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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第5回)議事録


(開催要領)

日時:平成17年7月11日(月)14時01分~19時04分
場所:合同庁舎第4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
  座長代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
  構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
  同大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
  同岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
  同久保 潔読売新聞東京本社論説委員兼編集委員
  同小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
  同中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
  同山田 勝利弁護士
  同加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  同片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
  同荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
  同河村 博法務省大臣官房審議官
  同太田 俊明厚生労働省政策統括官(労働担当)
  同平田 憲一郎国土交通省総合政策局次長
  協力者坪田 眞明文部科学省初等中等教育局児童生徒課長

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。

(議事次第)

 1. 開会

 2. 村田大臣あいさつ

 3.骨子案(4:刑事手続への関与拡充への取組について)について

 4.骨子案の検討について(5)
   ・支援等のための体制整備の取組

 5.その他

 6.閉会

<附属資料> ※資料のリストが別ウィンドウで開きます。





○事務局(加地内閣府犯罪被害者等施策推進室長) それでは、ただいまから第5回犯罪被害者等基本計画検討会を開催いたします。最初に、大臣からご挨拶をいただきます。

○村田大臣 今日も暑い中、構成員の皆さん方にはご出席を賜りまして、まことにありがとうございました。
 それでは、今日で5回目になります犯罪被害者等基本計画検討会を開催をさせていただきたいと思います。
 先週にはロンドンでテロの事件が起きまして、多数の方々の尊い命が亡くなったわけでございまして、心からお悔やみを申し上げたいと思っております。私もロンドンにおけるイギリス当局の対応をいろいろな意味でも見つめておりますけれども、秘書官といろいろ話をする中で、被害者の犠牲者の方々について、イギリスのケースでは、犠牲となられた方、あるいはけがをされたと認定がされた方については具体名を発表しないと、行方不明者だけ発表するという、そういうマスコミへの対応をとっているみたいでありまして、大変不幸な事件でございましたけれども、私どももその事件のいろいろな推移というものを見つめながら、一つ一つの点を、不幸な事件を二度と起こしてはならないという、そういう気持ちで私も見ているわけでございます。
 今日の議題でございますけれども、前回議論をしていただきました「刑事手続への関与拡充への取組」のテーマにつきまして、骨子案についてまとめの議論をしていただくことが第1点でございます。次いで、新しいテーマとして、「支援等のための体制整備への取組」についての議論をお願いをいたしたいと思います。
 現在の仕組みでは、犯罪が起こった急迫期におきましては、警察が犯罪被害者の対応を行うという仕組みがございますが、その後の犯罪被害者等についての各般にわたる支援体制については、まだ整理されてないという認識を私は持っております。基本法にありますように、犯罪被害者の方々の大変な被害を受けたその状況から、その後、刻々変わります犯罪被害者のニーズに応えまして、政府といたしましても、いかなる支援ができるのか、最終的に落ち着いた生活を取り戻すまでの支援体制をどうすべきなのか、あるいは全国で等しくそうした支援を受けられるような仕組みをどう構築していくかということが重要なテーマになろうかなと思っております。
 基本法では、第11条に「相談や情報の提供等」第21条に「調査研究の推進」、第22条に「民間の団体に対する援助」の規定がございますので、そうした法律の規定に沿って、犯罪被害者のための支援等の仕組みをどのようにつくっていったらいいかということについて、皆さんの貴重なご意見を承りたいと思っております。
 今日も暑い中でございますが、熱心なご討議をよろしくお願いします。ありがとうございました。

○事務局 ありがとうございました。それでは、司会を交代したいと思いますが、本日も宮澤座長は体調を崩しておられます。山上座長代理に司会をお願いいたしたいと思います。

○山上座長代理 宮澤座長に代わりまして、本日も司会を務めさせていただきます。
 それでは、これより議事に入ります。本日の検討課題について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、本日の第5回検討会でございますが、大きく3つございまして、1つは骨子案(2)に関連いたしまして、とりまとめの内容が保留されているもの、それから犯罪被害者等からのご要望のうち、金融庁関係であるために検討未了となっていたもの、それから性暴力被害者等からのご要望のうち、検討未了となっているものが1つでございます。
 それから、2つには前回議論が行われました「刑事手続への関与拡充への取組」の骨子案(4)の確認をしていただきたいと思います。この中には、岡村構成員から提出されましたご意見のうち、検討未了のものも含まれております。
 それから、3つ目でございますが、本日第5回の課題でございます「支援等のための体制整備への取組」(第11条、第21条及び第22条関係)でございます。これらについてご議論をいただきたいと思います。
 これまでと同様に、円滑な議事進行のために、事前に書面として提出していただいているものにつきましては、口頭での説明を省略するようにご協力をお願いいたしたいと思います。

○山上座長代理 それでは、最初に骨子案(2)に関連する検討事項について事務局より説明をお願いします。

○事務局 本日は今申しましたように、いろいろなご議論をいただくということで、資料も大変多くの種類がございます。その中で、、「犯罪被害者等基本計画骨子案(2)保留事項」をご覧いただきたいと思います。
 まず、保留になっておりました公営住宅優先入居の関連につきましての内閣府意見が1ページ以下でございます。それから、休暇制度の関連につきましては3ページ以下のとおりでございます。次に、金融庁関係ということで未了となっておりました損保会社による二次的被害防止の指導状況につきましては、別置きをさせていただきましたが、その資料のとおりでございます。この資料、金融庁からの回答でずっと一番最後に内閣府の資料をつけております。その「2」をご覧いただきたいのですが、金融庁からの回答に基づきまして、事務局の方で今後講じていく施策のとりまとめとして、この2つの「☆」の内容をつけ加えてはどうかということで、このペーパーを配布させていただいております。
 それから、次に5月17日に行われました「児童虐待、性暴力、DV、ストーカー被害者及び身体医療に関するご要望」のうち、第2回検討会の検討事項に関連するもので、まだ議論が行われていなかったものがございます。これはヒアリングから第2回検討会まで時間がなかったという理由でございます。これらにつきましては、「第2回検討会において積み残した性暴力等の被害者及び身体医療に関する要望に係る資料」のとおりでございます。
 なお、公判記録の謄写費用の関係で最高裁の資料を参考までに添付いたしております。添付いたしております箇所でございますが、資料3、最高裁の資料として、そこの一番最後に添付をさせていただいております。

○山上座長代理 それでは、ご意見のある構成員はどうぞ。骨子案(2)についてですけれども、特にございませんか。

○事務局 もしよろしければ、それではまず最初の保留になっていたものでございますが、公営住宅優先入居の関連について、それから休暇制度の関連について、いずれも内閣府意見のとおりとさせていただきたいと思います。
 それから、次に金融庁関係で未了となっていた損保会社による二次的被害防止の関係でございますけれども、先ほどご覧いただきましたとりまとめ案、2つの「☆」でお示ししたもののとおりとさせていただきたいと思います。
 さらに、5月17日に行われましたヒアリングで未了のもの、検討が未了であったもの、これにつきましては、それぞれ担当省庁から出されましたペーパーのとおりとさせていただきたいと思います。

○山上座長代理 そういうことで、了承することにいたします。それでは、次に前回の議論をまとめた骨子案(4)について事務局より説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料でございますが、「犯罪被害者等基本計画骨子案(4)に係る資料」、これをご覧いただきたいと思います。そのうちの内閣府資料をご覧いただきたいと思います。
 骨子案に対する構成員の皆様からのご意見を囲みで、それから事務局の考え方を囲みの下に青色の字で、さらに構成員の意見を踏まえました事務局修正案をその下に太字で書き加えてございます。構成員の皆様からいただきましたご意見も添付しておりますので、ご参照をいただきたいと思います。
 なお、前回の検討会におきまして、岡村構成員からご提出いただきましたご意見の一部検討未了のものでございますが、これに対する関係省庁の回答につきましては、「第4回検討会において積み残した検討事項に関する説明資料」のとおりでございます。

○山上座長代理 では、この骨子案(4)についてご意見をいただきたいと思います。
 なお、できれば三、四十分でこの結論を得たいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○岡村構成員 まず、2ページ、骨子案(4)の内閣府意見ということで、2ページに赤で書いているところですけれども、確かにこれは15条関係で一応議論はされたところでありますけれども、被害届、それから告訴届を持っていっても受理しない、預かっておきますということで受理しないケースが相当あるわけです。現実に前にも申しましたように、長いことほうってあって、とうとう時効になってしまった事件、そういうふうな事件もありますし、捜査をしないうちに犯罪が発生して死亡したという事件もあるわけで、必死になって頼んでいるときにどうしても捜査をやってくれない事件は、これは捜査開始命令とか捜査開始の申立とか、そういうふうな手段がありませんと、何とも救いようがないんですね。だから、ぜひもう一度ここでお考えていただきたいと思って書いたのが2ページの1でございます。2については、不起訴にする場合には十分に情報提供をするということでありまして、3においては不起訴裁定については、具体的に文書でお示しいただきたいということでございます。特にこの1について、これは本当に被害者がそれを願っていることであります。

○山上座長代理 この第1に関して、ほかの構成員からどなたかご意見ございませんか。

○岡村構成員 繰り返しのようで恐縮ですけれども。

○山上座長代理 これは、被害者の相談に応じていますと、こういうお話は、そういうことで受理されないで困ったというのは随分あるものですから、それに関する何かご意見あれば。

○片桐構成員(警察庁) これは前にもお話があったのでございますけれども、告訴、告発を受理してくれないというお話がありました。これは、確かに平成12年の警察改革以前にはそういった事案もあったというふうに我々は認識しておりますが、あれ以後告訴、告発についてはきちんと要件が整っていれば受理をするようにということを厳しく指導しておりまして、それ以後大きなトラブルは我々はないというふうに認識しています。告訴、告発があれば、当然捜査の結果については検察庁に送付しますし、我々はご連絡をする責任があるわけでございますから、この制度を使っていただければ、十分に我々が義務として捜査をするということは担保できるのではないかと思っています。なおかつ、加えて告訴、告発をしても捜査が遅いということはあるかもしれません。その場合には、公安委員会に対する苦情申出制度がございまして、これも平成14年につくったのですけれども、この制度を使っていただいて、公安委員会に「遅い」ということを言っていただければ、公安委員会が調べて、実際に本当に遅ければ、そこは是正をするという制度もできております。したがって構成員ご指摘のような制度をつくらなくても十分に担保できるというふうに我々は考えております。

○岡村構成員 この間も長野の事件がありまして、真犯人が自首してきたのに、真犯人だと自首したのに3年間もほうってあったと。それで、刑事、民事とも時効になって被害者は何もできなくなったという事件がつい最近あったんですね。平成12年以降はないとおっしゃるけれども、あるんですよ。だから、その制度を使ってくれればいいとおっしゃいますが、制度を使おうとしても、使ってもやってくれないというところが問題なんですよね。全部が全部そうと言っているわけじゃありませんよ。そういう例があるものですからね。

○片桐構成員(警察庁) 長野の事件をご説明しますと、確かに自首があったことは事実でございまして、捜査を開始をいたしました。ただ、それを裏付ける参考人というのは別途いまして、この人に対する事情聴取を始めたんですが、その後間もなく行方をくらましてしまいまして、その後事情聴取ができなかった。したがって、この自首の中身が正しいかどうかについて、きちんと我々が裏付けできなかったので、結果的にご連絡が遅れてしまったということでございます。やはり我々としてご連絡するからには、きちんと裏付けをとって、本当にこれは自殺ではなくて事件ということを我々が確信を持った上でなければ、なかなかご連絡できませんから、そういった事情があったということは、これは個別の事案でございますけれども、ぜひご理解をいただきたいなと思っています。

○河村構成員(法務省) これまで警察庁の方からご説明ございましたように、岡村構成員ご指摘の制度につきましては、いわゆる第一次捜査機関としての警察において、告訴、告発制度の適正な運用が図られるような措置がとられるということでございますので、ご指摘のような制度を導入する必要はないのではないかと考えております。

○井上構成員 私も、今の警察庁ないし法務省のご意見に基本的に同意見ですけれども、このご提案の制度自体についても問題があるのではないかと思っています。というのは、これまでの仕組みですと、裁判所の役目は捜査機関の権限発動についてチェックするというものです。ところが、ご提案の制度になりますと、捜査機関に能動的な行為を命じるというものですので、司法機関として、行政機関である捜査機関に対して、そういうことができるのか。これまでにない考え方ですので、ご提案それ自体についても問題があるように思っております。

○岡村構成員 今の制度はおっしゃるとおりですけれども。

○井上構成員 今の制度がそうなっているというよりは、その考え方において問題があると申し上げているのです。今ない制度であるというだけではなく、性質上、無理な制度ではないかということです。

○岡村構成員 被害者の視点に立って制度を変えようというのがこの基本法の精神ですので、司法機関がチェック機能だけであって、捜査を積極的にやれという機関ではないという、そういう制度自体を変えてほしいというのが私たちの意見なんですがね。

○井上構成員 ご趣旨はわかるのですが、司法機関の性質そのものにかかわる問題であり、できることとできないことがあるのではないかということを申し上げているのです。

○山上座長代理 警察庁の方から意見を聞きたいんですけれども、公安委員会の苦情申出制度があるというのは、今こういう被害者の方がそういうことで問題を訴えれば、かなり適正な対応が現実にされているという状況なんでしょうか。

○片桐構成員(警察庁) 苦情申出制度は、警察法に規定を設けまして、公安委員会に対して苦情を申し出た場合には、公安委員会がきちんと調査をして文書で回答をするという制度でございまして、確実に調査をしてご回答をさせていただいています。また、公安委員会以外の本部長あての苦情も同様な扱いをしていまして、これも確実に文書ないしは口頭でご返答申し上げるという状況でございます。

○岡村構成員 先ほどの井上構成員のご意見ですけれども、準起訴手続などはまさに起訴しなさいという命令ですよね。単なるチェック機能ではない。

○井上構成員 いえ、それは違うと思いますね。

○岡村構成員 そうですか。

○井上構成員 準起訴手続について申し上げますと、それは裁判所として自ら事件を公判に付するというものであり、検察官に対して起訴しなさいと命じるものではないわけです。

○岡村構成員 しかし、検察が起訴しない場合に発動されるんでしょう。

○井上構成員 ここでそれをめぐって学理的な議論をしてもしようがないと思いますから、私としては、さっきのような立場から、相当に疑問があるということを申し上げました。それに先行する問題として、そのような制度を取る必要がないという点は、先ほど警察庁ないしは法務省が言われたとおりだと思います。

○岡村構成員 何かいい知恵が出ないでしょうかね、この場合。

○山上座長代理 例えば、被害者の方からすれば、公安委員会からの苦情申し出相談があるのであれば、それが例えば「被害者の手引」なんかに書かれていて、もし困ったときにはそこに行けるということがわかれば、それでもかなり対応が適切にできる可能性があるのではないでしょうか。

○岡村構成員 ただ、公安委員会といっても、各地にあるわけじゃないでしょう。だから、遠くまで出かけなきゃいけない。同じことですか。

○片桐構成員(警察庁) 郵送でも結構です。郵送でも受け付けております。

○村田大臣 国家公安委員長からの立場でご回答を申し上げますと、国家公安委員会にも相当多数の手紙によるいろいろな問合せとか問題点の提起というものが寄せられます。最近、特に多いのがEメールによるいろいろな苦情の送付というのがございまして、そういうものは国家公安委員会の中で毎週、毎週議論をして、それで警察に対しても答え方の言葉遣いまで含めて議論をして、きちんと直した上で、かつまた具体的な事案で国家公安委員会の立場で受けられないものは、例えば都道府県公安委員会に付するもの、あるいは都道府県警察本部に出さなければいけない、回付しなければいけないものについては、そういう内容も付して、それではじめて警察にこれでよしという形を言って、それで処理をしているという形になっております。そういう制度を利用していただければ、国家公安委員会の中でもそれくらいの議論をしておりますので、都道府県公安委員会でも同様の議論は恐らくなされているのではないかなと思いますので、この制度を十分にご活用いただければよろしいのではないか思います。そういう現状になっているという事実だけは申し上げたいと思います。

○岡村構成員 私の意見を議事録にとどめておいていただくということで。

○山上座長代理 では、この制度を活用していただいて、警察の努力に期待するということでよろしいかと思います。

○岡村構成員 私としては、今言った意見を撤回したわけではありませんので。

○山上座長代理 それは議事録にとどめるようにいたします。

○山田構成員 それでは、ちょっと先へ進んでしまいますが、資料1の6ページでございますね。内閣府意見の6ページの大久保構成員からの意見に対しまして、原案とりまとめ案に赤字で記載されている「少年審判の傍聴その他の」という文言を付加するということでどうでしょうかという点でございますが、私は結論から申し上げまして、相当に疑問を持たざるを得ないと思っているわけです。犯罪被害者の方の立場から見れば、確かにそのお気持ちはわかるんですが、物事は犯罪被害者の方の立場からだけではちょっとどうしてもまずいということが出てきまして、特に少年事件という問題については、それこそ何十年にわたって少年、未成年の権利の保護と、まだ可塑性に富む少年の将来を期してということで、様々な手続がなされていて、成年とは違った少年法というものができていて、この傍聴についても少年の将来性、あるいは名誉、プライバシーというものを考慮してのことであるわけですね。ですから、相当問題なので、そこに「少年審判の傍聴その他の」というような文言を正面に例示とはいえ出すというようなことはいかがかなと思わざるを得ないわけなんですね。なかなか悩ましいところであることはわかるんですけれども、ずっと積み重ねてきた考え方を、その重さというものをぜひお考えいただきたいと思わざるを得ないわけです。
 現に前回もこの点について、法務省のご意見として、「傍聴問題も含め、非常に難しいというか、慎重な検討が必要でないかと考えている」というふうにおっしゃられまして、そういうことで私も同意見でありましたので、あえて異議は申し挟まなかったんですが、今回このように少年審判傍聴というようなことを入れるということはいかがなものかと思っている次第でございます。

○山上座長代理 この点についてどなたかご意見は。

○岡村構成員 私たちも前回、傍聴の必要性についての意見書を提出しております。被害者が傍聴するということがそれほど悪影響を及ぼすというような検証は全くなされておりません。この前は、事実認定と要保護性の点から議論をいたしましたけれども、傍聴したいという要望が非常に強いわけだから、この意見を踏まえた検討を行うことすらだめだという山田構成員の意見に私は賛成できない。検討しようという検討さえも入口でストップすると、これは参加の機会を増やすというこの基本法の精神からいっても、議論自体をストップさせようということは、私は行き過ぎだと思っております。

○大久保構成員 私も岡村構成員と全く同じような考え方でして、今までの少年法ではあまりにも少年に偏っているということで少しずつ改正をされてきているわけですね。そして、それに被害者が傍聴できないということも少年の将来があるからということがよく理由にされますけれども、本当にそうなんでしょうか。その少年が自分が犯した罪と真正面から向き合って、それを乗り越えることで本当の社会復帰がなされるのではないでしょうか。それを少年法の精神だからということで、すべて入口でだめにされるということは、この基本法の方針にも合わないと思いますし、私たちは少しでも被害者のためになるものを今つくり上げるためにここにいるわけですので、ぜひこれはこのまま進めていただきたいと、そのように願っております。

○山田構成員 岡村構成員の方から、私が検討すらしないという態度だということなんですが、そうではないんですよね。前回の法務省のご意見でもそういうことではない。その法務省のご意見に私は賛成というふうに申し上げておりまして、検討はなされるんでしょう。確かに、少年の立場、これは重たいものがある。被害者のお気持ち、立場も重たいものがあります。しかし、このように正面から記載することになれば、相当程度の比重、重さというものが出てきまして、誤解を与えるのではないでしょうかということを申し上げているんです。前回の表現でも、前回の文章でも十分にその可能性、検討の余地ということは含んでいると思うわけです。

○岡村構成員 とにかくいろいろ前向きに考えて、見直してみましょうと。見直した結果、何が出るかわかりませんが、見直してみましょうというのが基本法でしょう。だから、見直し自体がいけないという、シャットアウトするというのは私はおかしいと思います。

○山上座長代理 少年事件の審判を傍聴するというのは、被害者の権利として相当程度に重いからその例としてあえて入れたいという要請であるんだと思うんです。ただ、少年法は被害者に対する配慮がほとんど今までなかったのが問題になって、意見陳述ができるようになり、そしてそのバランスが今変えられていくときですから、こういう検討の中に入れるという分には、むしろ、それは正当なことではないか、一座長の立場であまりそう言ってはいけないのかもしれませんけれども、検討の課題に入れることまで制限することはないように私は感じますけれども、どうでしょうか。
 それから、この前もお話ししましたけれども、心神喪失者等医療観察法では傍聴を被害者ができるようになっていまして、医療観察法も同じように医療とか精神障害者の人権で、ちゃんと治療すれば立ち直っていくということがあって、同じような配慮がされるけれども、傍聴は認められているわけですよね。ですから、少年法では不可能だということがないんではないかと、少なくともしっかりと検討をしていただいた方がいいんじゃないのかというふうに私は思うんですけれども、どなたでもどうぞご意見を。

○井上構成員 私は、前回、精神障害者との比較については、そう簡単に比較できるものかどうかはわからないというふうに申し上げましたが、少年審判に限っても、相当慎重な検討が必要だということも申し上げました。その意見は変わっていないのですが、今までの議論では、要するに、これを例示として出すべきかどうかという点でご意見が分かれているだけで、山田構成員も検討しないということを言っているわけではないということですので、そうだとすれば、例示として入れるとしても誤解を招かないようにする。例えば、「少年審判の傍聴の当否あるいは可否を含め、犯罪被害者等の意見、要望を踏まえた検討を行う」というふうにしておけば、ニュートラルな表現なので、とにかく検討はするということははっきりするのではないでしょうか。思いつきですが。

