かもしれませんが、何か悪いことをしているかのように感じる。私どもの捜査・訴追の事務・業務が、もともとは法令の義務に従ってやっている、まさに公益のためにやっていることで、それがいろいろなご負担をおかけすることは重々認識はしておりますけれども、望まなくても協力を求められるというふうに書くと、こちらが無理やり何かをしているという形のニュアンスが強くなってしまうかなという感じがしたところでございます。
 それで、今日、席上に追加の資料として配付させていただいたところをごらんいただきたいのですが、2枚紙で表に「追加」と書いてあるものでございますが、このような表現はどうだろうかということで、「犯罪被害者等は処罰の必要性という公益上の理由から行われる捜査の過程で、さまざまな負担を恐れるなどの理由から、みずから処罰を望んだ場合でなくても、必要な協力を求められることがある」との意見を提出させていただきました。申し上げたいことは、私どもの立場としては、まさに公益の必要から法令上の義務に基づいて捜査なり訴追ということを行っているわけですので、その辺のニュアンスは多少なりとも入れていただけないかということが1点と、それから最後は「求められる」と言い切るのではなくて、求められることがある、求められる場合としてもらえないかということでございます。そういう形で書くことよって、内閣府の方で表現されたかったことというのは、特に損なわずに表現できているのではないかと思われるので、ご検討いただければと思います。

○山上座長代理 ただいまの提案に何かご意見ございましたらどうぞ。

○事務局 法務省の方からご意見をいただきましたが、その趣旨を踏まえて、基本的に次回までに修文案を、事務局案をお示ししたいと思います。ただ、この中で「様々な負担」ということで、さっと抽象的に修文するとのご意見なんですけれども、やはり犯罪被害者等の方々が置かれている状況というのをきちっともう少し具体的に趣旨が明確になるような記述が必要かなということで、内閣府の修正案としては26ページのような、捜査や公判によって名誉やプライバシーの侵害をされたり、あるいは精神的苦痛を受けることを恐れるというような記述をしておりますので、そういったことも含めて、具体的修文案を次回までに構成員の皆様にお示しするということでよろしければ、そのようにさせていただきます。

○井上構成員 文章表現の点だけなのですが、法務省から示されたこの文案では、文章としてつながっていないように思います。「理由から、自ら処罰を望んだ場合でなくても」という部分で、理由から望んだというところにつながっているとすると変ですよね。だから、そこに何か、「理由から」を受けた文章にしないと、「理由から……場合でなくても」というのも、やはり日本語としてはおかしいと思います。だから、そこの点を適切に修文していただきたいと思います。

○山上座長代理 この点は次回までに修文をということですが、それでよろしいですね。

○事務局 あと、ご議論いただいていないのは、8ページ、9ページ、これは小西構成員からのご意見でございますが、ここをご議論いただければ。

○小西構成員 よろしいですか。ここで意見を挙げさせていただいたのは、臨床心理士に関するところなのですが、それからスクールカウンセラーに関することです。スクールカウンセラーに関して、私だけではなく、複数の方がご意見を述べていらっしゃいます。多分、皆様方が感じた基本的な問題というのは、そのスクールカウンセラーに関する、最初にいただいた文部科学省のお答えは、一般的なスクールカウンセラーの業務というところから出ていないというところがやはり大きかったと思います。特に、具体的に言えば、部屋で待っていてお話を聞いてという形では、被害少年に対しては非常に不十分であるのにもかかわらず、それについての具体的な技能というのは、今のままだと十分には取得できないのではないかというところが、そこからは私の意見ですけれども、そういうことがあって聞きました。ご回答いただいて、連絡協議会を利用するというふうになっていますが、この連絡協議会というものの実情は、そういうことができる場所なのでしょうか。そのことについて、ご説明をいただければと思います。

○文部科学省(板東審議官) 連絡協議会だけということではないと思いますけれども、スクールカウンセラー、現状においては、ご承知のように非常勤という形で来ておりますし、それから被害少年など以外にもいろいろな相談ごとも受けたり、ケアをしていかなければいけないということもございますので、小西構成員からのご指摘のように、必ずしも十分な対応をしていないのではないかというお話があるのですが、むしろその被害少年などに対して、全体として、スクールカウンセラーだけではなくて、校長、教頭などを始めとしての学校全体としてのいろいろな取組ということが必要になってくるのではないのかと。いろいろな機関との連携なども含めて、その協議会の場というのもあるということでございます。

○小西構成員 連絡協議会は、恐らく今、虐待の対応だけでも仕切れていないような状態にあるのではないかと思うのですね。通知するとおっしゃっても、多分犯罪被害そのものに関して、今構成されている連絡協議会が具体的に動ける何かツールを持っているか、あるいはそういう時間を持っているかというと、とても持っていない。連絡協議会というのを挙げていただたいのは、確かに少し最初よりは前進したと思いますけれども、もう少し具体的に犯罪被害にアクティブに対応していくということを何か盛り込んでいただけないかなというふうに回答を見て思いました。

○文部科学省(板東審議官) ちょっと繰り返しになりますけれども、スクールカウンセラーだけでそれを期待するのかどうかという問題が1つあろうかと思います。被害少年に対するいろいろな教育的な、全体の扱いなり、地域、その他とのいろいろな連携なり、今後の対応なりということを考えますと、スクールカウンセラーだけではなくて、学校全体としてやはりきちんとした一体的な体制をみんなで取り組んでいかなければいけないのではないかと。

○小西構成員 そうだとしたら、学校全体の取組について、具体的にどこかに入れていただいていますでしょうか。

○文部科学省(板東審議官) 少しそれを書かせていただいたつもりではあるのですが、ちょっと抽象的な文言にはなっているかとは思いますが、例えば文部科学省資料の2ページのところで、例えば、大久保構成員のご意見に対する回答をさせていただいている一番最後のところでございますけれども、最初の段落のところをご覧いただきたいと思いますけれども、ここにございますように、「学級担任、スクールカウンセラー、養護教諭などを始めとして」と、これにもちろん加えまして、校長・教頭といった管理職というのは当然責任を持って当たっていかなければいけないかと思いますけれども、その学校全体が一体となって、その他のいろいろな機関なども連携を図って取り組んでいくということが、一層進められる必要があるのではないかということで書かせていただいているつもりではございます。つまり、スクールカウンセラーだけでなかなか全体のいろいろな機関との連携、その他について、全部実施をしていくというのはなかなか難しいのではないか。

○小西構成員 今のはすごく矛盾したお答えだと思うのですね。じゃあ現状認識としてどうなのかということでいった場合に、小学校なんかで事件が起きたときに、実際に確かに校長がどのように動くかとか、そういうことに非常に影響されているのですけれども、全般としてうまく動いていない。それから、学校の中でなおケアの体制とか、支援の体制がうまくいっていないという現状認識についてはいいのでしょうか。そうだとしたら、せめてスクールカウンセラーぐらいはその知識を持って、もう少しちゃんと動けるようにしてほしいという「せめて」でこれが出ているわけで、それが全員が動いているからというか、全員が動いていないからというところにまた戻されてしまって、この大久保構成員の意見に対するご回答は、現状認識さえも怪しくなっていると私には読めるのですけれども。

○文部科学省(板東審議官) 今ご指摘のように、例えばこの連携その他について十分かという点については、十分ではないと思っております。これはいろいろなところで、例えば校長会、その他でも繰り返して、そういった具体的な問題なり、具体的な児童・生徒に対して、学校全体で取り組む、それを校長などもリーダーシップをとっていただき、学校も非常にある意味では閉鎖的ではないか、連携が十分に進んでないではないかというご指摘も強くいただいておりますので、そのあたりを進めていくようにということでお話を申し上げているところでございまして、ここのところは不十分であるというご指摘はそのとおりだと思います。

○小西構成員 これもあまり時間をとってはいけなさそうな気がしますので、またちょっと意見を出させていただいて、現状認識が今そういう認識であるというふうにおっしゃいましたから、それについて少し書き加えていただくようなことで、またお願いしてもいいでしょうか。

○山上座長代理 そういうことで。

○文部科学省(板東審議官) 今、現実にどうであるかと、あるいはその改善方策として、そういうことを進めていきたいと。

○小西構成員 改善が必要だということをもう少し書いていただきたい。

○文部科学省(板東審議官) そのあたりの記述は変えさせていただくということはできるかと思います。

○大久保構成員 今のことに少し関連しまして、私が出させていただいた意見は、資料10の2枚目の後ろのページに載せさせていただいていますが、現状のスクールカウンセラーの仕事としては、やはり面談をするというような形が多いものですから、被害に遭った子どもたちを本当に回復させていくためには、もちろん学校の中でも必要ですが、周りの社会資源の活用も必要だと思うわけですね。そういうときには、スクールカウンセラーというよりも、スクールソーシャルワーカーというように、先進国ではもう既に導入されているような、そういう制度も視野に入れて、これからは考えていかなければいけないのではないかということで、この意見書も出させていただきましたので、その点もまた勘案いたしまして、また小西構成員から出される要望とあわせて、まとめていただければと思います。

○山上座長代理 それでよろしいですね。大体「その2-1」のところの意見は出尽くしたかと思いますので、これまでの意見を踏まえて事務局から。

○事務局 それでは、確認をさせていただきたいと思います。「その2-1」の中で、まず実名・匿名発表の関係は、後ほどまたご議論いただくということで、そのほかについての確認でございます。
 まず、1ページの第14条関係、現状認識のところでございますが、一番下の行の中ほどから、「心的)を取りまして、「重度のPTSD(外傷後ストレス障害)等」、その次、「重篤で難治性のもの」を削除いたしまして、その部分に「持続的な精神的後遺症」と修正をいたします。
 4ページの現状認識のところでございますが、重傷、軽傷のところでございますけれども、4ページの四角で囲みました法務省意見を踏まえての内閣府修正案のうち、下から3行目、「余儀なくされたり、重篤な後遺障害を負うことが少なくない。」を削除いたします。
 それから、次は9ページの(12)で、それからこれは11ページの(18)にも関連するのではないかと思うのですが、ここにつきましてのご議論を踏まえた修正意見を後ほど出していただきまして、それに基づいて、修正、調整をさせていただくということにしたいと思います。
 それから、10ページの(13)の施策の関係でございますが、中島構成員のご意見どおり、「精神医学」を「関連の医学知識と技術」に修正をさせていただきます。
 それから、次は26ページでございますが、第19条関係の現状認識のところでございますが、法務省からの追加意見を踏まえまして、具体的修文案を作成し、次回までにお示しをしたいと思います。
 実名・匿名発表以外の「その2-1」につきましての取りまとめ、修正点は以上でございまして、その余のものについては、「その2-1」の案どおりとさせていただきたいと思います。

