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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第4回)議事録


(開催要領)

日時:平成17年6月27日(月)14時05分~17時35分
場所:合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
  座長代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
  構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
  同大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
  同岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
  同久保 潔読売新聞東京本社論説委員兼編集委員
  同小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
  同中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
  同山田 勝利弁護士
  同加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  同片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
  同河村 博法務省大臣官房審議官
  同太田 俊明厚生労働省政策統括官(労働担当)
  代理出席下河内 司総務省自治行政局自治政策課長
  代理出席佐土 幸雄海上保安庁総務部秘書課長
  協力者板東 久美子文部科学省大臣官房審議官

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。

(議事次第)

 1. 開会

 2. 村田大臣あいさつ

 3.骨子案(3:精神的・身体的被害の回復・防止への取組について)について

 4.骨子案の検討について(4)
   ・刑事手続への関与拡充への取組について

 5.その他

 6.閉会

<附属資料> ※資料のリストが別ウィンドウで開きます。





○事務局(加地内閣府犯罪被害者等施策推進室長) それでは、ただいまから第4回犯罪被害者等基本計画検討会を開催いたします。
 村田大臣からご挨拶をお願いいたします。

○村田大臣 今日、4回の検討会になりましたけれども、大変暑い中ご出席をいただきまして、本当にご苦労さまでございます。ありがとうございます。
 ただ、宮澤座長が、本当にお疲れがかさんだためかご病気になられまして、今日は山上代理にお務めをいただくわけでございますが、私もちょっとお見舞いにと思っておりますが、まだ行けない状況でございますが、みんなで宮澤座長の一刻も早い全快をお祈りをいたしたいというふうに思っております。
 今日は、前回6日の会議で、皆さんで長い間、時間をかけて議論していただきました「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」の骨子案をまず最初に議論していただきまして、それから次に、今日の新しいテーマであります「刑事手続への関与拡充への取組」という、これももう一つ大きなテーマでございますが、これを議論していただきたいと、こういうふうに思います。
 それから、先日、「骨太2005」が閣議決定されましたが、この中で、「犯罪被害者等基本計画」を平成17年中に策定するとともに、犯罪被害者等のための施策を推進するという一項を別表の方に入れていただきました。 最近は、この骨太に入れてもらわないと、いろいろな予算編成のときにしっかりと対応していただけないということらしいのでございまして、そういう意味でこの一項を入れていただきましたものですから、スタートラインにはほかの重要テーマと同じように立つことができたかなと思っているわけでございます。
 本日も皆さん方のせっかくの貴重な時間を頂戴しているわけでございまして、役所側を含めまして熱心なご討議をお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。
 それでは、議事に先立ちまして、今、大臣からもお話がございましたけれども、「骨太2005」につきまして若干補足をさせていただきたいと思います。 「骨太2005」が先週の21日に閣議決定をされたわけでございます。内閣府といたしましても、村田大臣以下、骨太の方針におきまして、犯罪被害者等施策が位置づけられるよう調整をいたしまして、報告のとおり盛り込まれたわけでございます。 犯罪被害者等施策は、財政事情が厳しい中でも政府が一丸となって取り組むべき課題とされたところでありまして、骨子案に盛り込まれた施策につきましては、各省庁において、自らの所管に係るものが速やかに実現されますよう、積極的に関係予算や人員の要求を行っていただきたいと思います。
 それでは、司会を交代したいと思います。山上座長代理にお願いをいたします。

○山上座長代理 宮澤座長に代わりまして司会を務めさせていただきます。
 それでは、これより議事に入ります。本日の検討課題等について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 第4回の検討会でございますが、前回議論が行われました「精神的・身体的被害の回復への取組」の骨子案(3)の確認、それと、課題であります「刑事手続への関与拡充への取組」につきましてご議論をいただきたいと思います。基本法の条文では、第18条の関係でございます。
 前回同様、円滑な議事進行のために、事前に書面としてご提出をいただいているものにつきましては、口頭での説明を省略するようにご協力をお願いいたしたいと思います。

○山上座長代理 それでは、前回の議論をまとめた骨子案について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 それでは、お手元の犯罪被害者等基本計画骨子案(3)資料の資料1をごらんいただきたいと思います。
 骨子案に対する構成員の皆様からのご意見を赤字、それから事務局の考え方を青字で、さらに構成員意見を踏まえた事務局修正案を赤の太字で書き加えてございます。
 また、構成員の皆様からいただいたご意見も添付しておりますので、ご参照をいただきたいと思います。
 それから、厚生労働省の方から再意見が提出されておりまして、これは既に皆様に送付いたしましてごらんをいただいていると思いますが、それに対する内閣府の案を本日配付をさせていただきました。それをごらんいただきたいと思うんですが、推進室のペーパーで、骨子案(3)に係る厚生労働省再意見に対する内閣府再意見というペーパーでございます。別置きをさせていただいております。
 この骨子案(3)の資料とは別に置かせていただいております。これは、今日配付させていただいた資料ですので、若干簡単にご説明を申し上げたいと思いますが、1つは、1(1)のイにつきましての厚労省の意見に対する内閣府の再意見でございます。
 厚労省の方からは、このPTSD対策に係る専門家の養成研修会の充実につきましては、(2)の高度な専門家養成の施策の検討結果を踏まえて行われるべきものということでございました。
 このご意見を踏まえまして、(1)イの趣旨を(2)に包含をいたしまして、以下のような修正をさせていただきたいというのが1点でございます。
 それから、3年以内を目途にということで、今まで原則1年、それから大きな法改正等あるいは財源等の検討が必要なものを2年ということでございましたけれども、今度は3年ということでご意見がありました。これは議論の前提となる調査研究そのものに時間も要する、また、今までの蓄積がないということで、構成員の皆様のご異論がなければ3年を目途に結論を出すという形でまとめさせていただければどうかというふうに考えております。
 それから、2ページをごらんいただきたいんですが、これは1(8)の思春期精神保健の専門家の養成ということでございまして、厚労省の方からは、再意見として、DV対策に関する研修は、DVセンターを含めて検討されるべきであるので内閣府も加えるべきと、こういうご意見でございました。 それに対する内閣府の再意見でございますが、青字で書いていますけれども、そもそもこの1(8)の内閣府意見として児童虐待とDVの関係を加えさせていただきましたのは、中島構成員からのご意見を踏まえてのものでございます。 中島構成員のご意見の趣旨は、そこの再意見の4行目に記載しておりますように、思春期精神保健の専門家養成において、児童虐待やDVの観点を踏まえるべきだというご趣旨であるというふうに考えまして加えたものでございます。 だといたしますならば、思春期精神保健に関する養成研修を所管されている厚生労働省の方で対応していただくというのがやはり必要ではないだろうかと。逆に、所管外である内閣府は外していただくのが妥当ではないかと、こういう意見でございます。
 それから、3ページでございますが、3(1)職員に対する研修の充実のところで、厚労省の方から再意見が出ております。これは「3年以内に結論を得て」ということで、その理由といたしましては、1(1)イ、すなわち先ほど1ページでごらんいただきましたように、高度な専門家養成の施策の検討結果を踏まえて行われるべきものということで、これとの並びで3年というご意見でございましたけれども、それに対しましては、この職員等に対する研修の充実という内容は、高度な専門家の養成ということではなくて、この職員の対応改善を図るというものでございますので、特段の検討期間を置かずともよいのではないか、検討を要するとしても1年以内でいいのではないかということで、原案どおり、あるいは内閣府意見のとおり、いずれかとさせていただければということでございます。

○山上座長代理 それでは、骨子案(3)についてご意見をいただきたいと思います。なお、骨子案(3)については、おおむね30分程度で結論を得たいと思っておりますので、ご協力お願いいたします。

○中島構成員 ただいま私の意見に対して、内閣府及び厚労省からご意見をいただいていますので、本来のこういう案を出した根拠について、まずご説明させていただいた方がいいかと思います。私は9番の提出意見ということで2つ出しておりますが、まず、今、上がっておりました思春期精神保健の専門家の養成について、どうしてこういうことを出したかということについて説明させていただきます。
 私の理解では、現在行われている思春期精神保健の専門家というのは、思春期、青年期に特有な精神的な問題、例えば不登校でありますとか神経症、あるいは引きこもりといったものが中心で、必ずしも被害を受けた、トラウマを受けた児童等に対して特別に強調されているものではないというふうに認識しています。この基本計画の中で取り上げるとしたら、犯罪被害についての項目を中に盛り込むということを入れた方がいいだろうということです。
 「児童虐待とDV」と書きましたのは、児童に関しては児童虐待の被害者となることが非常に多いということと、DVに関しては、配偶者としてではなく、DV家庭における子どものトラウマが今非常に問題になっていますので、児童思春期の専門家はそのことをよく知っておく必要があるということで、このコースの中にそういった内容を取り込んでいただきたいという趣旨を強調したものです。私としては、内閣府のお話があったように、厚生労働省の中でそのような項目を入れていただければよいことかと思っております。
 あともう1点のことですが、これについては幾つか項目が変わっているので、私は厚労省の方にお伺いしたいと思いました。骨子案の資料の1、最後の、内閣府提出意見になりますでしょうか、そのところで、このPTSD等につきまして、重度のPTSDという言葉にいつの間にかなっているのですが、私自身の意見としては、精神障害としてPTSDは既に重度なので、そのほかの重度のストレス反応も含むという意味でPTSDと重度のストレス反応ということで出したわけですが、PTSDの前に重度という言葉がついたというのはどういう経緯なのか、ご説明いただければと思います。

○厚生労働省(傍聴者) 今のご指摘ですと、専門家の方はPTSDが重度だというふうにお考えになるのかもしれませんけれども、一般的にはPTSDというものについての幅広いとらえ方があるものですから、ここは対象を明確化にするという意味で、ちゃんと重度ということを明確にした方が施策が打ちやすいというふうに思っております。それが今のご質問に対する意見です。
 それから、私どもの方は、検討会で、最初の内閣府さんの6月27日の厚生労働省再意見に対する内閣府再意見ということで、1ページのところ、これは一応3年ということでご意見をいただいたということでご理解をいただいてよろしいんだというふうに理解していいわけですね、これは。
 一応それを踏まえて、3ページのところなんですけれども、私どもの方は、職員の研修ということもあるわけですけれども、このところは、我々一体に考えさせていただければと思いまして、要するにどういう中身を研修するのかということにも関連をするわけですので、そういう意味で、このところはエの方も含めて、3ページのところも含めて内閣府は1年というふうに言っていますけれども、同じく3年ということでお願いをしたいというふうに思っております。

○小西構成員 すみません、2点あります。
 1つは、今の厚生労働省からのお答えなんですが、ここで言われている犯罪被害者等の治療保護を行う施設、例えば自立支援施設とか厚労関係の施設ということをお考えだとすると、必ずしも最初から専門的なものを要求するわけではないわけですから……。

○厚生労働省(傍聴者) 何番のところですか。

○小西構成員 ごめんなさい。骨子案(3)に対する内閣府再意見の3ページ、一番最後のページのものです。3年と1年の、今お話しになった問題です。
 専門性ということで3年と言われていることはよくわかります。実際に、今、治療に関しての研修を始めろと言われてできない状況であることも、それは理解できますので3年で結構だと思いますけれども、例えば入門的な研修ですね、今、ほかの厚労関係の臨床心理医師とかPSWの方にやられているレベルの研修がないわけですから、そうだとしたら、これは1年でもいいのではないか、内閣府の意見と一緒でもよろしい、ご主張なさっていることは正当のように思われるんですけれども、いかがでしょうか、それが1点。

○厚生労働省(傍聴者) その3ページのところにつきましても、中身については、多分専門家の方々にご相談することになると思うんですが、専門家の方々から1年でそれがちゃんと出てくると、要するにこういうようなことについてですね、ということがあるのであるならば可能なんですけれども、なかなかいろいろな検討をしたりすると時間が難しいんじゃないかというふうに思っております。そういうところは少し時間をちゃんと持ってやった方が、このところについては責任を持って対応できるんじゃないのかなというふうに我々は思っております。

○小西構成員 じゃあ、その「検討する方向で」という書き方が非常に消極的な気がするんですが、それについては積極的にやる方向だというふうに理解してよろしいということですか。

○厚生労働省(傍聴者) この3ページのところに、「3年以内に結論を得て犯罪被害者等の治療、保護等に関する施設職員の対応の改善を進める」と書いてあるわけですから、ここのところはちょっとニュアンスが違うというふうに思っております。

○小西構成員 わかりました。
 それから、もう1点あります。今日出てきたものではなくて、基本計画骨子案(3)の資料の分厚い方ですね。こちらの内閣府の方にも厚労省の方にも入っているんですが、厚労の方で見ますと、資料5の7ページの(14)、「犯罪被害者に係る司法精神医学に精通した」ということが書いてあるところですが、よろしいでしょうか。
 下の理由のところを見ますと、被害者に係る司法における精神医学というのは、従来の司法精神医学と必ずしも一緒ではないということは理解されていることはわかります。この理由が一緒についていればいいんですけれども、実際には、基本計画はこういう理由をつけて出すわけではありませんから、恐らく司法精神医学と書いてあったとたんに、これは従来の司法精神医学の中にかかわってくるというふうに印象が非常に強いと思います。
 ただ、実際に被害者の司法にかかわる鑑定なんかをするときに、私は、それを始めたとたんに実際に被疑者被告人の普通の精神鑑定はできなくなりました。なぜかというと、被害者の方が、そういうものを一緒にやっている人に対して非常に不信感が強いからです。かつ司法精神医学の専門家と今言われる人は被疑者被告人の鑑定をやっているわけで、この人たちの技術というのがむしろそのまま使われてしまうことに非常に危惧があるわけですね。被害者に対応する態度というのはまた全然違う関係、それからテクニックが必要だと思いますので、文言の方でわかっていらっしゃるのは理解しましたが、やはり「司法精神医学」とあまりはっきり書かない方がここの趣旨が伝わるのではないかと思うんです。
 ですから、犯罪被害者に係る「司法についての精神医学」とか、そういうふうに書いていただいた方がよろしいのではないかと私は思います。それが2番目の意見です。

○厚生労働省(傍聴者) 今のご提案は、現在、司法精神医学という一つのキーワードがもう既にあるので、そこに特化しちゃうんじゃないかというおそれがあるので、あくまでも文言の中の司法精神医学の間に、「司法についての精神医学」ということでどうかということであるならば、それは結構です。

○小西構成員 そうしていただいた方がよろしいのではないかと思います。

○山上座長代理 多分これは司法精神医学の領域で両方の鑑定をされている方もおられるし、またイギリスなどではそういうことをされていることもあり、決していけないということではないです。ただ、従来の日本の司法精神医学のあり方から、誤解を招きやすいというのであれば、それでよろしいと思います。