○山上座長代理 「少年審判の傍聴等の可否を含め」。

○井上構成員 可否、あるいは当否。制度論としては、「可否」の方が適切かもしれません。

○山田構成員 くどくて恐縮なんですけれども、日弁連にも少年事件を本当に手弁当で扱っている弁護士が何人、何十人、何百人もおりまして、そういった人たちは本当に少年というものに対して必死に悩んで、考えて、事件を取り扱っているわけでして、少年犯罪を犯したその少年自体がまた被害者だという観点を持っております。ですから、そういった方々は弁護士から見ると、この点は相当強い反発というか、反論、反対であるという意見がございますので、今、井上構成員がおっしゃられたようなところで、もしよろしいければそういうふうにしていただきたいと思います。

○山上座長代理 では、そのようなまとめ方でよろしいですか。ほかにご意見ございますでしょうか。

○岡村構成員 3ページに返りますけれども、起訴状や冒頭陳述、論告要旨、控訴趣意書等、これをいただきたいという気が被害者はあるんですよ。法務省もかなり前向きなご発言を前回からいただいておることはよくわかるんですけれども、新聞社に渡したり、それから法廷で述べたりした文書を被害者になぜくれないのか。被害者にとっては非常にばかにされた気になるんですね。捜査については散々使われて、それで捜査の結果、やっと冒頭陳述なんかができたというときに、新聞社には渡すけれども、あなた方には渡さないぞということは失礼じゃないかということです。
 これは後で私の方で捜査、公判は犯罪被害者のためにもあるという本質にすべきであるということを出しております。これはおかしいんですよね。何で金を出して裁判所へ写しに行かなければいけないのかと。1部余分に刷って被害者にくれてもいいじゃないかという気がするんですよ。起訴状を法廷で読み上げる、新聞社には渡す、冒陳だって読み上げる。なぜ被害者にはくれないのか。そこに被害者の地位がいかに軽んじられているかと被害者は憤るわけです。そこのところの心情をもっとお汲み取りいただきたいんですね。犯罪被害者が今まで権利がなくて、苦しめられたという前提に立って、基本法ができているのですから、そこをもう一度お考えていただきたいと。法務省がいろいろとご工夫を前回されたことはそれなりにありがたいと思っておりますけれども、やはり物をいただきたい。それは要らないという人にはもちろん渡す必要はないんですけれども。
 一番被害者が知りたいのは、なぜ自分が被害に遭ったのかということ。真実を知りたい、名誉を傷つけられたくないということが強いんですね。ただ、今までの制度を見ると、損害賠償の請求をするときには記録を見せましょうと言っていますが、これは被害者に対する侮辱なんです。金を取りに行くときには書類を見せましょう、そうでないときには見せないというのは非常に侮辱であって、我々はまず真実を知りたい、名誉を守りたい、尊厳を守りたいということから、いろいろな事実を知っていきたいわけなんでして、金を取るときだけ協力してあげましょうというのでは、あまりにも侮辱した態度だと思うんですよね。そこが情けないです。だから、これなんかも手数がかかることじゃありませんから、やっぱりいただきたいと思うんですよね。プライバシーとか何とかをおっしゃられても、それは法廷で読み上げるものですからね。

○河村構成員(法務省) マスコミ等に対し、社会的に非常に大きな関心を呼ぶ事件につきましては、その後の捜査、公判等への影響、関係者へのプライバシー等を配慮した上で、そのものではございませんけれども、起訴状の要旨でありましたり、冒頭陳述の要旨といったものをお渡しする例はございます。ただ、現在、刑事裁判所において保管されております訴訟記録の閲覧・謄写を認める制度としましては、構成員ご指摘の犯罪被害者保護法に基づいて、裁判所が相当かどうか判断した上で、訴訟書類を閲覧・謄写していただく制度となっているわけでございます。ただ、この損害賠償といったような正当な理由ということを現行制度は要求しておりますけれども、これにつきましては拡大することについて検討させていただいておるということを以前紹介させていただいたところでございます。
 それを前提とさせていただきますと、この起訴状自体には被告人の本籍、住所等の個人情報でございましたり、第三者の氏名などが記載されておりますことから、そういったプライバシー保護などの観点が問題となりますとともに、冒頭陳述要旨、あるいは控訴趣意書などにつきましても、事案によりましては被害者以外の第三者にかかわる事項も相当程度記載されることがあるということから、同様の問題がございます。そのために、現行制度では裁判所において正当な理由がある場合であって、犯罪の性質、審理の状況、その他の事情を考慮して相当と認めるときに、申出に基づいて公判記録を閲覧・謄写させるということにしているわけでございまして、犯罪被害者の方などに対しまして、起訴状、控訴趣意書などを公判前、あるいはその冒頭陳述、論告要旨読み上げと同時に交付することといたしますと、今申し上げましたような点で犯罪被害者保護法の枠組みと相いれないところがございまして、相当でないと思われるわけでございます。
 そして、これは以前も申し上げましたけれども、冒頭陳述、控訴趣意書を書面で交付するといたしますと、口頭の場合と異なりまして、それを読む者に強い誘導等を与え、記憶の変容を招きかねないといったことがございまして、証言の信用性に影響を与えるおそれもございます。被害者等の中には、公判で証人となることが予想される方もいらっしゃいますことから、被害者等に冒頭陳述、控訴趣意書などを交付するということを一律定めることは非常に問題があるというふうに考えております。

○岡村構成員 被告人の住所が起訴状にあるからいけない、住所、氏名が書いてあるから交付できないというのは理解できない。被害者が被告人の住所、氏名を知ってどういう弊害があるんでしょうか。復讐をしたいというわけじゃないんですね。

○河村構成員(法務省) 本籍などにつきまして、結局今、構成員が先ほど来マスコミ、マスコミとおっしゃる部分につきましては、こういった情報でありますとか、第三者の名前といいますか、関係者の名前等は伏せたものを使わせていただいておるというところでございまして、その辺の配慮を当然させていただかざるを得ないということでございます。
 被害者の方に証人として証言いただくこともあるわけでございますので、この事案についての詳細がどういうものであるかということにつきまして、手元に置いていただくというのは、記憶に基づいて証言いただくということからすると、やはりそこに影響を与えることで問題が生ずるということもございます。そのために、現在のいわゆる犯罪被害者保護法でございますけれども、その辺の捜査等への影響といったことについても、審理される裁判所において判断していただくと、時期的な問題もございますので、その上で可能な時期に閲覧・謄写していただくということにしているところでございます。

○山上座長代理 質問なんですけれども、今のマスコミにある程度配慮して制限して出している文書であれば、被害者、遺族の方たちにもお渡しはできる可能性はあるんでしょうか。

○河村構成員(法務省) このまとめいただいた文書ではそういった趣旨を含んでおると、そのものではなしに、内容を記載した書面を交付することについて必要な検討を行わせていただきたいということを申し上げておりますのは、そういう趣旨でございます。

○岡村構成員 私たちのプライバシーとか信頼ということは、例外的に要旨を交付すると言われたのは今、座長代理のおっしゃったとおりの趣旨で下に書いているわけですけれども、それでもだめですかね。新聞社に配る程度のものはどうですか。実際に新聞社からもらうんですよ。新聞社も、これは新聞社にくれたのだから、被害者に渡してはいけないんですが、こっそり渡しますと、こう言ってマスコミから被害者が入手するんですよ。私から渡したと言わないでくださいよ、と、新聞社が念を押して、くれるんですよ。

○久保構成員 個別のケースは私もすべて承知しているわけじゃないんですけれども、我々は報道のいわゆる基本原則というか、倫理といたしまして、そういったようなものは検察庁からもらった場合には、それは門外不出、社内でもそんなにおおっぴらに広げないというふうな、そのぐらいの基本的なあれは守るようにしているし、若い記者にも教育するようにはしているんですけれどもね。

○岡村構成員 そういうご教育かもしれませんが、実際は私どもはいただきました。

○久保構成員 そのマターについては、私も論争するつもりはないんですけれどもね。

○岡村構成員 だから、それくらい何だか滑稽なような感じがするんですよ。

○井上構成員 法務省が言っておられることとそんなに食い違ってはいないような気がするのですが。今、マスコミ関係に渡しているものに相当するものをお渡しする方向で検討したいというのがこの原案の趣旨だというお答えでありましたので、岡村構成員がおっしゃっているようなことは、もとの文章にも十分含まれているように思います。公訴事実の要旨や冒頭陳述の内容等を説明するように努めるとともに、冒頭陳述等の内容を記載した書面を交付するということになっており、「等」ですから、冒頭陳述に限らないのだと思うのですけれども、必要で十分な情報は伝えるという、そういう方向だろうと思うのです。そういうことですよね。

○河村構成員(法務省) おっしゃるとおりでございまして、公訴事実につきましても「要旨」と書いておりますことでございますとか、「内容」というふうに書かせていただいておりますのも、井上構成員ご指摘のとおりでございます。

○岡村構成員 あまりここに入れてあることは言いません。私の家の事件の場合は、控訴趣意書を検察官と一緒になって書き上げるぐらい一生懸命協力した。書き上げると控訴趣意書をくれないんですね。下さいよと言ったんですよ。そうしたら、これは最高検全体で協議してもらわないと渡せないと言われました。私はまた45円、1枚45円の金を払って公判記録から謄写したんですよ。こんなのでは協力するんじゃなかったなと腹立ったんです。それは妻の仇を討ってもらわなきゃいけないから協力するんですね。何か滑稽なようなおかしな気がしました。しかし、あまり個人的なことを言ってもいけませんから。

○山上座長代理 可能な限り前向きにそういうことも含めて検討するということですので、それでどうでしょうか。

○岡村構成員 そうですね。被害者が書面を渡してもいい場合は渡すと、こういうふうに読めるんですね。

○大久保構成員 答弁の中の言葉について少しお尋ねしたいことがあるんです。例えば多くの場合、「結論に従った施策を実施する」、あるいは「2年以内をめどに結論を出して、結論に従った施策を実施する」というところがたくさんありますが、出された結論が妥当なのかどうなのかというあたりは、誰がどこで判断をするのかというあたりを少し教えていただければと思います。

○事務局 その点につきましては、犯罪被害者等基本法におきまして、推進会議が設置されておりますけれども、その推進会議の所掌事務というのが規定をされております。第24条の関係でございますけれども、推進会議では犯罪被害者等基本計画の案を作成することということと、そのほかに犯罪被害者等のための施策に関する重要事項について審議する、犯罪被害者等のための施策の実施を推進する、並びにその実施の状況を検証し、評価し及び監視するということでございまして、今後この諸施策について適切に推進させるのかどうかということにつきまして、この推進会議のこの場でしっかりとフォローアップをするということになろうかと考えております。

○大久保構成員 そうしますと、今日のようなこの会議できちんと討論されるということになるわけでしょうか、それとも推進会議そのものの方でということになるわけでしょうか。

○事務局 具体的に、今後どのようにしていくかということにつきましては、具体的な形をこれから考えていきたいと思いますけれども、基本的にはこの推進会議の枠組みの中で、その下に専門委員の方にご議論いただくということも一つの方法だと思いますし、それらを含めた今後どういう形でのフォローアップをしていくかということについて、きちっと考えていきたい。また、この点につきましては、第6回で議論を予定されております「推進体制」のところでもご議論いただければと考えております。

○岡村構成員 この7ページですけれども、これは私の意見に対する内閣府意見というのがありまして、これは、「第4回検討会において警察庁の職員たる構成員より、『さらに充実することができるかどうか、検討してみたい』旨の発言がなされている。これを踏まえて検討していただきたい」とありますが、これは内部のご検討であって、この検討会としても必要な検討を行うというふうにしていただけないでしょうか。

○事務局 ただいまの意見でございますが、この内閣府意見は、この場でまだ議論していただいてないものをご議論いただく際に、前回の検討会の場で警察庁の構成員から、さらに充実することができるかどうか検討してみたいという旨のご発言があり、その内容がどういうようなものなのかというようなことも含めて、この場で改めてご議論をいただきたいという趣旨であり、今、構成員がおっしゃられたことをイメージしたものであります。

○片桐構成員(警察庁) 被害者連絡制度につきましては、前回もご議論がございまして、私の方でも申し上げましたけれども、犯人が検挙されれば直ちにご連絡を申し上げる。また、身体犯の場合にはおおむね事件発生後2か月の段階でご報告をする。また、交通死亡事故の場合にはおおむね1か月後にご連絡をすると。以後は必要に応じて連絡をいたしますということで、今、運用をしているわけでございまして、今のご指摘のところは定期的に連絡をすることについて制度を設けよというご指摘なのですけれども、そのことも含めて我々はこれから検討をいたしてまいりたい。
 現状を申し上げますと、例えば殺人事件なんかの場合には被害者の方の命日ごとに捜査員がお宅にお伺いをしてご説明をするということは、実質上はしているのでございますけれども、こういったことを今後どうしていくのかという問題があります。
 あとこの被害者連絡制度は、前回小西構成員の方からもご指摘があって、やるべきことが確実に実施されていないケースがあるのではないかとか、それから担当の連絡員が異動してしまった後に連絡がされてないとか、いろいろな問題もございますので、この問題に限らず我々は幅広く検討してまいりたい。
 ついては、ちょっと先取りになりますけれども、今日の内閣府のペーパーで第5回の施策とりまとめというペーパーがございまして、これは今日の議論にもかかわってくるのでございますが、この3ページ目でございますけれども、3つ目の「☆」のところに……。

○山上座長代理 警察庁の資料ですね。

○片桐構成員(警察庁) いえ、内閣府の第5回のとりまとめの資料でございます。これは今日のご議論にもかかわってくるのでございますけれども、この中に3つ目の「☆」、よろしゅうございましょうか。

○山上座長代理 何ページですか。

○片桐構成員(警察庁) 3ページ目です。上から3つ目の「☆」でございますけれども、途中から読みますと、「被害者連絡制度の改善策について、犯罪被害者等の要望を踏まえた検討を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する」と記載をされておりますけれども、できればこのような記載の中で、今、岡村構成員がおっしゃられたようなことも含めて、被害者連絡制度の改善について検討してまいりたいというふうに考えております。

○岡村構成員 「被害者の手引」は、長期とは限らないんですね、この「☆」は。わかりました。
 特に長期未解決事件というのは、だんだん忘れられまして、最初は来てくださっていたのがだんだん来なくなる。それから、こちらが聞きに行くと今度は担当が替わっていて全くわからなくなるということが実際問題としてあるわけですよね。これを何とかすっかり忘れられていたというふうにされるとたまらないので、何か継続的に未解決事件についても担当する方がいて、そこへ行けばその後の情報があるかないか、それも教えてもらえるとか、来てくれればなおいいですけれども、そういうような制度が欲しいですね。これは一緒になって書かれておりますから。

○片桐構成員(警察庁) 結論から申し上げますと、そういうことも含めてこの中で検討したいと。長期未解決事件について、忘れられてしまうというご指摘ですが、ただ現場の捜査員は一番現場を見て悔しい思いをし、なおかつ被害者のために何とか事件を解決したいという思いで、その後体制は縮小しますけれども、ずっと体制を維持しながら捜査を進めて実際におりますので、決して忘れてはいない。ただ、捜査員がなぜ情報提供に行かないのかというと、なかなか進捗しないとお話しできる材料がないと、これが本当に忍びないという気持ちがあって、だんだん疎遠になってしまうという部分が実際にはあるようでございまして、ただそれで本当にいいのかとうかということもございますから、定期的、継続的にご連絡をするべきことがあるのかどうか、またそれについては被害者のご要望を伺いながら、あとまた現場の意見も聞いてみたいと思っていますけれども、そういった上でその中でもって検討をしてまいりたいと思っています。ただ、担当者の変更の問題につきましては、これは確実に我々がやらなければいけないと思っております。

○岡村構成員 いつの間にか捜査本部も解散されているんですね。そして、だれも知っている人がいないと。その警察へ行っても、いつのことですか、何の事件ですかというふうに扱われるわけなんですよ。それは時間がたちますから、無理からぬところもあると思いますが、そこを何とかひとつ工夫していただきたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) ご指摘を踏まえて検討させていただきます。

○大久保構成員 一言だけよろしいですか。先ほどなかなか捜査が進展していないと何もないということを言いに行くということが行きづらいので、ということがありましたが、確かにそうなんですね。でも、被害者の立場に立てば、たとえ何も新たな情報がなくても、警察の人が来てくれた、忘れられていないという、そういう思いをきちんと伝えていくということが実は被害者支援にとりましても一番大事なことですので、その点何もなくても堂々と連絡に行っていただきたいと、そのように思います。

○事務局 ただいまのご議論を伺っておりまして、先ほど警察庁の構成員からもご説明がありましたが、本日11条関係で議論をしていただくとりまとめの3ページの3つ目の「☆」の後段の部分、これにつきましては第18条の方でも再掲をするという形でとりまとめてはどうかと思います。いかがでしょうか。

○山上座長代理 それでは、よろしいですか。あと少し議論がまだする必要がある事項が幾つかあったかと思いますけれども、骨子案(4)に関しては8ページの次のページにございますけれども。

○岡村構成員 この7ページの後段ですけれども、これはフランスでは2000年の改正において、私訴原告になれば予審段階から全部記録を見れると、こういうふうに改正されております。だから、私どもはこういうことについても見せてもらうような制度を欲しいなというふうに考えているんです。そして、どうしてもこれはプライバシーに関することになれば、裁判所の許可にかからしめる、いわゆるインカメラ方式をとっていただいても結構ですし、弁護人だけに謄写させる、見せるというような方法もあるかと思うんですね。だから、いろいろ工夫をしていただけないかと思うんです。一緒に頭を使って、見せても構わないような制度をつくっていきたいなと思っているわけでございまして、目茶苦茶言っているわけじゃないですね。工夫をひとつしていただけないかということです。

○山上座長代理 警察庁への要望ですね。

○岡村構成員 はい、警察庁、そうですね、警察庁だけでなくて、これは法務省にも関係してくるかと思いますけれども。

○片桐構成員(警察庁) これは我々だけの問題ではなくて、公判の問題もかかわってきますので、一存では我々はなかなかお答えしづらいものがあります。
 ただ、証拠書類というのは公判をめがけた書類でございまして、我々が公判における支障の有無というのをなかなか現場段階で判断するのは難しゅうございますから、そこは公判を担当する検察官の方で適切に判断をしていただいた上で、出すかどうかはご判断いただくことにならざるを得ないというふうに思っております。
 ただ、現状を申し上げますと、我々も可能なものについてはお示しをするとか、また内容について概略を記載したものをお示しをするとかという努力はしておりますけれども、ただ我々の一存で証拠の現物をお見せする、また謄写を認めるということはなかなか難しい部分があるというふうに申し上げざるを得ないというふうに思っています。

○岡村構成員 被害者の調書も見せてもらえないことがあるんですよね。被害者が自分でしゃべった調書を見せてくれない。

○片桐構成員(警察庁) その辺も含めて公判に与える影響というものを我々ではなかなか判断ができない部分がございますので、警察庁の方ではそういった部分を勘案しながら、プライバシーの侵害にならないかとか、また公判の今後の影響とかを勘案しながら、検察官の方で判断されて、お示しできるものはしていると思うんですけれども、ただ我々警察段階でその判断はなかなか難しゅうございますから、それは我々の判断で現物をお見せするということはなかなかできないというのが現状でございます。

○河村構成員(法務省) 被害者ご自身の調書ということになりますと、他の目撃者も同じであろうということになりますけれども、例えば公判ということを考えていただきますと、意味のない情報と申しますか、事件の解明に関係のない事柄について証拠化を図っているわけではございませんで、これにつきましては必要な場合には法廷で証言していただくということで調書に録取させていただいているということがございます。そうなりますと、例えば証人テストのあり方等を考えていただきますと、構成員もおわかりのように、この被害者の方が公判で証言をいただく際に、その証人ご自身のその時点における記憶に基づいて正確にご証言いただくということが必要でございまして、供述内容に変遷があるのなら、それはそれといたしまして、いろいろな証人となられた場合の供述の信用性も含めた判断において、公判、あるいは捜査の最終的な処理の段階においても影響を与え得ることから、これはお見せできないということになってございます。

○山上座長代理 よろしいですか、これは意見の一致を見なかった施策についても関係省庁において引き続き必要な検討がなされるものと認識しているということでまとめておりますけれども、次にまだ未検討の問題として、次のページの8ページの岡村構成員から出された意見に関連するものがございますが、これについてはいかがでしょうか。

○岡村構成員 (13)の1、先ほど私が述べた理由となりますので、特に不起訴になってしまえば捜査の妨げになることもなくなりますので、だから見せていただいていいのではないかと思うんです。本当にプライバシー侵害のおそれがあると思うときには、裁判所のインカメラ方式を使って、これはプライバシーに関するということになれば、それは見せないと判断してもらってもよい。それでも弊害があるなら、弁護士を通じて見せるということですね。場合によれば、他に漏らさないとか、条件をつけてもいいと思います。

○山上座長代理 同じように、不起訴事件でも事例によって随分内容が理由も違ってくるかと思うんですが、どうでしょうか。

○河村構成員(法務省) この点につきましては、前回までに申し上げたところの繰り返しになってまいりますけれども、不起訴と申しましても、これは公定力があるわけではございませんで、当然再起ということもございます。また、前回被疑者死亡の例を挙げられましたが、その場合でございましても、その時点では判明していない共犯者の存在等もあるわけでございまして、そういった将来の捜査、あるいは公判への影響なども考えますと、このような形で情報を提供させていただくことは困難と言わざるを得ないと考えております。