○山上座長代理 今の報告について何かご意見ございましたらどうぞ。よろしければ、この事務局からの提案のとおりにさせていただきます。

○山上座長代理 では、10分間休憩させていただきます。

○山上座長代理 それでは、時間になりましたので、再開いたします。先ほどの匿名の発表に関する資料の修文案を配付いたしたかと思いますが、これについて説明をお願いします。

○事務局 今、お配りした資料でございますが、これは後ほどまたご議論いただこうと思いますけれども、第15条関係(2)エの関係につきまして、今までにご意見としていただいているもの、それから本日のご議論を踏まえまして、それぞれのご意見、それから懸念されていること、いろいろな趣旨のご議論がございましたけれども、それらのご議論をすべて盛り込んだ形で取りまとめてみたものでございますので、これは後ほど皆さんにどういった形にしていくべきなのかということで、ご議論していただければと思います。

○山上座長代理 これは最後にということで、次の「刑事手続への関与拡充への取組」、第18条関係の重点課題に係る具体的施策についてご議論いただきます。事務局からの説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、「刑事手続への関与拡充への取組」、これは18条関係でございますけれども、その具体的施策につきましては、「事務局案その2-2」に記載をいたしております。骨子からの変更でございますけれども、先ほどと同様、赤字で記載をいたしております。これまでの検討会での議論を踏まえました現状認識の見直しのほか、修辞上の修正と新規施策の追加でございます。以上でございます。

○山上座長代理 この「刑事手続への関与拡充の取組」に関しては、警察庁と法務省から、国民からの意見に対する回答として事前に資料が提出されております。また、最高裁判所からも資料が提出されておりますので、補足することがあればご発言をください。警察庁と法務省ございますか。どうぞ。

○片桐構成員(警察庁) 私どもの意見を入れていただいて修文が図られておりますので、これで結構でございます。

○山上座長代理 法務省、よろしいですか。最高裁判所、よろしいですか。それでは、ご意見のある構成員はどうぞ。

○岡村構成員 2ページの下に「しかしながら」というのがありますが、ここのところが、意見募集の結果などを見ると、ちょっと弱いのではないかということで、訂正意見を申し上げました。これは、被害者の刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にあるということをまず書いてあります。また、現行法においては、被害者は事件の当事者であっても、刑事手続の当事者としての地位までは認められておらず、単なる証拠として扱われているに過ぎない。そのため、犯罪被害者等から、刑事に関する手続及び少年保護事件の調査・審判の手続に関し、一層の情報提供と参加を権利として認めるよう要望する声が多いと意見書で書きましたが、この「権利として認める」という言葉がよくわからないという意見がありましたので、ここは「参加する権利を認めるよう」というふうに訂正いたします。
 それから、4ページに内閣府のご意見が青字でございますのですが、刑事手続上の権利は極めて不十分な状況であるとまで言い切ることについての認識が一致していたとは言えないということでございますが、私どもは、極めて不十分であると思います。意見陳述制度というのは権利でなく、一つの制度に過ぎません。裁判所が陳述をさせないこともあります。そしてまた、その陳述も被害者の心情とか、被害の影響とかということに限られておいて、事実関係に触れることも許されておりません。意見陳述制度があるからといって「極めて不十分」であるとは言えないとは考えていないわけでございます。そういうことでご議論いただきたいと思います。

○山上座長代理 この件について、ご意見ございましたらどうぞ。

○井上構成員 少なくとも岡村構成員のご提案のように「不十分な状況にある。」「過ぎない。」という形で文章を完結させてしまい、現状はそうであるというふうな断定的な書き方をするというのであれば、そこまで意見は一致していないというふうに言わざるを得ないと思います。原案の方は、声が多い、あるいは意見もあるという形で括ってあるので、そういうご意見の中身としてどこまでのことを書くべきかということで、むしろ考えていくべきだと思います。中身的には、極めて不十分か十分か、権利ではないのかという、そこは認識が分かれるところだと思います。2番目の文章の「単なる証拠として扱っているに過ぎない」というところは、この内閣府の意見にあるとおりで、ちょっと言い過ぎだろうというふうに思います。ですから、中身についてはこれからご議論いただきたいと思うのですが、この内閣府の修正意見については、「過ぎず」と「受けていないとして」というところを、文章としては入れかえた方がいい。つまり、「犯罪被害者等は証拠として扱われているに過ぎず、事件の当事者にふさわしい扱いを受けていないと批判する意見もある」というふうに、文章としてはそうした方がいいのではないでしょうか。これは単なる文章だけのことです。

○岡村構成員 不十分である(というのが言い過ぎだ)ということは、十分であるということでしょうか。

○井上構成員 いや、「極めて」ということまでは言えないのではないかということです。

○岡村構成員 というのは、意見陳述制度があるからですか。

○井上構成員 それだけではないと思いますけれども。

○岡村構成員 例えば、どういうような権利があるのでしょうか。

○井上構成員 そこの実体論を議論し出すと議論の蒸し返しになりますし、私としてもいろいろ言いたいことはありますけれども、ここでは、これまでの議論の経過を踏まえて、どういうまとめにすべきかということを話し合っているのですから、むしろ、こういうご意見がある、犯罪被害者の方あるいはその関係者の方たちからこういうご指摘があるというまとめの中に、そういう文章を盛り込むというのは一つ考えられることですが、岡村構成員のご提案のように、「不十分だ。」と、あるいは「証拠として扱われているに過ぎない。」と言い切ってしまうと、違う見方もあり得て、そこを議論し出すとまた実質論の蒸し返しになると思うので、先ほどのようなご意見を申し上げたということです。

○三浦構成員(法務省) 今の井上構成員のご意見の関係でございます。刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にあるという表現、そういう意見もあるということではなくて、そういう状況にあると断定することについては、これは恐らく、ここに「刑事手続上の権利」というように非常に抽象的に書かれているので、内容としてどういうものを想定するといいますか、思い浮かべるかによって、現状が不十分かどうかというのはかなり違うのだろうと思います。そういう意味で言うと、立場や意見によって不十分なのかどうなのかというのは、かなり議論がわかれるところではないかと思うのです。例えば、いわゆる公訴参加というものを権利として認めるべきであるという立場からすれば、極めて不十分であるという評価というのもあるのでしょうが、ただ、刑事手続上、これまでのいろいろな法改正で被害者のために認められた制度、それを権利と呼ぶかどうかという問題はあるかもしれませんが、いろいろな形でこれまで認められてきたものがあるわけですので、そういうものも含めて評価して、さらにどこまで進むかということを考えれば、必ずしも「極めて不十分」とまでは言えないのではないかという立場も、それはあるのだろうと思いますので、そういう意味で言いますと、こういう形で意見が一致しているというふうに言うのはなかなか難しいかなという感じがしております。
  証拠として扱っているかどうかという問題も、やはりここに書いてあるような意見陳述の制度等々、ほかのいろいろなものを踏まえると、必ずしもそうではないのではないかという議論も当然あるところですので、そういう意味で、この形で断定していくというのはちょっと適当ではないかなという感じがしております。

○山田構成員 確認したいのですが、不十分であるとか、単なる証拠に過ぎないというのは客観的な事実として述べるのは誤りにつながるのだろうと思いますね。ただ、そういう声が強いということは、またそれ自体は事実であろうと思います。ですから、犯罪被害者の方々がご必要になるものとして、左に曲がっているのを真っすぐにするために、右に一時的に曲げるというような趣旨での文章であるならば、こういった表現もあろうかと思うのですけれども、やはり一応この検討会での客観的な意見ということになれば、井上構成員のおっしゃられたようにすべきではないかなと思います。

○岡村構成員 ただ、要望する声が大きいことは事実なんですよね。

○井上構成員 そこは全くそのとおりです。

○山上座長代理 そういう声を入れるような形をやっていくと。

○岡村構成員 はい。極めて権利は不十分であるとか、そういう声があるというところですから、ここのところは。現状認識自体が、そういう声があるということでの認識になってしまいますから。ですから、パブコメの結果を利用すれば、私どもが書きましたようになっても不思議ではない、そういう要望があると書いても不思議ではない。そうすると、この丸をとって続くような文章にして、「要望がある」とすればよろしいでしょうか。「状況にあり、」として。非常に長い文章になってしまいますけれども。

○井上構成員 全体の構成を変えない限り、なかなか文章がつながらないですよね。そうするためには、例えば、「しかしながら」の次に「現状について」という文章を持ってきて、後はずっと、「過ぎないと批判し」、それで「声が多い」というふうに続けないと、全体の文章としては続かないと思います。うまく修文できるかどうか、今この場で。

○岡村構成員 内閣府に今やっていただいて、その間、先に進めますか。

○事務局 取りまとめをするのは、もちろん事務局としてはやりますけれども、例えばどういうものが加わるべきなのかとか、そういったご意見の一致を見るまでのご議論がないままということになれば、ちょっと取りまとめもなかなか難しいかなと思うのですが。

○井上構成員 この岡村構成員の修正案と原案を対照すると、原案に文章として全く欠けているのは、一番最初の「被害者の刑事手続上の権利はきわめて不十分な状況にある」というところだけです。あとは、「情報提供と参加の機会の拡充」というのを、「参加する権利」というふうに修正すべきだというご提案で、そこが違っているのですが、文章のもとの形はあるのですよね。「単なる証拠」という部分も、もとの文章にあるわけです。

○岡村構成員 そうですね。

○井上構成員 そうすると、岡村構成員としては、この「刑事手続上の権利がきわめて不十分だという意見が被害者等からは多い」ということを盛り込むのと、「参加の機会の拡充」というところを「参加する権利を認めるよう」というふうに改める、この2点が実質的に違うということでしょうか。