○厚生労働省(傍聴者) 「司法についての精神医学」ということであるならば、私どもで結構です。

○山上座長代理 内容が同じであればそれでいいんだろうと思います。

○小西構成員 もちろんだから妥当かどうかということではなくて、この文言だけがひとり歩きすると、司法精神医学をやっている方だけの中の問題になってしまうので、それはこれの本意ではないということです。

○山上座長代理 それで結構だと思います。そのほかにどなたかご意見ございませんか。

○片桐構成員(警察庁) 役所からで恐縮なんですが、骨子案(3)の内閣府提出意見、21ページの最後からあるところで、被害直後の保護及び再被害の危険回避のための施設に関する検討の部分なのでございますけれども、内閣府のご意見では、これは例の給付金等に係る制度の充実に関する検討会、これは財政的支援に係る検討会なんですけれども、ここで検討するというふうなご意見で、ただ私どもは、これについては既存の施設の利用とか、物的な給付も含んで検討すべき話であろうと思いますので、もしここでやるのであっても、構成メンバーについてまたご再考いただきたいというふうに思っております。いかがでございましょうか。

○事務局 今のご意見の関係につきましては、例えば検討の過程でその構成メンバー以外の知見を必要とするという場合には、例えばヒアリングという形でご意見を伺うというような手段もあろうかと思います。やはりメインのテーマであります経済的支援制度の議論にどこが主にかかわるのかというようなことで、今のところは4省庁の構成ということになっておりますけれども、したがって、必要に応じたそういう柔軟な対応もできようかと思いますので、原案どおり4省庁プラス有識者という構成でいかがかというふうに考えております。

○片桐構成員(警察庁) では、物的給付も含めて検討するということが1点と、もう1点は、それについて必要があれば関係省庁もご参加いただけるということをご確認させていただけるのであれば、これで結構でございます。

○山上座長代理 それでよろしいですか。

○事務局 必要な検討はそこでなされるべきだと思いますので、結構だろうというふうに思います。

○山上座長代理 そのほかの点で、どなたか意見ございますか。

○内閣府(久津摩男女共同参画局推進課調整官) 内閣府の再意見のところなんですけれども、1(8)についての思春期精神保健専門家の養成のところに……。

○山上座長代理 厚労省ですか。

○内閣府(久津摩調整官) 内閣府です。すみません、男女共同参画局です。
 内閣府の再意見の資料の2ページのところに、1(8)についての思春期精神保健専門家の養成のところに、実は厚生労働省さんの方から、この思春期精神保健の専門家の養成のところに内閣府も加えてくれということでご意見があったので、一時こういう形で入ったんですけれども、今の構成員のお話をお聞きして、大分得心がいったんですけれども、1つは、DVというふうにここに書かれておりますけれども、これは最初、我々は配偶者暴力をDVと呼んでおりまして、なぜここに入っているのかわからなかったんですけれども、DV家庭にいる児童が、そのDVを見て精神的な被害を受けると、そういうことを指していらっしゃるということでありましたので、ちょっと少なくともここの表現は変える必要があるのではないかと思うんですけれども、もう少し別の表現にしたらいいんじゃないかと思うんですが、そういう書き方の話よりもうちが抜けるかどうかの話なんですけれども、構成員の話を聞きましたら、専門家の養成の過程で、あるいはその後の研修の過程に犯罪の被害者に対する観点が今までなかったと、そのトラウマに関する関係がなかったということで、そこでそういう観点を入れるべきだと、こういうふうにおっしゃっておりますので、既にDVについては被害者を保護や支援する法律がありますので、それに基づいて、その被害者の保護、支援の観点から、一般的な研修を法律や制度に関するものを中心として行っております。
 ですから、構成員がおっしゃられたのは、むしろ専門家の養成とか、その後の研修とかにそういう観点がなかったということですので、うちはここに書かれる必要はないのではないかと。つまりそういう専門家をどうするかと、そういう人を養成して、その後、きっちり研修してくださいと、そういうことで言われたと思いますので、ですから、うちはここに名前を載っけていただく理由はないのではないかと、今の話を聞いて思いました。被害者に対する保護、支援というのはしっかりやっていきたいと思いますし、相談員に対する研修もしっかりやっていきたいと思いますが、ちょっとこれは観点が違うのではないかと思いましたので、やはり落としていただくということでよろしいのでしょうかというご確認なんですけれども。

○山上座長代理 そういう確認でしたよね。

○事務局 そういう確認です。

○山上座長代理 それでは、それでよろしいですか。
 そのほかにどなたかございますか。

○事務局 それでは、全体の確認をさせていただきたいと思います。  骨子案(3)に係る厚生労働省再意見に対する内閣府再意見の関係で、最初の(2)に(1)イを包含するということにつきましては、内閣府再意見のとおりということでまとめさせていただきたいと思います。
 2番目の(8)思春期精神保健の専門家の養成につきましては、内閣府意見のとおりとさせていただきたいと思います。すなわち内閣府はここから削除ということでございます。
 それから、3点目の職員等に対する研修の充実等でございますが、先ほど厚労省の方からも再度ご主張があり、また、小西構成員からもご意見があったんですけれども、ちょっと確認したいのですが、ここは「3年以内」ということでよろしいのかどうか。内閣府としては厚労省とちょっと意見が違って、ここでいう職員の研修というのは、職員の対応改善を図るものでございますので、やはり高度な専門家の養成というものとの並びで考えるというのはちょっといかがなものかということで、やはり内閣府原案、すなわち、対応の改善を進めるということ、または内閣府意見、すなわち、検討し、1年以内に結論を得てということでいかがかと思うのですが、そこの点についてちょっと明確にしていただければと思います。

○厚生労働省(傍聴者) 厚生労働省は、先ほど申し上げましたけれども、ちゃんとやりとりをさせていただいたように、3年以内ということでお願いをいたします。

○小西構成員 恐らく1年でやることは可能だと思うんですよ。可能なんだけれども、こういうものの研修の担当者にだれがなるかとか、どういうふうに組むかという具体的なことを考えたときに、1年でやると恐らくあまり今のところ、本当に薄い研修になるんだろうなと思うことも事実なんですね。そういう意味では、医療の方の実情がある程度わかっていますので。もしだから積極的にやってきちんとしたものをつくっていただくということが確認できれば、私は3年でもいいかなというふうに思いました。

○山上座長代理 これは、3年以内で前段の方で検討するので、それを受けてできるだけ早期にというような、そういう言い方では、準備ができ次第ということを含めて、3年待たなければ動けないということではなくて、3年の論議を始める中で、検討を始める中で、そういう準備ができ次第するという、そういう方向では書けないものでしょうか。

○厚生労働省(傍聴者) 最初の1ページのところと同じなんですけれども、そこをあえてそういうふうにするよりも、3年以内をめどに結論を出すというふうに、普通に淡々とやっていただくのがスムーズにいくのではないでしょうかというふうに思っております。

○山上座長代理 ほかの構成員の方で、どなたかありますか。  3年以内ということは、「以内」ですから、それより前にできるところからやっていくということですので、そういうことでよろしいですかね。

○事務局 それでは、皆さんのご異論なければ、「3年以内に結論を得て」ということでとりまとめとされてはいかがかと思います。
 それと、最初の資料1の内閣府から構成員の皆さんからのご意見に対する案をお示しさせていただいたもの、いろいろご指摘、ご意見がありましたけれども、内閣府意見のとおりということでとりまとめとさせていただければと思います。

○山上座長代理 それでは、次の議題、「刑事手続への関与拡充への取組」に移ります。関係省庁からは事前に資料が提出されておりますけれども、補足するところがあればご発言ください。

○事務局 それでは、まず内閣府でございますけれども、本日ご議論いただきます基本法第18条関係、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等の現状認識、それから犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、内閣府資料1ページ以下のとおりでございます。それから、内閣府に関する犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、8ページのとおりでございます。

○山上座長代理 次に、警察庁からお願いします。

○片桐構成員(警察庁) 事前に配付した資料について、特に補足する点はございません。

○山上座長代理 次に、法務省、お願いします。

○河村構成員(法務省) 被害者の方々から頂戴いたしております個別のご要望に対します法務省の考え方につきましては、提出資料の中で触れておりますので繰り返し申し上げませんが、ご要望の大きな柱の一つでございます、いわゆる公訴参加制度の導入につきまして、若干、付言してご説明いたします。
 現行の刑事訴訟法は、公益の代表者でございます検察官が刑罰法令の適正な実現を求めて事実を主張・立証する一方で、被告人、弁護人がこれに反論して防御するという、いわば二当事者間の攻撃・防御によりまして、犯罪事実の存否や内容が明らかとされ、これを中立の裁判所が判断するという構造を採用しております。このような訴訟手続によりまして、迅速かつ適正な刑事裁判の実現を図ろうとしているところでございます。
 そこで、仮に公訴参加制度を導入いたしまして、被害者が被告人に対する刑罰権の実現を求めて、検察官とは別にもう1人の当事者として訴訟手続に加わりまして独自に主張・立証活動を行うということになりますと、特に検察官の主張と被害者の主張とが矛盾いたしましたり対立いたしましたりするような場合には、例えば検察官の主張する事実や証拠の請求に対しまして、被害者の方が異議を申し出られる。あるいは、検察官の主張を覆すための反証がなされて、相矛盾する事実が法廷にあらわれるなどいたしますと、被告人に対する刑罰権の実現を求める者同士が相争って、お互いに相矛盾する主張・立証が行われる可能性もございまして、審理が錯綜して真実の発見が阻害されるおそれがあるのではないかと思われます。また、裁判所におかれましても、検察官や被告人、弁護人の主張する事実関係のほかに、被害者の主張される事実関係についても判断しなければならなくなるといったことから裁判が長引くなどいたしまして、迅速かつ適正な処罰の実現を阻害することになるのではないかという問題などがこれまで指摘されておるわけでございます。
 このように、我が国におきまして公訴参加制度を導入することにつきましては、種々の問題が指摘されているところでございますけれども、一方で刑事手続への参加の機会の拡充を求められる被害者の方々のお気持ちには十分理解できるところがございまして、これらのご要望などを十分に踏まえ、被害者の方々のご意見等を刑事裁判に適正に反映させることが重要であると考えております。
 そのため、法務省におきましては、現行法において被害者の方々などが刑事手続に直接関与する制度である意見陳述制度等のさらなる積極的な活用を図りますとともに、被害者の方々などと検察官とのコミュニケーションをより一層充実させるよう、運用の改善に努めてまいりたいと考えておりますが、これに加えまして、さらに刑事手続への参加の機会の拡充を求める被害者の方々のご要望を踏まえまして、刑事裁判に被害者の方々のご意見などをより反映させるために、一定の事項につきまして被害者の方々が刑事裁判に直接関与する制度の可否について検討いたしております。
 なお、どのような事項について、被害者の方々が刑事裁判に直接関与することとするのかという点につきましては、現在様々な関与のあり方を念頭に置きつつ、多角的な見地から鋭意検討しておるところでございますので、現時点では具体的にご説明できる段階にないことをご理解いただきたいと思いますが、法務省といたしましては、引き続き被害者の方々のご要望などを十分に踏まえつつ、我が国にふさわしい制度について鋭意検討を続けてまいりたいと考えております。
 また、この検討に要する期間についてあわせて触れますと、このような制度を導入するということになりますと、当然、刑事訴訟法等の改正が必要になると考えられますので、相当の期間を要するということをご理解いただきたいと思います。
 あと、資料で触れておりません事項につきまして、3点ほど補足的にご説明させていただきます。
 まず、2ページ目の少年保護事件に関します記録の閲覧・謄写についてでございます。少年保護事件記録の閲覧・謄写につきましては、少年の更生を図る観点から、プライバシーにかかわる事実を含め、広く情報を収集するとともに、少年の心情の安定にも配慮する必要がございますため、刑事裁判と異なりまして、審判が非公開とされていることを踏まえますと、刑事裁判における記録と同様の取り扱いをすることは適当ではなく、少年審判が非公開とされている理由を考慮しながら慎重な検討が必要と考えております。
 なお、少年保護事件記録の閲覧・謄写の制度を導入いたしました平成12年の改正少年法附則第3条は、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずる」ものと規定しておりますので、この改正法を施行いたしました平成13年4月1日から5年を経過いたしました平成18年、来年4月1日以降には、それまでの5年間の施行の状況について検討を行った上で必要な対応をすることになっているので、そこで検討されることが適当と考えております。
 次に、被害者の方々から、満期出所などをした者に対し、出所後も一定期間、保護観察にすべきであるといったようなご要望がございますが、刑事責任を果たし終わった者に対しまして、一定の自由の制約を課することについては、その対象者や期間を的確に判断することができる基準を設けられるのか、過度の制約とならないかなど種々の問題がございますことから、慎重に検討すべきものと考えております。
 また、生命犯については、終身保護観察に付するべきではないかとのご意見についても、これが他人の生命を侵害する犯罪を犯した者については、刑期を終えた後も終身保護観察に付するべきであるとのご趣旨であるといたしますと、まず刑事責任を果たし終えたものに自由の制約を伴う保護観察を付することがどのような理由で正当化できるのか、また実効性確保のための方策としてどのようなものが考えられるのか、有効な方策があったといたしましても、人権に対する過度の制約とならないかなど種々の問題がございますことから、慎重に検討すべきものと考えております。
 最後に、精神障害の結果といたしまして心神喪失とされた者などによる犯罪につきまして、治療後に刑事責任を追わせるべきではないかとのご要望がございます。刑罰と申しますのは、これは皆さんご承知のとおりでございますけれども、非難可能性を有する者に対して犯罪に対する非難として科せられる、つまり責任を問うということでございまして、精神の障害によりまして、犯行時に事理の是非善悪を弁別する能力を欠く、あるいはその能力に従って行動する能力を欠いている心神喪失者につきましては非難を加えることができないために、これに対して刑を科することはできないとするのが近代刑法の基本的原則でございます。
 したがいまして、精神障害に係る治療終了後、仮に事理の是非あるいは善悪を弁別する能力などが回復した場合でございましても、その行為のときに心神喪失であった以上、この行為について刑事的に非難を加えることができませんことから、これに刑罰を科することは許されないと考えております。