○岡村構成員 先ほど申しましたように、フランスなんかでは予審、つまり捜査ですね。その記録も全部私訴原告になれば見れるんですが、そんな弊害があるというふうにも聞きませんが、どういうものでしょう。

○河村構成員(法務省) まさに構成員がおっしゃったフランスにおきましては予審がございまして、軽罪におきましては、私訴原告の制度があったというふうに記憶しております。したがいまして、これは大陸法のなおかつ予審を持つ制度特有のものということも言えるわけでございまして、相当我が国の手続のあり方とは異なった制度でございますので、フランスにあるからということでございますと、相当慎重な検討が必要な事柄だろうと思います。

○岡村構成員 軽罪だけでなくて重罪でも全部私訴権を行使すれば記録が見れるんですね。それでいて、プライバシー侵害だという話は聞かない。不起訴になった場合に弊害があらわれたというような話は聞かないんですね。2000年の改正でそういうふうになっているんですね。

○河村構成員(法務省) 先ほどの構成員のご提案でございますと、例えば裁判所がインカメラでやったらどうかというお話でございますけれども、フランスの予審とかという話になってまいりますと、まさに裁判所自体が予審裁判所において起訴するかどうかを捜査を含めなさっているという制度でございますので、ここも我が国とは相当程度あり方が違っているというふうに言わざるを得ないと思われます。

○岡村構成員 違ってはいますが、プライバシー侵害という点では同じではないか。予審で不起訴にしても不服申立をしてまた起訴することがあるわけですね。これは不起訴後に再起訴するかもしれないとか、あるいは共犯があるかもしれないとかという点では、フランスの制度と変わらないのではないかと。プライバシーを侵害するとか、再捜査の妨げになるとかということであれば、予審であろうが我が国の制度であろうがそう変わらないのではないかなと思うんですけれども。

○井上構成員 私もフランスの制度にはそれほど通じていませんけれども、その点は、私訴という制度があることを前提として、それに必要な事柄として、そういうことが認められているということではないかと思うのです。これに対して、我が国の場合は、そういう前提となるものがないわけで、何のために開示するのか、フランスなどとは大分違ってくると思うのですね。従って、フランスでやっているからといって、直ちにわが国でもということにはならないのではないかという気がします。
 それと、元の案でも「支障等を勘案しつつ、事前・事後に、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努めていく」ということになっていて、ここの「内容、理由についての十分な」という部分、そこにどのくらいのものが盛り込まれるのかによっても違ってくるのだろうと思うのです。しかし、供述調書等そのものまで見せるかどうかという点になると、かなり慎重でなければならないというか、不適切だと、そういうご判断だと思うのです。その内容について、支障のない範囲で十分なご説明をするということで、かなりのことが伝えられるのではないかというふうに思うのですけれども。

○山上座長代理 その十分な説明を行うよう努めていくということに関して、法務省の方でもう少し説明をしていただけますか。

○河村構成員(法務省) 今、井上構成員からお話がございましたけれども、不起訴記録そのものにつきましてお見せするということになりますと、プライバシーであったり、捜査、公判への影響、あるいは種々雑多なものがある中での様々な弊害ということがあるわけでございまして、その意味でその内容等を踏まえて十分な事案の中身、処分理由などについての説明を行うようにさせていただくということでございます。

○山上座長代理 時間が大分オーバーしているんですけれども、まだ検討し残している課題が幾つかございますので、よろしければ次に進めさせていただければと思いますけれども。9ページの(15)に関する……。

○岡村構成員 8ページの(13)の2というのが残っておりますが。

○山上座長代理 8ページの一番最後の(15)のところですね。

○岡村構成員 8ページの(13)の2で、検察官から証拠申請をしようとする書類は、被告人や弁護人は見ることができるわけですね。ところが不同意になると法廷には出されない。こういうような場合があるわけですが、被告人や弁護人が見た書類については、被害者にも見せてもらいたいという要求なんです。
 刑事和解の制度が入ったわけですけれども、刑事和解をするにしても、相手と同じような情報を持っていないと和解もできないこともありますので、弁護人や被告人に見せた書類は被害者にも見せることにしてもらいたいというのが私たちの願いです。必要があれば、このときでもプライバシーの侵害のため、それをインカメラ方式、あるいは弁護士だけに閲覧させるとか、こういう制度を設けることも、差し支えないと思っております。被疑者や被告人が全部見ておるのに、さらにインカメラとか何とかというのは残念ですけれども、そこまで譲らないと見せてもらえないと思うものですから。

○山上座長代理 これについて、法務省は何か意見ございましたら。

○河村構成員(法務省) この開示されたものはすべて閲覧・謄写できることを権利として認める制度ということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、訴訟に関する書類については、原則として公判の開廷前には公にしてはならないとされている趣旨を踏まえなければならないわけでございますけれども、ここで申しております開示と申しますのがこれは請求予定ということで、今であれば必要な記録などを請求予定の証拠につきまして被告人・弁護人に閲覧していただくということになっているわけでございます。
 それを超えての開示ということになりますと、参考人を含めた関係者の名誉でありましたり、公判などへの弊害の有無等、例えば、被害者がその後証人として出廷する可能性があるのかないのかといったようなことなど、個別具体的な事情ごとに判断させるべきものでございますし、検察官が取調べ請求予定の証拠として既に被告人、弁護人に開示しているということでございましても、これをすべて一律に被害者に開示するということは困難であるということはご理解いただきたいのであります。

○山上座長代理 一律にできないということは、開示できる場合もケースによっては判断できるということなんでしょうか。

○河村構成員(法務省) 不提出とされたということには、それなりの理由があることもあるわけでありまして、同意されておればこれにつきましては取り調べられた証拠ということで裁判記録となりますので、これを閲覧・謄写していただくことはできる。ただ、そうでない記録につきましては、やはりその後の公判も含めて影響がございますし、その信用性等も様々なものがございます関係から、こういった制度については非常に難しいと申しますか、慎重な検討が必要であると考えております。
 それから、そもそも開示された場合、被告人、弁護人に開示されたということで見てまいりますと、例えばまだ未施行、今年中の施行になってまいりますが、争点整理のために開示された証拠につきましても、様々な目的外使用を防ぐための制限も設けられているところでございまして、この問題はそういった弊害防止措置を含めて慎重な検討が必要なテーマであるというふうに考えています。

○岡村構成員 目的外使用のような制限をつけられても私は構いませんけれどもね。

○山上座長代理 では、次の検討課題に移ってよろしいでしょうか。8ページの(15)であります、判決確定後の加害者情報の提供の拡充に関連することですけれども、法務省によって検討する趣旨で既に意見の一致を見ているところですので、よろしければ次の検討課題に。

○河村構成員(法務省) (8ページの(15)に関して)特に刑期満了後、あるいは仮ではなしに正式の退院後の住所移動、その後の職場などに関する情報の継続的な把握、提供につきましては、これは何のためにやるのかも含めて非常に問題があるということでございまして、その次の性犯罪者情報にも絡むところではございますけれども、被害者の方にこういった情報を提供するということは非常に難しい問題があるということを前回申し上げておりますので、このすべてにつきまして前向きに適切に提供していけるという趣旨であるといたしますと、これは私どもの申し上げたところとはちょっと違うのではないかと、その意味で原案どおりとしていただきたいというふうに考えております。

○岡村構成員 重大犯罪に限っても、それをウォッチする制度はできませんかね。何もかも全部観察をしろというわけではないですが、非常に再犯のおそれが強いような場合、何らかのこの検討をしてもらえないでしょうか。出所した後になると、凶悪犯罪なんかの場合には、被害者はびくびくしているんです。出所したその際の住所だけではなくて、その後も一体どこにいるんだろう、何されるんだろうという心配が絶えないんですけれども。

○河村構成員(法務省) 今の点は10ページ目に書かれている事柄と共通するものがあろうかと思われるのでございますが、例の赤字で書かれている部分です。これも含めてご説明させていただいてよろしゅうございますか。
 この本年6月1日から実施させていただいております13歳未満の者に対する性犯罪等の犯罪者に関する警察への情報提供の施策と申しますのは、被害者等が自分自身を守れない年齢であることなどに着目いたしまして、警察に再犯防止等の観点からご提供させていただくというものでございまして、その範囲をさらに拡大することにつきましては、この様々な観点から十分な検討が必要であると考えております。しかも、この情報の把握につきましても、これにつきまして何らかの法的な負荷と申しますか、義務がかかるということになりますと、そういうことを行う正当化の根拠をどのように説明するか、あるいは一体どういう措置を考えていくのか、その必要性、有効性などにつきまして、どういう基準でだれが判断していけるのかなど、様々な観点から十分に検討をするべき事柄だと考えております。
 いずれにいたしましても、この本年6月1日から実施させていただいております制度は、警察に対して行われているものでございまして、被害者に対する情報提供とは制度として全く別のものでございますので、いずれも原案どおりとしていただきたいと考えております。

○小西構成員 この警察に情報を提供する制度については慎重でなければいけないというのは十分わかりますが、そもそも13歳未満でどうしてこれができて、13歳以上ができないのかということに関して、あまり私は今のご議論で納得できるとは思えないんですね。
 では、性犯罪が起きたときに13歳以上の人であれば身を守れたのかといえば、これは守れないからこそ事件が起きているわけですよね。現在の制度でも、例えば自分が経験している被害者の方だけでも30件目とか100件目とか、そのあたりで初めて起訴されて、ですから事件が幾つかあるというふうに言われて、もちろん法律的にはじゃないですよ。私は法律の専門家じゃないですから、正確な言葉ではないかもしれませんが、そのときに初めて司法の手にかかって、それでさらにもう一回再犯したときというのが今の条件ですよね。これはすごく再犯性の高い人たちだけです。実際には、被害者の立場から言えば、多くの被害者が複数の被害者の一人として被害に遭っているのが実情だと思うんですね。その実情をそのまま拾えとは言いませんけれども、少なくともかなり制限された段階でこの制度が行われているということを踏まえて、一つはなぜ13歳以上ができないのかということを検討していただきたいということと、もう一つは現在17年の6月1日から行われているこの制度について、実態ですとか、それがどのように運営されているかとか、そういうことを調査、研究の中でまたお示しいただきたいなと思っています。

○河村構成員(法務省) 警察庁との間で必要な情報を共有いたしまして、同種事件発生時に迅速に対応できるようにしようといったことから、今回の制度は考えられておりまして、その意味でこれ以外の罪種につきまして、例えば構成員が今おっしゃいましたように、13歳以上はどうなのかと、当然ございましょうし、それ以外の犯罪についても先ほど凶悪犯罪についてはどうかといったことも検討対象として、きちんと俎上に上げていかなければならないとは考えております。ただ、とは申せ、これは出所しましたときの警察へのご提供ということでございまして、そこから先どうするかということになりますと、あるいはこれをどなたにどういう形で提供できるのか、警察以外の方にということになりますと、いろいろと難しいクリアしなければならない問題は多いと思います。

○小西構成員 もちろん、例えばミーガン法みたいなことを今ここでということでは全然ありませんけれども、少なくとも少し前向きにこの実態について継続的に検討していただきたい。そのことを何か書いていただければというふうに思っています。

○山上座長代理 例えば、どういう形で入れることができますか。

○片桐構成員(警察庁) この制度は法務省さんと我々でご協議させていただいて、導入したわけでございますけれども、ご承知のように奈良の少女殺人事件を受けて導入したわけでございます。一応今回は13歳未満ということで、主に小学生以下というところを対象にしております。かつての再犯のいろいろデータを持っておりまして、それを見てみると相当再犯性が高い、なおかつ小学生以下の子どもというのは大変自己回避能力が低いとか、精神的に深刻な影響を及ぼすとかということがあって、特にこれは例外的にきちんとウォッチする必要があるだろうということで、私どもは出所情報を受けましたら、その後一定期間ごとに所在の確認をするということをいたしています。なおかつ近所で出所した人の周辺で幼児に対する「声かけ事案」とかというものがあれば、そこに赴いていって警告をするとかということをやっているのでございますけれども、これは未然防止のための対策ということでもってやっております。
 それ以外にも、出所情報については本年9月からになりますけれども、一定の重大な犯罪であるとか、それからこれはまた性犯罪をもちろん含んでいますけれども、また再犯性が高い犯罪とかというものについて、たしか15罪種だと思うんですけれども、これについて一応我々は出所情報の提供を受けるという形にしております。ただ、これは何分大変数が多いものですから、今出所した後の所在を確認していくということが制度的に担保されていませんから、これをきちんと見ていくことは極めて我々は難しいと思っています。ですから、この出所情報というものは我々は何に使うかというと、出所したということを我々が知った上で、その後の事件が発生した場合の捜査に使うとかということを主に目的としていまして、こちらは今13歳未満の幼児に対してやっているようなある意味きめ細かな事前対応といいますか、未然防止策はなかなかとりづらい点もございますので、一応今この辺で仕分けをしながら制度の運用をしているというのが状況でございます。
 その後、出所した後の住所を制度的に担保するということは、なかなか更生の問題とか、いろいろあって、現段階ではなかなかそれをきちんと制度上やっていくことは難しいのではないのかなと我々としては判断をいたしております。

○事務局 事務局の方からご提案ですけれども、ただいまご議論いただいているものにつきましては、なかなかまとめとして骨子案の中に盛り込むというところまでの意見の一致は見ないというふうに思いますけれども、関係省庁の方でただいまのご意見を踏まえて今後引き続き検討をしていただくということでいかがでしょうか。

○岡村構成員 ということは、関係省庁に丸投げをするということですか。

○事務局 骨子案としてまとめるまでの意見の一致が見られないけれども、そうかといって関係省庁の方で検討がされないわけではない、こういうご認識でご了解いただければということでございます。

○岡村構成員 骨子案には書かないということですか。

○事務局 はい、そうでございます。

○岡村構成員 これは13歳と14歳とそんなに違うわけでもないですよね。15でも16でも変わらないと思うんですよね。13歳だけで線を引いてしまうのもあまり意味がないんじゃないかと思うんです。小西構成員もおっしゃったとおりなんですね。これを結論が出ないから省庁で考えてくれというのも、これもどうかと思うんですけれども。

○事務局 結論が出ないといいますか、骨子案としてとりまとめるというところまでの意見の一致は見られないということでございます。そうかといって、関係省庁の方でそのご意見があったということを踏まえて、その検討がなされないということではなくて、あくまでも現段階で骨子案に盛り込むというまでの意見の一致は見られないと事務局として判断した次第でございます。

○山上座長代理 13歳以上にも広げることの可否も含めてと、そういう検討をしていただければ、そういう形の含め方なら問題ないですね。

○井上構成員 それは、ちょっと今までの議論を踏み越えていると思うのですね。この後の方の平成17年6月1日から発足している取扱いは、先ほどご説明があったとおり、法務省と警察庁との間の情報交換、情報提供でありますが、それと、出所後の住所地を含めた情報を被害者等の方たちに提供することの間には、距離があり、同じレベルの問題ではありませんよね。そして、後者の点については意見の一致を見なかったということであったと思いますし、前者については、今、必要最小限の範囲で発足しているけれども、その様子を見ながら、必要に応じ、実現可能性等をも考慮しながら、対象範囲の拡大を検討していくべき事柄だろう。
 これは、反面として、極めて微妙な問題を含んでおり、警察などの期間が出所後もずっと監視するということにもなり得ますので、そちらの点からの反発というものも当然予想されるわけで、そういったことと具体的な必要性等を勘案しながら、慎重に両機関の間で制度を育てていこうとしているところですから、この場でこのくらいの議論だけで、そこまで踏み込んでしまうというのは避けた方がよいと思います。必要性といいますか、被害者の方たちがおっしゃっていることは十分おわかりだと思うのです。警察も法務省も、そういうことはひしひしと感じておられ、それに応えられるような取扱いを必要で相当な範囲で何とか育てていこうとされているところなのだろうと思います。それを、ここで一足飛びに踏み越えるのはいかがなものかと思います。

○山上座長代理 それでは、先ほどの事務局のまとめで進めさせていただいてよろしいでしょうか、次にまた重要な課題が残っておりますので。

○岡村構成員 ここでちょっと変わった意見を書かせてもらいました。これは長期未解決事件についての制度と書いておりますけれども、長期に限りません。懸賞金をかけて犯人を探すということがよくありますね、被害者が懸賞金を。そうすると、情報が集まって犯人が逮捕されるというケースがよくあるわけですが、今の制度は捜査は公の秩序維持のためにやるものであって、被害者のためにやるものじゃないというのが最高裁の判決ですね。そうすると、懸賞金を被害者に負担させるのはおかしいじゃないか、公のための捜査で被害者のための捜査でないならば、この懸賞金というのは国が出すべきじゃないかということで、国にそういう場合には弁償したらどうですかと、こういうのが11ページの(24)のところに書いてあるものでございます。後で言いますように、これは被害者のための捜査、公判であるということがはっきりすればまた話は別だなと思います。

○片桐構成員(警察庁) 現在、懸賞金制度というのは、警察では導入をしておりません。民間の団体とか、ご遺族等が懸賞金をかけるということが実際としてある。それに対して、警察の方でも必要な協力を行うという形で行っているわけでございますが、ただこういった民間の方、団体とかご遺族がかけた懸賞金を解決した場合にすべて国が持つということになりますと、非常にその判断、懸賞金を出すべき事件の判断というものが完全に公的な判断から離れてしまっていて、ご遺族とか民間団体にゆだねられてしまう。ここについてのみ懸賞金を出すことがいかがなものか、なおかつそれに幾らかけるかということも、まさに民間の団体とかご遺族に丸投げであるという形でございますから、そういったことを前提にしながら、解決した場合に懸賞金を税金で補てんをするということについては、なかなか国民的合意が得がたい部分があるのではないかということなので、制度的には極めて難しいんじゃないかと思っています。

○岡村構成員 被害者のためにも捜査をしてくれるということになれば、これは被害者も犠牲を払って懸賞金をかけるのも理解できますが、被害者のための捜査じゃないと言いながら、被害者に懸賞金をかけて被害者をつかまえるというのは、一種の国の事務管理が不当利得みたいなようなことですが。

○山上座長代理 (25)についてもここで検討しなければならない議題でありますけれども。

○岡村構成員 (25)については、前回議論をして無理ではないかというような話が最高裁判所の方からありました。それは訴状に住所を書くのは管轄が裁判所にあるかどうかということと、それから原告の特定のために必要だということでございました。しかし、被害者が被害を受けながら住所を知られることが恐ろしくて訴えを起こせないというケースが本当にあるんです。私の会員からも何人もそういう相談を受けました。外国では、警察署を住所として起こすことができる制度があるんですね。文献を私は探したんですが、ちょっと見つからないので、今日持ってこれませんでしたが、そういう制度があるんです。
 それで、警察または代理人、弁護士の住所を住所地として訴訟を起こしてもいいとして、ただ本当に管轄なのかどうかということを裁判所が知る必要があるならば、検察、あるいは代理人、弁護士から真の住所を裁判所へ通報して、その裁判所がそれを秘密に管理してもらうというような制度をとることによって、検察、あるいは代理人、弁護士の住所、所在地を住所として訴訟を起こせるという制度をぜひおつくりいただきたいと思っているんです。

○山上座長代理 これについては、最高裁判所、どなたかご意見ございますか。

○最高裁判所(河本事務総局審議官室参事官) 基本的には、お答えしたメモに記載したとおりでございまして、岡村構成員のおっしゃることもわかるのですが、基本的に管轄裁判所の特定や、また裁判の執行等の関連からいって、訴えられた原告の方の特定のために住所を記載しないこととするというのは多少無理ではないかなと思っております。
 確かに、その他の情報等によって原告の方が特定できる場合には、場合によっては欠缺で構わないということもあり得るべしかもしれませんが、それはそのメモにもお書きしたとおり、個々の裁判体の判断によるものではないかなと。管轄に関しましては、職権で調査するので、いろいろな方法をとれます。しかし、およそ住所を記載させないとするのは、少し無理があると考えます。

○岡村構成員 そうなりますと、被害を受けた上に損害賠償請求の訴えさえもできないということになり被害者は救われないですね。何かそこをもう少し前向きに考えていただけないでしょうか。それだったら、こういうふうな条件、こういうふうなものを出せば警察や、あるいは代理人、弁護士事務所でも住所としていいですよというような何か提案をいただけませんか。

○最高裁判所(河本参事官) どのような情報があれば原告を特定できるかというのは、個々のケースによってまちまちなので、典型的な資料がこれということはありません。

○岡村構成員 そこを考えていただかないと、被害者は泣き寝入りせざるを得なくなるんですよ。

○山上座長代理 ただいまの最高裁判所の回答は、個々の事例に応じて裁判体がそういう判断をして、こういう住所などを表に出さなくて済む形もとれるということを含んでいるわけですね。

○最高裁判所(河本参事官) 文言が誤解があってはなりませんが、こちらでつくらせていただいたメモの最後の段落に書いてあるところのとおりでございます。「第4回犯罪被害者等基本計画検討会における構成員意見について(補遺)」と書いてあるところの一番最後の行でございます。
 確かに、住所を記載することによって、民事上の責任追及を躊躇させる結果になるということは全く望ましくないことでありまして、民事上の被害を受けた方が躊躇なく民事訴訟責任を追及できるという形がとれることが望ましいということは我々も切に考えているところでございまして、それが司法のサービスの充実に資するということも十分理解しているわけでございます。一方で、ここで申し上げたような特定のための住所の記載ということに対する意義もご理解いただきたいと思っております。