○岡村構成員 それと、少年保護事件についても触れているということですね。

○井上構成員 それは原案にも入っています。「少年保護事件の調査・審判の手続に関し」と。申し上げたいのは、原案でも形というか枠としてはあるので、その部分をもう少し強めるとか、そういうことで済むのかどうかということです。作業していただくにしても、そこのところは意見が一致しないと、作業できないでしょうから。

○山上座長代理 被害者の声がこの辺で強いというところを盛り込むような修文をして、十分検討してもらうということでよろしいでしょうか。

○岡村構成員 被害者の権利が不十分であるということは、国民からも出ているわけですから、これはやはり入れていただきたいと思います。

○三浦構成員(法務省) 先ほどもちょっと申し上げましたが、被害者の刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にあるといっても、その権利はどういうものを想定するかというのが書いてないと、要するに意味はどうにでもとれてしまうものになるような気がするのです。ここで一番主張されたいといいますか、岡村構成員の方で権利の中身として考えられているのが、情報提供だとか参加ということを内容とするのであれば、実質的な中身をむしろ書いて、必要があればそれを修文するという形にすべきである。そうすることによって、意味はそれなりに満たされていくのではないかという感じがいたしますし、翻って証拠として扱われているに過ぎないというのも、もっと積極的に参加するなり、あるいは情報提供を受けるということが必要だという意見が、そういう表現で表されているのではないかなという感じがいたしますので、その辺の実質をむしろ書いていった方がいいのではないかという感じはいたします。

○山上座長代理 不十分であるというのは、それとする意見も多いということであれば、内容をどこまでさらに分析する必要もないのだろうけれども、それは意見の、かなりいろいろな立場でありますけれども、例えばそういう表現でいいのであれば修文で済むかと思うのですけれども、まず客観的に「不十分である」と言い切るのですと、それはいろいろと問題が起きてくるのだと思います。ですから、あるとする意見が多いとか、そういう表現でよろしければ、内閣府の検討に委ねていいかと思うのですけれども。

○井上構成員 ちょっと思いつきですが、もし今、三浦構成員がおっしゃったとおりであるとすれば、「しかしながら、犯罪被害者等からは、現状について犯罪被害者等は証拠として扱われているに過ぎず、事件の当事者にふさわしい扱いを受けていないという批判があり、刑事に関する手続及び少年保護事件の調査・審判の手続に関し、一層の情報提供と参加する権利を認めるよう要望する声が多い。」と、このように書けば実質は盛り込めると思うのですけれども。

○山上座長代理 よろしいですか。岡村構成員、それでよろしいですか。

○岡村構成員 そうですね。

○井上構成員 全くの思いつきですので。

○事務局 今のご議論を踏まえまして、事務局で取りまとめ案を作成し、次回までにお示ししたいと思います。

○井上構成員 これはつまらない文章の修正の提案ですけれども、この1ページの現状認識の2行目の「捜査・公判」の次は「・」ではなくて「、」にしていただければと思います。捜査・公判というのは言うまでもなく刑事事件のもので、少年審判とは手続上異なりますので。それだけのことですが、同じことは4行目の右の方にあります。
 もう一つは、「少年審判等に対し、事件の真相を知ることができ」というのはちょっと文章として変なので、「少年審判等に対し、それを通じて事件の真相を知ることができ」というような文章の方がいいのではないでしょうか。
 あと、「正義が示される」というのも、ちょっと私の語感、日本語能力ではついていけないので、「正義が行われる」とかそういう表現の方がよいのではないかと思います。
  あとは、その2つ下の情報提供のところで、「公判等の情報提供」というのは「公判等に関する情報提供」の方がよろしいのではないでしょうか。文章だけですが、以上です。

○山上座長代理 ほかに意見ございませんか。今の井上構成員の提案に関してはどうですか。ご意見ございますか。よろしいですか。それでは、そういう方向でお願いします。

○事務局 はい。

○山上座長代理 そのほかにご意見ございましたら。

○事務局 確認させていただきたい点がございます。「その2-2」の資料のページ7と8の関係でございますけれども、岡村構成員からのご意見に対してご議論いただきたいと、内閣府意見でさせていただいています。これについては、法務省の方からご説明いただければと思うのですけれども。7ページの(8)の施策についての岡村構成員の意見でございます。個別に説明するか書面で送付するべきという意見でございます。

○三浦構成員(法務省) これは少年事件についての各種制度の問題でございますが、法務省で所管をしております検察庁の事務の関係で申し上げますと、少年事件は、必ずしも検察官を経由しない事件もございますので、そういう意味でいうと、全体的に被害者の方に検察官の方でこうしますということが、もともと言いにくい立場にあるということが1点ございます。
 ただ、岡村構成員のご指摘のように、各制度について知らないまま過ぎてしまうということがあっては、もともとの制度の目的を十分達し得ないわけですので、ここの骨子にあるように、こういった制度についての周知に努めなければいけないということだろうと考えています。具体的な周知の方法としては、もちろんパンフレットを置くというやり方も一つでしょうが、それではなかなか足りないとすれば、被害者の耳に届くように、あるいは目に届くように、どのようにそれを認識していただくようにお知らせするのか、そういった周知の方法、あり方についても含めて検討して、その努力をしていくということを考えていきたいということでございます。

○岡村構成員 私どもがこういう提案をしたのは、意見聴取とか記録の閲覧・謄写とか結果通知と、こういう制度があるということを知っている被害者が非常に少ない。だから、単にポスターを貼るとか、それからパンフレットを置くとかというのではなくて、警察、検察、それから家庭裁判所、それぞれの段階で被害者に対して個別的にこういう制度があるよということを知らせてもらいたいということがこの趣旨なのです。検察官と書きましたけれども、検察官を素通りしていく事件もあるでしょうから、検察官に限らず、警察、検察、家庭裁判所、それぞれの段階で被害者に対し、個別に知らせる制度を設けていくようにしていただきたい。現段階では、被害者は本当に知りません。だから、パンフレットだけぽんと置くのではなくて、こういう制度があるよということを書いた紙を渡すとか、パンフレットを渡すという、とにかく知らせると、こういうことを具体的にやっていただきたいということなのです。

○三浦構成員(法務省) ご趣旨は十分了解するところではございますが、法務省の立場で申し上げられることとすれば、先ほどもちょっと申し上げたように、検察官、検察庁の方でこの少年事件について被害者と個別に接触する機会というのは、具体的に統計はございませんが、少ないのが現状でございますので、その辺の工夫をいかにすべきかということになろうかというふうに思っております。

○岡村構成員 むしろ警察、家庭裁判所、これでしょうか。実効があるのは。検察庁はバイパスみたいになっておりますから。だけど、それでもやはり……。

○最高裁判所(傍聴者) 最高裁家庭局でございます。家庭裁判所では、一件記録が回りますけれども、これを見た段階では、被害者の方が事件について知らせてほしいと思っておられるのか、あるいは逆に一切かかわってほしくないと思っているのか、あるいはその中間のどの辺にあるのかというのは、これだけでは本当にわからないところでございます。現状では、警察あるいは検察庁におかれる被害者等通知制度などがあるので、そういったものを通じて被害者の方から裁判所にお問い合わせがあった場合については、平成12年の改正少年法で設けられました諸制度についてご説明したり、あるいは申出期間がございますので、その関係で申請をすべき期日はいつまで、だから、例えば意見聴取であったら、審判期日が決まってましたら何日までですので何日までにお申し出ください、このようなものなどを柔軟にお伝えするようにしているところでございます。

○岡村構成員 それは、被害者に個別に伝えていただいているわけですか。

○最高裁判所 お申し出があれば、その段階でお電話などで個別にお伝えするようにしております。

○岡村構成員 申し出がなくても積極的にやっていただきたいのですね。申入れというのは、そういう制度があるということを知っていてはじめてできるわけで、一般の者は知らないのです。裁判所から積極的に、「こういうことができますよ」という通知をしていただきたいなと思っているわけなのです。

○最高裁判所(傍聴者) ここは逆にお尋ねしたいところなのですが、我々の認識では、被害者の方には、むしろ裁判所から電話など、そういう関わり合いがあること自体を拒否される方もいらっしゃるのではないか、かえって意向もわからないのにこちらからすべてやるのもいかがなものかなと思ったのですけれども、そういうものではないのでしょうか。その辺はいかがなのでしょうか。

○岡村構成員 そういう心配はないと思います。特に、被害少年になると、当然、加害者は家裁へ送られるであろうということはわかっていますし、裁判所の封筒が来たからといってびっくりするということはないと思います。そこのところはですね。

○山上座長代理 ここのところは、最初にかかわるのは警察でしょうが、警察、検察、それから家庭裁判所というその流れが被害者を中心に動かないで、縦割りで、ここでぽんぽんと切れていくものですから、そこをうまく連携しながら、被害者がずっと継続的に情報を提供され、何が起きているかわかるという、そういうシステムを検討していただけることは大事かと思います。だから、法務省だけということでもなくて、連携が大事なような気がするのですけれども。

○岡村構成員 少年犯罪の被害者が一番不満に思っているのは、知らないうちに何もかもやられてしまうということです。家庭裁判所の審判を受けたぐらいなことは、新聞記者に聞いたり、警察で聞いたりしてわかるのですが、裁判所へ行ってどうしていいかということになると全くわからないのですね。弁護士のところへ行けば教えますけれども、被害者が全員弁護士のところへ来られるわけではありません。ご懸念のように、裁判所からそういう書類が来ることによって、不快感を持つということはないと思います。よくやってくれたなと思って感謝するのではないかと思っております。

○最高裁判所 必ずしも一件記録で、被害者の方の今の現住所とか電話番号が記載されているとは限らない場合もありますし、今、山上構成員おっしゃいましたとおり、これは各種機関の連携の問題だと思いますので、今のご意見、十分踏まえまして、実務の運用で、どの程度きちんと通知申し上げるのが一番適当なのかということについて、またよく検討していきたいと考えております。