○山上座長代理 では、最高裁判所からお願いします。

○最高裁判所(伊藤事務総局刑事局第2課長) お配りいただいておる資料4のとおりでございます。

○山上座長代理 それでは、議論に入りますけれども、議論いただくに当たり、進め方について事務局より意見がありましたらお願いいたします。

○事務局 それでは、まず資料で、各省庁提出に係る施策等とりまとめという資料がお手元にあろうかと思います。これは各省庁から事前にいただいた新たに取り組む施策あるいは前進させる施策についてとりまとめをしたものでございます。下線を付してあります部分は、事務局にて加筆をさせていただいた箇所でございます。その点もご確認をいただきたいと思います。内容につきましては、事前に送付させていただいたものと同じでございます。
 それから、この各省庁提出に係る施策等とりまとめに対する法務省からの修文意見が出ておりまして、それにつきまして、今日、別置きで「各省庁提出に係る施策等とりまとめに対する修文意見(法務省)」という資料を配付をさせていただきました。この資料につきましても、踏まえた上でご議論をいただければと思います。 特に、この中で事務局の方からの意見ということでまず述べさせていただきますと、(2)の公訴参加制度の導入等の最初の☆で、法務省から、「書面を交付することも含め検討する」ということでの修文意見をいただいております。 ただ、検討されるということになりますと、やはり他の施策と同様に検討の期限を付してのまとめとさせていただきたいと思っております。原則の1年ということでいかがかという意見でございます。
 それから、(6)の☆、捜査に関する情報提供等の充実ということで修文意見をいただいておるんですけれども、これは法務省だけではなくて、同様の内容で警察庁関係もございます。それで、警察庁、法務省、両省庁の回答を踏まえまして、これは被害者等の方々にできる限り捜査に関する情報を提供するよう努めていくと、そのようなご趣旨であるというふうに考えまして、原案のとおりとりまとめをさせていただいたものでございます。したがって、法務省の方で特段のご異論がなければ、原案どおりとさせていただきたいと思っております。
 それから、「刑事手続への関与拡充への取組」につきましてのご議論について、これは基本法の条文では第18条のみとなるわけでございますけれども、その中に公訴参加でありますとか、あるいは少年保護事件への参加、さらには捜査に関する情報提供などの論点がございますので、順次、ご議論をいただければどうかというふうに思います。

○山上座長代理 では、特にご異存がなければ、公訴参加、少年保護事件への参加、捜査に関する情報提供などの論点について、順次、ご議論いただきたいと思います。いかがですか。

○河村構成員(法務省) 追加でよろしいでしょうか。
 公判記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する方向で検討を行いまして、その結論に従って施策を実施する予定でおりますけれども、1年以内ということになりますと、被害者の配慮のためには恐らく様々な施策が必要と思われまして、これだけ切り出されますと、ほかとの、これも法改正が必要となってまいりますので、ちょっと年次につきましては、これまで2年以内をいただいておりますので、できればその方向でお考えいただけたらと思いますが。

○山上座長代理 これについては、何かご意見ございますか。よろしいですか。それでは、議論に入らせていただきます。

○久保構成員 内閣府がおまとめになった「各省提出に係る施策等とりまとめ」の1ページの公訴参加の一番下の「☆」で、「制度を新たに導入する方向で必要な検討を行い」とありますね。一方で、法務省が事前にお出しになっている検討課題の中で、同じくだりを書いたものが3ページにあるんですが、これは一定の事項について、「制度の可否について検討し」と。我々素人から見ると、「導入の方向で検討」というのと「制度の可否について検討」というのは、何かニュアンスがちょっと違うような感じを受けるんですが、その辺はちょっと確認させてもらいたいと思います。

○河村構成員(法務省) 刑事手続、ここでは特に公訴参加の問題であろうかと思われますけれども、公訴参加と言われるものの中には非常に多くのもの、いろいろな局面がございます。それにつきまして、また様々なご指摘というものがこれまでもなされておりまして、その意味で非常に慎重な取扱いは必要でございます。
 したがいまして、公訴参加と言われるということでご要望のありますここのテーマにつきまして、一体どういった形で我が国では導入が可能であるかということにつきましては、刑事裁判で一番求められます実体的な真実を解明して、そして迅速、適正に刑罰法令を適用・実現していくという、その目的をきちんと達成できる形で一体どういう施策をとり得るのかということを検討させていただきたいということでございまして、「可否」とございますのは、中身が裁判手続への関与のあり方にしましても相当数ございますので、ただ、その中でもやはりいずれの事柄につきましても法改正が必要な部分がございますので、可能なものについてはきちんと新たに導入するという方向で検討させていただきたい。ただ、これは非常に大きな問題であるということだけは、ご理解いただきたいということでございます。

○久保構成員 表現は、同じことを言っているんですね。難しいものは可否を検討するということでいいですね。

○河村構成員(法務省) 「可否」でございますし、ご要望の中身のコアの部分というものにつきまして、どういう形で実現できるのかということをきちんと検討させていただきたい。また、それによって弊害はどういったものがあるのかといったあたりも、慎重な検討が必要であるとは考えております。

○井上構成員 今の点で、私も確認なのですけれども、久保構成員が聞かれたのは、内閣府の方でとりまとめられた方の表現が、法務省から出されている意見と同じ意味なのかどうかということですよね。内閣府の方は、「新たに導入する方向で」というふうに書かれているので、「可否について検討」するということとずれていないのか、そこの確認だろうと思うのですが。それはこういう表現でもよろしいということですか。

○河村構成員(法務省) この問題につきまして、理論的にあり得ないとか、一切合切、全くすべての事柄について、今後、被害者の方々の意見をより反映する形での関与のあり方ということが、我が国の法制上、もちろんのことながら、全くあり得ないというわけではございませんので、したがいまして、これは私ども、そういう意味で後ろを向いておる趣旨ではございませんということから、同じ中身だというふうに私どもは理解しております。

○久保構成員 あえて質問させていただいたのは、内閣府の表現が「導入する方向」というふうにあると、過大な期待を持つ可能性もあるということで、その辺はある程度はっきりした方がいいのかなという感じもしたものですから、ちょっと質問したんです。今のでわかりました。

○岡村構成員 今の制度が被害者にとってまずい制度だという認識のもとに、この基本法は制定したんですよ。例えば、第1条、第2条の被害者のための施策というのに定義が入っていますが、その中に、被害者が「被害に係る刑事に関する手続に適切に関与する」と、これが施策の中にうたわれている。そして、さらに18条においても、手続への参加の機会を拡充するということは、現行の刑事司法制度が被害者を泣かせているという前提に立って議論を重ねた上でできた法律なんですよ。それを、新しい方向に進めることは当然のことであって、現状を前提としたような議論、現状との整合性がどうだから、こうだから、それはできないという話は、もうこの法律ができたときに卒業している意見だと私は思うんです。だから、これをどうやって進めるかという点でやはり考えていかないと、この法の精神が生かされないと私は思います。
 先ほど、過大な希望を抱かされるとおっしゃいましたけれども、前進することは当然だと被害者は受け取っております。

○山田構成員 資料としまして9を提出させていただいております。これは、日弁連の理事会におきまして、先般、6月17日に決議されたものを資料として出させたものでございます。この2枚目の裏でございます。1ページに、その決議の趣旨がございますが、被害者等の刑事手続への関与につきましては、1項におきまして、被害者等の検察官に対する質問とか意見表明制度を新設すべきであると。そのために、また公判前に、必要な証拠を閲覧できる制度を導入すべきであるというふうにしております。2項におきましては、その他の「当事者あるいは検察官を補佐する者として刑事訴訟手続に参加し、訴訟行為を行う制度は、導入すべきではない」というふうに決議されております。
 これについて、若干のご説明をいたしますと、この理事会といいますのは、全国の単位弁護士会の会長52名でございますが、そのすべてと、会長以外の副会長等も含まれますが、合計71名。それと、日弁連の会長と副会長13名、合計14名ですね。71足す14、85名から構成される組織でございまして、日弁連としましては相当程度に重い審議機関でございます。そこにおきまして、このような見解が出されております。
 ちなみに、この報告によりますと、このときの理事会におきましては、この日弁連の決議案に対しまして反対された理事は、2名というふうに聞いております。そのほかに、この日弁連決議に対しましては、今日、岡村構成員の方から、同じく日弁連の犯罪被害者委員会からの委員長の意見というものが提出されておりますけれども、こうした日弁連全体の意見としましては、圧倒的多数と言ってよろしいんでしょうか、いろいろ皆さんそれぞれに悩みは持っておりますけれども、やはりこの導入というのは相当問題があるだろうということになっているわけでございます。ここでいろいろと長い時間お話ししても仕方がないわけでございますけれども、私的復讐、あだ討ち、リンチ、血で血を洗うような、そういったものはよそうという人間の知恵が長い歴史のうちに培われまして、国家による理性的な処罰、私的復讐から国家刑罰権への昇華というふうな表現が言われておりますけれども、そうしたもの、それから逆に被告人の立場というもの、これも国家刑罰権のもとに被告人が拘束されて、あるいは拷問であるとか、あるいは自白の共用であるというようなことが長いこと行われてきた、その過程から被告人の人権というものが守られてくるようになりました。今日、現在におきましても、まだ日弁連といたしましては、いわゆる人質手法であるとか、あるいはこれを進めて録音、録画といったものの重要性というものを問うているところでございまして、そうしたせめぎ合いといいますか、悩みといいますか、歴史的な重みといいますか、そういったものを背景、基盤に持ちながらのこの決議でございます。
 ということから見ますと、この先ほどの内閣府のとりまとめ案、1ページの一番下の☆の、「制度を新たに導入する方向で」というのには、賛成いたしかねるというところでございます。

○岡村構成員 ただいま山田構成員より、日弁連決議についてのお話がありましたが、これは6月17日付ですか。日弁連の理事は4月1日に就任するわけです。会長以外、副会長も含めて4月1日に就任する。そうすると、基本法施行日に就任されたわけですね。そして、就任後の忙しい時間に、これだけのことを本当に理事が議論し、勉強し、決議される余裕があったかということを私は疑問にまず思います。そして、被害者問題を日弁連で熱心にやっているのは、犯罪被害者支援委員会なんですね。この委員会にも諮らずに、理事会でこういう決議がなされたと。これに対して、6月24日付で委員会から会長に対して、この決議の反対の意見が出ている。これが、私の方から今日出した書類で、先ほど申し上げましたように、全国の会長を網羅していると言いましたけれども、基本法成立後わずか2か月ぐらいで理事に就任された人たちと、日弁連でこの問題をずっと扱ってきた人たち、どちらが実質的に基本法を理解しているかというと、それは答えはおのずから明らかだと思っております。
 先ほど山田構成員から、復讐、リンチ、そういうものを昇華して今の制度ができたと言われましたけれども、ドイツやフランスでは被害者が参加しておりますけれども、復讐とか何とかという問題は全く出ておりません。むしろ、実質的な真実を発見するためには、被害者の参加は免れない、必要なことだ、こういうふうに説明されているわけでありまして、日本だけが参加したら復讐の場になるということは、私はおかしいと思っております。

○井上構成員 よろしいですか。今、両様のご意見を承ったのですが、私自身の意見は、遅ればせながら、今日席上に配付していただいるとおりですけれども、岡村構成員がおっしゃったように、今までの制度では不十分あるいは不満足であるので、前に進めよという認識は皆さん持っておられると思うのですね。ただ、それを具体的に制度にあらわしていくときに、どこまでのものを入れるのか、そこのところで意見がかなり違うということだろうと思うのです。その点については、種々問題が指摘されていることは事実であり、それがすべて当たっているかどうかは、一つ一つ慎重に検討していかなければならないと思います。
 そういうことを踏まえた上で、バランスのとれた制度というものをつくっていかないと、国民の幅広い支持はなかなか得られない。バランスの取れた制度であってはじめて、幅広い支持が得られ、真に意味のある制度が安定した形で構築されるのではないかというのが、私の基本的なものの考え方でして、さっき河村構成員にあえて念押しの質問をしたのも、直接関与することのできる制度というものの中身にはいろいろあり得るだろうと考えているからであり、他方、いろいろな問題点が指摘されていることも踏まえながら、最もふさわしい制度を導入する。そういうことでは、恐らく意見が一致するんではないかと思います。日弁連の方も、公訴参加制度として、犯罪被害者等が直接訴訟当事者として刑事裁判に参加して、かなり強い権限を持って、検察官から独立して訴訟行為をするという、そのような制度をイメージして、それに対する反応なのではないかと思うのですが、そこまでいくまでにも、いろいろな形があり得るわけで、そういう様々な選択肢の中で、どのような関与の制度がふさわしいのかを詰めて考えていくというのが、あるべき方向ではないかというふうに考えております。

○山田構成員 よろしゅうございますか。岡村構成員からのお話のとおりで、今期の理事は4月1日に就任いたしました。ただ、理事は任期は1年になっていますね。そうしますと、期間の長短だけで考えますと、それはもう、なかなかそれだけでは判断できないところがあるわけでございまして、理事会というものが、やはり日弁連で相当重い決議になっているわけでございます。
 それで、確かに犯罪被害者委員会というものがございます。それから、さらには昨年1月、この公訴参加に関する点だけを抽出しまして、そこだけを検討してもらう協議会というものもつくりまして検討いたしました。ただ理事会は、そうしたところの意見というものを十分に踏まえて、それをもちろん承知の上での見解でございます。
 その犯罪被害者の刑事訴訟手続参加に関する協議会、先ほど申しましたこの協議会における取りまとめというものも出ておりますけれども、その取りまとめ、そこにおける取りまとめですら、結局において賛否両論があったけれども、消極説が相当多数であったというふうな取りまとめになっておりますし、また在廷権というものを認めるか否かについても意見が分かれていたけれども消極説が多数であったと、代理人弁護士をつけることを前提にして、検察官の補佐的当事者として刑事訴訟手続に参加するということよりは積極説が多かったけれども、やはり在廷権だけでも消極説が多数であったと。
 それから、そもそも独立した当事者として刑事訴訟手続に参画するということについては、これを採用すべきという積極的な意見は存しなかったと、このような取りまとめになっているんですね。1年余の議論の結果、日弁連の中の犯罪被害者の刑事訴訟手続参加に関する協議会の中の取りまとめはそのようなもの。それで、理事会におきましては、そういった意見を踏まえまして、それで出た結論。その理事会の前に正副会長会議がございます。会長と副会長13名、ここにおきましても、やはりもちろん議論されまして、相当程度に悩んで、どうすべきかと。しかし、今日までの先ほど申し上げましたような刑事訴訟手続の歴史というものを考えたときには、やはり導入はすべきでないであろうということの結論であったということでございます。

○岡村構成員 ここで、日弁連の問題を議論し合うのは、これは筋違いだと私も思いますけれども、しかし2003年に松山において日弁連の人権大会がありました。そこでは、公訴参加について議論を深めるという決議がなされているんですね。人権大会の決議というのは、総会の決議に次ぐような重い決議ですが、そこではそういう決議がなされている。提案理由の中には附帯私訴についても、同じように議論を深めなければいけないというふうになってきているわけです。
 それが、そのまま生きているにもかかわらず、理事会で急遽、何で急いでこんなに結論を出したのかということが、私も日弁連の一会員でありますが、不思議に思うわけです。そして、協議会に基づいてといいますけれども、この支援委員会から出された反対意見を見ますと、協議会の枠を超えて、一刀両断にこれはできないというようなことを言っていると。これは言い過ぎであると、そう言っているんですね。だから、どうして理事会がこんなに短兵急に出さなければいけなかったのか。理事会というのは、これはいろいろなところからいろいろな案が出てくるんですけれども、少なくともこういう決議がなされるには、そのもとになる支援委員会の意見を聞くということが当たり前のことなんです、これは。それをやっていないんですね。支援委員会としては、こういう参加についてはいろいろ問題はあるけれども、頭からはねつけてはいけないと。議論を深めて、そして結論を出すべきだと言っているわけなんですよ。これは私、正しい意見だと思います。この基本法ができた、さあすぐ参加は反対だと、こういう検討会ができるや否や、すぐぱっと反応してくるというのは、被害者の視点に日弁連が立っていないんだというふうに被害者から見られると、私は残念に思っております。