○岡村構成員 国民の裁判を受ける権利が侵害されているんですよね。ただ、訴状にどう書けば、裁判を受ける権利が行使できるかという問題なので、そう冷たくしないで、もう少し前向きに考えましょうとかという温かい言葉をいただけませんか。

○最高裁判所(河本参事官) 私が申し上げたのは非常に冷たいということなのかもしれませんが、訴訟を起こしやすくするにはどんなことが考えられるのかということは、もちろん訴状の記載事項というのは規則事項でもありますが、こちらも常に頭を悩まし、かつ常に考えていることでございます。これは住所で決まっているんだからこれでいいだろうということではなく、なぜ住所を記載しなきゃいけないのかということをご説明すると同時に、理論上ごく例外的な状況においては、許される場合があり得るということは否定することはできないというところまで、ここまでしか申し上げることができないというのが、限界であるということもご理解いただきたいと思います。もちろん重大な被害を受け、脅迫等のおそれがあって、民事上での責任追及を躊躇させる被害者の方の心情を理解していないというわけでもなく、もっと言えば非常にこちらはその点について理解しているつもりでございます。
 私も裁判官として法廷に立つことがかなりございますが、その場合には被害者の方々に十分な配慮をするべき具体的な訴訟指揮をやっております。それも現行の法律の範囲内ということでございます。特定ということに関しまして、現行の法律の範囲ではここまでのことが裁判所として言える精いっぱいのことだということをご理解いただきたいと思います。

○山上座長代理 では、よろしいでしょうか。
 では、骨子案(4)について事務局からまとめをお願いいたします。

○事務局 それでは、確認をさせていただきたいと思います。

○岡村構成員 ちょっとまだ(28)が残っておりますけれども、12ページの。今の点でのまとめですか。

○事務局 違います、全体の確認をと思いました。

○岡村構成員 (27)、(28)が残っております。12ページですけれども、1つは住民票の原則開示を非開示を骨子案に入れていただきたいということが1つです。時間の都合がありますから、この赤字で書いた部分は省略しますけれども、現実に住民票の開示を悪用して被害者をつくったという例があるわけでありますので、これを入れていただきたいということが(27)であります。今、総務省でも検討中だと聞きましたけれども、ぜひこれも骨子として入れていただきたい。個人情報保護と言いながら、これは住民票の開示は丸裸になっているんですね。

○山上座長代理 この前総務省で検討しということになっておりますよね。

○荒木構成員(総務省) ただいまの点につきましては、総務省におきまして「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」を設置しまして、現在検討をしております。この秋を目途に方向としましては、今ご指摘ありましたように、開示に伴って、それを使って犯罪が起きるというようなこともありましたので、原則非公開という方向で今議論も進められております。その結果を受けまして、法改正を含めまして、必要な措置を講ずるということで取り組んでまいりたいと考えております。

○岡村構成員 (28)ですけれども、これは今の刑事司法というのは、捜査、公判は公の秩序維持のためであって、被害者のためにやっているのではないというのが最高裁の立場ですね。それでは、被害者は何だろうというと、単なる証拠に過ぎないということになる。復讐権の奪われている被害者から見れば、やはり厳正、適正な刑罰を科してもらいたいという願いがあるわけで、現実の問題として、警察官は必ず加害者を見つけ出して仇を討ってやるからなと被害者を励まして、一生懸命やってくださるんです。ところが裁判所へ行くと、被害者のためにやっているんじゃない、公の秩序維持のためにやっているのだという判決がどんどん下される。
 この間、わずかに最高裁の泉裁判長の少数意見が出てきましたけれども、刑事司法というのが公の秩序維持と同時に被害者のためにもあるんだということにしないと、被害者は捜査に協力する意欲も失ってしまいます。だから、刑事司法の本質を公の秩序維持のためと同時に、被害者のためにも存在するというふうにしていただきたいと思っているわけです。これは、私はドイツへ行ったときもずっといたるところで質問してまいりましたが、みんなそう言っていました。被害者のためにもやるんですよということを。

○事務局 13ページの内閣府意見で記載しておりますとおり、今ご指摘の点につきましては、今後基本計画案の検討の中で、どういった箇所にどういった形で入れるのがいいのかということを検討してまいりたいと考えております。

○山上座長代理 それでは、骨子案(4)について事務局からまとめをしていただきます。

○事務局 それでは、骨子案(4)の関係につきまして、確認をさせていただきたいと思います。
 資料1をご覧いただきたいと思いますが、まずこのお示しをしました内閣府意見につきまして、6ページ(10)でございますが、、大久保構成員のご意見を踏まえた内閣府の修正意見の修正ということで、この赤字で記載しております「少年審判の傍聴その他の」という部分を「少年審判の傍聴の可否を含め」と改めるということ。それから、7ページ、(12)アでございますけれども、上段の部分の長期未解決事件についての進展状況の報告等について、岡村構成員からご意見がございましたが、それにつきましては、本日これからご議論いただきますけれども、第5回の省庁提出に係る施策等とりまとめ、資料3ページの上から3つ目の「☆」、被害者連絡制度の改善策について、犯罪被害者等の要望を踏まえた検討を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施すると、警察庁においてでございますが、これについて第18条のこの部分についても再掲をするということにいたしたいと思います。その残りのご意見につきましては、内閣府意見のとおりもしくは原案のとおりとさせていただきたいと思います。

○山上座長代理 では、10分ほど休憩に入らせていただきます。

○山上座長代理 それでは、次の議題「支援等のための体制整備への取組」に移ります。
 これまでのように、基本法の条文ごとにご議論いただくことになるかと思いますが、その前に、1つご連絡ですけれども、大臣は本日、国会委員会出席のため中座されることになりますので、ご了承ください。
 それでは、基本法の条文ごとに議論いただくということでよろしいですか。では、そういうように。
 関係省庁から事前に資料が提出されておりますけれども、まず第11条関係「相談及び情報の提供等」について、補足することがあればご発言ください。

○事務局 それでは、本日最初にご議論いただきます基本法第11条関係でございます。相談及び情報の提供等の現状認識、それから犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、内閣府資料1の1ページ以下記載のとおりでございます。また、内閣府に関する犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、内閣府資料1-2の1ページ以下のとおりでございます。
 さらに、お配りしております「各省庁提出に係る施策等とりまとめ」をご覧いただきたいと思います。これは、各省庁から事前にいただきました新たに取り組む施策、あるいは前進させる施策についてとりまとめをいたしたものでございます。下線を付した部分につきましては、事務局におきまして加筆した箇所でございます。後ほどご議論いただきたいと思います。
 それで、内閣府の資料1-2の関係につきまして、若干、補足説明をさせていただきたいと思います。内閣府資料1-2をご覧いただきたい。
 まず、この資料の中で、「必要な調整を行う」としている箇所が何か所かございます。例えば、1ページの2)をご覧いただきますと、「住民に身近なところで云々」、最後に「必要な調整を行う」と記載しております。そのほか何か所かあるのですけれども、これはこの8月末に18年度概算要求を控えておりますけれども、その際に概算要求を行いまして、その後、財政当局等と調整を図っていく、こういう趣旨でございます。
 したがいまして、本年12月の基本計画の案におきましてはこういった表現ではなくて、「実施する」というような表現になっていくかと思われますし、骨子案におきましても、先ほどご覧いただきました「各省庁提出に係る施策等とりまとめ」にもございますように、「実施する」といった表現としているところでございます。
 それからもう1点、補足をさせていただきますが、第11条関係の(1)窓口の一本化についての3)でございます。この関係につきましては、2ページの10行目以下をご覧いただきたいと思いますが、「内閣府としては、内閣府、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省と連携し、特に地方公共団体における「立体的、網の目状」のネットワークの構築の現状を把握するとともに、そうしたネットワークの在り方について、省庁横断的に検討の上、各地方公共団体において、適切なネットワーク作りの端緒としてもらうことを考えている」と回答させていただいております。この理由につきましては、1ページの3)の項目にご説明をしているとおりでございます。
 こういった趣旨を踏まえまして、本日お配りいたしております「各省庁提出に係る施策等とりまとめ」の1ページの1.(1)の3つ目の「☆」をご覧いただきたいと思いますが、こういった形でまとめ案とさせていただければどうかということでご提案させていただきました。後ほどご議論いただきたいと思います。内閣府からは以上でございます。

○山上座長代理 警察庁、総務省、法務省、文科省、厚労省、国土交通省という順でご発言をお願いいたします。

○片桐構成員(警察庁) 警察庁は、資料をお配りしてあるとおりでございまして、格別、補足すべき点はございません。

○山上座長代理 総務省はいかがでしょうか。

○荒木構成員(総務省) 総務省は、資料3でございますが、若干、補足させていただきますと、資料3の最後のページをちょっとご覧いただきたいと思いますが、こちらに犯罪被害者の方に対しまして、都道府県知事の部局が実施しております施策の状況の調査を、これは5月に調査表を出しまして調査いたしました。
 そこにございますように、まだすべての都道府県から回答が集まっておりませんで、41団体から回答が寄せられたところでございますが、この41団体で見ますと半数程度の団体におきまして、相談窓口の設置、情報提供などの施策が行われているということがわかります。
 ご覧いただきますと、(1)のDV関係、(2)の児童虐待関係、これらにつきましては、担当部局は健康福祉部など、女性保護とか児童福祉などを相談している部局で担当されております。また、消費者の窓口相談等につきましては、消費者行政を行います県民生活部といったところが担当されているようでございます。なお、一般の犯罪被害者からの相談窓口につきましては、警察本部に設置されているところでございます。犯罪被害者の支援のため、窓口を一律に設けるように義務づけるということは、地方分権の観点から、これは適当ではないと考えられますが、この基本的な考え方につきましては、総務省資料3の1ページのところに書いておりますが、いずれにしましても、この犯罪被害者等に関する施策につきましては、ただいまの資料にもございますように、各地方団体においても積極的な取組が始まっております。私ども総務省としましては、各団体におきまして、自主的判断に基づいて、地域の実情に応じまして、窓口となる担当者を決めたり、関連する部署と窓口の緊密な連携を図るといったことのほか、パンフレットを配布するなど情報提供等を行っていくことは望ましいことであると考えますので、今後とも地方団体に対しまして、犯罪被害者等基本法の趣旨及び地方公共団体の取組状況等、あるいはこの検討会における議論などにつきまして、地方団体に対しまして情報提供を行ってまいりたいと考えております。

○山上座長代理 法務省、補足的に何かございますか。

○河村構成員(法務省) 被害者の方々からいただきましたご要望に対します法務省の考え方につきましては、提出資料のとおりでございます。

○山上座長代理 文部科学省はいかがでしょうか。

○文部科学省(坪田初等中等教育局児童生徒課長) 文部科学省につきましても、提出資料のとおりでございます。被害を受けた児童生徒のケアということになると思いますけれども、学校を中心にそういう児童生徒の被害者、そうした児童生徒の問題をいろいろサポートするための体制、これも学校の先生がやるものとか、それからまた専門的なカウンセラーというものも準備いたしております。そうしたことで、被害に遭う子どもたちのケアをやるためには、学校を中心にそういうネットワークを機能させるための施策を推進していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○山上座長代理 厚生労働省からはいかがでしょうか。

○太田構成員(厚生労働省) 厚生労働省も、資料をお出ししたとおりでございまして、特段の補足はございません。

○山上座長代理 国土交通省はいかがでしょうか。

○平田構成員(国土交通省) 提出資料のとおりでございます。

○山上座長代理 それでは、ご意見のある構成員は、どうぞお願いいたします。

○小西構成員 文科省に伺いたいんですけれども、情報の提供について、現在のところ、様々な組織があると。例えば、教育センターなどもあるし、学校でのスクールカウンセラーを使ってもというお話だったと思いますけれども、逆に言うと学校の中の犯罪被害について、専門的な知識を持っている人がまだ非常に少ないというのが現実ではないかと思います。こういうカウンセラーに対して、特段の犯罪被害者支援についての知識がない人もたくさんいらっしゃる。もちろん、全部の教育相談に当たる人に入門的な知識を持ってもらうことは必要だけれども、全員が専門家にはなれませんが、少なくとも学校における相談活動の中に、だれかもう少し子どもの被害についてのエキスパートの人を置くとか、そういうことができないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○文部科学省(坪田課長) カウンセリング体制の中での、特に犯罪被害とか、そうしたものに対する専門的な知識をということだと思いますけれども、既に臨床心理の専門家というのは、かなり学校の方でも配置が進んでおりまして、特にスクールカウンセラーにつきましては、平成17年度、全国で約1万校の中学校に配置されているということでございます。
 したがいまして、そうした専門的な体制を中心に、今おっしゃいましたような犯罪被害に対するケアということにも重点を置いて、研修等を進めてまいりたいと思っています。

○小西構成員 実際には、何か具体的に犯罪被害についての研修をなさっていますか。

○文部科学省(坪田課長) 犯罪被害だけの研修でしょうか。

○小西構成員 子どもの被害についての研修を、スクールカウンセラーは必ず受けられているでしょうか。

○文部科学省(坪田課長) 子どもの被害というか、被害というのは子どもが精神的な傷を負うことだと思いますので、そうしたことに対する対応といいますか、そうしたものについては研修を積んでおります。

○小西構成員 子どもの傷といっても、例えば親子関係の問題も、普通の意味では傷ですよね。
 ただ、この犯罪被害というのは、巻き込まれたときの特殊な反応もあれば、実際に今ここでたくさん議論されているような、司法の問題にかかわっていく、親もそれに巻き込まれてどうしていいかわからない。特殊なことだからこそ、ここで扱っているわけですね。ですから、一般にストレスがかかったときにその子どもがどうするかとか、あるいは学校に行けなくなったときにどうするかということだけでは済まない問題があるわけですけれども、そういうことに関して何らかの研修がなされているかどうかというご質問です。

○文部科学省(坪田課長) 児童虐待とかいじめとか、そうした被害に遭うということもありますので、そうした問題も含めて研修をいたしておるということでございます。

○小西構成員 いじめと児童虐待とはまた違う問題があるということをご理解いただいて、ぜひ犯罪被害、これは例えば池田小学校みたいなマスで起こる被害もあります。例えば、学校危機メンタルサポートセンターなどは、こういうものに今のところ焦点を合わせていらっしゃると思いますが、そうでなくて日常の中で、子どもが学校の帰りに自動車に連れ込まれるとか、あるいは声をかけられる、そういう事件はすごくたくさんあるわけですね。そういうことに対してどう対処するかということについても、現段階ではあまりきちんとした研修が行われていないのではないかというふうに私は考えています。ぜひそういうことを、スクールカウンセラーの研修、それから養護教諭の先生の研修の中に入れていただきたいと思います。

○文部科学省(坪田課長) 先ほどもありましたけれども、児童の被害防止のための学校安全、こうしたものについても、最近、我々も力を入れていまして、防犯教室ということで、警察などからも来ていただいていろいろお話をする中で、そういう子どもの安全に対する意識を子ども自身についてもつけていくというような取組もやっております。犯罪被害にもやはり焦点を合わせて、被害の防止、そのケア、そうしたものについても研修等を通じて努力してまいりたいと思っております。

○事務局 参考ですけれども、ただいまご議論の関係は、このとりまとめ資料の5ページの一番下の「☆」、これは11条関係ですが、それと21条関係の人材の養成等のところで6ページの(2)の3番目の「☆」ような形でとりまとめ案とさせていただいております。

○小西構成員 このとりまとめ案だけ、それから文科省のお答えを見たときには、恐らく現行の研修で足りているという感じに読めるんですね。ですから、そのとりまとめ案のところに、要するにこれから出てくる案のところに、「犯罪被害にかかわる」ということをちゃんと入れていただきたい。具体的に提案として言うのであれば、そういうことですね。

○事務局 「犯罪被害を受けた児童生徒の相談等に的確に対応できるよう」という表現でもやはり不足だという、こういうご指摘でしょうか。

○小西構成員 そうです。ここにはそう書いてありますけれども、文科省のお答えを見ると、現行でやっていらっしゃること以外のことは何も書いていないと思いますので、それはどうですか。

○文部科学省(坪田課長) 「犯罪被害を受けた児童生徒」、こういったことで、そういう犯罪被害の問題に焦点を合わせたような研修をやっていきますということだと思いますが。

○小西構成員 そうしたら、「焦点を合わせた」というふうに書いて……すみません、どこの文言ですか、具体的に。

○事務局 5ページの一番下の「☆」。再掲で、21条関係にも載っております。同じでございます。

○小西構成員 そうしたら、5ページの下から2行目のところに「研修等」となっておりますが、ここを「犯罪被害についての研修」にしていただけませんか。「犯罪被害者」でもいいですし、「犯罪被害児童」でも結構ですが―「児童」だけだと子どもになってしまいますね。

○村田大臣 今の小西構成員の意見ですけれども、「犯罪被害」という中に、児童虐待も入っているんですか。それとも、それは別に、児童虐待は児童虐待で。

○小西構成員 実質的に入れていただきたいと思います。ただし、例えば、今、いじめや児童虐待とおっしゃいましたが、むしろそういう面についての関心の方がこれまで文科省は高かったと思うので、特に犯罪被害と申し上げたんですね。ですから、「犯罪被害等」ということでくくっていただければ両方入って、それで結構だと思いますけれども。

○中島構成員 今の件にも少し関連があるのですが、文科省の資料5の1というところです。「児童生徒等の窓口は学校であり」とあって、それは何ら異論がなく、そのとおりだと思うんですが、多分、被害者からの要求の中には、その学校の窓口をどうするのかというのがあると思います。「学校が窓口であり」という場合は、学校の中でその窓口をどういうふうに設定するかということは学校個々にゆだねられていますが、学校の中でどういう窓口を設定して、そこに子どもたちなり親たちがきちんと相談を持ち込めるということが重要であると思います。
 なぜ私がそれを申しますかといいますと、児童虐待とか、あと特に、申しわけないのですが、学校内における教員からのわいせつ的な出来事があった場合に、被害者及びその家族は、では学校のどこに行ったらいいのだ、どういうふうに言ったらいいのかということをまず悩んでいるわけですね。重要なことは、個々の教員の裁量ではなくて、学校の中に被害者から相談があった場合、どのような形でしかるべきところに上げていくのかという一種のガイドラインがなければいけないということです。児童虐待において、しばしば個々の教員が悩んで、個人で児相へ通報するというのをものすごくためらわれます。校長先生から「何で言った」というふうに言われてしまうし、「責任とれないでしょう」と言われてしまうんです。児童虐待等については校長先生の名前で言っていただくとか、学校の中としてコンセンサスをとって言っていただくということがとても大事です。学校の中にそもそもそういうガイドライン等がないと、それを一々またつくってから教員の方が上げなければいけないということになります。この中に「窓口は学校であり」とありますが、学校の中で犯罪被害が起こった場合にどのようにそれを通報するなり相談するかというシステムをつくるというような内容も、ぜひ盛り込んでいただきたいというふうに思う次第です。

○文部科学省(坪田課長) この「学校であり」というのは、支援窓口の一本化ということで書いてあるのだと思います。当然、個々の被害者といいますか、児童生徒が相談するときには、学級担任もそうですし、それからスクールカウンセラーも、スクールカウンセラーはどちらかといえば学校よりは、むしろ外部からのそういう専門家という立場で来ておりますけれども、それぞれがやはりそういう子どもからの相談を受け付けるというふうに学校の中ではなっております。学校の中では、学級担任もいますし指導主事もいますし、それは誰にということではないと思いますけれども。

○中島構成員 ちょっと趣旨が理解いただいていないのですが、窓口がたくさんあるがゆえに、そこへ持ち込んだ後、どのようにそれを処理するのかというガイドラインがないというふうに私は申し上げているので、それをつくっていただかないと、個々の人が受け付けても学校内で処理できないという問題が発生するのではないかと申し上げているのです。

○文部科学省(坪田課長) それは、学校の中の処理の問題といいますか、当然、組織として処理しますので、学校担任にしろスクールカウンセラーにしろ、受けたら学校として処理するように、しかるべく学校の中の処理系統に乗せてやるということでございます。

○中島構成員 池田小事件のとき以来、学校の中でそういう大規模な犯罪が起こった場合のガイドラインというのが、多分、示されていると思いますが、同じように児童虐待でありますとか、学校内で特に教員からのわいせつ事件等が行った場合の処理についてのガイドラインをやはり文科省としてお示しいただくというのが、こちらとしての希望であるというふうにご理解いただければと思います。

○文部科学省(坪田課長) 重大事件の場合は、役割とか分担というのは、非常に時間のない中で緊急にいろいろなことを処理しなくてはいけないということで、当然ガイドラインといいますか、そういうマニュアルができているわけですけれども、児童虐待とかそうした場合は、マニュアルといいますか、これはもう結局、そういった相談をどういうふうに処理するかということですので、先ほど申しました重大な突発事件のときの対応というようなマニュアルには、ちょっとなじまないのではないかという気がしますけれども。

○山上座長代理 この問題について、少し議論を。ほかの構成員から、何か意見がございましたら。

○大久保構成員 例えば、大きな事件があった場合は、それなりのチームがつくられて、対応策も練られるんですね。でも、多くの犯罪被害者たちは、1人の場合がほとんどですので、そういう方たちは、どこに相談をすればいいのかがわからないということで皆さん悩んでいらっしゃいますので、それは学校現場においても、やはり相談窓口を一本化して、きちんとその後の回復に役立つような対応が立てられるようなものをつくり上げておかなければいけないものだと思いますが。