○山田構成員 6ページの下の方の(6)でございますけれども、書面を出してなくて恐縮なのですが、ご質問ということで、「法務省において、加害者の保釈に関し、検察官が、犯罪被害者等から事情を聴く」とありますが、この事情の内容というのは、どういう内容なのでしょうかということなのですね。被害感情とかそういったものについては、これは裁判の中で斟酌されて量刑等に反映されるのであろうかと思うのですね。保釈にはそれは関係がない。客観的な危険性とか、そういったことについてなのか、つまり事情ということに絞りがないために、非常にわかりづらくなっているのではないかと思っているわけなのです。
 申し上げるまでもなく、刑事訴訟法の89条5号ですけれども、被害者との関係についてはもう既に定めがあるところでありますので、殊さらこのようなことをしたためなくても、そちらで十分に賄えることではないかと。このように申し上げているところは、基本的には、もうおわかりかと思いますが、弁護士という立場からしますと、やはり現在なお人質司法とよく言われるようなことというのは現にございますので、ここにつながりかねないような内容ではなかろうかなという危惧がございます。
 ということで、この被害者等に聴く「事情」というのは、どういうことになりましょうかと。できるならば、その事情というものを踏まえた表現にならないものかなと。検察官が聴くのは当然だと思いますよ。ただ、その内容をここに明らかしないで書くということに対して、ちょっと疑念がございますということです。

○山上座長代理 この点に関して、法務省どうぞ。

○三浦構成員(法務省) 保釈について、もちろん要件は法律に定められているわけですので、それに従って行われるということ自体は当然でありますけれども、ここで、こういう形で書き込まれたのは、一つには、保釈の要件にかかわる罪証隠滅なり、被害者を含むそういう証人、関係者に対する威迫のおそれなり、そういったことを判断する上で被害者等から事情を聴くということが、その要件の判断にもかかわりますし、その安全確保にもかかわるということで書き込まれているのだろうというふうに思います。また、仮に保釈するとしても、保釈時のいろいろな条件設定というのもございますので、そういう意味で条件を設定して、さらに犯罪被害者の保護を図るといったことも考えられますので、そういう面で被害者から事情を聴いて、いろいろな状況を把握するといったことは有益であるし、そのことについて適切な対応を求めるという趣旨だろうというふうに理解しております。

○井上構成員 山田構成員はやや深読みし過ぎではないかと思います。原文でも「聴くなどその安全確保」と、そこにつながっていますので、当然、安全確保にかかわる事情を聴くということだろうと思うのです。また、「人質司法」云々というのは、ここでの問題とは論理的に関係のないことではないでしょうか。何でそこに結びつくのかよくわかりません。
 もしご心配なら、「事情を聴くなどにより、その安全確保を考慮して」というふうに、事情を聴くのは安全確保の考慮のための方法であるということをより明確にしてはいかがでしょうか。それでご心配はなくなるのではないでしょうか。

○岡村構成員 これは被害者団体が強くお願いをしたところなのですね。

○山上座長代理 山田構成員、どうでしょうか。

○山田構成員 もちろんこれがこのままあれば心配のないところはあるのですけれども、犯罪被害者等にいろいろ聞くことによって、当然、中に被害感情も入りますよね。そういったことのために、検察官のご意見等も、あるいは裁判所の判断も保釈に対する考え方が一層厳しくなると。現状でもなかなか保釈を認められないところにありますので、そこにつながるということは十分に考えられるのではないかと思います。今、「事情を聴くなどにより、その安全を考慮して」ということなのですけれども、保釈と安全ということなのですが、それはもちろん関係があるのでしょうけれども、今の法務省からのご説明等を伺いますと、この事情の中を絞るとすれば、保釈条件にかかる事情というようなことを入れるのはどうなのかなと、ちょっと今考えておるのですけれども、これはまさに思いつきですのでどうかわかりませんが、「保釈条件にかかる事情を聴く」ということであるならばよろしいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○山上座長代理 どうぞ。

○三浦構成員(法務省) 先ほど申し上げましたように、保釈条件も一つでしょうが、そもそも保釈するかどうかの要件の判断でも関係をする事柄であろうと思っております。

○山田構成員 くどくど申しわけないのですけれども、保釈するかどうかというのは、まさに保釈条件そのものであろうと思いますけれども。

○井上構成員 正確に言うと、山田構成員は保釈の「要件」のことを言われているが、三浦構成員が言われているのは保釈条件で、「保釈条件」というのは、保釈するにあたって付す条件、例えば、被害者等に接触してはいけないとか、そういうことを指すものでありますので、言葉のずれだと思います。

○山上座長代理 保釈要件と言われたのですね。そういうことであればよろしいですね。

○山田構成員 はい。

○山上座長代理 意見がある方は。それでよろしければ。

○井上構成員 よろしいですか。やはり、心配し過ぎではないかという気がするのですよね。保釈の要件がなければ保釈できませんし、保釈をしないというのも要件がなければできないので、結局、裁判所が判断するのはそこしかないのです。今もそういうことでやっていると思うのですが、弁護士会の方などからのご批判は、そういう要件の判断にほかの要素が紛れ込んでいるのではないかと、そういうことだろうと思います。しかし、もしそれが事実であるとすれば、どのように書こうと、その書き方では防げない問題でしょう。私は、こういうところであまりごちゃごちゃと書かない方がいいような感じがするのですけれども、あまりこだわりません。

○岡村構成員 被害者の安全確保というのは基本法にもきちんと触れられていることですし、そのために検討会をやっているわけですから、あまりあちこち飛ばないで、井上構成員がおっしゃったように、深読みしないで進めていただきたいと思います。

○山田構成員 一言申しますと、岡村構成員も刑事事件をやっておわかりのように、なかなか保釈の現状というのは厳しいものがございますよね。ですから、これは日弁連などの意見でも、このところについては深読みかどうかは別としまして、現実に相当強い懸念する意見があるということは申し上げておかざるを得ないことであろうと思います。

○山上座長代理 山田構成員、保釈要件をというのは、どういう言葉で入れればよろしいわけですか。

○山田構成員 「犯罪被害者等から保釈要件にかかる事情を聞くなどにより」ですか。だから、ちょっとおかしいなと思うのは、保釈要件にかかる事項は、安全確保につながるということとの結びつきが、レトリック上、出てこないかなという、ちょっとそういう感じはしておりますので。

○大久保構成員 今の山田構成員のお話で、そういう言葉を入れるとかえって考えなかった人も深読みするような感じになりますので、ここはきちんと言葉の中にも保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実ということで、事情を聴くなど安全確保をということになっておりますので、犯罪被害者の立場からしますと、被害者の安全確保ということがここできちんとうたわれているということはとても大切なことだと思いますので、このまま生かしていただければと思いますが。

○山上座長代理 この原案のままという意見ですが、内閣府の案のままでよろしいですか。

○山田構成員 議事録にしたためておいていただければ、私としてはこれ以上申し上げないことにいたします。ただ、今の大久保構成員のご意見もそうなんですけれども、もちろんこの場は犯罪被害者の検討会ではございますけれども、やはり私としては、常にさまざまな角度からのバランスというものを考えておかなくてはならない、そのバランスの上から申し上げていることだということだけは、ぜひご理解のほどをお願い申し上げます。

○山上座長代理 それでは、ほかにございましたら。

○井上構成員 また言葉なのですが、12ページの上から6行目に「周知する」というのがあるのですが、官庁用語ではこういう言い方をするのですか。「周知させる」というのが普通の言い方かなと思うのですけれども。表現だけの問題です。オの2行目、これは別に深刻な問題ではありません。

○事務局 後ほど確認いたします。

○井上構成員 お任せします。

○山田構成員 9ページなのですが、(10)の公費による弁護士選任の是非に関する検討で、私の方から文書でもってその下の枠の中、黒字のとおり大幅に中間を削除して、真ん中を抜いてまとめてみたらどうかというふうなご意見を申し上げましたところ、岡村構成員の方から大変強いお叱りをいただきまして、これは骨抜きにしようというものだと。特に、刑事手続参加、附帯私訴等に対する事柄を意識してのことだというふうなお話があったので、そのことについて若干申し上げさせていただきたいと思いますが、公費による弁護士選任につきましては、私の5月23日、第2回の検討会に提出いたしました資料14というところに積極的にこれは実現すべきであるという意見を述べておりますので、その点はここでは申し上げないことにいたしますが、この9ページのまとめを見ますと、真ん中に、「更に必要かつ相当であるか検討することとし」という表現がございまして、公費による弁護士選任が、必要かつ相当であるかを検討するということなっているのですね。これは、公費による弁護士選任制度は、もう必要であるということは、当然の前提として考えた方がよろしいのではないかと。これは被害者の皆さんにもよろしいのではないかと思うわけなのです。相当であるかというふうなことは弱まるなと。したがって、ここは削除したいなと思ったのですね。そうなると、文章がなかなか前の方から続かなくなってまいります。それで、前には確かに3つのことが書かれております。1つは損害賠償請求の実現ということ、それから2つは刑事手続参加の機会拡充ということ、3つは経済的負担軽減という、この3つを踏まえてさらに必要であるかどうかを調べようと、こう言っているわけなのですが、そう考えてみますと、この3つのうちのどれか1つ、2つ、あるいは3つがもし十分に実現されなかったような場合には、公費による弁護士選任の是非に関する検討、これは実現しなくなってしまう危険がないのかなというふうなことが心配になったわけなのですね。
  したがいまして、岡村構成員からご指摘いただきましたような格別の魂胆があって申し上げたことではないので、ご了解いただきたいと思うわけです。この3つのほかに、公的弁護士制度が必要であるというのが、取り調べの実況検分への立ち会いであるとか、それから出所の情報であるとか、証拠品の還付手続であるとか、あるいはDVに対する保護命令の申し立てであるとか、生活保護の申し立てであるとか、マスコミへの対応とか示談とか、ここに掲げられていること以外にも多々弁護士がしなくてはならないことがあろうと思うのですね。そういったことのためにも、公的弁護士制度というのは、ぜひ実現しなくてはならないところであろうかと思いますので、この3つを殊さらに掲げることはないのではなかろうかなということでご意見を申し上げただけでございます。
  なお、ちょっとだけ申し上げておきますと、弁護士会としましては、今度、犯罪被害者のみならず、それより先立ちまして、被疑者国選は数千件ですが、やがて二、三年のうちにこれが何万件に、10万件に達するようになる。それから、公的な付添人の問題であるとか、様々な問題を抱えまして、ここでまた犯罪被害者の公的な制度というのができますと、それだけ非常に重たい責任を背負っていくことになるわけでございますので、それらを覚悟してこういった制度の実現を図るべきであるという意見を述べていることをぜひご理解いただきたいと思います。