○山田構成員 岡村構成員と押し問答する気はないんでございますけれども、もう1点だけ、すみません。
 何で短兵急にとおっしゃられていましたけれども、これは被害者委員会あるいは先ほど申し上げました協議会の意見というものは、日弁連の執行部としても十分に了解して、理解してわかっているわけなんですね。その上での決議だということを一言申し上げておきます。
 それから、今、構成員のお話で、日弁連が犯罪被害者に理解が少ないというふうに誤解されるということをおっしゃられまして、まさに誤解されるといけませんので、一つだけ申し上げておきますと、今日は言ってみればちょうど中日になりますか、これまで何回かありました。これからもまた何回かございますが、その中でずっと私の方からも申し上げておりましたように、決して犯罪被害者の現在までの立場、置かれているところに日弁連が、冷たいということはないんでしょうけれども、そういうふうにおっしゃられないんでしょうけれども、日弁連がそれは熱心でなかったということはないわけでございました。現実に、その犯給法の充実であるとかPTSDに対する取組であるとか精神的ケア、二次的被害の防止をしなくてはいけない、情報の提供もしようと、公費による支援弁護士制度もつくろうというようなことをずっと言っているわけですね。ですから、犯罪被害者の問題を支援する問題、救済しなくてはならないという問題はいろいろ論点が分かれますけれども、そのほとんどについて日弁連は積極的にやっていこうではないか、ただ、公訴参加というものについてだけは、これはちょっとどうですかというところだということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

○山上座長代理 今、日弁連のこの見解についての説明だったと思うんですが、山田構成員ご自身もこの見解に賛同され、特に2のところの導入すべきではないと、そういうご意見だというようにとってよろしいんでしょうか。

○山田構成員 はい。私、個人として、もちろん有識者としての参画でございますので、なかなか悩ましいところでございまして、正直申し上げれば本当に悩んでおります。しかし、今日の段階においてはそうかなというふうに思わざるを得ないだろうというふうに思っております。

○山上座長代理 もし、そういうご意見の場合、「法務省において、制度を新たに導入する方向で必要な検討を行い」と今まで論じられてきたわけですけれども、それにも問題があるという……。

○山田構成員 ちょっとすみません、もう一度。

○山上座長代理 内閣府の説明のところにありますけれども、公訴参加制度の導入について、「法務省において、制度を新たに導入する方向で必要な検討を行い」というように書かれてありますが、それにも問題があると……。

○山田構成員 「導入の方向で」というふうなところ、どうですかね。先ほどの河村構成員のお話を伺って、意味合いが少し、必ずしも文字どおりでないということであるならばという点はありますが、その辺どうなんでしょうか。

○山上座長代理 お願いします。

○岡村構成員 特に、この被害者が今の制度から疎外されてしまっているということについては、国民全体が疑問に思っているんですよ。これは、私どもの署名だけではなくて107の地方自治体の議会が、地方自治法99条によって決議をして関係省庁に送っているんですね。東京都、大阪その他初めとしてですね。これはやはり、国民の声として被害者が疎外されてしまっていいのかという、そういうところへ今来ているんですね。だから、それを十分に考えていただきたい。

○山上座長代理 法務省の方から、どうぞご意見お願いします。

○河村構成員(法務省) 基本法の文言が「参加の機会の拡充」となっているという点について、これをどう理解するかということにつきましては私の方では触れませんですが、先ほど来からいろいろお話もございまして、久保構成員の方からも、これだと公訴参加そのもの、いわゆる公訴参加そのものを全面的導入というふうなことを、今の時点で決めたというふうに見えるのではないかということだといたしますと、本当にこの制度自体、井上構成員の意見書にもございますけれども、大陸法の国の一部というか、イタリアはちょっと形が違って、ドイツのような公訴参加と呼べるような形ではございませんですが、非常に我が国の、これまでの制度のあり方とは相当程度違った大きな問題であることは間違いございませんので、その意味ではこの表現ぶりにつきましては、このまとめ方だけからいたしますと、今の時点でもう、いわゆる公訴参加そのものを導入を決めたというふうに見えるということになりますと、それは私どもの本意とするところではないということになろうかと思います。非常に大きな問題でございますので、様々な観点から慎重に議論はさせていただきたいですし、ただ、最初からこういう、今以上に被害者の方々が直接関与できることがあり得ないというふうなことを考えてもおりません。その辺はきちんと検討させていただいた上で、必要な施策を講じさせていただきたいというところでございます。

○山田構成員 そのようなご意見であるとすれば、表現はこのようにきつくなっておりますけれども、私、個人的な思いとは同じなのかなと。先ほど申し上げたように、様々な問題がございまして、非常に難しい、悩ましい問題ですから、これについて可否、是非について、やはり議論はすべきだろうと。
 ちょっとすみません、先ほど2か月しか就任後たっていないではないかという点につきましてですけれども、あるいは委員会の意見を聞いていなかったではないですかと言いますけれども、これは先ほどの刑事手続参加に関する協議会の中において検討していく過程では、各弁護士会に問い合わせをもちろんしておりまして、その回答などは得ております。そういったことですので、決して簡単にえいやとやったというわけではございません。

○岡村構成員 各単位会に確かに問い合わせておりますが、両論併記、公訴参加を認めるかどうかという両論併記の回答を出した会も相当ありますし、ある会では、断然これは参加を認めるべきであると。そして、争点が多くなって防御が大変だというのは弁護士の泣き言であると、こういうような強い表現で参加を表明した会もあるのでありまして、決して一枚岩ではないので、そこをご理解いただきたいと思います。

○井上構成員 日弁連の内部のことはこのくらいにしていただけませんか。あまり聞いていて、快いものではないですから。
 さっきの文言の点なのですけれども、これは岡村構成員がおっしゃっているような公訴参加制度というものを採用する可能性を一切否定したということでは当然ない。しかしまた、それを採用するというふうに、この段階で踏み切るのも、やはり性急であるわけで、さっきの岡村構成員のご意見などを踏まえますと、いろいろな関与の形があり得るのに、それをこの段階でつぶして、一つの方向だけに決めてしまうというのはいかがなものかと思いますので、ここの文言を誤解のないように、附帯私訴関係についてのまとめと同じような表現ぶりにされてはいかがでしょうか。つまり、「そういう制度については、我が国にふさわしいものを新たに導入する方向で必要な検討を行い」とする。こういう表現だと膨らみができ、問題点についても十分詰めて、新しい制度の設計ができる。2年以内というのは実際上かなり厳しい時間設定だと思うのですが、その中で新しい制度を考えていただくということでいかがかと思います。思いつきで、恐縮ですけれども。

○河村構成員(法務省) ご意見をいただいて、まな板の上の鯉になっていなければいけないわけではございますが、まさに井上構成員おっしゃいましたように、この問題、非常に大きな問題でございます。ただ、他方で被害者の方々がいろいろと関与のあり方をめぐりまして、今でいいのかと、今のままではいかがなものかというご希望、相当強くいただいていることも事実でございますので、その意味で、今、井上構成員がお示しになられたような方向でおまとめいただけますと、私どもも検討をきちんとさせていただきたいということでございます。

○山上座長代理 それでは……。

○岡村構成員 ここにふさわしいと、何だかこの膨らみがいろいろな方向に膨らんできそうなような気がするし、どんな制度も我が国にふさわしい制度だろうと思うんですよね。だから、何かこう―何かだまされそうな気がする。

○河村構成員(法務省) すみません、ちょっと1点だけ。「我が国にふさわしい」ということになりますと、例えば構成員も当然ご承知のところと思われますけれども、参加のあり方につきまして、ドイツとフランスというのは相当程度、もともと違っております。対象も違っております。それとともに、今、当事者主義になったと言われているイタリアのあり方も、もともとの予審を引きずっておりますし、その予審における裁判官のあり方、また当事者主義と言われながら、そこで被害者がどういう関与をしていくかということにつきましても、これは同じ大陸法系の国々で手続的にも同じであろうと思われても、それぞれの国、工夫してやっておるところでございますので、やはり日本にも日本にふさわしい法制度を考えさせていただければと思っております。

○山上座長代理 よろしいですか。公訴参加に関する議論が、ある程度出尽くしたかと思いますので、あと少年保護事件と捜査情報の提供がありますので、ちょっとここでまとめていただいて。

○事務局 公訴参加制度の導入につきまして今ご議論いただきましたので、ちょっととりあえず、この大きな問題について取りまとめの案を提案させていただきたいと思うんですけれども。
 「刑事手続への関与拡充への取組について」というペーパーをごらんいただきたいんですが、1ページ目の、今ご議論いただいておりました一番下の「☆」の関係になりますが、それで、ただいまのご議論のように公訴参加制度につきましては、大変多くの議論すべき問題点があるということもご議論の中で出ましたし、一方でやっぱり強いご要望があり、また諸外国にはそういった制度を持つ国もあるということでございます。したがって、ご議論の中でもありましたように、今の時点で公訴参加制度を全く排除してしまうというのも問題だし、それからそれを取り入れるということを明言するのも問題だというようなことを踏まえて、この☆の修正案を今から申し上げたいと思うんですけれども、「法務省において、刑事裁判に犯罪被害者等の意見をより反映させるべく、」『公訴参加制度を含め』というのをここに加えればどうかと思います。公訴参加制度を排除する、あるいは排除しない、今の時点ではいずれでもないんだということが、より明確になるんではないかというふうに思います。もう一度申しますと、「法務省において、刑事裁判に犯罪被害者等の意見をより反映させるべく、公訴参加制度を含め犯罪被害者等が刑事に関する手続に直接関与することのできる制度について、我が国にふさわしいものを新たに導入する方向で必要な検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を導入する」。やはり、先ほど法務省の方からもご発言がありましたように、基本法18条で「刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等」という、そういうことが明言されております。やはり、そういった方向性というものをしっかりと打ち出し検討していくということを取りまとめとするのがふさわしいのではないかというふうに考えます。
 もしよろしければ、ここで休憩をいただいて、今申し上げたものを文書に早急に打ち出しまして、休憩の間に準備し、お配りをし、その上でまたご議論いただければどうかというふうに思いますが、座長いかがでしょうか。

○山上座長代理 10分程度、休憩とさせていただきます。

○山上座長代理 それでは、検討会を再開させていただきます。
 では最初に、先ほどの法務省の取組に関する文書について、事務局から修正案をお願いします。説明お願いします。

○事務局 お手元のペーパーで、先ほど私から提案申し上げました内容をペーパーにしたものでございますので、これを踏まえて再度ご議論いただければと思います。

○大久保構成員 今のこのことにつきまして、ぜひ一つお願いという形でお話しさせていただきたいと思います。
 犯罪被害者支援の現場で見ておりますと、その被害者の方が、今ほんのわずかしかない、例えば意見陳述ですとか証言ができるというようになった場合、それができた被害者の方は、わずかではあってもその刑事司法に関与できたということで、とても自責の念を軽くしたり、自分の役割が一つでも果たせたということで、前向きに生きていく被害者の方が大変多いように感じております。ですから、ぜひこの中でも、少しでも多く犯罪被害者の人たちがかかわれるような制度を我が国にふさわしく、たくさん盛り込んだものにしていただきたいと心からお願いいたします。
 また、この検討会の折には、ぜひまた被害者あるいは被害者支援団体からの委員を入れていただくとか、あるいは声を聞いていただくとかいうこともお願いしたいと思います。

○河村構成員(法務省) 「犯罪被害者等が刑事に関する手続に直接関与することのできる」という部分でございますけれども、これは念頭に置いていただいているのは、これまでの議論からいきまして裁判手続ということでよろしゅうございますか。そこをちょっと確認させていただきたいのですが。

○山上座長代理 どなたかご意見ございますか、これについて。

○井上構成員 私もそういうふうに理解していました。確かにこの表現だけを取り上げると、いろいろ幅広くカヴァーするように見えるけれども、これまで出てきた議論は、公判手続を念頭に置いたものであったと思いますけれども。

○岡村構成員 捜査情報の開示というふうなことは認めておりますけれども、捜査の中にときどき、直接の被害者が入っていきたいということは私どもも考えております。

○河村構成員(法務省) そういうご趣旨であれば、刑事に関する手続と申しますと、捜査も含めいろいろございますので、むしろ刑事裁判手続とか裁判であることを、公判手続ということをはっきり言っていただいた方が、私どもも検討しやすくなるということになろうかと思いますが。

○山上座長代理 裁判手続ということで、そういう修正することについて、どなたか。

○岡村構成員 ただ、当事者は不起訴にするときに意見を聞かせてほしいとか、不起訴にするときによく説明してほしいとか、そういうふうなこと、制度をつくってくれとは言っておりますけれども、それはちょっと、制度……

○河村構成員(法務省) よろしゅうございますか。例えば、今、不起訴の話が出てまいりましたですが、以前でございますと不起訴になりまして検審に申し立てをいただきましても、いわば検察官に対する勧告でしかなかった起訴相当、不起訴不当という、これが、この前の司法制度改革の一連の法律によりまして、検察審査会の議決で、起訴の法的拘束力を持つと申しますか、起訴できる―検察官とは別に起訴する仕組みができ上がっておりますので、そうなりますと、ここでのご議論といいますのは、やはりメインは裁判手続ということで考えさせていただきたいと思っておりますし、そういう理解で議論させていただいていたものですので、表現ぶり、差し支えなければそのようにしていただけたらということでございます。

○岡村構成員 起訴、不起訴のときに、いろいろなことはまた申しますけれども、ここでは手続は刑事裁判手続ということで結構でございます。

○事務局 それでは今のご議論を踏まえますと、お手元のペーパーの2行目の後段になりますが、「犯罪被害者等が刑事に関する手続に」というところの「に関する」を「裁判」に改める。改めた文章を読みますと、2行目の後段が、「犯罪被害者等が刑事裁判手続に直接関与することのできる制度」という案となりますが、ご異論なければこのような取りまとめ案とさせていただきたいと思います。

○山田構成員 ちょっとお尋ね、ご質問なんですけれども、よろしゅうございましょうか。今お読みいただいたところは異議はないんですが、そのうちの「直接関与する」という、この「直接」という意味はどういう意味なのかなと思って、先ほどから考えておるんですが、これは反対語は「間接」、間接に関与というのもないし、直接に関与というのもないので、どういうことになるんでしょうかね。