○山上座長代理 私たちも、そういう場合におけるケースで、学校で起きた事件ではないんだけれども、子どもが学校に行けなくなってしまうとか、学校との連携が本当は必要なケースがいろいろあるんだけれども、一体、学校のどなたに相談すればいいのか、その辺もよくわかりづらいところがあるんですが、そういうガイドラインというのはある方が望ましいような感じは私も受けるんですが、いかがでしょうか。

○文部科学省(坪田課長) わかりづらいというか、相談は、学級担任にしろ指導主事にしろスクールカウンセラーにしろ、やはり幾つもできるところに設けておくということではないかと思いますが、先生に相談しにくければ、スクールカウンセラーに相談していただけますし、それから学校の中に相談したくないということであれば、学校の外のいろいろな相談機関がありますね。こうしたものを周知徹底を図ることで対応するのが一番いいのではないかと思っております。これは、子どもからの話です。

○中島構成員 私は、別にこれを空論で言っているわけではなくて、現実に児童虐待のネットワークに参加して、学校の個々の先生が、受けた後にどうしていいかわからなくて困っていらっしゃるという相談を受けているわけです。個々の先生に相談した後どうするかということが問題で、有効に処理するということは、ある程度の指針が得られない限り、そこの校長先生の考えや、公にしたくないという気持ちが働いてしまえば、それっきりになってしまう場合もあります。文科省の方がおっしゃるようなことであるならば、一度、学校に対して、そういう事案はどういうふうな相談が上がっていて、どのように処理されているのかというような調査を、次の調査研究のところでもう1回検討していただいて、そういう調査を行っていただくという案を、私としては提示したいと思うのですが。

○文部科学省(坪田課長) 児童虐待という問題では、かなり我々もその辺は認識しておりまして、児童虐待防止法が改正になりまして、非常に教職員に対する期待も大きくなったということで、学校の先生がなぜ虐待といいますか、そういう情報を受けたときになかなかきちんと通報できないのだろうかとか、その辺の問題も含めて、今、調査研究を実際やっております。そういう事例も含めて、では教育委員会とかそうした方がどういう指導をやっているのかとか、なぜなかなか通報ができないのか、そうしたことも含めて、専門家等による分析、調査研究を今やっておりまして、そうしたことの成果をまたとりまとめて、フィードバックしていきたいと思っております。

○小西構成員 たくさん文科省に言って申しわけないんですけれども、私は以前、養護教諭の方の集まりに行ってお話を聞いて、非常に重い性虐待のケースや、それから性犯罪の被害を受けているケースを、特に例えば定時制の高校の養護教諭の先生など、もうこんな人をどうしてここで抱えているんだろうと思うぐらい重いケースをたくさん持っているということを知って、非常にびっくりしました。
 多分、児童虐待ですと、恐らく死亡事故の多くは乳児、幼児ですから、その辺に多分、焦点が当たっていると思います。でも、実際には中・高あたりの被害というのもかなりたくさんあって、しかも、学校というのは非常に抱え込むところなので、養護の先生1人で困っていらっしゃる、そこからどこにも出ていかないというケースをたくさん経験するんですね。今、虐待の研究はやっていらっしゃるというお話でしたけれども、そういうことも含めて、今、中島構成員が言われたのも、そういうことも入っての虐待という話だと思いますけれども、それも調査していただきたいなと思います。

○文部科学省(坪田課長) 調査の中で、そういうことも念頭に置いてやっていきたいと思っています。

○山上座長代理 厚労省は何かこれに関して、虐待の問題が入っていますけれども、ございますでしょうか。

○太田構成員(厚生労働省) 児童虐待に関しましてはいろいろな議論がありまして、調査研究なり、いろいろな体制整備なり進めるところでございますので、その中で我々のできることは、しっかりと対応していきたいと思っています。

○村田大臣 多分、厚生労働省と文部科学省のアプローチがそれぞれ縦割りになっていて、うまくワークしていないのではないかと思うんですね。労働厚労省の関係では、児童虐待に関する相談に応じる児童相談所は地方自治体におかれ、さらに今回の児童福祉法の改正で、市町村が児童相談において担う役割が明確化され、児童虐待についての最前線の相談窓口となっております。他方、文部科学省の関係では、各学校にカウンセラーが配置されており、その結果、児童虐待、性犯罪等の問題は、できるだけ学校の内部で解決するということになっているのではないだろうか。そのような制度の縦割りのため、学校から児童相談所への通報などが遅れ、児童虐待等について、しっかりとした援助の手が差し伸べられていないのではないかと懸念しているところであります。

○小西構成員 おっしゃっていることはよくわかりました。確かに、全部学校で抱えるべきではないケースがたくさんある。いや、だからこそ先生は抱えてしまうのです、本当に。それで、なかなか外に出てこなくて、連携がとれないというところがあります。
 例えば、スクールカウンセラーなどが外に出してくれてもいいのだけれども、外にちゃんと出すためにも、やはり知識が必要なんですね。それから学校の先生にも、どうやって外と協力していただくかということを知っていただく必要がある。
 そうだとしたら、今の連携の問題というふうにとらえていただいても構いませんけれども、ほかの部署もみんなそうですが、連携するためには、ある程度、基礎知識が必要なんですよね。やはりそこのところは、まず学校でやっていただくべきことではないかと思います。

○村田大臣 そういうことでいいと思います。

○事務局 確認ですが、具体的には、例えばまとめ案の6ページの「その他人材の養成等」というところで、先ほどもご議論がありました「研修等を通じ教職員の指導力の向上に努める」というようなところと、それに関連することかなと思いますが、例えばここに何かご指摘の趣旨のようなことを盛り込むとか、そういうことはどうなのでしょうか。

○小西構成員 私の方は、先ほど申し上げましたように、それで結構です。後から、中島構成員から出されたものについては……。

○大久保構成員 そこにもう一つ追加していただければと思うんですが、先ほど小西構成員からも、学校が抱え込むとおっしゃいましたが、確かにそういう傾向がとてもあると思うんですね。ただ、抱え込むか、周りにある地域資源を活用して、被害を受けている子どもが再び回復していけるようないろいろな施策を積み立てて、それを実行できるかどうかは、管理的立場にある方にかかっていると思いますので、教職員となりますと、これは管理的立場の人は多分入らないのではないかと思いますので、そういう管理的な方も含めての教職員というような形がわかるようにしていただければと思います。(2)のの3つ目の「☆」でしょうか。

○山上座長代理 文科省、どうぞ。ご意見ございますか。

○文部科学省(坪田課長) 教職員は管理的立場に入りますので。

○大久保構成員 全員が入りますか。

○文部科学省(坪田課長) はい、入ります。特にその必要はないと思いますので、よろしくお願いします。

○大久保構成員 それがはっきりしているようでしたら別に構いませんので、その確認をお願いいたします。

○文部科学省(坪田課長) はい、そういうことです。

○中島構成員 内閣府の方から提出されました取組について、施策のまとめ2ページの最初の「☆」ですが、文科省において、「発生した場合に、当該児童生徒の相談等の窓口となる学校を支援するため」というところで、「当該児童生徒の相談等の窓口として学校が有効に機能するよう」というような言い方を少しつけ加えていただくと、ありがたいかと思ったのですが。「当該児童生徒の相談等の窓口として学校が有効に機能することを支援するため」というように。多分、文科省のご趣旨も同じようなところにあるのではないかと思うのですが。

○文部科学省(坪田課長) 同じことだと思いますけれども、そういう表現の方がいいということでしょうか。

○中島構成員 そうです。

○文部科学省(坪田課長) わかりました。検討させていただきます。

○山上座長代理 そのほかに、何かございますでしょうか。

○岡村構成員 これは、このまとめを中心にずっと議論して、我々の意見も出しながらやっていくわけですか。

○山上座長代理 はい、そうです。

○事務局 念のためにご説明しますと、とりまとめというのは、各省庁から事前に前向きの、あるいは新たな施策として出していただいたものを、事務局としてとりまとめたものでございます。ですから、もちろんこの会議の場でのご議論は、それ以外のものでも結構でございます。

○岡村構成員 この11条関係、犯罪被害者等の支援窓口の一本化というのは、私の方の意見書に書いているとおりでございまして、医療とか介護とか、福祉とか年金、労災、住宅とか雇用とか、その窓口が「あっちへ行け、こっちへ行け」というふうなことになると大変ですので、これを一本化してもらって、そこへ行けば何でも事が済むというふうにしていただきたいと思います。
 スウェーデンでは、たしか被害者カードを持っていまして、それを持っていけば「だれそれさんですね」というふうなことで、そしてすぐサービスを受けられる、こういうようなことがあるのでございますが、そういうふうな被害者カードのようなものを発行して、あまり一々行く先々で自分のことを一から説明しなければいけない、こういうことがなくて済むような制度をつくっていただきたいなと思います。

○事務局 内閣府が提出いたしました資料1-2をご覧いただきたいんですけれども、その1ページの3)で、先ほどちょっと補足させていただいたんですが、そのご指摘の部分については特に申し上げなかったんですけれども、この内閣府資料の中で、いろいろな窓口の一本化というご要望をお聞きしておりますけれども、そこに3)で記載しておりますように、一部明確でない部分もあるのですが、例えば「相談を持ち込めば必要な情報を入手できるのみならず必要な全ての支援を受けられるようなコーディネートをする専門の機関」というようなご要望とも考えるわけでございます。そういった機関間のコーディネートの必要性というのは、内閣府としても非常に重要だというふうに考えております。
 ただ、問題は、今、岡村構成員がご指摘のように、すべてを1つにまとめるのかどうかということなのですけれども、やはり私どもが考えておりますのはそうではなくて、今、いろいろな相談の機関というものがございます。そういったもののどこへ被害者の方が行かれても、どこを起点としても、しっかりとした支援が受けられるようなネットワークづくり、これをするのが現実的であり、被害者の方にとってもいいのではないかと。これは、第1回の会議のときに大久保構成員の方からも、被害者の方はそれぞれ状況が違うわけでございますけれども、被害者の方が望むところに行かれた場合に、それを起点としてしっかりとした途切れのない支援が受けられるような体制が必要だというようなことで、私どももそういうネットワークづくりをイメージしております。
 それで、この岡村構成員のご意見にもありますように、例えば司法関係といいますか、法律関係はまた別のネットワークという構想をお考えだと思うんですけれども、やはりなかなか全部のものについての支援が1つのところでしっかりと行われるというのは、これはもう人的体制等も整えるのは大変ですし、それを各地域において整備していくというのは、これはなかなか大変ではないかというふうに考えております。我々も、そういうネットワークをしっかりと、ですから一つのところに訪ねてこられた場合でも、それ以外のところで支援が必要だというような場合に、例えば被害者の方が問題だというふうにご指摘になっておられるのは、同じことをまた初めから聞かれるというようなことは、例えば書式を統一して、それでまずお尋ねになってこられたところがしっかりとお聞きして、それをきちっと必要な機関に引き継いでいくと。それは、たらい回しではなくて実のあるネットワーク、そういったものを、現在の実態というものをよく把握して、さらにどういったものがあるべきなのか。既に、例えばこれから司法支援のネットワーク、司法ネットも構想がございますし、それから児童虐待などもネットワークがございます。そういった行政目的が違うようなものにつきましても、やはりこれは被害者の方々のための施策ということで関連があるわけですから、そういったものとも立体的につなげていくと。したがって、ここの記載をしておりますように、「立体的、網の目状」というようなネットワークを構築するべく検討していこうということで、とりまとめ案の1ページの(1)の3番目の「☆」のように、推進会議のもとに検討のための会をつくって、有識者の方と、それから関係の省庁でしっかりと検討していこうというふうに考えている次第でございます。

○岡村構成員 何か、同じことをあちこちで説明しなくても済むような方法をとっていただきたいと思いますね。

○事務局 今ご指摘の点は、大変重要な点だと私どもも認識しておりますので、そういった点を含めて、被害者の方々のためのしっかりとした支援ができるようなネットワークというのを検討していきたいというのが、この3番目の「☆」でございます。

○久保構成員 今の内閣府のご説明で私も賛成なんですけれども、やはり各省庁なり団体が得意とする分野があると思うんですね。それが有機的に結びついて支援体制を組む、情報供給体制も組むということでは賛成で、今、お挙げになった1の3つ目の「☆」、「どの機関・団体等を起点としても必要な情報の提供、支援等を途切れることなく受けることのできる体制作り」、これは非常に簡潔にまとまって、このとおり行われるのであれば、これは一番いいと思うんですけれども、かねてからやはり皆さんの不満があるのは、なかなかこうはいかないんですね。言うはやすくで、なかなかたらい回しとかいろいろあるということで、これは2年後を目途に検討なさるというんですが、一番の鍵というのは、やはり得意とする分野をそれぞれお持ちになって対応するのはいいんですけれども、では自分以外のほかの組織、団体がどんなことをやっているのかという情報を共有するシステムというか体制というか、それをつくり上げるということを主眼に置いていただければと思うわけです。

○事務局 まさにご指摘のとおり、実のあるネットワークというのはお互いの情報を共有しなければ意味がないと思いますので、そういった点も含めてしっかりと検討していきたいと考えております。

○山上座長代理 では、犯罪被害者等支援窓口の一本化に関連してですけれども、どうぞ。

○山田構成員 その一本化に関連してのことなんですけれども、犯罪の類型によって、得意な事柄というものがあろうかと思うんですね。すべての犯罪に共通した事柄もあれば、犯罪ごとに分類、類型化した方がよろしいという点もあろうかと思うんですね。そういったことに対する施策というものについては、どのようにここでは理解しておられるのでしょうか。

○事務局 まさに今ご指摘のように、それぞれの分野で得意分野があって、それらがやはりそれぞれの組織においてしっかりと取組がなされるというのは、これはもう基本中の基本だというふうに考えます。しかし、それが例えばたらい回しだとか、あるいは縦割りの弊害だとかということで、途切れることのない支援の支障になっているということになってはいけないということでありまして、そういったそれぞれの組織で現在行っている、あるいはこれからさらに推進していこうとしている、そういう犯罪被害者等施策については、それはもうもちろんそれぞれの組織でしっかりとやっていただく。それと同時に、この検討のための会におきまして、それらが総合的に、より犯罪被害者の方々のご要望に沿った形で取組がなされていくことができるようにという検討を行っていくということでございます。

○山田構成員 それに関連しまして、縦割りであるとか窓口の一本化であるとかというところ、たらい回しというような論点に関連してなんですが、そのようになることを少しでも避けるためには、民間団体の利用といいますか、民間団体との連携というものが極めて重要になるのかなと思うわけなんですね。これは、22条の問題では、民間団体に対する財政的援助という側面からの支援ということをうたわれておりますけれども、財政的援助はもちろんのこと、その連携という点においても極めて重要だと思うんですが、そこら辺についてのとりまとめというのはどのようになりますか。

○事務局 1ページの3つ目の「☆」をまたご覧いただきたいんですが、まさに今ご指摘のように、やはり民間で支援をされている団体の取組、それらも大変重要なものであるという認識は変わりません。それで、そういった意味で、1行目から「諸機関・団体等の連携・協力を更に促進」するということで、今ご指摘のような民間の支援団体との連携というものも、ここの中に入っているといいますか、それらを考えているということでございます。

○山上座長代理 この支援窓口の一本化に関連して、省庁でどなたか。どうぞ、では小西構成員。

○小西構成員 一本化の問題で、まだいいですか。ちょっと質問。

○山上座長代理 一本化の問題、11条。ちょっとすみません。この問題はまだ論議中なのですが、どなたか。山田構成員。

○山田構成員 11条に関連してという今の座長のご発言でよろしいのですか。それは、11条の中の一本化だけですか。

○山上座長代理 はい。一本化のところで、一応、区切りをつけてと思いまして。

○山田構成員 では、もうちょっと後にいたします。

○山上座長代理 もし、関連省庁で何か意見とか補足がございましたらお願いします。中島構成員、ではどうぞ。

○中島構成員 一本化のことで、質問です。内閣府の方で、「都道府県の犯罪被害者等主管課室長会議を開催し」とあり、非常にいいお考えだと思いますが、現在、地方公共団体では警察本部以外にはないようなところもあるのではないかと思います。現実にはまだそういうものがないようなものに対して、どのような呼びかけでどのように開催されるのか教えてください。

○事務局 まさに今ご指摘のように、やはり都道府県、地方公共団体において、そういった窓口というのがしっかりとどこであるのかというのを確認させていただくというのも、この会議の意味合いの一つではないかなというふうに考えております。もちろんご指摘のように、この会議は今ないわけでございまして、この開催というのは、しっかりとそういうご認識をしていただいて、そしてその会議の中で、ここだけではなくて、その次の(3)の最初の「☆」でもありますが、こういった関係窓口一覧ですとか基本計画の広報ですとか、今後、犯罪被害者等施策をしっかりと進めていくための体制の確認、情報の共有等、そういったための会議の開催というふうに考えております。

○片桐構成員(警察庁) これは、特に内閣府とりまとめの1ページ目、1.の5つめの「☆」で、これは私どもからお出ししたものなんですけれども、我々は、各関係の機関とか団体があちこちでいろいろな支援をやっているわけですけれども、それを、今、久保構成員がおっしゃったように、それぞれの機関がどこの機関でどんな支援をやっているのかということを、みんなでお互いに情報を共有化し合って、どこの窓口に被害者の方が来ても、うちはこれができる、あそこの機関ではこれができますよということを教示して差し上げる。また、いろいろな申請書とかがあれば、それをそれぞれの機関が置いておいて、これを記入すればいいのですよと。例えば、警察において犯罪被害の証明が必要であれば、そこに我々が書き込んで証明を出してあげるとかというふうなことができるのかなと思っているんですけれども、ただ、これは我々だけの施策として書いてありますので、ちょっとこれと3つ目の「☆」の関係が、うまく整理がつかないのかなという感じがします。もし我々のこの施策を書いていただくのであれば、これは我々だけではなくて、犯罪被害者支援をやっている各団体みんなが同じようにこういうことをしましょうというふうにすべきではないかというふうに私は思います。
 同じことがあちこちに散りばめられていまして、その次の下のところに、ネットワークを構築して、ネットワーク間の連携を図りましょうと。これもやはり同じで、我々が幾ら言っても、お互いに協力し合う姿勢がなければネットワークはうまく機能しないし、それから3ページ目の4つ目の「☆」ですけれども、ここでも性犯罪被害者の情報入手の利便性ですけれども、これも我々だけではなかなかできないので、お互いに何ができるかということを考えなければいけないので、警察だけの施策としてはあまり有効ではないのではないか、むしろみんなでやった方が有効ではないか。
 同じように、4ページ目の早期支援体制の部分、これもやはり横断的、総合的に支援活動をしましょうということなんですけれども、これも我々だけが幾ら叫んでもできない話ではないのかなというふうに思います。
 ですから、そういうことを含めて、やはりこれらの部分については、「警察において」と単に限定するのではなくて、関係機関・団体、みんなでやるような記述ぶりにしていただければというふうに思います。

○事務局 確かに、そういう連携・共同の必要性というのはあろうかと思います。ここは、最初に申し上げましたように、各省庁で非常に積極的に施策を回答されたというものについての事務局のとりまとめでございます。したがって、今のようなご発言で、例えば必要な理由等があるということであれば、どういった省庁との協働・連携が必要なのかというふうなとりまとめとさせていただきたいというふうに思います。
 それと、3番目の「☆」との関連でございますけれども、3番目の「☆」というのは、今後さらなるしっかりとしたネットワークの構築ということでございまして、その他の「☆」で各省庁から出していただいているものというのは、現在やっておられることをしっかりとやっていこうというようなことでの違いがあろうかなというふうに思います。そういった意味で、現在やっていただいていることは、しっかりと各省庁で取り組んでいく。そういう中で、犯罪被害者等の方々のためにさらに有効なネットワークというものがどういうものであるのかということを、検討のための会でしっかりと議論していこうと、こういうことでございます。

○山上座長代理 ほかの課題、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、ありますけれども、どの議題でも結構ですが、意見がおありでしたらお願いいたします。

○岡村構成員 司法支援センターのことで、よろしいでしょうか。資料9の11ページ、11条関係の情報の提供というところで、司法支援センターについて書かれている。今後、同センターは、大変な役割を持つと思うんですけれども、今、支援センターがやろうとしているのは、全国一本で電話を受けるコールセンターをつくり、そこにかかってきた電話を各地に転送するという制度を考えておられます。しかも、そのコールセンターは、被害者も加害者も同時に同じ電話で受け付ける、こういうことのようです。これは、やはり被害者にとっては大変なことでありまして、各地の支援センターに直接電話をするようにしないと、全国ネットに電話しておいて、転送されて、またそこで同じことを説明しなければいけないことになります。各地に電話窓口を置いてもらいたいと。そして、被害者用の電話と加害者用の電話とは、これはやはり分けていただかないといけない。同じ人がとって両方の応答をするというのは、やはりよくないと思うんです。だから、それを分けていただきたい、こう思います。

○山上座長代理 岡村構成員、よろしいですか、法務省の回答ということで。

○岡村構成員 はい。

○山上座長代理 では、お願いします。

○河村構成員(法務省) 支援センターにおきます情報提供の方法につきましては、ホームページによる情報提供でございましたり電話による情報提供、面接による情報提供などなどが考えられるわけでございますけれども、構成員ご指摘のいわゆるコールセンター構想につきましては、そもそもその設置の要否も含めて検討中の事項ということでございます。
 したがいまして、こういった点も含めまして支援センターの業務のあり方につきましては、第2回の検討会であったかと記憶しておりますけれども、日本司法支援センターの業務のあり方について、犯罪被害者等やその支援に携わる方々の意見を踏まえて準備作業を進めるといった趣旨のとりまとめをしていただいているところでございますので、法務省といたしましても、日本司法支援センターにおきまして犯罪被害者等にわかりやすく適切な情報提供を行えるよう準備作業を進めてまいりたい、構成員のご指摘の点も含め、十分検討してまいりたいと思っております。