○事務局 山田構成員からのご意見に対しては、「その2-2」の11ページに内閣府意見として記載したとおりでございます。それと、ただいまのご指摘の中で、公費による弁護士選任の関係でございますが、既にご確認をいただきました「第8回検討会で検討したもの」、この資料の中の7ページの(3)の施策として立てておりますので、この関係での検討もなされるということでご理解いただければと思います。

○井上構成員 公的弁護人制度の導入が必要であるというふうに言い切ってしまえ、途中の文章は書く必要がないということなのですが、これも、「公的弁護人制度」というものの中身としてどういうものを想定するのかによって大分違ってくると思います。その点は、山田構成員の意見に対する内閣府の意見に書かれているとおりでして、前段のところでどういう制度枠組みを取っていくのかによって、弁護士の援助というもののあり方というか、形も違ってくると思うのです。ですから、刑事でいう公的弁護のようなイメージでとらえるのが適切かどうか。むしろ、扶助型ということもあり得るわけなので、そういうものを含めて考えますと、前段でどれだけの施策が取られるのかによって、やはり必要性とか相当性も違ってくるので、その辺を含んだのが原文だと思うのですね。弁護士会のお立場はよくわかるのですが、弁護士会の主張なさっているとおりにここで全員が一致したというわけでは、まだ必ずしもないので、その辺は前段のところとの連関において検討しましょうというのが、今の段階でのまとめ方ではないでしょうか。

○山田構成員 私はこの意見書を出しまして、真ん中のあんこの部分はとっちゃったらどうかなと思いましたけれども、申し上げている趣旨は、先ほど来申し述べたところに尽きるわけでございまして、今、井上構成員がおっしゃられたところもよく理解はできるところでございます。ただ、ただいま申し上げたのは、岡村構成員からのご意見に、私から申し上げれば相当程度の誤解がおありだというふうに思いましたので、その誤解の点だけは、ぜひとも解いておいていただかなければならないだろうと思って申し上げたことでございます。したがいまして、この意見としましては、公費による弁護士制度が、ほかのところでももちろん触れられているところでございますので、あわせて検討されるということであって、各被害者の方々がこちらの方がよろしいということであるならば、そこに異論はございません。

○山上座長代理 よろしいですか。

○岡村構成員 誤解は解けましたので。

○山田構成員 今後ともよろしく。

○岡村構成員 よろしくお願いします。

○山上座長代理 では、原案どおりということで。ほかにご意見ございましたら、どなたか。

○山田構成員 よろしいですか。また質問で恐縮なのですけれども、18ページの上段で(23)というところで、保護司のことが書いてありますね。これは保護司さんに、いろいろ犯罪被害者のことについてお願いをして、その仕事として担当させるというふうなことがあるのですけれども、これは犯罪被害者の方々で保護司にこういったことをしていただくということでよろしいのですかね。というのは、保護司さんもまた、どういうふうに理解しておられるのか、そこら辺のことはどこかで検討されたといいますか聞いておられるかというか、そういう場合はどうなのでしょうか。つまり、保護司は今まで加害者の面倒をいろいろ見てこられたと。その方々に被害者の便宜のために働けるのかと。頼む方も、それから頼まれた方も戸惑いがないのだろうかという、この点はいかがなのでございましょうか。

○山上座長代理 では、法務省からお願いします。

○三浦構成員(法務省) この点は、私どもももちろんそういう制度をはっきり導入するというふうに決めたという制度の設計を含めて、こういうものだということでいろいろな検討が細かくなされたというわけではもちろんありませんし、ここにありますように、今後さらに検討する中で、そういったことをどうしていくかということを考えていくわけでありますが、少なくともこれまでのところ、そういうことについて保護司の方に意見を伺うといいますか、そういったことで話をする機会も持ってきておりますが、その中ではそういうことについて、保護司が被害者のそういった心情を加害者に伝達するといったことですとか、そういった被害者とのかかわりを持つことについて、保護司の方でもそういう役割を担うことについて、それを受け入れるといいますか、それを積極的なものとお考えになる方もいらっしゃるというふうに聞いておりますので、今後いろいろご意見はもちろん伺いながら、どういう形が適当なのかということを検討していきたいということでございます。

○山上座長代理 この点については、私もこれまでの検討会の中で意見を出しておりますけれども、保護司さんは、今、更生保護のプロセスの中で恩赦に関連して被害者感情調査の被害者に接することに、もう職務上接することがあるわけですけれども、現在公的に加害者だけ何十年とお話しながら、被害者のところに突然何十年ぶりに加害者のことで意見を伺いに行くということは、どちらかというとかなり外傷的な結果しか残っていないだろうという感じがいたします。
 ただ、そういう意味で被害者との接点がもともとあるところを、やはり早くから改善する努力が要るのではないのかなということを感じます。以前私、台湾の保護局、法務省の保護局に該当するところを視察しましたが、そこでは第5課を被害者保護課としてつくり、そこで更生保護団体と同じような仕組みで被害者保護団体を全国につくって、そこで保護司さんとは別に被害者の保護にかかわる人を置いてお世話していました。ですから、保護司が両方、加害者も被害者も別々に、組織を別にしてお世話する体制をつくっていたわけで、その例も挙げて、日本でもそういう国が本格的に、加害者だけではなくて、被害者もお世話することが大切でないかというように感じて、私はそれを考えてほしいというように希望したわけです。
 また、加害者の世話をしてきた者ではどうかと言いますが、実は日本には被害者のお世話を専門的にしてきた人はもともといなかったわけで、その点が弁護士も多分にそうだったということになります。それが保護司のように人間関係について訓練を受け、また司法とも接点を持っている人たちというのは、やはり被害者の支援にも適正がある人はあるわけです。その中から被害者支援に向く人を振り向けたりとか、そういうことで推進する方法は幾らでもあるんではないかというのが、私の意見であります。補足的に発言させていただきました。

○岡村構成員 保護司さんが両方兼ねるということはないのですね。

○山上座長代理 むしろ分けた方がいいと。窓口を完全に分けた方がいいと。

○大久保構成員 もともと加害者の方に接している保護司さんと、被害者にかかわるこれからの保護司さんは必ず分けてほしいということは、この検討会の当初から、被害者としては強く希望していることですし、それに対しまして、法務省も多分それなりに考えてくださっているのではないかと思いつつ、明確なお答えは今もまだいただいておりませんので、その点がちょっと気にはなるのですが、必ず分けていただかなければ、被害者は加害者のところにも行っている保護司さんが被害者のところにも来たといいますと、プライバシーが果たして守られるんだろうかということで、また被害者はその保護司さんが近づくだけで二次被害を受けるということになりますので、必ず分けて、数は少なくてもいいので、被害者専任の保護司制度、そしてそれを指導する被害者支援保護観察官制度ですね、それもぜひ実現していただきたいと強く思います。
 それとすみません、もう一つ追加ですけれども、やはり被害者の側にとりましても、もちろん民間支援団体等もありますけれども、そうではなくて、国が関与をしているそういう職員が、被害者に接していたということは、国も被害者のことを気にしていてくれているというように、回復のためにも、被害者専任保護司さんの制度はとても大きな意味合いがありますので、その点よろしくお願いいたします。

○山上座長代理 法務省、何かありませんか。

○三浦構成員(法務省) 制度の設計を尽くしたわけではないので、なかなか言い方が難しいところもございます。もう一つは、実際の受け手の方の保護司の体制といいますか、お考えもありますので、それと実際には協議をしながら制度をつくっていくということになると思います。ただ、加害者担当の保護司と、被害者担当の保護司が一緒になっているということの問題というのは、こちらも当然認識しておりますので、そういうご意見も当然踏まえて、よい形の制度をつくっていく必要があると思っております。

○山上座長代理 そのほかにございますでしょうか。どうぞ。

○岡村構成員 ちょっと先ほどのところで、9ページの山田構成員のおっしゃったところの、そこの箇所ですが、「諸施策を踏まえ、更に必要かつ相当であるかを検討することとし」と、これはどういうことを言っているのでしょうか。先ほどご説明あったかもしれませんが、ちょっと聞き落としたのですけれども。下の枠の山田構成員の意見のところでありますね。こちらの内閣府の書かれた原案がありますが。

○山田構成員 私へのお尋ねですか。

○岡村構成員 いえ、そうではありません。内閣府にです。犯罪被害者等の経済的負担軽減のための諸施策を踏まえ、さらに必要かつ相当であることを検討するために、具体的にはとしていますけれども、「更に必要かつ相当であるかを検討する」という意味がちょっとわからないものですから。

○事務局 同じ資料の11ページをご覧いただきたいと思うんですが、そこに先ほども申し上げましたように、内閣府意見ということで取りまとめさせていただいています。12条の関係の公費による弁護士選任というのは、現在ある損害賠償請求訴訟を前提としていると。それから、第18条のものについては、そこに2つ記載しておりますように、新たな制度、我が国にふさわしい制度によって、新しく現行制度にない新たな役割というものが弁護士に発生するということでございまして、新たな制度に基づくものについては、その制度の検討というものとの関連性が出てまいりますので、その関係が明確になるように記載をしているということでございます。

○岡村構成員 損害賠償請求の施策と刑事手続の参加と、それから経済的負担の軽減の話とこの3つ、それ以外の部分が出てくるのではないのだろうかと、こういうことですか。

○事務局 いえ、そうではございません。第18条関係というのは、一つは損害賠償請求に関して刑事手続の成果を利用するということで制度の検討がなされます。それから、司法制度、刑事裁判手続への関与についても検討がなされますが、それらにつきましては、現行制度にない新たな役割が弁護士に発生しうるわけでございまして、それとの関連であるということが明確になるように記載をしているということでございます。