○山上座長代理 法務省から何かご意見ございますか。

○河村構成員(法務省) 刑事裁判におきまして、今意見陳述ということで直接そのご意見等を述べていただく仕組みができ上がってございますけれども、例えば間接ということになりますと、検察官とか何かを介してということでしか物を申せないことになるのかなと。ただ、これにつきましては、私どもの資料でも出させていただいておりますように、いろいろな意味で、より一層コミュニケーションを深めていくといいますか、密にしていく方向での努力ということは当然重ねてまいるわけでございますので、それ以上に被害者ご自身が公判手続に何らかの形で直接関与いただける、そういった機会というものを我が国にふさわしい形で考えていけないかということだろうと思います。

○山田構成員 そうしますと、確かに検察官を介していただく、こういう手続になると間接なんでしょうが、代理人を頼んだ場合、直接に入るんでしょうかね。そこら辺は細かな議論だから、ここでは詰めないということになるんでしょうか。

○河村構成員(法務省) 現行の手続を前提にするとということで、ご批判あるかもしれませんですが、今の手続で申しますと、弁護士の方はあくまでも代理人的立場でございますので、やはりご当人が何らかのアクションができるということとした上で、それを弁護士の方にお願いできるというのが今の刑訴法の全体の手続の流れではなかったかと思っております。

○山上座長代理 ほかにどなたか。よろしければ、この話はこれで了承ということでお願いします。
 引き続き、先ほどからまだ論議されておりませんそのほかの議題がありますが、少年の保護事件の問題、それからもう一つは捜査情報の提供に関する議論、これが残されていますが、どうぞこの問題に関してご意見ある方はお願いします。

○岡村構成員 (5)ですか。

○山上座長代理 (4)、(5)になりますが。

○岡村構成員 少年法と一緒ですか。

○山上座長代理 順はあまり構いませんので、ご意見がございましたら。  この内閣府のまとめにございます、事務局のまとめにありますこの2枚の資料がございますが、これに関連する今の2つのテーマに関して、関連してもしご意見ございましたら、そのほかのことも一括で結構ですので。

○岡村構成員 被害者の審判の傍聴も入れていただきたいと思うんですが、これは被害者が加害少年が何を言っているかということは非常に知りたがっているんですよね。資料6の24ページに書いておりますけれども、ここに書いてあるのは審判等での意見陳述ですね。だから、審判に出席することはここで認められているんでしょうね。今は規則の29条で、一応審判に参加させることはできることになっておりますけれども、これはあくまでも加害者側に加害者少年の側の人を出席させることができるようになったんですよね。そうではなくて、29条と関係なく、まず審判廷に出席して意見を述べることができる、こういうことになりますか。

○河村構成員(法務省) これは、最高裁判所の意見ということで、ここで意見を陳述することができる制度と申しますのは、平成12年の少年法改正によりまして、被害者の方のご意見というものを家庭裁判所として受けとめる仕組みをつくるということでございますので、したがいまして意見を陳述していただきます相手と申しますのは、調査官でございましたり、裁判官ということでございまして、必ずしもここでは少年のいる審判ということで行うという制度にはなってないというふうに理解しております。

○岡村構成員 この制度がですね。

○河村構成員(法務省) はい。
 それで、ここにございますのも、その制度の適切な運用ということでございますので、この点につきましては、今、構成員は審判の傍聴的な話もあったかと思われますが、この少年審判が非公開とされておる理由とも関連するところでございまして、少年自身が処遇選択に必要な事項を裁判官の前で率直に述べられるようにすると。また、少年の要保護性に関する事情を把握している関係者の十分な協力を得て、少年の社会復帰を妨げないよう、その心情の安定に配慮する必要もあるといったようなことから、いろいろな制度が今構築されているわけでございまして、その辺こういった傍聴問題も含めまして、非常に難しいと申しますか、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

○岡村構成員 この審判廷等で被害に関する心情その他の事件に関する意見を陳述することができる制度というのは、審判廷に出席できるということを前提としてのことですね。まず、傍聴と一緒にしたからちょっと混乱しましたけれども。

○河村構成員(法務省) 意見陳述の限度でということになってまいります。あるいは証人としておいでいただくときということになります。その意味で、成人の刑事裁判とは相当違っているものでございます。

○岡村構成員 それから、これは少年のプライバシーを守ることは当然だとしても、被害少年及び家族は、被害者はなぜ自分がこんな目に遭ったのかと。それから、どういう育ちの人間に自分はこんな目に遭ったのかというようなことは、知りたいわけなんですよ。それは、被害者は自分の受けた被害に関する広い情報を取得する権利があると思うんですよね。だから、今までは警察でも少年の名前は教えてくれない、住所も教えてくれない。裁判所で記録を閲覧・謄写して初めて証人の名前もわかるというくらいの状況である。審判で被害者が出てきたから少年が萎縮して物を言えなくなるというよりも、むしろ加害少年の場合はうそをつく場合が多いんですよね。だから、被害者が出ることによって、むしろうそがつけなくなるということで、事実認定にも役立つんじゃないかと思うんです。
 私は要保護性の部分の審判には、これは被害者は立ち会わなくてもいいと思うんです。事実認定の段階において、審判に立ち会わせてもらいたいというのが少年犯罪被害者の共通の願いなんですね。要保護性は、これはそこまでは求めません。今は渾然一体として行われているようですので、検察官の関与も非常に少ないようですし、それを分けてやっていただければ、傍聴させてもらってもいいんじゃないか、こう思うんです。

○山上座長代理 私も法務省に質問が同じところであるんですけれども、加害少年への配慮が必要だということでできないというのであれば、逆にそういう配慮ができるような形で、その範囲で被害者に傍聴ができるような、あるいは多少条件がついたとしても、そういう方向を探すことができないのかというのと、もう一つ心神喪失者等医療観察法では、かなり違った仕組みですけれども、やはり被害者の傍聴が許される制度ができているので、同じようにそういう方法は少年についても考えられるんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○河村構成員(法務省) 今、医療観察法の点に座長の方で言及されましたので、それとの比較ということで申し上げますと、医療観察法の中の心神喪失等によって行った犯罪事実に相当する行為の認定の場面において、傍聴していただくということが基本的には考えられると。ただし、これをお考えいただきますときに、一体どういう資料に基づき裁判所がどういう審理を行って、事実を認定していったのかというあたりにつきましては、ここは少年の保護事件の場合でございますと、記録の閲覧・謄写、これは審判継続中も含めてできるわけでございますし、その際には捜査機関から提供されております証拠につきましてももちろんのこと、審判調書も被害者の方々は閲覧・謄写によって審判の状況を正確に反映していただくことは可能という制度になってございます。

○最高裁判所(河原事務総局家庭局第2課長) 先ほど岡村構成員のお話にありました要保護性と事実の認定手続、分ければいいじゃないかという、このお話は確かにごもっとものようにも思われるんですが、要保護性の審理と事実認定の審理というのは、まさに岡村構成員がおっしゃったとおり、普通は渾然一体となっておりますので、厳密には分けられないことが多うございます。
 検察官関与がなされます一番多い事件というものは、事実認定が熾烈に争われまして、裁判官が非行事実を認定する方向で証拠を検討すると、いわば少年と対峙する形になり、こういう状況が続くのは、その後の教育的な少年審判の基本に照らしてみて不適当であると、こういった場合が一番典型的に予想されている事件でございます。典型例は少年がそもそも犯人なのかと、これが争われているような事件ですと、そもそもおれは犯人じゃないと少年は言っているわけですので、事実認定の部分と、その上で君は確かに犯人だねと認定した上での要保護性の審理というものは極めて明確に分けられます。
 ただ、実際の事件、これは刑事の事件でもそうでございますけれども、多くの事件はそのような明確に分けられるものではなく、いわゆる犯情にかかわるようなものも含めた否認型のものが多うございますので、こういったものは裁判官がそもそも検察官の関与を求めるまでもなく、一件記録を精査して、少年側の言い分を十分尽くさせた上で、でもこういうところが違うよねということを鋭く指摘することによりまして、十分解決することができるものでございまして、そのような事件では要保護性と事実の認定手続は明確に分けられないのでございます。
 なお、少年はうそばっかり言っているじゃないかというご指摘がございまして、そこについては実証できるものではございませんけれども、今我々の内部の資料などを通じて、必ずしも検察官関与を求めなくても、12年改正で認められました裁定合議決定などを十分使いまして、少年の弁解を多角的に検討した上で、少年の弁解の当否を判断している事例などについて、我々も資料の提供などに努めているところでございます。
 でも少年は何を言っているかわからないじゃないかということにつきまして、確かに今まで家庭裁判所は少年審判の秘密性ということを理由に必ずしも十分被害者のご期待に添えない対応をしていたということについては、反省すべき点はあったというふうには認識しておりますが、ただこの点につきましても、12年改正で設けられました制度の運用ですとか、あるいは現在家庭裁判所の調査官が実際被害者の方から直接、あるいは間接的にお話を伺うことについても、かなり力を入れております。そういったものなど、あるいは窓口対応なども通じまして、被害者の方のご意見やご要望につきましては、十分フィードバックに努めたいと思います。
 ただ、こういうことはあるいは山上座長代理の方が十分ご専門家かと思いますけれども、加害少年の言っていることを直接被害者の方に伝えるということが本当に必ずしも心理学的にいいのかということにつきまして、調査官の中でもいろいろな意見もあるようですし、実際心理学的なダメージなどの問題もあるようでございますので、その点につきまして我々の方もまたさらに鋭意検討していきたいと思います。

○岡村構成員 少年事件は成人の事件と違うということは、これは私どももわかります。わかった上で申し上げますが、この少年法というのは加害少年ばかりを念頭に置いて、被害者を全く頭に入れていない法律なんですよね。そのために、少年事件で被害を受けた者は泣き寝入りで、訳がわからないままずっと生活しなきゃいけないと。そのうちに、少年は出てきて自転車であちこち飛び回っているというふうなことが実態なんですね。だから、せめてどうして自分が襲われたのか、どういう子にやられたのかというくらいの情報は持ちたいんですよ。それくらいの配慮はしてもらえないかなというのが被害者の願いですね。
 そして、また私は被害者と加害少年が対峙することの方が加害少年にああ、大変なことをしたなという気持ちを起こさせて、立ち直りを早めることにもなるんじゃないかなという気がするんです。今のところ、被害者は本当にどこからも保護を受けないでほったらかしにされているということですね。

○河村構成員(法務省) この問題につきましては、少年審判のあり方というものをどういうふうに考えていくかという一面深遠な部分もございまして、今回の閲覧・謄写でありますとか、先生の方から事実認定の適正化といったような形で実は平成12年の改正少年法、これももともとは閣法で出させていただいたものが廃案となった後、議員立法で成立させていただいたという経緯もございまして、その中でいろいろなテーマにつきまして、先ほど記録の閲覧・謄写のあり方につきまして、改正少年法の5年後見直しの検討課題となるということを申し上げましたが、その意味では被害者の方々が審判についての情報を得ていただく、あるいは今、岡村構成員がおっしゃった対峙するという問題、これはかなりそれを超える部分がございますけれども、こういう情報を得ていただくあり方につきましては、5年後見直しのテーマというふうに私どもは考えておりまして、ただ今からどういう方向ということを申し上げることは困難ではございます。

○山上座長代理 また私からちょっと質問ですけれども、先ほど医療観察制度では、最初のその事実に関しては被害者は傍聴できると言いましたが、それと同じような形で、被害者の方は少年事件だと犯人の姿も知れない、見ることもずっとできないということが多いわけで、被害者本人がそこに傍聴に行きたいかどうかは別として、本人が行きたいときは行けるというふうに一回だけでもそういう事実を加害少年が事件についてどう述べるか、最初のそういう場面だけでも一度出る機会を与えられないだろうかというふうに私は思っているんですが、医療観察制度でそれだけ同じように今度の改正の時期にでも、そういうことができないだろうかというふうに思いますけれども。

○井上構成員 医療観察制度との比較についてはよくわかりませんけれども、少年審判というのは特殊な性質のものであり、基本的には裁判ではなく、少年に対する福利を図る一種の行政的な手続という位置づけなのですね。
 内容的にも、非常に心情不安定な少年を扱いますので、成人の場合とはかなり違った微妙な配慮を示さなければならない。そこのところに被害者の方が立ち会って、一種の対決的ないし対峙的な構造を生じさせるのが適切なのかどうか。この点は、少年法の本質にかかわるようなところもありますので、慎重の上にも慎重でなければならないと思うのです。
 先ほど来お話があったような被害者の方の置かれている状況、それを背景にした要求というのは、実際の少年事件のことを伺うと、もっともだと思います。したがって、最低限、どういうことが起こって、それでどうなったのだということの情報の開示は、、本当に十分なものを工夫をして実施していただく必要がある。そこがまず出発点だと思うのですね。しかし、そこから先に進んで、被害者等が要求すれば傍聴できるかどうかということになりますと、今申したような微妙な問題が出てきますので、そこは慎重の上にも慎重に考えなければならず、そう安易に結論を出すことができる問題ではないように思います。

○岡村構成員 子どもが寝たきりになったという被害者の家族が、一体こういう目に遭わせた加害少年がどんな子だろうと思ったけれども、顔も見れないと。そこで、親を相手に民事訴訟を起こしたと。民事訴訟を起こせば、証人としてその子どもが加害少年が出てくるんだろうと、それだけを目的に訴訟を起こしましたという人がいて、私は涙が出たんですが、我が子が寝たきりになったときに、だれにやられたか顔も知れない、これは残酷な話ですよね。そこで、これは傍聴とか、あるいは審判に出頭とか、それが毎回でなければ回数を制限することもあるかもしれませんが、一体どこのだれ兵衛、どんな顔の者に被害を受けたのかということがわからないと、被害者や親はたまらないし、立ち上がれないんですね。私も最近そんな話を聞いてびっくりしました、私どもの会員から。

○最高裁判所(河原課長) 先ほど来お話を伺っていますと、平成12年の改正少年法の前ですと、なるほど、そういうこともあるいはあったのかなとも思いますけれども、現在記録の閲覧・謄写は12年改正で認められておりますので、少なくとも捜査機関の段階で少年がどんな人であって、かつどんなことをしゃべっているのかということ、これは記録の閲覧・謄写をすれば一目瞭然でございます。また、記録以外にも審判廷での意見聴取制度もこれは審判期日、要するに少年のいる前での意見聴取ももちろん認められておりますし、実際過去4年間の統計を最高裁から出しておりますけれども、大体1割ぐらい行われております。
 意見陳述の方法としては、審判期日でする場合、あるいは審判期日以外で裁判官にする場合、あるいは家庭裁判所調査官にする場合の3通りの方法がございますけれども、これはどういう方法によるかにつきましては、基本的には被害者の方にどういう方法を望まれますかという意向を確認してやっておりますので、ご希望があれば今の制度ですと審判期日に行って、直接少年の顔を見て、私はかくかしかじかですと、こういう意見を言うことも実際できる制度になっております。
 もちろん先ほど井上構成員がおっしゃいましたとおり、現在の運用につきまして、まだ配慮足らざる部分があったのかということにつきましては、今回の検討会の議論などを踏まえまして、大変反省しなければいけないこともあろうかと思いますし、この辺の被害者の方のご意見・ご要望につきましては、さらに下級裁に対して我々の方から周知徹底させていただきたいと思いますけれども、少年審判になったら、少年が何を言っているのかも全くわからないとか、少年の顔を一切見ることができないということは、少なくとも現行制度のもとではそのような状況はございませんので、その点につきましては、誤解のないように各構成員の皆さんにご認識していただきたいと思う次第でございます。