○山上座長代理 よろしいですか。

○岡村構成員 はい。

○大久保構成員 確認だけさせてください。そうしますと、以前の回答の中で、司法支援センターで犯罪被害者の相談を受ける者は、被害者支援に専任の精通した者が受けるとなっていましたけれども、具体的なイメージとして、どのような方がその相談電話に対応するというようにお考えでしょうか。

○河村構成員(法務省) 今、大久保構成員の方からご質問がございました専門職員でございますけれども、法曹資格でございますとか、いわゆる隣接法律専門職としての専門的な資格を有しないまでも、法律的な素養でございますとか、こういった事柄についての実務的経験を有する方を充てることが考えられるところでございます。また、相談窓口業務が実効的に機能し、しかも、いわゆる二次被害を防止するためには、こういった専門職員に対して十分な研修を行う、あるいは適切な情報提供が可能となるようなマニュアル等の作成を含めて検討しているところでございます。

○大久保構成員 では、もう一つ教えてください。司法支援センターができるに当たりまして、加害者には捕まったそのときから国選弁護人がつけられるようになって、その費用は莫大なものだとお聞きしていますが、やはり世の中、バランスということもとても大切だと思うんですね。その点、司法支援センターができることによって、被害者にかけられる金銭的なものというのはどの程度のものを考えていらっしゃるのでしょうか。

○河村構成員(法務省) 今のご指摘の点につきましては、被害者に対する公的な弁護のあり方、あるいは財政的な援助のあり方を含めて別途の枠組みで、そこは検討していただくことになってございますので、支援センター独自ということになってまいりますと、必要な弁護士の方の紹介などの、それもその方がどういったことを専門にしておられるかといった情報提供、ご紹介でございますとか、あとはいわゆる民事の法律扶助ということになろうかと思っております。今の時点では。

○山上座長代理 今のことに関連しての質問になりますけれども、事件直後に被害者の方は、いろいろ法律相談したいとか、あるいは弁護士さんにマスコミとの間の問題をちゃんと対応してもらいたいとか、いろいろな弁護士に対する要望、要請、ニーズがあるんですが、そういうところというのは、司法支援センターの予算の枠でその部分を持つということはあり得ないことなのでしょうか。経済的な支援はまた別の制度で考えなければならない、そういうことでしょうか。

○河村構成員(法務省) 司法支援センター自体は法律に基づいておりまして、業務内容も法律に規定されております。その意味では、山上座長代理のご期待に沿えないかもしれませんが、今の財政的支援という事柄は、業務内容には入ってございませんので、また被害者に対する公的弁護ということ自体も、業務内容としては、今、法律には規定されておりません。

○岡村構成員 関連しまして、今、公費の弁護士の問題が出ましたけれども、この重点項目のところを見ますと、左側の最後に「公費による弁護士の選任」というのがあるわけですね。官庁から出たのには、これについては全く触れておられないのですが、これについて私たちは、資料9岡村資料の3ページに書いてあります。公費による弁護人選任制度の導入についてと。提言のところに、「刑事司法手続において」という言葉がありますが、これは削除してください。刑事司法に限りません。これはミスでございました。「犯罪被害者等のために、公費による弁護人を選任できる制度を創設すべきである」と改めます。これは基本法の12条、18条、11条にそれぞれ関係するところでありますけれども、どうしても弁護士に相談をしなければならないことがいっぱいある。弁護士がどんなことを行うかということは、私の5ページ以下に別紙として書いているわけであります。とにかく被害者だって弁護士が欲しいわけであります。現在、国選弁護料というのが65億円ぐらい使われているのに、被害者についてはゼロであると。扶助協会の特別事業として若干ありますけれども、それは微々たるもので、2,300万円ですね。これは扶助協会が特定財団からの援助によって行っている特別事業であります。これ以外にも、当番弁護士というので日弁連が11億円、加害者にはかけているわけですね。だから、65億円に11億円で76億円、これだけ加害者には出ているわけですが、公費では被害者については弁護士費用が一切出ないということになっております。
 これは、自分で弁護士を選べる被害者もいるかもしれませんけれども、選べないし、また弁護士を知らないという人が圧倒的に多いので、ぜひ公費による弁護人制度を導入していただきたいと思っております。

○山田構成員 関連して、よろしゅうございますか。私も、公費による弁護人選任制度について、一言、意見を述べさせていただきたいと思います。第4回検討会におきまして、私の方から日弁連理事会の決議書というものを提出させていただきました。前回の資料9でございますけれども、そこの中で、犯罪被害者に対する法律扶助の拡充というものを訴えました。日弁連としましても、弁護士を依頼するに当たっての援助を法律扶助という形でできないかということを訴えたわけでございますけれども、その法律扶助というのは民事法律扶助となっている、その「民事」を取りまして、もっと拡充するというということでお願いしたわけでございます。しかし、それは法律扶助制度のことだけを言って、公費による弁護士制度をあきらめるとか捨てるとか、そういう趣旨ではございませんで、これにつきましては、当然、本日のテーマとして掲げられるということで、あえてそこには触れていなかっただけなわけでございます。
 それで、今、岡村構成員が言われた重点課題というのは、第2回におきましては、「公費による弁護士を選任しての法的支援」という言葉でございました。それから前回、第4回では、「犯罪被害者等のための公的弁護人制度の導入」という言葉でございました。本日、第5回におきましては、「公費による弁護士選任」という言葉になっております。それぞれ言葉、表現は違いますけれども、3回にわたってこれがテーマとして、課題として取り上げられているわけなんですね。こういったことにつきまして、ぜひともここで取り上げていただいて、検討すべき課題として掲げていただきたいと思っているわけでございます。

○事務局 公費による弁護士選任の問題でございますけれども、これは12条の損害回復の関係もございますし、それから18条の関係もございます。それらを含めまして、13条の関係で損害回復・経済的支援についていかにあるべきかということを検討するために、推進会議のもとに検討のための会議を設けて、有識者の方と、それから関係省庁で検討するということに既にまとめの中でなっておりまして、今、各構成員からご指摘になられましたこの問題についての検討は、しっかりとその場でなされていくというふうになります。

○小西構成員 内閣府の資料1-2の2ページ目、とりまとめの方にも出ておりますけれども、2)「被害者どうしに出会うための」、要するに団体のポータルサイトをつくる、あるいはその下の方に、NPOとしての格を持っている団体について、何かポータルサイトをつくるというふうになっていますけれども、ちょっとこの具体的なイメージを、今お示しいただけますでしょうか。というのは、恐らく警察が今までなさってきた民間支援組織との連携というのは、やはり被害者支援、民間団体と警察がおっしゃっているところとが主になっていると思うんですね。もちろん、距離の近い団体があるということはとても大事なことなので、それはそれで評価すべきことだと思いますが、一方で、例えば今まで虐待の支援をしてきた団体ですとか、あるいは女性支援をしてきた団体ですとか、そういうところが必ずしも今までは連携がとれていないというところもあるわけです。そういうことも含めてお考えなのかどうかということを、ちょっと質問させていただきたいと思います。

○事務局 これにつきまして、まず2)の方でございますが、これは被害者等の方々からのご要望の中に、まさにそこに記載してあるとおりですが、被害者同士の皆さんが出会って、そしていろいろな情報交換ですとか相談ですとかという、それを望まれるご要望がありまして、そのためにどこにどういう団体があるのかというのがわからないということで、そういった犯罪被害者の団体は、どこにどういうものがあるのかということを検索していただくという、そういったことが可能なような整備をするというのが2)でございます。
 それから、5)の方につきましては、今、NPO法人全体を載せているサイトの中で犯罪被害者の団体の情報がわかるような形にするというものでございます。

○小西構成員 今のご説明だと、基本的には当事者の団体ということですか。

○事務局 当事者の団体と、それから支援をされている団体も入っております。

○小西構成員 どちらもということなんですね。今回ヒアリングでもありましたように、例えば被害当事者でも遺族の方とか、岡村構成員たちの努力もあって、そういう方についてはある程度、全国の情報がわかっていますが、それ以外の被害について、なかなか情報がなくて、当事者の声も聞きにくいという状況があったと思いますので、ぜひこれは広くやって推進していただきたいなというふうに思います。

○中島構成員 2つ質問があって、1つは厚生労働省に対して、もう一つは法務省に対してです。私が提出しました資料12の2ページのところで幾つか書かせていただいたので、それに対する回答をいただきたくてご質問しました。
 被害者に対する情報の提供ということで、警察、検察以外に、もう一つ被害者がたくさん行くところでは病院があります。医療機関においてパンフレット等を置いたり、あるいは医療相談室等において被害者に対する情報を提供するということがとても必要なように思いますが、これについて厚労省の方で、何かお考えはありますでしょうか。

○太田構成員(厚生労働省) 今、医療機関において、被害者関係のパンフレットの配布とか、あるいは情報提供とか、あるいはスタッフの研修とかということでお話がありましたけれども、我々もそういう形で必要な情報を提供したり、支援を充実させていくということは大変重要だと考えております。
 そういう観点から、医療機関あるいはその他の関係機関が適切に被害者に対する情報提供ができるように、パンフレットなどによる適切な情報提供、あるいは職員の研修等を通じて、犯罪被害者に対する支援に取り組んでいきたいということでございますので、そういう方向で適正な対応を検討していきたいというふうに考えております。

○中島構成員 ありがとうございます。ぜひ、それを骨子案のどこかに入れていただけるとうれしいと思います。もう1点、法務省に関してなんですが、法務省の方では検察庁等におきまして被害者相談員を置かれたりということで、大変情報提供にご努力なさっていますが、できれば窓口というよりは、実際に面と向かって相談できるような相談室という一つの部屋を設けてもらうような方向で検討いただけないかということと、あと、裁判所においては、まだ被害者支援制度というものはそれほど確立されていないように思うのですが、裁判所における被害者のアドボケートとか情報提供といったようなことについて、ご検討なさっているでしょうか。

○河村構成員(法務省) 今の部屋の確保を含めました地検レベルにおきます体制整備という点につきましては、現在、全国50の地方検察庁におきまして、被害者支援員が常駐いたしておりまして、犯罪被害者の方々などの様々な相談への対応をいたしますための被害者支援相談室が設置されておりまして、これにつきまして、相談件数の多い地方検察庁におきましては、常時、複数名で対応するなどの体制強化を図っておりますけれども、今後も必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えているところであります。
 裁判所のことにつきましては、申しわけございません。私どもといたしましては、ちょっと個人的に情況を見聞きしている程度で、組織的な面になりますと、裁判所の方からお聞きいただけたらと思います。

○山上座長代理 最高裁判所の方で、お願いできますか。

○最高裁判所(浅香事務総局家庭局付) 今、構成員の方からお話のあった被害者の方々への対応についてですが、前々回あたりにご説明させていただきましたとおり、今現在でもなるべくベテランの職員が対応するようにするなどの工夫をさせていただいて、被害者の方々に不快な思いをさせないように努力しているところでございます。今後とも、研修等を通じて、被害者の方々からいろいろな要望があることや、あるいは前回、大久保構成員の方から、裁判所の不適切な対応などを具体的にお示しいただいておりますので、こういったことを現場にも周知徹底して、そういったことがないようにしていくように、研修等を通じて周知していきたいと思っております。

○山上座長代理 ちょっと関連の質問なんですけれども、電話でそういう経験のある方が慎重に対応と言いましたけれども、相談電話は被害者用の相談電話という専用のものはないのでしょうか、あるのでしょうか。

○最高裁判所(浅香家庭局付) 特にそういったものはございませんが、私どもは日々の業務で、被害者の方々に限らず当事者等からいろいろな相談の電話はいただいておりますので、そういった中で被害者の方々に適切に対応させていただこうと現に努力しているところでありますし、これからもしていきたいと、そう思っております。

○山上座長代理 できれば専用の電話があって、そこには必ずそういう配慮のできる人が出るということが望ましいようには思うんですけれども。これに関して、何かどなたか。。

○大久保構成員 実は、今ほどおっしゃいましたように、私が裁判所の対応についていろいろなお話もしに行ったということは、研修の一環として行ってまいりましたが、実は私がそれに行こうかどうしようかと迷った1つに、1回行っただけで、そうやって研修をやっておりますというように言われる場合がとても多いものですから、決してそういうことなく、これはいろいろな団体のいろいろな職員の方がいらっしゃると思いますので、そういう方たちが継続的に行うというところが一番大切だということは、ぜひ職員研修の中では徹底していただきたい、そのように思っております。

○最高裁判所(浅香家庭局付) 大久保構成員おっしゃるとおりでございまして、被害者の方々に適切な配慮をさせていただくということは、極めて大事な施策だというふうに最高裁としても考えております。被害者の方々に対する配慮を一層高めていくということが継続的に行えるように、今後とも努力していきたいと思っております。

○小西構成員 次のことに移ってもよろしいですか。

○山上座長代理 結構です。

○小西構成員 警察にお伺いしたいんですが、私の方で児童虐待に対する専門の捜査官をということを、多分、申し上げたと思うんですね。恐らく、警察の犯罪被害者対策の中で、性犯罪に関して専門の捜査官を置いて、あるいは性犯罪に関して相談電話を設けられたことというのが、やはり非常に大きな影響を、今の日本の状況に成果をもたらしていると思うんです。実際に、犯罪の認知件数にも非常に大きな影響を与えていて、大変有効な政策であったと思っているんですね。
 虐待も同じなんです。だけれども、もう一つ、虐待の場合はここに書いてある、恐らく回答いただいたのが、こっちには積極的に書いていないので、警察庁の資料2の一番最後のページにあるんですけれども、ここでお答えいただいているのは、虐待のむしろ心理とか、そういうことなんだと思うんですけれども、恐らく虐待児の場合には、その法医学に関する知識とか、そういうことも非常に大きいというふうに聞いております。
 例えば、Shaken Baby Syndromeという、揺さぶられっ子症候群などと言ったりしますけれども、そういうことで命を落とすような子どもがいたり、あるいは非常にダメージを受ける子がいるんだけれども、実際には専門家が見ればわかるのに、捜査の段階で帰されてしまう、あるいは起訴できないというようなことが実際にあるように聞いているんですね。私は子どもの専門ではありませんので、これについて詳しく説明することはできませんけれども、そういう児童虐待の特性、その捜査に必要な児童虐待の知識と、それから児童虐待の心理についてという、そういうことをやはり今まで性犯罪でなさってきたように、警察で何か捜査の専門性を持った方を養成していただけるといいなというのが私の趣旨でありました。お答えは、むしろその心理的な面、あるいは被害少年の面の方に行っていると思いますので、ちょっともう一度伺いたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) お答えのペーパーの方は、救済中心に書いたものですから、亡くなったケースについてはここでは特に触れていないのですけれども、まず救済についていえば、やはりまず発見、虐待児を発見するということが一番大事なので、これは別にこれを扱っている少年部門だけではなくて、特に交番とか駐在所に勤務する警察官とかを全部含めて、いかにそれを発見すべきかということのチェックポイントを示し、教養しているという状況でございます。
 それから、専門チームの問題でいえば、今の例を言いますと、大阪府警がチャイルド・レスキュー・チームというのを立ち上げていまして、専門の児童虐待、特に救済の方ですけれども、チームをつくって対応しているという状況でございます。
 それ以外の県では、そういった専門チームはつくっていませんが、現実に対応しますのは、少年部門におけるところの少年の保護部門を担当する職員でございますから、まず我々としては、この保護を担当する職員に対して十分な教育あるいは訓練をしていくということが大事かなというふうに考えております。
 あと、不幸にして亡くなった場合の検視の問題でございますけれども、検視官については、検視官として着任する前に必ず警察大学校とかに呼んで、そこでもって専門的な教育を施すようにしておりまして、現在、児童の内因性の急死であるとかということについてはやっておりますけれども、構成員が今おっしゃられた揺さぶられっ子症候群ですか、そこについてまで十分な教育がなされているかどうか、私は確認していませんけれども、そういったことも含めて、こういった検視に関する教育の充実について、また持ち帰って検討してみたいと思います。

○小西構成員 そうですね。もちろん、救済はすごく大事なことなので、やっていただきたいんですが、亡くなったケースだけではなくて、例えば病院に運ばれて、その段階で疑われて、いったん警察が逮捕される。だけれども、そのときに証拠不十分になってしまってまた帰されるんだけれども、その後、結局、亡くなってしまったケースとか、そういうものがあるんですね。そういうときに、例えば警察官の方が、「子どもを揺さぶったことがありますか」と聞いていない。聞くと言うかもしれないんだけれども、1回例えばShaken Baby Syndromeについて容疑者が知識を持ってしまうと、当然そういうことは言われませんよね。ですから、最初の1回の聞くところがすごく大事なんです。ところが、そこでその質問がされていないためにみすみす取り逃がしていて、実際に子どもがもう1回被害に遭って亡くなってしまうようなケースが、どうも大分あるようなんです。
 おっしゃったとおりで、法医学の中における児童虐待に関する知識というのも、法医学の先生全員が今持っている状況ではないので、それも大きな問題があると思いますけれども、恐らく最初に聞く警察官の質問の仕方というのが、これは性犯罪の場合も、大きくその後のことを決めますよね。それと同じように非常に大事だと思うんですが、そこのところで知識がない。児童虐待に関して、心理もそうなんだけれども、傷について、それから加害者にどういうふうに話を聞けばいいかということについて、知識がないということが実際にあると。

○片桐構成員(警察庁) 具体的なケースは我々が承知していない部分もございますので、また後で詳しくお話をお聞かせいただいて、また対応を考えたいと思います。

○小西構成員 そうですね。はい、わかりました。

○事務局 参考でございますが、ただいまご議論になっておられました点につきましては、今日は配布していないのですけれども、骨子案の(3)の中で、これは児童虐待の防止、早期発見、早期対応のための体制整備等という項目の中で、警察庁の施策といたしまして、「子どもの死亡例に関する適切な検視等の実施に資する教育、それから児童虐待の発見に資する指導・教育、それから児童の保護等を行う職員に対する虐待を受けた児童の特性等に関する教育等、職員の児童虐待に関する知識・技能の向上に努める」というとりまとめがなされているところでございます。

○山上座長代理 では、そのほかの課題で何かございますか。早期支援体制の確立、あるいは長期支援体制の確立、犯罪被害者支援のコーディネーターや専門的支援の育成という問題がございますけれども。

○岡村構成員 岡村資料9の7ページに、早期及び長期支援体制の確立というのを書いておきました。これは、まず早期について、被害者が何を望んでいるかということを、7ページから8ページに書いておりますのでご覧いただきたいと思います。こういうような要求があるということでございます。それから、8ページの第2のところで、被害者が望む長期支援体制として、下に未解決の場合から始まって、9ページの結論の上まで書いてあります。
 いろいろこういうような要望があるわけですが、特に早期支援体制といいますと死後直後など、やはり一番被害者が信頼できるのは警察官なんですね。警察官だったら、家に入ってこられても不安がない。ところが、そうでない支援団体は、ノヴァみたいにうんと認知されればですけれども、そうでないときに入ってこられると、やはり皆びっくりするだろうと。警察官、親戚、近所の人、こういう人との接触が多いのであって、だから民間支援団体が来るとしても、警察が保証して、これは大丈夫ですよといった方でないと、早期支援は難しいのではないかなと、こういうことでございました。
 それで、長期にわたりますと、だんだん情勢が変わってきますから、長期の場合もやはり警察署を離れるわけにはいかない。特に、長期未解決とか何とかいろいろありますから、警察官、警察署、それから民間の支援団体に精一杯頑張っていただく、こういうことになるかなというふうに考えた次第でございます。だんだん支援センターが公認されて信頼が高まれば、これは早期に警察官と一緒に来られるだろうと、こういうふうに思いました。

○中島構成員 長期支援体制の確立で、内閣府からいただいている資料の4ページですけれども、その最後の「☆」の「文部科学省において、犯罪被害を受けた児童生徒に問題行動が見られる場合も含め、問題行動を起こす児童生徒に対し」とあります。ご趣旨はよくわかります。いろいろ適応障害で、適応的な問題があるのはわかるんですが、被害者の方が「問題行動」という言葉を使われた場合に、あまりいい気持ちはしないのではないかと思うので、これはもう少し被害者に対して負担のない形になるように書いていただけたらと思うのですが。

○文部科学省(坪田課長) これは、特におっしゃるように、確かに犯罪被害を原因に、また何というか……

○中島構成員 不登校になるとか、そういうことだと思いますが。もう少し表現を。

○文部科学省(坪田課長) 不登校とか、いろいろな問題がやはり。分けて書いてしまいましたので。

○中島構成員 言葉の問題なので。

○文部科学省(坪田課長) ではまた、まとめて書きたいと思います。

○山上座長代理 今の「問題行動」という言葉について、何か適切な表現がもしあればどなたか。

○文部科学省(坪田課長) これは、問題行動というのは、我々の言っている言い方なんです、専門的な。いじめとか、暴力行為とか、そうした問題があって。

○山上座長代理 適応上の障害等とか、もう少しやわらげた……

○中島構成員 もう少し表現の検討をお願いします。

○文部科学省(坪田課長) 「犯罪被害により児童生徒が問題を抱えるに至った場合」という表現ではどうですか。

○中島構成員 その方がずっといいですね。

○文部科学省(坪田課長) 確かに言った方がいいと思います。不登校の問題もそうですし。

○中島構成員 お願いします。

○文部科学省(坪田課長) では、そういうふうに直します。

○岡村構成員 先ほど私はちょっと意味が違って、警察へ向けてというのは、保証する支援団体による支援体制、早期の場合も。そういうことで、どこそこのカウンセラーに行きなさいというときなんかも含めて信頼のできるところと、こういう趣旨でございます。