○岡村構成員 この「必要かつ相当であるかを検討するため」と言われると、諸施策を踏まえと言った、この諸施策をさらに見直すのかというふうな誤解をちょっと……

○事務局 そうではありません。それぞれの検討というのは、それぞれの場でなされるということで施策が立っております。それとの関連があるということで、12条関係の公費による弁護士選任の検討とはまた違った性質があるということを明確になるように記載してあるという意味でございまして、そのもとになる検討に影響を及ぼすという意味合いではございません。

○岡村構成員 わかりました。

○山上座長代理 では、よろしいですか。それでは、内閣府。

○事務局 それでは、「その2の2」の関係につきまして、確認をさせていただきたいと思います。
  「その2-2」の資料のまず1ページでございます。現状認識につきまして、幾つかのご指摘がございました。事件の捜査・公判、1行目から2行目にかけてと、それから4行目のこの「・」を「、」にする。それから、「正義が示される」を「正義が行われる」。それから2行目の「少年審判等に対し、それを通じて事件の真相を知ることができる」。それから5行目でございますが、「少年審判等に関する情報提供を欲する」という点について修正をさせていただきます。それから、「しかしながら」からの5行につきましては、先ほどご議論の中でご指摘のあった修文案に基づいて、事務局で取りまとめ、案をお示しをさせていただきたいと思います。
 それから、6ページの(6)の3行目でございますが、「事情を聞くなどにより」という「により」を加えるということで修正をさせていただきたいと思います。
 12ページ(11)のオの施策でございますが、「周知する」が正しいのか「周知させる」が正しいのか、確認をした上でお示しをしたいと思います。
 ご議論で修正をする点は以上でございまして、その余のものにつきましては、「その2-2」のとおりとさせていただきたいと思います。

○山上座長代理 今の事務局からの意見について、何かご意見ございましたら。それでは、事務局からの提案どおりといたしたいと思います。
 それでは、最後に総論部分についてご意見を伺います。事務局案の説明をお願いいたします。

○事務局 「事務局案その2-3」をご覧いただきたいと思います。「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」と、「刑事手続への関与拡充への取組」の重点課題について、まとめてあるものでございます。これにつきましては、これまでの検討会でのご議論を踏まえまして、「事務局案その2-3」に事務局案を提示をいたしております。構成員のご意見を踏まえまして、第11回の検討会において、改めて事務局案を提示させていただきたいと考えております。

○山上座長代理 重点課題については、小西構成員と中島構成員から事前に意見が出されておりますが、補足することがあれば、どうぞお願いいたします。

○小西構成員 基本的には、ここに書いたとおりということなのですが、2つあります。
  それで、また今度ご議論されるということなので、そこでしていただければと思いますけれども、一つは1ページですね、「犯罪等という悪意の攻撃あるいは悪質な行為の対象となる」というふうに書いてあります。ここは、直接犯罪が意図したことでなくても、ほかにも被害があるということを述べているところなのですが、例えば精神的被害のところでずっと議論されていることは、悪意ということにあまりこだわらずに、例えば悪意がなくても目撃した場合でも、あるいはDVの目撃なんかは典型的なケースだと思いますけれども、被害者等に含まれるということになっているわけですね。そのことを考えますと、ここはちょっと「悪意の攻撃」という言い方は、あまり精神的な支援にはなじまない言葉ではないかというふうに考えまして、「予期せぬ突然の攻撃」や、その「悪質な」というのはちょっと気にはなっていたのですが、それ以上の言葉が思いつかず、「予期せぬ突然の攻撃や悪質な行為等の対象となったり、それらに巻き込まれることにより」というふうに変えていただけないかというふうに思っています。
  それからもう1カ所は、19条の二次的被害のところを述べたところなのですが、実際には法律の条文の上では、「犯罪被害者等の保護、その被害における刑事事件の捜査または公判等の過程においての二次的被害」と確かに書いてあるのですが、内容的には今までのところを見ますと、それ以外の被害についても当然話し合われております。かつ、パブリックコメントでも、それから以前の被害当事者からの聴取でも、例えば福祉の場面あるいは相談の場面、医療の場面での二次的被害については、たくさん述べられていましたが、それについては結局ここに集まっていますので、そうだとしたら、最初の重点課題の問題、それからそこに書くところで、既にもうそのことを入れてしまった方がいいのではないか、要するに拡張した方がいいのではないかというのが、私の意見です。

○山上座長代理 中島構成員、ご意見ありますか。

○中島構成員 私もそこに書いてあるとおりで、別に内容の点で大きく変更してほしいということではなく、読んだ場合に理解しやすく、頭に入りやすいということと、あとはパブコメでもそういう意見がありましたので身体被害と精神被害をあまり対比させるというのはよくなかろうということで、そういった書きぶりを提案させていただいた次第です。

○山上座長代理 これに関して、ほかにご意見ございましたら。それでは、そういう方向で修正をさせていただきます。そのほかにご意見ございましたら。

○井上構成員 言葉だけですが、今出てきた1ページの「保護」というのは、ほかのところを読めばわかるのですけれども、少年保護なら少年保護というふうにつけた方がわかりやすいのではないでしょうか。保護というのは、そういう意味なのでしょう。保護と一般的に言うと、もっと広いのですか。

○事務局 この保護なのですが、児童虐待とか、婦人の保護等、広い意味でございます。

○井上構成員 かなり広いのですか。わかりました。それなら撤回します。

○山上座長代理 そのほかございませんか。では、これを内閣府から補足ございましたら、お願いします。

○事務局 それでは、ただいまいただきました構成員のご意見を踏まえまして、第11回の検討会において改めて事務局案を提示させていただきたいと思います。
 なお、総論部分に対してご意見がおありの場合、前回もお願いをいたしましたけれども、具体的な修正案あるいは具体的な対案の形で、11月4日までにご提出をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

○山上座長代理 ほかにご意見、ご質問がある方ございましたら。よろしければ、本日の議論を踏まえて、第11回検討会において改めて事務局案を提示していただくというようにします。
  あと議論が残されておりました、この匿名発表に関連することなのですが、骨子に関しての修文が出されておりますけれども、これについて説明をお願いいたします。

○事務局 先ほどもお配りしたときにご説明いたしましたように、これは今までの文書でのご意見あるいは本日のご議論などを踏まえまして、その中で出されましたご意見や、特にご懸念の部分などをすべて盛り込んで、たたき台としてお示しをさせていただいたものでございますので、これをもとにまたご議論をいただければと思います。

○山上座長代理 これについてご意見ございましたら。

○片桐構成員(警察庁) せっかく直していただいたのですけれども、幾つかご意見を申し上げたいと思います。まず「匿名発表の安易な拡大によって」とありますけれども、この安易な拡大をするのは警察というふうなご趣旨だろうと思います。先ほど申し上げましたけれども、我々は匿名発表を安易に拡大するつもりは毛頭ございません。このようにおっしゃっているのは、マスコミ側のおっしゃりようでありまして、そういった一方的な言い分を政府の文書としてお書きになるのはいかがなものかと思います。
 2つ目には、「実名発表を原則とすべきであると」云々で「尊重し」とあるんですけれども、実はこれは、前にも久保構成員からお話がございまして、ただ私どもとしては、実名発表は原則としておりませんので、それは尊重することはできませんと申し上げたのでございますけれども、その意見に変わりはございません。
 3つ目には、「尊重」と「踏まえ」ということが書いてありますけれども、ちょっとこのご趣旨がよくわからない。また、全体のバランスとして、いかにも報道機関側の利益に軸足を移したというふうに、恐らくこれは読んだ現場の職員は思うのではないかというふうに思います。いかにもバランスがよろしくない、方針が変わったのではないかというふうに思われる可能性がありまして、これについてもバランスの問題について、もし本当にお書きになるのだったら、報道被害の実態もお書きになるべきじゃないかと。ただ、そうなると長々となりますから、それで本当にいいのかということは、よくご検討いただきたい。ちょっとこれを読んだだけでは現場はどうすればいいのかと、非常に混乱するのではないかと私は思っております。

○井上構成員 私も似たような意見でして、ここまで書くのであれば、「犯罪被害者等の匿名発表を望む意見」のところにも、こういう観点から、こういう理由があり、「望む意見」が出てきているというふうに書かないとバランスを失すると思うのですね。そこは、これまで岡村構成員はじめ縷々おっしゃっていたことで、そういうことを考えますと、私は原案のままというのが一番いいのではないかというふうに思っています。仮にここの文章を直すとすれば、「マスコミ」以下のところについて、「報道機関の報道の自由、国民の知る権利に奉仕する使命という点からの実名発表に対する要望・要請」というぐらいにすれば、お気持ちは含まれるのではないかと思います。私はこの「安易な拡大」とか、そういったところは今警察庁の方がおっしゃったとおりで、一つの見方をあらわしているけれども、違う意見は当然あるというふうに思いますので、修文するとすれば、そのくらいかなと。しかし、原案どおりというのを第一の提案とさせていただきたいと思います。

○岡村構成員 私も、匿名を原則とすべきであると。しかも、被害者のどういう主張でそれになると言ってきましたが、ここに加わったものを見ますと、原案の方がずっといいと思っております。これですと、井上構成員がおっしゃったことと同じで、被害者が要求することは書かないでおって、マスコミが要望することだけをここに書かれると。こうなりますと、やはりちょっと、悪いですけれども、これは納得できませんね。原案の方がいいです。

○大久保構成員 私も警察庁と井上構成員、岡村構成員の意見と全く同じでして、ぜひ原案を生かしていただきたいと思います。

○小西構成員 私も同じです。原案でいいと思います。「尊重するとともに」を入れたために、後ろが何行も大変バランスを欠いて、どうしても議論がおかしいと思うのは、例えば医療で非常に悪徳の医療があって、一方ではちゃんとやっているお医者さんもいるというときに、悪徳医療の被害についていろいろ話しているときに「いい医者もいるよ」といって、それが入ってくるというか、何人かの人がおっしゃっていますけれども、やはりここでは被害者の現実というところで、具体的な施策を出すということなのですから、そこはやはり、ちょっとお考えいただきたいなというふうに思います。

○中島構成員 私も同様に、やはり文章から見ても、これはどちらかというと被害者の要望よりも、報道機関の要望をここの条項に取り入れたという印象を、普通に読んだら与えてしまうと思います。本来の意図は、被害者の希望をいかにこの施策に取り入れていくかということを考えますと、はるかに原案の方が望ましいと思われます。