○岡村構成員 審判前に、捜査段階から情報が欲しいですね。被害を受けた上にお金を出して、記録を写してやっと知れるということじゃなくて、もう少し早い段階で警察から情報を得るとかというような、被害者がそう手間暇かからなくて済むような制度をひとつつくっていただきたいと思いますね。

○河村構成員(法務省) 少年の関係で申しますと、今の意見陳述のあり方の実情を私の方で存じておりませんので、何とも申し上げがたいところがございますけれども、いずれにしましても、12年の改正少年法によって導入をされました閲覧・謄写の制度、意見陳述の制度、そして裁判所からの結果通知の制度等がございまして、これにつきましては、平成18年4月1日までの実績を踏まえまして、調査分析の上、検討を行って、必要な対応をしていくということになってございまして、その辺につきまして、少年審判との関係で様々なご意見があることも承知いたしておりますので、これは少年として扱う年齢をどうするかという大きな問題とか、いろいろな問題がその際の検討事項となってございまして、その一部と申しますか、その中に岡村構成員等々からお話のございます情報の入手のあり方、あるいはさらには傍聴問題も含めて検討対象になっていこうかと。ただ、これはその意味では時期がちょっとこの基本計画でおまとめいただくのとは別の整理から出てきてまいっておるということをご理解いただきたいということでございます。

○片桐構成員(警察庁) 少年事件に関する被害者の方に対する情報提供ですけれども、これはご承知かと思いますが、我が方では被害者連絡制度というものを設けておりまして、少年事件の場合につきましても、全部の犯罪ではないんですが、身体犯、殺人とか強姦とか傷害等の重大犯罪、あとひき逃げ、それから交通死亡事故、こういったものについての少年事件については、捜査状況の連絡を申し上げるとか、また被疑者を検挙した場合には、被疑少年の名前とか年齢、住所というものをお知らせをするとか、また釈放をした場合にはその旨お知らせをするとか、また事件を送致した家庭裁判所、警察署、これをまたお知らせするとかということは従来やってきているところでございます。

○河村構成員(法務省) それと、もう1点追加させていただきますと、ただいま国会に提出させていただいております少年法の改正、これは先ほどの平成12年改正とは別でございますけれども、そこで取り扱っておりますメインは刑事責任を問えない年齢の少年による様々な犯罪事象と申しますか、これにつきまして事実をできるだけきちんと確定できるような仕組みをとる。さらに、重大な案件につきましては、家庭裁判所の審判によってその存否を明らかにしていく仕組みを導入させていただけないかということをご提案しておりまして、そうなりますと、そういった刑事責任を問えない、14歳未満の少年による事案につきましても、その法律が無事成立して施行させていただきますと、今申し上げましたような記録の閲覧・謄写、意見陳述、通知等々も配慮が可能になっていくということでございます。

○小西構成員 先ほど最高裁の方から、情報を全部被害者に伝えるのは心理的にどうかというお考えがあったり、あるいは直接対決ということについて、心理的な立場からどうかということが二、三挙がっていたと思いますので、心理的支援をしている者としての立場から申し上げます。
 基本的には、真実を知りたいという気持ちは何にも勝るものであることが多いですね。もちろん知れば非常にダメージを受ける。でも、それは事実ですから、ダメージを受ける人がいることも確かですけれども、それでも知りたい人はいますし、そういう場合にはむしろ真実を知りたい気持ちをちゃんと尊重できて、その権利が行使できて、その後のダメージについて心理的支援を行うんだというふうに考えないといけないと思います。ですから、心理的な評価というところから考えて、被害者を保護するかどうかを先にお役所の方で決めるというのは非常に差し出がましいことであって、ここについてははっきり順序があるんだということを知っていただいた方がよろしいかと思います。

○山上座長代理 そのことについて、私もそう感じます。被害者の方は選択権を持てない、最初から禁じられているというのでは、ご本人が本当に知りたいと思うときにはたとえ辛くても見に、あるいは聞きに行けるということが大事なので、それをご自身で避けるなら、それでそれは本人の判断でいいことですけれども、そういう権利が制限されているということが問題なんだというふうに思います。

○最高裁判所(河原課長) ちょっと先ほど私が申し上げたことが言葉足らず、あるいはちょっと誤解を招いたかと思いますけれども、今の意見聴取の制度でも基本的には被害者の方のご意向に添っていますので、自分は審判期日で直接意見陳述したいというお方については、それは認めているところでございます。別に我々の方でやめなさいとか、そういうことを言っているわけではございません。
 ただ、我々は少年法22条1項で、少年審判が非公開となっている制度の趣旨の一つとして、被害者の方が少年と向き合うことによる心理的なダメージとか、そういうことも副次的ではありますが、そういう理由もあるのではないかとただ忖度しているに過ぎないという趣旨でございますので、決して被害者の方で自分が審判期日で直接意見陳述したいんだと言われる方について、あなたはそんなことをしたらかえってダメージを受けるからやめるよう言っているわけではございません。そういう趣旨も十分踏まえた上で、最終的には裁判官が判断して、実際ホームページでも公開しておりますとおり、それ相応の数の方が意見陳述されているという実態があるということをご認識していただきたいという次第でございます。

○山上座長代理 少年保護事件の問題はかなり議論が出ていますので、今度はそろそろ事務局で少し集約をしていただきたいと存じます。

○事務局 少年の関係なんですけれども、今までのご議論のとおり、少年審判の目的からいろいろなご要望についても慎重な検討が必要だということでございます。一方で、法務省からのご発言が先ほど来出ておりますように、平成12年の改正少年法の附則で5年経過後ということになりますと平成18年4月1日以降ということでございますが、その時期に検討をされるということでございます。
 したがって、基本計画の中で、この時点で一定の方向性を示せるかどうかと、そこまでの意見の一致は一応なかったものと思うのですが、その5年を経過した後の検討の場でいろいろなご要望を踏まえた検討をしていただくということを骨子案の中に盛り込めばどうかというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

○河村構成員(法務省) そこにつきましては、改正少年法の附則と基本法におけるこの今回の基本計画の関係でございますので、その辺が整合性が問題なければ私どもとしては、また表現ぶりにつきましては、ちょっと留保させていただく部分があるかもしれませんですが。

○事務局 表現ぶりは骨子案のまとめとして、ご意見をいただく際に整理をしてお知らせするといたしまして、ざっと今の時点でこんな案でいかがということを申し上げたいと思うんですけれども、「法務省において、平成12年の改正少年法の附則第3条により、同法施行後5年を経過した場合に行う検討において、犯罪被害者等の意見、要望を踏まえた検討を行い、その結論に従った必要な施策を実施する。」
 また、まとめ案としてお送りするときに、きちっと文章整理も再度行いまして、またお示しをし、ご意見をいただきたいと思います。
 それから、少年の関係というか、これは「各省庁提出に係る施策等とりまとめ」の3ページの(8)の判決確定後の加害者情報の提供というところがございまして、審判と直接関係がないんですが、少年関係ということであわせて申し上げたいと思うんですけれども、ご議論の中では出ませんでしたが、岡村構成員の方からご意見をいただいておりまして、被害者に対し加害少年の仮退院の時期や更生の状況等を適時通知すべきであるということ、それから法務省の方からも、少年のことを排除するというようなペーパーでもございませんので、これらをあわせまして、この判決確定後の加害者情報の提供の中に少年関係も含めるというような文言としてまとめさせていただいたらどうかと。
 具体的には、まず柱のところに「判決」の次に「・保護処分決定の」というのを加えます。加えたものを読み上げますと、「判決・保護処分確定後の加害者情報の提供」、それから文章としては2つ目の☆でございますが、この4行目の後段になりますが、「加害者の釈放予定等」とあります。この「加害者の釈放」の後に「・退院」、それからさらに進みまして、「釈放・退院予定等を含む刑事裁判」、その後に「等」、これによって趣旨は少年の関係も含むんですということでまとめ案とさせていただければどうかというふうに思います。
 以上、2点についてまたご意見があれば伺えたらと思います。

○山上座長代理 これに関して、ご意見ございますでしょうか。

○河村構成員(法務省) 確かに、少年によって行われた、あるいは成人によって行われたかどうかを問わず、犯罪被害者の方々に被害を与えたという点、またその大きさというものについて差異はないというご指摘から、そういう成人と少年をあわせてお取り扱いをいただくような取りまとめかと思っておりますけれども、ただ少年ということになりますと、発育途上ということもございます。本当の意味での健全育成という観点から、プライバシーを含めた情報の保護というものがより重視されるものでございますので、成人の加害者とこれを同列に取り扱っていただくのは適切ではないというふうに考えております。
 その意味で、仮退院にかかわります情報提供につきましても、こういったご要望をいただいておりますご趣旨などを踏まえて今後検討はさせていただきますけれども、成人の場合と異なるというものがあるということはご理解いだきたいわけでございます。また、ご提供させていただける情報の内容につきましても、成人と同列に取り扱えないものもあるということはご理解を賜りたいと思います。

○最高裁判所(河原課長) 先ほどの(4)の少年保護事件の関係ですけれども、5年後見直しの関係で云々ということはわかりましたが、最高裁判所の関係で2つ載っておりますが、この関係についてちょっとどうなるのか、よくわからなかったので、そこをちょっと教えていただきたいのですが。

○事務局 これは(4)の「☆」にも記載しておりますように、政府の施策ではないんですけれども、犯罪被害者等の方々の施策として、最高裁の方でこういう取組をされておりますので、それについては基本計画の中に記載をさせていただいた方がいいのではないかというふうに事務局としては考えております。

○最高裁判所(河原課長) 先ほど来申し上げておりますとおり、我々としても現在法律でできています制度について、十分運用していきたいという関係で、ここに書いてあること自体には何の異論もございませんが、ただ堅苦しいことを申させていただきますと、行政府の施策大綱に裁判所の施策を載せるということ自体のそういう枠組みとの関係でちょっと疑問を持っております。この内容には何も異論はありませんけれども、そういう大きな枠組みとの関係でございますので、できればここにつきまして、ご再考、記載することの問題についてご検討いただきたいというふうに考えております。

○山上座長代理 ただいまの最高裁の意見について、どなたか意見ございましたら。
 私も少し言いたいんですが、もしこれが最高裁も同じようにこういう被害者の施策を取り組んで、皆さんの意見を聞いてと、そういう形の仕組みがあるんでしたら、そこで論じていただければいいんですけれども、そういう機会がほとんどないわけですから、この行政でこういう形で集まった機会にこれを一緒に載せるということは意味が非常にあるんではないかと私は感じているんですけれども。

○井上構成員 実質的にはそのとおりかとも思うのですが、こだわっておられるところもよくわかり、司法府のおやりになることについて行政府の方の施策・計画においてここまで言及することが果たしてできるのかは、大きな問題といえば大きな問題なのですね。ですから、何かこの文章の位置づけとか書き方とかを工夫できないでしょうか。同じ☆で並べて書いてあ ると、内容的には、裁判所の方でこういうことをなさっているという事実を単に書いているだけなのですけれども、政府の施策の一つとして位置付けられているようにも見えるので、もし書くとしても、裁判所の方ではこうやっておられるということに言及しておくといった形で、位置づけを変えるというのが、一つ考えられるところだ思うのですが。

○最高裁判所(河原課長) もう一つ堅苦しいことを言わせていただきますと、裁判所は各裁判所が独立しておりますので、最高裁として各家庭裁判所でここに書いているような運用に努めるということを約束するわけにはいかないんですね。最高裁ができることは、各下級裁判所で適正に運用されるようにいろいろと研修をするとか、施策をPRするとか、そういうことは言えますけれども、最後は各家庭裁判所の裁判体の考えでございますので、そこは行政府とどうしても裁判所は違うところがあるということもご理解いただきたいと思います。
 ただ、では、最高裁は何もしないのかと、ペーパーも出さないのかと言われますと、それでは全く本意ではございませんので、場合によりましては最高裁の方で最高裁でつくった紙を出すとか、そういうふうなことは十分考えたいと思いますが、この案でこのまま出しますと、先ほど申したとおり最高裁が各家庭裁判所を縛るのかという問題と、そもそも行政府の大綱に司法の問題が載るということはいかがという、この2点の問題があるということにつきまして、ご理解いただければ幸いかと重ねてお願いする次第でございます。

○事務局 それでは、今までのご議論を踏まえまして、事務局の方で具体にどのような形で盛り込むことができるのかというようなことも含めてご相談をさせていただき、その案という形でこの会議終了後にお示しをさせていただきたいということにさせていただければと思います。

○岡村構成員 今の議論でできなかったのは、これは(8)のこの再犯防止のためにという、☆両方にも関係しますけれども、「自由刑終了による釈放予定時期、釈放後の住所」というのは、自由刑終了後直後のどこへ行くかというその住所地だけですか。これは前回私はその特別の立法をつくって、その後も情報を収集できるようにしてほしいということを言い、かつそれだけでは一方的だと思って、満期修了者が食べていけれるような施策も動じる講ずるのとセットにして、そういうふうなものができませんかということを申し上げたんですけれども、大久保構成員の書かれた意見書にもありましたけれども、被害者というのは本当に再犯をおそれているんですね、びくびくしているんですね。特に刑期満了というのは、これは悪性が強いから刑期満了までいたわけで、出てきてからどんな仕返しをされるか怖いという気も強いんですね。この被害者のおそれをなくすためには、刑期満了者についても住所とか、その他の情報を被害者に教えてもらいたいと、こういう希望ですね。

○山上座長代理 法務省からお願いします。

○河村構成員(法務省) 例えば、仮出獄ということになってまいりますと、その後必然的に保護観察がつくわけでございまして、その意味で現行制度の枠組みと申しますか、刑罰の執行の過程で情報を収集していける仕組みにはなるわけでございます。また、それに応ずるべき法的な根拠がございますけれども、刑期を満了いたしますと、その意味ではその後一体どういう負担を課し得るのか、あるいは刑期を満了したにもかかわらず、いわゆる個人情報でございますが、そういったものを収集できるのか、何の目的で、その後どうやってそれは活用できるのかといったようなこともございまして、やはり仮出獄者とそうでない者については、別儀の扱いをさせていただかざるを得ない。
 その意味で、再被害といったような場合の例えば一定の在所について情報を警察、司法と申しますか、共有させていただいた上で、それなりの活用を図っていただけるようにするということはございますけれども、刑期が満了いたしますと、今の日本の制度ではその後情報を住所地等を法的に強制的に収集するとかといったような仕組みにはなってないといったことから、同列に書くことはちょっと困難であろうと、扱うことは非常に難しい問題があるということをおわかりいただきたいと思います。