○山上座長代理 この問題に関して私たちも民間、援助団体の立場から総合的な支援の役割を早期の時期から、事件直後からとる役割を果たしたいという希望を出していますが、それはやはりそれをきちんと適切に果たせるだけの力をつけながらと、そういうことで体制の整備も応援していただいて、そういうことを含んでおりますので、よろしくお願いいたします。そのほか、これに関連して何かございますでしょうか。

○大久保構成員 そうしましたら今の早期支援、長期支援等につきましては、後ほど22条の中で、少し詳しくお話しさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山上座長代理 それでは、今の11条関係について、内閣府の構成委員からまとめをお願いいたします。

○事務局 それでは、いろいろご議論いただいたわけでございますけれども、その中で意見の一致をみてとりまとめとするものといたしましては、各省庁提出に係る施策等とりまとめの施策について、まず取り組んでいくということになるのではないかと思います。その中で、一部修正のご意見がありますので、その確認をさせていただきたいと思います。
 とりまとめ資料のまず2ページでございますが、一つ目の「☆」、2行目、「当該児童生徒の相談等の窓口となる学校を支援するため」となっておりますけれども、「となる学校」の部分が、「として学校が有効に機能することを支援するため」、通して読みますと、「当該児童生徒の相談等の窓口として学校が有効に機能することを支援するため」と修正したいと思います。
 それから、4ページでございますが、(6)の最後の「☆」でございますけれども、「問題行動」という文言につきましては、後ほど文科省と調整をさせていただきまして、修正したものを骨子案として皆様にお届けしたいと思います。
 それから、5ページ、最後の「☆」でございますが、その2行目「対応できるよう、」、「研修」の前に、「犯罪等の被害に関する研修等を通じ」と加えるということでございます。なお、これは次にご議論いただきます6ページの21条関係の(2)の3つ目の「☆」、これは再掲でございますけれども、ここも同様に「研修」の前に、「犯罪等の被害に関する」を加えるということでございます。
 それから、新たな項目として加えるものでございますが、先ほど中島構成員の方からご指摘のありました医療機関のパンフレットについてのことでございますけれども、これにつきましては、先ほどのご趣旨を踏まえまして、骨子案の形で後日お示しをしたいというふうに考えています。
 それから、警察庁の方から幾つかの項目について、警察のみではないというご意見があったわけですけれども、これはご議論のときにも私の方から申しましたが、警察の方からこういう施策に取り組むということで出されていたものについて、こういう形でとりまとめをさせていただきました。先ほどのご趣旨で、どういった連携、協働の必要性があって、その先がどういうところであるのかということについては、また別途お示しをいただきたいと思います。それについて、骨子案の形でまたお示ししたいと思います。できればこの会議の席で、大体どういうイメージ、どういう修正の形になるのがいいのかというのは、また後ほどお示しいただければと思います。
 確認をさせていただきましたのは以上でございます。何か漏れていたりすることあれば、またご指摘いただきたいと思います。

○山上座長代理 何か今のまとめについて、確認について、ご意見よろしいでしょうか。それでは、10分ほど休憩に入ります。

○山上座長代理 それでは、時間になりました。残りの課題、21条、22条関係に入らせていただきます。関係省庁から事前に資料が提出されておりますけれども、補足することがあればご発言ください。

○事務局 それでは、21条、22条関係の前に、先ほど確認をしていただきました中で4ページの、とりまとめ資料4ページの文科省の関係でございますけれども、この1行目でございます。「犯罪被害を受けた児童生徒」、その次でございますが、「児童生徒が問題を抱えるに至った場合、当該児童生徒に対し」と。したがいまして、「に問題行動が見られる」、それから「を含め問題行動を起こす」というところが削除になりまして、その部分に、「が問題を抱えるに至った場合、当該」こう入ります。もう一度通して読みますと、「文部科学省において、犯罪被害を受けた児童生徒が問題を抱えるに至った場合、当該児童生徒に対し」ということでまとめとさせていただきたいと思います。
 それから、本日ご議論いただきます基本法第21条関係及び第22条関係でございますが、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、内閣府資料1の6ページ以下のとおりでございます。
 それから、内閣府に関する犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、内閣府資料1-2の3ページ以下のとおりでございます。
 それから、各省庁に係る施策等とりまとめの関係でございますが、これは各省庁から事前にいただいた新たに取り組む施策、あるいは前進させる施策についてのまとめでございます。下線を付した部分については、事務局にて加筆した箇所でございます。後ほどご議論いただきたいと思います。
 それから、内閣府の1-2の関係で、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。第22条関係なのですけれども、これは内閣府資料1-2の4ページの(1)でございます。民間団体に対する財政的支援に関して、有識者と関係府省庁からなる検討の場を設けてはどうかという意見を書かせていただいております。この検討の場を設けるということにつきましては、既に第13条の犯罪被害者等に対する経済的援助のあり方に関しまして、推進会議のもとに有識者及び関係省庁からなる検討の会を開催することとされているところでございます。
 一方、第22条の関係でも、対象は犯罪被害者等ではなく、民間団体になるわけでございますけれども、同様に財政的支援を行ってほしいというご要望が大変強いということでございまして、その実現に向けた検討が必要でありますけれども、どのような団体を対象とするのか、あるいはどのような事務に対して支援を行っていくのか、それからどのようなルートで財政支援を出していくのか、その財源をどうするのかといった事項につきましては、すべてそれぞれ単一の省庁では検討が大変困難であると同時に、特に財源でございますが、これにつきましては、第13条関係の検討の場でも議論されることから、そちらの検討の場とも連携をとりながら、やはり推進会議のもとに別途検討の場を開催いたしまして、検討していく課題であろうというふうに考えた次第でございます。
 なお、関係する府省庁としましては、内閣府のほか、警察庁、総務省、法務省、厚生労働省が考えられるところでございます。このような趣旨で、本日お配りしております各省庁に係る施策等とりまとめの7ページ、3の(1)の一つ目の「☆」として提出させていただいております。ご議論いただければと思います。以上でございます。

○山上座長代理 それでは、関係府省庁で補足ないしはご意見ございましたら。どうぞ。

○河村構成員(法務省) 21条関係でございます。「とりまとめ」でまいりますと、7ページの上から3つ目の「☆」でございます。「犯罪被害実態調査」のあり方についてのまとめでございますが、この法務省におきまして調査を行いました内容につきましては、本日配付されました第5回の配付資料の資料4の8ページ以下に詳細記載させていただいております。
 これをご覧いただくとわかるわけでございますけれども、暗数調査につきましては、質問紙を用いた調査をいたしておりますけれども、そもそも対象者の協力を得られるか否かが不確定でございますので、性的被害に限定して調査を実施するということになりますと、回答いただくことについての被害者の方の精神的負担が一層増加いたしまして、協力を得られなくなる可能性が高まるというだけでなく、二次的被害を与える危険性も生じてまいります。そのため、性的暴行被害に関する暗数調査につきましては、他の罪種について行う調査の中で実施させていただくのが妥当と考えております。
 サンプル数につきまして、暗数調査のようなアンケート調査になりますと、日本国民全員を調査するということは不可能でございますので、一定の人数をサンプリングして、その結果から全体の値を推定することになるわけでございますけれども、統計学的には、3千人程度を調査すれば、推定値の誤差は十分許容できる範囲内にあると考えられることから、こういったサンプル数を決定いたしております。
 ただ、被害に遭われた中で、どれだけの方が申告されているかというような推定値につきましては、罪種によりまして、分母の数が少なくなってまいりますことから、推定値の誤差はかなり大きくなりまして、これらの数値についてもできるだけ誤差の少ない数を得たいと考えてまいりますと、サンプル数を相当増加する必要がございます。例えば、統計学的に、現在の精度を10倍上昇させようといたしますと、サンプル数を100倍にする必要があるといったようなことも言われておりまして、こういった調査規模の拡大につきましては、さらに十分検討してまいりたいとは考えております。
 今申し上げましたようなことを踏まえますと、このとりまとめにおきましては、同種の調査を継続的に実施するとともにとなっておるのでございますが、そのあり方等もございますので、「同種の調査を継続的に実施する方向で検討するとともに」とさせていただいた上で、性的暴行被害と特出しになっております「性的暴行被害について」を削除していだたきたいと考えております。

○山上座長代理 ほかに、府省庁からの補足、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、構成員からどうぞ。

○小西構成員 今の法務省のお答えについてお話ししたいと思いますが、私の資料11の表に一応出したんですが、こういうグラフみたいなものが入っていると思いますけれども、それを見ていただけますでしょうか。
 犯罪被害の実態調査といいましても、いろいろなタイプのものがございます。当然いろいろなタイプのものが必要なんですが、今まで日本で大規模に主に行われてきて、ある程度の成果をおさめているものは、特に左側、犯罪学的被害者学的と一応書きましたけれども、主に司法の分野で行われる調査のうち、特に被害者に絞って、実際に司法にのってきた方に絞ったものですね。これが大体この絵でいうと、狭義の犯罪被害者、要するに上半分で犯罪学的被害者学的研究と書いたところに入るものです。これは警察でなさった一連の調査がございますし、法務省でも犯罪白書に平成11年に出たもの、これもある程度の成果が実際に出ていて、被害者の現実の状況というのがわかってきたと思います。
 一方で、もう一つ、今、法務省がおっしゃいました暗数調査というものが当然必要になってくるわけですけれども、暗数調査は、コミュニティ全体にやらなくてはいけないわけですから、今おっしゃった法務省の暗数調査、ここのICVSと書いてあるものですね、大体法務省のですと2千件ぐらいの男女、それぞれ千人ずつぐらいおとりになって、暗数調査をされているわけです。これに対応するものは各国にございまして、アメリカとか英国とか、もっとたくさんの国でやっております。日本は実質的に4年に一度です。それぐらいになっていると思いますが、諸外国では毎年やっているものもあると思います。
 ただ、この調査には限界があることがもう既にかなりわかってきております。例えば千件ぐらいとった場合に、日本で性犯罪の被害率がどれくらい実際に出ているかというと、この法務省の調査では強盗も強姦も0件です。。0になってしまうのはある意味では当然でありまして、実際に千人とったときに、今年1年、あるいは過去5年で被害に遭った人がちゃんと答えてくれたとしても、数として出ないような小さい値になってしまうわけですね。
 アメリカのNCVSというのは、最近のでは10万人以上とっています。今おっしゃった10倍だったら100倍というのはそのとおりなので、恐らく日本でも10万人調査すれば、この形でもある程度の被害は出てきます。ただ、それは現実的ではないし、非常にお金がかかる調査になってしまう可能性があって、多分、それだけお金があったら何かほかのことをするべきだということになるのかもしれません。
 一方、こういう形の、今、多罪種でとった方が二次被害が少ないので、多罪種でとるべきだとおっしゃいましたけれども、実際にはそれが逆だということは、多くの国際的な被害者調査で証明されていると思います。
 むしろ、今、法務省がやっていらっしゃる調査というのは、まず性的被害があるかどうか聞いて、それについて、それは強姦ですか、痴漢ですかみたいな形でもう1問聞いているという非常に簡単な調査なんですけれども、後ろに英語で文献をつけてありますが、ほかのたくさんの国で行われている調査では、もっと具体的に実際に強姦の被害があったかどうか、あるいは強姦ではないんだけれども、性器への何かの挿入があったかどうかというようなことを重ねて聞いています。
 こういう調査の方が、むしろ被害がたくさん出てくるし、被調査者がちゃんと書くということが、これは被害者学研究の中では、今はもうわかっているといってもいいことだと思います。被害者に関する先進の国といいますか、それでもたくさんの国がやっていますけれども、アメリカもイギリスもオランダもオーストラリアもカナダも、それから北欧系の国も全部そういう調査が行っておりま。つまり、性被害については、それに特化した調査行っていいるということです。ここはアメリカの例が出してありますが、NVSとか、NVAWSと書いてあるこの辺の調査がみんな女性に対する被害か性被害に特化した調査ですね。こういうもので詳しく聞いて、例えば資料回収する人とか、調査に行く人も全部女性を使ってやるという形でないと数は出てこないということはもうわかっているんですよね。
 私の最初の要望としては、10万の調査もアメリカと同じようにしてほしいと書きましたけれども、それが現実的でないのであれば、むしろおっしゃっているようなICVS方の調査を例えば、対象者を千増やすとか、そういうことではほとんど何の意味もないと思います。それだったら、むしろ性被害に特化した調査を法務省でなさるべきなのではないかというふうに思っています。
 ちょっと専門的な話になって、なかなかわかりにくいかと思うんですが、一番はっきり知っていただきたいのは、被害の暗数調査について尋ねると、このICVS調査をやったといつも回答されますが、これでは強姦も強盗も0件なんだ、今まで日本でこういうことでちゃんと被害の実態が出たことがないんだということは法務省もご存じのはずなんですね。そういうふうにお答えにならないでほしいなというのがあります。今まずこういう司法関係の被害についてご意見を伺いたいのでお願いします。

○河村構成員(法務省) 今、いろいろと、私の方で申し上げましたのは、法務省で行ってきたのはICVSに対応するものであって、このサンプル数自体は私どもの資料4の9ページ目にございますように、諸外国と比較いたしましても回答者数そのものが相当大きいということは言えます。性的暴行被害について、より一層精緻な数値を得られるようにどうやっていくかということにつきましては、今後検討させていただきたいとは思っております。
 ただ、今回申し上げましたのは、一つはちょっと厳格に読み過ぎたのかもしれませんですが、同種の調査ということになりますと、構成員、今ご指摘になりましたように、この調査を一体継続的に、今のあり方のままで何度もやるのであろうかというふうに見えるところもございまして、その意味では、継続的に実施する方向で検討はさせていただきますけれども、ただ、先ほど強盗の件も、凶悪犯罪の典型例で、身体と財産に対するものとしての強盗を構成員はおっしゃったんだと思いますけれども、性的暴行被害を含めということなんでございまして、これに特化した形での調査方法ということになりますと、ちょっとやはりほかのも多少含めさせていただく必要があるのではないかというふうに考えておるということであります。

○小西構成員 それは、ICVS形式ではない、例えば強姦や強盗の被害率がちゃんと出てくるような調査を、でも強姦罪だけではなくやるというふうに考えてよろしいですか。そういうふうに検討していただけるということですかね。

○河村構成員(法務省) 申しわけございません。非常に厳格に見てしまいまして、私どもがですね。先ほど申し上げましたのは、性的暴行被害に特化して、これだけの検討ということはちょっとご勘弁いただけないだろうかと。それ以外の凶悪犯罪を含めた形での被害調査につきまして、より一層精緻な数値を得られるような調査方法といったものにつきまして検討させていただいて、その結果を反映した調査を行わせていただけないかというのが提案の趣旨であります。

○小西構成員 わかりました。ただ、それでやっていただけたらそれでもいいかもしれないんですけれども、そういう形の調査は今まで海外であまり行われていません。それで本当に性暴力被害について出るかどうかは、ある意味でやってみないとわからなくなりますよね。その辺の検討も一緒にしていただく必要がありますね。新しい手法みたいな形になってしまうと思います。

○河村構成員(法務省) その点につきましては、私ども資料4の9ページで、これは既に行ったものつきまして、なおかつ現実に被害に遭われた方でない方の調査につきましては、男女同数に近い形になってございますけれども、構成員ご指摘のように、性的暴行被害のみを対象としたものでないことから、同数になってございますけれども、女性の回答者数がより多くなるようなサンプル数のあり方といったようなことも当然検討していかなければならないということだと考えております。

○山上座長代理 やはり性犯罪の被害者は暗数になりやすいし、本来暗数となっているけれども、本当は施策の上で本当に重要な意味を持っているものですから、その実態がつかめるような調査というのはやはり大切だと感じるのですが、そういう方向での検討が出されるといいと思うんですけれども。

○河村構成員(法務省) 性犯罪被害者ということで考えてまいりますと、男女問わず、小さいお子さん、あるいはある程度の年齢になってまいりますと、圧倒的に女性が多くなると。また女性につきましても、ある程度の年齢層の方が圧倒的に多いと思われますので、そういったことから、これまでと違った形で、なおかつ客観性をどうやって持たせられるのか。またそういう小さいお子さんを含めるということになりますと、そもそもどうやって調査をさせていただくのか。これは個人的な見解で恐縮なんでございますけれども、児童相談所等を含めて、実際これまで民間等で、民間レベルと申しますか、法務省ではないところでの調査もございますけれども、いろいろな観点から、この精度を上げていくということにつきましては、検討させていただきたいということでございます。

○小西構成員 今おっしゃった民間の調査、それから内閣府で数問の形で、性暴力被害について聞いた調査がございますが、それらは大体成人の被害では、「意に反する、強要された性交」の生涯被害率が数パーセントぐらいですよね。だけれども、やはりこれは司法の目で、司法の視点から見ない限り、通報とか、司法にどうやってのってくるかという問題はできないわけで、恐らくそれぐらいが出ないと意味がないんだろうと思うんですね。だからラフな、もちろんどこまでを強姦の定義にするとか、そういうことは違いますけれども、そういうことを踏まえてやっていただけるというふうに、では期待することにします。
 もう一つ聞いてもいいですか。内閣府のパネル調査というのはどういうものだか教えていただきたいんですが。

○事務局 これは、いわゆる追跡調査といいますか、一定の期間ごとに、これは犯罪被害者団体の皆さんにご協力をいただかないといけないのですが、同じ被害者の方をずっと追跡をして、そのときどきに被害者の方が置かれている状況、それからどういったニーズがあるのか、そういったことについての調査でございます。それも、犯罪、どういう種類の犯罪の被害者なのか、あるいは調査の対象の方が犯罪の被害者ご本人なのか、あるいはそうではなくて、ご遺族なのか、あるいはきょうだいなのか、いろいろ違いがあると思いますが、そういった種別ごとに調査をしていこうと考えております。大体今の時点では、ざっと3年周期ぐらいに調査をしていけばどうかなということで考えております。

○小西構成員 調査の規模はどれぐらいなんですか。

○事務局 規模につきましては、まだこれから詳細を詰めていきたいと思っておりますけれども、これは被害者の団体の方のご協力を得ながら、できるだけ有意な調査となるようにという方向で考えていきたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) さっきの話の続きにもなるんですけれども、21条関係、内閣府のとりまとめの6ページの(2)の下から2つ目、講師の派遣の支援でありますとか、それから7ページ目の一番下の「☆」の民間団体の財政支援の問題とか、それから8ページ目の(2)の2つ目の「☆」で、政府広報の活用とか、これも我々からご意見をお出ししているんですけれども、我々のみならず、関係府省庁にはお願いをいたしたい。
 先ほど11条関係でも、具体的にどの省庁か示してほしいというお話だったんですが、基本的にはここにおいでの役所は、皆さん犯罪被害者支援にかかわっておりますので、基本的には皆さん入っていただくという方向でご検討いただきたいと。また具体的にはご相談しながら詰めていきたいと思っています。

○山上座長代理 皆さん、それでご異存なければそうさせていただきますが、よろしいですか。それでは、そういうことで。

○小西構成員 調査、研究がもう終わってしまいそうなので、先に厚労省のお話を聞いてからと思ったんですけれども、厚労関係の方で伺いたいと思います。
 すみません、またさっきの図のところを見ていただけるとありがたいんですが、実は犯罪被害者の実態に関しては、司法における研究と別に、今度は心身の健康に関する研究というのが当然必要になるわけで、こちらについては、日本では大規模な調査は行われていないという状況です。
 例えば、被害を受けた方がどのくらいの方がどういうふうにぐあいが悪くなって、あるいは縦断的に見たときにどういうふうになっていくのかというのはとても大事な日本における実態の情報の一つなんですけれども、それがほとんどないわけですね。例えば地下鉄のサリン事件の被害者の方の有志の方とか、あるいは特殊な臨床機関に来た方の集まっていただいてやった数十名規模の調査というのはございますけれども、実際に社会の中にそういう人がどれくらいいるのかということについては何の情報もありません。
 これも例えば被害を受けた方の司法にのってきた犯罪被害者の方についてそういうことがどうなのかという調査も多分恐らく本当はちゃんとサンプリングをして、必要なんだと思います。一方で、社会全体でそういう人たちがどのくらい存在するのかという、これはほとんど厚労領域の疫学調査になるわけですけれども、こういうものも必要だと思うんですね。自分がかかわっているので少し何か言わないでいるのもあれだと思って言うんですが、とりあえず私は今年、厚労省の科研費で、医療において犯罪被害者がどういうふうな状況にあるかというのを自分で調べたいと思って厚労省に申請はしているんです。だけれども、それは本当に小さい医療の中の実態を調べるということだけで、国全体でどれくらい被害があるかということはわからないわけですね。なぜ自分で調査をしないかというと、全然調査規模が違うからで、もし私の申請を受けていただけても、恐らくこういうナショナルなサーベイは、個人の研究者の力ではとてもできるものではありませんので、そういうことをやっていただきたいなというふうに思っています。

○太田構成員(厚生労働省) 構成員ご案内のとおり、PTSD等の精神的な影響に関する研究は、いろいろな形での厚生労働科学研究所の中でもやっておりますし、また構成員ご提案の医療における犯罪被害者研究、こういうのも大切なものだと思っておりますので、我々もできる限り研究費の中で対応させていただきたいと思っております。
 ただ、全体の大規模な犯罪被害者全体の疫学調査になりますと、なかなか厚生労働科学研究の中でできるかどうかという問題がありますので、そこはまた別途、検討なり調査が必要ではないかというふうに考えております。