○山上座長代理 山田構成員、何か。

○山田構成員 私が申し上げたのは、警察が匿名報道か実名報道かを決定するということをうたっているのであるとするならば、それはいかがでしょうかということで申し上げました。これは18ページに書いて、そのとおり記載してあるとおりでございますが、18ページの一番下に書いてありますが、この際、従来のお話でもって、そこのところはそういうことではないというご説明もいただきましたので、また今改めて出されたものを見ますと、いささか散文的といいますか文学的といいますか、そんなところもございますので、ここの修正文はどうかなという感じはしております。警察によってなされる、その発表についてのくだりということであるならば、あえてこれ以上は申し上げないでよろしいかなと思います。

○山上座長代理 では、原案のままということでよろしいでしょうか。

○久保構成員 皆さんの意見はそういうことなのですけれども、私としてちょっと修文意見を言わせていただきますと、これは骨子のもとの文意なんですけれども、「実名発表、匿名発表について、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見・・・」と2つ並んでありますよね。ここを、「匿名発表を望む意見を尊重するとともに、報道機関による報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名原則への要請を踏まえて」とする。これまで骨子案のときに、警察から非常に抵抗されたので、「配慮し」とか「尊重し」とか、「要望」は「要請」にしていただいて結構なんですけれども、「実名原則の要請に配慮し」、あるいは「踏まえ」としていただくだけでもいいと思います。

○片桐構成員(警察庁) 前々回、前の第3回の繰り返しで恐縮なのですけれども、我々実名発表の原則というのはとっていないわけでございまして、それを「尊重する」とか「踏まえ」ということは私どもとしては言えないということなので、ぜひこの点はご理解をいただきたいということでございます。

○久保構成員 「実名発表に対する要請を踏まえ」。

○片桐構成員(警察庁) それは結構です。

○山上座長代理 それは書いてあります。「要望を踏まえ」と書いてありますね。

○久保構成員  「原則実名に対する要請を踏まえ」。私の意見としたら、ここに「実名発表に対する要請」というのではなくて「原則実名に対する要請」と。

○井上構成員 それが報道機関の関係者の要請ないし要望であることは事実だとしても、それに配慮し、あるいは尊重して、警察において適切な発表になるように配慮していくということをここで申し合わせたということになると、やはりその原則なるもの自体を肯定したかのような意味合いを持ってくるように思います。今より、その面を強めるという意味合いを持ってくるので、警察庁の方は、それには抵抗感が強いのだろうと思うのですね。また、そこまで言うと、今度は被害者の方も、「匿名原則」というふうに書くべきだと主張することになると思います。そういう趣旨のことをおっしゃっているわけですから。そして、そんなふうに書くことになると、両方とも原則と原則であり、それらに配慮してとなると、一体どうしろと言っているのかわからなくなってしまうと思うのです。だから、それはちょっと無理な筋ではないかというふうに私は思いますけれども。

○久保構成員 今の井上構成員の話は理解できるのですが、その後段に、警察として「適切な発表内容となるよう配慮していく」という、警察の主体がここに出ておりますので、その前段に、私どもの要望である「実名原則」を入れていただくということについては、別段私はこちらに偏っているとも思えないのですけれども。

○井上構成員 いや、もしそれをやるなら、前段では、「匿名原則」と書けというふうになると思うのですよ。

○岡村構成員 当然なります。もうなりました。

○井上構成員 だから、そういうことを言い出すと、非常に分裂した文章になり、正反対のベクトルを2つ並べているようなことになってしまって、おかしいと思います。

○山上座長代理 実名原則というのは、もう現実味がなくて、あらゆるところで配慮しなければならないというのも、それは当然受け入れているわけですから、今さら……。

○久保構成員 それはわたしどもが主体的に配慮する。

○山上座長代理 ですから、「実名発表」という表現を望むというふうに書くだけで足りるのではないかと思うのですが。

○岡村構成員 そういうふうにいろいろな主張をされると、ますます我々怖くなってくるのですよね。先行き、またやられるんじゃないかというような気がしますのでね。

○久保構成員 何をですか。

○岡村構成員 マスコミ攻勢をかけられたり、いろいろやられるのではないかというような不安がますます高まってきますので、原案でどうでしょう。私も折れますから。

○久保構成員 これは、ですから警察が主体的に判断して、発表、その前段には私どもの、井上構成員は両方入れるとすれば匿名原則、実名原則の両方ということを言っているのですが、私たちの使命としては、被害者対策以外にもいろいろな要素があるものですから、それに対する国民の知る権利を理由とする実名原則ですね。これは、だから我々として、今譲れない一線ではないかというふうに私は考えております。

○岡村構成員 これは、被害者問題についてのですからね。だから、それ以外の被害問題などについては、あまりご心配なさるのは……。

○久保構成員 これまでも繰り返し申し上げていますけれども、被害者問題だけでこういうふうな発表の仕方とか、非常にある種制限するようなものの言い方はされたくないと。その側面からだけね。

○岡村構成員 そういうふうにおっしゃって、人権擁護法案のときも反対されたわけですけれどもね。でも、ここは被害者問題なのだから、それ以外のことまで考えると、前に進まないと思うんですよね。ここは被害者問題に限ってお考えいただきたいと思います。それはまた、別のところでおやりいただきたい。

○久保構成員 それは理解できますが、エの原案だと「被害者問題に限って」というふうに読めるでしょうか。

○大久保構成員 犯罪被害者等基本法の中のものですので、やはり犯罪被害者とだれもが理解するのではないでしょうか。

○岡村構成員 犯罪被害者等基本計画に書かれるわけですよね。だから、被害者問題に限らずと思われないのではないでしょうか。

○山田構成員 久保構成員にちょっとお尋ねするのですが、多分だめなのでしょうけれども、原案の「警察による被害者の実名発表、匿名発表について」とありますが、この「ついて」の次に「は」というの入れて、「ついては」と。警察の行うそれについてはというふうにした場合、若干ニュアンスが変わってくるかとは思うのですが。なかなかメディアとしては、それは難しいということになるのでしょうか。

○井上構成員 結局そこを受けていると思うのですよ、実名発表に対する要請ないし要望というのも。被害者の名前についての実名発表をしてほしいという要請と、そういう文脈だと思うのですね。一般的に実名かどうか、実名か匿名かと、そういう文脈では決してないと思います。マスコミの方が、この原案の中で言われているのは、報道の自由、国民の知る権利に奉仕するという観点から、被害者の名前についても実名発表をしてほしい、こういう要請だと思うのですね。

○久保構成員 はい。

○山田構成員 ですから、そういうふうにとらえれば、原則とまで言わなくてもいいのではないかと思うんですよね。

○久保構成員 「は」を、「ついては」を入れるわけですね。

○井上構成員 「ついては」ということで、両方にそれがかかっていることを明確にするということでしょう。原文でもわかると思うのですけれども。

○山上座長代理 簡潔で、バランスのとれた原案かというふうに感じます。

○久保構成員 確かに、文章は非常に簡潔なのですが、「個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮していく」という、「個別具体的な案件ごとに」という部分は、削ることは可能でしょうか。「総合的に勘案しつつ、適切な発表内容となるよう配慮していく」と。

○山上座長代理 決めるときは、個別具体的なところで決めることになるのは当然で、やはりこれは警察が決することなのでしょう。

○久保構成員 その辺は当然のことなのでしょうが、その場合には、我々の意見も個別具体的に案件ごとの場合には、私どもの意見も聞いていただきたいというふうなことがあるわけです。

○山上座長代理 どうぞ。

○片桐構成員(警察庁) まさにそういう趣旨で、個別具体的な案件ごとに、先ほど申し上げましたけれども、もし我々が実名を出さないのであれば、理由を説明いたしますので、それが、おかしければそこでご議論いただきたいと。従来からそうやってきたはずなんですね。そこでご議論いただいて、我々は決して硬直的に対応してきたつもりはありませんし、マスコミのご要望に答えたこともありますので、ですからまさに、そういう意味で、個別具体的にご判断をいただきたい。その場で、我々が犯罪被害者の立場に立ってものを言うことがありますけれども、その場合には、ぜひマスコミの方も犯罪被害者の立場を理解した上で、お互いに一緒に議論していきましょうという趣旨なので、ぜひそういう趣旨でこれは生かしていただきたいなと私は思っております。

○久保構成員 でしたら、「個別具体的に、犯罪被害者あるいは我々の意見」、どうしますかね。「双方の意見を踏まえつつ」とか「相談しつつ」とか。

○片桐構成員(警察庁) ですから、そういう趣旨で前段に、匿名発表を望む犯罪被害者の立場を一つ考え、そしてまた報道機関のお考えも考え、それでまた両者のバランスをとりながら、現場レベルできちんとお話をして、あり方を決めていきましょうというのが趣旨なので、これはもう従来のやり方そのままのことを私ども書いているということなので、この点は何も、我々はこれによって物事を隠ぺいしようとか、発表を遅らせようとか思っているわけではありませんから、そこは現場レベルできちんと。またこれは統一的な基準を示すということはなかなか難しいと思うんですね。ですから、やはり個別具体的に、お互いにお話し合いをしながら、我々も犯罪被害者の方々のお立場、お考えを尊重しながらお話をしますから、そこでお互いに議論し合いましょうという趣旨でございますので。

○久保構成員 今おっしゃっていただいたようなニュアンスが、少しでも、一言でも「個別具体的な案件ごとに」のところに入れば。だからこれまでは阿吽の呼吸とか、いろいろなことでお互いにやっていたわけですね。話したりいろいろな議論をしたり。

○片桐構成員(警察庁) 我々現場レベルで、そういうマスコミの方々等の要望をお聞きし、議論をすることについてはやぶさかではございませんので、そういう意味で、個別具体的な案件ごとに適切な内容となるように配慮しますというふうに申し上げているので、ですからそこの意味合いは、この中に私は込められているというふうに思っております。