○岡村構成員 今の制度ではできないので、法務省において検討するというようなぐあいにはいきませんか。

○事務局 今ご議論していただいている点は、先ほどもうご議論は終わっているんですけれども、骨子案(3)の方に戻って、内閣府の提出意見資料1の19ページをごらんいただきたいんです。この「法務省において加害者の仮出獄の時期」云々というこの項目についての岡村構成員のご意見は今ご発言になったようなご意見がございました。それに対して、結局内閣府としては、こういうことでご理解いただきたいと。
 出所者の住所だけでなく、職場の住所等についても情報提供してほしいというようなご要望を踏まえて、2年以内を目途に検討を進められるわけです。ところが岡村構成員がおっしゃっているような国が刑期満了者の生活が成り立つよう配慮を行う立法措置まで講じるという、この点についてはご意見の一致まで至らなかったということで、ただしこのようなご意見があることを踏まえた必要な検討がなされていくということで、原案のとおりとさせていただければということでございます。

○岡村構成員 これが出所者の出所時だけに限るのか、出所後も引き続き情報を提供をしていただけるのかと、こういうところがちょっと疑問に残っていたものですから、私は出所後についても転々住所が変われば、その住所も提供してもらいたいという趣旨で申し上げたもので、別に再犯防止のために経済的に援助するとか、それはつけ足し、つけ足しじゃなくて、そう言ったら立法しやすいかなと思うのでありますけれども。

○井上構成員 問題は、出所後、住所が転々としているのを、国あるいは公の機関が把握できるかということだ思います。そのためには、本人から届け出させるということにしなければならず、さらに、それをちゃんと実行させるためには、何らかの強制ないし担保措置を講じなければならないわけですが、そういう強制が果たしてできるものなのかですね。刑期を満了したということは、罪を償ったということになりますので、そういう人に、それ以上何らかの制約を加えたり、義務づけをしたりすることが果たしてできるのか、そこだろうと思うのです。これは、相当難しい問題だと思いますね。

○山上座長代理 私の方からちょっと質問が法務省にあるんですが、先ほど判決確定後の加害者情報の少年の場合は一緒に含めるのは難しいというご意見だったと思うんですけれども、実際にストーカーの加害者などが少年院に入ったような場合に、被害者はその出所、同じ程度に成人であろうと少年であろうと危険性があるものですから、出所、退院後の情報を当然必要とするんですけれども、そういう必要なケースについても一律そうされるんでしょうか、その辺はどのようなお考えでしょうか。

○河村構成員(法務省) ここに書き入れていただけますと、原則的にすべてが入るということで考えざるを得ないと思うんです。ところが、先ほど可塑性等々といったことを申し上げましたが、刑罰といわゆる保護処分と言われているものは法的にもいろいろな点で違った取り扱いをしております。そうなると、社会で刑事責任を追及するに足るべき、あるいはそれが必要なものとして扱われたものと少年の保護処分という中で扱うのが相当とされたものというのは、例えば前科一つをとりましても前科として扱うのか扱わないのか、法的に欠格事由として扱うのか扱わないのかとか、様々な点で別異な扱いをしておりますので、仮退院と仮出獄を同列に取り扱わせていただくのは困難であると。
 ただ、今、構成員おっしゃったような事案について、年齢の問題もございますけれども、そういうことをやるというと相当成人に限りなく近かったりとか、いろいろな問題があろうかと思われますので、個別の場合にどういったことが本当に可能なのかというのは、考えていかなきゃならないテーマかもしれません。ただ、ここで仮出獄と仮退院につきまして、しかも情報を適切に提供していくほか、処遇に関する情報も含めて云々かんぬんとございまして、これを同列に扱っていただくには、ちょっと少年というもの、それでなおかつ刑事責任、刑罰を課されない少年の扱いといたしましては、違ったものがございますということを申し上げたかったということです。

○事務局 今の点で確認させていただければと思うんですが、もちろん検討された結果、そういう成人の場合と少年の場合と扱いの内容について差異が出てくるということは、そのようなことは当然あるのかなと思うんですけれども、先ほどの修文案というのは、少年の関係についても検討の中に加えていただいてということを明確にするための修文案でございますので、あわせて少年の関係についてもご検討いただくという点については、特に問題ないという理解でよろしいんでしょうか。

○河村構成員(法務省) それ自体が相当問題ございまして、この中身におきまして、方向性がはっきり出ている部分もございます。釈放予定時期、釈放後の住居についての情報を適切に提供していくほかという、これはもう当たり前のこととして出ておりますし、さらに加害者の収容先、加害者の処遇に関する情報等々、こういった一連のものを情報提供できるように検討を行うということでございますけれども、ざっと見ますと、仮出獄の場合と少年の仮退院等の場合を並べて書いていただくことが、やはり誤解を与えると申しますか、私どもとしましては、それを同列に扱った形での検討と申しますと、これはかなり困難と。お約束いたしかねる部分があるということであります。

○事務局 そういたしますと、ここで同列にまとめ案とするのではなくて、少年については別途のまとめ案で盛り込むべき、その余地ありと、こういうことでよろしいんでしょうか。

○河村構成員(法務省) 少年につきましては、別に少し書きぶりを変えていただく方向であれば結構かということでございます。

○事務局 わかりました。それでは、ただいまのご議論を踏まえまして、事務局の方で案を作成し、この検討会終了後、骨子案の中に盛り込んだ形でお示しをさせていただくということでよろしいでしょうか。

○山上座長代理 そのほかに本日の議題に関して、構成員か、どなたかご意見……。

○大久保構成員 それでは、警察庁の方に少しお願いがあります。
 未解決事件の場合は、その後の連絡も入れていただきたいということを要望で出しましたら、被害者連絡制度があるので、それで十分に行っていくというお返事はいただいたんですが、被害者支援の現場では、未解決になりますと初めの数か月は警察からは連絡が来るそうですが、その後、数年経ちますと全く来なくなり、あるいは担当者が転勤をしてしまいまして、その後、どなたに聞けばいいのかさえもわからず悶々と苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいますので、できれば未解決の場合は年に何回か連絡をするというようにしていただけますと、現場の方にもきちんと広まっていくのではないかと思いますし、一方では、大変親切な連絡をきちんとしてくださる方もいますので、あまりにもそこにアンバランスがあり過ぎると思いますので、ご一考いただければと思います。

○片桐構成員(警察庁) 被害者連絡制度、今もちょっと申し上げたんですけれども、一定の身体犯であるとか、ひき逃げ、それから死亡事故について、捜査状況とか加害者の検挙状況とか人定事項を情報提供していくという制度でございます。現在やっている制度をちょっと申し上げますと、被疑者が検挙された場合には、直ちにその捜査の状況に加えて、被疑者の人定事項も含めてお知らせをするという形になってまして、検挙されない場合には、今の我々の通達の規定では、身体犯とかひき逃げの場合には被害申告後おおむね2か月後に情報の提供をする。また、交通死亡事故の場合には、発生後1か月後に情報提供する。それ以後、必要の都度連絡をするという形になっているわけでございまして、確かにおっしゃるように、「それ以後必要な都度」となっておりますから、捜査員によってやり方が違う、アンバランスがあるということは相当予想されるなというふうに思われます。
 ただ、捜査員の側からすると、捜査に進展がないときに、なかなか連絡をしづらいとかというふうな気持ちもあるようでございまして、別に負担とかというわけではなくて、なかなかお話しする話がないのに連絡することを躊躇するというふうなこともあるようでございます。
 それからまた、今お話があった担当者が代わってしまうという問題も、これはやはり担当者が交代すればきちんとご連絡するということは必要であろうというふうに思っていますので、今後、一定期間というのはどの程度かはまたいろいろ議論があるでしょうけれども、ちょっと検討させていただいて、さらに充実することができるかどうか、ちょっと検討してみたいというふうに思っております。

○山上座長代理 ほかにどなたか。議論は大体十分出たかと思いますけれども。

○岡村構成員 1ページの公訴参加導入制度等のところの2つ目の☆ですけれども、犯罪被害者等の希望に応じて公判期日を通知するとともに、その際、公訴事実、冒頭陳述、判決等の内容を書面その他の相当な方法で適切に伝えるように努めていくということですが、この起訴状と冒頭陳述、判決そのものを被害者に渡してくれるという制度をつくってもらえないでしょうかね。これは報道機関には渡されるのに、被害者には渡されないので、わざわざ報道機関からコピーしてもらったりするんですよ。前回の法務省、最高裁のお話では、閲覧・謄写すればいいじゃないかと言っていましたが、これはやはり1枚45円ぐらいのお金がかかりますし、被害者が協力してでき上がった起訴状や判決ですから、手間暇かけないで、報道機関に渡すんなら被害者にもくれるという制度をぜひつくっていただきたいと思うんですよね。判決が今日あったけれども、後ろでよく聞いていてわからなかったと。後から新聞記者からもらったと、こういうことが多いんですよ。それに対する不満が非常にあるんですね。もう少し被害者にサービスしていただきたいと思います。

○山上座長代理 法務省からお願いします。

○河村構成員(法務省) 今、報道機関ということでおっしゃいましたが、起訴状、あるいは判決書きも言及がございましたが、そのものの写しではないと承知しております。どういうことかと申しますと、やはり判決書きにつきましても、被告人の、例えば本籍等々の部分もございますし、それから第三者の氏名が出てくるといったような問題、冒頭陳述につきましても同様の問題がございます。その辺に配慮した形ということで、あくまでも要旨の形で、特に一般国民の方の非常に関心の高い事件につきましては、正確に把握していただくために要旨的なものの書面を報道機関にお渡しすることがあるというふうに承知しておりまして、ここで今回の意見の中でも、努めていくと申しておりますのは、そういった内容の書面でございますので、起訴状でありますとか冒頭陳述等々、そのものではないと。
 なぜそうさせていただかざるを得ないのかということにも絡むわけでございますけれども、正規の起訴状、冒頭陳述等の訴訟書類と申しますのは、それが相当であるか公判審理への影響等も含めて裁判所が判断していただく仕組みとなっております。実際、起訴状や冒頭陳述につきましても、例えば被害者の方を考えてまいりますと、刑事裁判において証人となる可能性もございます。そういった方が書面の形で被害状況の記載部分を含む冒頭陳述要旨等を受け取られるとなりますと、口頭の場合と違いまして、供述調書を閲読させた場合と同様の誘導となりかねないと。その結果として記憶の変容を招きかねないといったようなこともございます。
 そういったことから、公判への影響、第三者のプライバシーの保護等の配慮も必要でございますことから、ここはそれなりの配慮をさせていただかざるを得ない部分であろうと思っております。謄写費用等々の点につきましては、たしかほかの項目のときに検討課題になっておったというふうに私、記憶しておるのでございますが。

○岡村構成員 公判で朗読されたものなんですよね。だから、公判廷で朗読されたものすらも被害者にはもらえないというのはちょっと納得いかないんですよね、今後の捜査に差し支えがあるとか、プライバシーとかおっしゃっても。

○最高裁判所(伊藤課長) 今、構成員がおっしゃっていますのは、まさに判決当日の話でございまして、そもそも刑事裁判では判決書きができていないんですね。その日に今現在やられていることは、結局口頭で言い渡すわけですが、それがあまりにも長いと、当事者、報道陣、理解していただけないことがあるものですから、事件によっては裁判所の裁量で要旨のメモをつくっておりまして、それをご希望がある方に差し上げていると、こういうことでございます。
 それで、現在も被害者等の方から要旨が欲しいというふうに事前に申し出があれば、それは多くの場合お渡ししているというふうにこちらは認識しておるわけでございます。

○山上座長代理 あと何かご意見ございますか。

○中島構成員 この内容の項目についてではなくて、今、岡村構成員がおっしゃったことに関連してですが、多分、私が思いますに、被害者の方が刑事司法手続において何でも後回しになったり、そのすべての権利についてきちんと司法関係の方からすべて説明を受けていない現状というものがあるから、こういう制度があるんですよと言われても、それが事前にきちんと本当に伝わっているのかという問題があると思います。例えば、マスコミにそういうものが配られるのであれば、被害者の方にはマスコミより先にそれを知る権利が私はあるのではないかと思います。だから、18条に関しては項目として出すことではありませんが、そういった被害者の権利としてあるものは、被害者が優先的にすべてをきちんと知らされるということが徹底されるということが非常に重要であり、ほかの人に渡されるものであれば、必ず被害者にはその連絡が行くものという形で徹底されることを望みます。

○河村構成員(法務省) 今、冒頭陳述ということで構成員の方からお話がございましたが、冒頭陳述になりますと、一番問題点も大きくなってまいるわけでございますけれども、まず今後、本当に多くの事件で検察官の方で便宜、冒頭陳述要旨のようなものを書いていくのかという問題がまず1点ございますので、今後、どの程度書面としてそもそも裁判所にお出しするのがいいのかという問題も一方ではあろうかと思います。
 他方で、口頭で冒頭陳述をするだけではなしに、やはり書面としてお渡ししなければならないような事案もあろうかとは思われます。ただ、その場合でも書面でお渡しするということになりますと、被害者の方にとりましては、ずっと目で見れるわけであります。これは、先ほど証人としてということで申し上げましたが、やはりいろいろな証拠を積み上げた結果として立証すべき事項が冒頭陳述、さらにそのエッセンスが起訴状になってございまして、被害者の方に例えば証人として出ていただくということになりますと、ご自身の記憶に従った形でのご証言をいただかなきゃならない。ところが、実は検察官が認定しているのはこういう事実だということで詳細を目にずっと焼き付けていただきますと、その辺でどこまでがご本人のそれまでの記憶であるのか、あるいはそれ以外のところで得られた情報が入り交じっておるのかという当たりの区別も困難になってくるという問題もございます。
 そういったことから、時期の点でもやはり少し考えさせていただかざるを得ない面はあるということでございます。

○岡村構成員 しかし、閲覧・謄写を申請をすれば閲覧・謄写できるんでしょう、今のようなご懸念があったとしてもですね。だから、金を出せば手に入り、ただだと手に入らんというのが納得できないんですよ。閲覧・謄写もさせないというならまたあれですが。

○河村構成員(法務省) したがいまして、閲覧・謄写の申請をしていただいて、裁判所におかれても公判運営と申しますか、審理上差し支えないということであれば、閲覧等していただけるというその辺の判断をやはり出していただけないかと。それが本来のあり方ではないかと考えているということでございます。