○小西構成員 ものすごくお金がかかるのはわかります。ものすごくといっても科学研究全体の平均水準から見れば大したお金ではないかもしれないけれども。でもアメリカは、こういう調査を90年から92年に1回やって、さらにそのまま継続して、10年後にもまたやっているんですね。アメリカのNIMHや、ハーバード大学などが共同して、やはり立派な調査が出ています。日本だけがすべてにおいて後進であるというのはどういうことなのかわからないんですけれども、一つぐらい調査でもやはりちゃんと日本も出してもいいのではないかなというのが私の意見です。

○太田構成員(厚生労働省) 全体として、すべてに共通するんですが、いろいろな形で我々も調査なり体制整備なり、いろいろな形のご要望をいただいておりまして、できる限り前向きに対応させていただきたいと思っております。ただ、いろいろな形で予算が制限される、あるいは定員が削減されるとなると、全体のやはり一定の予算枠みたいなものがないとなかなか対応できない面も正直言ってあるわけでございまして、かなり大規模な調査となると、全体の中で予算枠をどうやって確保して、どういう形でやっていくかと、そういう形での整理が必要ではないかというふうに思っております。

○中島構成員 今の調査の件、厚労省の方でお答えいただきましたが、将来的には厚生労働科研において、例えば重点課題としてあつかっていただけないかということです。個々の研究者に任せるというのが現状です。そうすると、結局調査というのは途切れますので、継続するためには何かやはり重点的なものが要るのではないかと思うので、これはぜひ将来的にご検討いただければと思います。
 もう一点、多分どこかでも資料が出ていたと思うのですが、内閣府の施策案とりまとめの7ページの4、「犯罪被害者のきょうだいの問題に関するものも含め、推進していく」とあります。厚労省からのご意見でもあったと思いますが、多分、もともとの趣旨は、児童虐待の話ではないんですね。「犯罪被害きょうだいの会」というのもありまして、これは交通事故、殺人も含めて、多くの場合、ご遺族である被害者のきょうだいというのが非常に取り残されてしまうという現状がありまして、そこに対しては、ほとんど今のところ調査とか全くないんです。多分それで、「きょうだいの会」からのご要望があったと思います。児童虐待において入れておいていただくのもいいのですが、多分趣旨としては、児童虐待関連ではないと思われますので、どういうふうに扱っていいか私もわかりませんけれども、調査研究全体の中できょうだいの問題も見過ごさないというような形で入れていただく以外ないのかと思います。

○事務局 今のご指摘ですと、例えば全体の中でいいますと、(3)の内閣府における追跡調査の中でそういった要素も勘案しながらというような考え方ではいかがでしょうか。

○中島構成員 児童虐待だけというふうにとられなければいいのかと思います。

○大久保構成員 それにつきましては、厚生労働省から出された資料に関しまして、やはり児童虐待とか、いじめというような趣旨がとても強く感じましたので、質問といたしまして、私の資料8の2枚目の後ろに書いてありますように、きょうだいが犯罪被害に遭った場合に、「遺されたきょうだい」が受ける衝撃は大きく、遺族は一人の子どもを失った上、「遺されたきょうだい」の養育にも困難を極めることが多いということが犯罪被害者支援の現場では常日頃体験しておりますので、今まで行われていないその調査研究もお願いしたいという意味で、こちらの方に載せてありますが、これについてのお返事は特にないかと思っております。

○太田構成員(厚生労働省) 今、お二人からお話のあったとおりでございまして、我々児童虐待という観点から「遺されたきょうだい」に関する問題についても積極的にやっていきたいと思っていますけれども、児童虐待だけの問題ではないです。もっと幅広いということでありますので、先ほど事務局からありました(3)の一番目の「☆」の中で、内閣府においても、こういう形での調査なりご検討を行うということがございますので、その中で、お願いする中で、我々協力できることはできる限り協力させていただきたいというふうに考えております。

○山上座長代理 それでは、21条関係はよろしいですか。では、22条関係でどなたかございましたら。

○大久保構成員 それでは、22条関係で少しお話しさせていただきたいと思います。私の資料8を開いていただければと思います。
 杉並区の方で出されました杉並区犯罪被害者等支援条例の制定に向けてということで、提言書は以前にも一度出させていただきましたが、こちらの方では総合相談窓口、あるいは犯罪被害者支援専門員の養成なども入っておりましたので、参考にと思いましてつけさせていただきました。
 その次の資料2ですが、初めの文はちょっと英文で書いてあるものです。これは被害者支援都民センターで犯罪被害者ご遺族73名の方が民間支援センターにどのような支援を望んでいるのかということを平成13年に調査をしたものです。
 こちらを見ていただきますと、5ページにありますように、事件直後にどのような支援があればよかったのかという問いに対しましては、捜査状況ですとか、あと刑事手続などの情報や支援者を紹介してほしいということ希望している方がたくさんいらっしゃいました。そして、今後受けたい支援としましては、8ページをご覧いただけますでしょうか。8ページのように、時間がたちますと、同じような被害者との支え合いの場として、自助グループを求めているということがわかりました。当然精神的な支援は多くの遺族が望む基本的な要望にもなっています。
 その次の資料3を開いていただけますでしょうか。こちらは、ご本人さんの了解を得まして、被害者支援都民センターが被害直後から支援を行いました殺人及び殺人未遂事件のご遺族、あるいはご本人さんの支援を行いました事例を載せさせていただきました。こちらの方では、都民センターは公安委員会の指定を受けました早期援助団体になっていますので、警察の方からこういう被害者の方が出たということを連絡を受けまして、まずは警察の方に出向いて、ご遺族の方が警察にいるとき、まずきちんと警察から紹介していただいて、その後かかわるということになりましたので、多分ご遺族の方にとってみれば、この人は信用できるのか、どうなのかという不安を持たずに済んだのではないかと思います。
 その後は、被害直後から、こちら都民センターが関わりを持ちました関係機関は、警察、保健所、弁護士会、法律扶助協会、検察庁、担当検事、区役所、病院、精神科医など、本当にたくさんのところと連携をとりながら現在も支援を続けております。
 また、実際の支援の流れにつきましては、こちらの方をご覧になっていただければよろしいかと思います。ただ、遺族へのケアとなりますと、例え保健所といえども、どのように接していいのかがわからないということですので、都民センターからは、保健所の方にも出向きまして、職員の皆さんに犯罪被害者心情ですとか、ケアの実際的なかかわり方についてですとか、そういうあたりのところの研修会も開かせていただきました。
 5ページを開いていただけますでしょうか。この被害者の方は、3年今たちましたけれども、3年たってようやく遺族になったという実感が出てきまして、かえって日常生活を送ることが大変苦痛になったということでして、精神科医にかかる頻度もかえって多くなった。それぐらい困難を極めているわけです。
 5ページに書きましたように、遺族へのケアは大変重たいものですので、適切に支援を行うには、かなりの力量が必要とされると思いますので、訓練された犯罪被害相談員がそのためにも早期援助団体には必要だということを感じております。そのために、支援センターには、やはり支援の中心となる人材が必要です。岡村構成員も資料9の17ページの方で被害者支援にかかわる人は善意の人というだけでは不十分で、支援はプロの専門家であることが必要と提言をしていらっしゃいます。改正犯給法では、犯罪被害者等早期援助団体ということが位置づけられておりますので、資料9の18ページでも岡村構成員が提言してくださいますように、民間団体の活動は、私はやはり国や自治体の代行であるというような重要な意味もあるかと思っておりますので、例えば更生保護法人のように、更生保護法人は何十億というかなり莫大な財源が国から出されているということも聞いておりますので、民間支援団体にも更生保護法人のようなきちんとした安定した財源が提供されるようなシステムをぜひつくっていただきたい、そのように思います。
 それと、資料4ページの2ページから9ページまで、こちらには被害者支援都民センターで支援をしました遺族の方、あるいは被害者本人さんが、支援センターがあるということで、大変助けられたということをほんの短い2日間でお願いしましたが、何人かの方が書いてくださいましたので、またお読みいただければと思います。
 特に10ページには、つい先日ありましたスマトラ沖地震の津波被害に遭ったご遺族の方が書いてくださいました。実はこの方は、あちこちに相談電話をかけたそうですが、どこでも受けつけてもらうことができなかったそうです。最後に精神保健センターに電話をして、そこで被害者支援都民センターを紹介されたのでということで電話がありました。当然それ以上回すということはできない状況でしたので、都民センターでは、今現在もしっかりと支援を行っています。なかなか公的機関でも適切に受けてもらえないのが犯罪被害者の中でも特に重たい遺族ケアだと考えているわけです。
 民間の支援センターは、遺族への支援も行える人材を育てなければなりません。被害者支援はよい指導者について、どちらかといえば徒弟制度のような訓練が必要なために、やはり人材を育てるには時間がかかります。今現在被害者支援にかかわっている人材が疲れ果てて、バーンアウトして倒れる前にぜひ早急にこの施策を考えていただきたいと、そのように思っています。
 少し長くなりましたが、実際の支援についても説明させていただきました。

○山上座長代理 民間団体への援助ということですが、私からも簡単に意見を述べさせてもらいたいと思いますが。資料13の最後のページをご覧いただければと思います。この施策については、内閣府のまとめとして、推進会議のもとに検討のための会議を設置して必要な調査を行い、結論を出していくということですので、それで結構だと私は思いますけれども、その中でぜひこれを実現させていただきたいというのが、私が下に書いてあります2点でございます。
 一つは、総合的な被害者支援を担う、行う、犯罪被害者保護法人というべき団体を設立していただきたい。先ほど大久保さんからもお話が出た更生保護法人の件や犯罪者の更生の過程を支援するためにはしっかりとした体制をつくって、国も予算を組んでしているわけです。それで、無期囚であれば何十年という間、そこでお世話をいろいろ受けているわけであります。比べてみると、犯罪の被害者のためには、民間援助団体が数は40近くなったとはいっても、財政的にどこも苦しくて、常勤のスタッフも1人置けるか置けないかという状況であります。支援の質を高める上では、とてもまだ多くの困難を抱えていて、都民センターなどの幾つかの組織がようやくそういう内容のある事業を今試みているというところでございます。加害者に対して、そういうこれだけの体制を持って対応しているのであれば、それはとてもいいことだとは思うんですけれども、やはり被害者に対しても同規模の形でぜひ被害者支援団体を法人化し、そして優遇措置をとって同程度の金額を国で助成し、長期の支援まで含めてできるようにすることを検討会の中でぜひ検討していただきたいというふうに思います。更生保護法人がその機能を果たすには、当然そこに有給のスタッフがいて、その者が専門家をして、トレーニングもしっかりしてという、そういう体制があるわけで、やはり犯罪被害者支援も同じような体制をつくっていく必要があるというふうに思っております。
 もう一つは、犯罪被害者基金の設立であります。民間の被害者団体、あるいは自助グループはそれぞれにいろいろな活動をしていて、それは非常に私たち支援団体ではできないような非常に貴重な活動をされているわけですけれども、どこも財政面で非常に苦しんでいるわけで、そういうところをやはり国によってきちんと活動の内容を評価して、資金を、国のお金を投じるシステムが必要であります。ぜひ罰金などを財源にして、こういう活動を助成し、そういう活動がさらに展開できるよう、促進できるような支援を行っていただきたいというふうに願っています。

○中島構成員 私の方も民間被害者支援団体に設立からかかわった関係もあります。内閣府の方でそういった予算とか助成等についてご検討いただけるという案をいただいているので、その方向で進めていただきたいと思います。私の資料12の5ページ以降に、茨城被害者支援センターのご協力も得まして、率直に、財政の問題について、収支決算簿までつけさせていただきました。
 なぜこのようなことをしたかというと、実際にかなりお金がかかるということがあるからです。お金がかかる理由の一つは、実際の支援をきちんと行おうとすることによってかかる費用、例えば直接支援と呼ばれていますが、被害者のところへ行ったり、あるいは法廷付添いに行きますと、交通費がかかります。また、その専門的助言のために、非常勤でカウンセラーであるとか、弁護士等に来ていただくと、専門家に払う謝金というのも必要になります。実は私たちはただでやっていましたけれども、それを各地でやれというのはあまりにも酷な話です。
 早期支援指定を受けるために、常勤のスタッフを置こうとすると、常勤のスタッフに対してお金を払わなければいけないのですが、これをボランティアにお願いするということになりますと、十分な給料が払えないので現在職業に従事しなくてもよい方とか、退職した方や主婦の方に限定され、だれに頼めるかという問題がございます。茨城被害者支援センターにおきましては、本当に申しわけないんですが、時給8百円でやってもらっています。かなりが手弁当です。各地できちんとした支援活動を展開するためには、常勤のスタッフと場所が必要です。一番かかっているのが場所のお金です。茨城被害者支援センターは、たまたま常磐大学のご好意でかかっていないのですが、これは異例だと思います。もしなかったら、まったく大赤字になってできないと思います。アメリカのVOCAのシステムにおいては、常勤スタッフ1名と場所についての支援がなされると聞いています。今、日本財団等から支援がきていますけれども、そういう設備、場所と人件費が出ないというものが非常に多くで、これでは有機的な支援を行うことがとても難しいと思いますので、場所と人件費が出るような方向で考えていただきたいということです。それを配分するに当たってきちんとした評定を行った方がいいというのは確かだと思います。OVCにおいては、アニュアルレポートを提出させておりますので、それをつくることが被害者支援団体にとってもよい効果を生むというふうには思っております。
 もう一点、これは誰にどういうふうに言ったらいいかよくわからないのですが、諸外国においてあるのに、日本においてないものがレイプクライシスセンターであります。これについては、民間に任せるという手もありますけれども、なかなか民間では動かない部分というのは大きいと思いますので、どこかでモデルをつくっていただいた方がいいのであろうと。これはまったく一つの案でして、そこに負担をかけるという意味ではないのですが、例えば女性センターで、一時保護所を備えているところの一つの規模を拡張しまして、そこにおけるレイプクライシスセンターの機能を持たせるなどということも一つの例として考えられると思うので、どこかでこれを検討していただけないかということをお願いとして申し上げます。

○山上座長代理 茨城被害者支援センターに関しては、私もかかわっている関係から補足させていただきますけれども、ネットワークの組織の中で、非常に財政的には厳しいんですが、非常に高いレベルでの活動をしております。そして、それがさらにその展開が可能になったのは、日本財団が3年間、数百万のお金を投じてくれて、それを人件費に使えるようになったからですけれども、それは3年で切られることになる。でもそれで少し余裕ができて、それはとてもいい体制にはなっているんですけれども、そういういろいろ資金を求めながら、ようやく今、つないでいる状況ですので、国による支援をぜひお願いしたいと思います。

○岡村構成員 先ほど、大久保構成員からご紹介いただきましたけれども、私はこの犯罪被害者を支援するというのは、基本法の精神からいっても、国の義務だと思うんです。被害者団体というのは、国の役割を代行している、そういう立場にあると思いますので、国は団体の活動する費用を負担するのは当然ではないかと。財政的な支出をすべきであると思います。
 支援というのは、手のすいたときにやってみようかしらとか、被害者ってかわいそうだねというふうな意味でのボランティアでは、本格的な支援ができません。やはりこれはプロでなくてはいけないと思うんです。そのためにはプロに対する経済的な報償も要りますし、それからまた事務所の運営費とか活動費、そういったものも要りますので、どうしても国の支出が必要です。と同時に、やはり財政的措置ですね、寄附金に対して免税措置があれば、寄附集めが大変しやすいんです。ところが今のところ、私たちもそれができないものですから、なかなかお金集めにも苦労するということがあります。白い環は、遺産を相続したときには、それは税金から控除するというふうなところもありますし、アメリカなんかでもあるようですので、ぜひ日本でも民間団体への寄附を税金から控除するような制度をほしいなと思います。

○大久保構成員 日本では、なかなか寄附をするということが身についていないものですから、特定公益増進法人に指定されても、では寄付金がどんどん集まるのかといいますと、決してそうではありません。民間の被害者支援団体を運営していくには、やはり安定した財源がありませんと、人材も育てることができませんので、これはやはりぜひ国のお金を入れるという形で検討を進めていっていただきたいと思います。

○事務局 民間の団体に対する援助についていろいろご意見を今伺いましたけれども、まさにそういったいろいろなご要望を踏まえた検討をするための会ということで、まとめ案の7ページ、基本法第22条関係(1)の最初の「☆」にありますような形で、推進会議の下に、検討のための会を設置いたしまして、財源も踏めた検討をしてまいりたいと考えております。

○中島構成員 これは、警察庁に質問なんですけれども、犯罪被害者等給付金支給法に関連しまして、犯罪被害者等早期援助団体の規定があると思うんですけれども、実はこの早期支援に関しては、23条で当該犯罪被害等とありますように、犯罪被害が今、現在では限られている方向にあります。一つには、その犯罪被害の対象、早期支援を行う犯罪被害の対象を拡大する方向に検討されているかということと、あと犯罪被害者支援指定を受ける場合に、当該犯罪被害に対する援助の何パーセントを行っているかということが要求されているのでありますが、被害者支援団体がいろいろな活動すると、相対的にパーセンテージが低くなってしまうという問題がありまして、何も行っていないところで指定するのは難しいと思うんですけれども、割合、ちょっと私、今手元に持っていなくて、割合何%というは示せないんですけれども、「等」につきまして何件以上とか、割合ではなく、広く民間被害者支援団体が活動を行うのに支障がないような形でご検討いただけないかということです。質問とちょっと要望になりました。

○片桐構成員(警察庁) すみません。あまり細かい話をしていなかったんですが、今の事務当局からの話も聞きましたけれども、犯給法に規定をする犯罪被害の支援が全体の6、7割程度あればいいということで、大体しているようですけれども、またこれは具体的に個別にご相談をいただければというふうに思っております。

○山上座長代理 そのほかに、ご意見ございますか。それでは、意見も出尽くしたようですので、内閣府の方からどうぞ。

○事務局 それでは、いろいろご議論をいただいたわけでございますけれども、第21条及び第22条の関係につきましての取組で、今後議論の場で意見の一致を見たものといたしましては、本日提出しております各省庁提出に係る施策等とりまとめの施策について取り組んでいくということになろうかと思います。
 その中で、若干訂正等がありますので、確認をさせていただきたいと思いますが、一つは、このとりまとめの資料の6ページでございます。これは先ほども申しましたが、(2)の3番目の「☆」、これは「研修」の前に、「犯罪等の被害に関する」が加わります。
 それから、(3)の内閣府の関係で、パネル調査を行っていくということでございますが、先ほどのご議論のように、各関係の省庁のご協力もいただかないといけないというようなことで、「関係省庁のご協力を得て」という趣旨の骨子案に修正した上でお示しをしたいと思います。
 それから、7ページの3つ目の「☆」でございますが、法務省の関係で修正案が出ております。これは法務省の修正案どおりとさせていただければと思います。

○小西構成員 先ほどの議論を踏まえて、「継続的に実施する方向で検討し」でしたよね。その後なのですが、「性的暴行被害」を消すと言われましたけれども、「性的暴行被害等」ではだめですか。少なくともそれについてやっていただくということはさっきお答えがあったわけですから、何らかの形でここに入れていただきたいと思います。

○河村構成員(法務省) 表現ぶりでございますけれども、その意味で、「性的暴行被害を含め」ということではまずうございますか。

○小西構成員 なぜこだわるかというと、今までの多くの研究で、調査対象の罪種が増えれば増えるほど、性的暴行については出てこないという結果が出ているからです。そうだとしたら、ある程度罪種を絞るということがどこかにない限り、またICVSなどと同じことになって、日本に強姦被害はないのかということになってしまいますから、できたら「中心に」とか、「等」とか書いていただきたいなと私は思います。

○河村構成員(法務省) これにつきまして、実際行っておりますのが、ちょっと私の所属しておるといいますか、直接関与しているところではないものですので、持ち帰らせていただきます。

○小西構成員 それでは、お願いします。

○事務局 それでは、この部分につきましては、後日法務省の方からご意見をいただいて、修正案という形でお示しをしたいと思います。
 それから、あと警察庁の方から先ほどご意見がございました。警察庁から指摘の幾つかのまとめ案のところで、警察庁単独ではなくて、ここに参加しているすべての省庁というものの取組としてまとめるべきであると。それについてのご異論は特にないようでございました。したがいまして、これも後日、警察庁のご意見を具体にいただきまして、骨子案の修正案という形で皆様にお示しをしたいというふうに思います。これで、特に漏れはないかと思います。

○片桐構成員(警察庁) 役人的で恐縮なんですけれども、本当に細かい表現ぶりで若干の修正意見をお出しする可能性がありますので、その点、留保させていただきます。

○事務局 それはこれから今日の結果を踏まえて骨子案を改めてお示しし、それに対してまたご意見を伺うということになりますので、それは了解をいたしております。

○山上座長代理 あとよろしいでしょうか。それでは、内閣府の構成員からの提案のようにとりまとめたいと思います。事務局から連絡事項なり、お願いします。

○事務局 それでは、長時間ありがとうございました。本日ご議論いただきました結果につきましては、事務局におきまして、骨子案(5)としてとりまとめ、次回の検討会までに構成員の皆様にお示ししたいと思います。なお、次回の検討会でございますが、7月26日火曜日、午前10時から午後0時30分までを予定をいたしております。会場は本日と同じ会場でございます。よろしくお願いします。

○山上座長代理 では、これをもって、第5回検討会を終わります。座長の不手際で大分長くなってしまいましたけれども、長時間にわたり、ありがとうございました。


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