○久保構成員 いや、込められているとおっしゃいますけれども、現場の受けとめ方として、やはりそうは受けとめられない現実があるわけですよ。

○片桐構成員(警察庁) そこで、もしご批判があるんだったらしていただいて、議論してまいりましょうと。

○久保構成員 それはこれまでどおりやりますけれども、そういう現実があることを考えるならば、ここでもう少し、その辺に歯止めのかかるような表現があってもしかるべきではなかろうかと。

○片桐構成員(警察庁) 最近、匿名が増えているとおっしゃるんですけれども、これは全く統計的に実証された話ではないですよね。それを前提にしてお話しになるのはちょっとどうかなと、私は思っております。

○久保構成員 いや、私どもも全国調査をやった結果を踏まえて言っているわけですけれども。

○片桐構成員(警察庁) 統計的に、以前に比べて増えているということがあるんですか。

○久保構成員 いや、ありますよ。

○片桐構成員(警察庁) それは、恐らく統計的にとり得ない話だと思うんですよ、私は。

○久保構成員 現場の記者が、以前との比較をしながら。

○片桐構成員(警察庁) それは実感レベルの話ですよね。

○久保構成員 実感といいますか、発表の現実を踏まえて言っているわけですね。

○片桐構成員(警察庁) 仮に、もしそういうことがあるとすれば、私は現場レベルで、これはまさに犯罪被害者の立場とか、利益とかに対する理解が進んだあかしだと思います。

○久保構成員 私どもも同様に理解が進んだと思います。

○片桐構成員(警察庁) ですから、そういうふうなことを踏まえながら、現場レベルでもマスコミの方も、あまりこの「原則」に固執されるのではなくて、やはりそういった犯罪被害者の立場を考えながら、お互いにそういったことを尊重し合いながら、現場レベルの話をしていきましょうということだと思います。

○久保構成員 「具体的な案件ごとに」というふうな言葉を入れるのであれば、その後に、ちょっと今、突然であまりいい言葉が浮かんできませんけれども、「いろいろなことを相談する」とかね。

○岡村構成員 それだったら「被害者にも相談する」ということを入れてください。

○片桐構成員(警察庁) そこは、前段で犯罪被害者のご要望と、あとマスコミのご要望を踏まえてと申し上げているのですから、ここでマスコミの皆さんの声を聞かないということを言っているのではなくて、ここでちゃんと聞くということを申し上げているわけですから、なぜそれに加えてまた書かなければいけないのか、今、岡村構成員がおっしゃったように、ではまた犯罪被害者の声を聞いてくださいという話になると思うんですよ。

○久保構成員 個別具体的な案件ごとに判断されるわけでしょう、警察がね。その場合の判断は、どうやって判断されるのかということですよ。

○岡村構成員 私が飛行機会社から聞いたんですが、アメリカでは飛行機が落ちても、被害者、乗客の名前は絶対発表しないと言うんですよ。これは、飛行機会社が全部調査して、それぞれの家族、遺族に連絡をする。それだけプライバシーが守られているということですよ。日本のある航空会社が、アメリカの会社と提携したら、飛行機が落ちた場合に被害者に連絡をしなきゃいかぬというので、50台電話を増設することと、専門の要員も確保していくという条件を呑まされて、アメリカの会社と締結したという話を聞きました。それくらい被害者の名前のプライバシーが守られているんですよ。ニューヨークの事件でも、いちいち亡くなった人の名前は発表しなかったそうですね。誰それが被害を受けましたということは、天下に公表する必要はないわけなんですよ。こういう事件が起こりました、それだけで十分じゃないですか。何で被害者のことは根掘り葉掘り聞きたがるのでしょうか。それは、間違った警察発表によって、間違った第一報が流れたり、風評が流れたりすることをなくするために、被害者の言い分を直接聞きたいというご希望を、新聞もお持ちでしょうけれども、しかし被害者としては、とにかくそっとしておいてくれということが一番大きいし、それから後で報道されることによって、非常に傷つけられるということがあるわけなんですよ。だから、私どもも、この内閣府案には、実は内心は不満なんです。不満だけれども、しかしそればかり言っても、これは終わらないということで、妥協して原案でいきましょうと言っているわけですから、ぜひ久保構成員もこの辺で、ひとつ折れてくれませんか。新聞協会に対しては、十分顔を立てましたよ。あれだけ頑張れれば。

○久保構成員 私はそういうつもりで言っているのではなくて、要するに「個別具体的な案件ごとに」というのを削除していただけませんか。

○岡村構成員 でも、発表は個別具体的に、個別で発表をするわけですよ。

○井上構成員 むしろ、久保構成員がご懸念されていることを前提として言うならば、それを削った方がよっぽど危ないのではないかと思います。全国統一で、こういう基準でやるんだというふうに読めてくるではないですか。それより、「個別具体的な案件」で、被害者の方のご意見もお伺いする、そして、どうぞ出してもかまわないですよと言われれば、そこのところは軽くなるわけですし、これだけの重大な事件で社会的に広がりがあるから、こういう理由で被害者名も必要なのですということを、記者の方からも説明されればそれも考慮する。そこは全部「個別具体的な案件」の中で行われることだと、原案はそういうふうに読めるのですけれども。
  前段は一般論であって、後段だけが個別具体的な事項だと、そういうふうに読まれると、ご心配がむくむくと大きくなるのかもしれませんが、その語句を削った方がよほど危ないのではないかと思います。

○山上座長代理 久保構成員の意見は十分に、議事録に残りますので、その辺で原案どおりということでまとめてよろしいでしょうか。そうさせていただければと思います。

○久保構成員 では、1点だけでやめますので、引き下がりますが。「総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに」とありますね。総合的に勘案し、その「個別具体的な案件ごとに」というところに「双方の意見に配慮しつつ」というふうな。同じですか。繰り返しになりますか。

○山上座長代理 配慮は双方の意見だけではなくて、いろいろな環境の問題が入っているはずですよね。

○井上構成員 私も、この原案どおりで、懸念されておられるようなことはないと思うのですけれども、思いつきですが、「個別具体的な案件ごとに」という文言をいっそ冒頭に持っていくのも一案ではないでしょうか。「実名発表、匿名発表については、個別の案件ごとに云々」と。そうすると、意見を聞くのも要望も、個別の案件ごとであるということが文章上はっきりしますよね。それでも全然構わないと思うのですけれども。

○久保構成員 「実名発表、匿名発表については、個別具体的な案件ごとに」ですか。

○事務局 事務局として提案させていただきたいと思うのですが、この問題は、実は次回ご議論をいただく第20条の国民の理解の増進の中でも再掲で出てまいります。その場面でもご議論をいただくべき案件でございますし、それで今、非常にご議論白熱をいたしまして、いろいろなご意見が出まして、また具体的な修正意見等につきましても、また新たにご議論の中で出てきたということでございますので、今日のご議論を踏まえて、また具体的な修文案等についても、改めて次回までにお考えをいただいた上で、次回またご議論をいただくというような方法もございますけれども、いかがでしょうか。

○井上構成員 せっかくのご提案ですが、ほぼ意見は出尽くしていると思います。圧倒的多数は原案どおりでよいということであったのですから、もしご提案のような進め方をするとすれば、この原案どおりでは問題があるとおっしゃられる構成員から修正案を次回までに用意していただいて、それについてさらに検討するというのが筋だろうと思うのですね。お一人か二人を除いて、全員が原案でよいということだろうと思うのです。私自身は、ここまで議論をしたのですから、この段階でもう決めるべきだ、という意見です。

○大久保構成員 私も、ぜひこの場で決めていただきたいと思いますし、このいろいろな基本計画案の中では、もっともっと盛り込んでほしいということはたくさんあります。それでも、やはりきちんとまとめあげるために、飲み込んだものもたくさんありますので、その点もぜひ久保構成員にもご理解いただきまして、結論を出していただければと思います。

○久保構成員 今、大勢がそういう原案どおりということであれば、私はあまり長くこの問題を、いろいろある中で大変恐縮な気持ちでいるんですけれども、この辺は引き下がらせていただきます。もし、次回議論をしていただけるのであれば、私はまた修文案を出させていただきますけれども。その辺は、皆さんのご意見はもう固まっているんでしょうね。

○岡村構成員 私も大分くたびれましたから、この辺でもう決着にしていただきたい。もう毎日毎日メールが来るから、もう体がもたないような状況です。

○山上座長代理 山田構成員は、これでよろしいですか。

○山田構成員 結構です。

○山上座長代理 では、そういうことで。

○井上構成員 山田構成員の、「は」はいいのですか。

○山田構成員 それは、久保構成員のことをちょっと考えて申し上げたので、あった方がいいかなと思っておりますけれども、それはどちらでもよろしいかなと思っておりますので、「は」を入れたらよりクリアになるかなと。恐らく久保構成員の方から、次回までにまた戻られて、今ここで思いつきじゃなくて案が出てくるかもしれませんよね。それを全く拒否するという今までの流れでもないと思いますので、そのときにまた議論して。大体は、今日意見が出たなということは、もう間違いないところだと思いますけれども、そんなふうに思っております。

○山上座長代理 「ついては」は、「は」を入れることにしましょうか。

○井上構成員 「は」は入れましょう。

○山上座長代理 では、そういうことであります。これで、大体議論も出尽くしたかと思いますが、よろしいでしょうか。本日の議論を踏まえて、まとめを事務局からお願いします。

○事務局 それでは、連絡事項を申し上げたいと思います。本日ご議論をいただきました基本計画案の各論部分、すなわち重点課題にかかわる具体的施策につきまして、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」、これは第14条、第15条及び第19条の関係でございます。それから、「刑事手続への関与拡充への取組」、第18条関係に関する部分につきましては、事務局において基本計画案(2)として取りまとめをいたしまして、次回の第10回検討会までに構成員にお示しをしたいと思います。
  また、これらの総論部分に該当する重点課題でございますが、これにつきましては、第11回検討会に改めて事務局案をお示ししたいと思います。繰り返しになりますけれども、総論部分につきましては、目的、基本方針、重点課題(1)に対するものも含めまして、各構成員からのご意見がある場合には、具体的な修正案または具体的な対案の形で、11月4日までに提出をいただくようお願いをいたします。
  次回の検討会は11月7日(月)午前10時から午後0時30分までを予定しております。

○山上座長代理 これをもって、第9回検討会を終わります。長時間にわたりまして、ありがとうございました。


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