○山上座長代理 この問題の出発点は、マスコミに渡されるような文書が被害者に必ずしも渡されないということが問題だったわけですけれども、これは例えば最高裁でマスコミとかに裁判所が資料を出すときには、被害者も要請があれば出すという原則を決めていただければ、それを周知すれば済むようなことに思うんですけれども、どうでしょうか。

○最高裁判所(伊藤課長) 先ほどとまた同じような話をしなければならないんですが、先ほどの話も結局事件を扱っている裁判所、あるいは裁判官のお考えでやっていることでありまして、それを最高裁の事務総局としてこうするべきだということは、裁判所の仕組みからしてそういうことはなかなかできないということをご理解いただきたいと思います。ただ、それが大事であるということは、何度も申しますが、研修等で十分周知してまいりたいと思っていますし、今、例えばマスコミには渡すけれども、被害者の方には渡しませんと、こういう裁判官がいるというふうには、少なくとも私は全く考えていません。

○河村構成員(法務省) この取りまとめで(2)の☆、2つ目のところの「公訴事実、冒頭陳述の内容を書面」と申しますのは、先ほど来から話題になっておりますような要旨の形の書面をイメージしているところでございます。

○山上座長代理 ほかに今日の議題に関して何かご意見、質問等ございましたら。

○河村構成員(法務省) その意味では、この取りまとめの形もございますけれども、私どもとしましては、被害者等のご希望に応じて公訴事実の要旨や冒頭陳述の内容などを説明するよう努めますとともに、事案、必要性、相当性にかんがみまして、冒頭陳述等の内容を記載した書面を交付することも含めて検討させていただきたいというふうに考えております。

○山上座長代理 大体議論出尽くしたかと思いますけれども、よろしいでしょうか。何かございますか。

○小西構成員 警察庁にちょっとお伺いしておきたいんですけれども、ここの領域では連絡制度というのが非常に大きな意味を持っていると思うんですが、これは今のところ、ひき逃げの交通事故の遺族のみということでしょうか。実際に性犯罪の被害者なんかで、何も連絡がないんだけどというのをここ一、二年で何件か体験しましたので、それについてどうお考えかちょっと伺っておきたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) 連絡制度の対象罪種をちょっと申し上げますと、殺人、強盗致死傷罪、強盗強姦罪、強盗強姦致死罪、強姦罪、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、準強姦罪、強制わいせつ等致死傷罪、傷害致死罪、傷害罪のうち全治1か月以上の重傷害、あとひき逃げ、死亡事故ということで、性犯罪は入っています。

○小西構成員 入っていますよね。入っているんですけれども、これはこの警察庁の全体に言えることなんですが、現実にやはりそれから漏れてきている人というのを実際には体験するんですね。警察庁は確かにこの被害者の施策ではやはり一番先んじてなさっていて、ある意味ではこの分野に関しては一応全部制度は網羅しているというふうに、これは出ているような気がしますが、実際にはやはり制度があることと、現実に被害者にちゃんと適用されているかどうかということは別の問題で、現場では相変わらず漏れている人がたくさんいるんですね。もちろん、それは今後とも努力していくというその一言でお答えになることしかないのかもしれません。もう少し実態についてどういうふうに変わっているかとか、それから幾つかは警察のこの前いただいた資料の中にありましたけれども、現実に、例えば女性の捜査員がどれくらい関与できているかということなんかについても、必ずしも完全にはできていないことはわかっていらっしゃる部分もあると思います。それについて、もう少し具体的にお考えいただければ、今、文言を何か変えるということではありませんけれども、一応それはわかっていただきたいなというふうに思います。

○片桐構成員(警察庁) おっしゃるように制度はつくったけれども、実際にそうなっているかということについては、我々、真摯に受けとめなければいけないと思っています。今の構成員のご発言にもありましたけれども、やることになっているはずのことがやられていないということは、恐らく実際にはあるというふうに我々思っています。やはり大事なことは、担当の捜査員任せにしないで、きちんと組織的に幹部が実施状況を管理するということが必要だろうと思っていまして、例えば、東京の警視庁なんかは、被害者担当の職員がいまして、その職員が全部パソコンで実施状況を管理しているという形もとりつつあります。やはりこういった形できちんと組織的にどういったことが行われているかということを管理をしていくということは大事だと思いますので、そういった制度を今後検討していきたいというふうに思っております。

○小西構成員 それはぜひ全県警にそういう制度をつくっていただければと思います。

○岡村構成員 今、見ている推進室の取りまとめですね。ここに書かれているものだけが議題になってまとめられるんでしょうか。いろいろな意見を私ども出しているんですけれども、ここに書かれていないのがいっぱいあるわけですけれども、その辺どうなんでしょうか。

○事務局 これにつきましては、先ほど冒頭で申し上げましたように、このペーパーというのは、あらかじめ各省庁からいただいたご回答の中で、非常に前進させる、あるいは新しい取組というものについて、事務局の方ですべて整理したものでございます。したがって、そのほかのものについて全く検討対象にならないとかということではございません。

○岡村構成員 というのは、ここで議論しないと書かれないわけですかね。私どもいろいろな意見を出しているんですけれども、ペーパーで。それは一応ここに全部出しておかないと、今日。

○事務局 それらについてはすべて各省庁で検討をしていただいて、そしてそれをこの第4回配付資料の中で資料2、3、4、警察庁、法務省、最高裁の方でご検討いただいた内容が盛り込まれておるわけです。したがって、もちろんいろいろ出されたご意見についても検討していただいています。ただ、一部直前になって出されたご意見については、なかなか十分な検討が各関係省庁でなされていないものもあるやもしれません。

○岡村構成員 それで、3ページの(7)の不起訴事案に対する情報提供ですけれども、一番上に不起訴記録の弾力的開示の周知徹底を行うとありますが、法務省から通達を出されましたね、これについて。これは非常に厳格なんですよ。とてもあのとおりやられたら不起訴記録は見れないんじゃないかと思うんですよ。もう捜査終わった事件ですから、もっと見せてもいいんじゃないかと思うし、それから特に日野小学校の事件ですね、京都のね。あれなんか加害者が飛び下り自殺をしたために不起訴になったんですが、起訴されておれば当然出たであろう調書類が見れないということなんです。一体どういう人間に子どもが殺されたのかということを親は一生懸命知りたくて、検察へ何回もお願いしたんですけれども、刑訴法47条にはばまれて、現場の図面だとか、実況見聞だとか、解剖の書類だとか、客観的なものであって、加害者に関する情報、それは一切教えてもらってないわけなんです。だから、そこまで秘密にする必要があるんだろうかと思うんですよね。だから、どういう人間に殺されたかということがいまだにわからなくて、立ち直りができない状況にあるんです。もっと開示をやってくれてもいいじゃないかと。それがプライバシーの問題があるならば、よそへ漏らすことを禁止するというなら条件をつけて、被害者にはやはり教えるというふうに運用していただきたいと思うんです。

○山上座長代理 法務省からよろしいですか。

○河村構成員(法務省) 不起訴記録を開示いたしますと、捜査の結果、犯罪の嫌疑が不存在ないしは証拠不十分であると判断されましたり、起訴するまでの必要性がないなどと判断された記録を開示するということでございまして、構成員の方から今ご指摘ございましたが、開示することによって関係者の名誉、プライバシーを侵害するおそれは特に高いわけでございまして、不起訴記録を原則として公にできることといたしましたり、被害者であればそのことだけですべて開示するというのは問題があると考えております。
 ただ、事件を不起訴処分にする際に、検察官において被害者等に対しても適切な範囲で説明させていただいているところでありまして、今後、より一層その努力を重ねていくということになるというふうに考えております。
 構成員が特に具体的に挙げておられた事件につきましては、被疑者とされた者のそれ以外の属性と申しますか、いろいろな配慮も出てまいろうかと、そういう事件についての取り扱いをどうするかという問題も入ってこようかと思います。こういったものを仮にお見せするということになりますと、今のプライバシー以外にも、一般的に申せば、一たん不起訴にされましても、新たな証拠が収集されるなどすることによりまして、公訴提起がなされると。あるいは事件自体としては、例えば被疑者死亡ということであっても、共犯者等の関係で起訴されることも当然あるわけでございます。なおかつ不起訴記録と申しますか、公判に提出されていない記録と申しますのは、信用性も含めて種々雑多なものもございます。そういったものの事実解明をすると、刑事的な手続において事実解明を図っていくということから、いろいろな方の参考人のご協力も得て証拠収集し、適切な処分をするように努めているところでございまして、そういった関係から申しますと、不起訴記録、あるいはこれは不公判提出記録にもかかわることでございますけれども、様々な方のプライバシー事項にわたる事柄なども含めて開示による弊害というものは相当程度十分慎重に検討しなきゃならない、非常に難しい問題だというふうに思っております。

○岡村構成員 難しいことはわかりますけれども、不起訴記録の開示がないと検察審査会へ持っていく理由を書けないんですよね、見せていただかないと。だから、どうしても本人に直接見せられない場合は代理人の弁護士にだけ見せるとか、あるいは私どもは、本当にプライバシーに関するのかどうかということは、裁判官にインカメラ方式で判断してもらいたいと、こういうことも考えるくらいなんです。 だから、検察審査会に持っていくためにも不起訴記録というのを見せてもらわないと、理由が書けないということになるんですね。

○河村構成員(法務省) 検察審査会に申し立てをいただく際にそういったことが必要かということにつきましては、ちょっと今、手元に私自身資料を持ち合わせておりませんが、ただ、これまでも処分自体不当であるということで申し立てがあれば、適切に対応されてきた、検察審査会において職権としてお取り調べになってきたところでございますし、その検察審査会に対する申立のために記録を見なければならないということにつきましては、ちょっといかがなものかなとは思うのでございますが、その点につきましては、実情を含め、ちょっと次回までにもう一度考えさせていただきます。

○山上座長代理 よろしいですか。議論も出尽くしたかと思いますので、内閣府からご説明お願いします。

○事務局 ご議論とそれから事前にいただきましたご意見などすべて含めた形で検討会の取りまとめの案につきまして提案をさせていただきたいと思います。「各省庁提出に係る施策等とりまとめ」の資料をごらんになりながらお聞きいただければと思います。
 この中で、事務局の方で取りまとめました案から変更になるものをまず申し上げたいと思いますが、(2)公訴参加制度の導入等の最初の☆で、検討の期限が1年としておりますけれども、ご議論の中で、法改正等必要ということで、2年にというご意見がありましたので、ここは2年としたいというふうに考えます。
 それから、同じく次の☆でございますけれども、この点については、さらに法務省からの修文意見が出ておりますので、法務省の修文意見の方のペーパーをごらんいただきたいと思うんですが、その(2)の最初の☆がこのまとめの部分でございます。原案から赤い実線で削除、そして赤い字で修文案が記載されております。ざっと読みますと、「法務省において、犯罪被害者等の希望に応じ、公訴事実の要旨や、冒頭陳述の内容等を説明するように努めるとともに、事案及び必要並びに相当性に鑑み、冒頭陳述の内容を記載した書面を交付することも含め検討する」という案でございますが、ここをさらにこういうふうに変えればどうかと。というのは、検討の期限をやはり明確にするべきではないだろうかということで、原則の1年以内に結論を出すという、そういう記述にしたいということと、あと若干の文章整理でございます。
 ざっと読ませていただきますと、「法務省において、犯罪被害者等の希望に応じ、公訴事実の要旨や冒頭陳述の内容等を説明するように努めるとともに、事案並びに」、及びになっていますが、この部分は文章整理でございます。「事案並びに必要性及び相当性に鑑み、冒頭陳述等の内容を記載した書面交付することについて、必要な検討を行い、1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する。」
 それから、次は最初の取りまとめのペーパーに戻っていただきまして、1ページの一番下の☆でございます。これにつきましては、先ほど公訴参加の関係でございますが、ご議論いただいたまとめを別途ペーパーで配付させていただきまして、さらにその案から「刑事に関する手続」のところを「刑事裁判手続」と修正した案での取りまとめとさせていただきたいと思います。
 それから、取りまとめペーパーの2ページに移っていただきまして、(4)の☆2つでございますが、これは最高裁の取組でございます。これにつきましては、政府の施策ではないということが明確になるように、どういう盛り込み方があるのかにつきまして、最高裁と事務局の方で、これは法務省を通してさせていただいた方がいいんでしょうか、それは後でご相談するとして、ご相談の上、お示しをさせていただきたいと思います。
 それから、同じく(4)に一つ追加をするということでございます。これは、少年保護事件への参加をめぐるいろいろなご要望を踏まえた検討ということで、平成12年の改正少年法附則第3条による同法施行後5年を経過した場合に行う検討の場での検討ということを文書整理した上でお示しをさせていただきたいと思います。
 それから、3ページに移りまして、(6)の捜査に関する情報提供等の充実でございますが、法務省の方から修文案が出ておりましたけれども、冒頭申し上げましたように、被害者の方々にできる限り捜査に関する情報を提供するように努めていくというご趣旨だということで法務省から出されたものを取りまとめさせていただきました。これは警察庁との同様の表現で記載させていただいておりますが、ご異論なければ原案どおりとさせていただきたいと思います。
 それから、(8)判決確定後の加害者情報、これについての少年についての加害者情報につきましては、別途文章整理をさせていただいた上でお示しをしたいと思います。
 法務省修文案の(2)の2つ目の☆、これは法務省の修文案どおりとさせていただきたいと思います。それから、修文案の(11)その他刑事手法の充実等のところでの修文意見、これも法務省の修文意見どおりとさせていただきたいと思います。
 それで、今申し上げたほかの点につきましては、ご議論の過程で意見の一致を見たものとしては、この施策等のとりまとめで取りまとめた施策について取り組んでいくということになるのではないかと思いますので、そのような取りまとめとさせていただきたいというふうに思います。

○山上座長代理 よろしいでしょうか。それでは、内閣府の方の構成員からの提案のように取りまとめたいと思います。

○河村構成員(法務省) 一つよろしいですか。
 先ほどの冒頭陳述等の内容を記載した書面を交付することについて必要な検討を1年をめどにとございましたが、1年以内というあたりも含めまして、若干ここにつきましては表現ぶり別途意見を出させていただくことがあるかもしれません。

○山上座長代理 それでは、最後に村田大臣から一言お願いいたします。

○村田大臣 今日も大変長い時間、ご協力ありがとうございました。また、2週間後ですか、暑いさなかですが、またあと2回ぐらいやれば取りまとめの検討会の方に動いていくかと思いますので、また引き続きご協力をお願いします。今日はありがとうございました。

○山上座長代理 ありがとうございました。事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 それでは、連絡事項でございますが、本日ご議論いただきました結果につきましては、事務局におきまして骨子案(4)として取りまとめ、次回の検討会までに構成員の皆様にお示しをいたします。次回の検討会は7月11日月曜日、午後2時から午後4時半までを予定しております。会場は、本日と同じ中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室、ここでございますが、ここで開催をいたしたいと思います。

○山上座長代理 では、これをもって第4回検討会を終わります。長時間にわたりありがとうございました。


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